特開2019-132079(P2019-132079A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-132079(P2019-132079A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】収納用扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/70 20060101AFI20190712BHJP
   E06B 3/58 20060101ALI20190712BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20190712BHJP
   A47B 81/06 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   E06B3/70 D
   E06B3/58 Z
   A47B55/00
   A47B81/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-16376(P2018-16376)
(22)【出願日】2018年2月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】岸田 康弘
【テーマコード(参考)】
2E016
3B067
【Fターム(参考)】
2E016AA06
2E016BA06
2E016BA08
2E016CA01
2E016CB01
2E016CB02
2E016CC02
2E016DA07
2E016DB02
2E016DB05
2E016DC05
3B067AA05
3B067EA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表面部材を取り付けたフレームが正面から殆ど或いは全く見えない現代的な外観を有し、透光材が高い強度を有する構造とした収納用扉を提供する。
【解決手段】収納用扉は、透光性の表面部材10、表面部材10の裏面における、対向する二辺又は四辺にその表面部材取付面5が取り付けられたフレーム1で構成される。フレーム1は、その表面部材取付面5の外縁部分から表面部材10側に向けてその幅が次第に狭くなる突条3が突設されている。表面部材10は、表面側透光部材12、フレーム1に取り付けられる裏面側透光部材20、表面側透光部材12と裏面側透光部材20の間に挟持され、その外縁部分がフレーム1の表面部材取付面5、或いはフレーム1の全体を隠蔽できる幅Wで不透明処理がなされている隠蔽枠部18を有する被覆フィルム16で構成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の表面部材と、前記表面部材の裏面における、対向する二辺又は四辺にその表面部材取付面が取り付けられたフレームとで構成された収納用扉であって、
前記フレームは、その表面部材取付面の外縁部分から表面部材側に向けてその幅が次第に狭くなる突条が突設され、
前記表面部材は、表面側透光部材、前記フレームに取り付けられる裏面側透光部材、前記表面側透光部材と裏面側透光部材の間に挟持され、その外縁部分が前記フレームの表面部材取付面、或いはフレームの全体を隠蔽できる幅で不透明処理化がなされている隠蔽枠部を有する被覆フィルムとで構成されていることを特徴とする収納用扉。
【請求項2】
前記フレームの突条の内側面は、前記表面部材取付面に対して鈍角に形成された傾斜面であり、
裏面側透光部材の外側面は、前記突条の内側面の傾斜に合わせて形成された傾斜面であることを特徴とする請求項1に記載の収納用扉。
【請求項3】
前記表面側透光部材と被覆フィルムとの間に、模様や着色された意匠形成シートが更に挟み込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納用扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納用扉の表面部材を構成するガラスやアクリル樹脂のような透光材が扉全体に用いられて該表面部材を取り付けたフレームが正面から殆ど或いは全く見えない現代的な外観を有し、しかも該透光材が高い強度を有する構造とした収納用扉に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、TVや携帯電話の表示画面を大きく見せるため、フレームの幅をできる限り狭くすることが現代的なデザインとして流行し、TVボード等の収納用扉のデザインもそのような流行を追っている。
従来のTVボード等の収納用扉Bは、アルミフレーム100を框に使用し、収納用扉Bの表面部材110となる透光性のガラス板やアクリル面板をアルミフレーム100に固定するために、アルミフレーム100の内周に溝120を全周にわたって掘り込み、表面部材110の外周縁がこの溝120に嵌まり込むように取り付けられていた(図9)。そのため、収納用扉Bの正面にはアルミフレーム100のかぶせ部分130が見え、上記の流行の傾向からすれば収納用扉B全体の意匠を損なっていた。
【0003】
これを改善するために、特許文献1のように透光性の表面部材210が取り付けられるフレーム200に、上記のようなかぶせ部分130をなくした収納用扉Cが存在する。この収納用扉Cでは、フレーム200にかぶせ部分130がないので、上記のようなくわえ込み構造となっておらず(即ち、溝120がない構造)、フレーム200と透光性の表面部材210との接着を両面テープ240や接着剤に頼ることになる。該接着面は、収納用扉Cの外面に現れるため、これを隠蔽するために、当該部分を塗装するなどの仕上げを行う必要があった。該塗装部分を250で示す。
【0004】
この場合上記のような塗装仕上げを行う場合、塗装を必要としない部分に合わせて形成した版や型(両者図示せず)を表面部材210の上に置き、版や型から外れた接着面を隠蔽する部分を別途塗装することになる。この場合、塗装工程で塗料が付着しないように版や型の寸法調整する必要があり、サイズの特注に対してその対応が容易でないという課題があった。また、表面部材210を全面的に塗装仕上げとすれば、型や版は不要であるものの表面部材210が透光性を有しなくなるため、飾り棚やTVボードなどの収納用扉Cには使用できない。
【0005】
その他、従来の表面部材110・210は、例えば、ガラス板やアクリル面板の1枚物で構成されていたため、強度的に弱く破損すると破片が周囲に飛び散るという危険もあった。また、表面部材110・210が一枚物の場合、上記のように塗料が取着された隠蔽部分にフレーム100が接着されるため、接着強度が弱いという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−136677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来例の問題点を解決するためになされたもので、フレームと透光性の表面部材を使用したにも拘らず、フレームが正面から見えず、或いは殆ど見えず、しかもフレームへの表面部材の保持強度が優れている収納用扉を提供することをその主たる課題とし、表面部材の強度強化と飛散防止及びフレームへの接着強度の向上を可能にすることを従たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明(収納用扉A)は、
透光性の表面部材10と、前記表面部材10の裏面における、対向する二辺又は四辺にその表面部材取付面5が取り付けられたフレーム1とで構成された収納用扉Aであって、
前記フレーム1は、その表面部材取付面5の外縁部分から表面部材10側に向けてその幅が次第に狭くなる突条3が突設され、
前記表面部材10は、表面側透光部材12、前記フレーム1に取り付けられる裏面側透光部材20、前記表面側透光部材12と裏面側透光部材20の間に挟持され、その外縁部分が前記フレーム1の表面部材取付面5、或いはフレーム1の全体を隠蔽できる幅Wで不透明処理化がなされている隠蔽枠部18を有する被覆フィルム16とで構成されていることを特徴とする。
【0009】
表面部材10は、表面側透光部材12と裏面側透光部材20の間に被覆フィルム16を設けているので、少なくとも表面側透光部材12または裏面側透光部材20が仮に破損したとしても、これらの破片が被覆フィルム16に付着しているので、破片が周囲に飛び散ることがない。また、この被覆フィルム16が強化フィルムの働きをなすため、表面部材10の強度が向上する。また、被覆フィルム16には不透明な隠蔽枠部18が予め設けられているので、表面部材10の裏面にフレーム1の表面部材取付面5を取り付けた時に自動的にフレーム1の表面部材取付面5、或いはフレーム1が不透明な隠蔽枠部18に隠蔽されることになり、正面視でフレーム1が見えない。更に、フレーム1の表面部材取付面5への取り付けは、表面部材10の裏面側透光部材20がそのまま取り付けられることになるので、換言すれば、塗装面ではないので、取り付け強度の低下がない。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の収納用扉Aにおいて、
前記フレーム1の突条3の内側面3bは、前記表面部材取付面5に対して鈍角に形成された傾斜面であり、
裏面側透光部材20の外側面20bは、前記突条3の内側面3bの傾斜に合わせて形成された傾斜面であることを特徴とする。
これによりフレーム1の突条3も隠蔽されることになる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の収納用扉Aにおいて、
前記表面側透光部材12と被覆フィルム16との間に、模様や着色された意匠形成シート14が更に挟み込まれていることを特徴とする。
これにより、表面部材10には予め模様や着色された意匠形成シート14が挟み込まれているので、表面部材10の意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記のような構成を要するので、本発明は、収納用扉のデザイン性を高めることができると同時に、その取り付け強度も本来の強度で取り付けることができた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る収納用扉を装着したTVボックスの概略正面図である。
図2図1において、意匠形成シートを設けなかった場合の2方組の斜視図である。
図3図1において、意匠形成シートを設けた場合の2方組の斜視図である。
図4図1において、意匠形成シートを設けなかった場合の4方組の斜視図である。
図5図1において、意匠形成シートを設けた場合の4方組の斜視図である。
図6】本発明に係る収納用扉のコーナー部分の4方組の分解斜視図である。
図7】本発明に係る収納用扉の部分断面図である。
図8】本発明に係る他の収納用扉の部分断面図である。
図9】従来例1の部分断面斜視図である。
図10】従来例2の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る収納用扉Aの実施形態を添付図面に従って説明する。本実施形態に係る収納用扉Aは、正面視で四角形(横長(図1)、或いは図示していないが縦長、又は正方形)で、TVボックスや収納家具などに用いられる。
本発明に係る収納用扉Aは、透光性の表面部材10の裏面にて縦辺(または横辺)にフレーム1が取り付けられた二方組(図2図4)と、透光性の表面部材10の裏面にてその四周にフレーム1が取り付けられた四方組(図3図5)とがあり、更に、表面部材10が、表面側透光部材12、裏面側透光部材20、及び被覆フィルム16の3部材で構成される場合と、図3、4のように、これに更に意匠形成シート14が加えられる場合がある。
【0015】
フレーム1は、アルミニウムやステンレスのような金属製のものや、木質部材(無垢材、木質繊維板)などが使用される。アルミニウムの場合一般的には押出成形品が使用される。
フレーム1の断面は、図7,8からわかるように断面長方形のフレーム本体2の表面部材取付面5の外縁部分にフレーム本体2の全長にわたって突条3が設けられている。この突条3は、突出(正面)方向に向けてその幅が次第に狭くなるように設けられている。図の実施例では断面が直角三角形状に形成されており、その内側面3bが表面部材取付面5に対して鈍角で傾斜するように設けられている。従って、突条3の先端3aはフレーム本体2の外側面2aの延長上に存在する。そして、フレーム本体2の表面部材取付面5の内縁には全長にわたって面取り2bがなされている。
【0016】
表面部材10は、図2及び図3のように、表面側透光部材12、裏面側透光部材20、及び被覆フィルム16の3部材で構成される場合と、図4図6のように、これに更に意匠形成シート14が加えられる場合がある。
表面側透光部材12及び裏面側透光部材20は、透光性(透明又は半透明)の材料、例えば、ガラス板やアクリル面板が用いられる。表面側透光部材12と裏面側透光部材20は、同種の材料としてもよいし、異種の材料としてもよい。例えば、後者において、表面側透光部材12をガラス板とし、裏面側透光部材20をアクリル面板とした場合、硬い表面側透光部材12により表面部材10の傷つき防止が可能となり、破損しにくいアクリル面板製の裏面側透光部材20が表面部材10の強度を向上させる。また、表面側透光部材12と裏面側透光部材20の厚みは、図7、8から分かるように、同じ厚さ(例えば2mm〜3mm)としてもよいし、異なる厚さ(例えば、一方を2mm、他方を3mm)としてもよい。図7では表面側透光部材12の方を裏面側透光部材20より厚くしているが、逆でもよい。
【0017】
裏面側透光部材20とフレーム1の関係は、図7、8から分かるように、裏面側透光部材20の裏面において、その外縁部分にフレーム1の表面部材取付面5が接着或いは両面テープにて直接取り付けられるため、その外側面20bは突条3の内側面3bに合致した角度の傾斜面に形成されている。そして、本実施例では、これに限定されないが、裏面側透光部材20の正面側のエッジ20aはフレーム1を取り付けた場合、突条3の先端3aに一致するようにするため、裏面側透光部材20の厚みと突条3の高さとは同じにしてある。なお、フレーム1の表面部材10の取り付けは、接着または両面テープが用いられる。裏面側透光部材20の表面部材取付面5への取り付け面は極めて平滑な面であるから、高い接着性が得られる。
【0018】
表面側透光部材12は裏面側透光部材20と厚みが同じ場合(図8)、断面形状が対称形状になるように形成され、全体形状も同一になるように形成される。
従って、表面側透光部材12の裏面側のエッジ12aが裏面側透光部材20の正面側のエッジ20aと一致するように形成され、当該エッジ12aから表面側に向けてその外側面12bが傾斜するように形成されている。(この場合、被覆フィルム16や意匠形成シート14の厚みは無視している。)この点は図7も同様である。
図7の場合は、外側面12b・20bの傾斜角度は同じであるが、異なるようにして、例えば、裏面側透光部材20の正面側のエッジ20aと表面側透光部材12のエッジ12aとが正面視で重なるようにしてもよい(図示せず)。
【0019】
被覆フィルム16は、透光性を有するシート部材で、外縁部分(対向する二辺又は四周)に隠蔽枠部18が形成されている。被覆フィルム16の大きさは、表面側透光部材12と裏面側透光部材20の合わせ面(最大面積)の大きさに一致し、隠蔽枠部18の幅Wは、被覆フィルム16の外周縁から少なくともフレーム1の表面部材取付面5、或いはフレーム1の全体を隠蔽できる大きさ(即ち、幅W)である。
隠蔽枠部18は、例えば、インクジェットのような塗装手段で当該部分を予め不透明に塗装する。隠蔽枠部18は全体を不透明にしてもよいが、フレーム1を隠すことができるのであれば、被覆フィルム16の側辺から内側に向かって次第にその濃度が薄くなるようにしてもよい。隠蔽枠部18は、二方組の場合、フレーム1が取り付けられる辺に限定して設けてもよい。四方組の場合、被覆フィルム16の四周に形成される。上記インクジェットのような塗装手段の場合には、印刷用の版や型を不要とすることができる。
【0020】
意匠形成シート14は任意に用いられる。意匠形成シート14は、模様や着色された透光性フィルム状のものに限られず、織布、或いは不織布、紙、突き板など透光性を有しない様々な材料を適用することができる。意匠形成シート14を用いない場合には、被覆フィルム16の隠蔽枠部18以外の透明部分にインクジェット印刷により、模様を設けるようにしてもよい。
【0021】
表面部材10は、表・裏面側透光部材12・20の間に被覆フィルム16が積層された三層構造、更には被覆フィルム16と裏面側透光部材20との間に意匠形成シート14が積層された四層構造のものである。
そして上記のように表面部材10の裏面側において、その対向する二辺、又は四周にフレーム1が取り付けられる。フレーム1の突条3の先端3aは表面部材10のエッジ12a(20a)に一致し、表面側透光部材12が突条3の先端3aより飛び出した状態の収納用扉Aとなっているが、表面部材10の側辺11、即ち、表面側透光部材12の外側面12bは斜面に形成されているので、扉の開閉時にこの部分で怪我をするようなことはない。これにより正面視で、フレーム1が殆ど見えない、或いはまったく見えない意匠性に優れた表面部材10とすることが出来た。
【符号の説明】
【0022】
A:本発明の収納用扉、B・C:従来の収納用扉、W:隠蔽枠部の幅、1:フレーム、2:フレーム本体、2a:外側面、2b:面取り、3:突条、3a:先端、3b:内側面、5:表面部材取付面、10:透光性の表面部材、11:側辺、12:表面側透光部材、12a:裏面側のエッジ、12b:外側面、14:意匠形成シート、16:被覆フィルム、18:隠蔽枠部、20:裏面側透光部材、20a:正面側のエッジ、20b:外側面、100:アルミフレーム、110:表面部材、120:溝、130:かぶせ部分、200:フレーム、210:透光性の表面部材、240:両面テープ(接着剤)、250:塗装部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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