【解決手段】本開示の表示装置は、第1の透光性基板SUB1と、前記第1の透光性基板と対向して表示面側に配置された第2の透光性基板SUB2と、前記第1の透光性基板及び前記第2の透光性基板の少なくとも一方の内部において、平面視で、輝点欠陥部133と重畳し、可視光の透過量を減少させる第1の減光部1と、前記第1の透光性基板及び前記第2の透光性基板の少なくとも一方の内部において、前記第1の減光部の周辺に配置され、可視光の透過量を減少させる第2の減光部11と、を含み、前記第1の減光部は、前記表示面に略平行であり、前記第2の減光部は、前記表示面に対して傾斜している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態では、液晶表示装置を例に挙げるが、本発明に係る表示装置は、液晶表示装置に限定されるものではなく、例えば有機EL表示装置又はプラズマディスプレイパネル等であってもよい。
【0014】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
[液晶表示装置]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る液晶表示装置LCDの全体構成を示す平面図である。液晶表示装置LCDは、画像を表示する表示パネルDPと、表示パネルDPを駆動する表示パネル用駆動回路(データ線駆動回路30、ゲート線駆動回路31)と、表示パネル用駆動回路を制御する制御回路(図示せず)と、表示パネルDPに背面側から光を照射するバックライト光を照射するバックライト134(
図3等参照)とを含んでいる。
【0016】
図2は、表示パネルDPの一部の構成を示す平面図である。
図3は、
図2のA1−A2線で切断した切断部の端面図である。なお、
図2及び
図3では、1つの画素Pを示している。
【0017】
表示パネルDPは、背面側に配置される薄膜トランジスタ基板SUB1(以下、TFT基板SUB1という。)と、表示面側に配置され、TFT基板SUB1に対向するカラーフィルタ基板SUB2(以下、CF基板SUB2という。)と、TFT基板SUB1及びCF基板SUB2の間に挟持される液晶層LCと、を含んでいる。
【0018】
TFT基板SUB1には、列方向に延在する複数のデータ線DLと、行方向に延在する複数のゲート線GLとが形成され、複数のデータ線DLと複数のゲート線GLとのそれぞれの交差部近傍に薄膜トランジスタTFTが形成されている。また、隣り合う2本のデータ線DLと隣り合う2本のゲート線GLとにより囲まれる矩形領域が、1つの画素Pとして規定される。画素Pは、TFT基板SUB1において、マトリクス状に複数配置されている。
【0019】
画素Pには、スズ添加酸化インジウム(ITO)等の透明(透光性)導電膜からなる画素電極PIT(表示用電極)が形成されている。
図2に示すように、画素電極PITは、開口部32(例えばスリット)を有し、ストライプ状に形成されている。薄膜トランジスタTFTは、ゲート絶縁膜GSN(
図3参照)上に、非晶質シリコン(a-Si)からなる半導体層SEMが形成され、半導体層SEM上にドレイン電極DM及びソース電極SMが形成されている(
図2参照)。ドレイン電極DMは、データ線DLに電気的に接続されている。ソース電極SMと画素電極PITとは、コンタクトホールCONTを介して互いに電気的に接続されている。
【0020】
画素Pを構成する各部の積層構造は、
図3の構成に限定されるものではなく、周知の構成を適用することができる。例えば
図3に示す構成では、TFT基板SUB1において、第1のガラス基板GB1(第1の透光性基板)上にゲート線GL(
図2参照)が形成され、ゲート線GLを覆うようにゲート絶縁膜GSNが形成されている。また、ゲート絶縁膜GSN上にデータ線DLが形成され、データ線DLを覆うように絶縁膜PASが形成されている。また、絶縁膜PAS上に共通電極CIT(表示用電極)が形成され、共通電極CITを覆うように上層絶縁膜UPASが形成されている。さらに、上層絶縁膜UPAS上に画素電極PITが形成され、画素電極PITを覆うように配向膜AFが形成されている。第1のガラス基板GB1の背面側には、第1の偏光板POL1が形成されている。
【0021】
また、
図3に示すCF基板SUB2において、第2のガラス基板GB2(第2の透光性基板)の下面側にブラックマトリクスBM(遮光部)及びカラーフィルタCF(例えば、赤色部、緑色部、青色部)(光透過部)が形成され、これらを覆うようにオーバコート層OCが形成されている。第2のガラス基板GB2の表示面側には、第2の偏光板POL2が形成されている。よって、第2のガラス基板GB2は、第1のガラス基板GB1と対向して表示面側に位置しているとともに、液晶層LCは、第1のガラス基板GB1と第2のガラス基板GB2との間に配置されている。
【0022】
図3に示す構成によれば、液晶表示装置LCDは、いわゆるIPS(In Plane Switching)方式の構成を有しているが、第1の実施形態に係る液晶表示装置LCDはこれに限定されるものではなく、例えば垂直電界方式の液晶表示装置等であってもよい。
【0023】
次に、液晶表示装置LCDの駆動方法を簡単に説明する。ゲート線駆動回路31から出力された走査用のゲート電圧がゲート線GLに供給され、データ線駆動回路30から出力された映像用のデータ電圧がデータ線DLに供給される。ゲート線GLにゲートオン電圧が供給されると、薄膜トランジスタTFTの半導体層SEMが低抵抗となり、データ線DLに供給されたデータ電圧が、ソース電極SMを介して画素電極PITに供給される。また、共通電極駆動回路(図示せず)から出力された共通電圧が、共通電極CITに供給される。これにより、画素電極PITと共通電極CITとの間に電界(駆動用電界)が発生し、該電界により液晶層LCが駆動され、画像が表示される。
【0024】
ここで、液晶表示装置LCDは、その製造工程において、画素の表示輝度が所望の輝度よりも高くなる輝点欠陥(画素欠陥)が生じる場合がある。
図4には、画素Pが輝点欠陥部133となる場合の一例を示している。
図4では、液晶表示装置LCDの製造工程において、TFT基板SUB1とCF基板SUB2との間に有機物や又は金属等の異物33が混入した場合を例示している。
図4に示す画素Pでは、異物(混入物)33によって液晶の配向が乱されることにより、バックライト光34の光漏れが生じて輝点欠陥がある輝点欠陥部133となる。
【0025】
第1の実施形態に係る液晶表示装置LCDでは、前記輝点欠陥を抑えるための構成を有している。具体的には、
図5に示すように、CF基板SUB2の第2のガラス基板GB2の内部に、バックライト光34における可視光の透過量を減少させる第1の減光部1と第2の減光部11とが形成されている。
【0026】
第1の減光部1は、平面視で輝点欠陥部133と重畳しており、第2のガラス基板GB2の表示面に対して略平行に配置されている。本実施形態においては、第1の減光部1が、第2のガラス基板GB2の表示面側から見た際に、異物33による輝点欠陥部133を覆い隠すように形成されている。すなわち、第1の減光部1は、第1のガラス基板GB1及び第2のガラス基板GB2の少なくとも一方の内部において、表示面側から見て輝点欠陥部133を覆う。本実施形態においては、第1の減光部1は、透過率が高い第1のガラス基板GB1及び第2のガラス基板GB2とは異なり、透過率が低い第1の光吸収部2と、第1の光吸収部2の下に位置し、複数のすなわち多数のボイドが形成された第1の光散乱部3とを含む。第1の光吸収部2は、非架橋酸素ホールセンタからなる。
【0027】
第2の減光部11は、第1の減光部1の周辺に配置されており、第2のガラス基板GB2の表示面に対して傾斜して配置されている。本実施形態においては、第2の減光部11が、第1のガラス基板GB1及び第2のガラス基板GB2の少なくとも一方の内部において、表示面に対して傾斜した形成平面を有し、当該形成平面側からみて輝点欠陥部133を覆い隠すように形成されている。即ち、第1の減光部1が、例えば第2のガラス基板GB2の表示面に略平行に形成されているのに対し、第2の減光部11は、第2のガラス基板GB2の表示面、及び第1の減光部1の形成平面に対して傾きを持って配置されている。また、本実施形態においては、第2の減光部11は、第1の減光部1と少なくともその一部が接するように配置されている。本実施形態においては、第2の減光部11は、第1のガラス基板GB1及び第2のガラス基板GB2のそれぞれと色が異なる第2の光吸収部12と、第2の光吸収部12の下の複数のすなわち多数のボイドが形成された第2の光散乱部13とを含む。第2の光吸収部12は、非架橋酸素ホールセンタからなる。
【0028】
図6は、第2のガラス基板GB2の内部における非架橋酸素ホールセンタ形成の模式図である。
図7は、多光子吸収の模式図である。
図8は第1の減光部1、及び第2の減光部11の加工原理を示す模式図である。
図9は、加工後のレーザ光がボイドにより散乱される様子を示す集光点近傍の拡大図である。
【0029】
図6に示すように、ガラス基板GBの内部にある非架橋酸素に紫外線又はガンマ線100を照射すると、電子が1個放出され、非架橋酸素ホールセンタを形成する。この非架橋酸素ホールセンタは、紫外域から可視域に吸収を持ち、赤茶色を呈する。通常、この非架橋酸素ホールセンタは、紫外線や又はガンマ線等の短波長の光線を照射することで形成されるが、多光子吸収と呼ばれる現象を利用することで、より長い波長の光線照射でも形成可能である。
図7の(a)に示すように、短波長の光線の持つエネルギは大きく、光子1個の吸収で非架橋酸素は電子を1個放出して、非架橋酸素ホールセンタを形成する。一方、長い波長の光線の持つエネルギは小さく、光子1個では電子を放出するのに十分なエネルギを与えることはできない。しかし、フェムト秒レーザ光のような超短パルスレーザ光の場合、電場強度が非常に強いため、集光領域において、複数の光子が同時に吸収されることがある。これを多光子吸収と呼び(
図7の(b)参照)、多光子吸収によって非架橋酸素は電子を放出するのに十分なエネルギ(基底状態から励起状態に至るまでのエネルギ)を得ることができて、非架橋酸素ホールセンタを形成する。集光領域のエネルギ密度を空間的にさらに大きくすると、屈折率変化、又は空孔形成、又はクラック形成といった現象を起こすことができる。超短パルスレーザ光4をガラス基板GBの内部に高集光レンズを使用して集光させるとき、超短パルスレーザ光4のパルスエネルギを適当な値にすると、焦点Fにおいて直径1nm以上50μm以下の微小な空孔形成が起きる。
【0030】
超短パルスレーザ光4は、ガラス基板GBの内部で多光子吸収を起こすことができるようなパルス幅、波長、及びパルスエネルギである必要があり、波長が100nm以上10000nm以下、パルス幅が1fs以上〜100ps以下、パルスエネルギが0.1μJ以上20μJ以下であることが好ましい。また、高集光レンズはNA(開口数)が0.3以上0.9以下であることが好ましく、収差補正機能を持ったものであれば尚よい。この条件の超短パルスレーザ光4をガラス基板GBに照射することで、焦点Fの位置で
図8のような多数の空孔を含む第1の光散乱部3、第2の光散乱部13が形成され、焦点Fの位置よりもガラス基板GBの表面に近い位置に第1の光吸収部2、第2の光吸収部12が形成される。
【0031】
超短パルスレーザ光4とガラス基板GBとの位置をガラス基板GBの面方向に相対的に移動させることで、
図8に示すように、ガラス基板GBの内部で面方向に焦点Fが移動しながら超短パルスレーザ光4がガラス基板GBに照射されるので、直径1nm以上50μm以下の微小な空孔が面方向に多数形成されて、第1の光散乱部3、第2の光散乱部13が形成される。この時、ガラス基板GBの、焦点Fよりも表面に近いところでは、空孔が形成されるほどエネルギ密度は高くないが、非架橋酸素ホールセンタが形成されるには十分なエネルギを持つ領域が存在する。超短パルスレーザ光4とガラス基板GBとの位置を面方向に相対的に移動させることで、この領域がガラス基板GBの内部で面方向に広がって、第1の光吸収部2、第2の光吸収部12が形成される。
【0032】
図5に示したように、第1の光吸収部2と第1の光散乱部3とで構成される第1の減光部1、及び第2の光吸収部12と第2の光散乱部13とで構成される第2の減光部11に対して、ガラス基板GBの裏面から照射したバックライト光34は、まず、第1の光散乱部3、第2の光散乱部13によって細かく散乱される。そして、散乱されながら透過してきた光を第1の光吸収部2、第2の光吸収部12が吸収することで減光されて、減光された光がガラス基板GBの表面に出てくるので、輝点欠陥に起因した表示品質の低下を抑えることができる。
【0033】
本実施形態によれば、液晶表示装置LCDが、第1のガラス基板GB1及び第2のガラス基板GB2の少なくとも一方の内部において、表示面側から見て輝点欠陥部133を覆う第1の減光部1を有し、表示面に対して傾斜した平面側からみて輝点欠陥部133を覆う第2の減光部11を有する。このような構成とすることにより、輝点欠陥部133から表示面側に放出された光の透過量を減少させるのみならず、表示面に対して斜め方向に放出された光の透過量についても、効率的に減少させることができる。
【0034】
さらに、第2の減光部11が、第2のガラス基板GB2の表示面、及び第1の減光部1の形成平面に対して傾きを持って配置されているため、第2の減光部11に含まれる第2の光吸収部12が、第1の散乱部3によって散乱された光についても効率よく吸収することができるため、表示品質の低下の更なる抑制を図ることが可能となる。即ち、第1の散乱部3によって散乱された光は、第1の減光部1の外周方向に散乱される可能性があるが、第2の光吸収部12が、第1の減光部1の形成平面に対して傾きを持って配置されているため、第1の散乱部3によって散乱された光を効率よく吸収することができるのである。
【0035】
なお、超短パルスレーザ光4とガラス基板GBとの位置を面方向に相対的に移動させる際、超短パルスレーザ光4は、焦点Fで集光後、加工に使われなかった光が拡がりながらガラス基板GBを通過し、その先にあるカラーフィルタCF、又は、液晶層LCに照射される。焦点Fからガラス基板GBの裏面までの距離が短いとき、光が十分に拡がりエネルギ密度が下がる前にカラーフィルタCF又は液晶層LCに照射されることになり、カラーフィルタCF又は液晶層LCにダメージを与える恐れがある。しかしながら、それまでの照射で形成された第1の光散乱部3、第2の光散乱部13によって、
図9に示されるように、加工に使われなかった光は、細かく散乱され、エネルギ密度を下げる。これにより、ガラス基板GBを通過した光がカラーフィルタCF又は液晶層LCに照射されても、カラーフィルタCF又は液晶層LCに与えるダメージは小さい。
【0036】
[第1変形例]
図10は、本実施形態の第1変形例に係る液晶表示装置LCDにおいて、前記輝点欠陥を抑えるための他の構成を示す。
【0037】
第1変形例においては、第1の減光部1を形成する際の焦点F(即ち第1の光散乱部3が形成される位置)よりも深い位置(背面側)に第3の減光部21を形成する。第3の減光部21は、第3の光吸収部22と第3の光散乱部23とを有し、第3の光吸収部22は、第1のガラス基板GB1及び第2のガラス基板GB2のそれぞれと色が異なっている。このように形成された第3の光吸収部22により、輝点欠陥に起因した表示品質の低下を更に抑えることができる。
【0038】
第3の減光部21は、第1の減光部1を形成する前に、第1の減光部1を形成する位置よりも深い位置に超短パルスレーザ光4の焦点位置を制御することにより形成してもよく、第1の減光部1を形成するのと同時に第3の減光部21を形成してもよい。後者の場合、第1の減光部1を形成する際の超短パルスレーザ光4の照射エネルギ密度を十分に大きくしておくことにより、焦点Fで第1の光散乱部3を形成した後の透過光のエネルギ密度を十分に大きくすることができ、第1の光散乱部3よりも背面側に非架橋酸素ホールセンタ形成による着色を起こす結果として、第3の光吸収部22を形成することができる。ただし、第3の光吸収部22の着色濃度はエネルギ密度に依存するため、焦点Fで第1の光散乱部3を形成した後の透過光を用いて第3の減光部21を形成する場合、この透過光によって形成された第3の光吸収部22は、入射光によって形成された第1の光吸収部2よりも、着色濃度が低い。
【0039】
更に、高集光レンズの収差を調整することにより、
図10に示すように、第3の減光部21を形成する際に、第3の光吸収部22よりも表示面側に位置する第3の光散乱部23を形成してもよい。第3の光散乱部23によって、輝点欠陥から生じた光が細かく散乱され、エネルギ密度を下げることができる。これにより、第1の減光部1、第2の減光部11に入射する光のエネルギ密度を下げることができ、第1の減光部1、及び第2の減光部11における減光能力をより効果的に発揮することができ、輝点欠陥に起因した表示品質の低下を更に抑えることができる。
【0040】
[その他の変形例]
第1の減光部1、第2の減光部11は、TFT基板SUB1の第1のガラス基板GB1に形成されていてもよい。また、第1の減光部1、第2の減光部11は、第1のガラス基板GB1及び第2のガラス基板GB2の両方に形成されていてもよい。すなわち、第1の減光部1、第2の減光部11は、TFT基板SUB1の第1のガラス基板GB1及びCF基板SUB2の第2のガラス基板GB2の少なくとも何れか一方に形成されていればよい。
【0041】
第1のガラス基板GB1と第2のガラス基板GB2との両方に第1の減光部1、第2の減光部11を形成すると、減光能力を向上させることができる。第1のガラス基板GB1と第2のガラス基板GB2の両方に第1の減光部1、第2の減光部11を形成する場合、それぞれの第1の減光部1、第2の減光部11の減光量は、いずれか一方のガラス基板GBのみに形成させる場合よりも、小さくてもよい。そのため、各ガラス基板に照射する超短パルスレーザ光4の出力を下げることができ、透過光による下層へのダメージがつきにくくなる。
【0042】
また、第1のガラス基板GB1と第2のガラス基板GB2との両方のうちのいずれか一方のガラス基板GBにのみ第1の減光部1を形成する場合、第2のガラス基板GB2に第1の減光部1、第2の減光部11を形成するほうが好ましい。異物33による輝点欠陥より照射される光は、異物33よりも表示画素側で遮断するほうが、表示品質を、より向上できるからである。特に、表示装置が、第1のガラス基板GB1と第2のガラス基板GB2との間に位置する液晶層LCを有し、この液晶層LC内に異物33による輝点欠陥部133が含まれる場合において、第2のガラス基板GB2側に第1の減光部1、第2の減光部11を形成するのがよい。異物33により生じた液晶分子の配列乱れに起因する光を遮断するためである。
【0043】
[液晶表示装置の製造方法]
次に、液晶表示装置LCDの製造方法について説明する。当該製造方法は、第1のガラス基板GB1(第1の透光性基板)と、前記第1のガラス基板GB1と対向して表示面側に位置する第2のガラス基板GB2(第2の透光性基板)と、を備える表示装置の製造方法について説明する。この表示装置の製造方法は、前記表示装置の点灯検査を行って前記画素の輝点欠陥を検出する検出工程と、前記第1のガラス基板GB1又は第2のガラス基板GB2の少なくとも一方の内部に焦点を結ぶ超短パルスレーザ光4(エネルギービーム)を照射する第1の照射工程、第2の照射工程と、を含む。
【0044】
第1の照射工程においては、表示面に垂直な方向から、第1のガラス基板GB1及び第2のガラス基板GB2の少なくとも一方の内部における第1の照射位置に焦点を結ぶ超短パルスレーザ光4を照射して、平面視で輝点欠陥部133と重畳する第1の減光部1を形成する。また、第2の照射工程においては、表示面に垂直な軸に対して傾斜した方向から、第1のガラス基板GB1及び第2のガラス基板GB2の少なくとも一方の内部における第1の照射位置に焦点を結ぶエネルギービームを照射して、上記傾斜した方向からみて輝点欠陥部133を覆う第2の減光部11を形成する。
【0045】
本実施形態においては、第1の照射工程において、第1の光吸収部2及び第1の光散乱部3を形成し、第2の照射工程において、第2の光吸収部12及び第2の光散乱部13を形成する。第1の照射工程、第2の照射工程で照射される超短パルスレーザ光4は、波長が100nm以上かつ10000nm以下、パルス幅が1フェムト秒以上100ピコ秒以下、パルスエネルギが0.1μJ以上20μJ以下であり、かつ、NAが0.3以上0.9以下のレンズで集光される。
【0046】
本実施形態における表示装置の製造方法は、TFT基板SUB1を準備する工程と、CF基板SUB2を準備する工程と、TFT基板SUB1及びCF基板SUB2を貼り合わせる工程と、液晶注入工程と、表示パネルDPの点灯検査工程と、輝点欠陥修正工程とを含んでいる。
【0047】
前記各工程のうち、TFT基板SUB1を準備する工程、CF基板SUB2を準備する工程、TFT基板SUB1及びCF基板SUB2を貼り合わせる工程、液晶注入工程、及び点灯検査工程は、周知の方法を適用することができる。
【0048】
例えば、TFT基板SUB1を準備する工程は、第1のガラス基板GB1上に、ゲート線GL、データ線DL、画素電極PIT、共通電極CIT、各種絶縁膜、及び第1の偏光板POL1を形成する工程を含む。TFT基板SUB1で規定される画素Pは、赤色に対応する赤色画素Pr、緑色に対応する緑色画素Pg、及び青色に対応する青色画素Pbを含んでもよい。また、CF基板SUB2の製造工程は、第2のガラス基板GB2上に、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、及び第2の偏光板POL2を形成する工程を含む。
【0049】
以下では、本実施形態における表示装置の製造方法のうちの点灯検査工程及び輝点欠陥修正工程について説明する。
【0050】
図11は、輝点欠陥の修正方法のフロー図を示す。
図12は、輝点欠陥の修正方法を実施できる表示装置の製造装置95のブロック図を示す。
【0051】
表示装置の製造装置95は、少なくとも、表示装置の点灯検査を行って画素の輝点欠陥を検出する検査装置に含まれる検査装置90と、輝点欠陥修正装置6とを備えている。製造装置95は、さらに、制御装置93と演算部91とを備えていても良い。制御装置93は、検査装置90と演算部91と輝点欠陥修正装置6とをそれぞれ動作制御する。演算部91は、後述するように所定の演算を行う。検査装置90は、顕微鏡などからなる検査光学系を含む。
【0052】
先ず、点灯検査工程では、検査装置90により、輝点欠陥を検出する。例えば、検査装置90は、表示パネルDPを全点灯又は1ラインごとに点灯させて、各画素の輝度を測定する(ステップS001)。あるいは、表示パネルDPを黒表示状態とし、表示パネルDPの背面側からバックライト光34を照射して、各画素の輝度を測定する方法としてもよい。
【0053】
次に、検査装置90は、閾値を超える輝度が測定された画素を輝点欠陥部133(画素欠陥部)として検出する(ステップS002)。検査装置90は、輝点欠陥部133として検出した画素の位置情報を、後述の輝点欠陥修正装置6に出力する。輝点欠陥部133の検出は、作業者による目視で行ってもよい。
【0054】
上述したステップS002にて輝点欠陥部133が検出された場合、輝点欠陥修正工程(ステップS030)に移行する。輝点欠陥部133が検出されないときは、このフローを終了する。
【0055】
図14には、輝点欠陥修正工程(ステップS030)を行うための輝点欠陥修正装置6の概略構成を示している。輝点欠陥修正装置6は、超短パルスレーザ発振機構7と、高集光レンズ8などを含む照射光学系52と、表示パネルDPを載置する載置面を有するステージ51と、を含んでいる。
図14に示す例においては、照射光学系52が、移動装置92に回動可能な状態に取り付けられており、表示パネルDPに対する照射角度を変化させることが可能である。即ち、ステージ51の載置面に垂直な軸方向に対して、照射光学系52の光軸方向を傾けることが可能な構成としている。
【0056】
なお、
図14に示す例においては、照射光学系52が、移動装置92に回動可能な状態に取り付けられている例を示したが、輝点欠陥修正装置6は、照射光学系52に照射方向が固定された状態で、ステージ51の載置面に垂直な軸方向を変化させる構成としてもよい。あるいは、ステージ51の載置面に垂直な軸方向、及び照射光学系52の光軸方向の双方を変化させる構成としてもよい。
【0057】
なお、ステージ51として、載置面に垂直な軸方向を変化させることができるものを用いた場合、上述したステップS002において、検査装置90に含まれる検査光学系の光軸方向に対して、載置面に垂直ではない角度に軸方向を傾けることが可能となる。このような構成とすることにより、上述したステップS002において、表示パネルDPの表示面に対して垂直な方向のみならず、表示面に対して斜め方向からの輝点欠陥部133の検出も可能となる。なお、表示面に対して斜め方向からの検出を行う上では、ステージ51を固定した状態で、検査光学系の光軸を変化させる構成としてもよく、ステージ51の載置面に垂直な軸方向と、検査装置90の光軸の双方を変化させる構成としてもよい。
【0058】
輝点欠陥修正工程(ステップS030)において、本実施形態では、一例として、超短パルスレーザ発振機構7として、1552nmのレーザ光の波長及びパルス幅800fsのレーザ光を用いている。
【0059】
輝点欠陥修正工程(ステップS030)は、ステップS003〜ステップS006の工程を含む。
【0060】
輝点欠陥修正工程(ステップS030)では、先ず、輝点欠陥修正装置6が、検査装置90から、輝点欠陥の画素の位置情報及び形状情報(例えば、位置、大きさ、形状)を取得する(ステップS003)。
【0061】
次に、取得した形状情報より、演算部91において、超短パルスレーザ光4を照射して形成する第1の減光部1、及び第2の減光部11の形状及び位置情報(例えば、位置、大きさ、形状)を演算する(ステップS004)。
【0062】
次に、制御装置93での制御の下に、演算部91で演算して取得した第1の減光部1、及び第2の減光部11の位置情報に基づいて、輝点欠陥修正装置6の高集光レンズ8などの光学系を位置合わせする。
【0063】
次に、制御装置93での制御の下に、輝点欠陥修正装置6は、超短パルスレーザ光4の焦点Fの位置が、第2のガラス基板GB2の内部の所望の位置に合うように調整する。焦点Fの位置は、例えば、輝点欠陥の原因となる異物の大きさ、又は、測定された輝度値に基づいて調整される。例えば、
図14に示すように、第2のガラス基板GB2の内部において、異物33の近傍側に超短パルスレーザ光4の焦点Fが合うように調整する。
【0064】
次に、制御装置93での制御の下に、輝点欠陥修正装置6は、超短パルスレーザ発振機構7から超短パルスレーザ光4を出射させる。これにより、超短パルスレーザ発振機構7から出射された超短パルスレーザ光4は、高集光レンズ8により、第2のガラス基板GB2の内部の焦点Fに集光されて照射される。
【0065】
次に、制御装置93での制御の下に、超短パルスレーザ光4の照射位置(第1の照射位置)を、移動装置92により移動させつつ、超短パルスレーザ光4を連続的に照射する(第1の照射工程)ことにより、第1の減光部1を形成(ステップS005)する。
【0066】
更に、このステップS005において、制御装置93の制御の下に、第1の減光部1に接して配置される第2の減光部11を形成する。その際、表示パネルDPを載置する
図14を用いて上述したステージ51の載置面に垂直な軸方向に対して、照射光学系52の光軸方向を傾けることにより、表示面に垂直な軸に対して傾斜した方向から、超短パルスレーザ光4を連続的に照射する(第2の照射工程)。これにより、表示面に垂直な軸に対して傾斜した方向からみて、輝点欠陥部133を覆う第2の減光部11を形成(ステップS005)する。なお、本実施形態には、第2の照射工程において、第1の照射工程における第1の照射位置の少なくとも一部に接する第2の照射位置に、超短パルスレーザ光4を照射する。
【0067】
なお、このステップS005において、第1の照射工程と第2の照射工程の前後関係は問わない。即ち、上述した第2の照射工程を行った後に、第2の照射位置に接するよう第1の照射位置において第1の照射工程を行ってもよい。このステップS005を経て、輝点欠陥修正工程(ステップS030)を完了する(ステップS006)。
【0068】
前記実施形態にかかる製造方法又は製造装置によれば、欠陥が有ったものだけ修正工程に流すので、全体の工程タクトに影響を与えないといった利点がある。
【0069】
[変形例]
図13は、液晶表示装置の製造方法の変形例として、輝点欠陥の他の修正方法のフロー図を示す。
【0070】
先ず、検査装置90において、表示パネルDPを点灯させ(ステップS007)、輝点欠陥を検出する(ステップS008)。なお、ステップS007は、表示パネルDPを黒表示状態とし、表示パネルDPの背面側からバックライト光34を照射して、各画素の輝度を測定する工程を含んでもよい。
【0071】
検査装置90は、ステップS002と同様に、閾値を超える輝度が測定された画素を輝点欠陥部133(画素欠陥部)として検出する。検査装置90は、輝点欠陥部133として検出した画素の位置情報を輝点欠陥修正装置6に出力する。輝点欠陥部133の検出は、作業者による目視で行ってもよい。
【0072】
上述したステップS008にて輝点欠陥部133が検出された場合、輝点欠陥修正工程(ステップS040)に移行する。輝点欠陥部133が検出されないときは、このフローを終了する。
【0073】
輝点欠陥修正工程(ステップS040)は、ステップS009〜ステップS013を含む。
【0074】
輝点欠陥修正工程(ステップS040)では、まず、輝点欠陥修正装置6が、検査装置90から、輝点欠陥の画素の位置情報及び形状情報(例えば、位置、大きさ、形状)を取得する(ステップS009)。
【0075】
次に、取得した形状情報より、演算部91において、超短パルスレーザ光4を照射して形成する第1の減光部1、第2の減光部11の形状及び位置情報(例えば、位置、大きさ、形状)を演算する(ステップS010)。
【0076】
次に、制御装置93での制御の下に、演算部91で演算して取得した第1の減光部1、第2の減光部11の位置情報に基づいて、輝点欠陥修正装置6の高集光レンズ8などの光学系を位置合わせする。
【0077】
次に、制御装置93での制御の下に、輝点欠陥修正装置6は、超短パルスレーザ光4の焦点Fの位置が、第2のガラス基板GB2の内部の所望の位置に合うように調整する。焦点Fの位置は、例えば、輝点欠陥の原因となる異物の大きさ、又は、測定された輝度値に基づいて調整される。例えば、
図14に示すように、第2のガラス基板GB2の内部において、異物33の近傍側に高エネルギービームである超短パルスレーザ光4の焦点Fが合うように調整する。
【0078】
次に、制御装置93での制御の下に、輝点欠陥修正装置6は、超短パルスレーザ発振機構7から超短パルスレーザ光4を出射させる。これにより、超短パルスレーザ発振機構7から出射された超短パルスレーザ光4は、高集光レンズ8により、第2のガラス基板GB2の内部の焦点Fに集光されて照射される。
【0079】
次に、制御装置93での制御の下に、超短パルスレーザ光4の照射位置(第1の照射位置)を、移動装置92により移動させつつ、超短パルスレーザ光4を連続的に照射することにより、第1の減光部1を形成する(ステップS011)。
【0080】
更に、このステップS011において、制御装置93の制御の下に、第1の減光部1の外周に接して配置される第2の減光部11を形成する。その際、表示パネルDPを載置する
図14を用いて上述したステージ51の載置面に垂直な軸方向に対して、照射光学系52の光軸方向を傾けることにより、表示面に垂直な軸に対して傾斜した方向から、超短パルスレーザ光4を連続的に照射する(第2の照射工程)。これにより、表示面に垂直な軸に対して傾斜した方向からみて、輝点欠陥部133を覆う第2の減光部11を形成(ステップS011)する。なお、本実施形態には、第2の照射工程において、第1の照射工程における第1の照射位置の少なくとも一部に接する第2の照射位置に、超短パルスレーザ光4を照射する。
【0081】
なお、このステップS011において、第1の照射工程と第2の照射工程の前後関係は問わない。即ち、上述した第2の照射工程を行った後に、第2の照射位置に接するよう第1の照射位置において第1の照射工程を行ってもよい。
【0082】
第1の減光部1、第2の減光部11を形成した後に、制御装置93での制御の下に、再度、点灯検査を行い(ステップS012)、輝点欠陥が消失していることを確認して、輝点欠陥修正工程(ステップS040)を完了する(ステップS013)。
【0083】
制御装置93での制御の下に、2回目以降の点灯検査工程において輝点欠陥が検出された場合には、ステップS009に戻って、再度、輝点欠陥修正を行う(ステップS009からステップS011)。2回目以降の輝点欠陥修正において、1回目に形成した第1の減光部1、第2の減光部11と形状又は大きさが違っていてもよい。
【0084】
このように、本開示における液晶表示装置の製造方法の輝点欠陥修正工程(ステップS030又はS040)では、ガラス基板GBに焦点を合わせて高エネルギービームを照射することにより、ガラス材料を着色させているため、ガラス基板自体の形状変化は起こらない。例えば、ガラス基板GBの内部又は表面が破壊されて外形が変化することはない。そのため、例えばTFT基板SUB1及びCF基板SUB2に第1の偏光板POL1、第2の偏光板POL2を形成した状態で、すなわち、表示パネルDPの完成後に、前記輝点欠陥修正工程(ステップS030又はS040)を実行することができる。また、第1の減光部1、第2の減光部11は、ガラス基板GBと同一材料からなるため、屈折率が変化することもない。
【0085】
この変形例によれば、修正後に再度検査することで、修正が十分なされているか、着色により黒点不良化していないか、を確認することができる。
【0086】
前記の説明では、TFT基板SUB1とCF基板SUB2との間に異物33が混入した場合の輝点欠陥を示しているが、輝点欠陥の原因はこれに限定されない。例えば、薄膜トランジスタTFTの不具合による光漏れ、又は、基板間に配置されるスペーサに起因した光漏れ等が起こり得る。本開示における液晶表示装置の製造方法に係る輝点欠陥修正方法は、これらの輝点欠陥にも適用することができる。
【0087】
また、輝点欠陥が生じ得る異物33の混入位置は、TFT基板SUB1とCF基板SUB2との間に限定されない。例えば、第1のガラス基板GB1と第1の偏光板POL1との間に異物が混入した場合も輝点欠陥が生じ得る。この場合は、第1の減光部1、第2の減光部11が、第1のガラス基板GB1の内部における異物の近傍に形成されていてもよい。また、第2のガラス基板GB2と第2の偏光板POL2との間に異物が混入した場合も輝点欠陥が生じ得る。この場合は第1の減光部1、第2の減光部11が、第2のガラス基板GB2の内部における異物の近傍に形成されていてもよい。このように、異物は、表示パネルDPの不特定の位置に混入し得る。そのため、1枚の表示パネルDPにおいて、輝点欠陥を生じさせる異物が、第1のガラス基板GB1及び第1の偏光板POL1の間(第1位置)と、第2のガラス基板GB2及び第2の偏光板POL2の間(第2位置)とに混入した場合、第1第1の減光部1、第2の減光部11が、第1位置の異物に対応して、第1のガラス基板GB1の内部における異物の近傍に形成され、第3の減光部21が、第2位置の異物に対応して、第2のガラス基板GB2の内部における異物の近傍に形成されていてもよい。なお、この場合に、輝点欠陥修正工程の作業効率を考慮して、第1の減光部1、第2の減光部11及び第3の減光部21が、第2のガラス基板GB2の表示面側に形成されていてもよい。また、第1の減光部1、第2の減光部11、及び第3の減光部21は、それぞれ透過率が異なるように形成されていてもよい。
【0088】
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で前記各実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0089】
また、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。