特開2019-131672(P2019-131672A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-131672高分子化合物、高分子化合物の製造方法、有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-131672(P2019-131672A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】高分子化合物、高分子化合物の製造方法、有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20190712BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190712BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20190712BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20190712BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20190712BHJP
   C08G 2/18 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   C08G61/12
   H05B33/22 D
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   H05B33/10
   H05B33/02
   C08G2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-13872(P2018-13872)
(22)【出願日】2018年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】加茂 和幸
(72)【発明者】
【氏名】岡本 専太朗
【テーマコード(参考)】
3K107
4J032
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB03
3K107DD16
3K107DD17
3K107DD73
3K107DD78
3K107DD79
3K107DD87
3K107EE65
3K107FF18
3K107GG28
4J032AA08
4J032AA22
4J032AB01
4J032AB12
4J032AC12
4J032AC13
4J032AD02
4J032AD28
4J032AF08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】有機EL素子の低電圧駆動や寿命向上を果たし得る高分子化合物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物。式(1)中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物。
【化1】
(式(1)中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。)
【請求項2】
数平均分子量が1,000〜100,000である、請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項3】
電荷輸送性材料として使用される、請求項1又は2に記載の高分子化合物。
【請求項4】
下記式(2)で表される化合物を含むカルボニル化合物をMcMurryカップリング重合することを含む、高分子化合物の製造方法。
【化2】
(式(2)中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子化合物を含む、有機エレクトロニクス材料。
【請求項6】
ドーパントをさらに含む、請求項5に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項7】
重合開始剤をさらに含む、請求項5に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項8】
前記重合開始剤が熱重合開始剤である請求項7に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項9】
前記重合開始剤がイオン化合物である請求項7又は8に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項10】
前記重合開始剤がドーパントとしても機能している、請求項7〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料と、溶媒とを含む、インク組成物。
【請求項12】
請求項5〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料、又は請求項11に記載のインク組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロニクス素子。
【請求項13】
請求項5〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料、又は請求項11に記載のインク組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項14】
フレキシブル基板をさらに有する、請求項13に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項15】
前記フレキシブル基板が樹脂フィルムを含む、請求項14に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
【請求項17】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
【請求項18】
請求項17に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、高分子化合物、高分子化合物の製造方法、有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子ということもある)、照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
【0003】
有機エレクトロニクス素子の一例として、有機EL素子、有機トランジスタ、有機太陽電池などが挙げられる。
【0004】
有機エレクトロニクス素子の中でも有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
【0005】
有機EL素子は、用いる材料及び製膜方法から低分子型有機EL素子、高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子は、有機材料が高分子材料により構成されており、真空系での成膜が必要な低分子型有機EL素子と比較して、印刷やインクジェットなどの簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子である。
【0006】
多層化された有機EL素子の一例として、例えば、発光を担う層を発光層、及びそれ以外の層を有する場合、基板上に、陽極、正孔注入層、発光層、電子注入層及び陰極が、基板からこの順で存在するものがある。また、発光層と正孔注入層の間に正孔輸送層を更に有するもの、発光層と電子注入層の間に電子輸送層を更に有するもの等がある。正孔注入層及び正孔輸送層は発光層への電荷(正孔)の輸送を担うため、有機EL素子の低電圧駆動や素子寿命向上に重要な役割を果たし得る。
【0007】
高分子型有機EL素子の材料の製造方法として、鈴木カップリング反応を用いた方法等が検討されている(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,777,070号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
高分子型の正孔注入・輸送材料の合成において、ニッケルやパラジウムなどの可溶性の重金属錯体を触媒に使用する熊田カップリング、スティルカップリング、根岸カップリング、鈴木・宮浦カップリング、檜山カップリング等のカップリング反応を用いる場合、反応終了後、この触媒を除去する必要があるが、これが困難であり、触媒が残留すると有機エレクトロニクス素子の特性を劣化させる原因となる場合がある。また、重金属触媒の除去のために、吸着剤を用いた場合には、この吸着剤が除去しきれずに正孔注入・輸送材料中に混入すると、有機エレクトロニクス素子の特性を劣化させる可能性がある。
【0010】
本発明の実施形態は、上記した問題に鑑み、高分子化合物、当該高分子化合物を用いた有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、照明装置及び表示装置、並びに、高分子化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態は、下記式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物に関する。
【化1】
式(1)中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。
本発明の他の実施形態は、前記高分子化合物を含む、有機エレクトロニクス材料に関する。
本発明の他の実施形態は、前記有機エレクトロニクス材料と、溶媒とを含む、インク組成物に関する。
【0012】
本発明の他の実施形態は、前記有機エレクトロニクス材料、又は前記インク組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロニクス素子に関する。
本発明の他の実施形態は、前記有機エレクトロニクス材料、又は前記インク組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
本発明の他の実施形態は、前記有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子に関する。
本発明の他の実施形態は、前記有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置に関する。
本発明の他の実施形態は、前記照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置に関する。
【0013】
本発明の他の実施形態は、下記式(2)で表される化合物を含むカルボニル化合物をMcMurryカップリング重合することを含む、高分子化合物の製造方法に関する。
【化2】
式(2)中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、高分子化合物、当該高分子化合物を用いた有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機EL素子、照明装置及び表示装置、並びに、高分子化合物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態である有機EL素子の一例を示す模式図である。
図2】実施例で得られた化合物1のH−NMRスペクトルを示す図である。
図3】実施例で得られたモノマー1のH−NMRスペクトルを示す図である。
図4】実施例で得られたモノマー2のH−NMRスペクトルを示す図である。
図5】実施例で得られた高分子化合物AのH−NMRスペクトルを示す図である。
図6】実施例で得られた高分子化合物BのH−NMRスペクトルを示す図である。
図7】実施例で得られた高分子化合物CのH−NMRスペクトルを示す図である。
図8】実施例で得られた共重合体DのH−NMRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について説明する。本発明は以下の実施形態に限定されない。
<高分子化合物>
本発明の実施形態の高分子化合物は、下記式(1)で表される構造単位を有する。以下、下記式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物を、「高分子化合物P」という場合がある。
【0017】
【化3】
【0018】
式(1)中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。
【0019】
高分子化合物Pは、後述する高分子化合物の製造方法により、重金属錯体を用いずに、安価で毒性も少ないチタンを反応触媒に用いたMcMurryカップリング重合を用いて製造することができる。
また、高分子化合物Pは、好ましくは、電荷輸送性材料として有機エレクトロニクス材料等に使用することが可能である。高分子化合物Pを用いて、発光効率及び発光寿命の良好な有機エレクトロニクス素子を製造することが可能である。
【0020】
式(1)において、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
アルコキシ基としては、例えば、−OR(Rは、炭素数1〜22個、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の直鎖、環状又は分岐アルキル基)で表されるものが挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
アルキル基は、直鎖、環状又は分岐アルキル基であってよく、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましい。
アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子を1個除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子を1個除いた原子団である。「芳香族炭化水素」及び「芳香族複素環」(以下、「芳香族炭化水素」及び「芳香族複素環」を「芳香環」という場合がある。)は、芳香性を示す環である。芳香環は、例えばベンゼンのような単環であってもよく、例えばナフタレンのように環が互いに縮合した縮合環であってもよい。芳香環は、例えば、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニルベンゼンのように、独立した単環及び縮合環から選択される2個以上が結合した構造であってもよい。芳香族炭化水素の例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、フルオレン、フェナントレン、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニルベンゼン等が挙げられる。芳香族複素環の例としては、ピリジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントロリン、フラン、ピロール、チオフェン、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチオフェン等が挙げられる。芳香環は、芳香族炭化水素であることが好ましい。また、芳香環は単環であることが好ましい。特に好ましくはベンゼンである。アリール基としては、フェニル基が好ましい。
【0021】
式(1)において、Rは、水素原子又はアルコキシ基が好ましく、水素原子又は−OR(Rは、炭素数1〜8の直鎖、環状又は分岐アルキル基)がより好ましい。
式(1)において、R’は同一でも異なってもよい。R’は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基が好ましく、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基が更に好ましい。
【0022】
高分子化合物Pは、ホモポリマーであってもよく、共重合体であってもよい。
高分子化合物Pが共重合体である場合、高分子化合物Pは、式(1)で表される構造単位に加えて、例えば、機能性官能基や重合性官能基を有する構造単位を含んでよい。高分子化合物Pが共重合体である場合、高分子化合物Pは、交互、ランダム、ブロック、又はグラフト共重合体であってよい。
【0023】
高分子化合物Pは、直鎖状であっても、又は、分岐状であってもよい。分岐状であるとき、高分子化合物Pは、3方向以上に分岐した構造を有する。
【0024】
高分子化合物Pは、重合性官能基を含んでよい。
「重合性官能基」とは、熱及び/又は光を加えることにより、互いに結合を形成し得る官能基をいう。
【0025】
重合性官能基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、アクリロイル基、アクリレート基(アクリロイルオキシ基)、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリレート基(メタクリロイルオキシ基)、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基等)、小員環を有する基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基等の環状アルキル基;エポキシ基(オキシラニル基)、オキセタン基(オキセタニル基)等の環状エーテル基;ジケテン基;エピスルフィド基;ラクトン基;ラクタム基等)、複素環基(例えば、フラン−イル基、ピロール−イル基、チオフェン−イル基、シロール−イル基)などが挙げられる。重合性官能基は、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
【0026】
好ましい重合性官能基としては、オキセタニル基、オキシラニル基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。高分子合成中の官能基安定性の観点から、ビニル基が好ましい。
【0027】
高分子化合物Pが重合性官能基を含むとき、高分子化合物Pは、例えば、Rがビニル基である式(1)で表される構造単位を含むことで、式(1)中で表される構造単位中に重合性官能基を含んでよく、例えば、重合性官能基を有する他の構造単位を含んでもよく、例えば、両者であってもよい。
また、高分子化合物Pが分岐構造を有する場合、重合性官能基は、高分子化合物Pの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に導入されていてもよい。
【0028】
重合性官能基は、溶解度の変化に寄与する観点からは、高分子化合物P中に多く含まれる方が好ましい。一方、電荷輸送性を妨げない観点からは、高分子化合物P中に含まれる量が少ない方が好ましい。重合性官能基の含有量は、これらを考慮し、適宜設定できる。
【0029】
例えば、高分子化合物Pの1分子あたりの重合性官能基の数は、十分な溶解度の変化を得る観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。
【0030】
高分子化合物Pは、好ましくは、電荷輸送性材料として使用される。電荷輸送性材料は、電荷を輸送する能力を有する化合物である。高分子化合物Pは、正孔を輸送する能力を有することが好ましい。正孔輸送性材料は、例えば、有機EL素子の正孔注入層及び/又は正孔輸送層に用いることができる。また、電子輸送性材料であれば、例えば、電子輸送層及び/又は電子注入層に用いることができる。また、正孔と電子の両方を輸送する能力を有する化合物であれば、例えば、発光層の材料に用いることができる。
【0031】
高分子化合物Pは、式(1)で表される構造単位に加えて、他の電荷輸送性を有する構造単位を更に含んでよい。
【0032】
電荷輸送性を有する構造単位は、電荷を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、フェノキサジン構造、ベンゼン構造、ビフェニレン構造、ターフェニレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造、フェナントレン構造、ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造、ピロール構造、オキサゾール構造、オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造、トリアゾール構造、ベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。これらの2種以上を含む構造としては、例えば、ビチオフェン構造が挙げられる。芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。例えば、高分子化合物Pは、式(1)で表される構造単位に加えて、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、ビチオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、及びフェノキサジン構造からなる群から選択される少なくとも1種を、更に含んでよい。
【0033】
(数平均分子量)
高分子化合物Pの数平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましく、2,500以上が更に好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましく、100,000以下が更に好ましく、50,000以下が更に好ましい。例えば、 高分子化合物Pの数平均分子量は、1,000〜500,000であることがより好ましく、1,000〜100,000であることがより好ましく、高分子化合物Pの取り扱いの容易さや、有機光電変換素子の効率向上の観点から2,500〜100,000であることが更に好ましい。
【0034】
(重量平均分子量)
高分子化合物Pの重量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、1,500以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましい。
【0035】
数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
例えば、下記の条件で測定することができる。
送液ポンプ:L−6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV−Vis検出器:L−3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム:Gelpack(登録商標) GL−A160S/GL−A150S 日立化成(株)
溶離液:THF(HPLC用、安定剤を含まない) 和光純薬工業(株)
流速:1mL/min
カラム温度:室温
分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0036】
高分子化合物Pが重合性官能基を有する場合、重合性官能基の割合は、高分子化合物Pを効率よく硬化させるという観点から、全構造単位を基準として0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、3モル%以上が更に好ましい。また、重合性官能基の割合は、良好な電荷輸送性を得るという観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。なお、ここでの「重合性官能基の割合」とは、重合性官能基を有する構造単位の割合をいう。
【0037】
構造単位の割合は、高分子化合物Pを合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量を用いて求めることができる。また、構造単位の割合は、高分子化合物PのH NMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトルの積分値を利用し、平均値として算出することができる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
【0038】
高分子化合物Pが正孔輸送性材料であるとき、高い正孔注入性及び正孔輸送性を得る観点から、芳香族アミン構造を有する構造単位、又は、芳香族アミン構造を有する構造単位とカルバゾール構造を有する構造単位及び/又はチオフェン構造を有する構造単位とを主要な構造単位として有する化合物であることが好ましい。この観点から、高分子化合物P中の全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する構造単位、カルバゾール構造を有する構造単位、及びチオフェン構造を有する構造単位の全数の割合(芳香族アミン構造を有する構造単位、カルバゾール構造を有する構造単位、及びチオフェン構造を有する構造単位のうち、芳香族アミン構造を有する構造単位のみを有する場合は、芳香族アミン構造を有する構造単位の全数、芳香族アミン構造を有する構造単位とカルバゾール構造を有する構造単位及び/又はチオフェン構造を有する構造単位とを含む場合にはそれらを合計した全数。)は、40%以上が好ましく、45%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。芳香族アミン構造を有する構造単位、カルバゾール構造を有する構造単位及び/又はチオフェン構造を有する構造単位の全数の割合を100%とすることも可能である。
【0039】
高分子化合物Pが共重合体である場合の例として、例えば、下記式(a)で表される構造単位及び下記式(b)で表される構造単位を含む共重合体等が挙げられる。下記の式(a)において、Rは、式(1)におけるRと同様である。下記の式(b)において、Rは式(1)におけるRと同様である。Rは独立に選択され、互いに同一でも異なってもよい。下記の式(a)及び(b)において、「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。
【0040】
【化4】
【0041】
<高分子化合物の製造方法>
本発明の実施形態の高分子化合物の製造方法は、下記式(2)で表される化合物を含むカルボニル化合物をMcMurryカップリング重合することを含む。
【0042】
【化5】
【0043】
式(2)中、Rは式(1)におけるRと同様であり、R’も式(1)におけるR’と同様である。
【0044】
McMurryカップリング重合は、低原子価チタンと呼ばれる化学種を還元剤として使用して行うことができる。このため、この製造方法により、触媒として重金属錯体を用いずに、安価で毒性も少ないチタンを用いて、高分子化合物を製造することができる。
また、上述の高分子化合物Pは、この高分子化合物の製造方法によって製造することができる。
【0045】
カルボニル化合物のMcMurryカップリング重合は、式(2)で表されるカルボニル化合物1種をMcMurryカップリング重合してもよく、式(2)で表されるカルボニル化合物を含む2種以上のカルボニル化合物をMcMurryカップリング重合してもよい。2種以上のカルボニル化合物をMcMurryカップリング重合する例として、例えば、式(2)で表されるカルボニル化合物2種のMcMurryカップリング重合、式(2)で表される化合物と、他のカルボニル化合物とのMcMurryカップリング重合等が挙げられる。他のカルボニル化合物としては、例えば、−(C=O)−R’(R’は、式(1)のR’と同様である。)で表される基を2個以上含む化合物が挙げられ、例えば、下記式(3)表される化合物等が挙げられる。下記式(3)において、Rは式(1)のRと同様である。式(3)において、Rはそれぞれ独立に選択され、互いに同一でも異なってもよい。
【0046】
【化6】
【0047】
例えば、式(2)で表される化合物1種を用いたMcMurryカップリング重合により、式(1)で表される構造単位を有するホモポリマーを得ることができる。
また、例えば、上述の式(3)で表される化合物と、式(2)で表される化合物として下記式(4)で表される化合物とをMcMurryカップリング重合することで、上述の式(a)で表される構造単位と上述の式(b)で表される構造単位とを有する共重合体を得ることができる。式(4)のRは式(1)のRと同様である。
【0048】
【化7】
【0049】
McMurryカップリング重合に用いる低原子価チタンは、例えば、チタンアルコキシド(例えばチタン酸オルトイソプロピル等)と金属マグネシウム粉末とをハロゲン源(例えばクロロトリメチルシラン等)の存在下で反応させて得ることができる。
McMurryカップリング重合には、例えば、トリエチルアミン等の塩基を用いてよい。
溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等を用いることができる。
【0050】
McMurryカップリング重合は、例えば、チタン酸オルトイソプロピル、金属マグネシウム粉末、クロロトリメチルシラン、トリエチルアミン、及び溶媒としてテトラヒドロフランを用いて行うことができるが、これに限定されない。
【0051】
高分子化合物中から不純物を除去する方法は特に限定されないが、カラムクロマトグラ
フィー法、再結晶法、昇華法、再沈殿法、ソクスレー抽出法、GPC(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー)による分子量分画法、濾過法、イオン交換法、キレート法等を
用いることができる。なかでも、低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー
抽出法、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による分子量分画法が用いられ、これらの方法のうち、複数を組み合わせてもよい。
【0052】
<有機エレクトロニクス材料>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス材料は、上述の高分子化合物Pを含む。
【0053】
[ドーパント]
有機エレクトロニクス材料は、ドーパントを更に含有してもよい。ドーパントは、有機エレクトロニクス材料に添加することでドーピング効果を発現させ、電荷の輸送性を向上させ得る化合物であればよく、特に制限はない。ドーピングには、p型ドーピングとn型ドーピングがあり、p型ドーピングではドーパントとして電子受容体として働く物質が用いられ、n型ドーピングではドーパントとして電子供与体として働く物質が用いられる。正孔輸送性の向上にはp型ドーピング、電子輸送性の向上にはn型ドーピングを行うことが好ましい。有機エレクトロニクス材料に用いられるドーパントは、p型ドーピング又はn型ドーピングのいずれの効果を発現させるドーパントであってもよい。また、1種のドーパントを単独で添加しても、複数種のドーパントを混合して添加してもよい。
【0054】
p型ドーピングに用いられるドーパントは、電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属化合物、イオン化合物、ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HNO、HSO、HClO等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、1−ブタンスルホン酸、ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、AlCl、NbCl、TaCl、MoF;イオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF(ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF(テトラフルオロホウ酸イオン)、PF(ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして前記プロトン酸の共役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000−36390号公報、特開2005−75948号公報、特開2003−213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。なかでも、オニウム塩が特に好ましく用いられる。
【0055】
オニウム塩は、オニウムイオンを含む化合物である。オニウム塩としては、例えば、アンモニウム、ホスホニウム、オキソニウム、スルホニウム、ヨードニウム等のオニウムイオンを含む塩が挙げられる。例えば、前記イオン化合物の例からオニウム塩を選択し、使用することができる。
【0056】
n型ドーピングに用いられるドーパントは、電子供与性の化合物であり、例えば、Li、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;LiF、CsCO等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩;金属錯体;電子供与性有機化合物などが挙げられる。
【0057】
有機層の溶解度の変化を容易にするために、ドーパントとして、重合性官能基に対する重合開始剤として作用し得る化合物を用いることが好ましい。ドーパントとしての機能と重合開始剤としての機能とを兼ねる物質として、例えば、前記オニウム塩が挙げられる。
【0058】
[重合開始剤]
高分子化合物Pが重合性官能基を有する場合、有機エレクトロニクス材料は、好ましくは、重合開始剤を含有する。重合開始剤として、公知のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等を使用できる。インク組成物を簡便に調製できる観点から、ドーパントとしての機能と重合開始剤としての機能とを兼ねる物質を用いることが好ましい。ドーパントとしての機能も備えた重合開始剤として、例えば、前記オニウム塩が挙げられる。オニウムの例として、前記パーフルオロアニオンを有する塩が挙げられ、具体例には、パーフルオロアニオンとヨードニウムイオン又はアンモニウムイオンとの塩が含まれる。これらの例を以下に挙げる。
【0059】
[他の任意成分]
有機エレクトロニクス材料は、他の電荷輸送性材料(電荷輸送性ポリマー及び/又は電荷輸送性低分子化合物)等を更に含有してもよい。
【0060】
[含有量]
高分子化合物Pの含有量は、良好な電荷輸送性を得る観点から、有機エレクトロニクス材料の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。100質量%とすることも可能である。
【0061】
ドーパントを含有する場合、その含有量は、有機エレクトロニクス材料の電荷輸送性を向上させる観点から、有機エレクトロニクス材料の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、有機エレクトロニクス材料の全質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0062】
重合開始剤を含有する場合、その含有量は、高分子化合物Pの硬化性を向上させる観点から、有機エレクトロニクス材料の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、電荷輸送性を良好に保つ観点から、有機エレクトロニクス材料の全質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0063】
<インク組成物>
有機エレクトロニクス材料は、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料と該材料を溶解又は分散し得る溶媒とを含有するインク組成物として用いることが好ましい。インク組成物を用いることによって、塗布法といった簡便な方法によって有機層を容易に形成できる。
【0064】
[溶媒]
溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン;シクロヘキサン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族炭化水素;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等であり、より好ましくは、芳香族炭化水素である。
【0065】
[添加剤]
インク組成物は、更に、任意成分として添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0066】
[含有量]
インク組成物における溶媒の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。例えば、溶媒の含有量は、溶媒に対し高分子化合物Pの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、溶媒の含有量は、溶媒に対し高分子化合物Pの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。
【0067】
<有機層>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子は、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料又はインク組成物を用いて形成された有機層を含む。インク組成物を用いることによって、塗布法により有機層を良好に形成できる。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布法によって有機層を形成する場合、塗布後に得られた有機層(塗布層)を、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
【0068】
高分子化合物Pが重合性官能基を有する場合、光照射、加熱処理等により高分子化合物Pの重合反応を進行させ、有機層の溶解度を変化させてもよい。溶解度を変化させた有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。有機層の形成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
【0069】
乾燥後又は硬化後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。
【0070】
<有機エレクトロニクス素子>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、少なくとも前記実施形態の有機層を有する。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。
【0071】
<有機EL素子>
本発明の実施形態である有機EL素子は、少なくとも前記実施形態の有機層を有する。有機EL素子は、通常、発光層、陽極、陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等の他の機能層を備えている。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有する。
【0072】
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、前記実施形態の有機層からなる正孔注入層3、正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、及び陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。
【0073】
図1では、正孔注入層3が、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層であるが、本発明の実施形態の有機EL素子はこのような構造に限らず、他の有機層が前記実施形態の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層であってもよい。
【0074】
[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。
【0075】
蛍光材料として、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、スチルベン、色素レーザー用色素、アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。
【0076】
燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)(ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)Ir(acac)(ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C〕イリジウム(アセチル−アセトネート))、Ir(piq)(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ)等が挙げられる。
【0077】
発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料のほかに、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、mCP(1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。
【0078】
熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl. Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117, 5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。
【0079】
[正孔輸送層、正孔注入層]
図1では、正孔注入層3が、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層であるが、有機EL素子はこのような構造に限らず、他の有機層が前記実施形態の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層であってもよい。前記実施形態の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一方として使用することが好ましく、少なくとも正孔注入層として使用することがさらに好ましい。例えば、有機EL素子が、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された層を正孔注入層として有し、さらに正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には公知の材料を使用できる。また、例えば、有機EL素子が、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された層を正孔輸送層として有し、さらに正孔注入層を有する場合、正孔注入層には公知の材料を使用できる。
【0080】
正孔注入層及び正孔輸送層に用いることができる材料として、例えば、芳香族アミン系化合物(例えば、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(α-NPD)等の芳香族ジアミン)、フタロシアニン系化合物、チオフェン系化合物(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホン酸塩)(PEDOT:PSS)等のチオフェン系導電性ポリマー)などが挙げられる。
【0081】
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(例えば、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(TPBi))、キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体(例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq))等が挙げられる。また、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料も使用できる。
【0082】
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。
【0083】
[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。
【0084】
[基板]
基板として、ガラス、プラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有することが好ましい。石英ガラス、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
【0085】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルムが挙げられる。
【0086】
樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
【0087】
[発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好まし
【0088】
白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の2つの発光極大波長を含有する組み合わせなどが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。
【0089】
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の実施形態である表示素子は、前記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。
【0090】
また、本発明の実施形態である照明装置は、本発明の実施形態の有機EL素子を備えている。さらに、本発明の実施形態である表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして本発明の実施形態である照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とできる。
【0091】
本発明の実施形態は下記のものを含む。本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
<1> 下記式(1)で表される構造単位を有する高分子化合物。
【化8】
(式(1)中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。)
【0092】
<2> 数平均分子量が1,000〜100,000である、<1>に記載の高分子化合物。
<3> 電荷輸送性材料として使用される、<1>又は<2>に記載の高分子化合物。
【0093】
<4> 下記式(2)で表される化合物を含むカルボニル化合物をMcMurryカップリング重合することを含む、高分子化合物の製造方法。
【化9】
(式(2)中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)
【0094】
<5> <1>〜<3>のいずれか1項に記載の高分子化合物を含む、有機エレクトロニクス材料。
<6> ドーパントをさらに含む、<5>に記載の有機エレクトロニクス材料。
<7> 重合開始剤をさらに含む、<5>に記載の有機エレクトロニクス材料。
<8> 前記重合開始剤が熱重合開始剤である<7>に記載の有機エレクトロニクス材料。
<9> 前記重合開始剤がイオン化合物である<7>又は<8>に記載の有機エレクトロニクス材料。
<10> 前記重合開始剤がドーパントとしても機能している、<7>〜<9>のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料。
<11> <5>〜<10>のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料と、溶媒とを含む、インク組成物。
【0095】
<12> <5>〜<10>のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料、又は<11>に記載のインク組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロニクス素子。
<13> <5>〜<10>のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料、又は<11>に記載のインク組成物を用いて形成された有機層を有する、有機エレクトロルミネセンス素子。
<14> フレキシブル基板をさらに有する、<13>に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
<15> 前記フレキシブル基板が樹脂フィルムを含む、<14>に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
<16> <13>〜<15>のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
<17> <13>〜<15>のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
<18> <17>に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置。
【実施例】
【0096】
<モノマーの合成>
【0097】
化合物1(4,4’-((エトキシフェニル)アザネジイル)ジベンゾニトリル)の合成
【0098】
【化10】
【0099】
上記の化合物1を下記のようにして得た。
アルゴン雰囲気下、4-フルオロベンソニトリル(2.91 g 24 mmol)、炭酸セシウム(13.0 g, 40 mmol)のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)(33 mL)混合液に4-エトキシアニリン(1.25 ml, 10 mmol)を加え、150℃で48時間撹拌した。反応液を冷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトで濾過した。ろ液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物を64%の収率で得た。
生成物(化合物1)のH−NMR(核磁気共鳴)測定を行った。化合物1のH−NMRスペクトルを図2に示す。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ7.50 (d, J = 7.5 Hz, 4H, Ar), 7.08 (d, J = 7.5 Hz, 4H, Ar), 7.05 (d, J = 7.0 Hz, 2H, Ar), 6.92 (d, J = 7.0 H, 2H, Ar), 4.05 (q, J = 6.0 Hz, 2H, CH2), 1.44 (t, J = 6.0 Hz, 3H, CH3).
【0100】
モノマー1(4,4’-((エトキシフェニル)アザネジイル)ジベンズアルデヒド)の合成
【0101】
【化11】
【0102】
上記で得られた化合物1から、上記モノマー1を下記のようにして得た。
アルゴン雰囲気下、化合物1(0.65 g, 1.92 mmol)のTHF(テトラヒドロフラン)(19 mL)溶液を-50℃に冷却し、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.02 M ヘキサン,溶液 5.64 mL, 5.76mmol)を滴下し、-20℃で一晩撹拌した。水:酢酸(5 : 1 v/v)の混合液を加え、室温で1時間撹拌した。その後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトで濾過し、ろ液を濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物を57%の収率で得た。
生成物(モノマー1)のH−NMR測定を行った。モノマー1のH−NMRスペクトルを図3に示す。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ9.88 (s, COH, 2H) 7.75 (d, J = 7.5 Hz, 4H, Ar), 7.16 (d, J = 7.0Hz, 4H, Ar), 7.09 (d, J = 7.5 Hz, 2H, Ar), 6.92 (d, J = 7.5 Hz, 2H, Ar), 4.06 (q, J = 6.0 Hz, 2H, OCH2), 1.25 (t, J = 6.5 Hz, 3H, CH3).
【0103】
モノマー2(1,1’-((4-エトキシフェニル)アザネジイル)ビス(4,1-フェニレン)ジエタノン)の合成
【0104】
【化12】
【0105】
上記で得られた化合物1から、上記モノマー2を下記のようにして得た。
アルゴン雰囲気下、化合物1(0.17 g, 0.55 mmol)のTHF(3.6 mL)溶液を0℃に冷却し、メチルマグネシウムブロミド(1.41 M THF溶液, 1.17 mL, 1.65mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止を行い、酢酸エチルで抽出し、有機層をと飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライトで濾過し、ろ液を濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物を89%の収率で得た。
生成物(モノマー2)のH−NMR測定を行った。モノマー2のH−NMRスペクトルを図4に示す。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ8.02 (d, J = 7.5 Hz, 4H, Ar) 7.04-7.14 (m, 6H), 6.91 (d, J = 7.5 Hz, 4H, Ar), 4.05 (q, J = 6.0 Hz, 2H, OCH2) 2.61 (s, 3H, COCH3), 1.43 (t J = 6.0 Hz, 3H, CH3).
【0106】
<電荷輸送性材料(電荷輸送性ポリマー)の合成>
【0107】
高分子化合物A(polymer A)の合成
【0108】
【化13】
【0109】
金属マグネシウム粉末(97 mg, 4.0 mmol)、上記モノマー3(4,4’−((フェニル)アザネジイル)ジベンズアルデヒド)(0.33 g, 1.0 mmol)、トリエチルアミン(0.72 mL, 5.2 mmol)、チタン酸オルトイソプロピル(0.77 mL, 2.6 mmol)のTHF(5 mL)混合液にクロロトリメチルシラン(0.37 mL, 2.6 mmol)を加え、55 ℃で48時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止を行い、セライトで濾過し、ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄を行い、硫酸マグネシウムで乾燥した。セライトで濾過し、ろ液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物を塩化メチレンに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、黄色粉末の高分子化合物Aを76%の収率で得た。
得られた高分子化合物AのH−NMR測定を行った。高分子化合物AのH−NMRスペクトルを図5に示す。
1H NMR (CDCl3, 600MHz):δ9.82, 9.73, and 9.68 (each s, remaining CHO) 6.75 - 7.75 (m, Ar).
得られた高分子化合物Aの数平均分子量Mnは4,292であり、重量平均分子量Mwは5,270であった。Mw/Mn = 1.23であった。
【0110】
数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した。測定条件は下記の通りである。
送液ポンプ:L−6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV−Vis検出器:L−3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム:Gelpack(登録商標) GL−A160S/GL−A150S 日立化成(株)
溶離液:THF(HPLC用、安定剤を含まない) 和光純薬工業(株)
流速:1mL/min
カラム温度:室温
分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0111】
高分子化合物B(polymer B)の合成
【0112】
【化14】
【0113】
金属マグネシム粉末(58 mg, 2.4 mmol)、上記モノマー1(0.2 g, 0.6 mmol)、トリエチルアミン(0.44 mL, 3.1 mmol)、チタン酸オルトイソプロピル(0.46 mL, 1.6 mmol)のTHF (3.0 mL)混合液にクロロトリメチルシラン(0.20 mL, 1.6 mmol)を加え,55 ℃で48時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止を行い,セライトで濾過し,ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄を行い,硫酸マグネシウムで乾燥した。セライトで濾過し,ろ液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物を塩化メチレンに溶解させ,メタノールで再沈殿を行い,黄色粉末の高分子化合物Bを71%の収率で得た。
得られた高分子化合物BのH−NMR測定を行った。高分子化合物BのH−NMRスペクトルを図6に示す。
1H NMR (CDCl3, 600MHz): δ9.82 and 9.71 (each broad s, remaining CHO), 6.71 - 7.80 (m, Ar), 3.80 - 4.05 (m, OCH2), 1.00 - 1.42 (m, CH3).
高分子化合物Aと同様に測定した高分子化合物Bの数平均分子量Mnは4,225であり、重量平均分子量Mwは5,788であった。Mw/Mn = 1.37であった。
【0114】
高分子化合物C(polymer C)の合成
【0115】
【化15】
【0116】
金属マグネシム粉末(68 mg, 2.8 mmol)、モノマー2(0.27 g, 0.7 mmol)、トリエチルアミン(0.51 mL, 3.6 mmol)、チタン酸オルトイソプロピル(0.54 mL, 1.8 mmol)のTHF(3.5 mL)混合液にクロロトリメチルシラン(0.23 mL, 1.8 mmol)を加え、55 ℃で48時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止を行い、セライトで濾過し、ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄を行い、硫酸マグネシウムで乾燥した。セライトで濾過し、ろ液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物を塩化メチレンに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、黄色粉末の高分子化合物Cを76%の収率で得た。
【0117】
得られた高分子化合物CのH−NMR測定を行った。高分子化合物CのH−NMRスペクトルを図7に示す。
1H NMR (CDCl3, 600MHz):δ6.30 - 8.10 (m, Ar), 3.60 - 4.20 (m, OCH2), 3.15 - 3.35 (m, C=CCH3), 2.35 (s, remaining COCH3), 0.90 - 1.30 (m, CH3).
高分子化合物Aと同様に測定した高分子化合物Cの数平均分子量Mnは3,296であり、重量平均分子量Mwは3,757であった。Mw/Mn = 1.14であった。
【0118】
共重合体D(co−polymer D)の合成
【0119】
【化16】
【0120】
金属マグネシム粉末(97 mg, 4.0 mmol)、モノマー3(0.17 g, 0.5 mmol)、モノマー4(2,5−ビス(ヘキシルオキシ)テレフタルアルデヒド)(0.15 g, 0.5 mmol)、トリエチルアミン(0.72 ml, 5.2 mmol)、チタン酸オルトイソプロピル(0.77 mL, 2.6 mmol)のTHF (5 mL)混合液にクロロトリメチルシラン(0.37 mL, 2.6 mmol)を加え、55 ℃で12時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止を行い、セライトで濾過し、ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄を行い、硫酸マグネシウムで乾燥した。セライトで濾過し、ろ液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物を塩化メチレンに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、黄色粉末の高分子化合物(共重合体D)を40%の収率で得た。
【0121】
得られた共重合体DのH−NMR測定を行った。共重合体DのH−NMRスペクトルを図8に示す。
1H NMR (CDCl3, 600MHz):δ9.83 and 9.74 (each s, remaining CHO), 6.50 - 7.80 (m, Ar), 4.59 (m, C[H]OH), 3.50 - 3.90(m, OCH2), 0.95 - 1.85 (m, CH2) 0.65 - 0.95 (m,CH3).
高分子化合物Aと同様に測定した共重合体Dの数平均分子量Mnは3,793 であり、重量平均分子量Mwは5,035であった。Mw/Mn =1.33であった。
【0122】
<有機EL素子の作製>
高分子化合物A(10.0mg)をトルエン(455μL)に溶解し、ポリマー溶液を得た。また、下記のオニウム塩1(10.0mg)をトルエン(1000μL)に溶解し、オニウム塩溶液を得た。得られたポリマー溶液とオニウム塩溶液(111μL)とを混合し、電荷輸送性ポリマー1を含有するインク組成物1を調製した。大気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、インク組成物1を3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、30分間加熱し、正孔注入層(80nm)を形成した。
【0123】
【化17】
【0124】
その後、ガラス基板を、真空蒸着機中に移し、正孔注入層の上に、正孔輸送層であるα―NPD(20nm)、正孔輸送層上にCBP:Ir(ppy)(94:6、30nm)、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.8nm)、及びAl(100nm)の順に蒸着法で成膜し、封止処理を行って実施例1の有機EL素子を作製した。
【0125】
<有機EL素子の評価>
上記で得た実施例1の有機EL素子に電圧を印加したところ緑色発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度1,000cd/m時の駆動電圧及び発光効率、並びに、初期輝度5,000cd/mにおける発光寿命(輝度半減時間)を測定した。測定結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
【符号の説明】
【0127】
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8