(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-13198(P2019-13198A)
(43)【公開日】2019年1月31日
(54)【発明の名称】卵処理システム
(51)【国際特許分類】
A01K 61/10 20170101AFI20190104BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20190104BHJP
【FI】
A01K61/10
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-134437(P2017-134437)
(22)【出願日】2017年7月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】中西 章
(72)【発明者】
【氏名】大西 孝信
【テーマコード(参考)】
2B104
4B029
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104BA04
4B029AA23
4B029BB11
4B029CC01
4B029DG08
4B029DG10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】受精卵に、より高い効率にて所定の処理を行うことができる卵処理システムを提供する。
【解決手段】卵処理システムたる遺伝子注入装置1は、魚卵を採取する通路と、魚卵を不要物を含む飼育水から分離する不要物分離部3と、不要物分離部3を通過し不要物を除去された状態の魚卵を振動によって順次搬送する搬送装置と、搬送装置から魚卵を加工する加工用水槽とこの加工用水槽内の魚卵に所定の加工を順次施す加工装置たる整列搬送部6並びに遺伝子注入部5とを具備することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚卵を採取する通路と、
前記魚卵を不要物を含む飼育水から分離する不要物分離部と、
前記不要物分離部を通過し不要物を除去された状態の前記魚卵を順次搬送する搬送装置と、
前記搬送装置から搬送された魚卵を加工する加工用水槽と
この加工用水槽内の魚卵に所定の加工を施す加工装置と
を具備することを特徴とする卵処理システム。
【請求項2】
前記不要物分離部が、魚卵よりも大きな不要物を除去すべく魚卵を通過させ得る第一の網装置と、魚卵よりも小さな不要物を除去すべく魚卵を支持し且つ振動搬送する第二の網装置とを有している請求項1記載の卵処理システム。
【請求項3】
前記第二の網装置上で振動搬送される魚卵を搬送方向へ付勢すべく浄水を噴射する浄水噴射手段を備えた請求項2記載の卵処理システム。
【請求項4】
前記加工用水槽が、加工前の魚卵を収容する加工前領域と、所定の加工処理が施された魚卵を収容するための加工後領域とに分別されている請求項1〜3の何れかに記載の卵処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に魚卵に所定の処理を施すための卵処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
受精卵に遺伝子を注入することにより組換えタンパク質などの目的物質を遺伝子工学技術を用いて生産する技術分野において、ゼブラフィッシュなど小型魚卵の利用が有益であることは公知である。例えば、前記ゼブラフィッシュを利用して目的物質を得ようとする場合、直径が0.9mm〜1.3mmという球状の受精卵への精密な遺伝子溶液(ベクター)の注入が必要であるが、受精卵にダメージを与えにくいように、先端が数〜十数μmの直径の極細な針を用いて、受精卵の卵膜を貫通して胚の内部に針先を差し込み、遺伝子溶液を注入するマイクロインジェクション技術が知られている。この分野では、手作業や手動操作で手ぶれを防ぐマニュピレータなどを用いてのマイクロインジェクション作業が一般的な方法となっているが、実用的な目的物質の量の取得のために必要なる数量の受精卵を処理することは困難であり、注入作業も精度と安定性が限られたものとなっている、そこで、下記先行技術にあるような自動化を目指す試みが種々おこなわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5647005号公報
【特許文献2】特許5823112号公報
【特許文献3】特許5787432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の受精卵は、例えば約30分毎といったように、頻繁に細胞分裂が進むため、迅速に遺伝子を導入し目的の受精卵を得るためには、受精卵の処理を効率がより高い状態で行うことが目的とされる。すなわち、上記特許文献に挙げた従来の技術は、所定の容器の使用等に処理の速度が拘束されてしまうという、所謂バッチ処理を想定してなされた技術であるため、受精卵が加工に適した状態で常に処理が行えるというものではない。また勿論、処理後の受精卵を効率良く回収するということも重要な要素であり、上記特許文献よりも効率良く受精卵を回収する技術も求められているのが現状である。
【0005】
具体的には、受精卵の処理をスムーズに行えるよう、受精卵に所定の処理を行い得るように、より効率良く搬送し、処理することが肝要となる。
【0006】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、主たる目的は、上記受精卵に、より高い効率にて所定の処理を行うことができる卵処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の卵処理システムは、魚卵を採取する通路と、前記魚卵を不要物を含む飼育水から分離する不要物分離部と、前記不要物分離部を通過し不要物を除去された状態の前記魚卵を順次搬送する搬送装置と、前記搬送装置から魚卵を加工する加工用水槽とこの加工用水槽内の魚卵に所定の加工を施す加工装置とを具備することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、所定の種をなす魚から採取し得た受精卵に、より高い効率にて所定の処理を行うことができる卵処理システムを提供することができる。
【0010】
また加工後の受精卵を容易に回収し得る態様として、加工後の魚卵を回収する回収装置を有している態様を挙げることができる。
【0011】
そして、高い効率にて魚卵を処理し得るための構成として、不要物分離部を、魚卵よりも大きな物を除去すべく魚卵を通過させ得る第一の網装置と、魚卵よりも小さな物を除去すべく魚卵を支持し且つ振動搬送する第二の網装置とを有している態様を挙げることができる。
【0012】
また、加工装置の作動効率を更に向上させるためには、後工程での菌類、微生物の繁殖を防止するため、第二の網装置を通過した飼育水を加工装置には導入させない構成とすることが望ましい。これにより、加工装置の作動効率をより向上させることができる。
【0013】
そして、不要物分離部を通過した魚卵を第二の網装置上で好適に搬送できるようにするためには、魚卵を搬送方向へ付勢すべく浄水を噴射する浄水噴射手段を備えた構成とすることが望ましい。これにより、魚卵の搬送をより高い効率にて行うことができる。
【0014】
更に、魚卵への処理をより高い効率にて行い得るようにするためには、加工用水槽を、加工前の魚卵を収容する加工前領域と、所定の加工処理が施された魚卵を収容するための加工後領域とに分別されている構成とすることが望ましい。これにより、魚卵への加工を順序よく行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明した本発明によれば、受精卵に、より高い効率にて所定の処理を行うことができる卵処理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】同実施形態に係る採卵搬送部を示す模式的な構成説明図。
【
図4】同実施形態に係る不要物分離部を示す模式的な構成説明図。
【
図5】同実施形態に係る遺伝子注入部及び加工用水槽を示す模式的な構成説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る卵処理システム或いは魚卵処理装置の一例である遺伝子注入装置1は、飼育水槽Bから採取される魚卵eである受精卵に対し、速やかに所定の遺伝子を導入するためのものである。そして所定の遺伝子が注入された魚卵eはその後、細胞分裂が繰り返されるとともに導入された遺伝子の塩基配列に由来するタンパク質が合成される。そして当該タンパク質はしかるべきタイミングにて採取、抽出、精製され、例えば創薬の研究や量産に利用される。
【0019】
遺伝子注入装置1は、
図1及び
図2に示すように、飼育水槽Bに連続する採卵搬送部2と、搬送された魚卵eを飼育水w並びに排泄物や残餌といった不要物に対して分離する不要物分離部3と、不要物から分離された魚卵eを主に振動によって搬送する振動搬送部4と、振動搬送部4により搬送された魚卵eを所定の状態に整列させながら搬送する整列搬送部6と、整列搬送部6により搬送されている魚卵eに所定の遺伝子を注入する遺伝子注入部5と、所定の遺伝子が注入された魚卵eを効率良く採取するための選別回収部7とを有している。また本実施形態では、魚卵eに所定の加工を施すための加工装置である遺伝子注入部5並びに整列搬送部6、そして回収装置たる選別回収部7は、加工用水槽8に配される。
【0020】
また本実施形態では、魚卵eの一例として直径1mm程度の略球形状をなすゼブラフィッシュの卵を利用している。なお魚は脊椎動物であるために遺伝子導入により創薬に利用し得る態様のタンパク質を得やすく、特にゼブラフィッシュは飼育水槽Bから効率良く受精卵である魚卵eを得やすい種として知られている。
【0021】
以下、遺伝子注入装置1の各部の構成について説明していく。
【0022】
採卵搬送部2は、
図2及び
図3に示すように、例えば複数並列され且つ上下方向に多段に配置された飼育水槽Bから効率良く魚卵eを採取すべくスロープ状に構成された水樋状の通路である。この採卵搬送部2は、飼育水槽Bからは魚卵eのみならず、魚を飼育していた飼育水wや排泄物、残餌等の不要物も同時に搬送され、一度タンクTへ収容された後ポンプPにより上昇させられ、不要物分離部3へと案内され、具体的には魚卵e並びに飼育水wが上方から落下され落下エネルギーが付与された状態で不要物分離部3へ案内される。タンクTは、集配した魚卵e並びに飼育水wの一時的なクッション槽としての働きをなすとともに、図示例では内部で例えば螺旋状の水流が発生することにより、滞りなくポンプPにより給水することができる。また具体的な態様として、タンクT内の下限水位検出により、ポンプPのから送りでの破損・減耗を防止するとともに、上限水位検出により、オーバーフロー検出を行う。オーバーフローが実際に起こった場合には、図示しない飼育水槽Bへの配管を介して飼育水wを移動させる。なお、飼育水槽Bを十分高い位置にレイアウトでき、当該飼育水槽Bから魚卵eの不要物分離部3への自由落下が可能な場合は、タンクT並びにポンプPを省略してもよい。
【0023】
不要物分離部3は、
図4に具体的に示すように、魚卵eを通過させ魚卵eよりも大きな不要物bgを採取し排除するための第一の網装置31と、振動搬送部4に支持されつつ魚卵eが通過し得ない網目を有する第二の網装置32と、この第二の網装置32にある魚卵eに対し浄水cwを噴射する浄水噴射手段33とを有している。本実施形態では第二の網装置32を通過若しくは第二の網装置32への衝突で破砕した飼育水wは、例えば魚卵eよりも小さく第二の網装置32を通過した小さな不要物sgに対し更に分離され、飼育水槽Bへ再び導入される構成を適用している。また本実施形態では浄水噴射手段33は、振動搬送部4により魚卵eが搬送される方向に沿って浄水cwを魚卵eに噴射することにより、魚卵eの搬送をより速やかに行うためのものである。すなわち本実施形態では、第二の網装置32を通過し、細菌、微生物等が混入している可能性がある飼育水wを加工用水槽8に配された加工装置には導入させない構成が適用されている。ここで、本実施形態における浄水cwとは、蒸留水や水道水のみならず上記飼育水wよりも汚れや不要物sg、bgが少ない水のことである。
【0024】
振動搬送部4は、第二の網装置32に所定の振動を与えることにより、魚卵eを加工用水槽8へと案内するためのものである。振動搬送部4によって振動が加えられた魚卵eは、加工用水槽8へ向けて速やか且つ効率良く搬送され投入される。
【0025】
ここで
図5に示すように、本実施形態では遺伝子注入部5、整列搬送部6及び選別回収部7は加工用水槽8に設けられている。具体的には、遺伝子注入部5は加工用水槽8の上方に、整列搬送部6及び選別回収部7は加工用水槽8の内部に配されている。また
図2及び
図5に示すように、加工用水槽8の上端近傍まで水が満たされた状態となっている。
【0026】
加工用水槽8は、採取された魚卵eを入れるためのものであり、魚卵eに所定の物質を注入する加工装置である遺伝子注入部5及び整列搬送部6を設けてなるものである。具体的に説明すると、加工用水槽8は、加工前の魚卵eを収容すべく設定された加工前領域81と、所定の加工処理が施された魚卵eを収容するための加工後領域82とを有する。また本実施形態では、少なくとも加工前領域81内を視認可能とすべく、少なくとも加工前領域81を透明な材料により構成している。
【0027】
整列搬送部6は、加工前領域81に導入された魚卵eを遺伝子注入部5により処理が行い易い状態とすべく整列されるためのものである。整列搬送部6は、円盤形状をなし周囲に所定ピッチにて形成された複数の収容凹部たる凹部63を等間隔に設けた円盤体たる整列盤61と、この整列盤61に向かって浄水cwを噴射するための整列用ポンプ62とを有している。この整列用ポンプ62による浄水cwにより、加工前領域81に導入された魚卵eがスムーズに整列盤61へ案内され、凹部63内に位置決めされる。この整列盤61が、魚卵eを載置し得る載置部に相当する。また本実施形態における整列搬送部6は概略円形状をなす整列盤を適用しているが、魚卵を一個ずつ配列し搬送し得る形状であれば、例えば無限軌道を構成し得るベルト状やチェーン状をなすものであっても良い。
【0028】
遺伝子注入部5は、整列搬送部6によって搬送される魚卵eに所定の遺伝子を注入するためのものであり、魚卵eに直接遺伝子を注入する概略針状をなすキャピラリ51と、このキャピラリ51に所定量の遺伝子を供給するためのシリンジポンプ52と、これらキャピラリ51並びにシリンジポンプ52の上下方向の位置決めを行うポジショナ53とを有している。そして上記キャピラリ51が、魚卵eに所定の物質を所定のタイミングで導入し得る管状をなす導入管に相当する。
【0029】
そして本実施形態では、整列搬送部6から加工後領域82へ亘って遺伝子が注入された魚卵eを効率良く回収するための選別回収部7を有している。
【0030】
選別回収部7は、加工後の魚卵eを回収する回収装置或いは回収槽に相当する。この選別回収部7は、加工後領域82に収容された回収槽たる回収容器71と、加工前領域81における加工後領域82近傍に設けられ整列盤61へ向けて浄水cwを噴射する回収用ポンプ72と、加工装置を構成する遺伝子注入部5に正確に遺伝子を導入され得なかった魚卵eを加工用水槽8外へ排出するための排出部73と、加工用水槽8内において整列盤61の下半分を覆うように設けられ魚卵eを加工前領域81から加工後領域82へと案内するためのガイド75とを有している。そして本実施形態に係る回収容器71は、加工前領域81に臨む部分にスリット74を設けることにより、加工前領域81から移動した魚卵eを効率良く回収容器71内へ導入することができる。また本実施形態では、ガイド75の一部を回収容器71に入り込ませる形状とすることで、魚卵eを効率良く回収容器71へ案内せしめている。
【0031】
ここで本実施形態では
図5に示すように、加工用水槽8へ導入された魚卵eがより高い効率にて加工が行われるような構成を適用している。すなわち加工用水槽8における加工前領域81に導入された魚卵eは整列用ポンプ62から噴射される浄水cwによりスムーズに凹部63へ案内される。そして凹部63へ収容された魚卵eは整列盤61の回転によりキャピラリ51の直下まで順序が異なること無く移動する。ここで加工前領域81は透明な部材により構成されている。すなわちキャピラリ51直下まで案内された魚卵eは必ず明確に視認された状態となる。そしてキャピラリ51は個々の魚卵eに対し、内部の胚の位置が明確に視認され得る状態で配されるため、当該胚へ正確に遺伝子を注入することができる。ここで、もし遺伝子が正確に注入し得なかったことが視認できた場合、整列盤61を所定角度回転させた箇所に設けられた排出部73を通過させ別途回収することができる。これにより、組換えが起こった可能性がある卵が外部へ不要に漏れ出すことが回避されている。併せて、加工後領域82には高い割合で正確に遺伝子が注入された魚卵eが案内される。また更に、キャピラリ51により遺伝子が注入された魚卵eは回収用ポンプ72から噴射される浄水cwにより確実に凹部63から離間させられる。そしてこれら魚卵eはスムーズに加工後領域82へ案内され、スリット74を通過して回収容器71に収容されることとなる。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る卵処理システムたる遺伝子注入装置1は、魚卵eを採取する通路と、魚卵eを不要物を含む飼育水wから分離する不要物分離部3と、不要物分離部3を通過し不要物を除去された状態の魚卵eを振動によって搬送する搬送装置と、搬送装置から魚卵eを加工する加工用水槽8とこの加工用水槽8内の魚卵eに所定の加工を施す加工装置たる整列搬送部6並びに遺伝子注入部5とを具備することを特徴とする。
【0033】
斯かる構成により、魚卵eを所定の種をなす魚から採取し得た受精卵に対しバッチ処理の如く中断することもなく加工を行い、加工後の魚卵eの回収までを効率良く自動化することができる。すなわち本実施形態によれば、より高い効率にて所定の処理を行うことができる卵処理システムが実現される。
【0034】
また加工後の受精卵である魚卵eを容易に回収し得る態様として本実施形態では、加工後の魚卵eを回収する回収装置たる選別回収部7を有している態様を適用している。
【0035】
そして、高い効率にて魚卵eを処理し得るための構成として本実施形態では、不要物分離部3を、魚卵eよりも大きな不要物を除去すべく魚卵eを通過させ得る第一の網装置31と、魚卵eよりも小さな不要物を除去すべく魚卵eを支持し且つ振動搬送する第二の網装置32とを有した態様としている。
【0036】
また、加工装置の作動効率を更に向上させるために本実施形態では、第二の網装置32を通過した飼育水wを加工装置には導入させない構成としている。
【0037】
そして、不要物分離部3を通過した魚卵eを第二の網装置32上で好適に振動搬送できるようにするために本実施形態では、魚卵eを搬送方向へ付勢すべく浄水cwを噴射する浄水噴射手段33を備えた構成としている。
【0038】
更に、魚卵eへの処理をより高い効率にて行い得るようにするために本実施形態では、加工用水槽8を、加工前の魚卵eを収容する加工前領域81と、所定の加工処理が施された魚卵eを収容するための加工後領域82とに分別されている構成としている。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限られるものではない。上記実施形態では魚卵に対し遺伝子を導入するための態様を開示したが勿論、魚卵に対して、遺伝子に限らず、ヒトがん細胞などの細胞や、薬、薬候補物質、毒性物質などの化学物質や、調味料、着色料などの食品添加物といった、別異の物質を注入する態様であることを妨げない。また上記実施形態では魚卵としてゼブラフィッシュの卵を適用したが勿論、別の魚類の卵を用いてもよい。また個々の構成要素の具体的な配置は加工用水槽内の具体的な水の流れといった詳細な態様やその他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1・・・遺伝子注入装置
2・・・採卵搬送部
3・・・不要物分離部
4・・・振動搬送部
5・・・遺伝子注入部
6・・・整列搬送部
7・・・選別回収部
8・・・加工用水槽
B・・・飼育水槽
e・・・魚卵
cw・・・浄水
w・・・飼育水