【実施例】
【0020】
以下の原料成分を用い、
図1の表に示す配合からなるポリプロピレン樹脂組成物のペレットを押出成形機で作製し、射出成形により、ISO多目的試験片および100×200×2mmの板状のポリプロピレン樹脂成形体を作成した。
【0021】
ポリプロピレン:品名;ノバテックPP BC05GS、日本ポリプロ社製
酸変性ポリプロピレン:マレイン酸変性ポリプロピレン、品名;ユーメックス1001、三洋化成社製
タルク:品名;SK−7800、海城社製
有機変性クレー:品名;Garamite(登録商標)1958、BYK Chemie GmbH社製
【0022】
実施例及び比較例のポリプロピレン樹脂成形体に対して、引張試験(ISO 527準拠)、弾性率試験(ISO 527準拠)、耐傷付き性試験(引掻き試験)を行った。引張試験で用いた試験片は、ISO多目的試験片形状である。弾性率試験は、剛性を判断するために行い、用いた試験片はISO多目的試験片形状である。
【0023】
耐傷付き性試験の方法は、エリクセン社製引掻き硬度計(先端径0.75mm)を用いて、荷重10N、50mm/sの速度で50mmの直線に引掻き、目視にて傷の程度及び白化の有無を確認した(n=3)。
【0024】
引張試験の評価は、最大点応力の値が20Mpa未満「×」、20〜30MPa未満「〇」、30MPa以上「◎」とした。
弾性率試験の評価は、弾性率が2000MPa未満「×」、2000〜2400MPa未満「〇」、2500MPa以上「◎」とした。
耐傷付き性の評価は、明らかに白化が見られるもの「×」、白化がみられないものの、傷が少しあるもの「〇」、白化が見られず、傷も目立っていないもの「◎」とした。
【0025】
また、総合評価は、各評価の最も悪い評価を総合評価とした。すなわち、各評価に1つでも「×」がある場合に総合評価「×」、各評価に「×」が無く、「△」が1つでもある場合に総合評価「△」、各評価に「×」及び「△」が無く、「〇」のみまたは「〇」と「◎」の場合に総合評価「〇」、各評価が「◎」のみの場合に総合評価「◎」とした。
【0026】
実施例1は、ポリプロピレン95重量部と有機変性クレー5重量部(5重量%)からなる例である。実施例1は、比重0.93、引張試験の最大点応力23.0MPa、評価「〇」、弾性率2000MPa、評価「〇」、耐傷付き性の評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0027】
実施例2は、ポリプロピレン90重量部と有機変性クレー10重量部(10重量%)からなる例である。実施例2は、比重0.95、引張試験の最大点応力25.0MPa、評価「〇」、弾性率2600MPa、評価「◎」、耐傷付き性の評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0028】
実施例3は、ポリプロピレン85重量部と有機変性クレー15重量部(15重量%)からなる例である。実施例3は、比重1.00、引張試験の最大点応力26.0MPa、評価「〇」、弾性率2800MPa、評価「◎」、耐傷付き性の評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0029】
実施例4は、ポリプロピレン80重量部と有機変性クレー20重量部(20重量%)からなる例である。実施例4は、比重1.04、引張試験の最大点応力27.0MPa、評価「〇」、弾性率3000MPa、評価「◎」、耐傷付き性の評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0030】
実施例5は、ポリプロピレン70重量部、酸変性ポリプロピレン20重量部、有機変性クレー10重量部(10重量%)からなる例である。実施例5は、比重0.96、引張試験の最大点応力41.0MPa、評価「◎」、弾性率3200MPa、評価「◎」、耐傷付き性の評価「◎」であり、総合評価「◎」であった。
【0031】
実施例6は、ポリプロピレン85重量部、酸変性ポリプロピレン10重量部、有機変性クレー5重量部(5重量%)の例である。実施例6は、比重0.93、引張試験の最大点応力24.0MPa、評価「〇」、弾性率2500MPa、評価「◎」、耐傷付き性の評価「◎」であり、総合評価「〇」であった。
【0032】
実施例7は、ポリプロピレン90重量部、酸変性ポリプロピレン6重量部、有機変性クレー4重量部(4重量%)からなる例である。実施例7は、比重0.93、引張試験の最大点応力22.0MPa、評価「〇」、弾性率2100MPa、評価「〇」、耐傷付き性の評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0033】
比較例1は、実施例4における有機変性クレー20重量部に代えてタルク20重量部を添加した例であり、ポリプロピレン80重量部とタルク20重量部とからなり、酸変性ポリプロピレン及び有機変性クレーを含まない例である。比較例1は、比重1.05、引張試験の最大点応力22.0MPa、評価「〇」、弾性率2200MPa、評価「〇」、耐傷付き性の評価「×」であり、総合評価「×」であった。タルクを含む比較例1は、有機変性クレーを含む実施例4と比べて比重が大、弾性率(剛性)が小、さらに耐傷付き性が悪いものであった。
【0034】
比較例2は、ポリプロピレン92.5重量部、酸変性ポリプロピレン5重量部、有機変性クレー2.5重量部(2.5重量%)からなる例である。比較例2は、比重0.92、引張試験の最大点応力18.5MPa、評価「×」、弾性率1750MPa、評価「×」、耐傷付き性の評価「〇」であり、総合評価「×」であった。比較例2は、有機変性クレーの量が、本発明における有機変性クレーの下限である3重量%よりも少ない2.5重量%であるため、引張試験の最大点応力及び弾性率(剛性)の何れも実施例1〜7と比べて悪くなった。
【0035】
このように、本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂組成物中に、有機変性クレーを3〜30重量%含み、タルクを含まないため、剛性及、耐傷付き性及び軽量性に優れ、車両用部品としてのポリプロピレン樹脂成形体に好適な素材である。