【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、上流端および反対側の下流端を持つ喫煙物品のための熱源が提供されており、熱源は、可燃性炭素質コアと、一体型不燃性の断熱周辺層とを備える。コアは、熱源の上流端から熱源の下流端に延びる。周辺層は、熱源の上流端から、熱源の長さに沿って中途までのみ延び、およびコアの上流部分を囲む。
【0012】
本発明によれば、本発明による熱源と、熱源の下流にあるエアロゾル形成基質と、およびエアロゾル形成基質の上流部分および熱源のコアの下流部分の周りにあり、それらとじかに接触している熱伝導性で耐燃焼性のラッパーとを備えた、喫煙物品も提供されている。
【0013】
本明細書で使用される場合、「上流」および「前面」、ならびに「下流」および「背面」という用語は、発明に従い、ユーザーがその使用時に喫煙物品を吸う方向に関連して、喫煙物品の構成要素の相対的位置、または構成要素の部分を説明するために使用される。本発明による喫煙物品は、口側の端および反対側の遠位端を含む。使用時、ユーザーは喫煙物品の口側の端を吸う。口側の端は、遠位端の下流である。熱源は、喫煙物品遠位端に、またはその近くに位置する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「炭素質」という用語は、炭素を含むコアまたは層を描写するために使用される。
【0015】
本明細書で使用される場合、「一体型」という用語は、コアと直に接触した状態にあり、かつ外因性接着材またはその他の中間結合材料の補助なしにコアに付着した層を描写するために使用される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「外因性接着材」という用語は、コアまたは周辺層の構成要素でない接着剤を描写するために使用される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「不燃性」という用語は、可燃性炭素質コアの燃焼中または点火時に熱源が到達する温度で実質的に不燃性である層、バリアまたは材料を描写するために使用される。
【0018】
不燃性の断熱の周辺層は、コアの点火および燃焼中に晒される温度まで安定しているべきであり、コアの点火および燃焼中に実質的に無傷であるべきである。
【0019】
本明細書で使用される場合、「周辺層」という用語は、本発明による熱源の最も外側の層を描写するために使用される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「断熱層」という用語は、断熱材を含む層を描写するために使用される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「断熱材」という用語は、23°Cで約50ミリワット/メートル・ケルビン(mW/(m・K))未満のバルク熱伝導率、および改良された非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した相対湿度50%を持つ材料を描写するために使用される。
【0022】
不燃性の断熱の周辺層は、レーザーフラッシュ法を使用して測定して約0.01平方センチメートル/秒(cm
2/s)以下のバルク熱拡散率を持つ断熱材を含むことが好ましい。
【0023】
本発明による喫煙物品での使用時に、不燃性の断熱の周辺層の外側表面は、約350°Cを超えないことが好ましい。
【0024】
断熱性の周辺層の空気透過性は、その燃焼を持続させるために可燃性炭素質コアに達するために充分な酸素を許容するのに十分であるべきである。
【0025】
本明細書で使用される場合、「長さ」という用語は、熱源および本発明による喫煙物品の、その上流端と下流端の間での長軸方向の最大寸法を描写するために使用される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基質」という用語は、エアロゾルを形成しうる揮発性化合物の加熱にともない放出の能力を備えた基質を描写するために使用される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「熱伝導」という用語は、23°Cで少なくとも約10 W/メートル・ケルビン(W/(m・K))のバルク熱伝導率、および改良された非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した相対湿度50%を持つ材料から形成されたラッパーを描写するために使用される。一定の実施形態で、熱伝導性耐燃焼性のラッパーは、少なくとも約100 W/メートル・ケルビン(W/(m・K))のバルク熱伝導率を持つ材料から形成されることが好ましく、23°Cで少なくとも約200 W/メートル・ケルビン(W/(m・K))、および改良された非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定したときに、相対湿度50%であることが、さらに好ましい。
【0028】
本明細書で使用される場合、「耐燃焼性」という用語は、コアの点火および燃焼中に実質的に無傷のままであるラッパーを描写するために使用される。
【0029】
本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基質から生成されたエアロゾルは、可視でも不可視でもよく、また蒸気(例えば、ガス状態にある物質の微粒子で、通常は室温で液体または固体である)ならびにガスおよび凝縮した蒸気の液滴を含んでもよい。
【0030】
一体型不燃性の断熱周辺層を含めることで、喫煙物品の表面の温度を低減することにより、本発明による熱源を備えた喫煙物品の発火傾向を低減するのに有利に役立つ。
【0031】
可燃性炭素質コアは、熱源の上流端から熱源の下流端に熱源の長さに沿って延びる。一体型不燃性の断熱周辺層は、熱源の長さに沿って熱源の上流端にむけて中途までのみ延び、可燃性炭素質コアの上流部分を囲む。
【0032】
本発明による喫煙物品での使用時に、熱源のコアの燃焼中に発生する熱は、熱伝導性耐燃焼性のラッパーを介して熱源のエアロゾル発生基質下流まで熱伝導により伝達される。コアと比較して周辺層の長さが低減されていることで、熱伝導性耐燃焼性のラッパーが周辺層によって囲まれていない熱源の可燃性炭素質コアの下流部分との直接的な接触が許容される。これは、熱源からエアロゾル発生基質への充分に高い伝導性熱伝達を達成し、容認可能なエアロゾルを生成するために有利に役立つ。
【0033】
本発明による熱源は、意図される用途に応じて、異なる形状や寸法を持つものを生成しうる。
【0034】
本発明による熱源は、約300 mg〜約500 mgの質量、例えば約400 mg〜約450 mgの質量を持ちうる。
【0035】
本発明による熱源は実質的に円筒形であることが好ましい。こうした実施形態で、「周辺層」という用語は、本発明による熱源の半径方向に最も外側にある環状の層を描写するために使用される。
【0036】
本発明による円筒形の熱源は、実質的に円形の断面または実質的に楕円形の断面としうる。
【0037】
本発明による熱源の長さは、約5 mm〜約20 mmのであることが好ましく、約7 mm〜約15 mmであることがさらに好ましく、約11 mm〜約13 mmであることが最も好ましい。
【0038】
本発明による熱源は、実質的に一定の直径であることが好ましい。本明細書で使用される場合、「直径」という用語は、本発明による熱源の最大横断寸法を描写するために使用される。
【0039】
こうした実施形態で、周辺層により囲まれたコアの上流部分の直径は、周辺層で囲まれてはいないコアの部分の直径よりも小さい。直径の差は、およそ周辺層の2倍の厚みに等しい。
【0040】
本明細書で使用される場合、「厚み」という用語は、本発明による熱源の層の最大横断寸法を描写するために使用される。
【0041】
本発明による熱源の直径は、約5 mm〜約10 mmであることが好ましく、約7 mm〜約8 mmであることがさらに好ましい。
【0042】
周辺層の長さは、熱源の長さよりも少なくとも約2 mmだけ短いことが好ましく、熱源の長さよりも少なくとも約3 mmだけ短いことがさらに好ましい。周辺層および熱源の間の長さの差は、熱源で囲まれてはいないコアの部分の長さと等しい。
【0043】
周辺層の長さは、約3 mm〜約18 mmであることが好ましく、約4 mm〜約12 mmであることがさらに好ましく、約7 mm〜約9 mmであることが最も好ましい。
【0044】
周辺層の厚みは、約1.5 mm以下であることが好ましい。周辺層の厚みは、約0.5 mm〜約1.5 mmであることがさらに好ましい。
【0045】
本発明による熱源は、炭素を燃料として含む可燃性炭素質コアを備える。
【0046】
コアの炭素含有量は、乾燥重量で少なくとも約5パーセントとしうる。例えば、コアの炭素含有量は、乾燥重量で、少なくとも約10パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約30パーセントまたは少なくとも40パーセントとしうる。
【0047】
コアの炭素含有量は、乾燥重量で少なくとも約35パーセントであることが好ましく、少なくとも約40パーセントであることがさらに好ましく、少なくとも約45パーセントであることが最も好ましい。
【0048】
一定の実施形態で、本発明による熱源は、可燃性炭素系コアを含みうる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「炭素系」という用語は、主に炭素を含むコアを描写するために使用される。つまり、少なくとも50パーセント炭素含有量を持つコアである。
【0050】
例えば、本発明による熱源は、乾燥重量で、炭素含有量が少なくとも約60パーセント、少なくとも約70パーセント、または少なくとも約80パーセントである可燃性炭素系コアを含みうる。
【0051】
本発明による熱源のコアは、一つ以上の適切な炭素含有材料から形成しうる。適切な炭素含有材料は、当該技術分野において公知であり、炭素粉末を含むが、これに限定されない。
【0052】
コアはさらに少なくとも一つの点火補助剤を含むことが好ましい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「点火補助剤」という用語は、コアの点火時にエネルギーおよび酸素のうち一方または両方を放出し、ここで材料によるエネルギーおよび酸素のうち一方または両方の放出速度が周囲の酸素拡散で限定されない材料を描写するために使用される。言い換えれば、コアの点火時の材料によるエネルギーおよび酸素のうち一方または両方の放出速度は、周囲の酸素が材料に到達しうる速度とは主に独立している。本明細書で使用される場合、「点火補助剤」という用語はまた、コアの点火時にエネルギーを放出する金属元素を描写するためにも使用され、ここで金属元素の点火温度は約500°Cより低く、また金属元素の燃焼熱は少なくとも約5 kJ/gである。
【0054】
本明細書で使用される場合、「点火補助剤」という用語には、カルボン酸のアルカリ金属塩(アルカリ金属クエン酸塩、アルカリ金属酢酸塩およびアルカリ金属コハク酸塩など)、アルカリ金属ハロゲン塩(アルカリ金属塩化物塩など)、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属リン酸塩は含まれず、これらは炭素燃焼を変化させると考えられている。
【0055】
使用時に、コアの点火時の少なくとも一つの点火補助剤による、エネルギーおよび酸素のうち一方または両方の放出の結果、その点火にともないコアの温度が急上昇する。これは、熱源の温度の上昇に反映される。本発明による喫煙物品での使用時に、これによって有利なことに、熱源から喫煙物品のエアロゾル形成基質に伝達可能な充分な熱が確保され、そのため、その吸い始めでの容認可能なエアロゾルの生産が促進される。
【0056】
コアの乾燥重量で少なくとも約20パーセントの、少なくとも一つの点火補助剤が存在していることが好ましい。
【0057】
充分な温度の急上昇を達成するために、本発明による熱源のコアに含まれていなければならない少なくとも一つの点火補助剤の量は、コアに含まれている特定の少なくとも一つの点火補助剤に応じて変化することが理解される。
【0058】
一般に、少なくとも一つの点火補助剤によってその単位質量当たり放出されるエネルギーおよび酸素のうち一方または両方の量が多いほど、本発明による熱源のコアにふくまれていなければならない少なくとも一つの点火補助剤の量は少なくなる。
【0059】
一部の実施形態で、少なくとも一つの点火補助剤は、コアの乾燥重量で少なくとも約25パーセントの量が存在していることが好ましく、少なくとも約30パーセントであることがさらに好ましく、少なくとも約40パーセントであることが最も好ましい。
【0060】
コアの乾燥重量で約65パーセント未満の、少なくとも一つの点火補助剤が存在していることが好ましい。
【0061】
一部の実施形態で、少なくとも一つの点火補助剤は、コアの乾燥重量で約60パーセントの量が存在していることが好ましく、コアの乾燥重量で約55パーセントであることがさらに好ましく、コアの乾燥重量で約50パーセントであることが最も好ましい。
【0062】
本発明による熱源のコアで使用するための適切な点火補助剤は、当該技術分野において公知である。
【0063】
コアは、コアの点火にともないエネルギーを放出する単一の元素または化合物で構成される一つ以上の点火補助剤を含みうる。コアの点火にともなう一つ以上の点火補助剤によるエネルギーの放出は、コアの燃焼の初期段階での温度の「急上昇」の直接的な原因となる。
【0064】
例えば、一定の実4施形態で、コアは、コアの点火にともない酸素と発熱反応をする単一の元素または化合物で構成される一つ以上のエネルギー性材料を含みうる。適切なエネルギー性材料の例は、アルミニウム、鉄、マグネシウムおよびジルコニウムを含むが、これに限定されない。
【0065】
代替的にまたは追加的に、コアは、コアの点火にともない互いに反応してエネルギーを放出する2つ以上の元素または化合物を含む一つ以上の点火補助剤を含みうる。
【0066】
例えば、一定の実施形態で、コアは、コアの点火にともない互いに反応して、エネルギーを放出する還元剤(例えば、金属など)、および酸化剤(例えば、金属酸化物など)を含む一つ以上のテルミットまたはテルミット合成体を含みうる。適切な金属の例は、マグネシウムを含むが、これに限定されず、また適切な金属酸化物の例は、酸化鉄(Fe
2O
3)および酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含むが、これに限定されない。
【0067】
その他の実施形態で、コアは、コアの点火にともない発熱反応を起こすその他の材料を含む、一つ以上の点火補助剤を含みうる。適切な金属の例は、金属間およびバイメタル材料、金属炭化物および金属水素化物を含むが、これに限定されない。
【0068】
コアは、コアの点火中に酸素を放出する少なくとも一つの点火補助剤を含むことが好ましい。こうした実施形態で、コアの点火にともなう少なくとも一つの点火補助剤による酸素の放出は、コアの燃焼の速度が増大することにより、間接的にコアの燃焼の初期段階中の温度の「急上昇」につながる。これは、熱源の温度プロフィールに反映される。
【0069】
例えば、コアは、コアの点火にともない分解して酸素を放出する一つ以上の酸化剤を含みうる。コアは、有機酸化剤、無機酸化剤またはその組合せを含みうる。適切な酸化剤の例は、硝酸塩(例えば、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸リチウム、硝酸アルミニウムおよび硝酸鉄など)、亜硝酸塩、その他の有機および無機のニトロ化合物、塩素酸塩(例えば、塩素酸ナトリウムおよび塩素酸カリウムなど)、過塩素酸塩(例えば、過塩素酸ナトリウムなど)、亜塩素酸塩、臭素酸塩(例えば、臭化ナトリウムおよび臭化カリウムなど)、過臭素酸塩、亜臭素酸塩、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ナトリウムおよびホウ酸カリウムなど)、鉄酸塩(例えば、鉄酸バリウムなど)、フェライト、マンガン酸塩(例えば、マンガン酸カリウムなど)、過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウムなど)、有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイルおよび過酸化アセトンなど)、無機過酸化物(例えば、過酸化水素、過酸化ストロンチウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化亜鉛および過酸化リチウムなど)、超酸化物(例えば、超酸化カリウム超酸化物および超酸化ナトリウム超酸化物など)、炭酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、亜ヨウ素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、その他のスルホキシド、リン酸塩、ホスフィナート、亜リン酸塩、およびホスファナイトを含むが、これに限定されない。
【0070】
本発明による熱源のコアは、コアの点火にともない酸素を放出する単一の元素または化合物からなる一つ以上の点火補助剤を含みうる。代替的にまたは追加的に、熱源のコアは、コアの点火にともない互いに反応して酸素を放出する2つ以上の元素または化合物を含む一つ以上の点火補助剤を含みうる。
【0071】
コアは、コアの点火にともないエネルギーおよび酸素の両方を放出する一つ以上の点火補助剤を含みうる。例えば、コアは、コアの点火にともない発熱性の分解をして酸素を放出する一つ以上の酸化剤を含みうる。
【0072】
代替的にまたは追加的に、コアは、コアの点火にともないエネルギーを放出する一つ以上の第一の点火補助剤、および一つ以上の第一の点火補助剤とは異なり、コアの点火にともない酸素を放出する一つ以上の第二の点火補助剤を含みうる。
【0073】
一定の実施形態で、コアは熱分解温度が約600°Cより低い少なくとも一つの金属硝酸塩を含みうるが、約400°Cであることがさらに好ましい。少なくとも一つの金属硝酸塩の分解温度は、約150°C〜約600°Cであることが好ましく、約200°C〜約400°Cであることがさらに好ましい。
【0074】
こうした実施形態で、コアが従来型の黄炎のライターまたはその他の点火手段に晒されたとき、少なくとも一つの金属硝酸塩が分解し、酸素およびエネルギーを放出する。これは、熱源の初期的な温度の急上昇の原因となり、またコアの点火を助けもする。少なくとも一つの金属硝酸塩の完全な分解の後、コアは低温で燃焼する。
【0075】
少なくとも一つの金属硝酸塩を含めることで、有利なことに、コアの点火が内部的に開始されるようになり、その表面上のある一点だけではない。
【0076】
少なくとも一つの金属硝酸塩は、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸リチウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄およびその組み合わせで構成される群から選択されることが好ましい。
【0077】
一定の実施形態で、コアは、少なくとも2つの異なる金属硝酸塩を含みうる。一つの実施形態で、コアは、硝酸カリウム、硝酸カルシウムおよび硝酸ストロンチウムを含む。
【0078】
一定の望ましい実施形態で、コアは、約600°Cより低い温度で活発に酸素を放出する少なくとも一つの過酸化物または超酸化物を含み、約400°Cより低い温度であることがさらに好ましい。
【0079】
少なくとも一つの過酸化物または超酸化物は、約150°C〜約600°Cの温度で酸素を活発に放出することが好ましく、約200°C〜約400°Cであることがさらに好ましく、約350°Cの温度であることが最も好ましい。
【0080】
こうした実施形態で、コアが従来型の黄炎のライターまたはその他の点火手段に晒されたとき、少なくとも一つの過酸化物または超酸化物が分解し、酸素を放出する。これは、コアの初期的な温度の急上昇の原因となり、またコアの点火を助けもする。少なくとも一つの過酸化物または超酸化物の完全な分解の後、コアは低温で燃焼を続ける。
【0081】
少なくとも一つの過酸化物または超酸化物を含めることで、有利なことに、コアの点火が内部的に開始されるようになり、その表面上のある一点だけではない。
【0082】
適切な過酸化物および超酸化物の例は、過酸化ストロンチウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化リチウム、過酸化亜鉛、超酸化カリウム、および超酸化ナトリウム超酸化物を含むが、これに限定されない。
【0083】
少なくとも一つの過酸化物は、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウムおよびその組み合わせで構成される群から選択されることが好ましい。
【0084】
代替的に、または少なくとも一つの点火補助剤に加えて、コアは、熱源の性質を改善する一つ以上のその他の添加物を含みうる。適切な添加物は、熱源の強化を促進する添加物(例えば、焼結助剤、炭酸カルシウムなど)、可燃性コアの燃焼を促進する添加物(例えば、カリウムおよびアルカリ金属燃焼塩(burn salts)s、例えば、塩化カリウムおよびクエン酸カリウムなどのカリウム塩)および コアの燃焼により生成される一つ以上のガスの分解を促進する添加物、例えば触媒(酸化銅(CuO)、酸化鉄(Fe
2O
3)、酸化鉄ケイ酸塩粉末および酸化アルミニウム(Al
2O
3)など)を含むが、これに限定されない。
【0085】
周辺層によって囲まれる本発明による熱源の可燃性炭素質コアの上流部分の組成は、周辺層により囲まれてはいないコアの下流部分の組成と実質的に同じとしうる。
【0086】
代替的に、周辺層によって囲まれる本発明による熱源の可燃性炭素質コアの上流部分の組成は、周辺層により囲まれてはいないコアの下流部分の組成と異なりうる。
【0087】
本発明による熱源の可燃性炭素質コアは、異なる組成の2つ以上の層を含みうる。
【0088】
一定の望ましい実施形態で、コアは、炭素を含む第一の層と、少なくとも一つの点火補助剤を含む第二の層とを含み、ここで第一の層の組成は、第二の層の組成と異なる。
【0089】
本発明による熱源のコアを、炭素を含む第一の層および少なくとも一つの点火補助剤を含む第二の層に含めることで、本発明による喫煙物品の吸い始めと吸い終わり時に異なる温度プロフィールの提供が許容される。これは、有利なことに、吸い始めと吸い終わりの両方で、本発明による喫煙物品による容認可能なエアロゾルの生産を促進する。
【0090】
火炎および火花は、喫煙物品のための熱源での一定の点火補助剤およびその他の添加物の使用に関連しうる。本発明による熱源のコアを、炭素を含む第一の層および少なくとも一つの点火補助剤を含む第二の層に含めることで、有利なことに、こうした添加物が火炎および火花の発生および視認性のうち一方または両方が除去または低減される熱源のコア内の位置に位置付けできるようになる。
【0091】
一定の望ましい実施形態で、第一の層は炭素および少なくとも一つの点火補助剤を含み、第二の層は炭素および少なくとも一つの点火補助剤を含み、ここで乾燥重量での、第一の層における点火補助剤に対する炭素の比は、乾燥重量での第二の層における点火補助剤に対する炭素の比とは異なる。
【0092】
特に好ましい一定の実施形態で、可燃性の第一の層は炭素および少なくとも一つの過酸化物を含み、第二の層は炭素および少なくとも一つの過酸化物を含み、ここで乾燥重量での可燃性の第一の層における過酸化物に対する炭素の比は、乾燥重量での第二の層における過酸化物に対する炭素の比とは異なる。
【0093】
特に望ましい一つの実施形態で、可燃性の第一の層は炭素および過酸化カルシウムを含み、第二の層は炭素および過酸化カルシウムを含み、ここで可燃性の第一の層における乾燥重量での過酸化カルシウムに対する炭素の比は、乾燥重量での第二の層における過酸化カルシウムに対する炭素の比とは異なる。
【0094】
第一の層および第二の層の両方が、少なくとも一つの点火補助剤を含む実施形態で、第二の層の点火補助剤の含有量は、第一の層の点火補助剤の含有量よりも多いことが好ましい。
【0095】
第一の層および第二の層の両方が、少なくとも一つの点火補助剤を含む実施形態で、第一の層における少なくとも一つの点火補助剤は、第二の層における少なくとも一つの点火補助剤と同じであることも、異なることもできる。
【0096】
第一の層および第二の層は、長軸方向の層としうる。
【0097】
本明細書で使用される場合、「長軸方向」という用語は、熱源のコアの長さに沿って延びる境界面に沿って出会う層を描写するために使用される。
【0098】
一定の実施形態で、第一の層および第二の層は、同心の長軸方向の層としうる。その他の実施形態で、第一の層および第二の層は、非同心の長軸方向の層としうる。
【0099】
一定の望ましい実施形態で、第一の層は、外側の長軸方向の層とすることができ、および第二の層は、内側の長軸方向の層とすることができ、これは第一の層により囲まれる。こうした実施形態で、第二の層は、有利なことに、熱源のコアの点火にともない「ヒューズ」としての役目を果たす。さらに、こうした実施形態で、一定の点火補助剤およびその他の添加物の使用に関連する火炎および火花の発生および視認性の一方または両方は、こうした添加物を熱源のコアの第二の層に含めることで、有利なことに、除去または低減されることがあり、その一方、熱源のコアの第一の層においてこうした添加物の存在が除去または低減される。
【0100】
代替的に、第一の層および第二の層は横断層としうる。
【0101】
本明細書で使用される場合、「横断」という用語は、熱源のコアの幅を横切って延びる境界面に沿って出会う層を描写するために使用される。
【0102】
一定の実施形態で、第二の層は、第一の層の下流としうる。
【0103】
一定の望ましい実施形態で、第二の層は、第一の層の下流とすることができ、周辺層は、コアの第一の層を囲むことができる。本発明による喫煙物品での使用時、これにより熱伝導性耐燃焼性のラッパーが周辺層によりかこまれてはいない熱源のコアの第二の層と直接的に接触するようになる。こうした実施形態で、一定の点火補助剤およびその他の添加物の使用に関連した火炎または火花の発生および視認性の一方または両方は、こうした添加物を熱伝導性耐燃焼性のラッパーにより囲まれる熱源のコアの第二の層に含めることにより、有利なことに除去または低減されることがあり、一方で熱源のコアの第一の層でのこうした添加物の存在が除去または低減される。
【0104】
本発明による熱源は、不燃性で断熱性の周辺層を含む。
【0105】
周辺層は、断熱材の乾燥重量で少なくとも約90パーセントを含むことが好ましい。例えば、周辺層は、断熱材の乾燥重量で約90パーセント〜乾燥重量で約100パーセントを含みうる。
【0106】
周辺層は、一つ以上の断熱材から形成されうる。代替的にまたは追加的に、周辺層は、コアの点火にともない分解されて一つ以上の断熱材を形成する一つ以上の先駆材料から形成されうる。
【0107】
点火傾向の充分な低減を達成するために、本発明による熱源の周辺層に含まれていなければならない断熱材の量は、周辺層に含まれる特定の断熱材に応じて変化する。
【0108】
一般に、断熱材の熱拡散率および熱伝導率が低くなるほど、本発明による熱源の周辺層にふくまれていなければならない断熱材の量が少なくなる。
【0109】
周辺層は、一つ以上の断熱性の粉末材料、一つ以上の断熱性フォーム、一つ以上の断熱性ウールまたはその組合せを含みうる。
【0110】
本発明による熱源の周辺層で使用するための適切な断熱材は、当該技術分野において公知である。適切な断熱材の例は、粘土(例えば、ベントナイトおよびカオリナイトなど)、白色陶磁器セラミック(例えば、陶器、磁器、および石器など)、工業用セラミック(例えば、炭化物(炭化チタニウムおよび炭化ジルコニウムなど)、窒化物(窒化カリウムおよび窒化ナトリウムなど)、酸化物(酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化セリウムなど)およびケイ化物(ケイ化マグネシウムおよびケイ酸カリウムなど)など)、鉱物(例えば、石膏など)、および岩石(例えば、火成岩岩石(花崗岩、黒曜石、スコリアおよび凝灰岩など)、堆積岩岩石(白亜、粘土岩、珪藻土および石灰石など)および変成岩岩石(片麻岩および片岩など)など)を含むが、これに限定されない。
【0111】
一定の望ましい実施形態で、周辺層は、珪藻土、石膏およびベントナイトで構成される群から選択される一つ以上の断熱材を含む。
【0112】
本発明による熱源の周辺層およびコアの一方または両方は、さらに一つ以上の結合剤を含みうる。
【0113】
一つ以上の結合剤は、有機結合剤結合剤、無機結合剤結合剤またはその組合せとしうる。
【0114】
適切な公知の有機結合剤結合剤は、粘性物質(例えば、グアーガムなど)、変性セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、小麦粉、澱粉、砂糖、植物油、およびその組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0115】
適切な公知の無機結合剤結合剤は、粘土(例えば、ベントナイトおよびカオリナイトなど)、アルミノケイ酸塩誘導体(例えば、セメント、アルカリ賦活アルミノケイ酸塩など)、アルカリケイ酸塩(例えば、ナトリウムケイ酸塩およびカリウムケイ酸塩など)、石灰石誘導体(例えば、石灰および消石灰石灰など)、アルカリ土類化合物および誘導体(例えば、マグネシアセメントセメント、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウムおよびリン酸二カルシウムなど)、およびアルミニウム化合物および誘導体(例えば、硫酸アルミニウムなど)を含むが、これに限定されない。
【0116】
一定の実施形態で、コアは、炭素粉末、変性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースなど)、粉末(例えば、小麦粉など)、および砂糖(例えば、ビート由来の白砂糖結晶など)を含む混合物から形成されうる。
【0117】
その他の実施形態で、コアは、炭素粉末、変性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースなど)、および随意にベントナイトを含む混合物から形成されうる。
【0118】
一定の実施形態で、周辺層は、一つ以上の断熱材、および変性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースなど)を含む混合物から形成されうる。
【0119】
本発明による熱源を作成するには、不燃性の断熱の周辺層の構成要素および可燃性炭素質コアの構成要素を混合して、希望の形状に形成する。周辺層の構成要素およびコアの構成要素は、例えば、スリップキャスティング、押し出し、射出成形および金型成形または加圧成形またはその組合せなど、任意の適切な公知のセラミック形成方法を使用して希望の形状に形成しうる。周辺層の構成要素およびコアの構成要素は、加圧成形または押し出しまたはその組合せにより希望の形状に成形しうることが好ましい。
【0120】
一定の実施形態で、本発明による熱源は、単一の方法を使用して周辺層およびコアを形成することにより作成しうる。
【0121】
例えば、本発明による熱源は、押し出しにより周辺層およびコアを形成することにより作成しうる。
【0122】
代替的に、本発明による熱源は、加圧成形により周辺層およびコアを形成することにより作成しうる。
【0123】
その他の実施形態で、本発明による熱源は、2つ以上の異なる方法を使用して周辺層およびコアを形成することにより作成しうる。
【0124】
例えば、本発明による熱源のコアが2つ以上の横断層を含む場合、本発明による熱源は、周辺層およびコアの第一の層を加圧成形により形成し、コアの第二の層を加圧成形により形成することで作成しうる。
【0125】
周辺層の構成要素およびコアの構成要素は、円筒形棒に形成されることが好ましい。ところが、周辺層の構成要素およびコアの構成要素は、その他の希望の形状にも形成しうることが理解される。
【0126】
形成後、円筒形棒またはその他の希望の形状は、乾燥させてその含水量を低減しうる。
【0127】
形成された熱源は、コアが、過酸化物、テルミット、金属間化合物、マグネシウム、アルミニウムおよびジルコニウムから構成される群から選択される少なくとも一つの点火補助剤を含む場合には、熱分解されないことが好ましい。
【0128】
その他の実施形態で、形成された熱源は、存在する場合に任意の結合剤を炭化し、および形成された熱源中の任意の揮発物を実質的に除去するのに十分な温度で、非酸化性雰囲気中で熱分解させうる。こうした実施形態で、形成された熱源は、約700°C〜約900°Cの温度で窒素雰囲気中で熱分解されることが好ましい。
【0129】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基質の上流部分および熱源のコアの下流部分の周りにあり、それらと直に接触する熱伝導性で耐燃焼性のラッパーを含む。
【0130】
一定の実施形態で、実質的に熱源の長さ全体を熱伝導性耐燃焼性のラッパーで包みうる。こうした実施形態で、熱伝導性耐燃焼性のラッパーは、周辺層および熱源のコアの下流部分の周りにあり、それらと直に接触する。
【0131】
望ましい実施形態で、熱源の上流部分は、熱伝導性耐燃焼性のラッパーで包まれない。
【0132】
熱伝導性耐燃焼性のラッパーに包まれない熱源の上流部分は、長さ約4 mm〜約15 mmであることが好ましく、長さ約4 mm〜約8 mmであることがさらに好ましい。
【0133】
耐燃焼ラッパーに包まれる熱源の下流部分は、長さ約2 mm〜約8 mmであることが好ましく、長さ約3 mm〜約5 mmであることがさらに好ましい。
【0134】
一定の望ましい実施形態で、実質的に周辺層の長さ全体が、熱伝導性耐燃焼性のラッパーに包まれるわけではない。
【0135】
上述のとおり、熱源のコアの燃焼中に生成される熱は、熱伝導性耐燃焼性のラッパーを介して熱源のエアロゾル発生基質下流への熱伝導により伝達される。これは、コアの下流部分の温度に著しく影響しうる。
【0136】
熱伝導耐燃焼性ラッパーを通して伝導性熱伝達により及ぶ熱ドレンは、熱伝導耐燃焼性ラッパーに包まれたコアの下流部分の温度を著しく下げることがあり、コアの下流部分の温度をその自己発火温度より著しく低く保つ。
【0137】
熱伝導耐燃焼性ラッパーは、酸素が熱伝導性耐燃焼性のラッパーで包まれたコアの下流部分に入らないように制限または防止する、酸素制限性ラッパーとしうる。例えば、熱伝導性耐燃焼性のラッパーは、実質的に酸素不浸透性ラッパーとしうる。
【0138】
こうした実施形態で、熱伝導性耐燃焼性のラッパーに包まれたコアの下流部分は、実質的に酸素の供給がなく、それゆえ喫煙物品の使用中は燃焼しえない。
【0139】
耐燃焼性ラッパーは、熱伝導性および酸素制限型の両方であることが好ましい。
【0140】
本発明による喫煙物品で使用するための適切な熱伝導耐燃焼性ラッパーは、金属箔ラッパー(例えば、アルミ箔ラッパー、スチール箔ラッパー、鉄箔ラッパーおよび銅箔ラッパーなど)、合金箔ラッパー、黒鉛箔ラッパー、および一定のセラミックファイバーラッパーを含むが、これに限定されない。
【0141】
エアロゾル形成基質の長さは、約5 mm〜約20 mmであることが好ましく、約8 mm〜約12 mm であることがさらに好ましい。
【0142】
一定の実施形態で、実質的にエアロゾル形成基質の長さ全体を熱伝導性耐燃焼性のラッパーで包みうる。
【0143】
望ましい実施形態で、エアロゾル形成基質の下流部分は、熱伝導性耐燃焼性のラッパーで包まれない。
【0144】
一定の望ましい実施形態で、エアロゾル形成基質は、熱伝導性耐燃焼性のラッパーを越えて下流に少なくとも約3 mm延びる。
【0145】
その他の好ましい実施形態で、エアロゾル形成基質は、熱伝導要素を越えて下流に3 mm未満だけ延びる。
【0146】
熱伝導性耐燃焼性のラッパーに包まれたエアロゾル形成基質の上流部分の長さは、約2 mm〜約10 mmであることが好ましく、約3 mm〜約8 mmであることがさらに好ましく、約4 mm〜約6 mmであることが最も好ましい。
【0147】
熱伝導性耐燃焼性のラッパーで包まれていないエアロゾル形成基質の下流部分の長さは、約3 mm〜約10 mmであることが好ましい。言い換えれば、エアロゾル形成基質は、熱伝導性耐燃焼性のラッパーを越えて下流に約3 mm〜約10 mm延びることが好ましい。エアロゾル形成基質は、熱伝導性耐燃焼性のラッパーを越えて下流に少なくとも約4 mm延びることがさらに好ましい。
【0148】
エアロゾル形成基質は、少なくとも一つのエアロゾル形成体および加熱に応答して揮発性化合物を発する能力のある少なくとも一つの材料を含むことが好ましい。
【0149】
少なくとも一つのエアロゾル形成体は、使用時に、密度の高いおよび安定したエアロゾルの形成を促進し、および喫煙物品の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物としうる。適切なエアロゾル形成体は、当該技術分野において公知であり、例えば、多価アルコール、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテートなど)、およびモノ-、ジ-またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。本発明による喫煙物品で使用するための好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリン(最も好ましい)など)である。
【0150】
加熱に応答して揮発性化合物を発する能力のある材料は、一回分の植物性材料であることが好ましく、一回分の均質化された植物性材料であることがさらに好ましい。例えば、エアロゾル形成基質は、植物に由来する一つ以上の材料を含みうるが、これには、たばこ、茶(例えば緑茶)、ペパーミント、月桂樹、ユーカリ、メボウキ、セージ、クマツヅラ、およびタラゴンを含まれるが、これに限定されない。植物由来の材料は、添加物を含みうるが、これには湿潤剤、芳香成分、結合剤およびその混合物を含まれるが、これに限定されない。植物性材料は、本質的にたばこ材料で構成されることが好ましく、均質化されたたばこ材料であることが最も好ましい。
【0151】
本発明による喫煙物品は、ニコチンを含むエアロゾル形成基質を含むことが好ましい。本発明による喫煙物品は、たばこを含むエアロゾル形成基質を含むことがさらに好ましい。
【0152】
本発明による喫煙物品は、本発明による熱源および熱源のすぐ下流に位置するエアロゾル形成基質を含みうる。こうした実施形態で、エアロゾル形成基質は、熱源と接しうる。
【0153】
代替的に、本発明による喫煙物品は、本発明による熱源および熱源の下流に位置するエアロゾル形成基質を含みうるが、ここでエアロゾル形成基質は、熱源から空隙を介する。
【0154】
本発明による喫煙物品は、熱源の下流およびエアロゾル形成基質の上流端の間の不燃性で実質的に空気不浸透性のバリアを含みうる。
【0155】
バリアは、熱源の下流端およびエアロゾル形成基質の上流端のうち、一方または両方に接しうる。
【0156】
バリアは、熱源の下流端およびエアロゾル形成基質の上流端のうち一方または両方に接着するかまたはその他の方法で付着しうる。
【0157】
一部の実施形態で、バリアは、熱源の下流端面上に提供されるバリアコーティング塗布を含む。こうした実施形態で、バリアは、少なくとも実質的に熱源の下流端面全体に提供されるバリアコーティング塗布を含むことが好ましい。バリアは、熱源の下流端面全体に提供されるバリアコーティング塗布を含むことがさらに好ましい。
【0158】
本明細書で使用される場合、「塗布」という用語は、熱源を覆いそれに接着する材料の層を描写するために使用される。
【0159】
バリアは、有利なことに、熱源の点火または燃焼時にエアロゾル形成基質が晒される温度を制限でき、そのため喫煙物品の使用時のエアロゾル形成基質の熱劣化または燃焼を回避または低減するのに役立つ。
【0160】
喫煙物品の希望する特性および性能に応じて、バリアは低い熱伝導率または高い熱伝導率を持ちうる。一定の実施形態で、バリアは、23°Cでのバルク熱伝導率が約0.1ミリワット/メートル・ケルビン(W/(m・K))〜約200 ミリワット/メートル・ケルビン(W/m・K)で、改良された非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した相対湿度が50%である材料で形成しうる。
【0161】
バリアの厚みは、適正な喫煙性能を達成するために適切に調節しうる。一定の実施形態で、バリアの厚みは、約10ミクロン〜約500ミクロンとしうる。
【0162】
バリアは、コアの点火および燃焼中に熱源が到達する温度で実質的に熱的に安定および不燃性である一つ以上の適切な材料から形成しうる。適切な材料は、当該技術分野において公知であり、粘土(例えば、ベントナイトおよびカオリナイト)、ガラス、鉱物、セラミック材料、樹脂、金属およびその組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0163】
バリアを形成しうる好ましい材料は、粘土およびガラスを含む。バリアを形成しうるさらに好ましい材料は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、合金、アルミナ(Al
2O
3)、樹脂、および鉱物グルーを含む。
【0164】
本発明による喫煙物品は、本発明によるブラインド熱源を含みうる。
【0165】
本明細書で使用される場合、「ブラインド」という用語は、ユーザーによる吸入のために喫煙物品を通して吸い込まれた空気が、熱源に沿ったどの気流チャネルも通過しない、本発明による喫煙物品の熱源を描写するために使用される。
【0166】
本明細書で使用される場合、「気流チャネル」という用語は、それを通して空気がユーザーによる吸入のために下流に吸い込まれうる、熱源の長さに沿って延びるチャネルを描写するために使用される。
【0167】
ブラインド熱源を備えた本発明による喫煙物品では、熱源からエアロゾル形成基質への熱伝達は、主に熱伝導によって起こり、熱伝導によるエアロゾル形成基質の加熱は、最小化されるかまたは低減される。これは、有利なことに、本発明によるブラインド熱源を備えた本発明による喫煙物品の主流エアロゾルの組成に対して、ユーザーの吸い方への影響を最小化するかまたは低減するのに役立つ。
【0168】
本発明による喫煙物品は、それを通して空気がユーザーによる吸入のために吸い込まれない一つ以上の閉鎖したまたはブロックされた通路を持つブラインド熱源を備えうることが理解される。例えば、本発明による喫煙物品は、熱源の上流端面から熱源の長さに沿って中途までのみ延びた一つ以上の閉鎖した通路を持つブラインド熱源を備えうる。
【0169】
こうした実施形態で、一つ以上の閉鎖した空気通路を含めることで、空気からの酸素に晒される熱源の表面積が増大し、有利なことに、熱源のコアの点火および持続的燃焼を促進しうる。
【0170】
その他の実施形態で、本発明による喫煙物品は、本発明による非ブラインド熱源を備えうる。
【0171】
本明細書で使用される場合、「非ブラインド」という用語は、ユーザーによる吸入のために喫煙物品を通して吸い込まれた空気が、熱源に沿った一つ以上の気流チャネルを通過する本発明による喫煙物品の熱源を描写するために使用される。
【0172】
非ブラインド熱源を備えた本発明による喫煙物品では、エアロゾル形成基質の加熱は、熱伝導および対流によって起こる。使用時、ユーザーが非ブラインド熱源を備えた本発明による喫煙物品を吸うと、空気は熱源に沿った一つ以上の気流チャネルを通して下流に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、エアロゾル形成基質を通過した後、喫煙物品の口側の端に向かい下流に流れる。
【0173】
本発明による喫煙物品は、熱源に沿って封入された一つ以上の気流チャネルを持つ非ブラインド熱源を備えうる。
【0174】
本明細書で使用される場合、「封入された」という用語は、その長さ方向に沿って熱源によって囲まれた気流チャネルを描写するために使用される。
【0175】
例えば、本発明による喫煙物品は、熱源の長さ全体に沿って熱源のコアの内側を通して延びる封入された一つ以上の気流チャネルを持つ非ブラインド熱源を備えうる。
【0176】
代替的にまたは追加的に、本発明による喫煙物品は、熱源に沿った一つ以上の未封入の気流チャネルを持つ非ブラインド熱源を備えうる。
【0177】
例えば、本発明による喫煙物品は、熱源の外側に沿って、少なくとも熱源の長さの下流部分に沿って延びる、一つ以上の未封入の気流チャネルを含む、非ブラインド熱源を備えうる。
【0178】
一定の実施形態で、本発明による喫煙物品は、一つ、二つまたは三つの気流チャネルを持つ非ブラインド熱源を備えうる。一定の望ましい実施形態で、本発明による喫煙物品は、熱源のコアの内側を通して延びる単一の気流チャネルを持つ非ブラインド熱源を備えうる。特に好ましい一定の実施形態で、本発明による喫煙物品は、熱源のコアの内側を通して延びる単一の実質的に中央または軸性の気流チャネルを持つ非ブラインド熱源を備える。こうした実施形態で、単一の気流チャネルの直径は、約1.5 mm〜約3 mmであることが好ましい。
【0179】
本発明による喫煙物品が、熱源に沿った一つ以上の気流チャネルを持つ非ブラインド熱源の下流端面に提供されるバリアコーティング塗布を含むバリアを備える場合、バリアコーティング塗布により、一つ以上の気流チャネルを通して、空気が下流に吸い込まれるはずであることが理解される。
【0180】
本発明による喫煙物品が非ブラインド熱源を備える場合、喫煙物品はさらに、熱源と一つ以上の気流チャネルとの間に、非ブラインド熱源を喫煙物品を通して吸い込まれた空気から分離するための、不燃性で実質的に空気不浸透性のバリアを持ちうる。
【0181】
一部の実施形態で、バリアは、接着されるか、または他の方法で熱源に付着されうる。
【0182】
バリアは、一つ以上の気流チャネルの内部表面に提供されるバリアコーティング塗布を持つことが好ましい。バリアは、一つ以上の気流チャネルの少なくとも実質的に内部表面全体に提供されるバリアコーティング塗布を持つことがさらに好ましい。バリアは、一つ以上の気流チャネルの内部表面全体に提供されるバリアコーティング塗布を持つことが最も好ましい。
【0183】
代替的に、バリアコーティング塗布は、ライナーを一つ以上の気流チャネルに挿入することにより適用しうる。例えば、本発明による喫煙物品が、熱源のコアの内側を通して延びる一つ以上の気流チャネルを含む非ブラインド熱源を備える場合、一つ以上の気流チャネルのそれぞれに不燃性で実質的に空気不浸透性の中空管を挿入しうる。
【0184】
バリアは、有利なことに、熱源のコアの点火および燃焼中に形成される燃焼および分解生成物が一つ以上の気流チャネルに沿って下流に吸い込まれる空気に入るのを、実質的に防止または阻止しうる。
【0185】
バリアはまた、有利なことに、ユーザーが吸っている間に熱源のコアの燃焼の活性化を実質的に防止または阻止しうる。
【0186】
喫煙物品の希望する特性および性能に応じて、バリアは低い熱伝導率または高い熱伝導率を持ちうる。バリアは、低い熱伝導率であることが好ましい。
【0187】
バリアの厚みは、適正な喫煙性能を達成するために適切に調節しうる。一定の実施形態で、バリアの厚みは、約30ミクロン〜約200ミクロンとしうる。好ましい実施形態で、バリアの厚みは、約30ミクロン〜約100ミクロンである。
【0188】
バリアは、コアの点火および燃焼中に熱源が到達する温度で実質的に熱的に安定および不燃性である一つ以上の適切な材料から形成しうる。適切な材料は、当該技術分野において公知であり、例えば、粘土、金属酸化物(酸化鉄、アルミナ、チタニア、シリカ、シリカアルミナ、ジルコニアおよびセリアなど)、ゼオライト、燐酸ジルコニウム、およびその他のセラミック材料またはその組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0189】
バリアを形成しうる好ましい材料には、粘土、ガラス、アルミニウム、酸化鉄およびその組み合わせが含まれる。望ましい場合、一酸化炭素から二酸化炭素への酸化を促進する成分など、触媒作用を持つ成分をバリアに組み込みうる。適切な触媒作用を持つ成分は、例えば、プラチナ、パラジウム、遷移金属およびそれらの酸化物を含むが、これに限定されない。
【0190】
本発明による喫煙物品が、熱源の下流およびエアロゾル形成基質の上流端の間と、熱源および熱源に沿った一つ以上の気流チャネルの間に、バリアを備える場合、2つのバリアは、同一または異なる材料で形成しうる。
【0191】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基質の下流の気流指向要素を含みうる。気流指向要素は、気流経路を定義し、空気を少なくとも一つの空気吸込み口から、気流経路に沿って、喫煙物品の口側の端に向けて指向する。
【0192】
少なくとも一つの空気吸込み口は、エアロゾル形成基質の下流端と気流指向要素の下流端の間に提供することが好ましい。気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口からエアロゾル形成基質に向けて、長軸方向に上流に延びる第一の部分と、第一の部分から喫煙物品の口側の端に向けて長軸方向に下流に延びる第二の部分とを含むことが好ましい。使用時、少なくとも一つの空気吸込み口を通して喫煙物品に吸い込まれた空気は、上流に、気流経路の第一の部分を、エアロゾル形成基質に向けて通過した後、下流に、気流経路の第二の部分を通して喫煙物品の口側の端に向けて通過する。
【0193】
気流指向要素は、開放端で実質的に空気不浸透性の中空体を含みうる。こうした実施形態で、開放端で実質的に空気不浸透性の中空体の外部は、気流経路の第一の部分および気流経路の第二の部分のうち一方を定義し、開放端で実質的に空気不浸透性の中空体の内部は、気流経路の第一の部分および気流経路の第二の部分のうち他方を定義する。開放端で実質的に空気不浸透性の中空体の外部は、気流経路の第一の部分を、開放端で実質的に空気不浸透性の中空体の内側は気流経路の第二の部分を定義することが好ましい。
【0194】
好ましい一つの実施形態で、開放端で実質的に空気不浸透性の中空体は円柱であり、直円柱であることが好ましい。
【0195】
好ましい別の実施形態で、開放端で実質的に空気不浸透性の中空体は円錐台であり、直円錐台であることが好ましい。
【0196】
開放端で実質的に空気不浸透性の中空体は、エアロゾル形成基質と接しうる。代替的に、開放端で実質的に空気不浸透性の中空体は、エアロゾル形成基質内に延びうる。
【0197】
実質的に空気不浸透性の中空体は、熱源からエアロゾル形成基質への熱伝達により生成されるエアロゾルの温度で実質的に熱的に安定した一つ以上の適切な空気不浸透性材料から形成しうる。適切な材料は当該技術分野において公知であり、厚紙、プラスチック、セラミックおよびその組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0198】
本発明による喫煙物品は、さらにエアロゾル形成基質の下流および気流指向要素の下流(存在する場合)の膨張室を持つ。膨張室を含めることで、有利なことに、熱源からエアロゾル形成基質への熱伝達により生成されるエアロゾルがさらに冷却されうる。膨張室はまた、有利なことに、本発明による喫煙物品の長さ全体を希望の値に、例えば、膨張室の長さを適切に選択することにより、従来型の紙巻たばこの長さと同様に調節できるようになる。膨張室は細長い中空管であることが好ましい。
【0199】
本発明による喫煙物品はさらに、喫煙物品の口側の端に位置するマウスピースを含みうる。こうした実施形態で、マウスピースは、存在する場合、エアロゾル形成基質の下流、および気流指向要素および膨張室にある。マウスピースは、低い濾過効率であることが好ましく、非常に低い濾過効率であることがさらに好ましい。マウスピースは、単一のセグメントとしうるか、または単一構成要素のマウスピースとしうる。代替的に、マウスピースは、マルチセグメントまたは複数構成要素のマウスピースとしうる。
【0200】
マウスピースは、例えば、酢酸セルロース、紙またはその他の適切な公知の濾過材料を含む一つ以上のフィルターセグメントを含みうる。代替的にまたは追加的に、マウスピースは、吸収剤、吸着剤、芳香成分、およびその他のエアロゾル変性剤および添加物またはその組み合わせを含む一つ以上のセグメントを含みうる。
【0201】
本発明による喫煙物品は、少なくとも熱源の背面部分、エアロゾル形成基質およびエアロゾル形成基質の下流にある喫煙物品その他任意の構成要素を囲む外側ラッパーを含むことが好ましい。外側ラッパーは、適切な任意の材料または材料の組み合わせから形成しうる。適切な材料は、当該技術分野において公知であり、紙巻たばこ用紙を含むが、これに限定されない。
【0202】
希望に応じて、本発明による喫煙物品の熱源の下流の位置に換気を提供しうる。例えば、存在する場合に、換気は、本発明による喫煙物品のマウスピースに沿った位置に提供しうる。
【0203】
本発明による喫煙物品は、公知の方法および機械を使用して組立られる。
【0204】
発明の一つの態様に関連して説明した特徴は、発明のその他の態様にも適用されうる。特に、本発明による熱源に関連して説明した特徴は、本発明による喫煙物品に適用することもでき、またその逆も言える。
【0205】
本発明は、以下の添付図面を参照しながら、例としてのみさらに説明される。