【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0059】
1.感光性ウレタン樹脂の合成
(合成例1:感光性ウレタン樹脂(A)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた2リットルのフラスコに、アジピン酸を365g、無水マレイン酸を245g、1,6−ヘキサンジオールを661g仕込み、130℃まで加熱し、210℃まで4時間かけて昇温させた後、210℃でさらに2時間反応を行った。この間134gの縮合水を系外に取り出した。その後100℃まで冷却し、ハイドロキノン0.11gを添加して、主鎖中に不飽和結合を有するポリエステルポリオール(PE−1)を得た。
得られたポリエステルポリオール(PE−1)の主鎖中の不飽和結合量は2.20mmol/g、OH価は59.5mgKOH/g、数平均分子量(GPC測定、PMMA換算)は2,000であった。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、ポリエステルポリオール(PE−1)を1000g、グリセリンモノメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマー(登録商標)GLM」(製品名))(以下、GMA)を170g、ジメチロールブタン酸(以下、DMBA)を275g、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDI)を650g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン698gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、メチルエチルケトン(以下、MEK)1397gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(A))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(A)における主鎖中の不飽和結合量は1.05mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.89mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(A)について、JIS K0070により酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は12,000であった。
尚、ポリエステルポリオールおよび感光性ウレタン樹脂の数平均分子量は、東ソー株式会社製GPC装置HCL−8320に、カラムTSKgel SuperMultipore HZ−M (2本)を、溶離液にはTHFを用いて測定し、標準溶液のポリメチルメタアクリレートにて換算した。
【0060】
(合成例2:感光性ウレタン樹脂(B)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、宇部興産株式会社製ポリカーボネートジオール「エタナコール(登録商標)UH−200」(製品名)(水酸基価56.2mgKOH/g、数平均分子量2,200)を1000g、GMAを160g、DMBAを260g、IPDIを614g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン678gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1356gで系内を樹脂分50%となるように希釈して目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(B))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(B)における主鎖中の不飽和結合量は0mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.86mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(B)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は15,000であった。
【0061】
(合成例3:感光性ウレタン樹脂(C)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた2リットルのフラスコに、アジピン酸を730g、1,6−ヘキサンジオールを661g仕込み、130℃まで加熱し、210℃まで4時間かけて昇温させた後、210℃でさらに2時間反応を行った。この間179gの縮合水を系外に取り出した。その後100℃まで冷却してポリエステルポリオール(PE−2)を得た。
得られたポリエステルポリオール(PE−2)の主鎖中の不飽和結合量は0mmol/g、OH価は57.1mgKOH/g、数平均分子量は2,100であった。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、ポリエステルポリオール(PE−2)を1000g、GMAを163g、DMBAを264g、IPDIを624g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン684gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1367gで系内を樹脂分50%となるように希釈して目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(C))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(C)における主鎖中の不飽和結合量は0mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.87mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(C)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は12,000であった。
【0062】
(合成例4:感光性ウレタン樹脂(D)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、合成例1で得たポリエステルポリオール(PE−1)を1000g、GMAを42.4g、DMBAを392g、IPDIを650g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン695gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1390gで系内を樹脂分50%となるように希釈して目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(D))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(D)における主鎖中の不飽和結合量は1.06mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は1.27mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(D)について、酸価を測定したところ、72mgKOH/g、数平均分子量は13,500であった。
【0063】
(合成例5:感光性ウレタン樹脂(E)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、合成例1で得たポリエステルポリオール(PE−1)を1000g、GMAを446g、DMBAを20g、IPDIを650g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン705gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1411gで系内を樹脂分50%となるように希釈して目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(E))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(E)における主鎖中の不飽和結合量は1.04mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.06mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(E)について、酸価を測定したところ、4mgKOH/g、数平均分子量は9,000であった。
【0064】
(合成例6:感光性ウレタン樹脂(F)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、合成例1で得たポリエステルポリオール(PE−1)を800g、宇部興産製ポリカーボネートジオール「エタナコール(登録商標)UH−200」(製品名)(水酸基価56.2mgKOH/g)を200g、GMAを168g、DMBAを272g、IPDIを643g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン694gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1389gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(F))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(F)における主鎖中の不飽和結合量は0.85mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.88mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(F)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は12,000であった。
【0065】
(合成例7:感光性ウレタン樹脂(G)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、合成例1で得たポリエステルポリオール(PE−1)を600g、宇部興産製ポリカーボネートジオール「エタナコール(登録商標)UH−200」(製品名)(水酸基価56.2mgKOH/g)を400g、GMAを166g、DMBAを269g、IPDIを636g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン690gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1381gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(G))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(G)における主鎖中の不飽和結合量は0.64mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.88mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(G)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は12,000であった。
【0066】
(合成例8:感光性ウレタン樹脂(H)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、合成例1で得たポリエステルポリオール(PE−1)を400g、宇部興産製ポリカーボネートジオール「エタナコール(登録商標)UH−200」(製品名)(水酸基価56.2mgKOH/g)を600g、GMAを164g、DMBAを266g、IPDIを629g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン686gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1372gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(H))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(H)における主鎖中の不飽和結合量は0.43mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.87mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(H)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は12,000であった。
【0067】
(合成例9:感光性ウレタン樹脂(I)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた2リットルのフラスコに、アジピン酸を438g、無水マレイン酸を196g、1,6−ヘキサンジオールを661g仕込み、130℃まで加熱し、210℃まで4時間かけて昇温させた後、210℃でさらに2時間反応を行った。この間143gの縮合水を系外に取り出した。その後100℃まで冷却し、ハイドロキノン0.11gを添加して、主鎖中に不飽和結合を有するポリエステルポリオール(PE−3)を得た。
得られたポリエステルポリオール(PE−3)の主鎖中の不飽和結合量は1.74mmol/g、OH価は59.5mgKOH/g、数平均分子量は2,000であった。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、ポリエステルポリオール(PE−3)を1000g、GMAを170g、DMBAを271g、IPDIを630g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン690gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1381gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(I))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(I)における主鎖中の不飽和結合量は0.84mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.88mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(I)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は11,000であった。
【0068】
(合成例10:感光性ウレタン樹脂(J)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた2リットルのフラスコに、アジピン酸を511g、無水マレイン酸を147g、1,6−ヘキサンジオールを661g仕込み、130℃まで加熱し、210℃まで4時間かけて昇温させた後、210℃でさらに2時間反応を行った。この間152gの縮合水を系外に取り出した。その後100℃まで冷却し、ハイドロキノン0.11gを添加して、主鎖中に不飽和結合を有するポリエステルポリオール(PE−4)を得た。
得られたポリエステルポリオール(PE−4)の主鎖中の不飽和結合量は1.29mmol/g、OH価は59mgKOH/g、数平均分子量は2,000であった。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、ポリエステルポリオール(PE−4)を1000g、GMAを168g、DMBAを265g、IPDIを598g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン677gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1354gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(J))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(J)における主鎖中の不飽和結合量は0.63mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.88mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(J)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は10,000であった。
【0069】
(合成例11:感光性ウレタン樹脂(K)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた2リットルのフラスコに、アジピン酸を584g、無水マレイン酸を98g、1,6−ヘキサンジオールを662g仕込み、130℃まで加熱し、210℃まで4時間かけて昇温させた後、210℃でさらに2時間反応を行った。この間161gの縮合水を系外に取り出した。その後100℃まで冷却し、ハイドロキノン0.11gを添加して、主鎖中に不飽和結合を有するポリエステルポリオール(PE−5)を得た。
得られたポリエステルポリオール(PE−5)の主鎖中の不飽和結合量は1.06mmol/g、OH価は59mgKOH/g、数平均分子量は2,000であった。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、ポリエステルポリオール(PE−5)を1000g、GMAを168g、DMBAを265g、IPDIを598g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン677gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1354gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(K))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(K)における主鎖中の不飽和結合量は0.42mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.88mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(K)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は10,000であった。
【0070】
(合成例12:感光性ウレタン樹脂(L)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、合成例1で得たポリエステルポリオール(PE−1)を1000g、GMAを246g、DMBAを196g、IPDIを640g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン694gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1389gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(L))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(L)における主鎖中の不飽和結合量は1.06mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.64mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(L)について、酸価を測定したところ、36mgKOH/g、数平均分子量は9,500であった。
【0071】
(合成例13:感光性ウレタン樹脂(M)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、合成例1で得たポリエステルポリオール(PE−1)を300g、宇部興産株式会社製ポリカーボネートジオール「エタナコール(登録商標)UH−200」(製品名)(水酸基価56.2mgKOH/g)を700g、GMAを163g、DMBAを264g、IPDIを625g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン684gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1368gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(M))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(M)における主鎖中の不飽和結合量は0.32mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.87mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(M)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は12,000であった。
【0072】
(合成例14:感光性ウレタン樹脂(N)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた2リットルのフラスコに、アジピン酸を620.5g、無水マレイン酸を73.5g、1,6−ヘキサンジオールを664g仕込み、130℃まで加熱し、210℃まで4時間かけて昇温させた後、210℃でさらに2時間反応を行った。この間166gの縮合水を系外に取り出した。その後100℃まで冷却し、ハイドロキノン0.11gを添加して、主鎖中に不飽和結合を有するポリエステルポリオール(PE−6)を得た。
得られたポリエステルポリオール(PE−6)の主鎖中の不飽和結合量は0.63mmol/g、OH価は59.5mgKOH/g、数平均分子量は2,000であった。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、ポリエステルポリオール(PE−6)を1000g、GMAを153g、DMBAを255g、IPDIを570g仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン659gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1319gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(N))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(N)における主鎖中の不飽和結合量は0.32mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.87mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(N)について、酸価を測定したところ、50mgKOH/g、数平均分子量は10,000であった。
【0073】
(合成例15:感光性ウレタン樹脂(O)の合成)
攪拌機、温度計および冷却管を備えた5リットルのフラスコに、合成例1で得たポリエステルポリオール(PE−1)を1000g、GMAを272g、DMBAを173g、IPDIを656gを仕込み、反応系内が樹脂分75%となるようにトルエン700gをさらに仕込み100℃とした。NCO基がなくなるまで100℃で反応を行った後、MEK1400gで系内を樹脂分50%となるように希釈を行い目的のポリウレタン樹脂溶液(感光性ウレタン樹脂(O))を得た。
この感光性ウレタン樹脂(O)における主鎖中の不飽和結合量は1.05mmol/g、アニオン性基(カルボキシル基)の量は0.56mmol/gとなる。
また得られた感光性ウレタン樹脂(O)について、酸価を測定したところ、32mgKOH/g、数平均分子量は9,500であった。
【0074】
2.光硬化性樹脂組成物の物性評価
表1〜表3に示す配合割合にて各成分を配合し、ミキサーにて混合させて、実施例1〜18、比較例1〜6の光硬化性樹脂組成物を得た。なお、表中の数値は質量部数を示しており、固形分換算に基づく質量部数である。また、熱硬化剤の当量数(eq)は感光性ウレタン樹脂のカルボキシル基量に対する当量数を示す。
【0075】
2−1.ドライフィルムの作製
上記で得た光硬化性樹脂組成物を、乾燥後の厚さが25μmの厚みとなるように25μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、110℃で5分間乾燥させた後、塗布面側にポリエチレンフィルムを貼り合わせてドライフィルムを得た。
【0076】
2−2.耐現像性の評価
(1)試験片の作製
ドライフィルムのポリエチレンフィルムを剥離し、25μm厚のポリイミドフィルム(株式会社有沢製作所製「PKRW 1012RAH」のCu箔をフルエッチング)へ真空ラミネートにより貼り合わせ試験片を作製した。真空ラミネートは、真空度3hPa、熱板温度60℃、プレス圧力0.5MPa、プレス時間10秒にて実施した。
【0077】
(2)測定方法及び判定基準
超高圧水銀ランプにて300mJ/cm
2の紫外線を照射した後、PETフィルムを剥
離し、30℃、1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.18MPaで90秒間現像を行った。下記の判定基準に従い、光硬化性樹脂組成物の耐現象性を評価した。結果を表1〜表3に示す。
〔判定基準〕
○:光硬化性樹脂組成物に異常無し
×:光硬化性樹脂組成物に膨れ、剥がれ発生
【0078】
2−3.はんだ耐熱性の評価(フラックス耐性)
(1)試験片の作製
ドライフィルムのポリエチレンフィルムを剥離し、35μm厚の電解銅箔へ真空ラミネートにより貼り合わせた。真空ラミネートは、真空度3hPa、熱板温度60℃、プレス圧力0.5MPa、プレス時間10秒にて実施した。真空ラミネート後、超高圧水銀ランプにて300mJ/cm
2の紫外線を照射した。照射後、PETフィルムを剥離し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.18MPaで60秒間現像を行った。現像後、高圧水銀ランプにて1,000mJ/cm
2の紫外線を照射した。照射後、熱風循環式乾燥機にて、150℃、90分硬化させ、試験片を作製した。
【0079】
(2)測定方法及び判定基準
はんだ槽にはんだを投入し、250℃に設定したはんだ液を準備した。試験片の光硬化性樹脂組成物層側の表面に、千住金属工業株式会社製フラックス(品番:WF−6317)を塗布した。塗布後、光硬化性樹脂組成物層側の面が上になるようにしてはんだ槽に10秒間フロートさせた。10秒後、試験片を取り出し、試験片に膨れ・剥がれがあるか否かを目視にて確認した。上記試験を1回とし、最大3回まで繰り返し試験を行い、下記判定基準に従って耐熱性を評価した。結果を表1〜表3に示す。
〔判定基準〕
◎:3回繰り返しても試験片に膨れ・剥がれ無し
○:2回繰り返しても試験片に膨れ・剥がれ無し
×:2回未満で試験片に膨れ・剥がれ発生
【0080】
2−4.折り曲げ性の評価
(1)試験片の作製
25μm厚のポリイミド製基材の片側に、厚さ12μm、ライン幅75μm、スペース幅70μmの銅のストレート回路パターンを設けたフレキシブル銅張積層板(株式会社有沢製作所製「PNS H1012RAH」)を準備した。ドライフィルムのポリエチレンフィルムを剥離し、フレキシブル銅張積層板へ真空ラミネートにより貼り合わせた。真空ラミネートは、真空度3hPa、熱板温度60℃、プレス圧力0.5MPa、プレス時間10秒にて実施した。真空ラミネート後、超高圧水銀ランフ゜にて300mJ/cm
2の紫外線を照射した。照射後、PETフィルムを剥離し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.18MPaで60秒間現像を行った。現像後、高圧水銀ランプにて1,000mJ/cm
2の紫外線を照射した。照射後、熱風循環式乾燥機にて、
150℃、90分硬化させ試験片を作製した。
【0081】
(2)測定方法及び判定基準
試験片を10mm×100mmにカットし、光硬化性樹脂組成物層が外側になるようにして試験片180°折り曲げた後(ハゼ折り)、折り曲げ部に500gの荷重をかけて10秒間保持した。10秒後、試験片を0°に戻し、折り曲げ部に500gの荷重をかけて10秒間保持した。折り曲げ部をデジタルマイクロスコープで観察し、ドライフィルム表面のクラックの有無を確認した。上記試験を1サイクルとし、最大5回サイクルまで確認し、下記判定基準に従って折り曲げ性を評価した。結果を表1〜表3に示す。
〔判定基準〕
◎:5サイクル繰り返しても光硬化性樹脂組成物層の表面にクラック無し
○:3サイクル以上5サイクル未満で光硬化性樹脂組成物層の表面にクラック発生
△:1サイクル以上3サイクル未満で光硬化性樹脂組成物層の表面にクラック発生
×:1サイクル後に光硬化性樹脂組成物層の表面にクラック発生
【0082】
2−5.引きはがし強さ(密着性)の評価
(1)試験片の作製
ドライフィルムのポリエチレンフィルムを剥離し、35μm厚の電解銅箔へ真空ラミネートにより貼り合わせた。真空ラミネートは、真空度3hPa、熱板温度60℃、プレス圧力0.5MPa、プレス時間10秒にて実施した。真空ラミネート後、超高圧水銀ランプにて300mJ/cm
2の紫外線を照射した。照射後、PETフィルムを剥離し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.18MPaで60秒間現像を行った。現像後、高圧水銀ランプにて1,000mJ/cm
2の紫外線を照射した。照射後、熱風循環式乾燥機にて、150℃、90分硬化させた。硬化後、最大温度260℃のリフロー炉に2回通し、試験片を作製した。
【0083】
(2)測定方法及び判定基準
JPCA−BM02に準拠した試験方法で、電解銅箔を180°方向に引きはがし、光硬化性樹脂組成物層と電解銅箔の接着力を測定し、下記判定基準に従って密着性を評価した。結果を表1〜表3に示す。
〔判定基準〕
◎:15N/cm以上
○:10N/cm以上15N/cm未満
×:10N/cm未満
【0084】
2−6.難燃性の評価
(1)試験片の作製
ドライフィルムのポリエチレンフィルムを剥離し、25μm厚のポリイミドフィルム(株式会社有沢製作所製「PKRW 1012RAH」のCu箔をフルエッチング)の両側へ真空ラミネートにより貼り合わせた。真空ラミネートは、真空度3hPa、熱板温度60℃、プレス圧力0.5MPa、プレス時間10秒にて実施した。真空ラミネート後、超高圧水銀ランプにて300mJ/cm
2の紫外線を照射した。照射後、PETフィルムを剥離し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.18MPaで60秒間現像を行った。現像後、高圧水銀ランプにて1,000mJ/cm
2の紫外線を照射した。照射後、熱風循環式乾燥機にて、150℃、90分硬化させ試験片を作製した。
【0085】
(2)測定方法及び判定基準
UL−94に準拠した試験方法で、難燃性を評価した。結果を表1〜表3に示す。
〔判定基準〕
○:UL94規格に準ずる難燃性の判断基準であるVTM−0相当の難燃性あり
×:燃焼
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
なお、上記各例で使用した成分の詳細は下記の通りである。
・感光性ウレタン樹脂(A):主鎖にエステル結合及び不飽和結合を含む感光性ウレタン樹脂(1)、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.89mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(B):主鎖にカーボネート結合を含み、不飽和結合を含まない感光性ウレタン樹脂、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.86mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(C):主鎖にエステル結合を含み、不飽和結合を含まない感光性ウレタン樹脂、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.87mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(D):主鎖にエステル結合及び不飽和結合を含む感光性ウレタン樹脂(2)、酸価72mgKOH/g、カルボキシル基量1.27mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(E):主鎖にエステル結合及び不飽和結合を含む感光性ウレタン樹脂(3)、酸価4mgKOH/g、カルボキシル基量0.06mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(F):主鎖にエステル結合及び不飽和結合及びカーボネート結合を含む感光性ウレタン樹脂(1)、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.88mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(G):主鎖にエステル結合及び不飽和結合及びカーボネート結合を含む感光性ウレタン樹脂(2)、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.88mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(H):主鎖にエステル結合及び不飽和結合及びカーボネート結合を含む感光性ウレタン樹脂(3)、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.87mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(I):主鎖にエステル結合及び不飽和結合を含む感光性ウレタン樹脂(4)、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.88mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(J):主鎖にエステル結合及び不飽和結合を含む感光性ウレタン樹脂(5)、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.88mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(K):主鎖にエステル結合及び不飽和結合を含む感光性ウレタン樹脂(6)、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.88mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(L):主鎖にエステル結合及び不飽和結合を含む感光性ウレタン樹脂(7)、酸価36mgKOH/g、カルボキシル基量0.64mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(M):主鎖にエステル結合及び不飽和結合及びカーボネート結合を含む感光性ウレタン樹脂(4)、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.87mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(N):主鎖にエステル結合及び不飽和結合を含む感光性ウレタン樹脂(8)、酸価50mgKOH/g、カルボキシル基量0.87mmol/g
・感光性ウレタン樹脂(O):主鎖にエステル結合及び不飽和結合を含む感光性ウレタン樹脂(9)、酸価32mgKOH/g、カルボキシル基量0.56mmol/g
・酸変性エポキシアクリレート(P):光重合性化合物、日本化薬株式会社製「ZFR−1491H」(商品名)、カルボン酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート、Mw=11,000、酸価98mgKOH/g
・変性エポキシアクリレート(Q):光重合性化合物、ダイセル・オルネクス株式会社製「EBECRYL−3780」(商品名)、Mw=1,500、2官能
【0090】
・光重合開始剤(R):2,4,6−トリメチルメンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
・熱硬化剤(S):ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量475
・熱硬化剤(T):フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量177
・難燃剤(U):ホスフィン酸金属塩
・着色剤(V):イソインドリン(黄顔料)
【0091】
表1〜3の結果より、実施例1〜18は優れた密着性を有するとともに、折り曲げ性と耐熱性にも優れることが分かった。これに対し、比較例1〜6は、これらを両立させることができず、また耐現像性にも劣っていた。