特開2019-132092(P2019-132092A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019132092-滑り止めカバー 図000003
  • 特開2019132092-滑り止めカバー 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-132092(P2019-132092A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】滑り止めカバー
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20190712BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   E04F11/18
   A47C7/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-17046(P2018-17046)
(22)【出願日】2018年2月2日
(71)【出願人】
【識別番号】596161695
【氏名又は名称】ヘルメット潜水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 正男
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301HH15
2E301KK05
(57)【要約】
【課題】装着及び取外しが容易にでき、使用中に水や汚れが内部に進入するのを防止し、表面を清潔に保つことができる滑り止めカバーを提供する。
【解決手段】屈曲性を有する幅広の長尺シート本体12と、長尺シート本体12の幅方向一側に縫合及び接着のいずれか一方又は双方によって固定される補助シート13とを有し、取付け対象物11に巻いて装着する滑り止めカバー10であって、長尺シート本体12は多数の独立気泡を有するゴムシートからなって、ゴムシートの表面には、面ファスナー14の一側を構成する多数のループ状物15が密集して配置されていると共に、ゴムシートの裏面には滑り止め凹凸17が形成され、補助シート13の裏面には、面ファスナー14の他側を構成し、ループ状物15に掛合する鉤状物18が多数密集して配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲性を有する幅広の長尺シート本体と、該長尺シート本体の幅方向一側に縫合及び接着のいずれか一方又は双方によって固定される補助シートとを有し、取付け対象物に巻いて装着する滑り止めカバーであって、
前記長尺シート本体は多数の独立気泡を有するゴムシートからなって、該ゴムシートの表面には、面ファスナーの一側を構成する多数のループ状物が密集して配置されていると共に、該ゴムシートの裏面には滑り止め凹凸が形成され、
前記補助シートの裏面には、前記面ファスナーの他側を構成し、前記ループ状物に掛合する鉤状物が多数密集して配置されていることを特徴とする滑り止めカバー。
【請求項2】
請求項1記載の滑り止めカバーにおいて、前記長尺シート本体の厚みは2〜8mmであり、幅は8〜20cmの範囲にあることを特徴とする滑り止めカバー。
【請求項3】
請求項1又は2記載の滑り止めカバーにおいて、前記ループ状物の平均高さは0.8mm以上2mm以下となっていることを特徴とする滑り止めカバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の滑り止めカバーにおいて、前記補助シートには、長手方向に間隔を空けて、該補助シートの幅方向に沿って切れ目が設けられていることを特徴とする滑り止めカバー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の滑り止めカバーにおいて、前記長尺シート本体と前記補助シートとの連結部の長手方向の両端部には、接着剤からなる補強層が形成されていることを特徴とする滑り止めカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座椅子、車椅子等に設けられた肘掛けや、階段、廊下、スロープ等に設けられた手擦り等(以下、取付け対象物という)に装着して使用する滑り止めカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子(例えば、特許文献1参照)や座椅子の肘掛け、階段や廊下に設けられた手擦りには、把持し易さ、クッション性や手触り感を向上させるために滑り止めカバーが取り付けられている。ここで、滑り止めカバーは、例えば、特許文献2に示すように、肘掛け本体(肘掛けの骨組み)を被覆するプラスチック発泡体製(例えばスポンジ)のクッション部と、クッション部を被覆する合成樹脂製又は革製のカバー部で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−75397号公報
【特許文献2】特開2004−267293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の滑り止めカバーでは、表面のカバー部が破れたり、擦り切れたりすると、内部のクッション部が露出することになって、クッション部の気泡内に水(汚れが分散している場合を含む)が浸入すると、水は長時間に亘って気泡内に保持されることになり、非衛生的であるという問題があった。
また、滑り止めカバーを交換する際に、クッション部が肘掛け本体や手擦り本体に接合されている場合、肘掛け本体や手擦り本体からクッション部を除去することが困難になるという問題が生じていた。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、装着及び取外しが容易にでき、使用中に水の内部への浸入を防止し、表面を容易に乾燥状態に保つことが可能な滑り止めカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る滑り止めカバーは、屈曲性を有する幅広の長尺シート本体と、該長尺シート本体の幅方向一側に縫合及び接着のいずれか一方又は双方によって固定される補助シートとを有し、取付け対象物、例えば、肘掛け又は手摺り(水平、斜め、垂直に配置されたパイプ、棒状物等を含む)に巻いて装着する滑り止めカバーであって、
前記長尺シート本体は多数の独立気泡を有するゴムシートからなって、該ゴムシートの表面には、面ファスナーの一側を構成する多数のループ状物が密集して配置されていると共に、該ゴムシートの裏面には滑り止め凹凸が形成され、
前記補助シートの裏面には、前記面ファスナーの他側を構成し、前記ループ状物に掛合する鉤状物が多数密集して配置されている。
なお、ループ状物はゴムシートに直接植設(配置)されている場合の他、ゴムシートとは別材(ゴムシートと同様の伸縮性を有することが好ましい)からなる基板に密集して植設されている場合も含む。
また、鉤状物も補助シートに直接植設(配置)されている場合の他、別の基板(ゴムシートと同様の伸縮性を有することが好ましい)に植設されている場合であってもよい。
【0007】
本発明に係る滑り止めカバーにおいて、前記長尺シート本体の厚みは2〜8mmであり、幅は例えば、8〜20cmの範囲にあるのが好ましい。長尺シート本体の幅が8〜20cmの範囲にある場合、取付け対象物(肘掛け又は手摺り)の外周長さに応じて長尺シート本体の幅寸法を調節することにより、取付け対象物に対して滑り止めカバーを容易かつ見栄えよく装着することが可能になる。また、長尺シート本体の厚みが2〜8mmである場合、長尺シート本体に適度のクッション性を発現させることができ、利便性に優れた滑り止めカバーを提供することができる。長尺シート本体の厚みはこの範囲に限定されず、更に大きい場合であってもよい。なお、ゴムシート及び補助シートのいずれか一方又は双方を長手方向に切断し、滑り止めカバーの幅を取付け対象物に合わせて調整できる。また、滑り止めカバーを適当位置で幅方向に切断して、取付け対象物に合わせることもできる。
【0008】
本発明に係る滑り止めカバーにおいて、前記ループ状物の平均高さは例えば0.8mm以上2mm以下となっているのが好ましい。このような構成とすることで、ループ状物と鉤状物の掛合を確実に行うことができると共に、滑り止めカバーの表側に利用者が触れた際の手触り感触を高めることができる。
【0009】
本発明に係る滑り止めカバーにおいて、前記補助シートには、長手方向に間隔を空けて、該補助シートの幅方向に沿って切れ目が設けられていてもよい。なお、この切れ目は、出荷の状態では通常なく、滑り止めカバーを取付け対象物に装着する場合に設けるのが好ましい。
このように形成することによって、取付け対象物が曲がっている場合も円滑に滑り止めカバーを取付けることができる。なお、ここで、補助シートを伸縮性を有する布材又はゴム材等で形成すると、取付け対象物が屈曲するものであれば、外観よく取り付けることができる。
【0010】
本発明に係る滑り止めカバーにおいて、前記長尺シート本体と前記補助シートとの連結部の長手方向の両端部には、該滑り止めカバーを幅方向に切断した場合には、連結部の切断端部が綻びることがあるので、これを防止する接着剤による補強層が形成されていることが好ましい。これによって、切断箇所の綻びの発生を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る滑り止めカバーは、肘掛け又は手擦り等の取付け対象物に長尺シート本体を巻いて取り付け、ゴムシートの表面と補助シートの裏面とを掛合させることにより取付け対象物に固定することができるので、取付け対象物に対する滑り止めカバーの装着及び取外しを容易に行うことが可能になる。
また、ゴムシートの裏面には滑り止め凹凸が形成されているので、滑り止め凹凸が取付け対象物の表面に当接することにより、使用中に滑り止めカバーが取付け対象物からずれるのを防止できる。
更に、長尺シート本体は多数の独立気泡を有するゴムシートからなるので、使用中に滑り止めカバーの長手方向の端部から、あるいはそれ以外の箇所から破れたり、擦り切れたりして長尺シート本体の内部が露出しても、水が長尺シート本体の内部に浸入するのを防止できると共に水の拭き取りが容易にでき、滑り止めカバーを乾燥状態に維持して、表面を清潔に保つことが可能になる。
【0012】
ゴムシートの表面には、面ファスナーの一側を構成する多数のループ状物が密集して配置されているので、取付け対象物に滑り止めカバーが装着された状態では、滑り止めカバーの表側には多数のループ状物と補助シートの表面が現れることになる。このため、利用者が滑り止めカバーに触れた際の手触り感触を高めることができると共に、滑り止めカバーに、例えば、手の平や手の甲が不用意に当たって擦れても、擦り傷が生じるのを防止できる。更に、使用中にゴミや汚れが滑り止めカバーの表面に留まり難くなって、滑り止めカバーの清掃が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る滑り止めカバーの使用状態を示す側面図、(B)は(A)の矢視P−P断面図である。
図2】(A)は同滑り止めカバーの平面図、(B)は同滑り止めカバーの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)、(B)、図2(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る滑り止めカバー10は、例えば、車椅子や浴室用椅子等の肘掛け又は階段や廊下等の手擦りといった取付け対象物11に巻いて装着するものであって、屈曲性を有する幅広の長尺シート本体12と、長尺シート本体12の幅方向一側に縫合により、接着により、又は縫合及び接着を併用することにより固定される補助シート13とを有している。長尺シート本体12は多数の独立気泡を有するゴムシートからなって、ゴムシートの表面には、面ファスナー14の一側を構成する多数のループ状物15が密集して配置されたループ起毛層16が形成されていると共に、ゴムシートの裏面には滑り止め凹凸17が形成されている。一方、補助シート13の裏面には、面ファスナー14の他側を構成し、多数のループ状物15にそれぞれ掛合する鉤状物18が多数密集して配置された鉤起毛層19が形成されている。
【0015】
長尺シート本体12を形成しているゴムシートの厚みの下限値は2mm、好ましくは3mmであり、上限値は8mm、好ましくは6mmである。長尺シート本体12の厚みが2mm未満では滑り止めカバー10に十分なクッション性を発現させることができず、長尺シート本体12の厚みが8mmを超えると、取付け対象物11に巻いた(装着した)際の滑り止めカバー10の外径が大きくなって、手で滑り止めカバー10を介して取付け対象物11を確実に把持することが困難となるため好ましくない。
長尺シート本体12の幅は8〜20cmの範囲にある。これによって、取付け対象物11の外周長さに応じて長尺シート本体12の幅寸法を調節することにより、取付け対象物11に対して滑り止めカバー10を容易かつ見栄えよく装着することができる。
【0016】
図2(A)、(B)に示すように、長尺シート本体12を形成しているゴムシートの裏面(取付け対象物11に接する面)には、例えば、シャークスキン加工により多数の滑り止め凹凸17(例えば、平面視して一辺の長さが1〜2mmの正方形状、又は長辺長さが2〜4mm、短辺長さが1〜2mmの矩形状であって、突出高さが0.5〜1,5mm)が設けられている。
【0017】
長尺シート本体12を形成するゴムシートが有する独立気泡の直径の下限は0.05mm、上限は1mm、独立気泡の気泡率の下限は60%、上限は95%である。ここで、ゴムシートの独立気泡の直径が0.05mm未満又は気泡率が60%未満では、滑り止めカバー10が手で把持された際にゴムシートに生じる変形量が少なく、滑り止めカバー10のクッション性が過小になるため好ましくない。一方、ゴムシートの独立気泡の直径が1mmを超え又は独立気泡の気泡率が95%を超えると、滑り止めカバー10が手で把持された際にゴムシートに生じる変形量が過剰になって、滑り止めカバー10が手で把持された際にゴムシートに生じるクッション性が過小になるため好ましくない。このため、ゴムシートが有する独立気泡の直径の下限を0.05mm、好ましくは0.1mmとし、上限を1mm、好ましくは0.8mmとする。また、独立気泡の気泡率の下限を60%、好ましくは70%とし、上限を95%、好ましくは90%とする。
【0018】
ループ状物15の平均高さの下限値は0.8mm、好ましくは1mmであり、上限値は2mm、好ましくは1,5mmである。一方、鉤状物18の平均高さの下限値は0.8mm、好ましくは1mmであり、上限値は2mm、好ましくは1,5mmである。このような構成とすることにより、ループ状物15に鉤状物18を確実に掛合させることができ、面ファスナー14により長尺シート本体12に補助シート13を強固に固定することができる。
【0019】
ここで、ループ状物15は、合成樹脂(例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、及びポリエチレンのいずれか1又は任意の2つを組合せ)から形成されている。
また、補助シート13及び鉤状物18も、ループ状物15と同様の合成樹脂を用いて形成できる。
【0020】
補助シート13には、長手方向に間隔を空けて、補助シート13の幅方向に沿って複数(図1図2では5本)の切れ目20が設けられている。このため、補助シート13は、複数(図1図2では6つ)の補助シート片21、22、23、24、25、26から構成されることになり、滑り止めカバー10を取付け対象物11に装着する際、補助シート13の操作は補助シート片21、22、23、24、25、26の単位で行うことができる。
なお、滑り止めカバー10が製品(出荷)の状態では、切れ目20は存在しない。この切れ目は、取付け対象物によって設けるもので、均等ピッチである必要はない。
更に、滑り止めカバー10を取付け対象物に取り付ける場合、長尺シート本体12及び補助シート13の幅を調整して(即ち、これらを長手方向に切断して)、滑り止めカバー10の幅を調整する。また、装着時には滑り止めカバー10を幅方向に切断して取付け対象物の長さに合わせ、必要に応じて切れ目20を設けるのがよい。
【0021】
長尺シート本体12と補助シート13との連結部の長手方向の両端部には、瞬間接着剤(接着剤の一例)からなる補強層27が形成されている。これによって、切断箇所の綻びの発生を防止できる。
ここで、瞬間接着剤を用いて補強層27を形成することにより、補強層27の形成を短時間で完了させることができ、長尺シート本体12と補助シート13の長さ調節による最適長さの滑り止めカバー10の形成に引き続いて、滑り止めカバー10の取付け対象物11に対する取付けを開始することができ、滑り止めカバー10の装着を効率的に行うことができる。
【0022】
続いて、本発明の一実施の形態に係る滑り止めカバー10の作用について説明する。
長尺シート本体12を取付け対象物11に巻き付け、長尺シート本体12の表面に設けられた面ファスナー14の一側を構成する多数のループ状物15が密集して配置されたループ起毛層16に、補助シート13(補助シート片21、22、23、24、25、26)の裏面に形成された面ファスナー14の他側を構成する多数の鉤状物18が密集して配置された鉤起毛層19を押し当て、ループ起毛層16のループ状物15と鉤起毛層19の鉤状物18とを掛合させる(ループ起毛層16と鉤起毛層19が連結させる)。これにより、面ファスナー14を介して長尺シート本体12に補助シート13(補助シート片21、22、23、24、25、26)を固定することができ、取付け対象物11に滑り止めカバー10が装着される。一方、長尺シート本体12から補助シート13(補助シート片21、22、23、24、25、26)を引き剥がす(ループ起毛層16から鉤起毛層19を離脱させる)ことにより、面ファスナー14を介した長尺シート本体12と補助シート13との固定を解除することができ、取付け対象物11から巻き付けた長尺シート本体12を取り外すことができる。
従って、取付け対象物11に対する滑り止めカバー10の装着及び取外しを容易に行うことが可能になる。
【0023】
ゴムシートの裏面には滑り止め凹凸17が形成されているので、滑り止めカバー10を取付け対象物11に装着した際、滑り止め凹凸17が取付け対象物11の表面に当接することになる。このため、滑り止めカバー10が取付け対象物11からずれるのを防止でき、使用中に滑り止めカバー10の位置調整を行なうことなく安定して使用することが可能になる。
【0024】
長尺シート本体12は多数の独立気泡を有するゴムシートからなるので、使用中に滑り止めカバー10の長手方向の端部から、あるいはそれ以外の箇所から破れたり、擦り切れたりして長尺シート本体12の内部が露出しても、水が長尺シート本体12の内部に浸入するのを防止できると共に水の拭き取りが容易にでき、滑り止めカバー10を乾燥状態に維持して、表面を清潔に保つことが可能になる。
【0025】
取付け対象物11に滑り止めカバー10が装着された状態では、ゴムシートの表面には、面ファスナー14の一側を構成する多数のループ状物15が密集して配置されているので、取付け対象物11に滑り止めカバー10が装着された状態では、滑り止めカバー10の表側には多数のループ状物15(ループ起毛層16)と補助シート13の表面が現れることになる。このため、利用者が滑り止めカバー10に触れた際の手触り感触を高めることができると共に、滑り止めカバー10に、例えば、手の平や手の甲が不用意に当たって擦れても、擦り傷が生じるのを防止できる。更に、使用中にゴミや汚れが滑り止めカバー10の表面に留まり難くなって、滑り止めカバー10の清掃が容易となる。
【0026】
滑り止めカバー10の補助シート13には、長手方向に間隔を空けて、補助シート13の幅方向に沿って複数の切れ目20が設けられている。このため、補助シート13は、複数の補助シート片21、22、23、24、25、26から構成されることになり、滑り止めカバー10を取付け対象物11に装着する際、補助シート13の操作は補助シート片21、22、23、24、25、26の単位で行うことができる。その結果、取付け対象物11が曲がっている場合も、取付け対象物11に巻き付けた長尺シート本体12のループ起毛層16に対して、各補助シート片21、22、23、24、25、26の鉤起毛層19を容易に押し当てることができる。これにより、曲がった取付け対象物11に対して、円滑に滑り止めカバー10を取付けることができる。
【0027】
滑り止めカバー10において、長尺シート本体12と補助シート13との連結部の長手方向の両端部には、瞬間接着剤からなる補強層27が形成されている。これによって、取付け対象物11の長さに対して最適な長さとなるように補助シート13及び長尺シート本体12を切断した際、切断箇所の綻び、例えば、長尺シート本体12と補助シート13の連結に縫合が用いられている場合は、連結部の長手方向の両端部における縫製した糸のほつれの発生を防止でき、長尺シート本体12と補助シート13の連結に接着が用いられている場合は、連結部の長手方向の両端部に現れる長尺シート本体12と補助シート13との接着界面の分離の発生を防止できる。このため、滑り止めカバー10を長期間に亘って使用することができる。
【0028】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
また、以上の実施の形態において、補助シートに切れ目で形成された補助シート片は、滑り止めカバーの長手方向に連続的に形成されていたが、その一部を省略して(隙間を有して)、補助シートの一部又は全部を短冊状に形成することもできる。
【符号の説明】
【0029】
10:滑り止めカバー、11:取付け対象物、12:長尺シート本体、13:補助シート、14:面ファスナー、15:ループ状物、16:ループ起毛層、17:滑り止め凹凸、18:鉤状物、19:鉤起毛層、20:切れ目、21、22、23、24、25、26:補助シート片、27:補強層
図1
図2