(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-133233(P2019-133233A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】力覚提示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20190712BHJP
G05G 1/00 20080401ALI20190712BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20190712BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G05G1/00 G
G05G5/03 Z
B25J3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-12391(P2018-12391)
(22)【出願日】2018年1月29日
(71)【出願人】
【識別番号】591130238
【氏名又は名称】佐藤 誠
(71)【出願人】
【識別番号】518032823
【氏名又は名称】本多 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】本多 健二
【テーマコード(参考)】
3C707
3J070
5E555
【Fターム(参考)】
3C707HS27
3C707HT04
3C707JT05
3C707XK06
3C707XK73
3J070AA02
3J070BA17
3J070CA03
3J070CC04
3J070CC07
3J070CC71
3J070CE01
5E555AA08
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC01
5E555BE17
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザの両手に力覚を与えるウェアラブルな力覚提示装置を提供する。
【解決手段】右手用のエンドエフェクタ1Rの4つのワイヤ接地点PAR、PBR、PCR、PDRとフレームF1R、F2Rに設けられたロータリエンコーダ付DCモータM1R、M2R、…、M8Rとの間にワイヤW1R、W2R、…、W8Rが設けられている。左手用のエンドエフェクタ1Lも同様である。右手用力覚提示ユニットの上方フレームF1Rと左手用力覚提示ユニットの上方フレームF1Lとは上面視でほぼ一直線状に結合されている。右手用力覚提示ユニットにおける上方フレームF1Rのほぼ中間位置と下方フレームF2Rの一方側とは右手用後側結合フレームRFRを介して上面視でほぼT字状に結合されている。左手用力覚提示ユニットも同様である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
右手用力覚提示ユニット及び左手用力覚提示ユニットを具備する力覚提示装置であって、
前記各力覚提示ユニットは、
第1、第2、第3、第4のワイヤ接地点を有するエンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタの上方、下方に位置する上方フレーム及び下方フレームと、
前記上方フレームの一方側及び他方側に設けられた第1、第2のモータと、
前記上方フレームの前記一方側及び前記他方側に設けられた第3、第4のモータと、
前記下方フレームの一方側及び他方側に設けられた第5、第6のモータと、
前記下方フレームの前記一方側及び前記他方側に設けられた第7、第8のモータと、
前記各第1、第2のモータのワイヤ出口と前記第1のワイヤ接地点との間に接続された第1、第2のワイヤと、
前記各第3、第4のモータのワイヤ出口と前記第2のワイヤ接地点との間に接続された第3、第4のワイヤと、
前記各第5、第6のモータのワイヤ出口と前記第3のワイヤ接地点との間に接続された第5、第6のワイヤと、
前記各第7、第8のモータのワイヤ出口と前記第4のワイヤ接地点との間に接続された第7、第8のワイヤと
を具備する力覚提示装置において、
前記右手用力覚提示ユニットの前記上方フレームの一方側と前記左手用力覚提示ユニットの前記上方フレームの一方側とは直線状に結合され、
さらに、
前記右手用力覚提示ユニットにおける前記上方フレームのほぼ中間位置において前記右手用力覚提示ユニットの前記下方フレームの一方側を上面視でほぼT字状に結合する右手用後側結合フレームと、
前記左手用力覚提示ユニットにおける前記上方フレームのほぼ中間位置において前記左手用力覚提示ユニットの前記下方フレームの一方側を上面視でほぼT字状に結合する左手用後側結合フレームと
を具備し、
前記右手用力覚提示ユニットのエンドエフェクタと前記左手用力覚提示ユニットのエンドエフェクタとを協調して操作できるようにしたことを特徴とする力覚提示装置。
【請求項2】
さらに、前記右手用後側結合フレーム及び前記左手用後側結合フレームの各々に結合された肩バンド又は逆U字型固定具を具備する請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項3】
さらに、
前記右手用力覚提示ユニットにおける前記後側結合フレームと前記上方フレームとを回転可能に支持する右手用中間上方フレームと、
前記左手用力覚提示ユニットにおける前記後側結合フレームと前記上方フレームとを回転可能に支持する左手用中間上方フレームと、
前記右手用力覚提示ユニットにおける前記後側結合フレームと前記下方フレームとを固定的に支持する右手用中間下方フレームと、
前記左手用力覚提示ユニットにおける前記後側結合フレームと前記下方フレームとを固定的に支持する左手用中間下方フレームと
を具備する請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項4】
さらに、前記後側結合フレームが下方まで延長されて固定された支持板を具備する請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、
前記第1、第2のワイヤ接地点が設けられた第1の直線状部材と、
前記第3、第4のワイヤ接地点が設けられた第2の直線状部材と、
前記第1、第2の直線状部材を結合するグリップ部材と
を具備し、
前記第1、第2の直線状部材は上面視でほぼ直交した十字形をなしている請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項6】
前記エンドエフェクタは、
前記第1、第2のワイヤ接地点が設けられた第1のV字状部材と、
前記第1のV字状部材に結合され、前記第3、第4のワイヤ接地点が設けられた第2のV字状部材と、
前記第1又は第2のV字状部材に結合されたグリップ部材と
を具備し、
前記第1、第2のV字状部材は上面視でほぼ直交した十字形をなしている請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項7】
前記第1のモータと前記第2のモータとの間の距離、前記第3のモータと前記第4のモータとの間の距離、前記第5のモータと前記第6のモータとの間の距離、前記第7のモータと前記第8のモータとの間の距離は互いに等しい請求項1に記載の力覚提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手首に対するウェアラブルな力覚提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、頭部搭載型ディスプレイ(HMD)の発達によりバーチャルリアリティ(VR)空間の映像を目の前に映し出すことによりあたかもVR空間の中にいるかのような感覚をもたらすことができるようになった。つまり、HMDは人間の頭に装着して使用するウェアラブルな視覚機器であり、外界の情報を遮断してVR空間の映像のみを映し出し、外の情報をみることなくVR空間に没入することができる。
【0003】
VR空間を実世界のように感じる体験を実現するためには、VR空間内の仮想物体に触る、仮想物体の重さを感じるといった力覚を提示する力覚提示装置(ハプティックインタフェイス)が必要である。これにより、視覚、力覚の2つの感覚を利用してVR空間に入り込み、VR空間に存在する仮想物体を直感的に操作しかつ感じ取ることができる。
【0004】
図12は従来の力覚提示装置を示す全体斜視図である(参照:特許文献1)。
図12において、力覚提示装置は、後側結合フレームFRによって対称的に結合された右手用力覚提示ユニット及び左手用力覚提示ユニットを備え、各力覚提示ユニットは、第1、第2、第3、第4のワイヤ接地点PAR、PBR、PCR、PDR;PAL、PBL、PCL、PDLを有するエンドエフェクタ1R;1Lと、エンドエフェクタ1R;1Lの上方、下方に位置する上方フレームF1R;F1L及び下方フレームF2R;F2Lと、上方フレームF1R;F1Lの一方側及び他方側に設けられた第1、第2のモータM1R、M2R;M1L、M2Lと、上方フレームF1R;F1Lの一方側及び他方側に設けられた第3、第4のモータM3R、M4R;M3L、M4Lと、下方フレームF2R;F2Lの一方側及び他方側に設けられた第5、第6のモータM5R、M6R;M5L、M6Lと、下方フレームF2R;F2Lの一方側及び他方側に設けられた第7、第8のモータM7R、M8R;M7L、M8Lと、各第1、第2のモータM1R、M2R;M1L、M2Lのワイヤ出口と第1のワイヤ接地点PAR;PALとの間に接続された第1、第2のワイヤW1R、W2R;W1L、W2Lと、各第3、第4のモータM3R、M4R;M3L、M4Lのワイヤ出口と第2のワイヤ接地点PBR;PBLとの間に接続された第3、第4のワイヤW3R、W4R;W3L、W4Lと、各第5、第6のモータM5R、M6Rのワイヤ出口と第3のワイヤ接地点PCR;PCLとの間に接続された第5、第6のワイヤW5R、W6R;W5L、W6Lと、各第7、第8のモータW7R、W8R;W7L、W8Lのワイヤ出口と第4のワイヤ接地点PDR;PDLとの間に接続された第7、第8のワイヤW7R、W8R;W7L、W8Lとを備え、右手用力覚提示ユニットのエンドエフェクタ1Rと左手用力覚提示ユニットのエンドエフェクタ1Lとを協調して操作できるようにしたものである。尚、
図12において、1はユーザ、2はHMDである。
【0005】
図12の従来の力覚提示装置によれば、右手用力覚提示ユニットのエンドエフェクタ1Rと左手用力覚提示ユニットのエンドエフェクタ1Lとの協調操作によりユーザの両手に力覚を与えることができ、従って、ウェアラブルな力覚提示装置を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−207005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の
図12の従来の力覚提示装置には以下の課題がある。
【0008】
図13は
図12の力覚提示装置のフレームF1R、F2R、F1L、F2Lを示す斜視図、
図14は
図13のフレームF1R、F2R、F1L、F2L上のDCモータ間の距離を説明するための図であり、(A)は上面図、(B)は右側面図である。
図14においては、フレームF1R、F2R、F1L、F2Lを真上方向に10°だけ傾けてある。これにより、ユーザ1が力覚提示装置を装着し易くする。
図14において、フレームF1R、F2R、F1L、F2L上のDCモータ間の距離は54cmである。尚、
図13、
図14においては、全体の剛性を維持するために、「エ」字状の前側結合フレームFFが
図12のフレームF1R、F2R、F1L、F2Lに対して付加されている。
【0009】
図15は
図14のフレームF1R、F2R、F1L、F2L上のDCモータ間の距離の場合の全方位から力覚を表現できる力覚表現領域を示し、(A)は上面図、(B)は右側面図である。
図15に示すように、フレームF1R、F2R、F1L、F2Lが10°上方向に傾いているので、力覚表現領域は38.18cm×38.18cm×72.68cmの2つの立方体が10°傾いた領域となる。
【0010】
図15においては、ユーザの中心付近である−21.32cm<x<21.32cmの領域は力覚表現領域から外れている。従って、力覚提示効率が小さいという課題がある。
【0011】
また、フレーム構造も約40cm×120cm×70cmと大型化し、力覚提示装置の重量も大きいという課題もある。このため、力覚提示装置の装着は介助者を必要とすることもある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、本発明に係る力覚提示装置は、右手用力覚提示ユニット及び左手用力覚提示ユニットを具備する力覚提示装置であって、各力覚提示ユニットは、第1、第2、第3、第4のワイヤ接地点を有するエンドエフェクタと、エンドエフェクタの上方、下方に位置する上方フレーム及び下方フレームと、上方フレームの一方側及び他方側に設けられた第1、第2のモータと、上方フレームの一方側及び他方側に設けられた第3、第4のモータと、下方フレームの一方側及び他方側に設けられた第5、第6のモータと、下方フレームの一方側及び他方側に設けられた第7、第8のモータと、 各第1、第2のモータのワイヤ出口と第1のワイヤ接地点との間に接続された第1、第2のワイヤと、 各第3、第4のモータのワイヤ出口と第2のワイヤ接地点との間に接続された第3、第4のワイヤと、 各第5、第6のモータのワイヤ出口と第3のワイヤ接地点との間に接続された第5、第6のワイヤと、 各第7、第8のモータのワイヤ出口と第4のワイヤ接地点との間に接続された第7、第8のワイヤとを具備する力覚提示装置において、右手用力覚提示ユニットの上方フレームの一方側と左手用力覚提示ユニットの上方フレームの一方側とは直線状に結合され、さらに、右手用力覚提示ユニットにおける上方フレームのほぼ中間位置において右手用力覚提示ユニットの下方フレームの一方側を上面視でほぼT字状に結合する右手用後側結合フレームと、左手用力覚提示ユニットにおける上方フレームのほぼ中間位置において左手用力覚提示ユニットの下方フレームの一方側を上面視でほぼT字状に結合する左手用後側結合フレームとを具備し、右手用力覚提示ユニットのエンドエフェクタと左手用力覚提示ユニットのエンドエフェクタとを協調して操作できるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザの中心領域も有効な力覚提示領域とすることができるので力覚提示効率を大きくできる。また、フレーム構造を小型化できるので小型化かつ軽量化を実現できる。従って、力覚提示装置の装着も介助者なしに容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る力覚提示装置の第1の実施の形態を示す全体斜視図である。
【
図3】
図1の力覚提示装置の概略を示し、(A)は正面図、(B)は右側面図である。
【
図4】
図1の左側エンドエフェクタを示す斜視図である。
【
図5】
図1のエンドエフェクタの並進、回転を説明する図である。
【
図6】
図1の力覚提示装置の操作状態を示す図である。
【
図7】
図1の力覚提示装置のフレームを示す斜視図である。
【
図8】
図7のフレーム上のDCモータ間の距離を説明するための図であり、(A)は上面図、(B)は右側面図である。
【
図9】
図8のフレーム上のDCモータ間の距離の場合の全方位から力覚を表現できる力覚表現領域を示し、(A)は上面図、(B)は右側面図である。
【
図10】本発明に係る力覚提示装置の第2の実施の形態を示す右側面図である。
【
図11】本発明に係る力覚提示装置の第3の実施の形態を示す右側面図である。
【
図12】従来の力覚提示装置を示す全体斜視図である。
【
図13】
図12の力覚提示装置のフレームを示す斜視図である。
【
図14】
図13のフレーム上のDCモータ間の距離を説明するための図であり、(A)は上面図、(B)は側面図である。
【
図15】
図14のフレーム上のDCモータ間の距離の場合の全方位から力覚を表現できる力覚表現領域を示し、(A)は上面図、(B)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る力覚提示装置の第1の実施の形態を示す全体斜視図、
図2は
図1の力覚提示装置の装着前の写真、
図3は
図1の概略的な図を示し、(A)は正面図、(B)は右側面図である。
図1、
図3の力覚提示装置は胸元への背負子抱きかかえ型である。
【0016】
図1、
図3において、エンドエフェクタ1R及び上方フレームF1R、下方フレームF2Rよりなる右手用力覚提示ユニットとエンドエフェクタ1L及び上方フレームF1L、下方フレームF2Lよりなる左手用力覚提示ユニットとが後側結合フレームRFR、RFLによって対称的に結合されている。後側結合フレームRFR、RFLには肩バンドBが結合され、肩バンドBによってユーザ1の肩に装着される。尚、肩バンドBの代りに逆U字型固定具を用いてユーザ1の肩に掛けてもよい。
【0017】
右手用力覚提示ユニットの上方フレームF1Rと左手用力覚提示ユニットの上方フレームF1Lとは上面視でほぼ一直線状に結合されている。尚、この場合、上方フレームF1Rと上方フレームF1Lとは一体に構成してもよい。
【0018】
右手用力覚提示ユニットにおける上方フレームF1Rのほぼ中間位置と下方フレームF2Rの一方側とは右手用後側結合フレームRFRを介して上面視でほぼT字状に結合されている。同様に、左手用力覚提示ユニットにおける上方フレームF1Lのほぼ中間位置と下方フレームF2Lの一方側とは左手用後側結合フレームRFLを介して上面視でほぼT字状に結合されている。また、下方フレームF2Rと下方フレームF2Lとは補強フレームF1、F2によって結合されている。
【0019】
図1、
図3において、ユーザ1の右手に装着される右手用のエンドエフェクタ1Rの4つのワイヤ接地点(固定点)PAR、PBR、PCR、PDRとフレームF1R、F2Rに設けられたロータリエンコーダ付DCモータ(又はコアレスモータ)M1R、M2R、…、M8R(正確にはこれらに直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間に金属製又は繊維製のワイヤW1R、W2R、…、W8Rが設けられている。具体的には、エンドエフェクタ1Rのワイヤ接地点PARとロータリエンコーダ付DCモータM1R、M2R(正確には直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間にワイヤW1R、W2Rが設けられ、エンドエフェクタ1Rのワイヤ接地点PBRとロータリエンコーダ付DCモータM3R、M4R(正確には直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間にワイヤW3R、W4Rが設けられ、エンドエフェクタ1Rのワイヤ接地点PCRとロータリエンコーダ付DCモータM5R、M6R(正確には直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間にワイヤW5R、W6Rが設けられ、エンドエフェクタ1Rのワイヤ接地点PDRとロータリエンコーダ付DCモータM7R、M8R(正確には直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間にワイヤW7R、W8Rが設けられている。
【0020】
同様に、ユーザ1の左手に装着される左手用のエンドエフェクタ1Lの4つのワイヤ接地点PAL、PBL、PCL、PDLとフレームF1L、F2Lに設けられたロータリエンコーダ付DCモータ(又はコアレスモータ)M1L、M2L、…、M8L(正確にはこれらに直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間に金属製又は繊維製のワイヤW1L、W2L、…、W8Lが設けられている。具体的には、エンドエフェクタ1Lのワイヤ接地点PALとロータリエンコーダ付DCモータM1L、M2L(正確には直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間にワイヤW1L、W2Lが設けられ、エンドエフェクタ1Lのワイヤ接地点PBLとロータリエンコーダ付DCモータM3L、M4L(正確には直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間にワイヤW3L、W4Lが設けられ、エンドエフェクタ1Lのワイヤ接地点PCLとロータリエンコーダ付DCモータM5L、M6L(正確には直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間にワイヤW5L、W6Lが設けられ、エンドエフェクタ1Lのワイヤ接地点PDLとロータリエンコーダ付DCモータM7L、M8L(正確には直結したワイヤ出口としてのプーリ)との間にワイヤW7L、W8Lが設けられている。
【0021】
ユーザ1の頭部にはHMD2が装着される。尚、HMD2の代りに仮想映像発生手段としての大型スクリーンを用いてもよい。
【0022】
エンドエフェクタ1R、1Lのロータリエンコーダ付DCモータM1R、M2R、…、M8R;M1L、M2L、…、M8L及びHMD2は2つの後側結合フレームRFR、RFLの間に設けられたDCモータコントローラ(図示せず)に接続されている。さらに、HMD2及びDCモータコントローラはパソコン(図示せず)に接続されている。
【0023】
図4は
図1、
図3のエンドエフェクタ1Lを示す斜視図である。
【0024】
図4のエンドエフェクタ1Lにおいては、アルミニウムパイプにより構成される直線状の部材U1、U2は上方視でほぼ直交した十字形となっており、グリップ部材U3が部材U1、U2間に結合されている。従って、ユーザ1の左手で握る形になっている。この場合、
図2の写真に示すごとく、部材U1、U2を上方側又は下方側に屈曲させてV字状にして部材U1、U2を直接結合し、グリップ部材U3を部材U1又はU2に結合してもよい。エンドエフェクタ1Rについても同様である。
【0025】
図1の力覚提示装置の各エンドエフェクタ1R(1L)は、
図5に示すごとく、ワイヤW1R〜W8R(W1L〜W8L)によって並進3軸3自由度、回転3軸3自由度の合計6自由度の運動を行う。従って、エンドエフェクタ1Rとエンドエフェクタ1Lとを協調して操作することにより、VR空間内での
図6の仮想物体Pに対して両手を用いた6自由度の並進、回転操作を実現できる。すなわち、ユーザ1は力覚提示装置を前リュックのように前で背負い、両手にエンドエフェクタ1R、1Lを装着する。ユーザ1の頭部にHMD2を装着することにより、VR空間内に没入し、仮想物体Pを両手で操作する。このときの力覚がエンドエフェクタ1R、1Lを介してユーザ1にフィードバックされ、ユーザ1が仮想物体Pを掴んだり動かしたりする感覚を得ることができる。
【0026】
図7は
図1の力覚提示装置のフレームF1R、F2R、F1L、F2Lを示す斜視図、
図8は
図7のフレームF1R、F2R、F1L、F2L上のDCモータ間の距離を説明するための図であり、(A)は上面図、(B)は右側面図である。
図8においては、フレームF1R、F2R、F1L、F2L上のDCモータ間の距離は54cmである。
【0027】
図9は
図8のフレームF1R、F2R、F1L、F2L上のDCモータ間の距離の場合の全方位から力覚を表現できる力覚表現領域を示す。
図9に示すように、力覚表現領域は約54cm×108cm×77cmの直方体の領域となる。
図9においては、ユーザの中心付近の領域も力覚表現領域に含まれている。従って、力覚提示効率が大きくなる。また、フレーム構造も約54cm×108cm×77cmと小型化し、力覚提示装置の重量も小さくなる。このため、力覚提示装置の装着は介助者を必要としない。
【0028】
上述の第1の実施の形態においても、従来と同等またはそれ以上の並進力、トルク及び応答性が得られた。
【0029】
図10は本発明に係る力覚提示装置の第2の実施の形態を示す右側面図であって、(A)は装着直前の状態を示し、(B)は装着後の状態を示す。
図10の力覚提示装置は背中へ背負う背負子型であり、上フレームが回動式となっている。
【0030】
図10においては、上方フレームF1R、F1Lは後側結合フレームRFR、RFLの軸Aに対して中間上方フレームIF1R、IF1Lを介して回転可能になるように支持されている。他方、下方フレームF2R、F2Lは後側結合フレームRFR、RFLに対して中間下方フレームIF2R、IF2Lを介して固定されている。
【0031】
図10の力覚提示装置の装着動作を説明する。始めに、
図10の(A)に示すごとく、中間上方フレームIF1R、IF1Lを上方に回動させて上方フレームF1R、F1Lを上方にした状態で、ユーザ1は力覚提示装置の後側結合フレームRFR、RFLを背中側で背負う。次いで、
図10の(B)に示すごとく、中間上方フレームIF1R、IF1Lを下方に回動させて上方フレームF1R、F1Lを下げる。
図10の力覚提示装置を外す場合は、逆順で行えばよい。
【0032】
図11は本発明に係る力覚提示装置の第3の実施の形態を示す右側面図である。
図11の力覚提示装置は床面固定型である。
【0033】
図11においては、
図1の後側結合フレームRFR、RFLの代りに、床下まで延長されて固定される後側結合フレームRFR’、RFL’及び支持板PLを設けてある。従って、後側結合フレームRFR’、RFL’は支持板PLに固定され、さらに床面に固定できるようになっている。この場合、装着動作は不要であるので、肩バンドB又は逆U字型固定具は不要となる。
【0034】
尚、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲のいかなる変更も適用し得る。
【符号の説明】
【0035】
1:ユーザ
1R:右手用エンドエフェクタ
1L:左手用エンドエフェクタ
F1R、F2R、F1L、F2L:フレーム
RFR、RFL、RFR’、RFL’:後側結合フレーム
F1、F2:補強フレーム
IF1R、IF1L:中間上方フレーム
IF2R、IF2L:中間下方フレーム
M1R、M2R、…、M8R;M1L、M2L、…、M8L:ロータリエンコーダ付DCモータ
W1R、W2R、…、W8R;W1L、W2L、…、W8L:ワイヤ
PAR、PBR、PCR、PDR、PAL、PBL、PCL、PDL:ワイヤ接地点
2:頭部搭載型ディスプレイ(HMD)
P:仮想物体
PL:支持板