【解決手段】複数のカセット200は、装置幅方向に並んで配置されており、各々が物品を収納する。物品取出部のヘッド部720は、複数のカセット200の各々に対応する位置に移動し、複数のカセット200の各々から物品を取り出す。装置幅方向の左端に配置されたカセット200に対応する位置に移動したヘッド部720は、当該左端のカセット200が当該ヘッド部720の左側面721寄りに位置するように配置される。装置幅方向の右端に配置されたカセット200に対応する位置に移動したヘッド部720は、当該右端のカセット200が当該ヘッド部720の右側面722寄りに位置するように配置される。
前記物品取出部は、前記装置幅方向の左端に配置された前記カセットに係合する第1の係合部と、前記装置幅方向の右端に配置された前記カセットに係合する第2の係合部とを有する、請求項1に記載の物品供給装置。
前記複数のカセットは、前記装置幅方向の寸法が相対的に大きい幅広カセットと、前記装置幅方向の寸法が相対的に小さい幅狭カセットとを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明に基づいた実施の形態における物品供給装置の構造について、図を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の一形態に係る物品供給装置を示す斜視図である。物品供給装置100は、筐体110を備える。
図1には、物品供給装置100から筐体110の一部を除いた状態が示されている。
【0015】
物品供給装置100は、物品を供給する。物品は、一定の形状および一定の寸法を有している。物品は、たとえば、薬剤を収容した収容体である。より詳しくは、物品は、たとえば、薬剤を収容した容器である。容器の形状は、たとえば、円筒形状、箱状、またはチューブ状であってもよい。物品は容器に限定されない。物品は、たとえば、複数のPTP(Press Through Package)包装シートを結束したものであってもよい。
【0016】
物品供給装置100は、カセット支持部600と、物品取出部700と、を備える。カセット支持部600は、
図1では図示を省略されている複数のカセット200を支持する。複数の物品が、複数のカセット200の各々に収納される。物品取出部700は、複数のカセット200の各々に対応する位置に移動し、複数のカセット200の各々から物品を取り出す。
【0017】
カセット支持部600は、複数のカセット200が仮想面に沿って並ぶように、複数のカセット200を支持する。本実施の形態では、仮想面は、水平面に垂直な平面である。より詳しくは、仮想面は、筐体110の前面と平行な、筐体110内に位置する垂直面である。仮想面にその前端が揃うように複数のカセット200が、水平な左右方向および鉛直な上下方向に並ぶ。
【0018】
物品取出部700は、ヘッド部720と、ヘッド部720を移動させるヘッド部移動部710と、を備える。ヘッド部720は、カセット200から物品を取り出す。ヘッド部720は、カセット支持部600よりも手前側に位置する。ヘッド部移動部710は、ヘッド部720を、仮想面に沿って上下左右に移動させる。これによってヘッド部移動部710は、ヘッド部720を、複数のカセット200の各々に対応する位置に移動させる。
【0019】
ヘッド部移動部710は、一例として、XキャリッジとYキャリッジとを含む。Yキャリッジは、サーボモータ、このサーボモータで駆動され上下方向に延びるボールネジ、上下方向に延びる縦ガイドなどを含む。Xキャリッジは、縦ガイドに上下方向に案内されるキャリッジ本体、サーボモータ、このサーボモータで駆動される横方向に延びるボールネジなどを含む。
【0020】
物品取出部700は、カセット200から取り出した物品を、図示しないトレイに受け渡す。トレイは、物品取出部700の下方に位置する。トレイは、トレイ搬送部によって筐体110に設けられたトレイ搬送孔112を通って搬送される。
【0021】
図2は、カセット支持部の一部を拡大して示す斜視図である。カセット支持部600は、カセット200を前後方向に移動可能に支持する。
【0022】
カセット支持部600は、棚部610と、カセット案内部620と、を備える。棚部610は、カセット200を下方から支持する。カセット案内部620は、カセット200を前後方向に案内する。カセット案内部620は、棚部610に取り付けられる。カセット案内部620は、左側カセット案内部630と、右側カセット案内部640と、を備える。左側カセット案内部630は、カセット200の左側に位置する。右側カセット案内部640は、カセット200の右側に位置する。
【0023】
上記の右側および左側とは、
図1に示す筐体110にカセット200が収納された状態における、物品供給装置100に正対する作業者の右側および左側を示す。すなわち、前方から後方へカセット200を見たときの右側および左側が、上記の右側および左側である。物品供給装置100の左右方向を、装置幅方向とも称する。
【0024】
互いに左右に隣り合う2つのカセット200,200の間には、左側のカセットを案内する右側カセット案内部640と、右側のカセットを案内する左側カセット案内部630と、が存在する。これらの右側カセット案内部640および左側カセット案内部630は一体に形成される。
【0025】
図2に示すカセット支持部600は、4つのカセット案内部620を有し、隣り合う2つのカセット案内部620の間に合計3つのカセット200を支持可能である。
図1に示す収納棚の下段の十三段が、
図2に示すカセット支持部600と同様に、3つのカセット200を支持可能である。一方、収納棚の上段の八段は、5つのカセット案内部620を有し、隣り合う2つのカセット案内部620の間に合計4つのカセットを支持可能である。
【0026】
下段の十三段のカセット支持部600に支持されるカセット200は、装置幅方向の寸法が相対的に大きい幅広カセットである。上段の八段のカセット支持部600に支持されるカセット200は、装置幅方向の寸法が相対的に小さい幅狭カセットである。実施の形態の物品供給装置100の筐体110内に収納される複数のカセット200は、幅広カセットと幅狭カセットとを含んでいる。
【0027】
図3は、斜め下方から見上げたカセットを模式的に示す斜視図である。カセット200は、複数の物品が前後方向に並ぶように、複数の物品を収納する。ここで前後方向とは、仮想面に交差する方向である。本実施の形態では、前後方向は、仮想面に垂直な方向である。
【0028】
カセット200は、下面210と、左側面221と、右側面222とを有している。下面210は、カセット200の底面を構成している。左側面221は、カセット200の左側の側面を構成している。右側面222は、カセット200の右側の側面を構成している。
【0029】
下面210から、左レール部211と、右レール部212とが、下方に突出している。左レール部211および右レール部212は、いずれも前後方向に延びるリブ状の形状を有している。左レール部211は、左側面221の近傍に設けられている。右レール部212は、右側面222の近傍に設けられている。左レール部211と右レール部212とは、左右方向に間隔を空けて、互いに平行に設けられている。
【0030】
図4は、物品取出部のヘッド部を模式的に示す斜視図である。ヘッド部720は、カセット200を前後方向に移動させ、カセット支持部600から前方に引き出されたカセット200から物品を取り出し、取り出された物品を受ける。ヘッド部720には、上方に開放している受け空間が形成されており、カセット200から取り出された物品は上方から受け空間内に入る。
【0031】
ヘッド部720は、左側面721と、右側面722と、後側面723と、前側面724とを有している。左側面721は、受け空間を形成するヘッド部720の左側の側壁の外表面を構成している。右側面722は、受け空間を形成するヘッド部720の右側の側壁の外表面を構成している。後側面723は、受け空間を形成するヘッド部720の後側の側壁の外表面を構成している。前側面724は、受け空間を形成するヘッド部720の前側の側壁の外表面を構成している。
【0032】
後側面723は、ヘッド部720の外表面のうち、カセット支持部600およびそれに支持されたカセット200に対向する面である。後側面723の形成されている後側の側壁の上端部分には、当該上端部分が窪む溝771,772,773,774が形成されている。溝771,772,773,774は、いずれも前後方向に延びている。溝771,772,773,774は、装置幅方向の左から右へ向かって、互いに間隔を空けてこの順に形成されている。溝771,772,773,774は、装置幅方向において、各々異なる位置に形成されている。
【0033】
4つの溝のうち、溝771および溝773は、第1の係合部780を構成している。4つの溝のうち、溝772および溝774は、第2の係合部790を構成している。第1の係合部780と第2の係合部790とは、各々異なる溝を含んで構成されている。第1の係合部780は、4つの溝のうち左端の溝771を含んでいる。第2の係合部790は、4つの溝のうち右端の溝774を含んでいる。
【0034】
図5は、左右方向に3列のカセットを保持するカセット支持部から、左端のカセットを取り出す動作の模式図である。
図5中の左右方向に並べられた3つのカセット200は、物品供給装置100の筐体110の下段の十三段のカセット支持部600のいずれかに支持された、3つのカセット200を表している。処方情報には、
図5に示す3つのカセット200のうち、左端のカセット200に収納されている物品を取り出すことが記録されている。そのため物品取出部700のヘッド部720は、左端のカセット200に対応する位置に移動している。
【0035】
左端のカセット200の左レール部211が溝771内を移動し、右レール部212が溝774内を移動することにより、左端のカセット200はカセット支持部600から前方へ引き出され、また後方へ移動してカセット支持部600上へ戻される。
【0036】
図6は、左右方向に3列のカセットを保持するカセット支持部から、右端のカセットを取り出す動作の模式図である。
図6中の3つのカセット200は、
図5と同じカセット200である。処方情報には、
図6に示す3つのカセット200のうち、右端のカセット200に収納されている物品を取り出すことが記録されている。そのため物品取出部700のヘッド部720は、右端のカセット200に対応する位置に移動している。
【0037】
図5と同様に、左端のカセット200の左レール部211が溝771内を移動し、右レール部212が溝774内を移動することにより、左端のカセット200はカセット支持部600から前方へ引き出され、また後方へ移動してカセット支持部600上へ戻される。
【0038】
図5,6に示す3つのカセットのうち、左右方向の中央部にあるカセット200は、左右の端のカセット200と同様に、左レール部211が溝771内を移動し右レール部212が溝774内を移動して、前後方向に移動する。
【0039】
図7は、左右方向に4列のカセットを保持するカセット支持部から、左端のカセットを取り出す動作の模式図である。
図7中の左右方向に並べられた4つのカセット200は、物品供給装置100の筐体110の上段の八段のカセット支持部600のいずれかに支持された、4つのカセット200を表している。処方情報には、
図7に示す4つのカセット200のうち、左端のカセット200に収納されている物品を取り出すことが記録されている。そのため物品取出部700のヘッド部720は、左端のカセット200に対応する位置に移動している。
【0040】
左端のカセット200の左レール部211が溝771内を移動し、右レール部212が溝773内を移動することにより、左端のカセット200はカセット支持部600から前方へ引き出され、また後方へ移動してカセット支持部600上へ戻される。つまり
図7に示す装置幅方向の左端に配置されたカセット200は、物品取出部700のヘッド部720の第1の係合部780(
図4参照)に係合する。
【0041】
図7に示す装置幅方向の左端に配置されたカセット200は、当該カセット200に対応する位置に移動した物品取出部700のヘッド部720に対し、ヘッド部720の左側面721に寄って配置される。左端のカセット200の左右方向における中心は、当該カセット200に対応する位置に移動したヘッド部720に対し、左側面721により近く、右側面722からより離れた位置にある。
【0042】
装置幅方向の左端に配置されたカセット200に対応する位置に移動した物品取出部700のヘッド部720は、当該カセット200がヘッド部720の左側面721寄りに位置するように、配置される。左端のカセット200に対応する位置に移動したヘッド部720は、当該カセット200に対して、左右方向において装置の中央寄りに配置されている。
【0043】
図8は、左右方向に4列のカセットを保持するカセット支持部から、右端のカセットを取り出す動作の模式図である。
図8中の4つのカセット200は、
図7と同じカセット200である。処方情報には、
図8に示す4つのカセット200のうち、右端のカセット200に収納されている物品を取り出すことが記録されている。そのため物品取出部700のヘッド部720は、右端のカセット200に対応する位置に移動している。
【0044】
右端のカセット200の左レール部211が溝772内を移動し、右レール部212が溝774内を移動することにより、右端のカセット200はカセット支持部600から前方へ引き出され、また後方へ移動してカセット支持部600上へ戻される。つまり
図8に示す装置幅方向の右端に配置されたカセット200は、物品取出部700のヘッド部720の第2の係合部790(
図4参照)に係合する。
【0045】
図8に示す装置幅方向の右端に配置されたカセット200は、当該カセット200に対応する位置に移動した物品取出部700のヘッド部720に対し、ヘッド部720の右側面722に寄って配置される。右端のカセット200の左右方向における中心は、当該カセット200に対応する位置に移動したヘッド部720に対し、右側面722により近く、左側面721からより離れた位置にある。
【0046】
装置幅方向の右端に配置されたカセット200に対応する位置に移動した物品取出部700のヘッド部720は、当該カセット200がヘッド部720の右側面722寄りに位置するように、配置される。右端のカセット200に対応する位置に移動したヘッド部720は、当該カセット200に対して、左右方向において装置の中央寄りに配置されている。
【0047】
図7,8に示す4つのカセット200のうち、左右方向の中央部にある2つのカセット200に対しては、物品取出部700のヘッド部720は、カセット200に第1の係合部780と第2の係合部790とのいずれか一方が係合するように、配置されればよい。たとえば、中央部の2つのカセット200の両方が、第1の係合部780と係合してもよい。またたとえば、右から2番目のカセット200は第1の係合部780に係合し、左から2番目のカセットは第2の係合部790に係合する、というように、カセット200の左右方向の中心で第1の係合部780と第2の係合部790とのどちらと係合するかを分けられる設定としてもよい。
【0048】
以上説明したように、実施の形態の物品供給装置100では、カセット200に対する物品取出部700の配置を、全てのカセット200に対して同じ配置としない。具体的には、
図7に示すように、左端のカセット200から物品を取り出すときの物品取出部700の配置を、当該カセット200に対して右寄りにする。
図8に示すように、右端のカセット200から物品を取り出すときの物品取出部700の配置を、当該カセット200に対して左寄りにする。
【0049】
このようにすれば、左右の端にあるカセット200から物品取出部700が突き出る寸法を減少することができる。筐体110内のカセット支持部600よりも右方および左方における物品取出部700の配置のためのスペースを、低減することができる。このようにスペース効率が向上することで、従来の物品供給装置と比較して、同じ数のカセット200を収納するための筐体110の装置幅方向の寸法を低減でき、装置を小型化することができる。または、装置幅方向の寸法の同じ筐体110内に、より多数のカセット200を収納することができる。
【0050】
図4および
図7,8に示すように、物品取出部700のヘッド部720は、第1の係合部780と第2の係合部790とを有してもよい。
図7に示す左端のカセット200を第1の係合部780に係合させ、
図8に示す右端のカセット200を第2の係合部790に係合させることで、左右の端にあるカセット200に対する物品取出部700の配置が確実に変更されるので、左右の端にあるカセット200から物品取出部700が突き出る寸法を確実に減少することができる。
【0051】
図4および
図7,8に示すように、第1の係合部780は溝771を含み、第2の係合部790は溝771と装置幅方向において異なる位置に形成された溝774を含んでもよい。左端のカセット200が係合する溝と右端のカセット200が係合する溝とを異なる溝として形成することで、左右の端にあるカセット200に対する物品取出部700の配置を確実に変更することができる。
【0052】
図1および
図5〜8に示すように、複数のカセット200は、装置幅方向の寸法が相対的に大きい
図5,6に示す幅広カセットと、装置幅方向の寸法が相対的に小さい
図7,8に示す幅狭カセットとを含んでもよい。物品取出部700は幅広カセットから物品を取り出し可能に構成する必要があり、幅広カセットに対応する装置幅方向の寸法を有することになる。この物品取出部700は、幅狭カセットに対しては装置幅方向の寸法が過度に大きいことになるが、左右の端にある幅狭カセットに対する物品取出部700の配置を装置全体の中央寄りにすることで、左右の端にある幅狭カセットから物品取出部700が左右にはみ出る寸法を減少することができる。
【0053】
薬剤を収容する容器は、薬剤の種類または容量に対応して、種々の異なる寸法を有している。物品供給装置100が供給する物品が薬剤である場合、複数種類の薬剤を予めカセット200に収納して準備しておく必要があるが、全てのカセット200が同じ幅を有していると、寸法の小さい薬剤容器を収納するカセット200内のデッドスペースが増大する。複数のカセット200が幅広カセットと幅狭カセットとを有する構成とすれば、形状の異なる薬剤容器に対応したカセットを使用することで、デッドスペースを低減でき、スペース効率をさらに向上することができる。
【0054】
上記実施の形態においては、カセット200が前後方向に延びる左レール部211および右レール部212を有し、カセット200が係合する第1の係合部780および第2の係合部790が溝を含む例について説明した。この構成に替えて、カセット200に溝が形成され、第1の係合部780および第2の係合部790が溝に係合する突起を有する構成としてもよい。
【0055】
また、カセット200と物品取出部700との係合には、必ずしも溝が必須ではない。たとえばカセット200を前後方向に移動させるためのフック部がカセット200に係合する位置を、左端のカセット200と右端のカセット200とで変更することによって、左右の端にあるカセット200に対する物品取出部700の配置を変更してもよい。カセット200の前後方向への移動時に溝内をレール部が移動する構成とすれば、溝にガイドされて物品取出部700に対するカセット200の位置決めがなされ、より正確に意図した経路でカセット200を移動できることを考慮すると、実施の形態で説明した溝を形成する構成が、より好ましい。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。