(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-131244(P2019-131244A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】梱包箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20190712BHJP
【FI】
B65D5/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-14750(P2018-14750)
(22)【出願日】2018年1月31日
(71)【出願人】
【識別番号】390000929
【氏名又は名称】祐徳薬品工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 美帆
(72)【発明者】
【氏名】吉田 靖則
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 初美
(72)【発明者】
【氏名】島崎 秀剛
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA06
3E060BB02
3E060BC02
3E060CE13
3E060CE27
3E060DA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】商品等の輸送後、使用済みの梱包箱を容易に解体できるようにするための易解体手段を備える梱包箱を提供する。特に、女性や高齢者など、従来の梱包箱では比較的に解体が困難な人でも容易に解体でき、さらに一般の人にとっても効率よく解体できる梱包箱を提供する。
【解決手段】厚紙で構成され、上部開口部と下部開口部を有し、下部開口部に側壁から連なる4枚のフラップを有する組箱で構成され、当該下部開口部の4枚のフラップの中で組箱の内側に配置される2枚のフラップと外側に配置される2枚のフラップとを接着剤により接着し封緘して形成される底面部を含む梱包箱において、当該組箱の内側に配置される2枚のフラップに、当該梱包箱を容易に解体できるようにするための易解体手段を備えることを特徴とする、梱包箱。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙で構成され、上部開口部と下部開口部を有し、下部開口部に側壁から連なる4枚のフラップを有する組箱で構成され、当該下部開口部の4枚のフラップの中で組箱の内側に配置される2枚のフラップと外側に配置される2枚のフラップとを接着剤により接着し封緘して形成される底面部を含む梱包箱において、
当該組箱の内側に配置される2枚のフラップに、当該梱包箱を容易に解体できるようにするための易解体手段を備えることを特徴とする、梱包箱。
【請求項2】
易解体手段が、梱包箱を解体するために指を挿入するための開封口を含む、解体誘導部である請求項1記載の梱包箱。
【請求項3】
易解体手段が、さらに、開封口に指を挿入可能な状態にするため、解体誘導部を浮かせるために指を挿入する挿入口を有する、請求項2記載の梱包箱。
【請求項4】
開封口が、丸形、台形、正方形、矩形、または多角形である、請求項1〜3記載の梱包箱。
【請求項5】
開封口が、破断容易な線で構成され、解体時に開口できる状態である、請求項1〜3記載の梱包箱。
【請求項6】
接着剤の塗布部に、解体を容易にするための破断部を有する、請求項1〜5記載の梱包箱。
【請求項7】
破断部が、少なくとも解体誘導部に接する、組箱の下部開口部の外側に配置する2枚のフラップに形成される、請求項6記載の梱包箱。
【請求項8】
破断部における接着剤の破断部接触側の端部が、破断部の開封方向に対する長さとして折線側に1/4〜3/4の位置となるように接着剤を設置したものである、請求項6または7記載の梱包箱。
【請求項9】
厚紙が段ボール紙である、請求項1〜8記載の梱包箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等の輸送のために使用される梱包箱に関する。具体的には、下部開口部の4枚のフラップの中で組箱の内側に配置される2枚のフラップに、当該梱包箱を容易に解体できるようにするための易解体手段を備える梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
商品等の輸送のため、従来から段ボール等の厚紙により形成された組箱が梱包箱として使用されている。一般に、このような組箱は、組箱の側壁に連なるフラップを重ね合わせ、外側のフラップと内側のフラップとを接着剤により接着し、封緘して梱包する方法が採用されている。
【0003】
上記の場合、輸送中の自然開封や商品の破損、異物の侵入を防止するため、組箱の接着剤による封緘は、比較的に強固な状態を維持している。
【0004】
一方で、上記のように封緘された組箱は、中の商品等を取り出すために、接着されたフラップを剥がす必要があり、開封する人にとって相当程度の労力が必要とされる。特に、強固な状態で封緘された梱包箱を開封するためには、組箱を破壊するほどの強い力が必要となるため、女性や高齢者では開封できない、などの問題があった。
【0005】
そのため、上記のような梱包箱を容易に開封するための方法が提案されている(特許文献1〜7)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−308252号
【特許文献2】特開2003−246314号
【特許文献3】特開2003−321021号
【特許文献4】特開2003−327234号
【特許文献5】特開2004−51204号
【特許文献6】特開2009−154955号
【特許文献7】実用新案登録第3193456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の梱包箱の開封方法は、輸送後、商品等を取り出す際に開封するための方法であって、商品取り出し後、梱包箱を解体するための、いわゆる易解体手段に関する方法は提案されていなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、商品等の輸送後、使用済みの梱包箱を容易に解体できるようにするための易解体手段を備える梱包箱を提供することをその課題とするものである。特に、女性や高齢者など、従来の梱包箱では比較的に解体が困難な人でも容易に解体でき、さらに一般の人にとっても効率よく解体できる梱包箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、組箱の下部開口部の4枚のフラップの中で組箱の内側に配置される2枚のフラップに、当該梱包箱を容易に解体できるようにするための易解体手段を備えることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明の易解体手段を備える梱包箱により、特殊な機械や道具を使用することなく人の手で容易に解体することができる。さらに、女性や高齢者など、従来の梱包箱では比較的に解体が困難な人でも多数の梱包箱を解体でき、流通現場での生産性の向上に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の梱包箱の実施形態の一例を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施形態に何ら制約されるものではない。
【0012】
図1〜8に示すように、本発明の梱包箱(1)は、組箱の下部開口部の4枚のフラップの中で組箱の内側に配置される2枚のフラップ(2、内側フラップ)に易解体手段を備える。
【0013】
本発明の梱包箱の易解体手段は、梱包箱を解体する際に指を挿入するための開封口(4)を含む、解体誘導部(3)で構成される。当該解体誘導部は、組箱の内側フラップにそれぞれ設けられ、容易に折り曲げられるように、フラップと解体誘導部との間に折線(5)を形成することが好ましい。また、解体誘導部の形状について、特に制限はないが、加工が容易でかつ解体時に折り曲げられるように、台形とすることが好ましい。
【0014】
本発明の解体誘導部の開封口は、特に制限はないが、指を挿入しかつ解体時に解体誘導部を引っ張りやすいように、丸形、台形、正方形、矩形、または多角形とすることができる。または、破断容易な線で構成され、解体時に開口できる状態とすることもできる。後者の場合、加工が容易で、輸送中の破損や変形も予防でき、かつ、解体時に解体誘導部を引っ張る際に指が痛くなりにくいため、好ましい。
【0015】
本発明の解体誘導部は、開封口に指を挿入可能な状態にするため、解体誘導部を浮かせるために指を挿入する挿入口(6)を設けることができる。当該挿入口の形状や大きさに特に制限はないが、例えば20〜50mmの台形状の切込みとすれば、特殊な加工機械を使用することなく低コストで加工でき、さらに、輸送時の強度の向上や破損予防のために内側フラップの面積を最大化し、各フラップの解体誘導部が密着した状態でかつ開封口に指を挿入できない状態であったとしても、当該挿入口に指を入れ、解体誘導部を浮かせることが可能であり、好ましい。
【0016】
本発明の梱包箱は、接着剤の塗布部に、解体を容易にするための破断部(7)を設けることができる。破断部の形状等に特に制限はないが、組箱の下部開口部の4枚のフラップの中で組箱の外側に配置される2枚のフラップ(8、外側フラップ)の、封緘時に解体誘導部と接する部位の接着部に、丸形や多角形等の形状に加工することが好ましい。当該破断部は、複数の切込線(破断線)を設けることにより、梱包箱解体時に、解体誘導部を引っ張る際に破断し、弱い力で接着部を剥がすことができる。
【0017】
本発明の梱包箱の破断部(7)の効果を十分に発揮させるため、その破断部にかかる接着剤(9)の塗布位置を調整することが好ましい(
図7。ただし、接着剤と破断部との重なり部分の確認を容易にするために、当該重なり部分の破断部を消去)。具体的には、当該破断部における接着剤の破断部接触側の端部が、破断部の開封方向に対する長さとして折線側に1/4〜3/4の位置(
図7の範囲A)となるように接着剤を設置することが好ましい。当該1/4〜3/4を超える位置に接着剤を設置した場合、梱包箱を組み立てた際に当該端部が破断部から外れるおそれがある。その結果、破断部が機能せず、解体誘導部を浮かせる操作ができなくなる、または梱包箱の底面が輸送中に開封されてしまう、などの問題が発生し、好ましくない。
【0018】
本発明の梱包箱は、組箱の上部開口部に易開封手段を設けることができる。当該易開封手段により、商品取出時の作業性を向上させ、労働負担を緩和することができる。当該易開封手段に制限はないが、公知の技術を利用してもよい。
【0019】
本発明の梱包箱の材質は、特に制限はないが、一般に輸送箱で使用される段ボール等の厚紙を使用することができる。また、本発明の梱包箱の加工方法についても特に制限はなく、一般の加工方法によって製造できるものの、梱包箱の開封時や解体時にけがをしないように、梱包箱の上下開口部の厚紙の切断面にけが防止加工を施すことが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の梱包箱は、従来の梱包箱と同様に、特殊な素材や加工等を必要とせず、低コストで製造することが可能である。一方で、従来の梱包箱と比較して、使用後に解体処分する際の作業性に優れ、特に、特殊な機械や道具を使用することなく、女性や高齢者など、従来の梱包箱では比較的に解体が困難な人でも多数の梱包箱を解体でき、流通現場での生産性の向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の梱包箱の外側の組立前の形態を示す平面図である。
【
図2】本発明の梱包箱の内側の組立前の形態を示す平面図である。
【
図3】本発明の梱包箱の下部開口部の封緘前の状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の梱包箱の下部開口部の内側フラップのみを閉じた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の梱包箱の下部開口部の封緘後の状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の梱包箱の解体誘導部を浮かせた状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の梱包箱の底面側からみた平面図(透視図)である。
【
図8】本発明の梱包箱の組立前の別の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 本発明の梱包箱
2 内側フラップ
3 解体誘導部
4 開封口
5 折線
6 挿入口
7 破断部
8 外側フラップ
9 接着剤