【解決手段】火炎検出装置20であって、バーナ100のバーナエレメント15における火炎を検出する火炎検出センサ23と、前記火炎検出センサ23と前記バーナエレメント15との間に配置され、前記バーナエレメント15から進入した逆火Rにより熱膨張する熱膨張性部材22とを備えていることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
ボイラをはじめとする燃焼機器に用いられるバーナは、例えば、火炎生成部で生成された火炎が発した光(例えば、紫外線)を、バーナに配置した火炎センサ(火炎検出部)によって検出し、光が検出されなくなった場合に、失火が発生したと判断することが一般的である。
【0003】
また、火炎生成部から進入した逆火は、バーナに配置した温度センサによって温度上昇を検出し、温度が所定温度以上に上昇した場合に逆火が発生したと判断することが一般的である。
【0004】
一方、火炎生成部から逆火が進入すると、バーナ内の温度が高くなり火炎センサが過熱されることから、火炎センサが破損したり劣化して、火炎センサの寿命が短くなる可能性がある。
【0005】
そこで、劣化した火炎センサが疑似火炎を検出した際の異常を検出してボイラを停止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、火炎センサが劣化等によって異常状態となった場合に、燃焼が継続されて空焚き等の不具合が発生するのを抑制するための技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載の発明は、火炎センサ(火炎検出部)に劣化等が生じた場合を前提とするものであり、劣化等に起因して異常が発生した際には有効であるものの、火炎センサに破損や劣化が生じることを抑制することは困難である。
【0008】
一方、今後のバーナの小型化や高性能化にともなって、バーナの供給路に逆火が進入した場合に、火炎検出部(火炎センサ)が逆火を検出するとともに、逆火による熱影響が軽減されて、火炎検出部に生じる破損や劣化を抑制することが望ましい。
また、バーナの小型化に対応するうえでは、火炎検出装置の構成を簡単にすることが好適であり、ひいてはバーナにおける複数の事象(例えば、失火と逆火)を検出可能であることが好適である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、火炎検出部が、逆火を検出するとともに、逆火による熱影響を低減することが可能な火炎検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、火炎検出装置であって、バーナの火炎生成部における火炎を検出する火炎検出部と、前記火炎検出部と前記火炎生成部との間に配置され、前記火炎生成部から進入した逆火により熱膨張する熱膨張性部材と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る火炎検出装置によれば、バーナの火炎生成部における火炎を検出する火炎検出部と、火炎生成部との間に配置され熱膨張する熱膨張性部材とを備えているので、火炎生成部から逆火が進入した場合に、熱膨張性部材が熱膨張することで、逆火を検出するとともに、逆火による熱が火炎検出部に直接伝達されるのを抑制することができる。
その結果、バーナを安全に停止することが可能とされるとともに、火炎検出部が逆火から受ける熱影響を低減することができる。
【0012】
また、例えば、熱膨張性部材が熱膨張した場合に火炎検出部に到達する光が制限されるように構成することで、火炎生成部から到達する光の量を検出して閾値と比較することにより、バーナにおいて逆火が発生したことを検出することができる。
【0013】
この明細書で、火炎検出部とは、火炎生成部で生成された火炎が発した光を検出するものであり、火炎生成部で生成された火炎が発した光(例えば、紫外線、赤外線等)を検出するセンサなどをいう。
【0014】
また、熱膨張性部材とは、火炎生成部から進入した逆火によって熱膨張する任意の部材を含んでおり、設置する前の状態がパテやペーストのように流動性を有するものを塗布した後に硬化させたもの、所定の形状に予め成形したもの、シート状に形成されたもの、複数の部材を組み合わせた(例えば、層状に形成して重ねあわせた)もの等、任意のものを適用してもよい。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の火炎検出装置であって、前記熱膨張性部材は、前記火炎生成部からの逆火により熱膨張した状態において、前記火炎生成部からの逆火による前記火炎検出部への熱影響を緩和する位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
この発明に係る火炎検出装置によれば、熱膨張性部材が火炎生成部からの逆火により熱膨張した状態において、火炎生成部からの逆火による火炎検出部への熱影響を緩和する位置に配置されているので、火炎検出部が逆火によって熱影響を受けることが緩和される。
その結果、火炎検出部が逆火の熱影響によって、劣化、破損するのを効率的に抑制することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の火炎検出装置であって、前記火炎検出部は、燃焼用空気又は予混合気が流通する供給路に連結部を介して接続され、前記熱膨張性部材は、前記連結部の内壁に配置されていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係る火炎検出装置によれば、火炎検出部が連結部を介して供給路に接続され、熱膨張性部材が連結部の内壁に配置されているので、熱膨張性部材が連結部内の空間(開口部)を効率的に閉塞し又は縮小して逆火の熱や火炎が発した光が火炎検出部に到達するのを制限することができる。
その結果、火炎検出部に対する逆火の熱影響を効率的かつ安定して緩和することができる。
また、火炎検出部に到達する火炎が発した光の量を制限することで逆火を効率的に検出することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る火炎検出装置によれば、火炎生成部から逆火が進入した場合に、バーナを安全に停止することが可能とされるとともに、火炎検出部が逆火から受ける熱影響を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1〜
図3を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るバーナの概略構成を説明する図であり、
図1(A)はバーナを側面(
図1(B)に示す矢視IA−IA)から見た縦断面図であり、
図1(B)はバーナを背面から見た図である。
図1〜
図3において、符号100はバーナを、符号10はダクトを、符号15はバーナエレメント(火炎生成部)を、符号20は火炎検出装置を、符号23は火炎検出センサ(火炎検出部)を、符号Gは予混合気を示している。
【0022】
バーナ100は、
図1に示すように、例えば、ダクト10と、バーナエレメント(火炎生成部)15と、パイロットバーナ18と、火炎検出装置20とを備えている。
この実施形態において、バーナ100は、例えば、燃料ガスと燃焼用空気とを混合して生成された予混合気を燃焼する予混合式ガスバーナとされている。
【0023】
ダクト10は、例えば、略矩形断面を有する筒状体とされ、上流側が燃焼用空気を供給するブロア(不図示)に接続されるとともに、ブロアの下流側に燃料ガスを供給するガスノズル(不図示)が配置されている。
そして、ダクト10の内方には、燃焼用空気と燃料ガスとが混合して生成された予混合気Gが流通する供給路10Hが画成され、下流側端部T近傍には供給路10Hに沿ってバーナエレメント15が配置されている。
【0024】
また、ダクト10のバーナエレメント15と対応する部分は、側面から見たときに下流側端部Tに近づくにつれて幅狭なテーパ形状に形成されている。
また、ダクト10は、バーナエレメント15と対向する部分は、着脱可能な背板壁部11を取付けることにより供給路10Hを画成している。
また、背板壁部11には火炎検出装置20が配置されている。
【0025】
バーナエレメント(火炎生成部)15は、例えば、矩形平板状とされたエレメント本体に形成された一方側の面から他方側の面に貫通する多数のノズル孔(不図示)が開口された構成とされている。
そして、バーナエレメント15は、供給路10Hを通じて供給された予混合気Gを燃焼して火炎を生成するようになっている。
【0026】
パイロットバーナ18は、例えば、ダクト10の後方からバーナエレメント15側に挿通されていて、パイロットバーナ18の先端部でパイロット用火炎を生成するようになっている。また、パイロット用火炎は、バーナエレメント15の上部表面に達するように配置されている。
【0027】
次に、
図2を参照して火炎検出装置の概略構成について説明する。
図2は、火炎検出装置20の概略構成を説明する図であり、
図2(A)は火炎検出装置20をバーナエレメント15側から見た図であり、
図2(B)は
図2(A)に矢視IIB−IIBで示す部分断面図である。
【0028】
火炎検出装置20は、例えば、連結部21と、熱膨張性部材22と、火炎検出センサ23とを備えている。
【0029】
連結部21は、例えば、ダクト10においてバーナエレメント15と対向する背板壁部11に形成された連結孔に連結され、バーナエレメント15とは反対側に向かって伸びる円筒によって構成されている。
【0030】
熱膨張性部材22は、例えば、中央部に開口部22Hが形成された略リング(円筒)形状に形成されている。
また、熱膨張性部材22は、バーナエレメント15からの逆火Rによって熱膨張した状態において、火炎検出センサ23への逆火Rによる熱影響が緩和される位置に配置されている。具体的には、例えば、連結部21の壁部内面(内壁)21Sに配置されている。
【0031】
ここで、火炎検出センサ23への逆火Rによる熱影響を緩和する位置とは、火炎検出センサ23に到達する熱量が低減される位置をいう。
【0032】
また、この実施形態において、熱膨張性部材22は、逆火Rの熱によって内周側に向かって熱膨張し、中心部に形成された開口部22Hを閉塞するように構成されている。
また、熱膨張性部材22は、構造的又は組成的に逆火Rの熱に対する耐熱性を有するとともに火炎検出センサ23側への熱伝導が低くなるように構成されていることが好適である。
【0033】
なお、熱膨張性部材22は、逆火Rの熱によって熱膨張することで、連結部21の開口部22Hを閉塞し、又は開口部22Hの開口面積を縮小する。
なお、熱膨張性部材22が熱膨張していない状態における開口部22Hの開口面積(S1)に対する逆火Rの熱によって熱膨張した状態における開口部22Hの開口面積(S2)の比(S2/S1)は、使用状態に応じて適宜設定することが可能である。
【0034】
また、熱膨張性部材22の具体的な構成としては、連結部21の壁部内面21Sにペースト状又はパテ状のものを塗布して硬化させたもの、連結部21の壁部内面21Sと対応するサイズに成形したもの、複数の層状部材を重ねたもの等、使用可能な範囲で任意に設定することができる。
【0035】
また、熱膨張性部材22の組成は、熱膨張の程度等を考慮して任意に設定することが可能である。具体的には、例えば、ポリ塩化ビニル、変性シリコーン系ポリマー、クロロプレンゴム系ポリマー等の難燃性ポリマーに、熱膨張性黒鉛、含水ケイ酸ナトリウム、バーミキュライト等の熱膨張性材料を分散させて構成したものを適用することが可能である。
【0036】
また、熱膨張性黒鉛、ひる石、リン酸塩と炭化水素や糖等の有機物質又はそれらの混合物、硼素含有化合物、窒素含有有機化合物、加熱により発泡する発泡剤と無機化合物の混合物等の耐熱性を有する公知の熱膨張性材料と、バインダーとして、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の樹脂、又はブチルゴム、NBR、IIR、NR等の合成ゴム及び天然ゴムの有機化合物を含有する構成のものを適宜適用してもよい。
【0037】
また、熱可塑性樹脂からなるマイクロカプセルに、炭化水素等の揮発性を有する熱膨張物質を封入して構成された熱膨張粒子を耐熱性材料等に分散して構成されたものを適用してもよい。
【0038】
火炎検出センサ23は、例えば、火炎が発する紫外線を検出する紫外線センサとされている。
また、火炎検出センサ23は、ハウジング23Aの内方にバーナエレメント15と対向可能に配置されている。
【0039】
以下、
図3を参照して、火炎検出装置20の作用について説明する。
図3は、火炎検出装置20の作用を説明する概念図であり、
図3(A)は逆火が生じていない状態を、
図3(B)は逆火により熱膨張性部材が熱膨張した状態を示す図である。
図3において、符号Rは逆火を示している。
【0040】
<定常状態>
バーナ100は、
図3(A)に示すように、定常状態において、供給路10Hを通じて供給された予混合気Gがバーナエレメント15で燃焼して火炎Fが生成される。定常状態においては、火炎Fは紫外線Lを発している。
このとき、火炎検出装置20は、連結部21に配置された熱膨張性部材22は熱膨張しておらず、火炎検出センサ23は、熱膨張していない熱膨張性部材221においては、火炎Fが発した紫外線Lを開口部22Hを介して検出する。
【0041】
<逆火発生時>
バーナ100は、バーナエレメント15から逆火Rが進入した場合は、
図3(B)に示すように、逆火Rの熱によって熱膨張性部材22が内周側に向かって熱膨張することにより、開口部22Hが閉塞された熱膨張性部材222が形成される。
その結果、熱膨張性部材222(22)の開口部22Hが閉塞されて、逆火Rの熱及びバーナエレメント15で生成された火炎Fが発した紫外線Lの火炎検出センサ23への到達が抑制される。
【0042】
制御部(不図示)は、この実施形態において、例えば、火炎検出センサ23が紫外線Lを検出している場合は、バーナ100が正常に燃焼していると判断し、火炎検出センサ23が検出した紫外線Lの光量が設定した閾値以下(ゼロを含む)である場合には、逆火又は失火が生じたと判断するように構成されている。
【0043】
その結果、バーナ100が失火して紫外線Lを発しなくなった場合、及び
図3(B)に示すように、熱膨張性部材22が熱膨張して火炎検出センサ23が紫外線Lを検出しなくなった場合や、検出した紫外線Lの光量が閾値以下である場合は、バーナ100において失火し又は逆火が発生したと判断する。
【0044】
一実施形態に係る火炎検出装置20によれば、バーナエレメント15と火炎検出センサ23の間に熱膨張性部材22が配置されていて、バーナエレメント15から逆火Rが進入した場合に、熱膨張性部材22が熱膨張して、逆火を検出可能であるとともに、火炎検出センサ23に伝達される熱の影響を軽減することができる。
その結果、バーナを安全に停止することが可能とされるとともに、火炎検出センサ23が逆火Rから受ける熱影響を低減することができる。
【0045】
また、一実施形態に係る火炎検出装置20によれば、熱膨張性部材22が、バーナエレメント15から逆火Rが進入して熱膨張性部材22が熱膨張した状態において、火炎検出センサ23への逆火Rの熱影響が緩和される位置に配置されているので、火炎検出センサ23が逆火Rの熱影響によって、破損又は劣化するのを効率的に抑制することができる。
【0046】
一実施形態に係る火炎検出装置20によれば、火炎検出センサ23が供給路10Hに連結部21を介して接続され、熱膨張性部材22が連結部21の壁部内面21Sに配置されているので、熱膨張性部材22によって開口部22Hを効率的に閉塞し又は縮小することができる。
その結果、火炎検出センサ23に対する逆火Rの熱影響を効率的に緩和することができる。
また、火炎検出センサ23に到達する逆火の紫外線Lの光量を制限して、逆火Rを効率的に検出することができる。
【0047】
一実施形態に係る火炎検出装置20によれば、逆火Rと失火をともに検出することにより省スペース化が可能であるので、バーナ100を効率的に小型化することができる。
【0048】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態においては、熱膨張性部材22が逆火Rによって熱膨張することで、バーナエレメント15で生成された火炎Fが発した紫外線Lの火炎検出センサ23への到達が抑制されて、逆火又は失火として検出する場合について説明したが、熱膨張性部材22が熱膨張した場合に、逆火Rを検出することなく火炎検出センサ23への逆火Rの熱影響を緩和することを目的としてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、火炎検出部がバーナエレメント15で生成された火炎Fが発した紫外線を検出する火炎検出センサ23である場合について説明したが、火炎検出部の種類については任意に設定可能であり、例えば、赤外線のほか火炎が発する光を検出する種々のセンサを適用することが可能である。
【0051】
また、上記実施形態においては、火炎検出センサ23が円筒状の連結部21を介してバーナエレメント15と対向する場合について説明したが、連結部21を備えるかどうか、連結部21の形状については任意に設定可能であり、例えば、連結部21を用いずに、バーナエレメント15から逆火Rが進入した際に、熱膨張性部材22が火炎検出センサ23の前方で拡大(例えば、ドーム状に)され、バーナエレメント15と火炎検出センサ23の間を遮るように構成としてもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、熱膨張性部材22が円筒状に形成され中央部に開口部22Hが形成されている場合について説明したが、熱膨張性部材22の構造、組成については、火炎検出センサ23への逆火Rの熱影響が低減される範囲で任意に設定することができる。
【0053】
また、上記実施形態においては、火炎検出装置20がダクト10の供給路10Hを介して予混合気Gが供給される予混合式ガスバーナに適用される場合について説明したが、例えば、供給路を介して燃焼用空気を供給するバーナに適用してもよい。