【課題】容器内に蓄冷材や蓄熱材などの冷温材を保持することができ、冷温材の配置や取り出しが容易で、耐久性の高い冷温材の保持部材およびそれを備えた冷温容器を提供する。
【解決手段】保持部材10は、容器20の内側で容器20の側壁22に沿って配置される支材部11と、その支材部11に設けられて冷温材C/Hを保持する保持部12とを備える。保持部12は、容器20の底壁21に垂直な方向の両側が開放されている。
前記支材部は、前記高さ方向において、前記容器の前記底壁から該底壁とは反対側の前記側壁の端部まで延在していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷温容器。
前記保持部は、前記高さ方向において、前記容器の前記底壁とは反対側の前記側壁の端部との間に間隙を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷温容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された保冷具保持体において、保冷具を保持する保持部は、本体に縫着されたポケット片によって構成されている。ポケット片は、たとえば、長方形のネットの四辺のうち、三辺が本体に縫着され、残る一辺が保持具を入れるための入口として開放されている。
【0008】
この従来の保冷具保持体は、保持部に保冷具を挿入するときや、保冷ボックスの搬送時などに、ポケット片の底部など、本体に縫着された部分に負荷がかかる。そのため、ポケット片を構成するネットが破れたり、ポケット片を本体に縫着する糸が切れてほつれたりするおそれがあり、耐久性に課題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載された蓄冷用シートにおいて、蓄冷材を収納するための複数の収納ポケットは、たとえばメッシュ状の長方形のシートがその周縁部および収納ポケットの境界にてベースシートに縫合されることによって形成されている(同文献、第0019段落等を参照)。
【0010】
この従来の蓄冷用シートの収納ポケットに蓄冷材を収納するには、ベースシートに設けられた収納口の開口部に蓄冷材を挿入する(同文献、第0026段落および
図2(b)等を参照)。そのため、蓄冷用シートをコンテナの内壁に取り付けた状態では、収納ポケットに蓄冷材を収納することができず、蓄冷材の出し入れが煩雑である。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、容器内に蓄冷材や蓄熱材などの冷温材を保持することができ、冷温材の配置や取り出しが容易で、耐久性の高い冷温材の保持部材およびそれを備えた冷温容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成すべく、本発明の一態様は、容器と、該容器の内部を保冷または保温する冷温材を保持するための保持部材と、を備えた冷温容器であって、前記保持部材は、前記容器の内側で該容器の側壁に沿って配置される支材部と、該支材部に設けられて前記冷温材を保持する保持部と、を備え、前記保持部は、前記容器の底壁に垂直な高さ方向の両側が開放されていることを特徴とする冷温容器である。
【0013】
また、本発明の一態様は、容器の内部を保冷または保温する冷温材を保持するための保持部材であって、前記容器の内側で該容器の側壁に沿って配置される支材部と、該支材部に設けられて前記冷温材を保持する保持部と、を備え、前記保持部は、前記容器の底壁に垂直な方向の両側が開放されていることを特徴とする保持部材である。
【0014】
本発明の上記各態様によれば、たとえば蓄冷材や蓄熱材などの冷温材を容器内に収容して容器内を保冷または保温するときに、容器内に収容した保持部材によって冷温材を保持することができる。ここで、上記各態様において、容器の内側で冷温材を保持する保持部材は、容器の内側で容器の側壁に沿って配置される支材部と、その支材部に設けられて冷温材を保持する保持部と、を備えている。
【0015】
この構成により、容器の内側で容器の側壁に沿って配置される支材部に設けられた保持部に冷温材を保持させることで、冷温材を容器の内側で容器の側壁に沿って配置することができる。なお、冷温材は、保持部によって、支材部よりも容器の内側、すなわち、容器の側壁に対向する支材部の外側の面とは反対側の支材部の内側の面に保持される。
【0016】
さらに、上記各態様において、保持部材の保持部は、容器の底壁に垂直な高さ方向の両側が開放されている。この構成により、たとえば、容器の底壁を下にして容器をおおむね水平に配置したときに、冷温材を高さ方向の上方から下方へ向けて保持部に挿入することで、冷温材を保持部材の保持部によって容易に保持することができる。
【0017】
また、保持部は、容器の底壁に垂直な高さ方向の両側が開放されているので、冷温材を高さ方向の上方から下方へ向けて保持部に挿入していくと、冷温材は、保持部に対して摺動しながら、保持部の内側を通って高さ方向の下方へ移動していく。そして、冷温材の下端は、保持部の下端に突き当たることなく、容器の底壁に到達して容器の底壁によって支持される。
【0018】
これにより、冷温材は、容器の底壁と容器の内側で容器の側壁に沿って配置された保持部材の支材部に設けられた保持部とによって、容器の内側に保持および支持された状態になる。また、冷温材を保持部材の保持部に保持させるときに、冷温材の下端が保持部の下端に突き当たることがないので、保持部材の保持部および支材部に大きな負荷がかかることが防止される。また、容器の搬送時に、たとえば容器が振動しても、容器の底壁に垂直な高さ方向において、冷温材が保持部材の保持部に対して摺動可能であるため、保持部材の耐久性を向上させることができる。
【0019】
また、保持部材に保持された冷温材を取り出すときには、容器の底壁に垂直な高さ方向において、保持部の上端が開放されているので、上方から保持部に保持された冷温材をつかんで容易に取り出すことができる。以上のように、本発明の上記各態様によれば、容器内に蓄冷材や蓄熱材などの冷温材を保持することができ、冷温材の配置や取り出しが容易で、耐久性の高い冷温材の保持部材およびそれを備えた冷温容器を提供することができる。
【0020】
本発明の上記いずれかの態様において、前記保持部材の前記支材部は、矩形箱型の前記容器の前記側壁において隣接する二以上の面に沿って配置されていてもよい。この態様により、容器の底壁に垂直な平面視で、保持部材の支材部は、容器の側壁の二面に沿うL字型、容器の側壁の三面に沿う角U字型もしくはチャネル型、または容器の側壁の四面に沿う矩形筒型の形状を成し、容器内で側壁に接合されることなく自立可能になる。
【0021】
これにより、たとえば、容器の側壁と保持部材の支材部との間に面ファスナーを設置する必要がなくなり、容器の内側で側壁に結露が生じた場合でも雑菌の繁殖を防止することができ、容器の内側を清潔に保つことができる。また、保持部材の支材部を容器の側壁に固定する面ファスナーや接合部を設ける必要がないので、容器に対する保持部材の設置と取り外しが容易になる。
【0022】
本発明の上記いずれかの態様において、前記保持部材の前記支材部は、前記容器の前記側壁の全周にわたって配置されていてもよい。この態様により、保持部材の支材部は、容器の形状に応じた筒形の形状をなし、容器内で側壁に接合されることなく自立可能になる。たとえば、容器の形状が円筒状、多角形柱状、楕円柱状などである場合には、保持部材の支材部は、たとえば、円筒状、多角形筒状、楕円筒状の形状をなし、容器内で側壁に接合されることなく自立可能になる。なお、保持部材の支材部は、容器の底壁に沿う部分を有してもよい。
【0023】
本発明の上記いずれかの態様において、前記保持部材の前記支材部は、前記高さ方向において、前記容器の前記底壁から該底壁とは反対側の前記側壁の端部まで延在していてもよい。この態様により、たとえば、容器の内側で容器の側壁に結露が生じた場合でも、保持部材の支材部によって容器の底壁に垂直な高さ方向における容器の側壁の全体を覆うことで、容器の内容物が濡れるのを防止できる。
【0024】
本発明の上記いずれかの態様において、前記保持部材の前記保持部は、前記高さ方向において、前記容器の前記底壁とは反対側の前記側壁の端部との間に間隙を有してもよい。この態様により、たとえば、容器の底壁を下にして容器をおおむね水平に配置したときに、保持部材の保持部の上端部と容器の側壁の上端部との間で、冷温材を保持部から露出させ、冷温材によって容器の内側を効果的に保冷または保温することができる。
【0025】
本発明の上記いずれかの態様において、前記保持部材の前記保持部は、前記高さ方向において、前記容器の前記底壁との間に間隙を有してもよい。この態様により、たとえば、容器の底壁を下にして容器をおおむね水平に配置したときに、保持部材の保持部の下端部と容器の底壁との間で、冷温材を保持部から露出させ、冷温材によって容器の内側を効果的に保冷または保温することができる。
【0026】
本発明の上記いずれかの態様において、前記保持部材の前記保持部は、前記支材部と、該支材部に取り付けられた帯状部とによって構成されていてもよい。この態様により、たとえば、シート状の支材部と、その支材部に取り付けられる帯状部とを別に製作し、その後、支材部に帯状部を取り付けることで、支材部と帯状部によって保持部を構成することができる。そのため、支材部に保持部が設けられた保持部材を一体成形する場合と比較して、保持部材の製作を容易にして、製造コストを低減することができる。
【0027】
また、たとえば冷温容器の使用時に保持部材の保持部に負荷がかかった場合でも、冷温材を囲む帯状部が弾性的に変形することで、帯状部および支材部の損傷を防止することができる。より具体的には、たとえば、冷温材を囲む帯状部が内側から外側に引っ張られたり、冷温材が保持されていない状態で帯状部が外側から内側に押されたりしても、環状の帯状部がたわんで弾性的に変形することで、帯状部および支材部の損傷を防止することができる。
【0028】
なお、前記帯状部は、伸縮性を有する素材によって構成され、前記保持部に前記冷温材を保持していない状態で収縮した状態にあり、前記保持部に前記冷温材を保持した状態で伸長した状態にあってもよい。これにより、保持部に冷温材を保持した状態で、帯状部を伸長させて収縮力を生じさせ、帯状部によって冷温材を締め付けて保持することができる。
【0029】
本発明の上記いずれかの態様において、前記保持部材の前記保持部を構成する前記帯状部は、前記冷温材を露出させる複数の貫通孔を有してもよい。この態様により、冷温材が帯状部によって覆われる面積を減少させ、帯状部の貫通孔に露出した冷温材によって、容器の内部をより効果的に保冷または保温することができる。
【0030】
本発明の上記いずれかの態様において、前記容器は、前記高さ方向において前記底壁と反対側の開口部を閉塞する蓋部と、該蓋部の一側を前記側壁に枢動可能に連結するヒンジ部とを有し、前記保持部材は、前記容器の内側で前記蓋部に沿って配置される蓋用支材部と、該蓋用支材部に設けられて前記冷温材を保持する蓋用保持部とを有し、前記蓋用保持部は、前記蓋部の枢動軸と平行な方向の両側が開放されていてもよい。
【0031】
この態様によれば、容器の蓋部の蓋用保持部に冷温材を保持して、容器の内側をより効果的に保冷または保温することができる。また、容器の底壁を下にして容器をおおむね水平に配置した状態で、ヒンジ部による蓋部の枢動軸はおおむね水平になる。このように配置された容器は、上部の開口部を閉鎖する蓋部をヒンジ部の枢動軸を中心に上方に枢動させることで、容器の開口部を開放することができる。
【0032】
ここで、蓋用保持部は、蓋部の枢動軸と平行な方向の両側が開放されている。そのため、容器の底壁を下にして容器をおおむね水平に配置した状態で、蓋部の開閉時に、蓋用保持部の開放された両端部は、常に水平方向を向いた状態になる。したがって、蓋部の開閉時に冷温材が重力によって蓋用保持部から落下するのを防止できる。
【0033】
本発明の上記態様において、前記蓋用保持部は、前記蓋用支材部と、該蓋用支材部に取り付けられた蓋用帯状部とによって構成されていてもよい。この態様により、前記した支材部と帯状部とによって構成された保持部材の保持部と同様の作用および効果を奏することができる。
【0034】
なお、前記蓋用帯状部は、伸縮性を有する素材によって構成され、前記蓋用保持部に前記冷温材を保持していない状態で収縮した状態にあり、前記蓋用保持部に前記冷温材を保持した状態で伸長した状態にあってもよい。これにより、蓋用保持部に冷温材を保持した状態で、蓋用帯状部を伸長させて収縮力を生じさせ、蓋用帯状部によって冷温材を締め付けて保持することができる。
【0035】
本発明の上記いずれかの態様において、前記容器は、発泡樹脂製の前記底壁および前記側壁を含む断熱容器であってもよい。これにより、容器の内部と外部との間の熱の移動を抑制し、容器の内部をより効果的に保冷または保温することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の上記態様によれば、容器内に蓄冷材や蓄熱材などの冷温材を保持することができ、冷温材の配置や取り出しが容易で、耐久性の向上が可能な冷温材の保持部材およびそれを備えた冷温容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の保持部材および冷温容器の実施形態を説明する。
【0039】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る保持部材10および冷温容器100を示す斜視図である。
【0040】
本実施形態の保持部材10は、たとえば蓄冷材や蓄熱材など、容器20の内部を保冷または保温する冷温材C/Hを保持するための部材である。詳細については後述するが、本実施形態の保持部材10は、次の構成を特徴としている。保持部材10は、容器20の内側で容器20の側壁22に沿って配置される支材部11と、その支材部11に設けられて冷温材C/Hを保持する保持部12とを備えている。保持部12は、容器20の底壁21に垂直な方向の両側が開放されている。また、本実施形態の冷温容器100は、容器20と、上記構成の保持部材10とを備えることを特徴としている。
【0041】
以下、本実施形態の冷温容器100および保持部材10の詳細について説明する。本実施形態の冷温容器100は、たとえば、直方体形状の矩形箱形の容器20を備えている。なお、容器20の形状は、直方体形状に限定されず、立方体形状、多角形筒状、円筒形状、楕円筒状等、任意の形状に変更することができる。
【0042】
容器20は、たとえば、長方形の底壁21と、その底壁21の周囲に立設された側壁22と、その側壁22によって画定された長方形の開口部22aとを備えている。また、容器20は、底壁21に垂直な高さH方向において、底壁21と反対側の開口部22aを閉塞する蓋部23と、この蓋部23の一側を側壁22に枢動可能に連結するヒンジ部24とを有している。容器20の底壁21、側壁22、および蓋部23は、それぞれ、たとえば、矩形板状の断熱材IMと、断熱材IMの外側を覆う外装材EMとによって構成されている。
【0043】
容器20の底壁21、側壁22、および蓋部23を構成する外装材EMは、たとえば、アルミ蒸着フィルムやアルミ箔等のアルミ素材と、発泡ポリエチレンシートなどの断熱材を積層させて縫製した柔軟なカバーを用いることができる。外装材EMは、容器20の開口部22aの一側における側壁22の上端部と、蓋部23の一側とを連結し、側壁22と蓋部23との間に前述のヒンジ部24を構成している。すなわち、本実施形態において、蓋部23の一側を側壁22に枢動可能に連結するヒンジ部24は、可撓性と耐久性を備えた外装材EMによって構成されている。
【0044】
容器20の底壁21、側壁22、および蓋部23を構成する断熱材IMは、たとえば、合成樹脂板の積層体または発泡樹脂の成形品が遮熱シートによって覆われた構成を有している。断熱材IMを構成する合成樹脂板または発泡樹脂の材料としては、たとえば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の樹脂材料を用いることができる。すなわち、本実施形態の冷温容器100において、容器20は、たとえば、発泡樹脂製の底壁21および側壁22を含む断熱容器である。なお、容器20は、さらに、発泡樹脂製の蓋部23を含んでいる。
【0045】
容器20の底壁21、側壁22、および蓋部23を構成する断熱材IMを覆う遮熱シートは、たとえば、合成樹脂フィルムと、その合成樹脂フィルムの表面を覆う反射膜層とを備える積層シートである。合成樹脂フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン等を用いることができる。反射膜層としては、たとえばアルミニウムまたはその他金属を蒸着した反射膜層、もしくはアルミニウムまたはその他金属の箔を積層した反射膜層を用いることができる。
【0046】
容器20の側壁22を構成する矩形板状の4枚の断熱材IMは、容器20の底壁21を構成する矩形板状の1枚の断熱材IMの周りを取り囲むように井桁状に組み合わされている。各断熱材IMは、たとえば、外装材EMの内側に面ファスナーを介して取り付けられ、取り外しが可能である。なお、冷温容器100を構成する容器20は、外装材EMと断熱材IMによって構成される容器20に限定されず、たとえば、側壁22および底壁21が一体成形された発泡樹脂製の容器であってもよく、外装材EMを有しなくてもよい。
【0047】
保持部材10は、前述のように、たとえば蓄冷材や蓄熱材など、容器20の内部を保冷または保温する冷温材C/Hを保持するための部材である。保持部材10は、前述のように、容器20の内側で容器20の側壁22に沿って配置される支材部11と、その支材部11に設けられて冷温材C/Hを保持する保持部12とを備え、容器20の底壁21に垂直な高さH方向の両側が開放されている。
【0048】
図2は、
図1に示す容器20の側壁22および底壁21を構成する断熱材IMと保持部材10の平面図である。
図3は、
図2に示す保持部材10の矢印III方向の矢視図である。なお、
図3では、保持部材10の両端部を破断して、保持部材10の向こう側の容器20の側壁22の一部を図示している。
【0049】
保持部材10の支材部11は、たとえば、容器20の内側で容器20の側壁22に沿って配置された板状の部材である。支材部11は、たとえば、プラスチックダンボールやプラパール(登録商標)など、紙製の段ボールと同様の中空構造を有するプラスチック製の板材や、中空構造を有しない樹脂製の板材、熱可塑性樹脂発泡成形体などによって構成されている。
【0050】
保持部材10の支材部11は、たとえば、矩形箱型の容器20の側壁22において隣接する二以上の面に沿って配置されている。本実施形態において、支材部11は、たとえば、容器20の側壁22の全周にわたって配置されている。すなわち、支材部11は、たとえば、矩形箱型の容器20の内側に配置された矩形筒状の部材であり、容器20の側壁22の四面に沿って配置されている。支材部11は、たとえば、容器20の底壁21に垂直な高さH方向の両端が開放された筒状の部材である。なお、支材部11は、高さH方向の下端に底部を有する有底筒状に形成されていてもよい。
【0051】
なお、保持部材10の支材部11は、筒状に限定されず、たとえば、矩形箱型の容器20の側壁22の各面に沿って配置されるシート状または板状の部材であってもよい。この場合、たとえば、支材部11の底壁21側の端部を容器20の高さH方向に延出させ、支材部11に高さH方向の延出部を設けてもよい。同様に、容器20の高さH方向に直交する支材部11の幅方向の端部をその幅方向に延出させ、支材部11に幅方向の延出部を設けてもよい。このような延出部を、側壁22を構成する断熱材IMと底壁21を構成する断熱材IMとの間や、互いに隣接する側壁22を構成する断熱材IMと断熱材IMとの間に挿入することで、支材部11を容器20の側壁22に沿って配置してもよい。また、支材部11は、たとえば面ファスナーや磁石、または接着剤などを介して容器20の側壁22に固定することができる。また、支材部11は、たとえば、容器20の底壁21に垂直な平面視で、容器20の側壁22の二面に沿うL字型、容器20の側壁22の三面に沿う角U字型もしくはチャネル型の形状を有してもよい。
【0052】
保持部材10の支材部11は、たとえば、容器20の底壁21に垂直な高さH方向において、容器20の底壁21から、底壁21とは反対側の側壁22の端部まで延在している。すなわち、支材部11は、高さH方向において、容器20の側壁22の一端から他端までの全体を覆っている。なお、支材部11は、必ずしも容器20の底壁21から底壁21とは反対側の側壁22の端部まで延在している必要はなく、少なくとも容器20の底壁21から底壁21とは反対側の保持部12の端部まで延在していればよい。
【0053】
保持部材10の保持部12は、前述のように、支材部11に設けられて冷温材C/Hを保持するように構成されている。保持部12は、前述のように、容器20の底壁21に垂直な高さH方向の両側が開放され、高さH方向において冷温材C/Hの少なくとも一部を保持している。保持部12は、たとえば、高さH方向に直交する冷温材C/Hの周方向において、冷温材C/Hの全周を囲む環状に設けられている。
【0054】
保持部材10の保持部12は、たとえば、支材部11と、その支材部11に取り付けられた帯状部13とによって構成されている。換言すると、保持部材10の支材部11と帯状部13とは、それぞれ個別に製作された別の部材である。帯状部13は、たとえば、容器20の高さH方向に直交する冷温材C/Hの周方向において、冷温材C/Hの少なくとも一部を囲む環状に設けられている。帯状部13は、冷温材C/Hの容器20の内側を向く表面の一部、たとえば、容器20の高さH方向における中央部を支持している。
【0055】
保持部材10の保持部12を構成する帯状部13は、たとえば、容器20の長さL方向または奥行D方向の両端部が、保持部材10の支材部11に支持されている。帯状部13は、たとえば、容器20の長さL方向または奥行D方向の両端部が、支材部11に設けられた貫通孔11aに挿通され、支材部11に支持されている。帯状部13は、たとえば、支材部11の貫通孔11aに挿通された両端部が、容器20の側壁22に対向する支材部11の外側で溶着や接着によって接続され、冷温材C/Hの全周を囲む環状に設けられ、支材部11とともに冷温材C/Hの全周を囲む環状の保持部12を構成している。この構成により、支材部11と容器20の側壁22との間には、微小な隙間Gが形成されている。
【0056】
なお、保持部材10は、支材部11と帯状部13とが別の部材である構成に限定されない。保持部材10は、たとえば、支材部11と帯状部13とを一体成形によって一部材として構成してもよい。たとえば、支材部11に平行な直線状の二本の切り込みまたはスリットを設け、この二本の切込みまたはスリットの間の帯状の部分を容器20の内側にたわませて帯状部13としてもよい。この場合、支材部11と容器20の側壁22との間に隙間Gが形成されていなくてもよい。また、帯状部13は、たとえば、支材部11の貫通孔11aを貫通した両端部が接続されていなくてもよい。この場合、支材部11の貫通孔11aに挿通された帯状部13の両端部にストッパーを設けてもよい。また、保持部材10は、たとえば、支材部11に貫通孔11aを設けることなく、溶着、接着、縫合またはリベットを含む締結具などによって、帯状部13の両端部を支材部11に固定してもよい。この場合、帯状部13は、冷温材C/Hの周方向の一部を囲み、支材部11とともに冷温材C/Hの全周を囲む環状の保持部12を構成する。
【0057】
保持部材10を構成する帯状部13は、たとえば、前述の支材部11と同様のシート材や板材によって構成することができる。また、帯状部13は、たとえば、金属板、ゴムバンド、布製の伸縮バンドによって構成してもよい。また、帯状部13は、たとえば、長さLを調節可能なバックルなどの調節機構を備えてもよく、一端に面ファスナーを備え、他端が支材部11に固定された一対の伸縮バンドによって構成してもよい。帯状部13を構成する素材の熱伝導率は、たとえば、容器20の底壁21、側壁22および蓋部23を構成する断熱材IMの素材の熱伝導率と同等以上であってもよく、同等以下であってもよい。
【0058】
保持部12は、たとえば、容器20の底壁21に垂直な高さH方向において、容器20の底壁21とは反対側の側壁22の端部との間に間隙gtを有している。また、保持部12は、たとえば、高さH方向において、容器20の底壁21との間に間隙gbを有している。これにより、保持部12は、前述のように、高さH方向の両側が開放された矩形環状に設けられ、高さH方向において冷温材C/Hの一部を周方向に取り囲んで保持している。より具体的には、保持部12は、高さH方向において、冷温材C/Hの中間部を除く下部と上部の表面を容器20の内部に露出させている。
【0059】
また、本実施形態の冷温容器100において、保持部材10は、容器20の内側で蓋部23に沿って配置される蓋用支材部14と、その蓋用支材部14に設けられて冷温材C/Hを保持する蓋用保持部15とを有している。
図1に示す例において、蓋部23を構成する断熱材IMが、蓋用支材部14として用いられている。蓋用保持部15は、たとえば長方形板状の冷温材C/Hの短手方向の全周を囲む環状に設けられ、蓋部23の枢動軸23aと平行な方向の両側が開放されている。
【0060】
蓋用保持部15は、たとえば、断熱材IMである蓋用支材部14と、その蓋用支材部14に取り付けられた蓋用帯状部16とによって構成されている。蓋用帯状部16は、たとえば前述の保持部12を構成する帯状部13と同様の素材によって構成され、蓋用支材部14である断熱材IMに、溶着、接着、縫合またはリベットを含む締結具などによって固定されている。また、蓋用帯状部16の両端部は、前述の保持部12を構成する帯状部13と同様に、たとえば蓋用支材部14である断熱材IMに設けられた貫通孔に挿通され、断熱材IMと外装材EMとの間で接合され、冷温材C/Hの全周を囲む環状に設けられていてもよい。
【0061】
以下、本実施形態の保持部材10および冷温容器100の作用について説明する。
【0062】
本実施形態の保持部材10および冷温容器100は、たとえば、生鮮食品、加工食品、飲料、医薬品等の温度管理が必要な物品を、所定の時間にわたって所定の温度範囲の温度に保冷または保温しながら輸送または一時的に保管する用途に使用される。
【0063】
本実施形態の冷温容器100は、上記のような温度管理が必要な物品を収容する容器20と、その容器20の内側に収容される保持部材10とを備えている。また、本実施形態の保持部材10は、容器20の内部を保冷または保温する冷温材C/Hを保持するための部材であり、容器20の内側で容器20の側壁22に沿って配置される支材部11と、その支材部11に設けられて冷温材C/Hを保持する保持部12とを備えている。そして、保持部12は、容器20の底壁21に垂直な方向の両側が開放されている。
【0064】
このような構成の保持部材10および冷温容器100を用いて上記のような温度管理が必要な物品の輸送または一時的な保管を行うには、まず、容器20内に保持部材10を配置する。このとき、保持部材10の支材部11を、容器20の内側で容器20の側壁22に沿って配置するだけでよく、保持部材10の配置が容易である。また、保持部材10の支材部11を、容器20の内側で容器20の側壁22に沿って配置することで、容器20の側壁22を内容物である物品から保護し、容器20の耐久性を向上させることができる。また、保持部材10は、支材部11と保持部12とからなる簡潔な構成であることから、製造コストが低減され、定期的な交換が可能になり、容器20の側壁22を汚損や損傷から保護して耐用期間を延長することができる。
【0065】
また、保持部材10の支材部11は、前述のように、矩形箱型の容器20の側壁22において隣接する二以上の面に沿って配置されている。この構成により、保持部材10の支材部11は、容器20内で側壁22に接合されることなく自立可能になる。そのため、たとえば、容器20の側壁22と保持部材10の支材部11との間に面ファスナーを設置する必要がなくなり、容器20の内側で側壁22に結露が生じた場合でも雑菌の繁殖を防止することができ、容器20の内側を清潔に保つことができる。また、保持部材10の支材部11を容器20の側壁22に固定する面ファスナーや接合部を設ける必要がないので、容器20に対する保持部材10の設置と取り外しが容易になる。
【0066】
また、保持部材10の支材部11は、前述のように、容器20の側壁22の全周にわたって配置されていている。この構成により、保持部材10の支材部11は、矩形箱形の容器20の形状に応じた矩形筒形の形状をなし、容器20内で側壁22に接合されることなく、より確実に容器20内で自立することが可能になり、側壁22の内側の全面を保護することができる。
【0067】
次に、容器20内に冷温材C/Hを収容して保持部材10の保持部12に保持させる。これにより、冷温材C/Hを容器20の内側で容器20の側壁22に沿って配置することができる。なお、冷温材C/Hは、保持部12によって、支材部11よりも容器20の内側、すなわち、容器20の側壁22に対向する支材部11の外側の面とは反対側の支材部11の内側の面に保持される。
【0068】
ここで、保持部材10の保持部12は、容器20の底壁21に垂直な高さH方向の両側が開放されている。この構成により、たとえば、容器20の底壁21を下にして容器20をおおむね水平に配置したときに、冷温材C/Hを高さH方向の上方から下方へ向けて保持部12に挿入することで、冷温材C/Hを保持部材10の保持部12によって容易に保持することができる。
【0069】
また、保持部12は、容器20の底壁21に垂直な高さH方向の両側が開放されているので、冷温材C/Hを高さH方向の上方から下方へ向けて保持部12に挿入していくと、冷温材C/Hは、保持部12に対して摺動しながら、保持部12の内側を通って高さH方向の下方へ移動していく。そして、冷温材C/Hの下端は、保持部12の下端に突き当たることなく、容器20の底壁21に到達して容器20の底壁21によって支持される。
【0070】
これにより、冷温材C/Hは、容器20の底壁21と容器20の内側で容器20の側壁22に沿って配置された保持部材10の支材部11に設けられた保持部12とによって、容器20の内側に保持および支持された状態になる。また、冷温材C/Hを保持部材10の保持部12に保持させるときに、冷温材C/Hの下端が保持部12の下端に突き当たることがないので、保持部材10の保持部12および支材部11に大きな負荷がかかることが防止される。また、容器20の搬送時に、たとえば容器20が振動しても、容器20の底壁21に垂直な高さH方向において、冷温材C/Hが保持部材10の保持部12に対して摺動可能であるため、保持部12に大きな負荷が掛かることが防止される。これにより、保持部材10の耐久性を向上させることができる。
【0071】
また、保持部材10に保持された冷温材C/Hを取り出すときには、容器20の底壁21に垂直な高さH方向において、保持部12の上端が開放されているので、上方から保持部12に保持された冷温材C/Hをつかんで容易に取り出すことができる。このように、本実施形態によれば、容器20内に蓄冷材や蓄熱材などの冷温材C/Hを保持することができ、冷温材C/Hの配置や取り出しが容易で、耐久性の向上が可能な保持部材10およびそれを備えた冷温容器100を提供することができる。
【0072】
また、保持部材10の保持部12は、支材部11と、この支材部11に取り付けられた帯状部13とによって構成されている。この構成により、たとえば、シート状の支材部11と、その支材部11に取り付けられる帯状部13とを別に製作し、その後、支材部11に帯状部13を取り付けることで、支材部11と帯状部13によって保持部12を構成することができる。そのため、支材部11に保持部12が設けられた保持部材10を一体成形する場合と比較して、保持部材10の製作を容易にして、製造コストを低減することができる。
【0073】
また、たとえば冷温容器100の使用時に保持部材10の保持部12に負荷がかかった場合でも、冷温材C/Hを囲む帯状部13が弾性的に変形することで、帯状部13および支材部11の損傷を防止することができる。より具体的には、たとえば、冷温材C/Hを囲む帯状部13が内側から外側に引っ張られたり、冷温材C/Hが保持されていない状態で帯状部13が外側から内側に押されたりしても、環状の帯状部13がたわんで弾性的に変形することで、帯状部13および支材部11の損傷を防止することができる。
【0074】
また、帯状部13は、前述のように、伸縮性を有する素材によって構成され、保持部12に冷温材C/Hを保持していない状態で収縮した状態にあり、保持部12に冷温材C/Hを保持した状態で伸長した状態にあってもよい。この場合、保持部12に冷温材C/Hを保持した状態で、帯状部13を伸長させて収縮力を生じさせ、帯状部13によって冷温材C/Hを締め付けて保持することができる。
【0075】
また、帯状部13の素材の熱伝導率が、たとえば、断熱材IMの断熱素材の熱伝導率以上である場合には、保持部12に保持された冷温材C/Hによる容器20の内部の保冷または保温の効率を向上させることができる。一方、帯状部13の素材の熱伝導率が、たとえば、断熱材IMの断熱素材の熱伝導率以下である場合には、冷温材C/Hによって容器20の内容物が過度に冷却されたり過度に加温されたりするのを防止して、内容物の品質を向上させることができる。
【0076】
また、冷温容器100を構成する容器20は、前述のように、高さH方向において底壁21と反対側の開口部22aを閉塞する蓋部23と、この蓋部23の一側を側壁22に枢動可能に連結するヒンジ部24とを有している。また、保持部材10は、容器20の内側で蓋部23に沿って配置される蓋用支材部14と、この蓋用支材部14に設けられて冷温材C/Hを保持する蓋用保持部15とを有している。そして、蓋用保持部15は、蓋部23の枢動軸23aと平行な方向の両側が開放されている。
【0077】
この構成により、容器20の蓋部23の蓋用保持部15に冷温材C/Hを保持して、容器20の内側をより効果的に保冷または保温することができる。また、容器20の底壁21を下にして容器20をおおむね水平に配置した状態で、ヒンジ部24による蓋部23の枢動軸23aはおおむね水平になる。このように配置された容器20は、上部の開口部22aを閉鎖する蓋部23をヒンジ部24の枢動軸23aを中心に上方に枢動させることで、容器20の開口部22aを開放することができる。
【0078】
ここで、蓋用保持部15は、蓋部23の枢動軸23aと平行な方向の両側が開放されている。そのため、容器20の底壁21を下にして容器20をおおむね水平に配置した状態で、蓋部23の開閉時に、蓋用保持部15の開放された両端部は、常に水平方向を向いた状態になる。したがって、蓋部23の開閉時に冷温材C/Hが重力によって蓋用保持部15から落下するのを防止できる。
【0079】
また、前述のように、蓋用保持部15が、蓋用支材部14と、その蓋用支材部14に取り付けられた蓋用帯状部16とによって構成されている場合には、支材部11と帯状部13とによって構成された保持部材10の保持部12と同様の作用および効果を奏することができる。特に、蓋用帯状部16が伸縮性を有する素材によって構成され、蓋用保持部15に冷温材C/Hを保持していない状態で収縮した状態にあり、蓋用保持部15に冷温材C/Hを保持した状態で伸長した状態である場合には、冷温材C/Hが蓋部23から落下するのを効果的に防止することができる。これは、蓋用保持部15に冷温材C/Hを保持した状態で、帯状部13を伸長させて収縮力を生じさせ、帯状部13によって冷温材C/Hを締め付けて保持することができるためである。
【0080】
また、冷温容器100を構成する容器20は、発泡樹脂製の底壁21および側壁22を含む断熱容器であるため、容器20の内部と外部との間の熱の移動を抑制し、容器20の内部をより効果的に保冷または保温することができる。さらに、容器20が発泡樹脂製の蓋部23を含むことで、蓋部23を介した容器20の内部と外部との間の熱の移動を抑制し、容器20の内部をより効果的に保冷または保温することができる。加えて、保持部材10の支材部11と容器20の側壁22との間に隙間Gを有する場合には、保持部材10の支材部11と容器20の側壁22との間の空気が、容器20の断熱層として機能する。そのため、断熱容器としての容器20の断熱性をより向上することができる。
【0081】
また、本実施形態の保持部材10および冷温容器100は、保持部材10の支材部11が、容器20の底壁21に垂直な高さH方向において、容器20の底壁21からその底壁21とは反対側の側壁22の端部、すなわち側壁22の上端部まで延在している。この構成により、たとえば、容器20の内側で容器20の側壁22に結露が生じた場合でも、保持部材10の支材部11によって容器20の底壁21に垂直な高さH方向における容器20の側壁22の全体を覆うことで、容器20の内容物が濡れるのを防止できる。また、容器20の底壁21に垂直な高さH方向において、支材部11の両端部を容器20の底壁21と蓋部23とによって支持することができる。これにより、たとえば冷温材C/Hの重みによって支材部11が容器20の内側に倒れるのを防止することができる。
【0082】
また、保持部材10の保持部12は、前述のように、容器20の底壁21に垂直な高さH方向において、容器20の底壁21とは反対側の側壁22の端部との間に間隙gtを有している。この構成により、たとえば、容器20の底壁21を下にして容器20をおおむね水平に配置したときに、保持部材10の保持部12の上端部と容器20の側壁22の上端部との間で、冷温材C/Hを保持部12から露出させ、冷温材C/Hによって容器20の内側を効果的に保冷または保温することができる。
【0083】
また、保持部材10の保持部12は、前述のように、容器20の底壁21に垂直な高さH方向において、容器20の底壁21との間に間隙gbを有している。この構成により、たとえば、容器20の底壁21を下にして容器20をおおむね水平に配置したときに、保持部材10の保持部12の下端部と容器20の底壁21との間で、冷温材C/Hを保持部12から露出させ、冷温材C/Hによって容器20の内側を効果的に保冷または保温することができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、容器20内に蓄冷材や蓄熱材などの冷温材C/Hを保持することができ、冷温材C/Hの配置や取り出しが容易で、耐久性の向上が可能な冷温材C/Hの保持部材10およびそれを備えた冷温容器100を提供することができる。
【0085】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る保持部材10Aおよび冷温容器について、
図1および
図2を援用し、
図4および
図5を用いて説明する。
図4は、本発明の実施形態2に係る保持部材10Aおよび冷温容器の一部を示す斜視図である。
図5は、
図4に示す冷温容器の一部から容器20の側壁22の一部を取り除いた斜視図である。
【0086】
本実施形態の保持部材10Aおよび冷温容器は、保持部材10Aの保持部12Aの構成が、前述の実施形態1に係る保持部材10および冷温容器100と異なっている。本実施形態の保持部材10Aおよび冷温容器のその他の構成は、前述の実施形態1に係る保持部材10および冷温容器100と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0087】
本実施形態において、保持部材10Aの保持部12Aは、前述の実施形態1に係る保持部材10と同様に、高さH方向の両側が開放されている。このような構成により、本実施形態によれば、前述の実施形態1と同様に、容器20内に蓄冷材や蓄熱材などの冷温材C/Hを保持することができ、冷温材C/Hの配置や取り出しが容易で、耐久性の向上が可能な冷温材C/Hの保持部材10Aおよびそれを備えた冷温容器を提供することができる。
【0088】
また、保持部材10Aは、前述の実施形態1に係る保持部材10と異なり、冷温材C/Hを保持する保持部12Aが、容器20の底壁21と接し、容器20の底壁21に垂直な高さH方向において、底壁21との間に間隙gbを有しない。この構成により、高さH方向において、冷温材C/Hの上端部を除く部分を保持部12Aによって保持することができ、冷温材C/Hをより安定して支持することができる。
【0089】
本実施形態において、保持部材10Aは、前述の実施形態1に係る保持部材10と同様に、支材部11に設けられて冷温材C/Hを保持する保持部12Aが、支材部11と、該支材部11に取り付けられた帯状部13とによって構成されている。しかし、保持部材10Aは、前述の実施形態1に係る保持部材10と異なり、帯状部13が冷温材C/Hを露出させる複数の貫通孔13aを有している。この構成により、冷温材C/Hが帯状部13によって覆われる面積を減少させ、帯状部13の貫通孔13aに露出した冷温材C/Hによって、容器20の内部をより効果的に保冷または保温することができる。
【0090】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る保持部材および冷温容器について、
図1および
図2を援用し、
図6を用いて説明する。
図6は、本発明の実施形態3に係る保持部材10Bおよび冷温容器の一部を示す斜視図である。
【0091】
本実施形態の保持部材10Bおよび冷温容器は、保持部材10Bの構成が、前述の実施形態1に係る保持部材10および冷温容器100と異なっている。本実施形態の保持部材10Bおよび冷温容器のその他の構成は、前述の実施形態1に係る保持部材10および冷温容器100と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0092】
本実施形態の保持部材10Bおよび冷温容器は、保持部材10Bの支材部11Bが前述の実施形態1において容器20の側壁22の一部を構成していた断熱材IMによって構成されている。また、保持部12Bは、断熱材IMである支材部11Bと、その支材部11Bに取り付けられた帯状部13とによって構成されている。帯状部13は、たとえば、容器の長さL方向または奥行D方向の両端部が、支材部11Bに設けられた貫通孔11aに挿通され、支材部11Bに支持されている。帯状部13は、たとえば、支材部11Bの貫通孔11aに挿通された両端部が、容器の側壁22に対向する支材部11Bの外側で溶着や接着によって接続され、冷温材C/Hの全周を囲む環状に設けられ、支材部11Bとともに冷温材C/Hの全周を囲む環状の保持部12Bを構成している。
【0093】
本実施形態において、保持部材10Bの保持部12Bは、前述の実施形態1に係る保持部材10と同様に、高さH方向の両側が開放されている。このような構成により、本実施形態によれば、前述の実施形態1と同様に、容器内に蓄冷材や蓄熱材などの冷温材C/Hを保持することができ、冷温材C/Hの配置や取り出しが容易で、耐久性の向上が可能な冷温材C/Hの保持部材10Bおよびそれを備えた冷温容器を提供することができる。
【0094】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。