特開2019-131519(P2019-131519A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-131519(P2019-131519A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】毛髪洗浄料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20190712BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20190712BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   A61K8/44
   A61K8/86
   A61K8/73
   A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-16283(P2018-16283)
(22)【出願日】2018年2月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】小田 泰裕
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC302
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD202
4C083BB34
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】
泡立ち、泡のキメが良好で、洗い流し時のきしみ感がなく、洗い流し後にしっとりする使用感の毛髪洗浄料を提供する。
【解決手段】
下記の(A)〜(D)を含有する毛髪洗浄料。
(A)長鎖アシル酸性アミノ酸塩
(B)長鎖脂肪酸アミドプロピルベタイン
(C)ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド
(D)カチオン性高分子
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)を含有する毛髪洗浄料。
(A)長鎖アシル酸性アミノ酸塩
(B)長鎖脂肪酸アミドプロピルベタイン
(C)ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド
(D)カチオン性高分子
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
毛髪洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、使用感と外観安定性の両立を図る毛髪用洗浄料が記載されており、糖及び又は糖アルコールと、アシルグルタミン酸塩とベタイン類とカチオン化ポリマー等を必須成分として含有する。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−88934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来技術にあっても使用感、特に泡のキメや洗い流し時のきしみにおいてさらなる改良が求められていた。そこで、本発明においては、泡立ち、泡のキメが良好で、洗い流し時のきしみ感がなく、洗い流し後にしっとりする使用感の毛髪洗浄料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
下記の(A)〜(D)を含有する毛髪洗浄料を提供する。
(A)長鎖アシル酸性アミノ酸塩
(B)長鎖脂肪酸アミドプロピルベタイン
(C)ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド
(D)カチオン性高分子
【発明の効果】
【0006】
本発明の毛髪洗浄料は、泡立ち、泡のキメが良好で、洗い流し時のきしみ感がなく、洗い流し後にしっとりするという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0008】
本発明の毛髪洗浄料は、(A)〜(D)を含有する。
(A)長鎖アシル酸性アミノ酸塩
(B)長鎖脂肪酸アミドプロピルベタイン
(C)ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド
(D)カチオン性高分子
【0009】
本発明の毛髪洗浄料に配合する(A)長鎖アシル酸性アミノ酸塩は、酸性アミノ酸のN−アシル化誘導体の塩である。該塩における酸性アミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、α−アミノアジピン酸、システイン酸、ホモシステイン酸等、酸性を示すアミノ酸が挙げられ、L−体、D−体、DL−体のいずれでもよく、L−体およびDL−体が好ましく用いられ、L−体がより好ましく用いられる。
本発明の目的には、(A)N−アシル酸性アミノ酸塩としては、N−アシルグルタミン酸塩およびN−アシルアスパラギン酸塩が好ましく用いられ、N−アシルグルタミン酸塩がより好ましく用いられる。
【0010】
(A)N−アシル酸性アミノ酸塩におけるアシル基としては、オクタノイル、6−メチルヘプタノイル(イソオクタノイル)、2−エチルヘキサノイル、デカノイル、ドデカノイル(ラウロイル)、テトラデカノイル(ミリストイル)、12−メチルトリデカノイル(イソミリストイル)、ヘキサデカノイル(パルミトイル)、14−メチルペンタデカノイル(イソパルミトイル)、オクタデカノイル(ステアロイル)、16−メチルヘプタデカノイル(イソステアロイル)、エイコサノイル、ドコサノイル、ヤシ油脂肪酸アシル等の炭素数8〜22程度の直鎖または分岐鎖飽和アシル基、オクテノイル、6−メチルヘプテノイル(イソオクテノイル)、デセノイル、ドデセノイル、テトラデセノイル、9−ヘキサデセノイル(パルミトレイノイル)、9−オクタデセノイル(オレイノイル)、ドコセノイル等の炭素数8〜22程度の直鎖または分岐鎖不飽和アシル基が挙げられ、炭素数10〜18程度の直鎖または分岐鎖飽和アシル基が好ましく、炭素数10〜18程度の直鎖飽和アシル基がより好ましく、炭素数10〜14の直鎖飽和アシル基が特に好ましい。
【0011】
N−アシル酸性アミノ酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩;リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられ、入手のしやすさ、取扱い性の観点からは、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましい。
【0012】
本発明において、N−アシル酸性アミノ酸塩としては、従来より洗浄剤組成物に用いられているものであって、たとえば、N−ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、N−ラウロイルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ラウロイルアスパラギン酸カリウム、N−ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N−ミリストイルアスパラギン酸ナトリウム、N−ミリストイルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ミリストイルアスパラギン酸カリウム、N−ミリストイルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸二ナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸カリウム、N−ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイルグルタミン酸二ナトリウム、N−ミリストイルグルタミン酸カリウム、N−ミリストイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシルアスパラギン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルアスパラギン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸二ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン等が挙げられ、なかでも、N−ラウロイルグルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム等がより好ましく用いられる。
【0013】
本発明においては、上記N−アシル酸性アミノ酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
本発明の毛髪洗浄料には、(A)N−アシル酸性アミノ酸塩を、組成物の全量に対し、通常1〜30質量%、好ましくは1質量%〜20質量%配合する。配合量が30質量%を超えると透明な外観が保てない場合がある。1質量%未満の配合では、洗浄威力が不足する場合がある。
【0015】
本発明の毛髪洗浄料に配合する(B)長鎖脂肪酸アミドプロピルベタインとしては、特に限定されないが、例えば、ラウラミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、オレイルアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン等が挙げられる。この中でも、ラウラミドプロピルベタイン又はコカミドプロピルベタインが好ましく、より好ましくはラウラミドプロピルベタインである。
【0016】
本発明の毛髪洗浄料には、(B)長鎖脂肪酸アミドプロピルベタインを、組成物の全量に対し、通常0.5〜10質量%、好ましくは1質量%〜10質量%配合する。
【0017】
本発明の毛髪洗浄料に配合する(C)ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドは、脂肪酸と、アルカノールアミンの縮合物である脂肪酸アルカノールアミドに酸化アルキレンを付加重合したものである。ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドは、通常、化粧料や洗浄剤組成物に用いられるものであれば、特に限定されるものではない。
【0018】
なお、「ポリオキシアルキレン」のアルキレンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数2〜4のアルキレンが好ましく、具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等があげられる。ポリオキシアルキレンの平均付加モル数は、特に限定されるものではないが、0.1〜20モルであるものが好ましい。
【0019】
また、「脂肪酸」は、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数8〜22のものが好ましく、これらは、一種又は二種以上の混合物であってもよく、ヤシ油脂肪酸なども用いることができる。
【0020】
「アルカノールアミン」は、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数2〜4のものが好ましく、具体的にはモノイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。成分(a)は、これらを組み合わせることで得られるものであるが、好ましくは、ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノーアミドから選ばれる一種又は二種以上であり、さらにはポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノーアミドが好ましい。また、ポリオキシプロピレンの平均付加モル数としては、特に限定されるものではなく、1分子あたりでは、0.3〜20モルのものを用いることが可能であるが、好ましくは1〜20モルが好ましく、特に、平均付加モル数が11であるポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノーアミド(化粧品表示名称PEG−11コカミド)が好ましい。
【0021】
本発明の毛髪洗浄料には、(C)ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。(C)ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドは、組成物の全量に対し、通常0.5〜10質量%、好ましくは1質量%〜10質量%配合する。配合量が10質量%を超えるとべたつきの原因となることがある。0.5質量%未満の配合では、濯ぎ時のきしみが気になる場合がある。
【0022】
本発明の毛髪洗浄料に配合する(D)カチオン性高分子としては、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガム、塩化ジメチルジアリル・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体を例として挙げることができる。
【0023】
これらの中でも、カチオン化ヒドロキシエチルセルロースのポリクオタニウム−10(化粧品表示名称)を用いることが好ましい。
【0024】
(D)カチオン性高分子は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の毛髪洗浄料全量に対しては、0.1〜0.9質量%の配合量が好ましい。配合量が、0.1質量%未満又は0.9質量%を超えると、すすぎ時の指通り及び乾燥後の髪の柔らかさに影響を及ぼす場合がある。
【0025】
本発明の毛髪洗浄料は、pHを4.5〜6.5程度の適度な弱酸性に調整することにより、安全性の高い毛髪洗浄料とすることができる。pHを弱酸性に調整するためのpH調整剤としては、特に限定されないが好ましくは乳酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、及びこれらの塩などが例示される。pH調整剤はそれぞれ単独でも、又は二種以上を併用して用いても良い。
【0026】
本発明の毛髪洗浄料は、常温で液状若しくはゲル状の外観を呈する。使用性の面から粘度は500mPa・s以上とすることが好ましい。なお、粘度は、B型粘度計を用い、25℃条件下で、粘度適正に合わせたローターを使用して測定することができる。
【0027】
本発明の毛髪洗浄料は、ポリオキシエチレンアルキルグルコシドジアルキレートを用いることができる。かかるポリオキシエチレンアルキルグルコシドジアルキレートとしては毛髪洗浄料に配合し得るものであれば特に限定されない。ポリオキシエチレンアルキルグルコシドジアルキレートのなかでも、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドを用いることが好ましい。
【0028】
本願発明の毛髪洗浄料には、上述の必須成分、任意成分の他に、必要に応じて通常毛髪洗浄料に配合される、水性成分、油性成分、保湿剤、色素、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬剤、香料、高分子物質、防菌防微剤、アルコール類、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0030】
まず、調製した毛髪洗浄料の評価方法を説明する。
【0031】
pHは、HORIBA pH METERを用い、25℃で希釈せず測定した。
【0032】
粘度はB型粘度計ローターNo.2を用い、25℃環境下で、6rpm、60秒の条件で測定した。
【0033】
[泡立ち、泡のキメ]
泡立ち、泡質、泡切れについて、官能評価専門調査員3名が実際に使用してそれぞれ評価を行い、合議により良好「○」、やや良好「△」、不良「×」として評価した。
【0034】
[洗い流し時のきしみ]
ヘアシャンプーにおいては、きしみについて、官能評価専門調査員3名が実際に使用してそれぞれシャンプー中の毛髪のきしみ感の評価を行い、合議によりきしまない「○」、ややきしむ「△」、きしむ「×」として評価した。
【0035】
[使用後のしっとり感]
使用後感について、官能評価専門調査員3名が実際に使用してそれぞれ評価を行い、合議により、しっとりする「○」、ややしっとりする「△」、乾燥する「×」として評価した。
【0036】
表1に示す処方にて、シャンプーを調製し、評価を行った。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示したとおり、実施例1のヘアシャンプーは泡立ち、泡のキメが良好で、洗い流し時のきしみ感がなく、洗い流し後にしっとりするという、良好な使用感であった。