【実施例】
【0025】
ポリオレフィンとして低密度ポリエチレン(LDPE):MFR2、密度0.924kg/m
3、品番UBEポリエチレンF224C、宇部丸善ポリエチレン株式会社製を用い、重曹:三協化成株式会社製セルマイク266、p,p'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH):永和化成工業社製ネオセルボンN#5000、アゾジカルボンアミド(ADCA):永和化成工業社製パンスレンH7310を、
図1の配合とした。さらに架橋剤(
図1に示さず)として化薬アクゾ株式会社製カヤクミルD−40CをLDPE100重量部に対して2.7重量部配合した混合物をニーダーにて混練し、その後ロールにて混練し、実施例1〜7及び比較例1〜6の発泡性樹脂組成物を得た。混練は、1Lニーダーを用いて90℃の温度で20分間行った。
【0026】
前記発泡性樹脂組成物を用い、実施例1〜4については一段発泡により製造し、実施例5、6及び比較例1〜6については二段発泡より製造した。
実施例1〜4は、混練後の発泡性樹脂組成物を、発泡型に充填して加圧下加熱し、除圧して発泡させ、発泡型からポリオレフィン系架橋発泡体を取り出した。発泡型の成形空間は、縦160mm、横160mm、深さ33mm、容積0.85Lである。発泡性樹脂組成物の充填量は、何れも900g、加圧は7Pa、加熱は135℃で50分間である。
【0027】
実施例5、6及び比較例1〜6は、混練後の発泡性樹脂組成物を一次発泡型に充填して加圧下加熱し、除圧して発泡させ、その後に一次発泡型から一次発泡体を取り出す一次発泡工程を行い、得られた一次発泡体を二次発泡型に収容し、常圧下二次加熱による二次発泡を行って、二次発泡型からポリオレフィン系架橋発泡体を取り出した。
【0028】
一次発泡型の成形空間は、縦160mm、横160mm、深さ33mm、容積0.85Lである。発泡性樹脂組成物の充填量は、何れも900g、加圧は7Pa、加熱は130℃で50分間である。
二次発泡型の成形空間は、縦300mm、横300mm、深さ55mm、容積1.5Lである。加熱は150℃で50分間である。
【0029】
各実施例及び各比較例における密度(JIS K 6767準拠)、発泡倍率、アンモニア濃度、ガラス霞度(ISO6452準拠)、収縮を測定した。測定結果は
図1に示す。
【0030】
発泡倍率は、上記式1により算出した。
アンモニア濃度は、丸底フラスコに0.1gのサンプルを投入し、80℃のオーブンで2時間加熱し、その後冷えないうちに10〜1000ppmを測定できるガステック製検知管(品番:3M)で粗々の値を測定した後、100ppm未満を測定できる、精度の良いガステック検知管(品番:3L)にてアンモニア濃度を測定した。
ガラス霞度(フォギング)は、サンプルをガラス板で遮蔽した状態で80℃×20時間加熱し、ガラス板に付着した曇り度を日本電色工業株式会社製(品番:NDH−20H)により測定した。
収縮は、発泡型から取り出した直後の発泡体の厚み寸法と、発泡型から取り出してから24時間後の厚み寸法との差分を測定し、その差分を発泡型から取り出した直後の発泡体の厚み寸法に対する比率で表した。収縮が5.0%以下の場合に「〇」とし、5.0%を超える場合は「×」とした。
総合判定は、アンモニア濃度が0ppm〜100ppm、ガラス霞度が5%以下、収縮が5.0%以下の条件を全て満たす場合に「〇」とし、一つでも外れる場合に「×」とした。
【0031】
実施例1は、発泡剤の量が3.0重量部、OBSH/重曹の重量比が6/4の例である。実施例1は、アンモニア濃度15ppm、ガラス霞度0.7%、密度150kg/m
3、発泡倍率6.7倍、収縮2.1%であり、総合評価「〇」である。
【0032】
実施例2は、発泡剤の量が3.0重量部、OBSH/重曹の重量比が2/1の例である。実施例2は、アンモニア濃度25ppm、ガラス霞度2.3%、密度140kg/m
3、発泡倍率7.0倍、収縮2.1%であり、総合評価「〇」である。
【0033】
実施例3は、発泡剤の量が7.0重量部、OBSH/重曹の重量比が6/4の例である。実施例3は、アンモニア濃度5ppm、ガラス霞度0.3%、密度80kg/m
3、発泡倍率12.5倍、収縮2.3%であり、総合評価「〇」である。
【0034】
実施例4は、発泡剤の量が7.0重量部、OBSH/重曹の重量比が76/24の例である。実施例4は、アンモニア濃度40ppm、ガラス霞度2.1%、密度75kg/m
3、発泡倍率13.3倍、収縮2.6%であり、総合評価「〇」である。
【0035】
実施例5は、発泡剤の量が25.0重量部、OBSH/重曹の重量比が6/4の例である。実施例5は、アンモニア濃度20ppm、ガラス霞度0.4%、密度33kg/m
3、発泡倍率30.0倍、収縮3.6%であり、総合評価「〇」である。
【0036】
実施例6は、発泡剤の量が35.0重量部、OBSH/重曹の重量比が6/4の例である。実施例6は、アンモニア濃度15ppm、ガラス霞度0.5%、密度25kg/m
3、発泡倍率40.0倍、収縮3.4%であり、総合評価「〇」である。
【0037】
比較例1は、発泡剤の量が7.0重量部、OBSH/重曹の重量比が0/7の例であり、OBSHが含まれていない。比較例1は、アンモニア濃度0ppm、ガラス霞度0.1%、密度200kg/m
3、発泡倍率5倍、収縮7.2%であり、総合評価「×」である。比較例1は、アンモニア濃度及びガラス霞度が小さかったが、発泡剤が重曹単独のため、成形後に炭酸ガスが急激に抜けることで、密度が高く、収縮も大きかった。
【0038】
比較例2は、発泡剤の量が7.0重量部、OBSH/重曹の重量比が5/5の例であり、OBSHと重曹の量が等しい。比較例2は、アンモニア濃度30ppm、ガラス霞度2.4%、密度100kg/m
3、発泡倍率10倍、収縮5.8%であり、総合評価「×」である。比較例2は、アンモニア濃度及びガラス霞度については小さかったが、密度が高く、収縮が大きかった。
【0039】
比較例3は、発泡剤の量が7.0重量部、OBSH/重曹の重量比が8/2の例である。比較例3は、アンモニア濃度60ppm、ガラス霞度3.1%、密度180kg/m
3、発泡倍率5.5倍、収縮1.8%であり、総合評価「×」である。比較例3は、密度が高く、発泡不足であった。
【0040】
比較例4は、発泡剤の量が7.0重量部、OBSH/重曹の重量比が7/0の例であり、重曹を含まない。比較例4は、アンモニア濃度65ppm、ガラス霞度3.6%、密度230kg/m
3、発泡倍率4.3倍、収縮1.7%であり、総合評価「×」である。比較例4は、発泡剤がOBSH単独のため、架橋が先行して行われ、発泡が十分になされず、密度が高く、発泡不足であった。
【0041】
比較例5は、発泡剤の量が2.0重量部、OBSH/重曹の重量比が6/4の例であり、発泡剤の量が少ない。比較例5は、発泡しないため、アンモニア濃度、ガラス霞度、収縮を測定できず、総合評価「×」である。比較例5は、発泡しないため密度が900kg/m
3と高かった。発泡倍率は1.1倍であった。
【0042】
比較例6は、発泡剤としてADCAを単独で5.0重量部使用した例である。比較例6は、アンモニア濃度900ppm、ガラス霞度22%、密度65kg/m
3、発泡倍率15倍、収縮1.8%であり、総合評価「×」である。比較例6は、発泡剤としてADCAを使用するため、アンモニア濃度及びガラス霞度が何れも高かった。
【0043】
このように、本発明では、残留するアンモニア濃度が低く、アンモニアによる汚染、腐食を防ぐことができるポリオレフィン系架橋発泡体が得られる。