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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-130546(P2019-130546A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 29/04 20060101AFI20190712BHJP
   B22D 29/00 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   B22D29/04 B
   B22D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-13198(P2018-13198)
(22)【出願日】2018年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 道太
(72)【発明者】
【氏名】久保田 知里
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛之
(72)【発明者】
【氏名】杉野 剛大
(57)【要約】
【課題】フックの摩耗を抑制または検出することで、より確実に鋳物をフックに吊下げることができる、鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法を提供する。
【解決手段】鋳造物105及びハンガ部106を有する鋳物101が形成された鋳型102を前記鋳物101と分離する鋳型ばらし装置30であって、前記鋳型102から離脱可能なテーブル32と、該テーブル32上に前記鋳型102を搬送する搬送機構33と、前記テーブル32から分離された前記鋳型102内の前記ハンガ部106に掛かるハンガーフック31と、前記鋳型102の前記ハンガ部106の近傍の部分102cを除去する除去装置40と、を備える鋳型ばらし装置30を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし装置であって、
前記鋳型から離脱可能なテーブルと、
該テーブル上に前記鋳型を搬送する搬送機構と、
前記テーブルから分離された前記鋳型内の前記ハンガ部に掛かるハンガーフックと、
前記鋳型の前記ハンガ部の近傍の部分を除去する除去装置と、
を備える鋳型ばらし装置。
【請求項2】
前記除去装置は、前記近傍の部分に空気を吹き付けて鋳型砂を除去する、または前記鋳型を構成する鋳型砂を吸い込むエアノズルを備えている、請求項1に記載の鋳型ばらし装置。
【請求項3】
前記エアノズルは、前記搬送機構と前記ハンガーフックの間の位置に、鉛直方向に移動自在に設けられている、請求項2に記載の鋳型ばらし装置。
【請求項4】
前記ハンガーフックに当接する係合部材を備え、
前記エアノズルは前記係合部材に設けられている、請求項2に記載の鋳型ばらし装置。
【請求項5】
前記除去装置は、水平方向に回転可能な除去板を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の鋳型ばらし装置。
【請求項6】
前記除去装置は、
前記近傍の部分の高さ位置に設けられた除去頭部と、
該除去頭部を前記鋳型に向かって水平方向に押しだす押出装置と、
を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の鋳型ばらし装置。
【請求項7】
前記ハンガーフックの摩耗を検知する摩耗検知装置を備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載の鋳型ばらし装置。
【請求項8】
鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし装置であって、
前記鋳型から離脱可能なテーブルと、
該テーブル上に前記鋳型を搬送する搬送機構と、
前記テーブルから分離された前記鋳型内の前記ハンガ部に掛かるハンガーフックと、
該ハンガーフックの摩耗を検知する摩耗検知装置と、
を備える鋳型ばらし装置。
【請求項9】
前記摩耗検知装置は、前記ハンガーフックに吊り下げられた状態の前記鋳物の高さ位置を測定する鋳物高さ測定装置を備えている、請求項8に記載の鋳型ばらし装置。
【請求項10】
前記摩耗検知装置は、前記ハンガーフックを撮像して、前記ハンガーフックの摩耗状態を検出する撮像装置を備えている、請求項8に記載の鋳型ばらし装置。
【請求項11】
前記鋳型の前記ハンガ部の近傍の部分を除去する除去装置を備えている、請求項8から10のいずれか一項に記載の鋳型ばらし装置。
【請求項12】
鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし方法であって、
前記鋳型の前記ハンガ部の近傍の部分を除去し、
前記鋳型から離脱可能なテーブル上に前記鋳型を搬送させて、ハンガーフックの上方に前記ハンガ部を位置づけ、
前記鋳型を前記テーブルから分離させて前記ハンガーフックに前記ハンガ部を掛ける、鋳型ばらし方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造ラインにおいて用いられる鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造ラインでは、鋳型に鋳込んだ溶融金属が凝固して冷却された後、鋳型ばらしが行われる。この鋳型ばらしでは、溶融金属が凝固した鋳物と、ばらした鋳型である鋳型砂とが分離される。該鋳物は製品とされ、該鋳型砂は回収されて再利用される。鋳型ばらしを行う鋳型ばらし装置としては、回転ドラム式、振動トラフ式及び振動ドラム式を例示することができる。
【0003】
従来技術の一例である特許文献1には、回転ドラム式の冷却装置を用いた鋳型ばらしに関する技術が開示されている。
特許文献1に開示された回転ドラム式の冷却装置においては、鋳物が形成された鋳型を搬入機構により回転ドラムへ搬入すると、回転ドラム内で鋳物を鋳込んだ鋳型と鋳物とが分離され、鋳型は鋳型砂となり、該鋳物及び該鋳型砂が冷却される。鋳物及び鋳型砂は、回転ドラム内を搬入機構側から搬出機構側へ移動し、鋳物は搬出機構に排出され、鋳型砂は砂回収機構に回収される。
【0004】
上記のような、特許文献1に開示された冷却装置によれば、回転ドラムの回転により鋳物を効率的に冷却可能である。また、回転ドラム内において、常温の砂と、乾燥した高温の砂と、中子砂とが混ざり、砂回収機構による回収前に砂を均質化することが可能である。
【0005】
しかし、特許文献1に開示された冷却装置では、回転ドラム内において鋳物が損傷することがある。これは、鋳物が、回転ドラム内において、他の鋳物又は回転ドラムの内壁に接触又は衝突するためである。このように損傷した鋳物は、表面に打痕又は割れを生じてしまう。鋳物の表面に打痕又は割れを生じると、その鋳物は不良品となるため生産効率が低下する。
また、先に投入された鋳型内の鋳物が、これより後に投入された鋳型内の鋳物よりも後に排出されることがあるため、各鋳物を鋳込んだ順番を特定することが難しく、各鋳物の製造条件を特定することが困難である。
更に、回転ドラム内における鋳物と砂の接触時間が長いため、砂の温度が全体的に上昇してしまう。また、特許文献1に開示された冷却装置では、後処理工程における人の作業量が多くなる。
【0006】
これに対し、回転ドラムを用いることなく鋳型ばらしを行う装置として、従来技術の一例である特許文献2に開示されるように、鋳物にハンガを設け、該ハンガに掛かるフックによって鋳物を吊下げて鋳型ばらしを行うことが提案されている。
より詳細には、押出し部材により鋳型塊を押出し、その結果フックをハンガの下方の鋳型塊における鋳物砂内に貫入させ、ハンガのほぼ下方に位置させた後に、鋳型塊を下降させることにより、フックに鋳物を吊下げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭56−14068号公報
【特許文献2】特許第2996283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献2に開示される技術によれば、フックを鋳物砂内に貫入させるため、長期の使用によりフックの先端部が摩耗する。フックの先端部が摩耗すると、フックの長さが短くなるため、鋳型を下降させた際にフックに鋳物がかからないことがある。
また、鋳物をフックに繰り返し吊下げると、鋳物のハンガ部が当接するフックの上側が摩耗する。フックの上側が摩耗すると、摩耗した部分の厚みが薄くなるため、鋳物を吊下げた際にフックが折れ、結果としてフックに鋳物がかからないことがある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、フックの摩耗を抑制または検出することで、より確実に鋳物をフックに吊下げることができる、鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし装置であって、前記鋳型から離脱可能なテーブルと、該テーブル上に前記鋳型を搬送する搬送機構と、前記テーブルから分離された前記鋳型内の前記ハンガ部に掛かるハンガーフックと、前記鋳型の前記ハンガ部の近傍の部分を除去する除去装置と、を備える鋳型ばらし装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし装置であって、前記鋳型から離脱可能なテーブルと、該テーブル上に前記鋳型を搬送する搬送機構と、前記テーブルから分離された前記鋳型内の前記ハンガ部に掛かるハンガーフックと、該ハンガーフックの摩耗を検知する摩耗検知装置と、を備える鋳型ばらし装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を前記鋳物と分離する鋳型ばらし方法であって、前記鋳型の前記ハンガ部の近傍の部分を除去し、前記鋳型から離脱可能なテーブル上に前記鋳型を搬送させて、ハンガーフックの上方に前記ハンガ部を位置づけ、前記鋳型を前記テーブルから分離させて前記ハンガーフックに前記ハンガ部を掛ける、鋳型ばらし方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フックの摩耗を抑制または検出することで、より確実に鋳物をフックに吊下げることができる、鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における鋳型ばらし装置に投入される鋳型及び鋳型に形成された鋳物の縦断面図である。
図2】上記鋳型及び鋳物の横断面図である。
図3】第1実施形態における鋳型ばらし装置を含む鋳造ラインを示す概略図である。
図4】前記第1実施形態における鋳型ばらし装置の、(a)は側面図であり、(b)はハンガーフックと鋳型及び鋳物との関係を説明する、(a)の横断面図である。
図5】前記第1実施形態における鋳型ばらし装置の、(a)は鋳型砂を除去している状態の側面図、(b)は鋳型及び鋳物の説明図、(c)は鋳型を搬送した状態の側面図である。
図6】前記第1実施形態の第1変形例における鋳型ばらし装置の側面図である。
図7】前記第1実施形態の第2変形例における鋳型ばらし装置の、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図8】前記第1実施形態の第3変形例における鋳型ばらし装置の、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図9】第2実施形態における鋳型ばらし装置の説明図である。
図10】前記第2実施形態の変形例における鋳型ばらし装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[第1実施形態]
本第1実施形態における鋳型ばらし装置は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を鋳物と分離するものであって、鋳型から離脱可能なテーブルと、テーブル上に鋳型を搬送する搬送機構と、テーブルから分離された鋳型内のハンガ部に掛かるハンガーフックと、鋳型のハンガ部の近傍の部分を除去する除去装置と、を備える。
【0017】
まず、本第1実施形態における鋳型ばらし装置に投入される鋳型及び鋳型内部に形成された鋳物を説明する。図1図2は、鋳型及び鋳物の縦断面図と横断面図である。図1図2においては、鋳型の内部に形成されている鋳物は、ハッチングをかけて示されている。
鋳型102は、上鋳型103と下鋳型104とを備え、上鋳型103と下鋳型104との間には鋳物101が形成されている。上鋳型103と下鋳型104は、上鋳型103の製品となる面と下鋳型104の製品となる面が互いに接することで、鋳物101を内部に閉じこめている。
【0018】
鋳物101は、製品となる鋳造物105と、ハンガ部106、及びこれらを連結する連結部109(図2参照)とを有する。連結部109は水平方向に延在するように形成されている。ハンガ部106は、連結部109に直交し、鋳型102の側面に沿って水平方向に延在するように、連結部109に接続して設けられている。これにより、ハンガ部106は、連結部109とあわせてT字型に形成されている。
鋳造物105とハンガ部106、及び連結部109は、一体に形成されている。後に説明するように、鋳型102から鋳型砂を分離するに際し、ハンガ部106の下方にはハンガーフック31(図2参照)が配置される。
【0019】
鋳造物105とハンガ部106aとを連結する部分には、ロボットアームが鋳物101を掴む際に使用される突部107が形成されている。上鋳型103には、注湯の際の湯口となる部分である注湯部108が形成されている。
【0020】
図3は、本第1実施形態に係る鋳型ばらし装置を含む鋳造ラインを示す概略図である。図3に示す鋳造ライン20は、鋳型造型装置21と、注湯装置22と、第1搬送部23と、第2搬送部24と、鋳型ばらし装置30とを備えている。
【0021】
鋳型造型装置21は、鋳型砂を成形することで鋳型102を造型する。ここで、鋳型により形成される鋳物101は、図1図2を用いて説明したように、製品となる鋳造物105と、鋳型ばらしにおいて利用されるハンガ部106とを有する形状である。注湯装置22は、鋳型造型装置21が造型した鋳型102に溶融金属を鋳込むために注湯を行う。
【0022】
第1搬送部23は、注湯装置22により溶湯が鋳込まれて鋳物が形成された鋳型102を鋳型ばらし装置30へ搬送する。鋳型ばらし装置30は、第1搬送部23によって搬送された鋳型102と鋳物101とを分離し、鋳型102をばらし、発生した鋳型砂を回収し、鋳物101を排出する。第2搬送部24は、鋳型ばらし装置30から排出された鋳物101を、例えば検査工程等の、図示しない次の工程の場所へ搬送する。
【0023】
図4(a)は、鋳型ばらし装置の側面図であり、図4(b)は、ハンガーフックと鋳型及び鋳物との関係を説明する、図4(a)のA−A部分の断面図である。
鋳型ばらし装置30は、テーブル32とプッシャー(搬送機構)33を備えている。
テーブル32は、図3の白抜き矢印で示す第1搬送部23の進行方向に隣接して設けられている。
鋳物101が形成された鋳型102は、鋳型102を第1搬送部23からテーブル32の方向へ押し出すプッシャー33により押し出されて、テーブル32上に搬送され、載置される。
テーブル32は、第1搬送部23側の端辺が回転軸34を中心として回転自在に支持されている。このため、テーブル32の、回転軸34とは逆側の端辺32aを、下側の方向D1へと回転移動させて、テーブル32を32Aで示される位置へと移動させることで、テーブル32を、テーブル32上に載置された鋳型102から離脱可能な構造となっている。
【0024】
鋳型ばらし装置30は、レール35、懸吊装置36、係合部材37、及びハンガーフック31を備えている。
レール35は、テーブル32の端辺32aの上方に、紙面に直交する方向に配設されている。懸吊装置36は、レール35に懸架されている。
【0025】
懸吊装置36の下端36aには、ハンガーフック31が設けられている。
ハンガーフック31は、本第1実施形態においては、断面矩形形状の、例えばステンレス等により形成された棒材の一方の端部31a側が、湾曲した形状を成している。この湾曲した湾曲部31bよりも一方の側に位置する端部31a側は、湾曲部31bからこの一方の端部31aに向かうにつれて漸次厚さが減少するように形成されている。ハンガーフック31は、一方の端部31aがテーブル32に向かうように配されている。この先端31aは、鋳型102がプッシャー33により押し出されて図4(a)に二点鎖線で描かれた102Aに示される位置に搬送された際に、鋳物101のハンガ部106の下方に位置するように設けられている。ハンガーフック31は、水平方向に延在するように他端31c近傍に設けられた回転軸39を中心として自在に回転することにより、先端31a側が位置102Aに位置する鋳型102のハンガ部106に対して接近し、あるいは離れることが可能となっている。
【0026】
このようにハンガーフック31は回転自在に設けられているため、鋳型102がプッシャー33により位置102Aまで押し出された際に、ハンガーフック31の先端31aが鋳型102を形成する鋳型砂に当接し、鋳型102に押されて移動することがある。これを抑制するため、ハンガーフック31のテーブル32とは反対側に、ハンガーフック31に当接するように係合部材37が設けられている。
係合部材37は押出装置38に接続されている。押出装置38は、係合部材37をハンガーフック31の方向に押し、ハンガーフック31の先端31aを位置102Aに位置する鋳型102のハンガ部106に接近する方向に移動可能な構成となっている。
【0027】
本第1実施形態においては、一対のハンガーフック31が、回転軸39の両端に設けられている。
一対のハンガーフック31の各々は、図2及び図4(b)に示されるように、連結部109を挟んで互いに反対側に位置するハンガ部106の2つの端部106aの各々に対応するように、連結部109を挟んで位置づけられている。
このように、鋳型102が位置102Aに搬送されてテーブル32を回転させ鋳型102から離脱させた際には、テーブル32から分離された鋳型102が自重により落下し、鋳型102内のハンガ部106に一対のハンガーフック31が掛かる構成となっている。
一対のハンガーフック31は、回転軸39と、及び図示されない棒状の連結部材により、複数の位置で互いに連結され固定されている。
【0028】
ハンガーフック31を備えた懸吊装置36は、レール35上に複数配置されている。懸吊装置36は、ハンガーフック31により鋳物101を吊下げて鋳型砂を落とす作業を終えた後、順次、紙面に直交する方向、例えば紙面の奥へ進行するように構成されている。
【0029】
鋳型ばらし装置30は、鋳型102のハンガ部106の近傍の部分を除去する除去装置を備えている。図5(a)は、鋳型ばらし装置の、鋳型砂を除去している状態の側面図、図5(b)は図5(a)における除去装置40側から鋳型及び鋳物を視た場合の側面図、図5(c)は鋳型を搬送した状態の側面図である。
除去装置40は、鉛直方向に延在する棒状の支持部材41と、支持部材41の下端41aに設けられたエアノズル42を備えている。
【0030】
支持部材41は、プッシャー33とハンガーフック31の間に、より詳細にはテーブル32の上方の第1搬送部23側の位置に設けられている。
エアノズル42は、第1搬送部23の方向D2に空気を吹き出すように設けられている。本第1実施形態においては、エアノズル42は、支持部材41を挟んで水平方向に対となるように設けられている。より詳細には、本第1実施形態においては、エアノズル42は、図5(a)の紙面手前側に上下方向に並んで2個、及び、図5(a)の紙面奥側に上下方向に並んで2個の、計4個が設けられている。
各エアノズル42は、図示されないホースを介して、図示されないコンプレッサに接続されている。
【0031】
支持部材41は、下端41aを鉛直方向に移動自在に設けられている。
支持部材41は、図5(a)に示されるように、下端41aに設けられたエアノズル42が、第1搬送部23上に設けられた鋳型102の、下端102aより上でハンガ部106よりも下に位置づけられるように移動可能である。
この状態においては、エアノズル42は、第1搬送部23上に設けられた鋳型102のハンガ部106近傍の部分102cに空気を吹き付けて、吹き付けられた部分から鋳型砂を分離、除去させる。
本第1実施形態においては、支持部材41を挟んで対となるように設けられたエアノズル42の各々が、第1搬送部23上に設けられた鋳型102の一対のハンガーフック31の各々に対応する、図5(b)に二点鎖線で示されるハンガ部106よりも下側の部分(ハンガ部近傍の部分)102cに空気を吹き付ける。
【0032】
また、支持部材41は、下端41aが鋳型102の上端102bよりも上に位置づけられるように移動可能である。この状態においては、図5(c)に示されるように、支持部材41が障害となることなく、プッシャー33が鋳型102をテーブル32上へ搬送可能である。
【0033】
このように、エアノズル42は、プッシャー33とハンガーフック31の間の位置に、鉛直方向に移動自在に設けられている。
【0034】
次に、図1〜5を用いて、上記の鋳型ばらし装置30による鋳型ばらし方法を説明する。
本鋳型ばらし方法は、鋳造物及びハンガ部を有する鋳物が形成された鋳型を鋳物と分離するものであって、鋳型のハンガ部の近傍の部分を除去し、鋳型から離脱可能なテーブル上に鋳型を搬送させて、ハンガーフックの上方にハンガ部を位置づけ、鋳型をテーブルから分離させてハンガーフックにハンガ部を掛ける。
【0035】
まず、第1搬送部23上に鋳型102が設けられた状態で、除去装置40を下降させ、エアノズル42の各々を、図5(b)に二点鎖線で示されるハンガ部106よりも下側の部分102cと対向させる。
この状態で、エアノズル42から鋳型102のハンガ部106近傍の部分102cに空気を吹き付けて、吹き付けられた部分から鋳型砂を分離させ、除去する。
その後、除去装置40を上昇させ、支持部材41の下端41aが鋳型102の上端102bよりも上に位置づけられるように移動する。
【0036】
続いて、ハンガーフック31に係合部材37を当接させた状態で、プッシャー33により鋳型102を第1搬送部23からテーブル32の方向へ押し出すことで、鋳型102をテーブル32上に搬送し、載置する。この状態で、ハンガーフック31の先端31aは、鋳物101のハンガ部106の下方に位置している。
そして、テーブル32の、回転軸34とは逆側の端辺32aを、下側の方向D1へと回転移動させて、テーブル32を、テーブル32上に載置された鋳型102から離脱させる。すると、テーブル32から分離された鋳型102が自重により落下し、鋳型102内のハンガ部106に一対のハンガーフック31が掛かり、吊下げられる。この際の落下による衝撃で、鋳型102を形成する鋳型砂の多くは、鋳物101から分離する。
【0037】
鋳物101になおも定着して残留する鋳型砂は、図示されない振動装置により振動を与える等の方法で、鋳物101から分離、除去される。
【0038】
次に、上記の鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法の効果について説明する。
【0039】
上記の鋳型ばらし装置30は、鋳造物105及びハンガ部106を有する鋳物101が形成された鋳型102を鋳物101と分離するものであって、鋳型102から離脱可能なテーブル32と、テーブル32上に鋳型102を搬送するプッシャー33と、テーブル32から分離された鋳型102内のハンガ部106に掛かるハンガーフック31と、鋳型102のハンガ部106の近傍の部分102cを除去する除去装置40と、を備える。
上記のような構成によれば、鋳型102がプッシャー33により搬送されてハンガ部106の下方にハンガーフック31が位置づけられる前に、除去装置40によって、鋳型102のハンガ部106の近傍の部分102cを除去可能である。これにより、ハンガーフック31の上方に鋳型102のハンガ部106が搬送される際に、ハンガーフック31が接触する、鋳型102を形成する鋳型砂の量を低減可能である。したがって、ハンガーフック31の、特に先端31a部分の摩耗を抑制し、鋳型102を下降させた際にハンガーフック31により確実に鋳物101を吊下げることができる。
また、上記のように、ハンガーフック31が接触する、鋳型102を形成する鋳型砂の量が低減されるため、ハンガーフック31を鋳型102に貫入させる際の鋳型砂の抵抗を低減することができる。これにより、ハンガーフック31の位置づけの精度が向上するため、更に確実に鋳物101を吊下げることができる。
【0040】
また、除去装置40は、鋳型102のハンガ部106近傍の部分102cに空気を吹き付けて鋳型砂を除去するエアノズル42を備えている。
上記のような構成によれば、鋳型102からの鋳型砂の分離、除去を容易に実行可能である。
【0041】
また、エアノズル42は、プッシャー33とハンガーフック31の間の位置に、鉛直方向に移動自在に設けられている。
上記のような構成によれば、除去装置40がプッシャー33とハンガーフック31の間の位置に設けられていたとしても、支持部材41の下端41aが鋳型102の上端102bよりも上に位置づけられるように移動すれば、支持部材41が障害となることなく、プッシャー33が鋳型102をテーブル32上へ搬送可能である。
【0042】
[第1実施形態の第1変形例]
次に、図6を用いて、上記第1実施形態として示した鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法の第1変形例を説明する。図6は、本第1変形例における鋳型ばらし装置50の側面図である。本第1変形例の鋳型ばらし装置50においては、上記第1実施形態の鋳型ばらし装置30とは、除去装置51のエアノズル52が設けられた場所が異なっている。
すなわち、本第1変形例においては、エアノズル52は、ハンガーフック31が固定される係合部材37に固定して設けられている。これに伴い、鋳型ばらし装置50は、支持部材41を備えていない。
【0043】
鋳型ばらし装置50を用いた鋳型ばらし方法は、以下のとおりである。まず、ハンガーフック31に係合部材37を当接させた状態で、プッシャー33により鋳型102をハンガーフック31の手前まで一旦搬送し、エアノズル52によって鋳型102のハンガ部106の近傍の部分102cに方向D3として示されるように空気を吹き付け、鋳型砂を除去する。その後、プッシャー33が鋳型102をテーブル32上に搬送させて、ハンガーフック31の先端31aの上方に、鋳物101のハンガ部106を位置づける。そして、鋳型102をテーブル32から分離させてハンガーフック31にハンガ部106を掛ける。
【0044】
上記のような構成によれば、エアノズル52から吹き出す空気がハンガーフック31に当たるため、ハンガーフック31に付着した鋳型砂を除去可能である。これにより、砂がハンガーフック31に付着した状態でハンガ部106を吊り下げないため、更に効果的に、ハンガーフック31の摩耗を抑制可能である。
更に、エアノズル52はハンガーフック31ではなく係合部材37に取り付けられているため、ハンガーフック31が摩耗した際の交換が容易である。
【0045】
本第1変形例が、既に説明した第1実施形態と同様な他の効果を奏することは言うまでもない。
【0046】
[第1実施形態の第2変形例]
次に、図7を用いて、上記第1実施形態として示した鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法の第2変形例を説明する。図7(a)は、本第2変形例における鋳型ばらし装置60の側面図、図7(b)は、図7(a)のB−B部分の横断面図である。本第2変形例の鋳型ばらし装置60においては、上記第1実施形態の鋳型ばらし装置30とは、除去装置61が除去板63により鋳型102の鋳型砂を引っ掻き削り取ることで除去する点が異なっている。
【0047】
鋳型ばらし装置60の除去装置61は、鉛直方向に延在する棒状の支持部材62と、支持部材62の下端62aに設けられた除去板63を備えている。
支持部材62は、プッシャー33とハンガーフック31の間に、より詳細にはテーブル32の上方の第1搬送部23側の位置に設けられている。
除去板63は、鉛直面内に延在するように、かつ、支持部材62の第1搬送部23側に位置付けられて、回転軸63aを中心として水平方向に回転可能に設けられている。
除去板63はどのような形状を成していてもよいが、劣化時に交換する際のコストを低減するために、矩形形状などの簡単な形状が望ましい。
【0048】
支持部材62は、下端62aを鉛直方向に移動自在に設けられている。
支持部材62は、図7(a)に示されるように、下端62aに設けられた除去板63が、第1搬送部23上に設けられた鋳型102の、下端102aより上でハンガ部106よりも下に位置づけられるように移動可能である。
この状態において、図7(b)に示されるように、除去板63を、回転軸63aを中心として方向D4の方向に、例えば63Aで示される位置へと回転させることで、第1搬送部23上に設けられた鋳型102のハンガ部106近傍の部分102cの鋳型砂を引っ掻き削り取る。図7(b)においては、二点鎖線で示される円弧よりも右側の領域R1に位置する鋳型砂が削り取られる。
【0049】
また、支持部材62は、下端62aが鋳型102の上端102bよりも上に位置づけられるように移動可能である。この状態においては、支持部材62が障害となることなく、プッシャー33が鋳型102をテーブル32上へ搬送可能である。
【0050】
このように、除去装置61は、鋳型102のハンガ部106近傍の部分102cの高さ位置に鉛直面内に延在して設けられて、水平方向に回転可能な除去板63を備えている。
【0051】
上記のように除去板63を回転させる際に、鋳型102を削り取る力により、鋳型102が第1搬送部23の定位置からずれる可能性がある。これを抑制するために、除去装置61は、2枚の移動抑制板64を備えている。移動抑制板64は、第1搬送部23上に載置された鋳型102の、ハンガーフック31とプッシャー33を結ぶ線と平行な2つの側面に沿うように設けられている。
【0052】
鋳型ばらし装置60を用いた鋳型ばらし方法は、以下のとおりである。まず、第1搬送部23上に鋳型102が設けられた状態で、除去装置61を下降させ、除去板63を、ハンガ部106よりも下側の部分102cと対向させる。
この状態で、除去板63を回転させ、鋳型102のハンガ部106の近傍の部分102cの鋳型砂を除去する。
その後、除去装置61を上昇させ、支持部材62の下端62aが鋳型102の上端102bよりも上に位置づけられるように移動する。
そして、ハンガーフック31に係合部材37を当接させた状態で、プッシャー33が鋳型102を搬送し、テーブル32上に鋳型102を搬送させて、ハンガーフック31の先端31aの上方に、鋳物101のハンガ部106を位置づける。そして、鋳型102をテーブル32から分離させてハンガーフック31にハンガ部106を掛ける。
【0053】
本第2変形例が、既に説明した第1実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0054】
[第1実施形態の第3変形例]
次に、図8を用いて、上記第1実施形態として示した鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法の第3変形例を説明する。図8(a)は、本第3変形例における鋳型ばらし装置70の側面図、図8(b)は、図8(a)のC矢視部分近傍の平面図である。本第3変形例の鋳型ばらし装置70においては、上記第1実施形態の鋳型ばらし装置30とは、除去装置71が、除去頭部72を押出装置73により鋳型102に向かって押し出して鋳型102の鋳型砂を削り取ることで除去する点が異なっている。
【0055】
鋳型ばらし装置70の除去装置71は、鋳型102のハンガ部106近傍の部分102cの高さ位置に設けられた除去頭部72と、除去頭部72を鋳型102に向かって水平方向に押しだす押出装置73とを備えている。
除去頭部72は、例えば略直方体状の鋼製の部材である。除去頭部72は、ハンガーフック31とプッシャー33を結ぶ線に水平面内で直交する方向において、第1搬送部23上に載置された鋳型102に隣接するように、ハンガ部106の下側に位置づけられて設けられている。
押出装置73は、例えばシリンダーであり、除去頭部72を鋳型102に向けて、例えば方向D5として示される方向に押しだして、第1搬送部23上に設けられた鋳型102のハンガ部106近傍の部分102cの鋳型砂を押しだし削り取る。図8(b)においては、二点鎖線で示される直線よりも右側の領域R2に位置する鋳型砂が削り取られる。
【0056】
除去装置71は、上記の第2変形例と同様に、2枚の移動抑制板64を備えている。
【0057】
鋳型ばらし装置70を用いた鋳型ばらし方法は、以下のとおりである。まず、第1搬送部23上に鋳型102が設けられた状態で、押出装置73が除去頭部72を鋳型102の方向に押しだし、鋳型102のハンガ部106の近傍の部分102cの鋳型砂を除去する。
その後、ハンガーフック31に係合部材37を当接させた状態で、プッシャー33が鋳型102を搬送し、テーブル32上に鋳型102を搬送させて、ハンガーフック31の先端31aの上方に、鋳物101のハンガ部106を位置づける。そして、鋳型102をテーブル32から分離させてハンガーフック31にハンガ部106を掛ける。
【0058】
本第3変形例が、既に説明した第1実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0059】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。図9は、第2実施形態における鋳型ばらし装置80の説明図である。本第2実施形態においては、第1実施形態と対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。
本第2実施形態においては、鋳型ばらし装置80は、第1実施形態と同様に、鋳型から離脱可能なテーブルと、テーブル上に鋳型を搬送するプッシャーと、テーブルから分離された鋳型内のハンガ部に掛かるハンガーフック31と、を備えている。鋳型ばらし装置80は、鋳型ばらし装置の替わりに、ハンガーフック31の摩耗を検知する摩耗検知装置81を備えている。
【0060】
鋳物101をハンガーフック31に繰り返し吊下げると、鋳物101のハンガ部106が当接し鋳物101の自重が作用する、ハンガーフック31の湾曲部31bの上側31dが擦り減り、摩耗する。ハンガーフック31の上側31dが摩耗すると、摩耗した部分の厚みが薄くなるため、ハンガーフック31に吊下げられた鋳物101のハンガ部106の高さ位置が、摩耗していないハンガーフック31に吊下げた場合に比べると低下する。
【0061】
本第2実施形態においては、摩耗検知装置81は、ハンガーフック31に吊下げられた状態の鋳物101の高さ位置を測定する鋳物高さ測定装置82を備えている。摩耗検知装置81はまた、比較部83と通報器84を備えている。
鋳物高さ測定装置82は、例えばレーザー等により対象物の高さを測定するセンサーであってよい。鋳物高さ測定装置82は、ハンガーフック31に掛けられた鋳物101のハンガ部106の高さ位置を測定し、比較部83に送信する。
比較部83は、この高さ位置を所定の値と比較し、高さ位置が所定の値よりも低い場合に、ハンガーフック31が摩耗した旨を、警報等の通報器84により作業員に通報する。
【0062】
このように、上記の鋳型ばらし装置80は、鋳造物及びハンガ部106を有する鋳物101が形成された鋳型を鋳物101と分離するものであって、鋳型から離脱可能なテーブルと、テーブル上に鋳型を搬送するプッシャーと、テーブルから分離された鋳型内のハンガ部106に掛かるハンガーフック31と、ハンガーフック31の摩耗を検知する摩耗検知装置81と、を備える。
上記のような構成によれば、ハンガーフック31の摩耗を検知することができるため、ハンガーフック31により鋳型102を確実に吊下げることができなくなるほど摩耗が進行する前に、ハンガーフック31を適宜、交換することができる。したがって、ハンガーフック31により確実に鋳物101を吊下げることができる。
【0063】
また、摩耗検知装置81は、ハンガーフック31に吊下げられた状態の鋳物101の高さ位置を測定する鋳物高さ測定装置82を備えている。
上記のような構成によれば、ハンガーフック31に吊下げられた状態の鋳物101の高さ位置を測定することによりハンガーフック31の湾曲部31bの上側31dの摩耗状況を把握することができる。このため、ハンガーフック31により鋳型102を吊下げた際にハンガーフック31が折れて鋳型102が落下するほど摩耗が進行する前に、ハンガーフック31を適宜、交換することができる。したがって、ハンガーフック31により確実に鋳物101を吊下げることができる。
【0064】
[第2実施形態の変形例]
次に、図10を用いて、上記第2実施形態として示した鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法の変形例を説明する。図10は、本変形例における鋳型ばらし装置90の説明図である。本変形例の鋳型ばらし装置90においては、上記第2実施形態の鋳型ばらし装置80とは、摩耗検知装置91が、ハンガーフック31を撮像して、ハンガーフック31の摩耗状態を検出する撮像装置92を備えている点が異なっている。
【0065】
より詳細には、鋳型ばらし装置90の摩耗検知装置91は、撮像装置92と画像比較部93を備えている。
撮像装置92は、例えばカメラ等であり、鋳物101が掛けられていない状態のハンガーフック31を撮像して、撮影画像94を生成する。
画像比較部93は、摩耗していない新品のハンガーフック31を撮像した基本画像95と、撮影画像94とを比較し、画像処理等により撮影画像94の摩耗の程度を検出する。
【0066】
本変形例が、既に説明した第2実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
特に、本変形例においては、ハンガーフック31の湾曲部31bの上側31dだけでなく、ハンガーフック31全体の摩耗状況を検出可能である。すなわち、ハンガーフック31の先端31aの摩耗状況を検出可能であるため、ハンガーフック31が鋳型102内に効果的に貫入できなくなるほど摩耗が進行する前に、ハンガーフック31を適宜、交換することができる。したがって、ハンガーフック31により確実に鋳物101を吊下げることができる。
【0067】
なお、本発明の鋳型ばらし装置及び鋳型ばらし方法は、図面を参照して説明した上述の各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
【0068】
例えば、第1実施形態において、エアノズル42を備えた除去装置40は、プッシャー33とハンガーフック31の間に設けられていたが、これに限られない。例えば、図3に示される第1搬送部23の、鋳型102が搬送される経路上の任意の場所に設けられていても構わない。この場合においては、鋳型102が鋳型ばらし装置30へと搬送される途上において、鋳型砂が除去される。
【0069】
また、第1実施形態及び第1変形例において、エアノズル42、52は、空気を吹き出すように設けられていたが、これに限られない。例えば、除去装置に設けられたエアノズルは、鋳型を構成する鋳型砂を吸い込むことにより、鋳型から鋳型砂を除去するように構成されていてもよい。この場合においては、鋳型砂を除去する際に鋳型砂が飛散するのを抑制可能である。
【0070】
また、上記の説明に用いた図1、2に示される鋳物101のハンガ部106は、T字型に形成されていたが、これに限られない。例えばハンガ部は、H字型など他の形状に形成されていてもよい。
【0071】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記各実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、第1実施形態及びこの第1変形例として説明した、エアノズル42、52を備えた除去装置40、51が、第1実施形態の第2、第3変形例として説明したような、鋳型砂を削り取る除去板63や除去頭部72及び押出装置73を兼ね備えた構成としてもよい。
また、第1実施形態及びこの各変形例の鋳型ばらし装置30、50、60、70が、第2実施形態及び変形例として示したような摩耗検知装置81、91を兼ね備え、鋳型102の鋳型砂を部分的に除去しつつ、ハンガーフック31の摩耗状況を検知する構成としてもよい。
あるいは、第2実施形態及び変形例の鋳型ばらし装置80、90が、第1実施形態及びこの各変形例として示したような除去装置40、51、61、71を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0072】
20 鋳造ライン
21 鋳型造型装置
22 注湯装置
23 第1搬送部
24 第2搬送部
30、50、60、70、80、90 鋳型ばらし装置
31 ハンガーフック
32 テーブル
33 プッシャー(搬送機構)
37 係合部材
40、51、61、71 除去装置
42、52 エアノズル
63 除去板
72 除去頭部
73 押出装置
81、91 摩耗検知装置
82 鋳物高さ測定装置
92 撮像装置
101 鋳物
102 鋳型
102c ハンガ部よりも下側の部分(ハンガ部近傍の部分)
105 鋳造物
106 ハンガ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10