【解決手段】主機能部と情報表示機能部とを設けた受信機において、主機能部は発生を検知したイベントに応じて信号を生成して情報表示機能部へ出力可能なイベント発生情報出力手段を備え、筐体はイベントの発生を報知可能な報知手段および情報表示部への表示に関する指令を入力するための操作手段を有する指令入力・報知手段を情報表示部の近傍に備え、情報表示機能部はイベントに関連した情報を記憶する記憶手段と、計時手段と、操作手段からの信号を入力とし情報表示部への情報表示を実行する情報表示制御手段とを備え、主機能部からのイベント発生情報を受けると報知手段を動作させ、操作手段が操作されたことに応じて発生イベントに関連した情報を情報表示部に文字列にて表示させるようにした。
監視対象区域内に設置されている端末機器からの信号に応じてイベントの発生を検知可能な主機能部と、前記主機能部により検知されたイベントに対応した情報を表示可能な情報表示機能部と、イベントの発生を報知するイベント発生報知部および発生イベントに関連した情報を表示する情報表示部を前面に有する筐体と、を備えた防災監視システム用受信機であって、
前記イベントに関連した情報を記憶する記憶手段を備え、
前記主機能部は、発生を検知したイベントに応じて信号を生成して前記情報表示機能部へ出力可能なイベント発生情報出力手段を備え、
前記筐体は、イベントの発生を前記監視対象区域に対応して報知可能な報知手段および前記情報表示部への表示に関する指令を入力するための操作手段を有する指令入力・報知手段を前記情報表示部の近傍に備え、
前記情報表示機能部は、前記操作手段からの信号を入力とし前記情報表示部への情報表示を実行制御する情報表示制御手段を備え、
前記情報表示制御手段は、前記主機能部からのイベント発生情報を受けると前記報知手段を動作させ、前記操作手段が操作されたことに応じて発生イベントに関連した情報を前記記憶手段より読み出して前記情報表示部に文字列として表示させるとともに前記報知手段の動作を停止させ、所定時間が経過もしくは前記操作手段が操作されたことに応じて前記情報表示部による情報表示を中止するように構成されていることを特徴とする防災監視システム用受信機。
前記情報表示機能部は、前記情報表示部に表示される内容に関する指令を入力可能な表示操作手段を備え、前記情報表示部による情報表示の実行中に前記表示操作手段が操作されたことに応じて発生イベントに関連した詳細な情報を前記記憶手段より読み出して前記情報表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の防災監視システム用受信機。
前記情報表示制御手段は、前記情報表示部による情報表示を中止する際に前記発生イベントの記憶をメモリから消去するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防災監視システム用受信機。
動作モードの1つは設定モードであり、該設定モードにおいては前記所定時間を設定可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防災監視システム用受信機。
前記表示操作手段には、前記情報表示部に情報を表示することを指令するための操作ボタンと、前記情報表示部に表示されている情報を変更することを指令するための操作ボタンとが含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防災監視システム用受信機。
【背景技術】
【0002】
従来、火災感知器や発信機等からの信号を受信して火災を警報する火災受信機には、発生した火災等のイベントの詳しい内容を表示する情報表示部が設けられているものがある。例えばR型火災受信機には、比較的大型の液晶ディスプレイなどからなる情報表示部が設けられ、詳細な情報を表示することができるように構成されている。また、情報表示部がタッチパネル方式の入力装置として構成されているものもある。
一方、P型火災受信機では、情報表示部がないか、あったとしても簡単な数字や記号を表示可能な7セグメント表示器にコードで表示するように構成されることが多かった。そのため、表示内容が分かりにくく、正確な状況の把握および関連部署への情報の伝達が遅くなるという課題があった。
【0003】
なお、従来、感知器を備えた火災報知システムにおける情報表示に関する発明としては、例えば液晶ディスプレイにメッセージで情報を表示することができる表示装置を防災監視装置に設けるようにした発明がある(特許文献1)。
特許文献1に記載されている防災監視装置の表示装置は、メッセージ表示器の表示エリアの近傍に、発報画面、盤障害画面、回線障害画面を選択表示させるスイッチ手段を設けるとともに、それぞれの画面に対応して個別に選択表示灯および各画面名を示す表示部を設け、選択されている画面に対応した選択表示灯を表示させるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている防災監視装置における表示装置にあっては、複数のイベント表示エリアとメニュー表示エリアを1つの表示部に設けているため、表示部が大型になってしまうとともに、表示部が火災検知を行う主機能部により制御されるように構成されているため、表示されている情報を確認している際に新たな火災が発生すると表示情報が新たなイベントの情報に変わってしまい、前回のイベントの情報を充分に理解することができない事態が生じる虞があるという課題がある。
【0006】
本発明は上記のような背景の下になされたもので、その目的とするところは、監視区域内でイベントが発生した際に発生したイベントに関する詳しい情報を簡単な操作で分かり易く表示させることができる防災監視システム用受信機を提供することにある。
本発明の他の目的は、主機能とは切り離して、発生したイベントに関する情報を表示させることができる防災監視システム用受信機を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、消費電力を低減することができるとともに、新たなイベントが発生した際に表示する情報があることを速やかに報知することができる防災監視システム用受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本出願に係る発明は、
監視対象区域内に設置されている端末機器からの信号に応じてイベントの発生を検知可能な主機能部と、前記主機能部により検知されたイベントに対応した情報を表示可能な情報表示機能部と、イベントの発生を報知するイベント発生報知部および発生イベントに関連した情報を表示する情報表示部を前面に有する筐体と、を備えた防災監視システム用受信機において、
前記イベントに関連した情報を記憶する記憶手段を備え、
前記主機能部は、発生を検知したイベントに応じて信号を生成して前記情報表示機能部へ出力可能なイベント発生情報出力手段を備え、
前記筐体は、イベントの発生を前記監視対象区域に対応して報知可能な報知手段および前記情報表示部への表示に関する指令を入力するための操作手段を有する指令入力・報知手段を前記情報表示部の近傍に備え、
前記情報表示機能部は、前記操作手段からの信号を入力とし前記情報表示部への情報表示を実行制御する情報表示制御手段を備え、
前記情報表示制御手段は、前記主機能部からのイベント発生情報を受けると前記報知手段を動作させ、前記操作手段が操作されたことに応じて発生イベントに関連した情報を前記記憶手段より読み出して前記情報表示部に文字列として表示させるとともに前記報知手段の動作を停止させ、所定時間が経過もしくは前記操作手段が操作されたことに応じて前記情報表示部による情報表示を中止するように構成したものである。
【0008】
上記のような手段によれば、情報表示制御手段が主機能部からのイベント発生情報を受信すると報知手段を動作させるため、イベントが発生したことおよび発生イベントに関連した情報があることを知らせることができる。また、操作手段が操作されたことに応じて発生イベントに関連した情報が情報表示部に文字列として表示されるため、発生したイベントがどのようなものであるのか容易に知ることができる。
さらに、情報表示部への情報の表示に伴い報知手段の動作を停止させ、所定時間が経過もしくは操作手段が操作されたことに応じて情報表示部による情報表示を中止するので、消費電力を低減することができるとともに、新たなイベントが発生した際に表示する情報があることを速やかに報知することができる。
【0009】
また、上記のような構成を有する受信機によれば、主機能部の制御手段とは別個の制御手段を有する情報表示機能部を設けているため、本来の監視を行う主機能の動作とは切り離して、発生したイベントに関する情報を表示させることができる。そのため、情報表示機能部は、主機能部に課せられている新たなイベントが発生した際に直ちに表示を実行すべきという制約を受けることがなく、前に発生したイベントの情報の表示を継続することができ、監視者による正確な状況の把握が可能となる。
【0010】
ここで、望ましくは、前記情報表示機能部は、前記情報表示部に表示される内容に関する指令を入力可能な表示操作手段を備え、前記情報表示部による情報表示の実行中に前記表示操作手段が操作されたことに応じて発生イベントに関連した詳細な情報を前記記憶手段より読み出して前記情報表示部に表示させるようにする。
かかる構成によれば、情報表示部に表示された情報を見ることによって、発生したイベントに関する詳細な情報を把握することができる。
【0011】
さらに、望ましくは、前記情報表示制御手段は、前記情報表示部による情報表示を中止する際に前記発生イベントの記憶をメモリから消去するように構成する。
かかる構成によれば、表示操作部の誤操作等により既に表示がなされたイベントの情報が再度表示されて状況の把握に混乱が生じるのを回避することができる。また、新たにイベントが発生した際に、表示する情報があることを速やかに報知することができる。
【0012】
また、望ましくは、動作モードの1つは設定モードであり、該設定モードにおいては前記所定時間を設定可能であるようにする。
上記のような構成を有する受信機によれば、情報表示部による情報の表示が中止されるまでの所定時間を、システムに応じて変更することができる。
【0013】
また、望ましくは、前記情報表示部はドットマトリクス型の蛍光表示管により構成する。
かかる構成によれば、文字列による情報の表示を容易に行なえるとともに、情報表示部に蛍光表示管を使用することで視野角を大きくすることができ、離れた位置や斜めの方向からも容易に表示内容を読み取ることができる。また、比較的寿命の短い蛍光表示管を情報表示部に使用したとしても、情報を表示してから所定時間経過すると表示が中止(消灯)されるように構成されているため、長期間にわたって使用し続けることができる。
【0014】
また、望ましくは、前記表示操作手段には、前記情報表示部に情報を表示することを指令するための操作ボタンと、前記情報表示部に表示されている情報を変更することを指令するための操作ボタンとが含まれているように構成する。
かかる構成によれば、情報の表示が必要な時に簡単に情報を表示させることができるとともに、表示情報を変更することができるため、表示文字数の少ない情報表示部であっても、順番に情報を表示することでより多くの情報を表示することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の防災監視システム用受信機によれば、監視区域内でイベントが発生した際に発生したイベントに関する詳しい情報を簡単な操作で分かり易く表示させることができる。また、主機能とは切り離して、発生したイベントに関する情報を表示させることができる。さらに、消費電力を低減することができるとともに、新たにイベントが発生した際に、表示する情報があることを速やかに報知することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明を適用したP型火災受信機の前面パネルの実施例が示されている。
図1の火災受信機10は、建物の防災センターや中央管理室に設置され、建物内に設置された感知器や発信機からの火災信号を受信し、地区音響装置を鳴動させて火災の発生を音響で知らせるとともに、当該火災受信機10の前面パネルに設けられているランプ等の表示により火災の発生を報知する機能を有する。
【0018】
火災受信機10の前面パネルには、
図1に示すように、交流電源の投入や火災発報、発信機信号の入力など火災受信機の動作状態を各種ランプの点灯で表示する主操作部11と、火災発報した回線や感知器線断線が発生した回線を表示する火報回線用の地区表示窓12、火災が発生した場所や防排煙端末等の作動した場所を表示する防排煙回線用の地区表示窓13、火災の発生等を知らせるスピーカ14、受信機の音響やベル(地区音響)を停止させるための押釦を備えた音響操作部15、受信機の動作モードや後述の電池試験が実施された際の結果等の情報を表示するドットマトリクス型VFD(蛍光表示管)などからなる情報表示部16、表示内容を変更するためのシフトボタンなどを有する表示操作部17、受信機の火災内容・異常内容などを情報表示部16に表示させて確認するため情報ボタン18aおよび情報ランプ18bを有する情報操作部18などを備える。
【0019】
特に制限されるものでないが、本実施例では、上記情報表示部16のVFD(蛍光表示管)には、例えば16文字の片仮名文を2行分表示可能な大きさのものが使用されている。なお、VFDの代わりに液晶表示パネルを使用するようにしても良いが、VFDを使用することで視野角を大きくすることができ、離れた位置や斜めの方向からも容易に表示内容を読み取ることができる。
地区表示窓12と13は、それぞれの地区回線ごとに火災の発生又は防排煙端末(排煙ダンパーや防煙シャッター等)の作動を報知する複数のランプと、それぞれのランプに対応した地区名もしくは設置個所を文字にて示す表示欄(表示プレート)とによって構成されている。
【0020】
上記情報操作部18においては、監視者へ知らせる要因(火災や異常などのイベントの発生)があると情報ランプ18bが点滅し、情報ランプ18bの点滅中に情報ボタン18aが押されると点滅が点灯に変わり、情報表示部16に火災情報及び異常情報が片仮名等によって表示される。また、火災受信機10の前面パネルの下部には開閉可能な子扉10aが設けられ、該子扉10aの内側に、電池試験の開始を指令する電池試験スイッチボタン19Aや火災試験の開始を指令する火災試験スイッチボタン19B、試験からの復旧を指令する試験復旧ボタン19C、火災試験からの復旧を指令する火災復旧ボタン19Dなどを有する内部操作部19が設けられている。
【0021】
上記表示操作部17には、表示内容を順送りするためのシフトボタン(△)17A、逆送りするためのシフトボタン(▽)17B、表示モードを元に戻すための「戻る」ボタン17C、表示モードを決定するための「決定」ボタン17Dが設けられている。
また、図示しないが、上記操作部(11、17、18)からの指令入力を受けて各表示部(12、13、16)やスピーカ14を駆動する制御基板が火災受信機10の筐体の内部に設置されている。さらに、商用交流電源の停電時に上記制御基板等へ電源を供給する予備電源装置と、該予備電源装置の試験を行う予備電源試験装置が火災受信機10の筐体の内部に設けられている。
【0022】
図2及び
図3には、火災受信機内に設けられている主機能部及び情報表示制御部の構成例を示す。
図2に示すように、主機能部20は、火災受信機10の筐体内に設けられているマイクロコンピュータ(CPU)などからなる制御部21aと入出力部(I/O)22a〜22d及びメモリ23a〜23cを備え、これらのブロックがデータバス及びアドレスバスを介して接続され、主制御基板21として構成されている。
メモリ23aはプログラム格納用のROM、メモリ23bは作業用のRAM、メモリ23cは連動設定等に関するデータを格納するためのメモリでありEEPROM又はフラッシュメモリにて構成することができる。
【0023】
また、主機能部20は、複数の地区回線に接続された各感知器などの端末機器へ電源供給し発報信号などを受信して処理する感知器回線地区回路24a、防排煙機器へ制御信号を送出し防排煙機器から駆動応答信号を受信して処理する防排煙回路24b、各地区音響装置または全ての地区音響装置を鳴動させる地区音響回路24c、他の設備機器へ火災信号などを送出する移信回路24d、メモリ23cに蓄積された火災検知信号等のイベント履歴情報を通信ケーブルを介して外部のパーソナルコンピュータ等へ出力するシリアル通信ポート(シリアルI/O)25a、火災や異常などのイベントが発生したことを情報表示機能部の表示制御基板31(
図3参照)へ知らせる信号を出力するシリアル通信ポート(シリアルI/O)25b等を備えている。
【0024】
さらに、主制御基板21には、前述した主操作部11(
図1参照)と、火災発報した回線や感知器線断線が発生した回線を表示する火報回線用の地区表示窓12、火災が発生した場所や防排煙端末等の作動した場所を表示する防排煙回線用の地区表示窓13、火災の発生等を知らせるスピーカ14、受信機の音響やベル(地区音響)を停止させるための押釦を備えた音響操作部15が接続されている。地区表示窓12と13は、それぞれ地区ごとに火災の発生又は防排煙装置の作動を報知する複数のランプにより構成されている(
図1参照)。なお、主機能部20の構成及び機能は、従来の火災受信機のものと同様で良いので、詳しい説明は省略する。
【0025】
図3に示すように、本実施形態における情報表示機能部30は、火災受信機10の筐体内に設けられている情報表示制御基板31と、主機能部20からのイベント発生情報を受信するためのシリアル通信ポート(シリアルI/O)34aと、外部のパーソナルコンピュータ(PC)などとの間でデータの送受信を行うシリアル通信ポート34bとを備える。
情報表示機能部30の情報表示制御基板31は、主制御基板21と同様に、マイクロコンピュータ(CPU)とROMやRAMなどのメモリによって構成することができる。
【0026】
情報表示制御基板31には、各種設定を行うモードに移行する指令を与えるための設定スイッチボタン19Eが設けられているとともに、設定スイッチボタン19Eや情報操作部18の情報ボタン18aおよび表示操作部17のシフトボタン17A,17B、「戻る」ボタン17C、「決定」ボタン17Dからの指令信号が入力される。そして、情報表示制御基板31はこれらの入力手段からの信号に応じて上記情報表示部16の表示駆動制御および情報ランプ18bの点灯駆動制御を行うように構成されている。具体的には、情報表示制御基板31は、通常は情報表示部16の表示を休止しており、主機能部20からの信号を受けると情報ランプ18bを点滅させ、情報ランプ18bの点滅中に情報ボタン18aが押されると点滅を点灯に変更し、情報表示部16に火災情報及び異常情報を表示させる。
【0027】
また、情報表示制御基板31は、火災受信機10の筐体内に設けられている予備電源試験装置による10分間放電試験の際に、次回の10分間放電試験が実施可能になるまでの残り時間(充電必要時間−経過時間)を情報表示部16に表示する機能を有するように構成されている。なお、10分間放電試験は、筐体内の内部操作部19(
図1参照)に設けられている電池試験スイッチボタン19Aと前面パネルに設けられている決定スイッチボタン17Dが同時に押圧(オン操作)されることで開始される。このように、情報表示部16は、火災や異常などのイベントが発生した際の情報の表示の他、各種試験の際における経過時間や試験中に測定した電圧等の表示にも利用できるように構成されている。
【0028】
図4には、火災受信機内に設けられている前記設定スイッチボタン19Eおよび表示操作部17のボタン17A〜17Dの操作により設定されるモードの変更処理手順の一例のフローチャートが示されている。なお、本実施形態における火災受信機10は、電源が投入されると先ずイニシャライズモードに入る。また、タイマ33は電源投入により計時動作を開始する。
【0029】
図4に示すように、モード変更処理においては、先ずステップS1で内部メモリのデータ(初期値)を読み込んだ後、所定時間(例えば30秒)が経過したか否か判定する(ステップS2)。そして、所定時間(30秒)が経過すると、イニシャライズモードから通常の運用モードへ遷移する。
【0030】
ステップS2から移行した運用モード中に、ステップS3のように、火災発報時以外で設定スイッチボタン19Eが長押し(例えば3秒)操作された(Yes)と判定すると、現場における設定が可能な設定モード(現場)へ遷移する。
なお、この設定モードでは、情報表示部16と表示操作部17に設けられているいずれかの操作ボタン17A〜17Dの操作により各種設定を実施できるように構成されている。
【0031】
次に、運用モードにおいて情報表示制御基板31により実施される情報表示部16の表示制御および情報操作部18の情報ランプ18bの点灯制御の手順について、
図5のフローチャートを用いて説明する。
運用モードが開始されると、情報表示制御基板31は、先ず主機能部20の主制御基板21からイベント発生情報が入ってきているか否か判定する(ステップS11)。ここで、イベント発生情報が入ってきている(Yes)と判定すると、ステップS12へ進んで発生したイベントに関連する情報(火災や異常の種類や内容を表わすテキストデータ)をメモリ(EEPROM)23cから読み込む。続いて、情報操作部18の情報ランプ18bを点滅させる(ステップS13)。
【0032】
次に、ステップS14へ進み、情報ボタン18aが押圧操作されたか否か判定し、押圧操作されていない(No)と判定すると、ステップS11へ戻る。ステップS14で情報ボタン18aが押圧操作された(Yes)と判定すると、ステップS15へ進んで、情報ランプ18bを点滅から点灯に変えるとともに、最初のテキスト文を情報表示部16に表示する。
【0033】
その後、ステップS16へ進んで、タイマをリセットして計時動作を開始させた後、予め設定された所定時間(例えば5秒)を経過したか否か判定する(ステップS17)。そして、所定時間(5秒)を経過していない(No)と判定すると、ステップS18へ進み、情報ボタン18aが押圧操作されたか否か判定し、情報ボタン18aが押圧操作されていない(No)と判定すると、ステップS20へ進んで「決定」ボタン17D(または「戻る」ボタン17C)が押圧操作されたか否か判定する。
【0034】
そして、ステップS20で、「決定」ボタン17D(または「戻る」ボタン17C)が押圧操作された(Yes)と判定すると、ステップS21へ進んで詳細な内容のテキストの第1文(または1つの前の表示文)を情報表示部16に表示してステップS22へ進む。また、ステップS20で、「決定」ボタン17Dが押圧操作されていない(No)と判定すると、ステップS22へ移行する。ステップS22では、シフトボタン17Aまたは17Bが押圧操作されたか否か判定する。
ここで、シフトボタン17Aまたは17Bが押圧操作された(Yes)と判定すると、ステップS23へ進んで次のテキスト文(または1つの前のテキスト文)を情報表示部16に表示してからステップS16へ戻り、タイマをリセットして始動させ、上記処理を繰り返す。
【0035】
一方、ステップS17で所定時間(例えば5秒)を経過した(Yes)と判定された場合や、ステップS18で情報ランプ18bの点灯中に情報ボタン18aが押圧操作された(Yes)と判定した場合には、ステップS19へ移行して情報ランプ18bを消灯するとともに情報表示部16の表示を中止する。これにより、最後にボタン操作されてから所定時間(5秒)を経過した時点で情報表示部16の表示が消えるような制御が行われることとなる。そして、ステップS19で情報ランプ18bの点滅および情報表示部16の表示を中止した後は、ステップS11へ戻り、次のイベントの発生信号が入るのを待つ。
また、ステップS19では、表示を中止するとともに、それまで表示していたイベントに関するイベント発生情報を情報表示制御基板31上のメモリから消去する。これにより、表示操作部17の誤操作等により既に表示されたイベントの情報(既読情報)が再表示されて、状況の把握に混乱が生じるのを回避することができる。また、情報が表示されることにより、新たなイベントが発生したことを気付かせることができる。
【0036】
上記のように、本実施例においては、イベントが発生すると情報ランプ18bの点滅し、点滅中に情報ボタン18aを操作すると、発生したイベントに関連する情報(火災や異常の種類など)が文字列で表示されるため、監視者はどのようなイベントが発生したのか容易に認識することができる。また、その表示中に「決定」ボタン17Dを操作すると発生イベントの詳細な情報が表示されるため、監視者は発生したイベントの詳細を把握することができる。
さらに、情報ボタン18aの操作で情報表示を開始し情報表示中は次のイベントが発生しても情報ランプ18bの点滅は実行されず、操作が終了した後所定時間(例えば5秒)を経過した時点で情報表示部16の表示が消え、次のイベント発生に伴う表示が可能となるため、イベントの内容確認中に表示が中断されるおそれがない。
【0037】
上記のように、本実施例の火災受信機においては、主機能部20の主制御基板21とは別に主機能を構成しない情報表示制御基板31を設けているので、情報表示中に新しいイベント(火災)が発生しても直ちに情報表示部16へ表示させる必要がなく、直前に指示された表示を継続することができる。そして、情報表示終了後に新しいイベントが発生すると、情報ランプ18bが点滅されるとともに、表示操作部17を操作することによって未確認のイベント情報を表示させることができる。なお、情報表示部16の情報表示中に次のイベント(火災)が発生すると、主制御基板21は直ちに地区表示窓12、13に対して表示を行なわせ、イベント(火災)の発生を報知する。
【0038】
しかも、本実施例の火災受信機は、上記のように、情報表示制御基板31は主機能部20の主制御基板21からの信号を受けるのみで、情報表示制御基板31から主制御基板21へ信号を送る機能は持たない、つまり主機能の警報とは切り離して情報表示のための操作が可能な構成としたことにより、防災管理者、メーカーの専門担当者、消防設備士など、特別な権限がないと受信機盤面操作や盤内を開けて対応処置をすることができない類いのイベントが発生した場合でも、それらの権限や知識を持たない者が情報操作部17を操作して情報表示部16に発生イベントの情報を表示させて発生したイベント内容を容易に確認できるとともに、上記特別権限受権者への説明、報告を詳細に行うことができる。
【0039】
さらに、本実施例の火災受信機10は、運用モード中に発生したイベントに関するデータを所定数(例えば1000件)まで時系列的な履歴情報として、主機能部20の主制御基板21のメモリ23cに蓄積する機能を有する。なお、所定数を超えると古いデータが上書きされる。そして、蓄積された履歴情報は、パーソナルコンピュータのような携帯端末を、通信用ケーブルを介して主制御基板21のシリアル通信ポート25aに接続することで読み出すことができる。また、シリアル通信ポート25aは、主制御基板21上の制御部21aが実行するプログラムをメモリ23cに書き込むのに使用することができる。このように、履歴情報を読み出すためのシリアル通信ポート25aを、イベント発生情報を情報表示機能部30へ供給するためのシリアル通信ポート25bとは別個のポートとして設けているので、主機能部20および情報表示機能部30の本来の動作を停止させることなく、制御基板31から履歴情報を読み出すことができる。
【0040】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、主機能部20のメモリに発生したイベントの履歴情報を蓄積して履歴情報を読み出せるように構成しているが、運用モード中に発生し主機能部20の主制御基板21から時系列的に供給されたイベント発生情報に関するデータを情報表示機能部30へ送信して情報表示制御基板31のメモリに履歴情報として蓄積して、所定のモード(例えば検査モード)へ移行することで履歴情報を読み出せるように構成しても良い。
【0041】
また、前記実施形態では、情報ボタン18aと情報ランプ18bを並べて配設しているが、情報ボタン18aを半透明部材で構成して、情報ボタン18aの内部に情報ランプ18bを設けるようにしても良い。
さらに、以上の説明では、本発明をP型火災受信機に適用した場合を例にとって説明したが、本発明はP型火災受信機に限定されず、R型火災受信機その他監視システムを構成可能な受信機に適用することが可能である。また、火災受信機の設置場所である監視拠点以外の場所でも火災の状況を把握できるようにするための表示装置として副受信機があるが、本発明は副受信機に適用することができる。