特開2019-131326(P2019-131326A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2019131326-搬送設備 図000003
  • 特開2019131326-搬送設備 図000004
  • 特開2019131326-搬送設備 図000005
  • 特開2019131326-搬送設備 図000006
  • 特開2019131326-搬送設備 図000007
  • 特開2019131326-搬送設備 図000008
  • 特開2019131326-搬送設備 図000009
  • 特開2019131326-搬送設備 図000010
  • 特開2019131326-搬送設備 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-131326(P2019-131326A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20190712BHJP
   B65G 47/244 20060101ALI20190712BHJP
   B65G 47/30 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   B65G1/00 501D
   B65G1/00 501B
   B65G47/244
   B65G47/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-13439(P2018-13439)
(22)【出願日】2018年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 彰
【テーマコード(参考)】
3F022
3F081
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022CC10
3F022EE02
3F022GG05
3F022JJ12
3F022LL06
3F022LL31
3F022MM11
3F022NN26
3F022QQ11
3F081AA10
3F081BA01
3F081BD15
3F081BE04
3F081BE08
3F081CA05
3F081CC12
3F081CC20
3F081EA09
3F081EA10
(57)【要約】
【課題】搬送設備において、搬送設備により搬送される長方形の平板状部材に対して、搬送車が搬送する長方形の搬送物を載置しやすくする。
【解決手段】搬送設備1は、長方形の親パレットP1を第一水平方向に搬送する設備である。フォークリフト17は、平板状部材と同じ又は小さい長方形の子パレットP2を第二水平方向から搬送設備1に接近して平板状部材の上に載置する。搬送設備1は、搬送部3と、回転載置部5とを備えている。搬送部3は、第一水平方向に親パレットP1を搬送する。回転載置部5は、搬送部3の搬送経路上に設けられ、親パレットP1が載置される。回転載置部5の回転軸C2は、親パレットP1の中心C1と異なる位置であり、回転の前後で親パレットP1における第二水平方向での一方の端部の位置が一致又は互いに近接した位置になるように設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の平板状部材を第一水平方向に搬送する搬送設備であって、搬送車が前記平板状部材と同じ又は小さい長方形の搬送物を第一水平方向に直交する第二水平方向から前記搬送設備に接近して前記平板状部材の上に載置する、搬送設備であって、
第一水平方向に前記平板状部材を搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送経路上に設けられ前記平板状部材が載置される回転載置部と、を備え、
前記回転載置部の回転軸は、前記平板状部材の中心と異なる位置であり、回転の前後で前記平板状部材における第二水平方向での一方の端部の位置が一致又は互いに近接した位置になるように設けられている、
搬送設備。
【請求項2】
前記回転載置部の前記回転軸は、前記平板状部材の中心と異なる位置であり、前記平板状部材を第一水平方向に90度回転させたときに、回転の前後で前記平板状部材における第一水平方向での中心が同じ位置になるように設定されている、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項3】
前記回転載置部は、所定方向に90度回転した後、所定方向と逆方向に90度回転する、請求項1又は2に記載の搬送設備。
【請求項4】
前記搬送部は第二水平方向に離れた一対の搬送構造を有し、
前記回転載置部は、前記一対の搬送構造の間であって、かつ第二水平方向の少なくとも一方の搬送構造の側方に設けられており、回転前の前記平板状部材を支持しないが回転後の前記平板状部材を支持する載置面を含む受け部を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の搬送設備。
【請求項5】
前記受け部は、第一水平方向において前記回転載置部の両外側に設けられている、請求項4に記載の搬送設備。
【請求項6】
前記受け部の前記載置面は、第二水平方向において前記載置部の内側に向かって下方に傾斜している、請求項4又は5に記載の搬送設備。
【請求項7】
前記搬送車の前記搬送設備への進入を検出する検出部と、
前記搬送車が進入状態から非進入状態になると、前記回転載置部が90度回転前の非回転状態の場合は前記搬送部によって前記平板状部材の搬送を行い、前記回転載置部が90度回転後の回転状態の場合は前記回転載置部が非回転状態に戻ってから前記搬送部によって前記平板状部材の搬送を行うように、制御を実行する制御部と、をさらに備える請求項1〜6のいずれかに記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送設備、特に、長方形の平板状部材を搬送及び回転可能な搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷を搬送するコンベヤと、荷を90度回転させるターンテーブルとが設けられた搬送設備が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−347925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンベヤとターンテーブルを組み合わせた搬送設備の使用方法として、搬送設備が自動倉庫保管用の親パレットを搬送し、搬送車が搬送設備の搬送方向に直交する進入方向から子パレット及び荷をターンテーブルに搬入することがある。その場合、搬送車は、例えばフォークリフトであって、子パレットを親パレットの上に載せる。その後、搬送設備は、親パレット、子パレット及び荷を、例えば自動倉庫に向けて搬送する。
例えば、親パレット及び子パレットが長方形である場合は、子パレットの長辺に親パレットの長辺を合わせるために、ターンテーブルによって親パレットを90度回転させることがある。
しかし、その場合、搬送設備の進入方向における親パレットの端部の位置が、回転前後で大きく変化してしまう。そのため、搬送車は、親パレットが回転した場合と回転していない場合とで、搬送設備に対する進入量を変更する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、搬送設備により搬送される長方形の平板状部材に対して、搬送車が搬送する長方形の搬送物を載置しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る搬送設備は、長方形の平板状部材を第一水平方向に搬送する設備である。搬送車は、平板状部材と同じ又は小さい長方形の搬送物を第一水平方向に直交する第二水平方向から搬送設備に接近して平板状部材の上に載置する。
搬送設備は、搬送部と、回転載置部とを備えている。
搬送部は、第一水平方向に平板状部材を搬送する。
回転載置部は、搬送部の搬送経路上に設けられ、平板状部材が載置される。
回転載置部の回転軸は、平板状部材の中心と異なる位置であり、回転の前後で平板状部材における第二水平方向での一方の端部の位置が一致又は互いに近接した位置になるように設けられている。
【0008】
この設備では、平板状部材を偏心して回転させることで、第二水平方向における平板状部材の端部の位置が、回転前後で一致又は互いに近接している。したがって、搬送車の回転載置部に対する進入量を一定に定めることができる。例えば、ブレーキ用のブロックなどを設け、搬送車をそこまで進めるように運用すればよい。
【0009】
回転載置部の回転軸は、平板状部材を水平方向に90度回転させたときに、回転の前後で平板状部材における第一水平方向での中心が同じ位置になるように設定されていてもよい。
この設備では、回転載置部による平板状部材の回転の前後で、第一水平方向において平板状部材の中心位置が変化しない。したがって、平板状部材の回転前後で、搬送車が搬送設備に進入するときに第一水平方向の位置を変更する必要がない。つまり、第一平板状部材の回転の有無を考慮せず、搬送車は搬送設備に進入できる。
【0010】
回転載置部は、所定方向に90度回転した後、所定方向と逆方向に90度回転してもよい。
この設備では、回転載置部を90度の範囲内で回転させるので、平板状部材を偏心して回転させているにも関わらず、平板状部材の位置を定めることができる。これに対して、本発明とは異なり回転載置部を同じ方向に回転させ続けると、偏心が原因で平板状部材の位置が定まらない。
【0011】
搬送部は第二水平方向に離れた一対の搬送構造を有していてもよい。その場合、回転載置部は受け部を有していてもよい。受け部は、一対の搬送構造の間であって、かつ第二水平方向の少なくとも一方の搬送構造の側方に設けられており、回転前の平板状部材を支持しないが回転後の平板状部材を支持する載置面を含んでいてもよい。
この設備では、受け部によって平板状部材を支持することで、搬送車により搬送物を載置する際に発生する外力が平板状部材に作用しても、回転載置部が損傷しにくい。
【0012】
受け部は、第一水平方向において回転載置部の両外側に設けられていてもよい。
この設備では、回転載置部の平板状部材を支持する面を受け部の間で大きく設定できるので、回転載置部を安定して回転させることができる。
【0013】
受け部の載置面は、第二水平方向において載置部の内側に向かって下方に傾斜していてもよい。
この設備では、載置面が回転載置部の内側に向かって下方に傾斜しているので、第一平板状部材の端部に対して、載置面から回転載置部の内側への反力が作用している。したがって、搬送車により搬送物を載置する際に発生する外力が平板状部材に作用しても、平板状部材が回転載置部からずれにくい。
【0014】
搬送設備は、検出部と、制御部とをさらに備えていてもよい。
検出部は、搬送車の搬送設備への進入を検出する。
制御部は、搬送車が進入状態から非進入状態になると、回転載置部が90度回転前の非回転状態の場合は搬送部によって平板状部材の搬送を行い、回転載置部が90度回転後の回転状態の場合は回転載置部が非回転状態に戻ってから搬送部によって平板状部材の搬送を行うように、制御を実行する。
この設備では、検出部からの検出結果のみに基づいて、制御部が平板状部材の搬送動作を決定できる。つまり、搬送設備の搬送効率が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る搬送設備では、搬送設備により搬送される長方形の平板状部材に対して、搬送車が搬送する長方形の搬送物を載置しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る搬送設備の概略平面図。
図2】搬送設備の概略正面図。
図3】搬送設備の制御構成を示すブロック図。
図4】搬送設備の制御動作を示すフローチャート。
図5】親パレットの回転前後の状態を示す概略平面図。
図6】搬送設備の動作を示す概略正面図。
図7】搬送設備の動作を示す概略平面図。
図8】搬送設備の動作を示す概略正面図。
図9】第2実施形態において親パレットの回転前後の状態を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1実施形態
(1)搬送設備の構造
図1及び図2を用いて、第1実施形態に係る搬送設備1の構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る搬送設備の概略平面図である。図2は、搬送設備の概略正面図である。なお、図1の左右方向が、第一水平方向であり矢印Yで示されている。また、図1の上下方向が、第二水平方向であり矢印Xで示されている。
【0018】
搬送設備1は、長方形の親パレットP1(平板状部材の一例)を第一水平方向に搬送する設備である。搬送設備1の第一水平方向上流側(図左側)には、第1コンベヤ2が配置されている。第1コンベヤ2は、図示しない自動倉庫やパレットストッカに接続されており、親パレットP1を矢印で示すように搬送設備1に搬入する。搬送設備1の第1水平方向下流側(図右側)には、第2コンベヤ4が配置されている。第2コンベヤ4は、自動倉庫に接続されており、親パレットP1を矢印で示すように搬送設備1から搬出する。なお、第1コンベヤ2及び第2コンベヤ4はチェーンコンベヤであるが他のコンベヤであってもよい。
搬送設備1には、第二水平方向の片側(図1の下側)からフォークリフト17によって子パレットP2(搬送物の一例)が搬入され、親パレットP1の上に載置される。子パレットP2は、図7に示すように、親パレットP1と同じ又は小さい長方形の部材である。
以下、第二水平方向において、図1の下側を搬送設備1のフォークリフト進入側といい、図1の上側を搬送設備1の進入反対側という。
【0019】
搬送設備1は、搬送部3と、回転載置部5とを備えている。
搬送部3は、第一水平方向に親パレットP1を搬送する。搬送部3は、第二水平方向に離れた一対のチェーンコンベヤ3a、3b(一対の搬送構造の一例)を有している。一対のチェーンコンベヤ3a、3bは、第一水平方向に延びており、例えば、図1の左側から右側に親パレットP1を搬送する。
回転載置部5は、搬送部3の搬送経路上に設けられている。回転載置部5は、上昇することによって親パレットP1をその上に載置できる。回転載置部5は、親パレットP1が載置される載置部11と、載置部11を昇降させるリフタ13と、載置部11及びリフタ13を回転させる回転部15(図3のみ)とを有している。
【0020】
搬送設備1は、さらに、ガイド7を有している。ガイド7は、回転載置部5の第二水平方向両側に配置され、親パレットP1の第二水平方向の位置を規制する部材である。
ガイド7は、ガイド部材7a〜7fを有している。ガイド部材7a〜7cは、回転載置部5の第二水平方向外側(フォークリフト進入側)に配置されており、具体的には、チェーンコンベヤ3aのさらに外側に配置されている。さらに具体的には、ガイド部材7a〜7cは、チェーンコンベヤ3aに近接して配置されている。
ガイド部材7d〜7fは、回転載置部5の第二水平方向外側(進入反対側)に配置されており、具体的には、チェーンコンベヤ3bのさらに外側に配置されている。さらに具体的には、ガイド部材7d〜7fは、チェーンコンベヤ3bから所定距離だけ離れて配置されている。
【0021】
回転載置部5は、さらに、受け部19を有している。受け部19は、受け部材19a〜19dを有している。受け部材19a〜19dは、回転後の親パレットP1を下方から支持するための部材である。
受け部材19a、19bは、第二水平方向のフォークリフト進入側に配置され、第一水平方向に互いに離れて配置されている。具体的には、受け部材19a、19bは、チェーンコンベヤ3aの搬送設備内側に近接して配置されている。
【0022】
受け部材19c、19dは、第二水平方向の進入反対側に配置され、第一水平方向に互いに離れて配置されている。具体的には、受け部材19c、19dは、チェーンコンベヤ3bの搬送設備内側に近接して配置されている。
上述のように、受け部材19c、19dは、第一水平方向において回転載置部5の両外側に設けられている。したがって、回転載置部5の親パレットP1を支持する面を受け部材19c、19dの間で大きく設定できる。この結果、回転載置部5を安定して回転させることができる。
【0023】
受け部材19c、19dは、載置面19Aを有している。載置面19Aは、一対のチェーンコンベヤ3a、3bの間であって、かつチェーンコンベヤ3b側方に設けられており、回転前の親パレットP1を支持していないが回転後の親パレットP1を支持する。載置面19Aは、第二水平方向において回転載置部5の内側に向かって下方に傾斜している。
【0024】
搬送設備1は、センサ25を有している。センサ25は、フォークリフト17の搬送設備1への進入を検出する装置である。センサ25は、回転載置部5の第二水平方向外側に離れて設けられている。
具体的には、センサ25は、第一水平方向に離れた投光部と受光部を有する透過型光電センサである。センサ25は、例えば、フォークリフト17が回転載置部5に進入するとONになり、フォークリフト17が回転載置部5から退出するとOFFになる。
なお、センサ25の種類は特に限定されない。
【0025】
(2)搬送設備の制御構成
図3を用いて、搬送設備1の制御構成を説明する。図3は、搬送設備の制御構成を示すブロック図である。
搬送設備1は、コントローラ50(制御部の一例)を有している。
コントローラ50は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ50は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0026】
コントローラ50は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ50の各要素の機能は、一部又は全てが、コントローラ50を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ50の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0027】
図3に示すように、コントローラ50には、搬送部3、リフタ13、回転部15及びセンサ25が接続されている。
コントローラ50には、図示しないが、親パレットP1の大きさ、形状及び位置を検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
【0028】
(3)搬送設備の制御動作
図4図8を用いて、搬送設備1の制御動作を説明する。図4は、搬送設備の制御動作を示すフローチャートである。図5は、親パレットの回転前後の状態を示す概略平面図である。図6は、搬送設備の動作を示す概略正面図である。図7は、搬送設備の動作を示す概略平面図である。図8は、搬送設備の動作を示す概略正面図である。
【0029】
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、制御部から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
【0030】
ステップS1では、親パレットP1の搬入動作が実行される。具体的には、コントローラ50が搬送部3を制御することで、図1に示すように、親パレットP1を回転載置部5まで搬送する。親パレットP1は長方形の部材であって、長辺21a、21bが第二水平方向に沿って延びており、短辺21c、21dが第一水平方向に沿って延びている。
ステップS2では、親パレットP1を回転する必要がある否かが判断される。具体的には、コントローラ50が例えば作業者からの指令に基づいて上記判断を行う。作業者は、フォークリフト17を運転しながら、子パレットP2の支持方向に応じて、親パレットP1を回転させるか否を判断し、回転させる場合、リモコン(図示せず)や回転載置部5の近くにスイッチ(図示せず)を操作することで上記指令を送信する。回転する必要があればプロセスはステップS3に移行し、回転をする必要がなければプロセスはステップS12に移行する。なお、回転する必要がある場合とは、回転前の状態において、子パレットP2の第一水平方向長さが親パレットP1の長辺21a、21bより短いが短辺21c、21dより長い場合である。
【0031】
ステップS3〜S11による、親パレットP1を回転させた場合の動作を説明する。
ステップS3では、載置部11が上昇させられる。具体的には、コントローラ50がリフタ13を制御することで、上記動作を実行する(以下、同様)。これにより、親パレットP1は搬送部3の一対のチェーンコンベヤ3a、3bから離れる。
ステップS4では、図6及び図7に示すように、リフタ13及び載置部11が所定方向に90度回転させられる。具体的には、コントローラ50が回転部15を制御することで上記動作を実行する(以下、同様)。
この結果、親パレットP1の長辺21a、21bが第一水平方向に沿った状態になり、短辺21c、21dが第二水平方向に沿った状態になる。
【0032】
ステップS5では、載置部11が下降させられる。これにより、親パレットP1は回転後の状態で搬送部3に載置される。具体的には、図7及び図8に示すように、親パレットP1の長辺21a側の端部は、ガイド部材7a、7b、7cにガイドされた状態で、チェーンコンベヤ3aの上に載置される。一方、親パレットP1の長辺21b側の端部は、チェーンコンベヤ3bから離れて配置され、受け部材19c、19dの載置面19Aの上に載置される。
以上に述べたように一対のチェーンコンベヤ3a、3bを第二水平方向に離して配置されているので、親パレットP1を回転した後は親パレットP1の一方の端部は、チェーンコンベヤ3bには載らないが、受け部材19c、19dによって支持される。この場合、上記に述べたように一対のチェーンコンベヤ3a、3bを第二水平方向に離して配置されているので、パレット受け面である載置部11を従来より広くできる。つまり、親パレットP1の載置部11によって支持される面積が増え、そのため安定して親パレットP1を載置部11に載せることができ、また安定して回転させることできる。
【0033】
ステップS6では、子パレットP2が親パレットP1の上に置かれるのを待つ。子パレットP2が置かれると、図7及び図8の状態になる。具体的に、コントローラ50が図示しないセンサからの検出信号に基づいて上記判断を行う。
フォークリフト17により子パレットP2を載置する際に、外力が親パレットP1に作用することがある。しかし、搬送設備1では、受け部材19c、19dが親パレットP1を支持しているので、回転載置部5が損傷しにくい。さらに、搬送設備1では、親パレットP1の長辺21bに対して、受け部材19c、19dの載置面19Aから回転載置部5の内側への反力が作用している。したがって、親パレットP1が回転載置部5からずれにくい。
【0034】
ステップS7では、フォークリフト17が搬送設備1から出て行くのを待つ。具体的には、コントローラ50が、センサ25からの検出信号に基づいて上記判断を行う。
ステップS8では、リフタ13が載置部11と共に親パレットP1を上昇させる。これにより、親パレットP1はチェーンコンベヤ3a及び受け部材19c、19dから離れる。
【0035】
ステップS9では、回転部15が、リフタ13を所定方向と逆側に90度回転させる。
ステップS10では、リフタ13が、載置部11を下降させる。これにより、親パレットP1は元の姿勢で搬送部3の一対のチェーンコンベヤ3a、3bに載置される。
ステップS11では、搬送部3が親パレットP1、子パレットP2及び荷Aを図1の右側に搬出する。
【0036】
ステップS12、S13、S11による、親パレットP1を回転させなかった場合の動作を説明する。
ステップS12では、子パレットP2が親パレットP1の上に置かれるのを待つ。
ステップS13では、フォークリフト17が搬送設備1から出て行くのを待つ。
ステップS11では、搬送部3が親パレットP1、子パレットP2及び荷Aを図1の右側に搬出する。
【0037】
上記で説明したように、コントローラ50は、フォークリフト17が進入状態から非進入状態になると、回転載置部5が90度回転前の非回転状態の場合は、そのまま搬送部3によって親パレットP1の搬送を行う(図4のステップS13、ステップS11)。一方、コントローラ50は、回転載置部5が90度回転後の回転状態の場合は、回転載置部5を非回転状態に戻してから、搬送部3によって親パレットP1の搬送を行う(図4のステップS8〜S10、ステップS11)。
上記の制御動作によって、搬送設備1では、センサ25からの検出結果のみに基づいて、コントローラ50が親パレットP1の搬送動作を決定できる。つまり、搬送設備1の搬送効率が向上する。
【0038】
(4)回転軸の偏心の説明
図5を用いて、親パレットP1の偏心状態を説明する。
最初に、概略説明を行う。
回転載置部5の回転軸C2は、親パレットP1の中心C1と異なる位置であり、つまり偏心している。回転軸C2の位置は、親パレットP1を水平方向に90度回転させたときに、回転の前後で親パレットP1における第一水平方向での中心が同じとなる位置になるように設定されている。
上記の構造によって、搬送設備1では、回転載置部5による親パレットP1の回転の前後で第一水平方向において親パレットP1の中心C1の位置が変化しない。したがって、親パレットP1の回転前後で、フォークリフト17が搬送設備1に進入するときに第一水平方向の位置を変更する必要がない。つまり、親パレットP1の回転の有無を考慮せず、フォークリフト17を搬送設備1に進入できる。
【0039】
回転載置部5の回転軸C2の位置は、回転載置部5による親パレットP1の回転の前後で、親パレットP1における第二水平方向における回転前の短辺21cと回転後の長辺21aの位置が一致又は互いに近接した位置になるように設けられている。
上記の構造によって、搬送設備1では、親パレットP1を偏心して回転させることで、第二水平方向における親パレットP1の回転前の短辺21cと回転後の長辺21aの位置が回転前後で一致又は互いに近接している。したがって、フォークリフト17の回転載置部5に対する進入量を一定に定めることができる。例えば、ブレーキ用のブロックなどを設け、フォークリフト17をそこまで進めるように運用すればよい。
上述のように、回転載置部5は、元の回転位置に戻るために、所定方向に90度回転した後に所定方向と逆方向に90度回転する。このように回転載置部5を90度の範囲内で回転させるので、親パレットP1を偏心して回転させているにも関わらず、親パレットP1の位置を定めることができる。これに対して、本実施形態とは異なり回転載置部5を同一方向に回転させ続けると、偏心が原因で親パレットP1の位置が定まらない。
【0040】
次に、詳細説明を行う。
図5に示すように、長辺21a、21bの長さを「b」とし、短辺21c、21dの長さを「a」とし、回転前の短辺21cとガイド部材7a、7b、7cとの第二水平方向隙間を「c」とした場合の条件を説明する。
回転軸C2は、中心C1に対して、第一水平方向に「d1」ずれており、第二水平方向に「d2」ずれている。具体的には、回転軸C2は中心C1に対して図5の斜め左下にずれている。この場合、d1=d2=[{(b−a)/2}+c]/2となっている。
【0041】
この結果、親パレットP1を時計回りに90度回転させたときに、回転の前後で親パレットP1における第一水平方向での中心が同じとなる位置になる。つまり、親パレットP1は、回転前の短辺21c、21dの中点を通る中心線と回転後の長辺21a、21bの中点を通る中心線が一致するように回転させられる。なお、このための条件は、図5に示すように、両中心線に接する円(図5の円Q1は一例)の中心回りに親パレットP1を回転させることである。
さらに、親パレットP1を時計回り側に回転させた後の長辺21aの第二水平方向位置は、回転前の短辺21cの第二水平方向位置により第二水平方向外側(フォークリフト進入側)に「c」だけずれる。これにより、回転後の長辺21aの第二水平方向位置をガイド部材7a、7b、7cに合わせることができる。以上により、親パレットP1を回転させたときには、親パレットP1のフォークリフト進入側端部を最も作業者側に近い位置に配置できる。この結果、フォークリフト17の作業性が向上する。
【0042】
2.第2実施形態
第1実施形態では回転後の長辺21aの第二水平方向位置は、回転前の短辺21cの第二水平方向位置により第二水平方向外側(フォークリフト進入側)に「c」だけずれていたが、両者は一致していてもよい。
図9を用いて、そのような変形例を第2実施形態として説明する。図9は、第2実施形態において親パレットの回転前後の状態を示す概略平面図である。
【0043】
より詳細には、図9に示すように、長辺21a、21bの長さを「b」とし、短辺21c、21dの長さを「a」とした場合の条件を説明する。
回転軸C3は、中心C1に対して、第一水平方向に「d3」ずれており、第二水平方向に「d4」ずれている。具体的には、回転軸C2は中心C1に対して図5の斜め左下にずれている。この場合、d3=d4={(b−a)/2}/2となっている。
【0044】
この結果、親パレットP1を時計回りに90度回転させたときに、回転の前後で親パレットP1における第一水平方向での中心が同じ位置になる。つまり、親パレットP1は、回転前の短辺21c、21dの中点を通る中心線と回転後の長辺21a、21bの中点を通る中心線が一致するように回転させられる。なお、このための条件は、図9に示すように、両中心線に接する円(図9の円Q2は一例)の中心回りに親パレットP1を回転させることである。
さらに、親パレットP1を時計回りに回転させた後の長辺21aの第二水平方向位置は、回転前の短辺21cの第二水平方向位置に一致する。
【0045】
3.実施形態の共通事項
上記第1〜第2実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
搬送設備(例えば、搬送設備1)は、長方形の平板状部材(例えば、親パレットP1)を第一水平方向(例えば、矢印Yで示す方向)に搬送する設備である。搬送車(例えば、フォークリフト17)は、平板状部材と同じ又は小さい長方形の搬送物(例えば、子パレットP2)を第一水平方向に直交する第二水平方向(例えば、矢印Xで示す方向)から搬送設備に接近して平板状部材の上に載置する。
搬送設備は、搬送部(例えば、搬送部3)と、回転載置部(例えば、回転載置部5)とを備えている。
搬送部は、第一水平方向に平板状部材を搬送する。
回転載置部は、搬送部の搬送経路上に設けられ、平板状部材が載置される。
回転載置部の回転軸(例えば、回転軸C2、C3)は、平板状部材の中心(例えば、中心C1)と異なる位置であり、平板状部材を水平方向に90度回転させたときに、回転の前後で平板状部材における第一水平方向での中心が同じ位置になるように設定されている。
回転載置部の回転軸は、平板状部材の中心と異なる位置であり、回転の前後で平板状部材における第二水平方向での一方の端部の位置が一致又は互いに近接した位置になるように設けられている。
【0046】
この設備では、平板状部材を偏心して回転させることで、第二水平方向における平板状部材の端部の位置が回転前後で一致又は互いに近接している。したがって、搬送車の回転載置部に対する進入量を一定に定めることができる。例えば、ブレーキ用のブロックなどを設け、搬送車をそこまで進めるように運用すればよい。
【0047】
4.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(1)搬送部の変形例
搬送部はチェーンコンベヤに限定されない。搬送部はローラコンベヤでもよい。
搬送部と回転載置部は一体であってもよい。具体的には、搬送設備において、コンベヤが回転可能な場合である。この設備では、親パレットがコンベヤに載置された状態でコンベヤが回転させられることで、親パレットを90度回転できる。
(2)搬送車の変形例
搬送車はフォークリフトに限定されない。搬送車はAGV(Automatic Guided Vehicle)でもよい。なお、AGVを使用する場合、撮像装置やRFIDタグなどを使用し、子パレットの長辺、短辺(つまり、子パレットの支持方向)を判断して、それに基づいて指令をコントローラ50に送信することになる。
(3)搬送物の変形例
搬送物は子パレットに限定されない。搬送物はカゴ台車でもよい。
(4)回転中心の変形例
前記実施形態では第一水平方向における親パレットの中心位置が回転の前後で同じであったが、第二水平方向におけるパレットの端部が一致又は近接していることのみが条件の場合は、第一水平方向における親パレットの中心位置が回転の前後で異なっていてもよい。その場合でも、親パレットの第二水平方向に対してずれても子パレットが載る場合や、搬送車の進入位置を回転の有無により変更すれば対応可能だからである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、長方形の平板状部材を搬送及び回転可能な搬送設備に広く適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 :搬送設備
3 :搬送部
3a :チェーンコンベヤ
3b :チェーンコンベヤ
5 :回転載置部
7 :ガイド
7a :ガイド部材
7b :ガイド部材
7c :ガイド部材
7d :ガイド部材
7e :ガイド部材
7f :ガイド部材
11 :載置部
13 :リフタ
15 :回転部
17 :フォークリフト
19 :受け部
19A :載置面
19a :受け部材
19b :受け部材
19c :受け部材
19d :受け部材
21a :長辺
21b :長辺
21c :短辺
21d :短辺
25 :センサ
50 :コントローラ
A :荷
C1 :中心
C2 :回転軸
C3 :回転軸
P1 :親パレット
P2 :子パレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9