【手段】タイルカーペット再利用システム5は、敷設後撤去された再納品タイルカーペットに関する情報の入力を受け付け、品番、ロット情報、及び、保管時期を示す情報を対応付けて記録する登録部51と、新たに敷設しようとするタイルカーペットの品番、及び、敷設エリア毎の数量の入力を受け付ける要求受付部52と、ロット情報及び保管時期が予め決められた条件を満たす再納品タイルカーペットを、敷設エリア毎に、受け付けた数量ずつ抽出する抽出部53と、抽出部53が抽出した再納品タイルカーペットの情報を出力する出力部54と、を備える。
敷設された後撤去された再納品タイルカーペットに関する情報の入力を受け付け、前記再納品タイルカーペットの品番、ロット情報、及び、保管時期を示す情報を対応付けて記録部に記録する登録部と、
新たに敷設しようとするタイルカーペットの品番、及び、敷設エリア毎のタイルカーペットの数量の入力を受け付ける要求受付部と、
前記記録部にアクセスして、前記要求受付部で受け付けた前記品番と同じ品番の再納品タイルカーペットであって、前記ロット情報及び前記保管時期が予め決められた条件を満たす再納品タイルカーペットを、前記敷設エリア毎に、前記要求受付部が受け付けた数量ずつ抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した再納品タイルカーペットの情報を、前記敷設エリアに敷設するためのタイルカーペットの情報として出力する出力部と、を備える、タイルカーペット再利用システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2のような再利用技術が知られているものの、まだ使える状態のタイルカーペットが、再利用されずに廃棄されることがある。例えば、賃貸オフィスビルの新築時には、ビル標準のタイルカーペットがビルの床に敷設される。入居者がビルの一室に入居するとき、床の一部又は全部のタイルカーペットを自前のものと交換する場合がある。この場合、元のビル標準のタイルカーペットは、新品同様の状態であるにも関わらず廃棄されることが多い。
【0006】
発明者らは、このように従来は破棄されていたタイルカーペットを買い取って保管しておき、必要に応じて提供する仕組みを検討した。この検討において、発明者らは、次のような課題を見出した。例えば、タイルカーペットを敷設した者と、タイルカーペットを撤去し保管する者とが異なる場合、撤去したタイルカーペットについては、ロット情報が不明になる。そのため、撤去して保管しておいたタイルカーペットを再敷設する際に、1つの敷設エリアに品番は同じだがロットが異なる複数のタイルカーペットが敷設され得る。品番が同じでもロットが異なるとタイルカーペットの外観が微妙に異なる場合がある。この場合、再敷設された1つの敷設エリアにおける複数のタイルカーペット間に微妙な色調の差が視認される可能性があることがわかった。
【0007】
そこで、本発明は、再敷設したタイルカーペットにおいてロットの違いによる色調の差を考慮し、敷設エリアにおけるタイルカーペットの質感を確保することができるタイルカーペット再利用システム及びタイルカーペットの再利用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点によるタイルカーペット再利用システムは、敷設された後撤去された再納品タイルカーペットに関する情報の入力を受け付け、前記再納品タイルカーペットの品番、ロット情報、及び、保管時期を示す情報を対応付けて記録部に記録する登録部と、新たに敷設しようとするタイルカーペットの品番、及び、敷設エリア毎のタイルカーペットの数量の入力を受け付ける要求受付部と、前記記録部にアクセスして、前記要求受付部で受け付けた前記品番と同じ品番の再納品タイルカーペットであって、前記ロット情報及び前記保管時期が予め決められた条件を満たす再納品タイルカーペットを、前記敷設エリア毎に、前記要求受付部が受け付けた数量ずつ抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出した再納品タイルカーペットの情報を、前記敷設エリアに敷設するためのタイルカーペットの情報として出力する出力部と、を備える。
【0009】
上記構成によれば、撤去されて保管場所に載置される再納品タイルカーペットの品番、ロット情報、及び保管時期を示す情報が対応づけられて記録される。これにより、撤去された再納品タイルカーペットのロット情報が保存される。抽出部は、要求受付部で受け付けた品番で、各敷設エリアで必要される数量の再納品タイルカーペットの情報を、記録部から抽出する。抽出部は、敷設エリア毎に、ロット情報及び保管時期が予め決められた条件を満たす再納品タイルカーペットを抽出する。これにより、品番のみならず、ロット及び保管時期を考慮して、各敷設エリアに敷設するための再納品タイルカーペットを抽出することができる。抽出部が抽出した再納品タイルカーペットの情報は、敷設エリアに敷設するためのタイルカーペットの情報として出力される。そのため、敷設エリアにおいてロットの違いによる色調の差を考慮した再納品タイルカーペットを抽出し、その情報を出力することができる。これにより、敷設エリアにおける再納品タイルカーペットのロットの違いによる色調の差を考慮し、タイルカーペットの質感を確保することができる。なお、再納品タイルカーペットには、一旦敷設された後に撤去されたタイルカーペットすなわち敷設済みタイルカーペットが含まれる。例えば、敷設エリアに敷設された後、その敷設エリアに入居者が入居する前に撤去された新品同様のタイルカーペットも、再納品タイルカーペットとなる。再納品タイルカーペットは、中古タイルカーペットと称することもできる。
【0010】
ここで、ロット情報は、製造ロットを識別する情報である。例えば、同じ製造ラインを用いた一回の製造すなわち、製造ライン一回の稼働で生産された1つの品番のタイルカーペットは、同じロットとなる。一回の製造で生産された同じ品番のタイルカーペットは、仕上がりが均一に近くなる。ロットが異なると同じ品番のタイルカーペットでも仕上がりが少し異なる場合がある。例えば、同じ製造ラインを用いて同じ品番のタイルカーペットを異なる日に製造した場合、製造日によってタイルカーペットの仕上がりが少し異なる。製造ライン及び品番が同じでも、製造日が異なる場合は、ロットが異なる。同じ日に同じ製造ラインで同じ品番のタイルカーペットを複数回に分けて製造した場合、回ごとにロットが異なることになる。1回の製造で製造される量すなわち1ロットの数量は、特に限定されない。受注、在庫その他の状況に応じて、1ロットの数量は適宜設定される。ロット情報は、例えば、ロット識別コードとすることができる。ロット識別コードは、例えば、ロットを示す番号、文字列又はバーコード等で表すことができる。
【0011】
敷設エリアは、1つの品番のタイルカーペットが敷設される領域の単位である。1つの敷設エリアに敷設される同じ品番の複数のタイルカーペットの外観は、敷設エリア内においてある程度均一であることが好ましい。すなわち、敷設エリアは、タイルカーペットの均一性が求められる敷設領域の単位である。例えば、区切りのない1つの部屋を1つの敷設エリアとすることができる。また、1つの部屋にパーティションや壁等で区切られた複数の区画がある場合は、各区画を1つの敷設エリアとしてもよい。また、例えば、ビルの1フロアに、複数の敷設エリアがあってもよい。
【0012】
上記システムにおいて、前記抽出部は、各敷設エリアにおいて、前記要求受付部が受け付けた各敷設エリアの数量の再納品タイルカーペットを、前記各敷設エリアのタイルカーペットのロット数が予め決められた範囲内となるように抽出してもよい。これにより、各敷設エリアに敷設される再納品タイルカーペットのロットのばらつきを予め決められた範囲内とすることができる。そのため、例えば、敷設エリアにおいてロットの違いによる色むらをより起こりにくくできる上、敷設されたタイルカーペットの一体感を高めることができる。これにより、ロットの違いによる色調の差を考慮して、敷設エリアにおけるタイルカーペットの質感を新品同様に維持又は向上させることができる。
【0013】
上記システムにおいて、前記抽出部は、各敷設エリアにおいて、前記要求受付部が受け付けた各敷設エリアの数量の再納品タイルカーペットを、前記ロット数が予め決められた範囲内となるように、前記保管時期が早い順に抽出してもよい。これにより、各敷設エリアに敷設される再納品タイルカーペットのロットのばらつきを予め決められた範囲内とし、且つ、保管期間が長いものを優先して再利用することができる。そのため、例えば、敷設エリアにおいてロットの違い及び保管期間の違いによる色むらをより起こりにくくでき、敷設されたカーペットの一体感を高めることができる。また、再納品タイルカーペットの保管期間を短くし、倉庫に保管されている再納品タイルカーペットのロット差を縮小することが可能となる。
【0014】
上記システムにおいて、前記保管場所では、品番及びロットが同じ複数の前記再納品タイルカーペットが、1つの箱の中又は1つのパレット上に配置されて保管されてもよい。前記登録部は、前記品番、前記ロット情報、前記保管時期、及び前記箱又はパレットを特定する情報を対応付けて、前記記録部に記録することができる。この場合、前記抽出部は、前記条件を満たす再納品タイルカーペットの箱又はパレットを特定する情報を抽出してもよい。前記出力部は、前記抽出部が抽出した箱又はパレットの情報を、前記敷設エリアに敷設するためのタイルカーペットの情報として出力してもよい。これにより、再納品タイルカーペットの保管場所への載置、取り出し、及び運搬の作業効率を高めることができる。これらの作業効率の向上により、再納品タイルカーペットが撤去されてから再び納品されるまでの期間を短縮するこができる。そのため、再納品カーペットのロット差をさらに縮小できる。その結果、例えば、敷設エリアにおける色むらの解消とカーペットの一体感の向上といった、タイルカーペットの質感を確保する効果をより高めることができる。
【0015】
上記システムにおいて、前記登録部は、前記箱又はパレットを特定する情報として、前記保管場所における前記箱又は前記パレットの位置を示す情報を、前記記録部に記録してもよい。前記出力部は、前記抽出部が抽出した箱又はパレットの前記保管場所における位置を示す情報を、前記敷設エリアに敷設するためのタイルカーペットの情報として出力してもよい。これにより、再納品タイルカーペットの保管場所への載置、取り出し、及び運搬の作業効率をより高めることができる。これらの作業効率の向上により、再納品タイルカーペットが再び納品されるまでの期間を短縮するこができる。その結果、タイルカーペットの質感を確保する効果をより高めることができる。
【0016】
本発明の1つの観点による再納品タイルカーペットの再利用方法は、品番及びロット情報が付されたタイルカーペットを撤去し、再納品タイルカーペットとして運搬する工程と、前記各再納品タイルカーペットに対して汚染度を判定し、判定結果に応じて、洗浄するか否か、及び再利用するか否かの選別を行う選別工程と、前記選別工程で洗浄する且つ再利用すると判断された再納品タイルカーペットを洗浄する洗浄工程と、敷設エリア毎に指定された品番及び数量のタイルカーペットの要求を受けた場合に、前記再納品タイルカーペットから、前記指定された品番と同じ品番の再納品タイルカーペットであって、前記ロット情報が予め決められた条件を満たす再納品タイルカーペットから前記敷設エリア毎に指定された数量を取り出す取出工程とを有する。
【0017】
上記方法によれば、品番及びロット情報が付されたタイルカーペットが用いられる。これにより、例えば、タイルカーペットを敷設した者と撤去した者が異なる場合であっても、タイルカーペットのロット情報が失われることはない。撤去後の各工程において、各再納品タイルカーペットのロット情報を追跡可能となる。撤去された再納品タイルカーペットは、汚染度が判定され、洗浄するか否か、及び再利用するか否かを選別される。また、判定及び選別により、洗浄対象の再納品タイルカーペットを絞ることができる。取出工程では、指定された品番の再納品タイルカーペットであって、ロット情報が予め決められた条件を満たす再納品タイルカーペットが敷設エリア毎に指定された数量取り出される。この取出工程は、作業者が行ってもよいし、機械により自動的に行われてもよい。これにより、品番のみならず、ロットを考慮して、各敷設エリアに敷設するための再納品タイルカーペットを選び、取り出すことができる。そのため、敷設エリアにおいてロットの違いによる色調の差を考慮し、敷設エリアにおけるタイルカーペットの質感を確保することができる。
【0018】
上記方法において、再納品タイルカーペットは、台車に載せて運搬することができる。この場合、上記方法は、再納品タイルカーペットを台車から洗浄ラインに移す工程をさらに有してもよい。選別工程では、洗浄ライン上の再納品タイルカーペットに対して汚染度を判定し、選別を行うことができる。このように、洗浄ライン上で、判定及び選別を行うことで、作業効率が高くなる。
【0019】
上記方法は、同じ品番及び同じロット情報が付された複数の再納品タイルカーペットを保管場所に配置する保管工程を有していてもよい。このように再納品タイルカーペットを保管場所に配置することにより、ロット情報及び保管時期に基づく再納品タイルカーペットの管理及び取出の作業効率が高くなる。
【0020】
上記方法において、保管場所において、同じ品番及び同じロット情報が付された複数の再納品タイルカーペットが、まとめて積載されることが好ましい。例えば、同じ品番及び同じロット情報が付された複数の再納品タイルカーペットを、同じパレットに積載した状態、又は、同じ箱に入れた状態で、保管することができる。これにより、品番だけでなくロットを考慮した再納品タイルカーペットの管理や取り出しがしやすくなり、作業効率が高くなる。上記の作業効率の向上により、再納品タイルカーペットが再び納品されるまでの期間を短縮するこができる。その結果、タイルカーペットの質感を確保する効果をより高めることができる。
【0021】
上記方法は、前記取出工程で取り出した再納品タイルカーペットを運搬して、前記敷設エリアに敷設する施工工程をさらに有してもよい。一例として、撤去された再納品タイルカーペットを保管場所に保管することなく運搬して、前記敷設エリアに敷設する施工工程にそのまま移行しても良い。このような方法をとることによって、撤去から再敷設までの期間をさらに短縮できる。その結果、ロット差を小さくして色むらの解消やカーペットの一体感の向上といった効果を高めることができる。或いは、撤去された再納品タイルカーペットを、一旦、保管場所に保管した後、保管場所から条件に合うものを取り出して運搬し、敷設エリアに敷設することもできる。これにより、再納品タイルカーペットの管理を効率良く行うことができる。その結果、より効率良く、ロットの違いによる色調の差を考慮して、敷設エリアにおけるタイルカーペットの質感を確保することができる。
【0022】
上記方法において、前記取出工程では、各敷設エリアについて前記指定された数量の再納品タイルカーペットを、前記ロット数が予め決められた範囲内となるように取り出すことができる。これにより、各敷設エリアに敷設される再納品タイルカーペットのロットのばらつきを予め決められた範囲内とすることができる。そのため、敷設エリアにおいてロットの違いによる色むらをより起こりにくくでき、敷設されたカーペットの一体感を高めることができる。
【0023】
上記方法において、前記取出工程では、各敷設エリアについて前記指定された数量の再納品タイルカーペットを、前記ロット数が予め決められた範囲内となるように、前記保管時期が早いものから先に取り出すことができる。これにより、各敷設エリアに敷設される再納品タイルカーペットのロットのばらつきを予め決められた範囲内とし、且つ、保管期間が長いものを優先して再利用することができる。そのため、敷設エリアにおいてロットの違い及び保管期間の違いによる色むらをより起こりにくくでき、敷設されたカーペットの一体感を高めることができる。また、再納品タイルカーペットの保管期間を短くすることができる。
【0024】
上記方法は、前記洗浄工程で洗浄された前記再納品タイルカーペットに付されたロット情報に対して、洗浄したことを示す情報を付加する工程をさらに含んでもよい。この場合、前記保管工程及び前記取出工程では、洗浄したことを示す情報が付加されたロット情報が付された再納品タイルカーペットは、前記洗浄したことを示す情報が付加されていない同じロット情報が付された再納品タイルカーペットとは異なるロットとして前記取り出しを行うことができる。これにより、洗浄した再納品タイルカーペットは、洗浄していない再納品タイルカーペットとは異なるロットとして取り扱うことができる。そのため、敷設エリアにおいて、ロット及び洗浄の違いよる色調の差を考慮して、敷設エリアにおけるタイルカーペットの質感を確保することができる。
【0025】
上記方法は、前記取り出した再納品タイルカーペットを運搬して、前記敷設エリアに敷設する施工工程をさらに含んでもよい。前記施工工程では、前記敷設エリアの中央部と周辺部に異なるロットのタイルカーペットを配置することができる。これにより、敷設エリアにおけるロットの違いによる色調の差を考慮して、敷設エリアにおけるタイルカーペット全体の質感を向上させることができる。
【0026】
上記方法及びシステムにおいて、前記タイルカーペットは、染色した原着繊維のパイル糸を基布にタフトした表面パイルを裏打ち層に積層した構成とすることが好ましい。このような構成をとることにより、色落ちしにくく、再利用に適したタイルカーペットを用いることができる。
【0027】
上記方法の取出工程において、前記保管場所から、前記ロット情報が予め決められた条件を満たす再納品タイルカーペットを、前記敷設エリア毎に指定された数量だけ取り出すことができない場合、不足分は、新品のタイルカーペットで補充することができる。この場合、再納品タイルカーペットのロット数及び新品のタイルカーペットのロット数を併せた総ロット数が予め決められた範囲内となるようにすることが好ましい。
【0028】
上記方法は、前記選別工程において、洗浄も、再利用もしないと判断された再納品タイルカーペットを減容処理することで、再生材料を生成する工程と、前記再生材料を用いて、新たにタイルカーペットを生産する工程とを、さらに有してもよい。この場合、前記取出工程で取り出した再納品タイルカーペットが、前記敷設エリア毎に指定された数量に満たない場合の不足分の少なくとも一部を、前記再生材料を用いて生産されたタイルカーペットで補ってもよい。
【0029】
再生材料を用いて生産されたタイルカーペットは、一旦保管場所に保管された後、敷設エリアに運搬することができる。これにより、再納品タイルカーペットとともに、再生材料を含むタイルカーペットを保管場所で管理することができる。そのため、ロット情報及び保管時期の条件を満たすタイルカーペットの抽出及び取出の作業効率が高くなる。或いは、再生材料を用いて生産されたタイルカーペットを、保管場所を経由せず、敷設エリアに運搬して、敷設してもよい。これにより生産から敷設までの期間をさらに短縮できる。その結果、タイルカーペットの質感の確保効果を高めることができる。
【0030】
上記システムにおいて、前記抽出部が、前記ロット情報及び前記保管時期が予め決められた条件を満たす再納品タイルカーペットを、前記要求受付部が受け付けた数量だけ抽出できない場合、前記出力部は、不足分を、新品のタイルカーペットで補充することを指示する情報を出力してもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、再敷設したタイルカーペットにおいてロットの違いによる色調の差を考慮し、敷設エリアにおけるタイルカーペットの質感を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本実施形態は、再納品タイルカーペット(以下、再納品TCPと称する)の再利用方法及び再納品TCP再利用システムに関する。
図1は、本実施形態における再利用方法のフローを示す図である。
図2は、本実施形態における再利用方法を実現するための設備の全体構成の一例を示す図である。
【0034】
図1に示す再利用方法は、施設に敷設されたタイルカーペットを撤去する工程(S1)を有する。ここでは、一例として、施設が賃貸オフィスビルであり、ビルの新築時に敷設されたタイルカーペットを入居者が自前のタイルカーペットに交換する場合について説明する。この場合、ビルの新築時に敷設されたタイルカーペットが撤去される。撤去作業において、タイルカーペットが床から引き剥がされる。
【0035】
賃貸オフィスビルでは、1つの施設(ビル)の新築時には、単一の品番のタイルカーペットが敷設されることが多い。この場合、施設の各フロアの各エリアに敷設されるタイルカーペットは、同じ品番で同じロットとすることが好ましい。
図3は、1つの施設Aに敷設されるタイルカーペットの品番とロットの一例を示す模式図である。当該図面は、施設Aの階層を模式的に示した図であり、フロアは階数を、エリアは店舗、事務所などのタイルカーペットを敷設する単位となる領域を表す。施設に敷設されるタイルカーペットの情報は、例えば、後述する再納品TCP再利用システムに記録しておくことができる。
図4は、
図3に示す施設Aに敷設されたタイルカーペットのデータ構成例を示す図である。
図4に示す例では、施設情報、フロア、エリア、敷設されるタイルカーペットの品番及びロット識別コードが、対応づけられて記録される。
【0036】
図5は、タイルカーペット1の表面と裏面の例を示す図である。
図5に示す例では、タイルカーペット1の裏面に、品番L1と、ロット識別コードL2が刻印される。
図5では、品番L1として「品番1」、ロット識別コードL2として「ロット番号342」が刻印されている。これらの刻印は、例えば、レーザー印字によりなされる。このように、品番とロット識別コードをタイルカーペットの裏面に刻印することにより、撤去者が、タイルカーペットの情報を持っていない場合でも、撤去したタイルカーペットの品番とロットを知ることができる。なお、タイルカーペットに品番とロット情報を付する形態は、
図5に示す一例に限られない。例えば、タイルカーペットの裏面にロット情報を印刷してもよい。例えば、ロット情報は、文字、バーコード、又は、QRコード(登録商標)等で表すことができる。また、ICタグなどのデータ読み取り可能な記録媒体をタイルカーペットに埋め込み、ロット情報を記録媒体に記録してもよい。
【0037】
S1で撤去されたタイルカーペットは、再納品TCPとして運搬される(S2)。例えば、再納品TCPは、台車に載せて運搬することができる。台車は、タイルカーペット専用のものを用いることが好ましい。
【0038】
図6Aは、タイルカーペット専用の台車の構成例を示す上面図である。
図6Bは、
図6Aに示す台車を矢印Bの方向から見た構成例を示す側面図である。
図6Cは、
図6Aに示す台車を矢印Cの方向から見た構成例を示す側面図である。
図6Dは、
図6A〜
図6Cに示す台車を下方(
図6Bの矢印Dの方向)から見た構成例を示す下面図である。
図6Eは、
図6A〜
図6Dに示す台車を上下に2台重ねた状態を示す図である。
【0039】
図6A〜
図6Cに示す例では、台車2は、タイルカーペット1を載置する面を有する台23と、台23の下面に取り付けられた車輪24と、台23の四隅から上方に延びる4つの柱21を有する。台23の表面の面積は、タイルカーペット1の1つ分の面積より少し大きい。すなわち、台23の広さは、タイルカーペット1が1つ載せられる広さとすることができる。これによって、台車2の横幅を小さくし、また台車2の重量も小さくできる。そのため、台車2のハンドリング(操作性)が向上する。なお、対象とするタイルカーペットのサイズは、例えば、50cm×50cmとすることができる。4つの柱21を角とする四角形の互いに対向する一対の辺に相当する部分には、2つの柱21の間をつなぐ横棒22が設けられる。横棒22が設けられる辺以外の辺に相当する部分には、横棒22が設けられない。このように、2辺に横棒22を設け、他の2辺に横棒を設けない構成とすることで、タイルカーペットの台23への積み降ろしがしやすくなる。なお、台23の広さは、タイルカーペット1が1つ載せられる広さとしたが、これに限られず、例えば、2つ又は4つのタイルカーペットを載せられる広さとしてもよい。この場合、1台の台車でより多くのタイルカーペットを運搬することができる。
【0040】
図6Eに示すように、台車2は、タイルカーペットを載せた2台の台車2を上下に2つ重ねることができる構成となっている。本例では、台車2の4つの柱21の高さが同じである。4つの柱21の上端が、台車2の最上端になっている。これにより、ある1つの台車2の4つの柱21の上に、他の台車2の台23を載置面が水平となる状態で載せることができる。
【0041】
図6Dに示すように、台車2の台23の下面には、柱21に相当する領域の外縁に接する凸部23aが設けられる。台車2を他の台車2の上に重ねた場合、上の台車2の凸部23aが、下の台車の柱21に接する。これにより、上の台車2が、下の台車2に対して、横方向にずれないようにすることができる。これにより、上下に重ねた2つの台車2を移動させる時に、上の台車2が下の台車2からずれて落下しにくくなる。なお、
図6Dに示す例では、台23の下面に凸部を設けているが、凸部の代わりに、柱21に相当する領域に凹部を設けてもよい。すなわち、台車2の台23の下面の柱21に相当する部分の外縁の少なくとも一部に、段差が設けられてもよい。
【0042】
多数のタイルカーペットを上下に重ねると、タイルカーペットが、自重により圧迫されてパイルがへたる(パイルが倒れたままとなる)などの問題が生じる場合があることが分かっている。そのため、タイルカーペットの積層数に上限を設けることが好ましい。台車2の柱21の高さは、タイルカーペットの積層可能上限数に応じて決められることが好ましい。これにより、運搬時にタイルカーペットを、積層可能上限数を超えて積層することが避けられる。その結果、タイルカーペットのパイルのへたりを抑えることができる。積層可能上限数は、例えば、45枚〜55枚とすることができる。これに対応して、柱21の台23の上面からの高さは、例えば、36〜44cmとすることができる。
【0043】
タイルカーペット専用の台車は、施設内運搬及び施設間運搬の両方に用いることができる。例えば、台車は、タイルカーペットを載せた状態で、上下に2つ重ねて、人が押して運搬することができる。これにより、重ねて積まれた複数のタイルカーペットが自重により圧迫されてパイルがへたるのを抑えることができる。また、タイルカーペットを載せた台車を、トラックに乗せて運搬することもできる。この場合、トラックは、屋根付きの荷台を有する構成とすることができる。トラックの荷台のスペースは、台車を上下に2つ重ねた状態で、荷台に載せられる大きさとすることができる。これにより、積み降ろし時のタイルカーペットの損傷を抑制することができ、また、効率よく運搬することができる。すなわち、タイルカーペットをトラックに載せる時、及びトラックから降ろす時に、タイルカーペットを台車2から降ろす、又は台車に積む必要がない。そのため、タイルカーペットの積み降ろしの回数が減る。その結果、積み降ろしの際にタイルカーペットの端部がすれて劣化するのを抑えることができる。さらに、積み降ろしの作業が減り、作業効率も高くなる。
【0044】
撤去した再納品TCPを台車2に載せる際には、同じ品番及びロットの複数の再納品TCPを同じ台車に載せることが好ましい。これは、タイルカーペットに品番及びロット情報を付すことで可能になる。これにより、後の工程において、同じ品番及び同じロットの複数の再納品TCPをまとめて取り扱うことが容易になる。
【0045】
撤去された再納品TCPは、洗浄ラインを有する施設50まで直接、または保管場所40を経て、運ばれて、洗浄ラインに載せられる(
図1のS3)。例えば、再納品TCPを台車に載せた状態で洗浄ラインまで運び、台車から直接洗浄ラインに載せることができる。洗浄ラインは、ローラコンベア又はベルトコンベア等の搬送装置を含む。洗浄ラインに載せられた再納品TCPは、搬送装置により搬送される。また、洗浄ラインは、洗浄装置及び/又は選別装置を有してもよい。
【0046】
ライン上の再納品TCPに対して、汚染度が判定される(S4)。汚染度の判定は、例えば、人が、目視及び特定の薬剤による汚れの落ち具合の結果に基づいて行うことができる。或いは、洗浄ライン上の再納品TCPを撮影して得られる画像の処理及び/又はその他のセンサによる汚れ度合いの検出結果に基づいて、コンピュータが汚染度の判定を行うこともできる。
【0047】
コンピュータによる汚染度の判定は、例えば、タイルカーペットの表面の色を測定して数値化することで実行されてもよい。この場合、測定された再納品TCPの表面の色の値と、標準品の表面の色の値とを比較することで、汚染度を判定することができる。タイルカーペットの表面の色は、例えば、タイルカーペットの表面のXYZ表色系の三刺激値X、Y、Zを測定して得ることができる。測定で得られた被測定面の表面色と標準品の表面色との色差値から汚れの度合いを判定することができる。
【0048】
本例では、汚染度の小さい順に、良品判定(S5)、汚染品判定(S6)、及び不良品判定(S8)の3段階の判定がなされる。また、敷設現場にて裁断されて異形形状となった再納品TCP、いわゆる端物は、不良品判定(S8)される。例えば、上記3段階は、下記基準により判定できる。
良品判定 汚染がなくそのまま使用可能(汚染なし)
汚染品判定 やや汚れているが洗浄により美観回復可能(軽汚染)
不良品判定 へたりや汚れが目立ち洗浄で回復困難(重汚染)、端物
なお、判定される汚染度の段階数や判定結果の形態は、上記例に限られない。
【0049】
S4の判定結果に応じて、各再納品TCPについて、洗浄するか否か、及び再利用するか否かの選別が行われる。本例では、良品判定された再納品TCPは洗浄しない。汚染品判定された再納品TCPは、洗浄する(S7)。この洗浄には、防汚加工が含まれてもよい。不良品判定された再納品TCPは、洗浄せず、再利用もしない。ここで、再利用とは、再納品TCPの形を保ったまま再利用する意味である。再納品TCPを粉砕その他加工処理して得られる材料を利用する形態(リサイクル)は、本発明における再利用に該当しないものとする。再利用しないと判断された再納品TCPは、再処理工場へ運ばれる(S9)。
【0050】
再納品TCPは、再処理工場で処理することで、新しいタイルカーペットの材料として再生することができる。例えば、再処理工場で再納品TCPを処理して、新しいタイルカーペットのバッキング材として再生することができる。
【0051】
再処理には、一例として、減容処理方法を用いるのが望ましい。減容処理方法では、タイルカーペットを粗粉砕したものを減容装置で減容して、紐状体を得る。この紐状体は、高密度繊維集合体に熱可塑性樹脂が含浸固化したものである。この紐状体を切断して粒状態としてものを、基材上に撒布し、加熱して圧力を加えて熱圧一体成形することで、裏打ち層シート(バッキング材)が得られる。裏打ち層シートに、カーペット生機(表面パイル)を積層することで、タイルカーペットが生成される。カーペット生機は、例えば、原料工場F3にて、基布にパイルをタフトすることで生成される。カーペット生機の製織工程では、染色されたパイル糸(原着繊維)を基布にタフトしてもよいし、基布にパイル糸をタフトしたものを染色してもよい。裏打ち層シートにカーペット生機を貼ってタイルカーペットを生産する工程は、例えば、TCP生産工場F2で行われる。
【0052】
このように、減容処理を用いた再生方法は、タイルカーペットの繊維と樹脂を分離することなく粗粉砕する工程、粗粉砕物を減容装置で処理する工程、減容処理で得られた紐状態を切断して粉粒体を得る工程、この粉粒体を熱圧成型してタイルカーペットの裏打ち層を形成する工程、裏打ち層上に表面パイルを積層する工程を含む。これにより、再生材を用いた新しいタイルカーペットが得られる。
【0053】
上記の減容処理方法を用いた再生方法の例は、上記特許文献2(特開2003−41759号公報)に記載されている。また、減容装置としては、例えば特開平6−344343号公報に開示してある装置が使用できる。
【0054】
上記の減容処理方法では、再納品TCPを粗粉砕したものを減容処理した高密度繊維集合体を用いて再生材が生成される。そのため、再納品TCPに含まれるパイル糸、基布、ガラス繊維その他の裏打ち層を構成するのに使用した繊維、等の全てを高密度繊維集合体部分として活用することができる。その結果、材料の再利用率が極めて高くなる。また、減容処理方法よって得られる、高密度繊維集合体は、15〜50容量%の繊維を含有しており、タイルカーペットの裏打ち層に用いると、その寸法安定性と強度を高めることができる。こうして、ほぼ100%の廃棄カーペットの粗粉砕物が新しいタイルカーペットの裏打ち層シートとして活用でき、再利用と合わせて活用することによって、再納品TCPから出る廃棄物を最小限にすることが可能となる。
【0055】
図1に示すように、TCP生産工場F2で再生材を用いて生産された新品のタイルカーペットは、保管場所40に一旦保管してから、敷設施設へ運搬されてもよいし、TCP生産工場F2から直接、敷設施設へ運搬されてもよい。本実施形態によれば、各再納品TCPは、再利用されるか、又は新しいカーペットの材料として再生されることとなる。そのため、再納品TCPからの廃棄物の量が少なくなり、環境によい。
【0056】
良品判定された再納品TCP及び洗浄された再納品TCPは、洗浄ラインから出されて、保管場所40に載置される(S10)。保管場所40では、同じ品番及び同じロット情報が付された複数の再納品TCPが、同じパレット上に積載された状態で保管されることが好ましい。例えば、同じ品番及び同じロットの複数の再納品TCPを箱に入れてもよい。この複数の再納品TCPが入った箱の複数個をパレットに積んだ状態で、保管することができる。この場合、1パレットに積む箱の数の上限を予め設定することが好ましい。これにより、重ねて積まれた複数の再納品TCPが自重により圧迫されてパイルがへたるのを抑えることができる。また、各箱には、各箱に入っている再納品TCPの品番及びロット情報が付されることが好ましい。これにより、箱単位で、再納品TCPを管理することができ、作業効率を高めることができる。例えば、箱の外表面に品番及びロット情報を印字してもよい。品番及びロット情報は、文字、バーコード、又は、QRコード(登録商標)等で表してもよい。また、品番及びロット情報を記録するためのICタグが箱に取り付けられてもよい。
【0057】
洗浄された再納品TCPのロット情報には、洗浄したことを示す情報が付加されてもよい。例えば、S4の汚染度判定で汚染品判定(S6)された再納品TCPのロット識別コードに枝番号等の付加コードが追加されてもよい。これにより、おなじロットの再納品TCPの中で、洗浄されたものと、洗浄されていないものを異なるロットとして取り扱うことができる。なお、ロット情報に洗浄したことを示す情報を付加する形態は、特定のものに限られない。例えば、上記の枝番号の他、また、ロット情報自体を異なるものに変更してもよい。ロット情報に付加する情報は、ロット情報と同様に、再納品TCPの裏面に印字されてもよい。或いは、再納品TCPを保管するパレット又は箱の印字又はICタグへの記録によって、洗浄されたことを示す情報を付加することもできる。また、洗浄の度合いによって、付加する情報を変えてもよい。例えば、防汚処理を含む洗浄をした再納品TCPと、防汚処理をしない洗浄をした再納品TCPとを区別できる情報を、ロット情報に付加してもよい。
【0058】
図7は、保管場所40(ストックヤード)における棚及び棚に載置される再納品TCPの例を示す図である。
図7に示す例では、棚4は、再納品TCPの品番が割り当てられた領域を有する。例えば、棚の「E01」の領域には、品番1が割り当てられている。棚4の各品番の領域において、対応する品番の同じロットの複数の再納品TCP1が同じパレット30に積載される。すなわち、複数の再納品TCP1は、ロット毎にまとめられてパレット30に積載される。このように、各品番に割り当てられた領域に、対応する品番の再納品TCPが、同じロットの再納品TCPが同じパレットに載るように配置される。これにより、品番及びロットを基に再納品TCPを管理することができる。例えば、特定の品番及びロットの再納品TCPを搬出する際の作業効率が高くなる。なお、棚4は、可動式であってもよい。
【0059】
保管場所に保管される再納品TCPの情報は、タイルカーペット再利用システムに登録される(S11)。タイルカーペット再利用システムは、保管された再納品TCPのデータを管理し、外部から再利用するタイルカーペット要求を受け付けて、要求に合う再納品TCPの情報を抽出して出力する。
【0060】
なお、S10とS11を同時に行ってもよいし、S10をS11の後に行ってもよい。例えば、タイルカーペット再利用システムは、保管しようとする再納品TCPの情報の入力を受け付けて(S11)、受け付けた情報とすでに保管されている他の再納品TCPの情報とに基づいて、保管しようとする再納品TCPの保管場所における位置を決定してもよい。この場合、再納品TCPは、タイルカーペット再利用システムが決定した位置に、運ばれ、載置される(S10)。
【0061】
図8は、タイルカーペット再利用システム(以下、TCP再利用システムを称する)の構成例を示す機能ブロック図である。TCP再利用システム5は、登録部51、要求受付部52、抽出部53、及び出力部54を備える。TCP再利用システム5は、プロセッサ及びメモリを含む1又は複数のコンピュータで構成することができる。TCP再利用システム5の登録部51、要求受付部52、抽出部53、及び出力部54の各機能は、プロセッサが所定のプログラムを実行することで実現することができる。コンピュータに登録部51、要求受付部52、抽出部53、及び出力部54の各部の処理を実行させるプログラム及びそのようなプログラムを記録した記録媒体も、本発明の実施形態に含まれる。
【0062】
また、TCP再利用システム5は、端末7a、7bと接続され、記録部6と接続される。端末7a,7bは、パーソナルコンピュータなどの入力端末である。記録部6は、TCP再利用システム5がアクセス可能なデータ記録装置である。なお、記録部6は、TCP再利用システム5に内蔵されてもよい。
【0063】
登録部51は、保管場所に載置される再納品TCPに関する情報の入力を受け付ける。例えば、再納品TCPを保管作業者の端末7aを介して、保管場所に載置される再納品TCPに関する情報が、タイルカーペット再利用システム5の登録部51に対して入力される。再納品TCPに関する情報には、例えば、棚4に保管された使用済みTPCの品番、ロット情報、保管場所への保管時期(例えば、棚4に再納品TCPを搬入した搬入日)、保管位置等が含まれてもよい。これらの情報は、例えば、保管作業者が、端末7aに対して入力することができる。登録部51は、入力された情報に基づいて、少なくとも再納品TCPの品番、ロット情報、及び保管時期を示す情報を対応付けて記録部6に記録する。
【0064】
図9は、登録部51によって記録部6に記録された再納品TCPのデータの構成例を示す図である。
図9に示す例では、保管場所にある再納品TCPの品番、ロット番号、数量、保管時期(搬入日)、及び保管位置が対応付けられて記録されている。このように、品番とロット番号を対応付けて記録することで、同じ品番で同じロットの再納品TCPの保管状況を管理することができる。保管位置は、対応する品番及びロット番号の再納品TCPが載置されるパレットの位置を示す情報の一例である。
【0065】
なお、本例では、一例として、保管時期を示す情報を搬入日とする場合について説明するが、保管時期を示す情報は、搬入日に限られない。例えば、その他の保管開始時を示す情報、又は保管期間等が、保管時期を示す情報として記録されてもよい。
【0066】
登録部51に対する保管された再納品TCPのデータの入力は、自動的に行われてもよい。例えば、棚4の各領域に、ICタグのデータの読み取り機が備えられてもよい。読み取り機は、パレット、箱又は再納品TCPに付されたICタグのデータを読み取り、位置情報を付加して、登録部51に送信してもよい。読み取り機が読み取ったICタグのデータを、登録部51が受信する。これにより、ICタグに記録された、品番、ロット情報、保管時期の情報と、保管位置を示す情報を、登録部51が、自動的に取得することができる。すなわち、品番及びロット情報と、保管位置の情報との自動的な対応付け(自動マッピング)が可能になる。
【0067】
TCP再利用システム5の要求受付部52は、新たに敷設しようとするタイルカーペットの品番、及び、敷設エリア毎のタイルカーペットの数量の入力を受け付ける(
図1のS12参照)。要求受付部52は、例えば、受注担当者又は施行担当者の端末7bから、タイルカーペットの要求情報を受信する。要求情報は、例えば、タイルカーペットの品番、及び、敷設エリア毎の数量が含まれる。これらの情報は、例えば、受注担当者が端末7bに対して入力することができる。一例として、受注担当者は、再納品TCPを再利用しようとする現場における敷設エリアごとの敷設枚数を、端末7bを介して、要求受付部52に入力することができる。
【0068】
TCP再利用システム5の抽出部53は、記録部6にアクセスして、要求受付部52が受け付けた要求に応じた再納品TCPの情報を抽出する(
図1のS13参照)。抽出部53は、要求受付部52で受け付けた品番と同じ品番の再納品TCPであって、ロット情報及び保管時期が予め決められた条件を満たす再納品TCPを、敷設エリア毎に、要求された数量ずつ抽出する。例えば、抽出部53は、各敷設エリアについて要求された枚数の再納品TCPを、ロット数が予め決められた範囲内となるように、保管期間が長い順、すなわち搬入日(保存開始時)が古い順に抽出することができる。
【0069】
抽出部53が抽出した再納品TCPの情報は、敷設エリアに敷設するためのタイルカーペットの情報として、出力部54により出力される。出力される情報は、例えば、抽出した再納品TCPの品番、ロット情報、保管位置等を含んでもよい。例えば、要求受付部52に要求を送信した端末7bに、上記情報が出力される。
【0070】
1つの敷設エリアには、品番が同じでロット番号の異なる複数の再納品TCPが敷設されることがある。例えば、1つの敷設エリアに、品番1でロット番号425の再納品TCPが50枚、品番1でロット番号210の使用済みCPが50枚敷設される場合、ロット番号の種類の総数(すなわち「ロット数」)は、「2」となる。1つの敷設エリアの再納品TCPのロット数が多くなりすぎると、色むらなどが目立ち易くなる場合があることが発明者らによって見出されている。そこで、ロット数の上限値を、閾値、例えば「3」として設定し管理することで、品質の安定した再納品TCPを供給することができる。なお、本明細書においてロットの違いによる「色むら」とは、隣接して敷設される複数のタイルカーペットにおいて、タイルカーペット間で色調の違いが視認されることをいう。また、敷設エリアにおけるロット数を調整することによって、敷設エリアにおけるロットの差による色調の差をある程度コントロールできることが、発明者らによって見出されている。そのため、再納品TCPを抽出する際に敷設エリアにおけるロット数の条件を設定することで、敷設エリアのタイルカーペットの質感を向上又は維持することが可能になる。
【0071】
図10は、1つの敷設エリアに敷設するための再納品TCPを抽出し出力する処理(
図1のS12,S13)の一例を示すフローチャートである。
図10に示す例では、抽出部53は、要求受付部52が受け付けた要求されるタイルカーペットの品番、及び数量(要求品番及び要求数量と称する)を入力する(S101)。
【0072】
抽出部53は、記録部6に記録された再納品TCPのデータを参照し、品番が要求品番と同じ(品番=要求品番)、且つ、保管期間が最も長いすなわち搬入日が最も古い再納品TCPのデータを抽出する(S102)。抽出できた場合、抽出部53は、抽出した再納品TCPのデータを候補TCPデータに追加する(S103)。S102で条件を満たす再納品TCPを抽出できなかった場合は、出力部54は、候補TCPの情報として、要求を満たす再納品TCPがないことを出力する(S111)。この場合、出力部54は、要求数量に対する不足分を、新品のタイルカーペットで補充することを指示する情報を出力してもよい。
【0073】
抽出された候補TCPの数量が要求数量以上であれば(S104でYES)、出力部54は、その候補TCPの情報を、敷設エリアに敷設するためのタイルカーペットの情報として出力する(S111)。抽出された候補TCPの数量が要求数量未満であり(S103でNO)、且つ、候補TCPの総ロット数が閾値未満の場合(S104でNO)、抽出部53は、記録部6に記録された再納品TCPのデータを参照し、品番が要求品番と同じ、且つ、保管期間が次に長いすなわち搬入日が次に古い再納品TCPのデータを抽出する(S106)。S106で抽出された再納品TCPのデータは、候補TCPデータに追加される(S107)。
【0074】
S106で条件を満たす再納品TCPが抽出されなかった場合、出力部54は、候補TCPの情報を、敷設エリアに敷設するためのタイルカーペットの情報として出力する(S111)。この場合、出力される候補TCPのロット数は閾値に達していない。また、候補TCPとして出力される再納品TCPの数量は、要求数量に満たないことになる。要求数量に満たない分は、例えば、新品のタイルカーペットで補充することができる。補充する複数のタイルカーペットは同じロットのものとする。これにより、敷設エリアに敷設されるタイルカーペットのロット数は、閾値以下となる。また、出力部54は、要求数量に対する不足分を、新品のタイルカーペットで補充することを指示する情報を出力してもよい。
【0075】
S107の後、抽出部53は、S104、S105の判断処理を繰り返し、抽出した候補TCPの総数が要求数量に達するか、抽出した候補TCPのロット総数が閾値に達するまで、S106、S107の候補TCPの追加処理を繰り返す。候補TCPの総数が要求数量に達すると(S104でYES)、出力部54が、その時の候補TCPの情報を出力する(S111)。候補TCPのロット総数が閾値に達した場合(S105でYES)、抽出部53は、品番が要求品番と同じ、且つ、保管期間が次に長いすなわち搬入日が次に古い再納品TCPのデータを抽出する(S108)。抽出部53は、抽出した再納品TCPを、候補TCPのうち数量が最も少ないロットの使用済みTPCと入れ替える(S109)。すなわち、抽出部53は、新たに抽出した再納品TCPを候補TCPに追加し、元々候補TCPに含まれていた使用済み数量が最小のロットの再納品TCPを候補TCPから外す。以降は、候補TCPの数量が要求数量に達する(S103でYES)まで、S108、S109が繰り返される。
【0076】
S108において、条件を満たす再納品TCPが抽出できなかった場合、抽出部53は、候補TCPに含まれていた数量が最小のロットの再納品TCPを候補TCPから外す(S110)。これにより、候補TCPのロット数が1つ減る。出力部54は、候補TCPの情報を、敷設エリアに敷設するためのタイルカーペットの情報として出力する(S111)。この場合、候補TCPとして出力される再納品TCPの数量は、要求数量に満たないことになる。要求数量に満たない分は、例えば、新品のタイルカーペットで補充することができる。補充する複数のタイルカーペットは同じロットのものとする。これにより、敷設エリアに敷設されるタイルカーペットのロット数は、閾値以下となる。また、出力部54は、要求数量に対する不足分を、新品のタイルカーペットで補充することを指示する情報を出力してもよい。
【0077】
また、S110では、上記処理に代えて、候補TCPに含まれていた保管期間が最も短いすなわち搬入日が最も新しいロットの再納品TCPを候補TCPから外す処理を実行してもよい。これによって、保管期間が長い再納品TCPを候補として優先的に選択し、出荷することができる。
【0078】
図10に示す処理を敷設エリアごとに実行することにより、各敷設エリアについて要求された枚数の再納品TCPを、ロット数が閾値以下となるように、保管期間が長い順に抽出することができる。なお、
図10に示す処理は、一例であり、再納品TCPを抽出する処理は、上記例に限られない。
【0079】
TCP再利用システム5で抽出し出力された再納品TCPが、棚4から搬出、すなわち取り出される(
図1のS14)。上記したように、同じ品番で同じロットの再納品TCPを同じパレットに載せて保管することで、このS13の工程において、パレット単位で搬出することが可能になる。そのため、搬出の作業効率が高くなる。また、取り出した再納品TCPにロットの異なる再納品TCPが含まれている場合、ロットの違いによる色むら等の有無を検査する検査工程が設けられてもよい。
【0080】
保管場所から取り出された再納品TCPは、敷設する現場まで運搬される(S15)。再納品TCPは、上記の台車に載せた状態で、保管場所から現場まで運搬することができる。
【0081】
再納品TCPは、現場にて、敷設エリアに敷設される(S16)。
図11は、敷設エリアに敷設されるタイルカーペットの配置例を説明するための図である。敷設されるタイルカーペットは、再納品TCP及び新品のタイルカーペットを含んでいてもよい。
図11に示す例では、敷設エリアFA内の3つのエリアA1、A2、A3に、それぞれ、ロットが異なるタイルカーペットが敷設される。すなわち、敷設エリアの中央部のエリアA1、A2に敷設されるタイルカーペットのロットと、敷設エリアの周辺部A3に敷設されるタイルカーペットのロットは異なる。このように、ロットの異なるタイルカーペットを中央部及び周辺部に配置することで、ロットの違いによるタイルカーペットの微妙な差が目立ちにくくなる。例えば、周辺部は、家具や窓からの光などの影響で色むらが視認され難くなることが多い。そのため、
図11に示すように、最も枚数の少ないロットのタイルカーペットを周辺部A3に敷設することで、ロットの違いによる色むらを目立ち難くすることができる。
【0082】
また、各タイルカーペットは、方向を有する場合が多い。具体的には、パイル列が一方向に形成されることが多い。各タイルカーペットの方向は、例えば、各タイルカーペットの裏面に、製造ラインの搬送方向が矢印で示される。タイルカーペットの貼り方(敷設方法)には、例えば、隣り合うタイルカーペットの方向が同じになるように複数のタイルカーペットを貼る「流し貼り」と、隣り合うタイルカーペットの方向が異なるように複数のタイルカーペットを貼る「市松貼り」がある。1つの敷設エリアに敷設するタイルカーペットのロット数が増えた場合、例えば、市松貼りにすることで、色むらをより目立ち難くすることができる。
【0083】
本実施形態によれば、複数の異なるロットの再納品TCPを1つの敷設エリアに敷設して再利用した場合に、ロットの違いによる色調の差を考慮して、敷設エリアにおけるタイルカーペットの質感を確保することができる。そのため、例えば、複数のエリア、複数のフロア、及び複数の施設から撤去した再納品TCPを保管しておき、要求がある場合に、品質を保って再利用することが可能になる。
【0084】
(洗浄工程の例)
ここで、再納品TCPの洗浄工程(
図1のS7)の例を説明する。
図12は、洗浄工程の例を示す図である。
図13は、
図12に示す洗浄工程で用いられる洗浄ラインの構成例を示す上面図である。
図12に示す例では、タイルカーペットが洗浄ラインの搬送装置31aに載せられ搬送される(S71)。搬送装置31aは、例えば、ベルトコンベヤ、ローラコンベア又はこれらの組み合わせで構成することができる。タイルカーペットは、例えば、搬送装置に、表面が上になるように載せられ、水平方向に搬送される。
【0085】
搬送装置上のタイルカーペットは、第1の方向にブラシをかけて洗浄される(S72)。S72の第1の方向の洗浄には、
図13に示す洗浄装置32aが用いられる。洗浄装置32aは、搬送方向に垂直な方向を回転軸とするローラブラシ33aを有する。例えば、第1の方向の洗浄は、このローラブラシを、搬送装置31a上のタイルカーペットの表面に適当な圧で押し付けて、パイルを圧迫した状態で回転させることで行われる。
【0086】
洗浄には、アニオンまたはノニオンの中性洗剤液を用いるのが望ましい。中性洗剤液の温度は30℃以上の比較的高い温度が好適である。なお、汚染度の大きいタイルカーペットは、洗浄後に85〜100℃で乾燥した後、再度洗浄することができる。このような洗浄ラインを用いることで、タイルカーペットは直ちに乾燥されるので、パイル変色などの不具合の発生を抑制できる。
【0087】
図12に戻り、第1の方向の洗浄の後、搬送装置上で搬送方向に対するタイルカーペットの向きを変更する(S73)。例えば、洗浄ライン上のタイルカーペットを、搬送方向の異なるコンベアに乗せ換えてもよいし、同じコンベア上でタイルカーペットを、垂直方向を軸に回転させてもよい。
図13に示す例では、タイルカーペットは、洗浄装置32aで洗浄された後、搬送装置31aから、搬送方向の異なる搬送装置31bに乗せ換えられる。搬送装置31aの搬送路の終端には、板34が設けられる。搬送装置31aで搬送されるタイルカーペット1は、搬送路の終端において、板34に当たることで、搬送装置31bに移動する。これにより、搬送方向に対するタイルカーペットの向きが変わる。
【0088】
図12に戻り、洗浄ライン上で向きが変えられたタイルカーペット1は、第1の方向とは異なる第2の方向にブラシをかけて洗浄される(S74)。S74の第2の方向の洗浄には、
図13に示す洗浄装置32bが用いられる。洗浄装置32bは、搬送方向に垂直な方向を回転軸とするローラブラシ33bを有する。第2の方向の洗浄は、例えば、第1の方向の洗浄と同様に、ローラブラシ33bを、搬送装置上のタイルカーペットの表面に押し付けて回転させることで行われる。例えば、第2の方向は、第1の方向に対して面方向に90°異なるように設定することで、効率よく洗浄を行うことができる。
【0089】
図12に戻り、第2の方向の洗浄後、タイルカーペット1は、ライン上で脱水(S75)及び乾燥(S76)される。このように、本実施形態の洗浄工程は、搬送路上に表面を上にして搬送されるタイルカーペットに第1の方向にブラシをかけて洗浄する工程と、搬送方向に対するタイルカーペットの向きを変える工程と、向きが変えられたタイルカーペットに対して、第1の方向とは異なる第2の方向にブラシをかけて洗浄する工程とを含む。これにより、品質の高い洗浄を効率よく行うことができる。
【0090】
また、本実施形態の洗浄ラインは、タイルカーペットを搬送する搬送装置と、搬送装置で搬送されるタイルカーペットに対して第1の方向にブラシをかける第1洗浄装置と、第1洗浄装置で洗浄され搬送装置で搬送されるタイルカーペットの搬送方向に対する向きを変更させる向き変更手段と、向き変更手段で向きが変更されたタイルカーペットに対して第1の方向とは異なる第2の方向にブラシをかける第2洗浄装置とを備える。
【0091】
また、洗浄工程後のタイルカーペットについて、洗浄検査工程を設けてもよい。洗浄検査工程で、タイルカーペットを、良品、不良品に分類してもよい。例えば、下記の基準に基づいて分類できる。不良品は、再処理工場F1(
図1のS9)へ搬送される。
良品 汚れが奇麗に洗浄されており、風合い、美観ともに優れる
不良品 汚れが奇麗にとれていない
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、保管場所40、洗浄ラインを有する施設50、再処理工場F1、TCP生産工場F2、原料工場F3の構成及びこれらの間の運搬手段は、
図2に示す例に限られない。保管場所40、洗浄ラインを有する施設50、再処理工場F1、TCP生産工場F2、及び原料工場F3の少なくとも2つが、同じ建屋で構成されてもよいし、これらのうち少なくとも1つは、離れた場所にある複数の建屋で構成されてもよい。これらの設備間のタイルカーペットの運搬は、台車2のみを用いて行われてもよいし、トラックを用いて行われてもよい。例えば、
図2では、洗浄ラインを有する施設50と保管場所40の間は、再納品TCPが台車2で運搬される例が示されているが、この運搬にトラックが用いられてもよい。
【0093】
図2に示す例では、基布にパイルをタフトして生機を生成する工程と、生機に裏打ち層を貼り付けるバッキング工程とが、異なる工場すなわち製造ラインで行われる。このように、タイルカーペットの生産に複数の製造ラインが含まれる場合、タイルカーペット表面の仕上がりに比較的大きく貢献する工程(本実施形態では生機を生成する工程)の製造ラインのロット情報を、本発明におけるロット情報とすることができる。なお、本発明におけるロット情報には、複数の製造ラインのロットの情報が含まれてもよい。
【0094】
TCP再利用システムは、再納品TCPに加えて、新品タイルカーペット及び敷設中のタイルカーペットのデータを管理してもよい。例えば、TCP生産工場F2で生産された新品タイルカーペットの品番、ロット情報、及び保管時期を示す情報(例えば、生産日)等を対応付けて記録部6にしてもよい。この場合、抽出部53は、条件を満たす再納品TCPが不足する場合に、不足分を補う新品タイルカーペットの情報を、記録部6のデータから抽出することができる。具体例として、抽出部53は、品番が要求された品番と同じで、且つ、不足分を補う数量の同じロットの新品タイルカーペットを抽出することができる。
【0095】
上記例では、施設から撤去された再納品TCPは、一旦、保管場所40に保管された後、別の又は同じ施設に運搬されて再敷設される。撤去された再納品TCPは、保管場所40を経由せずに、再敷設される施設に運搬されてもよい。例えば、
図2に示すように、再納品TCPは、洗浄ラインの有する施設50から、保管場所40を経ずに再敷設される施設へ運搬されてもよい。この場合、保管時期を示す情報は、例えば、撤去日、又は洗浄ラインへの搬入日等とすることができる。このように、保管時期を示す情報は、撤去された後の保管期間を特定するための情報とすることができる。
【0096】
また、TCP再利用システムは、例えば、新品タイルカーペットの生産管理システム、在庫管理システム、納品先管理システム、及び、再生材の生産管理システム等の他のシステムとデータを共有し連携してもよい。
【0097】
TCP再利用システムは、保管場所の棚4、洗浄ライン、再処理工場F1の減容装置、TCP生産工場F2及び原料工場F3の製造ラインの少なくとも1つからデータを取得する機能、及び/又は、これらの少なくとも1つを制御する機能を有してもよい。
【0098】
例えば、上述したように、保管場所40の棚4は、棚4に載置されたパレット、箱又はタイルカーペットに付されたICタグの読み取り機を備えてもよい。TCP再利用システムは、保管場所40の読み取り装置が読み取ったデータを受信して、保管場所40にある再納品TCPの品番、ロット情報、保管時期を示す情報、保管位置等を記録部6に記録することができる。
【0099】
また、棚4は、パレット、箱又はタイルカーペットを棚へ積み、棚から降ろす自動積み降ろし装置を備えてもよい。この場合、TCP再利用システムは、自動積み降ろし装置を制御して、抽出部53が抽出した再納品TCPを、棚4から降ろすことができる。或いは、TCP再利用システムが決定した位置に、再納品TCPを載置するよう、自動積み降ろし装置を制御することもできる。
【0100】
また、TCP再利用システムは、洗浄ラインの搬送装置における再納品TCPの表面の色を測定するセンサ、及び選別装置と通信可能であってもよい。この場合、TCP再利用システムが、センサからの情報を基に再納品TCPの汚染度の判定処理を実行し、選別装置を制御して、汚染度判定結果に基づく選別を自動的に行うことができる。このようにして、例えば、
図1に示すS4〜S14は、TCP利用システムのコンピュータによって自動で処理することが可能である。また、S4〜S14の一部を自動化することもできる。