(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-132382(P2019-132382A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】除湿弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20190712BHJP
F25B 41/06 20060101ALI20190712BHJP
F16K 47/04 20060101ALI20190712BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
F16K31/06 305M
F25B41/06 S
F16K31/06 305J
F16K31/06 305E
F16K31/06 305K
F16K31/06 305D
F16K47/04 A
H01F7/16 E
H01F7/16 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-16547(P2018-16547)
(22)【出願日】2018年2月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】剱持 大一郎
(72)【発明者】
【氏名】小山 祐
【テーマコード(参考)】
3H066
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA12
3H066EA12
3H106DA05
3H106DA12
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD04
3H106EE48
3H106GA03
3H106GA11
3H106GA13
3H106GA15
3H106GB01
3H106GB15
3H106GB21
3H106GC23
3H106KK23
3H106KK31
5E048AB01
5E048AD02
5E048BA07
(57)【要約】
【課題】弁部材2の側部から流入する冷媒を弁ポート13の周囲のブリード溝16を介し絞るようにした除湿弁において、弁部材2の作動を繰り返した際のブリード流量の低下を抑制する。
【解決手段】弁部材2の弁軸22を吸引子32の挿通孔32aを通してプランジャ33に連結する。ブリード溝16を入口側継手10とは正反対側には形成しないようにする。
吸引子32の挿通孔32に弁軸22の周囲を当接させることで、弁部材2の軸線Lに対する振れを規制し、弁部21が弁座部15に当接する位置を入口側継手10とは正反対側の初期着座部15Aの一定の位置となるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室及び弁ポートを形成する弁ハウジングと、前記室内に設けられるとともに弁ポートの周囲に形成された弁座部と、前記弁室の側部に連通する入口側継手と、前記弁ポートを介して前記弁室に連通する出口側継手と、前記弁ポートの軸線方向に移動可能に設けられた弁部材と、前記弁部材の弁軸に連結されたプランジャを前記軸線方向に駆動して前記該弁部材を移動する電磁駆動部と、を備え、
前記電磁駆動部の駆動により前記弁部材を前記弁座部に対して着座/離間させ、該弁部材の着座時に前記弁座部に形成されたブリード溝を介して、前記入口側継手から流入する冷媒を前記弁室内から前記出口側継手へ流出させる除湿弁であって、
前記弁座部の前記弁ポートの開口周囲であって前記入口側継手とは正反対側の部位が前記弁部材が最初に接触する初期着座部とされ、前記ブリード溝が該初期着座部を避けて形成されるとともに、前記弁部材の前記入口側継手と正反対側への振れを規制する振れ規制手段を備えたことを特徴とする除湿弁。
【請求項2】
前記電磁駆動部が前記プランジャを吸引する吸引子を備えるとともに、前記弁部材の前記弁軸が前記吸引子の挿通孔を介して前記プランジャに連結され、前記吸引子の前記挿通孔の内周が前記弁軸に当接することで前記振れ規制手段を構成していることを特徴とする請求項1に記載の除湿弁。
【請求項3】
前記電磁駆動部における電磁コイル部が前記プランジャに対して生成する磁束の分布に、前記軸線回りに磁束密度の偏りがあり、前記磁束密度の高い前記軸線回りの位置が前記初期着座部の位置となるように、前記電磁駆動部が前記弁ハウジングに対して位置決めされていることを特徴とする請求項1または2に記載の除湿弁。
【請求項4】
前記弁部材が前記弁座部に着座したときに、前記電磁駆動部のプランジャと前記吸引子との間に隙間ができるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の除湿弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内熱交換器を構成する第1熱交換器と第2熱交換器との間に設けられ除湿運転時の冷媒を絞る除湿弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の除湿弁として、例えば特開2012−177470号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この除湿弁は、弁座部材の弁シート部に複数のブリード溝が形成され、弁部材(弁本体)が弁座部材に着座して弁ポートが閉となる弁閉状態で、上記複数のブリード溝から冷媒を膨張させて流出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−177470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものでは、弁座部材に複数のブリード溝が等間隔で形成されているが、弁部材が弁座部材に着座を繰り返すことにより、弁座部材の摩耗によりブリード溝が変形することがあり、ブリード溝から流出する冷媒の流量、すなわちブリード流量が変化してしまう。特に微少量のブリード流量を得る場合に、ブリード溝の摩耗等によりブリード流量が減少して安定したブリード流量が得られなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、弁部材の側部から流入する冷媒を弁ポートの周囲のブリード溝を介し絞るようにした除湿弁において、弁部材の作動を繰り返した際のブリード流量の低下を抑制できる除湿弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の除湿弁は、弁室及び弁ポートを形成する弁ハウジングと、前記室内に設けられるとともに弁ポートの周囲に形成された弁座部と、前記弁室の側部に連通する入口側継手と、前記弁ポートを介して前記弁室に連通する出口側継手と、前記弁ポートの軸線方向に移動可能に設けられた弁部材と、前記弁部材の弁軸に連結されたプランジャを前記軸線方向に駆動して前記該弁部材を移動する電磁駆動部と、を備え、前記電磁駆動部の駆動により前記弁部材を前記弁座部に対して着座/離間させ、該弁部材の着座時に前記弁座部に形成されたブリード溝を介して、前記入口側継手から流入する冷媒を前記弁室内から前記出口側継手へ流出させる除湿弁であって、前記弁座部の前記弁ポートの開口周囲であって前記入口側継手とは正反対側の部位が前記弁部材が最初に接触する初期着座部とされ、前記ブリード溝が該初期着座部を避けて形成されるとともに、前記弁部材の前記入口側継手と正反対側への振れを規制する振れ規制手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の除湿弁は、請求項1に記載の除湿弁であって、前記電磁駆動部が前記プランジャを吸引する吸引子を備えるとともに、前記弁部材の前記弁軸が前記吸引子の挿通孔を介して前記プランジャに連結され、前記吸引子の前記挿通孔の内周が前記弁軸に当接することで前記振れ規制手段を構成していることを特徴とする。
【0008】
請求項3の除湿弁は、請求項1または2に記載の除湿弁であって、前記電磁駆動部における電磁コイル部が前記プランジャに対して生成する磁束の分布に、前記軸線回りに磁束密度の偏りがあり、前記磁束密度の高い前記軸線回りの位置が前記初期着座部の位置となるように、前記電磁駆動部が前記弁ハウジングに対して位置決めされていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の除湿弁は、請求項2に記載の除湿弁であって、前記弁部材が前記弁座部に着座したときに、前記電磁駆動部のプランジャと前記吸引子との間に隙間ができるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1乃至4の除湿弁によれば、弁部材が弁座部に着座する過程で、弁部材が弁座部の初期着座部に最初に接触するが、この初期着座部にはブリード溝が形成されていないので、弁部材が弁座部に完全に着座するまでの間にこの初期着座部との接触により、弁部材がブリード溝に接触する時の力が緩和される。また、入口側継手から流入する冷媒が弁部材の側部に流体圧を作用させても振れ規制手段により弁部材の入口側継手と正反対側への振れが規制されるので、弁部材が初期着座部に接触する位置を一定に保つことができるとともに、この弁部材が弁座部に完全に着座するまでの摺動長さを低減できる。したがって、弁部材の繰り返しの作動によっても、ブリード溝の摩耗を低減することができ、耐久性高くブリード流量の低下を抑制することができる。
【0011】
請求項2の除湿弁によれば、さらに、振れ規制手段を電磁駆動部の吸引子で構成できるので、部品点数が少なくなる。
【0012】
請求項3の除湿弁によれば、さらに、電磁駆動部における電磁コイル部がプランジャに対して生成する磁束の磁束密度の高い位置が初期着座部の位置になるので、プランジャ及び弁部材が初期着座部側の一定の位置に引き寄せられやすくなるので、ブリード溝の摩耗をより一層低減できる。
【0013】
請求項4の除湿弁によれば、弁部材が弁座部に着座したときに電磁駆動部のプランジャが吸引子に接触しないので、軸線方向の部材の寸法精度によらず確実に着座させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の除湿弁の弁開状態の縦断面図である。
【
図2】第1実施形態の除湿弁の弁閉状態の縦断面図である。
【
図3】第1実施形態の除湿弁のブリード溝を示す要部平面図である。
【
図4】第1実施形態の除湿弁のブリード溝の変形例を示す要部平面図である。
【
図5】第1実施形態の除湿弁における弁開状態から弁閉状態に到る過程の着座直前までを示す図である。
【
図6】第1実施形態の除湿弁における弁開状態から弁閉状態に到る過程の弁部材が初期着座から着座するまでを示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態の除湿弁の弁閉状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の除湿弁の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態の除湿弁の弁開状態の縦断面図、
図2は同除湿弁の弁閉状態の縦断面図、
図3は同除湿弁のブリード溝を示す要部平面図、
図4は同除湿弁のブリード溝の変形例を示す要部平面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図1及び
図2の図面における上下に対応する。
【0016】
この実施形態の除湿弁は、真鍮等の金属製の弁ハウジング1を有している。弁ハウジング1には、弁室1Aと、配管接続孔11と、配管接続孔12と、弁ポート13と、プランジャチューブ取付孔14とが、切削加工等により形成されている。配管接続孔11は弁ハウジング1の側部に形成され、配管接続孔12は弁ハウジング1の底部に形成されている。弁ポート13は軸線Lを中心とする円形の形状であり、この弁ポート13の周りは円筒状の弁座部15となっている。そして、弁座部15の弁ポート13の開口部の内周端部はすり鉢状のシール面15aとなっており、この弁座部15にはシール面15aを跨ぐように、後述する弁部材2と共働して絞り通路を構成する2つのブリード溝16が、
図3に示すように軸線L回りで180°離間して形成されている。
【0017】
配管接続孔11には矢印のように流体が流入する入口側継手10が取り付けられ、配管接続孔12には矢印のように流体が流出する出口側継手20が取り付けられている。入口側継手10は弁室1Aに連通され、出口側継手20は弁ポート13を介して弁室1Aに連通されている。プランジャチューブ取付孔14には、後述の電磁駆動部30のステンレス製の円筒状のプランジャチューブ31が取り付けられている。入口側継手10、出口側継手20及びプランジャチューブ31は、弁ハウジング1に対して、それぞれ配管接続孔11、配管接続孔12、プランジャ取付孔14の開口端部の周囲において、ろう付けにより固着されている。
【0018】
弁ハウジング1にはプランジャチューブ31を介して電磁駆動部30が取り付けられている。電磁駆動部30は、プランジャチューブ31内の底部にかしめにより固定された吸引子32と、プランジャチューブ31内に軸線L方向に移動可能に挿通された磁性材製のカップ形状のプランジャ33と、プランジャチューブ31の上端部に取り付けられたコイルガイド部材34と、プランジャチューブ31の外周に設けられ、ボルトNによってコイルガイド部材34に固定された電磁コイル部35及びコの字形の磁性材製の外凾36と、吸引子32とプランジャ33との間に設けられたプランジャばね37と、プランジャ33内に設けられたプランジャ33と吸引子32との衝突音を緩和する樹脂材(例えばPTFE製)からなるバッファプレート38とを有している。吸引子32の中心には軸線Lを中心とする挿通孔32aが形成されるとともに、この吸引子32のプランジャ33側の端部にはすり鉢状のテーパ面32bが形成されている。また、プランジャ33の吸引子32側の底部には吸引子32のテーパ面32aに対向するテーパ面33aが形成されている。
【0019】
弁室1A及びプランジャチューブ31内には、弁部材2が弁ポート13の軸線L方向に移動可能に設けられている。弁部材2は、下部に円錐台側面形状のテーパ面21aを有する弁部21と、弁部21より径の小さな円柱状の弁軸22とを一体形成したものである。そして、弁部材2は、弁軸22を吸引子32の挿通孔32aに挿通され、弁軸22の上端のステム部22aにてプランジャ33の底部にかしめ結合されている。これにより、弁部材2はプランジャ33と一体的に軸線L方向に移動する。
【0020】
図1は電磁駆動部30が非通電状態であり、プランジャ33は、プランジャばね37の付勢力により吸引子32から離間している。これにより弁部材2の弁部21が弁座部15から離間して弁ポート13が弁開状態となっている。電磁駆動部30の電磁コイル部35に通電すると、
図2に示すように、プランジャ33はプランジャばね37の付勢力に抗して吸引子32側に吸引され、弁部材2の弁部21が弁座部15に着座し、弁ポート13が弁閉状態となる。そして、この弁閉状態で、ブリード溝16により弁室1Aと弁ポート13とは導通され、弁室1A内の冷媒はブリード溝16を介して弁ポート13内に膨張流出する。
【0021】
ここで、
図1に示すように、プランジャチューブ31の内周面とプランジャ33の外周面との間のクリアランス「C1」と、吸引子32の挿通孔32aの内周面と弁軸22の外周面との間のクリアランス「C2」とは、
C1<C2
となっている。例えば、C1<C2の条件において、C1=0.05〜0.2mm、C2=0.1〜0.4mmとなっている。これにより、プランジャ33及び弁部材2は軸線L方向に自由に移動できる。同時に、プランジャ33及び弁部材2は軸線Lに対して僅かに傾斜することもできる。
【0022】
図5は実施形態の除湿弁における弁開状態から弁閉状態に到る過程の着座直前までを示す図、
図6は同除湿弁における弁開状態から弁閉状態に到る過程の弁部材が初期着座から着座するまでを示す図である。なお、
図5及び
図6において、符号は要部部材のみに付してその他の部材は符号を省略する。
図5(A)は全開状態から弁部材2が下降し始める時を示し、弁部材2には、その弁部21に対して入口側継手10から弁室1Aに流入する冷媒の流体圧力が作用する。これにより、弁部材2及びプランジャ33が軸線Lに対して僅かに傾斜している。しかし、弁軸22が吸引子32の挿通孔32aの内周に当接し、これ以上は傾斜しない。
【0023】
次に、弁部材2の下降が進んで
図5(B)の状態になると、弁部21のテーパ面21aの先端が弁座部15のシール面15aに接近し、さらに、
図6(A)のように弁部21のテーパ面21aのうち、入口側継手10とは正反対側の部分のみが弁座部15のシール面15aに最初に接触(当接)する。そして、弁部材2がさらに下降すると、弁座部15のシール面15aに対して弁部21のテーパ面21aが摺動し、
図6(B)に示すようにこのテーパ面21aの入口側継手10側の部分が最後に弁座部15のシール面15aに接触し、弁閉状態となる。
【0024】
このように、入口側継手10から弁室1Aに流入する冷媒の流体圧力の作用を利用し、弁部材2を入口側継手10とは正反対側に僅かに傾斜させるとともに、吸引子32の挿通孔32aの内周により弁部材2の振れを規制することにより、弁座部15の弁ポート13の開口周囲であって入口側継手10とは正反対側の部位を、弁部材2が最初に接触する初期着座部15Aとしている。また、吸引子32の挿通孔32aの内周は、弁部材2の入口側継手10と正反対側への振れを規制する振れ規制手段を構成している。また、
図1乃至
図3に示すように、ブリード溝16は、弁座部15の初期着座部15Aを避けた位置に形成されている。
【0025】
このように、弁部材2が弁座部15に着座する過程で、弁部材2が弁座部15の初期着座部15Aに最初に接触するが、この初期着座部15Aにはブリード溝16が形成されていない。しがって、弁部材2が弁座部15に完全に着座するまでの間に初期着座部15Aとの接触により、弁部材2がブリード溝16に接触する時の力が緩和される。また、入口側継手10から流入する冷媒が弁部材の側部に流体圧を作用させても、吸引子32の挿通孔32aの内周により弁部材2の入口側継手10と正反対側への振れが規制される。したがって、弁部材2が初期着座部15Aに接触する位置を一定に保つことができる。すなわち、その後、弁部材2が弁座部15に対して摺動するときの摺動条件を一定に保つことができる。さらに、弁部材2が弁座部15に完全に着座するまでの摺動長さを低減できる。したがって、弁部材2の繰り返しの作動によっても、ブリード溝16の摩耗を低減することができる。
【0026】
以上の第1実施形態では、ブリード溝16を軸線L回りで初期着座部15A及び入口側継手10の位置から90°離間した2箇所に形成しているが、
図4に示す変形例のようにブリード溝16を形成してもよい。
図4(A)は、軸線L回りで初期着座部15A及び入口側継手10の位置から45°離間した4箇所にブリード溝16を形成したものである。
図4(B)は、軸線L回りで初期着座部15A及び入口側継手10の位置から45°離間した位置と、90°離間した位置の6箇所にブリード溝16を形成したものである。
図4(C)は、
図4(B)の例にさらに入口側継手10側の位置との5箇所にブリード溝16を形成したものである。いずれの場合も、ブリード溝16は、弁座部15の初期着座部15Aを避けた位置に形成されている。
【0027】
次に、電磁駆動部30において、電磁コイル部35がプランジャ33に対して生成する磁束は、軸線L回りに対称にはならない。これは外凾36の形状によるものである。この実施形態における電磁駆動部30の外凾36は、背板部36aで天板36bと底板36cを繋いだ構造となっており、その縦断面形状がコ字形状(U字形状)となっている。このため、
図2にループ状の太い矢印線で示すように、磁束密度の偏りがあり、軸線Lに対して外凾36の背面板36a側の磁束密度が高くなる。そこで、この実施形態では、磁束密度の高い軸線L回りの位置が初期着座部15Aの位置となるように、電磁駆動部30の電磁コイル部35及び外凾36が弁ハウジング1に対して位置決めされている。この位置決めは、図示しない係合手段により行われている。これにより、電磁駆動部30の駆動時に、プランジャ33及び弁部材2が初期着座部15A側の一定の位置に引き寄せられやすくなるためブリード溝の摩耗をより一層低減できる。
【0028】
なお、
図2に示すように、弁部材2が弁座部15に着座したとき、プランジャ33のテーパ面33aと吸引子32のテーパ面32bとの間に隙間が形成されるようになっている。すなわち、プランジャ33が吸引子に接触しないので、軸線L方向の部材の寸法精度によらず確実に着座させることができる。
【0029】
図7は本発明の第2実施形態の除湿弁の弁閉状態の縦断面図であり、第1実施形態と同様な要素は同様な作用効果を奏するものであり、
図1乃至
図6と同符号を付記して重複する説明は適宜省略する。この第2実施形態において第1実施形態と異なるところは、電磁駆動部30の電磁コイル部35及び外凾36コイル取り付け構造である。この第2実施形態における電磁駆動部30は、外凾36の天板36bに固定ブロック361が設けられこの固定ブロック361にスナップピンPが取り付けられている。スナップピンPは軸線Lと直交する方向に2本の弾性ピンを平行に有するものであり、この2本の弾性ピンの間にコイルガイド部材34′のボス部34a′を嵌合することで、電磁コイル部35及び外凾36が弁ハウジング1に対して軸線L回りの所定の位置に固定されている。すなわち、コイルガイド部材34′のボス部34a′は軸線Lと直交する水平断面の形状が四角形になっており、スナップピンPの2本の弾性ピンの弾性力によりボス部34a′の軸線L回りの90°回転する4箇所で固定可能となっている。この実施形態では、第1実施形態と同様に、磁束密度の高い軸線L回りの位置が初期着座部15Aの位置となるように、電磁駆動部30の電磁コイル部35及び外凾36が弁ハウジング1に対して位置決めされている。したがって、第1実施形態と同様に、電磁駆動部30の駆動時に、プランジャ33及び弁部材2が初期着座部15A側の一定の位置に引き寄せられやすくなるためブリード溝の摩耗をより一層低減できる。
【0030】
なお、実施形態では、吸引子32の挿通孔32aの内周により弁部材2の振れを規制する「振れ規制手段」を構成しているが、軸線Lに対して入口側継手10と反対側に突起等の部材を設けて「振れ規制手段」を構成してもよい。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 弁ハウジング
1A 弁室
13 弁ポート
15 弁座部
15A 初期着座部
15a シール面
16 ブリード溝
2 弁部材
21 弁部
21a テーパ面
22 弁軸
10 入口側継手
20 出口側継手
30 電磁駆動部
31 プランジャチューブ
32 吸引子
32a 挿通孔
32b テーパ面
33 プランジャ
33a テーパ面
34 コイルガイド部材
35 電磁コイル部
36 外凾
37 プランジャばね
L 軸線