特開2019-13181(P2019-13181A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-13181アイソレータにおける作業ロボットの着脱方法及びアイソレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-13181(P2019-13181A)
(43)【公開日】2019年1月31日
(54)【発明の名称】アイソレータにおける作業ロボットの着脱方法及びアイソレータ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20190104BHJP
   B01L 1/00 20060101ALI20190104BHJP
   B25J 21/02 20060101ALI20190104BHJP
【FI】
   C12M1/00 K
   B01L1/00 D
   B25J21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-132733(P2017-132733)
(22)【出願日】2017年7月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 晴紀
【テーマコード(参考)】
3C707
4B029
4G057
【Fターム(参考)】
3C707AS09
3C707XJ01
3C707XJ05
4B029AA01
4B029DG01
4G057AA09
(57)【要約】
【課題】アイソレータの無菌状態を維持したまま、作業ロボットを容易に着脱可能とする。
【解決手段】作業ロボット15を取り外す際には、作業ロボット15及び開口13cを気密に覆うカバー14を筐体11の内部に取り付けた後に、作業ロボット15を取り外して開口13cから抜き出し、作業ロボット15を取り付ける際には、作業ロボット15を、開口13cからカバー14の内部に挿入し、開口13cを密閉するように取り付けた後に、カバー14の内部を除染ガスで除染してからカバー14を取り外す。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が無菌状態の筐体に形成された開口から挿入される作業ロボットを有し、前記作業ロボットが前記開口を密閉するように取り付けられるアイソレータにおいて、前記作業ロボットを着脱するための着脱方法であって、
前記作業ロボットを取り外す際には、前記作業ロボット及び前記開口を気密に覆うカバーを前記筐体の内部に取り付けた後に、前記作業ロボットを取り外して前記開口から抜き出し、
前記作業ロボットを取り付ける際には、前記作業ロボットを、前記開口から前記カバーの内部に挿入し、前記開口を密閉するように取り付けた後に、前記カバーの内部を除染ガスで除染してから前記カバーを取り外すことを特徴とするアイソレータにおける作業ロボットの着脱方法。
【請求項2】
前記アイソレータは、作業者の腕を挿入するための挿入孔が形成され、且つ、作業者が装着するグローブが取付可能なグローブポートを有しており、
前記挿入孔を前記開口として利用することを特徴とする請求項1に記載のアイソレータにおける作業ロボットの着脱方法。
【請求項3】
前記グローブを前記カバーとして利用することを特徴とする請求項2に記載のアイソレータにおける作業ロボットの着脱方法。
【請求項4】
内部が無菌状態であり、開口が形成された筐体と、
前記開口から挿入され、前記開口を密閉するように取り付けられる作業ロボットと、
前記作業ロボット及び前記開口を気密に覆うカバーを、前記筐体の内部に取り付けるためのカバー着脱部と、
前記カバー着脱部に取り付けられた前記カバーの内部に除染ガスを供給及び排出するための除染ガス給排路と、
を備えることを特徴とするアイソレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部が無菌状態に維持されるアイソレータにおいて作業ロボットを着脱するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、無菌状態に維持されるアイソレータの内部にロボットを配設することが開示されている。このロボットは、ロボット内部の圧力をアイソレータの内圧に対して陽圧と陰圧との間で切り換えることができるように構成されている。ロボットの内圧を陽圧とすることで、アイソレータ内部で粉塵等が飛散する環境下において、粉塵等がロボットの内部に侵入することを防止することができる。また、ロボットの内圧を陰圧とすることで、ロボットで発生する粉塵等がアイソレータ内部に拡散することを防止することができる。つまり、状況に応じてロボットの内圧を切り換えることで、ロボット及びアイソレータそれぞれの汚染を防止することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4111049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1においてロボットが故障した場合には、ロボットをアイソレータから取り出し、修理をした上でロボットをアイソレータに戻す必要がある。このとき、作業者がアイソレータの扉を開けてロボットの着脱作業を行うと、アイソレータ内部の無菌状態が維持できなくなり、アイソレータ内部で行われている作業を停止しなければならないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、アイソレータの無菌状態を維持したまま、作業ロボットを容易に着脱可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアイソレータにおける作業ロボットの着脱方法は、内部が無菌状態の筐体に形成された開口から挿入される作業ロボットを有し、前記作業ロボットが前記開口を密閉するように取り付けられるアイソレータにおいて、前記作業ロボットを着脱するための着脱方法であって、前記作業ロボットを取り外す際には、前記作業ロボット及び前記開口を気密に覆うカバーを前記筐体の内部に取り付けた後に、前記作業ロボットを取り外して前記開口から抜き出し、前記作業ロボットを取り付ける際には、前記作業ロボットを、前記開口から前記カバーの内部に挿入し、前記開口を密閉するように取り付けた後に、前記カバーの内部を除染ガスで除染してから前記カバーを取り外すことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るアイソレータは、内部が無菌状態であり、開口が形成された筐体と、前記開口から挿入され、前記開口を密閉するように取り付けられる作業ロボットと、前記作業ロボット及び前記開口を気密に覆うカバーを、前記筐体の内部に取り付けるためのカバー着脱部と、前記カバー着脱部に取り付けられた前記カバーの内部に除染ガスを供給及び排出するための除染ガス給排路と、を備えることを特徴とする。
【0008】
これらの本発明によれば、作業ロボットを取り外す際には、作業ロボット及び開口を気密に覆うカバーを筐体の内部に取り付けることで、作業ロボットを取り外して開口が開放されても、筐体の内部に外気が侵入することをカバーによって防止でき、アイソレータの無菌状態を維持することができる。また、作業ロボットを取り付ける際には、作業ロボットを取り付けた後にカバーの内部を除染することで、カバーを取り外した際に筐体の内部に汚染された空気が侵入することを防止でき、アイソレータの無菌状態を維持することができる。このように、本発明によれば、アイソレータの無菌状態を維持したまま、開口を介して容易に作業ロボットを着脱することができる。
【0009】
本発明において、前記アイソレータは、作業者の腕を挿入するための挿入孔が形成され、且つ、作業者が装着するグローブが取付可能なグローブポートを有しており、前記挿入孔を前記開口として利用するとよい。
【0010】
このように、グローブポートの挿入孔を、作業ロボットを着脱する際の開口として利用することで、グローブポートを有する既存のアイソレータに対して、容易に作業ロボットを取り付けることができる。
【0011】
本発明において、前記グローブを前記カバーとして利用するとよい。
【0012】
このように、グローブをカバーとして利用することで、作業ロボットが取り外された状態のときに、作業者がすぐにグローブを装着して、筐体の内部での作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る細胞培養システムの正面図である。
図2図1のII−II断面における断面図である。
図3】(a)グローブポートにグローブが取り付けられた状態を示す断面図、及び、(b)グローブポートに作業ロボットが取り付けられた状態を示す断面図である。
図4】作業ロボットの着脱工程を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るアイソレータを細胞培養システムに適用した例について説明する。ただし、本発明に係るアイソレータの適用対象は細胞培養システムに限定されず、無菌空間を必要とする他のシステムに適用することも可能である。また、本発明に係るアイソレータを単体で使用してもよい。以下の説明においては、各図に示した方向を適宜参照する。
【0015】
(細胞培養システムの全体構成)
図1は、本実施形態に係る細胞培養システム1の正面図であり、図2は、図1のII−II断面における断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る細胞培養システム1は、アイソレータ2と、インキュベータ3と、パスボックス4と、支持台5とを、主要な構成として備える。アイソレータ2、インキュベータ3及びパスボックス4は、左右方向に並んだ状態で支持台5に載置されている。アイソレータ2が中央に配置されており、その両側にインキュベータ3及びパスボックス4がそれぞれ配置されている。
【0016】
アイソレータ2は、直方体形状の筐体11を有する。筐体11の内部は、不図示の浄化装置によって無菌状態に維持されるとともに、細胞培養システム1が配置されている空間の気圧に対して陽圧に維持されている。なお、本実施形態における「無菌状態」とは完全な無菌状態のみならず、支障のない程度にわずかな菌が存在する場合も含むものである。
【0017】
筐体11の前面の一部には、外部から内部を観察できるように透明部材12が嵌め込まれている。透明部材12には、複数(本実施形態では6つ)のグローブポート13が左右方向に並んで設けられている。図2に示すように、本実施形態では、6つのグローブポート13のうち、左側2つ及び右側2つのグローブポート13にグローブ14が取り付けられ、中央2つのグローブポート13に作業ロボット15が取り付けられている。ただし、グローブポート13の数や配置はこれに限定されず、また、各グローブポート13に何を取り付けるかは適宜変更が可能である。
【0018】
アイソレータ2の内部の無菌空間では、細胞培養に関する種々の作業が行われる。図2に示すように、筐体11の内部には、バーコード読取装置16、撮影装置17及び培養液交換部18が配置されている。バーコード読取装置16は、細胞が収容されている培養容器Pに付与されているバーコードを読み取って、培養に関する情報を取得するための装置である。撮影装置17は、培養容器P内の細胞を撮影するための装置である。培養液交換部18は、培養容器P内の培養液を交換するための場所であり、ピペット等の器具が配置されている領域である。ただし、アイソレータ2の内部に配置される装置や、アイソレータ2の内部で行われる作業は、これに限定されるものではない。
【0019】
インキュベータ3は、培養容器P内の細胞を培養するための装置である。インキュベータ3の内部には、複数の培養容器Pを収容する収容棚19が配置されている。インキュベータ3の内部は、無菌状態に維持されるとともに、細胞の培養に適した温湿度に維持される。インキュベータ3とアイソレータ2との間には、アイソレータ2側から開閉可能な開閉部20が設けられている。開閉部20を開けることによって、培養容器Pをインキュベータ3とアイソレータ2との間で移動させることができる。
【0020】
パスボックス4は、アイソレータ2の内部に作業用の器具等を搬入する際に使用される。パスボックス4には、外部から開閉可能な開閉部21が設けられている。また、パスボックス4とアイソレータ2との間には、アイソレータ2側から開閉可能な開閉部22が設けられている。パスボックス4は、内部空間に除染ガスを供給することが可能に構成されている。開閉部21を開けて外部からパスボックス4内に作業用の器具等を入れ、開閉部21、22を閉めた状態で除染ガスをパスボックス4内に供給することで、器具等の除染が行われる。除染が行われた器具等は、開閉部22を介してアイソレータ2に搬入される。また、このような構成以外にも、パスボックス4にグローブを設け、このグローブを装着した作業者によってパスボックス4内の器具等をアルコール消毒等してからアイソレータ2に移すことも可能である。
【0021】
(培養作業の流れ)
以上のように構成された細胞培養システム1を用いて培養作業を行う場合の一連の流れについて簡単に説明する。なお、ここで説明する培養作業の流れは一例にすぎず、培養作業の具体的な順番や内容は適宜変更が可能である。
【0022】
まずは、開閉部20を開けて、培養容器Pをインキュベータ3からアイソレータ2に移動し、バーコード読取装置16で培養容器Pのバーコードの読み取りを行う。続いて、その培養容器Pを撮影装置17に移動し、撮影装置17で細胞の撮影を行う。次に、その培養容器Pを培養液交換部18に移動し、培養容器P内の古い培養液を新しい培養液に交換する。これらすべての作業が完了した培養容器Pはインキュベータ3に戻され、別の培養容器Pがインキュベータ3からアイソレータ2に搬入される。そして、この培養容器Pに対して、上述の各作業が行われる。このように、アイソレータ2内では、複数の培養容器Pに対して、順番に同じ作業が繰り返される。
【0023】
従来は、全てのグローブポート13にグローブ14が取り付けられており、グローブ14を装着した作業者がアイソレータ2内での各作業を行っていたため、培養作業にかかるコストが高いものとなっていた。コスト削減のために、一部の作業を作業ロボットに代用させることが考えられる。しかしながら、作業ロボットをアイソレータ2の内部に取り付けると、作業ロボットの着脱に手間がかかるとともに、作業ロボットを着脱する際にアイソレータ2の無菌状態が維持できなくなり、培養作業を中断しなければならないという問題があった。
【0024】
そこで、本実施形態では、以下に説明するように、作業ロボット15をグローブポート13に取り付けるように構成することで、アイソレータ2の無菌状態を維持しながら作業ロボット15を容易に着脱可能としている。上述のように、本実施形態では、6つのグローブポート13のうち中央2つのグローブポート13に、グローブ14の代わりに作業ロボット15が取り付けられている。しかしながら、どのグローブポート13に作業ロボット15を取り付けるかは適宜変更が可能であり、全てのグローブポート13に作業ロボット15を取り付けるようにしてもよい。作業ロボット15は、多自由度のアームを有しており、培養容器Pの移動やアイソレータ2内での各種作業を行うことができる。
【0025】
(グローブポートへのグローブ及び作業ロボットの取付態様)
図3(a)は、グローブポート13にグローブ14が取り付けられた状態を示す断面図であり、図3(b)は、グローブポート13に作業ロボット15が取り付けられた状態を示す断面図である。図3における右側が無菌空間、左側が外部である。グローブポート13は、円筒部13aと、円筒部13aの一端部に形成されたフランジ部13bと、作業者の腕を挿入するための挿入孔13cと、を有する。円筒部13aの他端部の外周面には、弾性を有する環状のリング部材23を取り付けるための環状溝13dが形成されている。
【0026】
一方、筐体11(透明部材12)には、グローブポート13を取り付けるための取付孔11aが形成されている。取付孔11aの内径は、グローブポート13の円筒部13aの外径と略同じである。グローブポート13は、円筒部13aを外部から取付孔11aに挿入し、フランジ部13bを筐体11に当接させた状態で、筐体11にボルト等で固定することにより取り付けられる。フランジ部13bと筐体11との間には、シール部材24が設けられる。
【0027】
グローブポート13にグローブ14を取り付ける場合は、図3(a)に示すように、グローブ14の基端部をグローブポート13の円筒部13aに被せた状態で、環状溝13dにリング部材23を取り付ける。このように、グローブ14は、円筒部13aとリング部材23との間に挟まれた状態で、グローブポート13に取り付けられる。グローブ14は、例えば気密性を有するゴム等で作製されており、グローブ14を介して筐体11内に外気が侵入することはない。
【0028】
グローブポート13に作業ロボット15を取り付ける場合は、図3(b)に示すように、作業ロボット15をグローブポート13の挿入孔13cから筐体11の内部に挿入する。作業ロボット15の基端部には、挿入孔13cよりも径の大きな円板状の取付部15aが設けられている。取付部15aが、グローブポート13のフランジ部13bに当接した状態で、フランジ部13bにボルト等で固定されることにより、作業ロボット15は筐体11に取り付けられる。取付部15aとフランジ部13bとの間には、シール部材25が設けられており、グローブポート13の挿入孔13cは、作業ロボット15によって密閉された状態となる。
【0029】
(作業ロボットの着脱方法)
次に、アイソレータ2の無菌状態を維持しながら作業ロボット15をグローブポート13から着脱する方法について説明する。作業ロボット15を取り外す際には、まず、袋詰めされた除染済みのグローブ14をパスボックス4に入れ、袋ごと除染を行う。その後、袋からグローブ14を取り出し、図4(a)に示すように、アイソレータ2に搬入したグローブ14を、作業ロボット15及び挿入孔13cを気密に覆うように、作業ロボット15が取り付けられているグローブポート13(本発明におけるカバー着脱部に相当)に取り付ける。
【0030】
図4(a)に示すように、作業ロボット15を覆うようにグローブポート13にグローブ14を取り付けることにより、作業ロボット15を取り外した際に、外気が挿入孔13cから筐体11の内部に侵入することを防止できる。したがって、この状態で、作業ロボット15をグローブポート13から取り外し、挿入孔13cから抜き出しても(図3(a)の状態となる)、外気によってアイソレータ2の内部が汚染されることはなく、無菌状態を維持できる。グローブ14は、再び作業ロボット15をグローブポート13に取り付けるまで、グローブポート13に取り付けたままとされる。なお、グローブ14の取り付け後、作業ロボット15を取り外す前に、グローブ14が破れたり穴が空いていたりしていないかをチェックするため、後述する除染ガス供給路15b及び除染ガス排出路15c(図4(b)参照)に除染ガスを流通させ、リークテストを行ってもよい。
【0031】
作業ロボット15をグローブポート13に取り付ける際には、作業ロボット15を挿入孔13cからグローブ14の内部に挿入し、作業ロボット15の取付部15aをグローブポート13のフランジ部13bに固定する。上述のように、取付部15aとフランジ部13bとの間にシール部材25を設けることで、挿入孔13cは作業ロボット15によって密閉される。
【0032】
続いて、グローブ14の内部を除染ガスで除染する。図4(b)に示すように、作業ロボット15の取付部15aには、不図示の除染ガス供給装置と接続され、除染ガスをグローブ14の内部に供給するための除染ガス供給路15b(本発明における除染ガス給排路に相当)と、グローブ14の内部から除染ガスを外部に排出するための除染ガス排出路15c(本発明における除染ガス給排路に相当)と、が形成されている。除染ガス供給路15b及び除染ガス排出路15cには、チェック弁付のソケット(図示省略)が取り付けられている。一方、除染ガス供給装置の供給側及び排出側の配管のそれぞれにはチェック弁付のプラグ(図示省略)が取り付けられており、このプラグをソケットに挿入することで、それぞれのチェック弁が開いてプラグとソケットとが連通するようになっている。図4(b)において矢印で示すように、除染ガスの給排が行われることで、グローブ14の内部を除染し、無菌状態とすることができる。
【0033】
除染作業が終わると、除染ガス供給路15b及び除染ガス排出路15cを栓部材で閉塞し、グローブ14を取り外すことで、作業ロボット15の取り付けが完了する(図3(b)の状態となる)。グローブ14を外しても、グローブ14の内部は除染済みなので、筐体11の内部に汚染された空気が侵入することはなく、アイソレータ2の無菌状態を維持することができる。なお、グローブ14の着脱作業は、他のグローブポート13からグローブ14を装着した作業者が行う。
【0034】
(効果)
本実施形態における作業ロボット15の着脱方法では、作業ロボット15を取り外す際には、作業ロボット15及び挿入孔13c(開口)を気密に覆うグローブ14(カバー)を筐体11の内部に取り付けることで、作業ロボット15を取り外して挿入孔13cが開放されても、筐体11の内部に外気が侵入することをグローブ14によって防止でき、アイソレータ2の無菌状態を維持することができる。また、作業ロボット15を取り付ける際には、作業ロボット15を取り付けた後にグローブ14の内部を除染することで、グローブ14を取り外した際に筐体11の内部に汚染された空気が侵入することを防止でき、アイソレータ2の無菌状態を維持することができる。このように、本実施形態によれば、アイソレータ2の無菌状態を維持したまま、挿入孔13cを介して容易に作業ロボットを着脱することができる。
【0035】
本実施形態では、アイソレータ2は、作業者の腕を挿入するための挿入孔13cが形成され、且つ、作業者が装着するグローブ14が取付可能なグローブポート13を有しており、挿入孔13cを本発明における開口として利用するようにしている。このように、グローブポート13の挿入孔13cを、作業ロボット15を着脱する際の開口として利用することで、グローブポート13を有する既存のアイソレータ2に対して、容易に作業ロボット15を取り付けることができる。
【0036】
本実施形態では、グローブ14を本発明におけるカバーとして利用するようにしている。このように、グローブ14をカバーとして利用することで、作業ロボット15が取り外された状態のときに、作業者がすぐにグローブ14を装着して、筐体11の内部での作業を行うことができる。
【0037】
(他の実施形態)
上記実施形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
【0038】
上記実施形態では、グローブポート13の挿入孔13cを、作業ロボット15を着脱する際の開口として利用するものとした。しかしながら、作業ロボット15を着脱するための開口はグローブポート13の挿入孔13cに限定されるものではなく、筐体11に別に設けた開口を利用するようにしてもよい。
【0039】
上記実施形態では、作業ロボット15を着脱する際のカバーとして、グローブ14を利用するものとした。しかしながら、グローブ14以外の部材をカバーとして利用することも可能である。また、カバーをグローブポート13以外の部位に取り付けるようにしてもよい。
【0040】
上記実施形態では、グローブ14の内部に除染ガスを供給及び排出するための除染ガス給排路15b、15cが、作業ロボット15の取付部15aに形成されているものとした。しかしながら、除染ガス給排路の具体的構成はこれに限定されず、例えば、グローブポート13に除染ガス給排路が形成されていてもよい。
【0041】
上記実施形態における作業ロボット15は、内蔵されたプログラムに基づいて全ての動作を自動で行う完全自律型のロボットでもよいし、少なくとも一部の動作を作業者が遠隔操作等で行うロボットでもよい。
【符号の説明】
【0042】
2:アイソレータ
11:筐体
13:グローブポート(カバー着脱部)
13c:挿入孔(開口)
14:グローブ(カバー)
15:作業ロボット
15b:除染ガス供給路(除染ガス給排路)
15c:除染ガス排出路(除染ガス給排路)
図1
図2
図3
図4