特開2019-132018(P2019-132018A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-132018(P2019-132018A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】軒樋支持具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/072 20060101AFI20190712BHJP
【FI】
   E04D13/072 501S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-14252(P2018-14252)
(22)【出願日】2018年1月31日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
(57)【要約】
【課題】軒先に取り付けられている軒樋を、軒先面に固定された軒樋支持具より簡易に取り外すことができる軒樋支持具を提供する。
【解決手段】吊り具本体10は前後または上下方向に延びた長孔11aを有しており、係止片33は、吊り具本体10に取り付けされる取付部33aと、耳収容凹所31の下方開口31aに下方開口31aを塞ぐように配される蓋片部33dとを備えており、取付部33aは、長孔11aの長手方向に沿ったスライド移動により下方開口31aを開放できるように、吊り具本体10に対し、長孔11aを介して、連結軸15にて取り付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り具本体の端部に、軒樋の耳部を耳収容凹所内に収容し係止する係止片が配設された軒樋支持具において、
前記吊り具本体は前後または上下方向に延びた長孔を有しており、
前記係止片は、前記吊り具本体に取り付けされる取付部と、前記耳収容凹所の下方開口に該下方開口を塞ぐように配される蓋片部とを備えており、
前記取付部は、前記長孔の長手方向に沿ったスライド移動により前記下方開口を開放できるように、前記吊り具本体に対し、前記長孔を介して、連結軸にて取り付けられていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項2】
吊り具本体の端部に、軒樋の耳部を耳収容凹所内に収容し係止する係止片が配設された軒樋支持具において、
前記係止片は、前後または上下方向に延びた長孔を有し前記吊り具本体に取り付けされる取付部と、前記耳収容凹所の下方開口に該下方開口を塞ぐように配される蓋片部とを備えており、
前記取付部は、前記長孔の長手方向に沿ったスライド移動により前記下方開口を開放できるように、前記吊り具本体に対し、前記長孔を介して、連結軸にて取り付けられていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記係止片はばね性を有しており、
前記耳部を下方からの押圧にて前記耳収容凹所に収容できるように前記蓋片部が配され得ることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記耳部は後耳とされており、
前記取付部が前記耳収容凹所の前方に取り付けられていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記係止片は、さらに、前記連結軸を回転軸として横方向に回転して回転し得る構成とされており、該回転により前記下方開口を開放するようにしたことを特徴とする軒樋支持具。
【請求項6】
請求項5において、
前記蓋片部には上下方向に延びたレバー片が設けられていることを特徴とする軒樋支持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り具本体の端部に、軒樋の耳部を耳収容凹所内に収容し係止する係止片が配設された軒樋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の軒樋支持具として、係止片をばね性を有した板片で構成したものが種々提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような軒樋支持具によれば、ばね性を有した係止片により、軒樋の後耳を上方へ押圧するだけで後耳を後耳収容凹所に収容、係止させることができ、施工の効率性が向上する。また、係止片が弾性復帰した状態では、後耳が下方に抜け落ちる下方開口が塞がれているため、後耳が外れるおそれもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−203268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、軒樋を施工した後に、内部の掃除などの目的で軒樋を取り外すことが稀にある。しかしながら、後耳を後耳収容凹所に収容した後に後耳は後方の載置部に移動するため、その後、後耳を係止片側に移動させて係止片を下方に押圧して下方開口を開放させることはきわめて困難な作業とされていた。無理に引っ張って取り外そうとすれば、載置部や係止片が損傷するおそれもある。そのため従来では、軒樋を軒樋支持具とともに取り外すことが通例であった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、軒先に取り付けられている軒樋を、軒先面に固定された軒樋支持具より簡易に取り外すことができる軒樋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の軒樋支持具は、吊り具本体の端部に、軒樋の耳部を耳収容凹所内に収容し係止する係止片が配設された軒樋支持具において、前記吊り具本体は前後または上下方向に延びた長孔を有しており、前記係止片は、前記吊り具本体に取り付けされる取付部と、前記耳収容凹所の下方開口に該下方開口を塞ぐように配される蓋片部とを備えており、前記取付部は、前記長孔の長手方向に沿ったスライド移動により前記下方開口を開放できるように、前記吊り具本体に対し、前記長孔を介して、連結軸にて取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の軒樋支持具は、吊り具本体の端部に、軒樋の耳部を耳収容凹所内に収容し係止する係止片が配設された軒樋支持具において、前記係止片は、前後または上下方向に延びた長孔を有し前記吊り具本体に取り付けされる取付部と、前記耳収容凹所の下方開口に該下方開口を塞ぐように配される蓋片部とを備えており、前記取付部は、前記長孔の長手方向に沿ったスライド移動により前記下方開口を開放できるように、前記吊り具本体に対し、前記長孔を介して、連結軸にて取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の軒樋支持具は、前記係止片はばね性を有しており、前記耳部を下方からの押圧にて前記耳収容凹所に収容できるように前記蓋片部が配され得ることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の軒樋支持具は、前記耳部は後耳とされており、前記取付部が前記耳収容凹所の前方に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の軒樋支持具は、前記係止片は、さらに、前記連結軸を回転軸として横方向に回転して回転し得る構成とされており、該回転により前記下方開口を開放するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の軒樋支持具は、前記蓋片部には上下方向に延びたレバー片が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の軒樋支持具は上述した構成とされているため、施工済みの軒樋を軒樋支持具より簡易に取り外すことができる。
【0014】
請求項2に記載の軒樋支持具は上述した構成とされているため、請求項1と同様、施工済みの軒樋を軒樋支持具より簡易に取り外すことができる。
【0015】
請求項3に記載の軒樋支持具は上述した構成とされているため、軒樋の軒樋支持具への取り付けおよび取り外しをともに簡易に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の軒樋支持具は上述した構成とされているため、軒樋の後耳を取り外す際には、係止片を前方にずらせばよい。
【0017】
請求項5に記載の軒樋支持具は上述した構成とされているため、係止片がスライド移動だけでなく回転移動もできる構成であるため、いずれかの方法で耳収容凹所の開口を開放することができる。
【0018】
請求項6に記載の軒樋支持具は上述した構成とされているため、係止片の操作をするときに操作がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る軒樋支持具の斜視図、(b)は同軒樋支持具に含まれる係止片の拡大斜視図、(c)は同拡大平面図である。
図2】同軒樋支持具の取り付け状態を示す側面図である。
図3】(a)は同軒樋支持具に対する軒樋の後耳の取り付け手順を示す部分側面図、(b)は同後耳の取り外し手順を示す部分側面図である。
図4】(a)は本発明の他の実施形態に係る軒樋支持具の側面図、(b)(c)は同軒樋支持具に含まれる2種の係止片の拡大斜視図ある。
図5】同軒樋支持具に対する軒樋の取り外し手順を示す側面図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態に係る軒樋支持具に用いられる係止片の説明図である。(a)(b)は同係止片のスライド移動態様を示す斜視図である。(c)は同係止片の回転移動態様を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1および図4に示した2種の実施形態に係る軒樋支持具1は、軒樋5を吊り支持する吊り具本体10の端部に、軒樋5の耳部5b、5aを耳収容凹所31、21内に収容し係止する係止片33、23が配設された軒樋支持具1である。吊り具本体10は前後または上下方向に延びた長孔11a、25aを有している。係止片33、23は、吊り具本体10に取り付けされる取付部33a、23aと、耳収容凹所31、21の下方開口31a、21aに下方開口31a、21aを塞ぐように配される蓋片部33d、23cとを備えている。取付部33a、23aは、長孔11a、25aの長手方向に沿ったスライド移動により下方開口31a、21aを開放できるように、吊り具本体10に対し、長孔11a、25aを介して、連結軸15、16にて取り付けられている。
【0022】
なお以下では、係止片33、23を用いて係止する対象の耳部が後耳5bのものについては耳収容凹所を後耳収容凹所31と記載し、前耳5aのものについては前耳収容凹所21と記載する。
【0023】
ついで、各実施形態について順次説明する。まず、図1および図2に示した軒樋支持具1について説明する。
【0024】
この軒樋支持具1は、軒樋5を支持する吊り具本体10と、吊り具本体10を軒先面3より前方に突出させるように支持する取付足40と、取付足40を軒先面3に固定させるようにした軒先取付板部45とを備えている。軒先取付板部45は、取付足40の垂下片42を固定させた中央基部45aと、その両側に軒先面3に固定具47で固定される固定部45bを備えた形状とされている。
【0025】
取付足40は、前方に延びた杆部41と、杆部41の後端より下方に延びた垂下片42とよりなり、その垂下片42が軒先面3に固定される軒先取付板部45とリベット46で連結、一体化されている。杆部41の前端には連結片部41aが段落ち形成されている。この連結片部41aには、下方に配設、重合する吊り具本体10に対してボルト48で連結するための軸孔部(不図示)が開設されている。
【0026】
吊り具本体10は、出具合調整のために前後方向に直線状に延びてなる調整部11を有しており、その調整部11には長手方向に沿って長孔11aが形成されている。吊り具本体10と、取付足40とはボルト48と蝶ナット49とで連結されている。この蝶ナット49を操作して、吊り具本体10の軒先面3からの出具合、つまり軒樋5の軒先面3からの出具合を調整できるようになっている。
【0027】
また吊り具本体10は、調整部11の前方部に前耳係止部20を有し、調整部11の後方部に後耳係止部30を備えている。前耳係止部20は軒樋5の前耳5aを引っ掛けて係止する形状とされる一方、後耳係止部30は後耳5bを後耳収容凹所31に収容させて係止する構成とされている。
【0028】
後耳収容凹所31は、調整部11の後部側に形成された凸部の下方に形成されており、後耳5bを載置させて支持する後耳支持部32と、調整部11に取り付けられた係止片33とに、開放自在に囲まれた空間とされる。後耳支持部32は、後耳5bが載置される載置部32aと、その載置部32aの前端より垂下したガイド部32bとを有してなる。
【0029】
軒樋5が施工された状態では、後耳5bが、後耳支持部32の載置部32aに載置されて後耳収容凹所31に配され、さらに後耳5bの下方に延びた軒樋5の後方壁5cが、後耳支持部32のガイド部32bの全面に沿うように配されている。また、後耳5bが後耳収容凹所31に収容された状態では、係止片33の(蓋片部33dの)後端が後耳5bに接触または近接している。こうして後耳5bの後耳収容凹所31からの抜け落ちを防止している。
【0030】
この係止片33は、上述したように、また図1(b)に示すように、吊り具本体10の調整部11に取り付けされる取付部33aと、取付部33aの後端より下方にL字状に延び、後耳収容凹所31の下方開口31a(図3参照)を塞ぐように配される蓋片部33dとを備えている。この蓋片部33dは、垂下部33eと横片部33fとよりなり、取付部33aと蓋片部33dとの全体は段差を有したZ字形状とされている。なお、蓋片部33dはL字形状でなくてもよく、取付部33aの後端より段差なく後方に延びた、係止片33全体として平板状のものであってもよい。
【0031】
取付部33aは略半円形状とされ、連結孔33bを有しており、調整部11の長孔11aにリベット等よりなる連結軸15で取り付けされている。係止片33は長孔11aに取り付けされているため、長孔11aに沿って前後方向への移動が可能とされている。
【0032】
本実施形態のものはさらに、蓋片部33dの幅方向の端部に板状に起立したレバー片33gを備えている。また、この係止片33はばね性を有している。なお、すくなくとも蓋片部33dの横片部33fのみがばね性を有していればよい。
【0033】
本実施形態では、図2に示すように、係止片33が長孔11aの後端部に取り付けされた状態で蓋片部33dが後耳収容凹所31の下方開口31a(図3(a)参照)を塞ぐように配されており、係止片33はその状態から前方へのスライド移動が可能とされている。たとえば、後耳収容凹所31内における係止片33の垂下部33eの後方部(2点鎖線で示した部位X)にドライバーなどを差し込み前方へ押圧することで係止片33を前方へスライド移動させることができる。
【0034】
また、図1(c)の部分平面図に示すように、係止片33は、連結軸15を回転軸として蓋片部33dを後端を側方に向けるように回転させて後耳収容凹所31の下方開口31aを開放することも可能とされている。
【0035】
つぎに、図3(a)(b)を参照しながら、本軒樋支持具1の後耳収容凹所31に対する後耳5bの着脱手順について説明する。
【0036】
後耳5bを後耳係止部30に取り付ける場合には、図3(a)に示すように、後耳5bを後耳支持部32のガイド部32bの前面を滑らせるように上方に持ち上げ(白抜き矢印A参照)、蓋片部33dの横片部33fを後耳収容凹所31内に弾性変形させることで、後耳5bを後耳収容凹所31内に収容させて載置部32aに載せ置く(白抜き矢印B参照)ようにすればよい。
【0037】
後耳5bが正しく収容されれば蓋片部33dは弾性復帰し、下方開口31aは蓋片部33dの横片部33fにより再び塞がれるとともに、後耳5bに前方より接触または近接して押さえることとなり、後耳5bが後耳係止部30に係止されることとなる(図2参照)。この状態では、後耳5bは係止片33の後方の載置部32a側にあり、かつ、下方開口31aが係止片33により塞がれているため、軒樋5が下方に移動しようとしても後耳5bが後耳収容凹所31から抜け落ちる可能性はほとんどない。
【0038】
後耳5bを後耳係止部30より取り外す場合には、係止片33を図3(a)の状態から前方へ(図3(a)の白抜き矢印C参照)スライド移動させて下方開口31aを開放するようにすればよい(図3(b)参照)。そして、下方開口31aを開放した後に、後耳5bを載置部32aより前方に(図3(b)の白抜き矢印D参照)ずらせば、下方開口31aより取り外しすることができる(図3(b)の白抜き矢印E参照)。なお、上述したように、蓋片部33dを、図1(c)に示したように横方向に回転させて下方開口31aを開放することもできる。
【0039】
このように本軒樋支持具1によれば、軒樋5を軒先に固定した軒樋支持具1より簡単に取り外すことができる。係止片33をスライドさせたり回転させたりすることで軒樋5を取り外せるので、簡易にスムーズに軒樋支持具1の取り外しができる。軒樋5の後耳5bを無理に引っ張るなどする必要がないため、軒樋支持具1が損傷するおそれもない。
【0040】
また、係止片33は垂下部33eを有して段差状に形成されているので、スライド移動させるためには垂下部33eを前方に押すだけでよい。さらに、係止片33はレバー片33gを備えているため回転操作もしやすい。
【0041】
なお、上述したように後耳5bの後耳係止部30への取り付けも、係止片33をスライド移動させて下方開口31aを開放した状態で行ってもよい。つまり、ばね性を有さない係止片33を用いた軒樋支持具1を用いてもよい。
【0042】
また、図1の実施形態では後耳5bを着脱する例を示したが、前耳5aを着脱するものに係止片を採用してもよい。図4は、前耳5aおよび後耳5bのいずれについても係止片23、33を用いて係止する構造とした軒樋支持具1の説明図である。
【0043】
図4に示した軒樋支持具1は、おもに折板屋根7の軒先部分に取り付けて使用するものであり、軒樋5を支持する吊り具本体10と、吊り具本体10を折板屋根7に吊り下げるための吊りボルト50とを備えている。吊りボルト50は、その上部が折板屋根7に対してナット52とナット付き山座53とで固定されている。
【0044】
吊り具本体10は、出具合調整のために前後方向に直線状に延びてなる調整部11を有しており、その調整部11には長手方向に沿って長孔11aが形成されている。吊り具本体10と、吊りボルト50とは2つのナット51で連結されている。これらのナット51を操作して、吊り具本体10の軒先先端部からの出具合、つまり軒樋5の軒先からの出具合を調整できるように構成されている。また、ナット51の操作により吊り具本体10の設置高さの調整も可能とされている。
【0045】
また吊り具本体10は、前方部に前耳係止部20を有し、後方部に後耳係止部30を備えている。前耳係止部20は前耳収容凹所21に前耳5aを収容させて形成する構成とされ、後耳係止部30は同様に、後耳収容凹所31に後耳5bを収容させて係止する構成とされている。
【0046】
前耳収容凹所21は、調整部11の前部側に形成された凸部の下方に形成されており、前耳5aを載置させて支持する前耳支持部22と、調整部11から凸部への立ち上がり部25の内面に取り付けられた係止片23(以下、前耳係止片23という)とに開放自在に囲まれた空間とされる。前耳支持部22は前耳5aが載置される載置部22aを有してなる。
【0047】
後耳収容凹所31は、調整部11の後部側に形成された凸部の下方に形成されており、後耳5bを載置させて支持する後耳支持部32と、調整部11に取り付けられた係止片33(以下、後耳係止片33という)とに開放自在に囲まれた空間とされる。後耳支持部32は後耳5bが載置される載置部32aを有してなる。
【0048】
軒樋5が施工された状態では、前耳5aが前耳支持部22の載置部22aに載置されて前耳収容凹所21に配されている一方、後耳5bが後耳支持部32の載置部32aに載置されて後耳収容凹所31に配されている。また、軒樋5が施工された状態では、前耳係止片23の(蓋片部23cの)前端が前耳5aに接触または近接し、後耳係止片33の(蓋片部33dの)後端が後耳5bに接触または近接している。こうして前耳5aおよび後耳5bの抜け落ちを防止している。
【0049】
前耳係止片23は、図4(b)に示すように、立ち上がり部25に取り付けされる取付部23aと、取付部23aの上端より折曲して前方に延び、前耳収容凹所21の下方開口21a(図5参照)を塞ぐように配される蓋片部23cとを備えている。つまり、取付部23aと蓋片部23cとの全体は倒L字形状とされている。
【0050】
後耳係止片33は、図4(c)に示すように、調整部11に取り付けされる取付部33aと、取付部33aの後端より下方にL字状に延び、後耳収容凹所31の下方開口31a(図5参照)を塞ぐように配される蓋片部33dとを備えている。つまり、蓋片部33dは垂下部33eと横片部33fとよりなり、取付部33aと蓋片部33dとの全体は段差を有したZ字形状とされている。
【0051】
前耳係止片23の取付部23aは連結孔23bを有しており、立ち上がり部25に形成した長孔25aにリベット等の連結軸16で取り付けされている。前耳係止片23は長孔25aに取り付けされているため、その長孔25aに沿って上下方向への移動が可能とされている。
【0052】
後耳係止片33の取付部33aは連結孔33bを有しており、調整部11の長孔11aにリベット等の連結軸15で取り付けされている。後耳係止片33は長孔11aに取り付けされているため、長孔11aに沿って前後方向への移動が可能とされている。
【0053】
また、両係止片23、33はばね性を有している。なお、すくなくとも蓋片部23c、33d(後耳係止片33の場合、蓋片部33dの横片部33f)のみがばね性を有していればよい。また、これらの係止片23、33は図1に示したようなレバー片33gを備えていないが、図1のもののように蓋片部23c、33dにレバー片を設けてもよい。
【0054】
本実施形態では、図4(a)に示すように、前耳係止片23は、長孔25aに取り付けされた状態で蓋片部23cが前耳収容凹所21の下方開口21aを塞ぐように配されており、前耳係止片23はその状態から上方または下方へのスライド移動が可能とされている。前耳係止片23はさらに、連結軸16を回転軸として蓋片部23cの板面を側方に向けるように回転させて前耳収容凹所21の下方開口21aを開放することも可能とされている。
【0055】
また、後耳係止片33は、調整部11の長孔11aに取り付けされた状態で蓋片部33dが後耳収容凹所31の下方開口31aを塞ぐように配されており、係止片33はその状態から前方へのスライド移動が可能とされている。
【0056】
以上のように、前耳係止片23および後耳係止片33はいずれも、スライド、回転の両方の動作が可能とされ、いずれによっても下方開口21a、31aの開閉をできる構成とされている。
【0057】
図5は、軒樋5を取り外した状態を示した図である。この図には、前耳係止片23の回転動作により下方開口21aを開放し、後耳係止片33のスライド動作により下方開口31aを開放した例を示している。前耳係止片23は、スライド動作により、図4の2点鎖線で示した箇所に蓋片部23cを移動させて、下方開口21aを開放するようにしてもよい。また、前耳係止片23を下方にスライド移動させて、下方開口21aを開放するようにしてもよい。
【0058】
このように本軒樋支持具1によれば、軒樋5を軒先に固定した軒樋支持具1より簡単に取り外すことができる。前耳係止片23、後耳係止片33をスライドさせたり回転させたりして軒樋5を取り外せるので、軒樋支持具1が損傷するおそれもなく、スムーズに取り外しができる。もちろん、前耳5a、後耳5bの取り付けも、係止片23、33を移動させ下方開口21a、31aを開放した状態で行ってもよい。つまり、ばね性を有さない係止片を用いてもよい。
【0059】
なお、前耳係止片23は立ち上がり部25の長孔25aに取り付けて上下方向へ移動できるようにしてあるが、調整部11の長孔11aに取り付けられるような形状にして、前後方向に移動させることで下方開口21aを開放できる構成にしてもよい。また、後耳係止片33は調整部11の長孔11aに取り付けて前後方向へ移動できるようにしてあるが、後耳係止部30の凸部の立ち上がり部35に長孔を設けて、その長孔に取り付けられるような形状にして、上下方向に移動させることで下方開口31aを開放できる構成にしてもよい。
【0060】
以上の2実施形態のように、係止片33、23の取り付け対象である長孔11a、25aは、図1図4に示した後耳係止片33のように、調整部11に設けた出具合調整用の長孔11aであってもよいし、図4の例で示した前耳係止片23のように、前耳係止部20側の立ち上がり部25の長孔25aのように係止片23専用の長孔25aであってもよい。
【0061】
以上の2実施形態のものはいずれも、後耳係止部30については、吊り具本体10側に長孔11aが形成されているが、吊り具本体10に長孔11aを設けられない場合や、出具合調整用の長孔11aを有さない軒樋支持具の場合などには、係止片23、33の取付部23a、33aに長孔を形成してもよい。
【0062】
図6は、長孔を係止片33に形成した軒樋支持具1の説明図である。このものは後耳係止部30を例示した。
【0063】
図6(a)は、係止片33の蓋片部33dで下方開口31a(図3参照)を塞いだ状態を示す部分斜視図である。この状態では連結軸15は係止片33の長孔33cの前端部に位置する。係止片33が前方に移動するようにスライド操作をすると、連結軸15はその位置は変動しないが、係止片33の移動により長孔33cの後部側に相対移動する。このようにして下方開口31aが開放する。また、図6(c)の平面図に示すように、係止片33を回転させて下方開口31aを開放することもできる。
【0064】
ようするに、本軒樋支持具1は吊り具本体10の端部に、軒樋5の耳部5bを耳収容凹所31内に収容し係止する係止片33が配設されたものであり、係止片33は、前後または上下方向に延びた長孔33cを有し吊り具本体10に取り付けされる取付部33aと、耳収容凹所31の下方開口31aに下方開口31aを塞ぐように配される蓋片部33dとを備えており、取付部33aは、長孔33cの長手方向に沿ったスライド移動により下方開口31aを開放できるように、吊り具本体10に対し、長孔33cを介して、連結軸15にて取り付けられている(図1および図6参照)。
【0065】
以上に説明した実施形態のものは、連結軸15、16としてリベットが採用してあるが、これに代えてボルト、ナットを用いてもよい。ボルト、ナットを用いれば、ナットを少し緩めることで係止片23、33のスライド、回転動作をしやすくすることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 軒樋支持具
3 軒先面
10 吊り具本体
11 調整部
11a 長孔
15、16 連結軸
20 前耳係止部
21 前耳収容凹所(耳収容凹所)
21a 下方開口
22 前耳支持部
22a 載置部
23 前耳係止片(係止片)
23a 取付部
23b 連結孔
23c 蓋片部
25 立ち上がり部
25a 長孔
30 後耳係止部
31 後耳収容凹所(耳収容凹所)
31a 下方開口
32 後耳支持部
32a 載置部
32b ガイド部
33 後耳係止片(係止片)
33a 取付部
33b 連結孔
33c 長孔
33d 蓋片部
33e 垂下部
33f 横片部
33g レバー片
35 立ち上がり部
40 取付足
41 杆部
41a 連結片部
42 垂下片
45 軒先取付板部
45a 中央基部
45b 固定部
46 リベット
47 固定具
48 ボルト
49 蝶ナット
50 吊りボルト
51、52 ナット
53 ナット付き山座
5 軒樋
5a 前耳(耳部)
5b 後耳(耳部)
5c 後方壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6