【解決手段】呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用のクッションが、フレームに連結される構造の土台壁28と、その下にあり、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延びる基礎支持クッション30と、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜32とを備える。膜は、患者の顔面上で連続的な密封を形成するように適合される。基礎クッションは、土台壁とのばね状の連結部を有する。基礎クッションおよび/または土台壁は、密封の長さに沿って変化するばね定数を規定する。
前記膜は、前記患者の顔面の鼻梁、頬、および、顎それぞれの上に連続的な密封を形成するように適合された鼻梁領域、両頬領域、及び、顎領域を含むことを特徴とする請求項2に記載のクッション。
前記土台壁の少なくとも一部分が、前記フレームからかかった力に対する前記クッションの移動量を画定するばね構造を含むことを特徴とする請求項4に記載のクッション。
前記基礎クッションおよび/または前記土台壁の少なくとも一部分が、前記フレームからかかった力に対する前記クッションの移動量を確定するばね構造を含むことを特徴とする請求項8に記載のクッション。
前記基礎クッションおよび/または前記土台壁のばね特性は、基礎クッションの高さ、基礎クッションの厚さ、基礎クッションの半径、および/または基礎クッションのオフセットよって少なくとも部分的に決まることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のクッション。
前記基礎クッションおよび/または前記土台壁のばね特性は、基礎クッションのオフセットよって少なくとも部分的に決まることを特徴とする請求項12に記載のクッション。
前記膜および前記基礎クッションの1つが前記クッションの外側の幅を画定する外部表面を含み、前記土台壁が前記外部表面に対して内側にオフセットしていることを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載のクッション。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、各製造業者は、多様な顔のサイズ及び形状のための、快適かつ効果的な密封を提供するクッションの開発を模索している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、効果的な密封を維持しながら、より良好な快適性を患者にもたらすクッションを有する、患者インターフェースを提供することである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の他の態様は、多様な顔の形状およびサイズにフィットする患者インターフェース用の快適なクッションを提供することである。
【0012】
本発明の他の態様は、基礎クッション(underlying cushion)および膜を含んだクッションに関し、基礎クッションおよび膜は、クッションの鼻の領域においてほぼ平坦な部分を有する。
【0013】
本発明の他の態様は、土台壁および基礎クッションおよび膜を含んだクッションに関し、土台壁および基礎クッションは、クッションの外周に変動可能なばね定数をもたらす断面構造を有する。
【0014】
本発明の他の態様は、患者インターフェースに関し、クッションの土台壁およびフレーム連結部は、例えば外部膜表面などのクッションの最も外部の点に対して内側にオフセットしている。
【0015】
本発明の他の態様は、クッションの鼻側部領域で傾いている又は角度が付いている土台壁および基礎クッションを含んだクッションに関する。
【0016】
本発明の他の態様は、その顔面高さに関係なく、ほぼ一定の口の幅を有するクッションに関する。本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用のクッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面の鼻梁、頬、顎の各領域上にそれぞれ連続的な密封を形成するように適合された、鼻梁、頬、顎の各領域を含む。鼻梁領域および隣接した2つの頬領域は、交点又は頂部を画定する。鼻梁領域にある膜は、頂部又は交点において、頬領域の隣接部分よりも大きい高さを有する。
【0017】
本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用クッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面上に連続的な密封を形成するように適合される。基礎クッションは、土台壁とのばね状の連結部を有する。基礎クッションおよび/または土台壁は、密封の長さに沿って変化するばね定数を確定する。
【0018】
本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用クッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面上に連続的な密封を形成するように適合される。膜および基礎クッションの一つが、クッションの外側の幅を画定する外部表面を含み、土台壁は、その外部表面に対して内側にオフセットしている。
【0019】
さらに本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用クッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面の鼻梁および鼻の側部の各領域にそれぞれ連続的な密封を形成するように適合された、鼻梁および鼻の側部の各領域を少なくとも含む。鼻側部領域にある土台壁および基礎クッションは、フレームの下端に対して傾いている、又は角度が付いている。
【0020】
さらに本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用クッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面の鼻梁、鼻の側部、上側頬、下側頬、および顎の各領域でそれぞれ連続的な密封を形成するように適合された、鼻梁、鼻の側部、上側頬、下側頬および顎の各領域を含む。膜の内側縁部は、患者の鼻および口を受容する開口を画定する。患者の口を受容する開口の下側部分は、クッションの顔面高さに関係なく、ほぼ一定のままである口の幅を有する。
【0021】
さらに本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用クッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面上に連続的な密封を形成するように適合される。基礎クッションおよび/または土台壁の少なくとも一部分は、フレームからかかった力に対するクッションの移動量を画定するばね構造を含んでいる下側部分を有する。
【0022】
さらに、本発明の他の態様は、一連のマスクアセンブリを設計する方法に関する。この方法は、より広い範囲の患者にフィットするように適合された第1のクッションを提供するステップと、より狭い範囲の患者にフィットするように適合された第2のクッションを提供するステップとを含む。第1および第2のクッションのそれぞれは、少なくとも患者の口を受容する開口を含む。第1および第2のクッションの開口は、同じ幅を有する。
【0023】
さらに本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用のクッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面の鼻梁領域で連続的な密封を形成するように適合された鼻梁領域を少なくとも含む。膜は、鼻梁領域に細長い稜部を形成する。細長い稜部は、細長い頂部を形成するように合流する傾斜した側部を有する。傾斜した側部はそれぞれ、頂部の中心線から30°〜60°の範囲で角度が付いており、頂部は、1.0mm〜5.0mmの範囲の曲率半径を有する。
【0024】
さらに、本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用のクッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面の鼻梁領域で連続的な密封を形成するように適合された、鼻梁領域を少なくとも含む。膜の鼻梁領域は、膜の内側縁部で終端するように、半径に沿ってクッションの空洞の方に内向きに湾曲する輪郭の部分を含む。この輪郭の部分は、クッションの顔面接触平面に対して30°〜50°の範囲の角度が付いている自由端を有する。
【0025】
さらに、本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用のクッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面上に連続的な密封を形成するように適合される。基礎クッションおよび/または土台壁は、疑問符形(question−mark)または鎌形の形状を有する。
【0026】
さらに、本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用のクッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面上に連続的な密封を形成するように適合される。基礎クッションは、16mmより長いアーク長を含む弓状構造を有する。
【0027】
さらに、本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用のクッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、使用中に患者の顔面の方に土台壁から離れて延在している基礎支持クッションと、基礎クッションの少なくとも一部分をほぼ覆うように設けられた膜とを含む。膜は、患者の顔面上に連続的な密封を形成するように適合される。膜は、密封の長さに沿って変化する厚さを含む。
【0028】
さらに、本発明の他の態様は、呼吸に適した気体を患者に送達する患者インターフェース用のクッションに関する。クッションは、フレームに連結される構造を持つ土台壁と、患者の顔面上で連続的な密封を形成するように適合された膜とを含む。土台壁の少なくとも一部分は、膜の方にテーパを付けるテーパ部分を含む。
【0029】
さらに、本発明の他の態様は、様々な顔面サイズに適するように配置された少なくとも2つのクッションのセットを含むマスクシステムに関し、この少なくとも2つのクッションは、ほぼ同じ幅を有する。
【0030】
本発明のその他の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することにより明らかになるであろう。添付の図面はこの開示の一部分であり、本発明の原理を例として示す。
【0031】
添付の図面は、本発明の様々な実施形態の理解を促す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に従って構成された患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に従って構成された患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に従って構成された患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に従って構成された患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に従って構成された患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に従って構成された患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に従って構成された患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に従って構成された患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に従って構成された患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図10】
図5に示されているクッションの断面図である。
【
図11】
図5に示されているクッションの断面図である。
【
図12】
図5に示されているクッションの断面図である。
【
図13】
図5に示されているクッションの断面図である。
【
図14】
図5に示されているクッションの断面図である。
【
図15】
図1〜9に示されているクッションの、様々な領域を示す正面図である。
【
図16】
図1〜9に示されているクッションの他のサイズを示す図である。
【
図17】
図1〜9に示されているクッションの他のサイズを示す図である。
【
図18】
図1〜9に示されているクッションの他のサイズを示す図である。
【
図19】
図1〜9に示されているクッションの他のサイズを示す図である。
【
図20】
図1〜9に示されているクッションの他のサイズを示す図である。
【
図21】
図1〜9に示されているクッションの他のサイズを示す図である。
【
図22】基礎クッションのばね特性を修正できるパラメータを示す、
図1〜9に示されているクッションの断面図である。
【
図23】
図15に示されているクッションの、一実施形態のパラメータの例を示し、基礎クッションのみを示す断面図である。
【
図24】
図15に示されているクッションの、一実施形態のパラメータの例を示し、基礎クッションのみを示す断面図である。
【
図25】
図15に示されているクッションの、一実施形態のパラメータの例を示し、基礎クッションのみを示す断面図である。
【
図26】
図15に示されているクッションの、一実施形態のパラメータの例を示し、基礎クッションのみを示す断面図である。
【
図27】
図15に示されているクッションの、一実施形態のパラメータの例を示し、基礎クッションのみを示す断面図である。
【
図28】
図15に示されているクッションの、一実施形態のパラメータの例を示し、基礎クッションのみを示す断面図である。
【
図29】
図15に示されているクッションの、一実施形態のパラメータの例を示し、基礎クッションのみを示す断面図である。
【
図30A】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30B】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30C】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30D】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30E】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30F】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30G】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30H】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30I】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30J】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30K】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30L】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30M】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図30N】本発明によるクッションの代替実施形態を示す断面図である。
【
図31】
図1〜9に示されているクッションの実施形態と、ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの、力と移動量の全般的な関係を示すグラフである。
【
図32】
図1〜9に示されているクッションの実施形態と、ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの、力と移動量の全般的な関係を示すグラフである。
【
図33】
図23〜29に示されているクッションの様々な断面の、力と移動量の全般的な関係を示すグラフである。
【
図34A】
図1〜9に示されているクッションのばねの長さと、本発明による実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図34B】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションのばねの長さと、その寸法の例を示す図である。
【
図35】
図1〜9に示されているクッションの側面図である。
【
図38】
図1〜9に示されているクッションの、平坦部分を示す正面図である。
【
図38B】
図1〜9に示されているクッションの実施形態と、ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの、鼻梁領域における力と移動量の全般的な関係を示すグラフである。
【
図39】本発明による実施形態の寸法の例を示す、
図1〜9に示されているクッシ ョンの実施形態の断面図である。
【
図40A】本発明による実施形態の寸法の例を示す、
図1〜9に示されているクッションの実施形態の断面図である。
【
図40B】本発明による実施形態の寸法の例を示す、
図1〜9に示されているクッションの実施形態の断面図である。
【
図41】使用中の鼻梁領域のロール作用を示す、
図1〜9に示されているクッションの実施形態の斜視図である。
【
図42】使用中の鼻梁領域のロール作用を示す、
図1〜9に示されているクッションの実施形態の斜視図である。
【
図43】使用中の鼻梁領域のロール作用を示す、
図1〜9に示されているクッションの実施形態の斜視図である。
【
図44】使用中の鼻梁領域のロール作用を示す、
図1〜9に示されているクッションの実施形態の斜視図である。
【
図45】使用中の鼻梁領域のロール作用を示す、
図1〜9に示されているクッションの実施形態の斜視図である。
【
図46】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの図である。
【
図47】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの図である。
【
図48】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの図である。
【
図49】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの図である。
【
図50】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの図である。
【
図51】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの図である。
【
図52】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの図である。
【
図53】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの図である。
【
図54】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図55】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図56】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図57】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図58】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションと、一実施形態の寸法の例を示す図である。
【
図64】ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標)Full Faceの名称で市販されている周知のクッションの断面を重ねた、
図54〜58に示されているクッションの一部分の断面図である(実線)。(UltraMirage(登録商標)クッションの関連する部分のみを点線で示すことができる。すなわち、他の異なる部分は示されていなくてもよい)。
【
図65】本発明による一実施形態の寸法の例を示す、
図54〜58に示されているクッションの一部分の断面図である。
【
図66】本発明による一実施形態の寸法の例を示す、
図54に示されているクッションの断面図である。
【
図67】本発明による一実施形態の寸法の例を示す、
図54に示されているクッションの断面図である。
【
図68】本発明による一実施形態の寸法の例を示す、
図54に示されているクッションの断面図である。
【
図69】本発明による一実施形態の寸法の例を示す、
図54に示されているクッションの断面図である。
【
図70】本発明による一実施形態の寸法の例を示す、
図54に示されているクッションの平面図である。
【
図71】本発明による一実施形態の寸法の例を示す、
図54に示されているクッションの断面図である。
【
図72】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図73】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図74】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図75】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図76】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図77】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図78】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図79】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図80】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図81】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図82】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図83】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図84】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図85】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図86】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図87】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図88】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図89】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図90】本発明の他の実施形態による患者インターフェース用クッションの図である。
【
図91】
図34Aに示されているものの代替クッション断面を示す図である。
【
図92】
図34Aに示されているものの他の代替クッション断面を示す図である。
【
図93】
図15に示されているものの代替クッション配置を示す図である。
【
図94A】
図35のクッションの鼻梁領域の水平断面を示す図一式のうちの1つである。
【
図94B】
図35のクッションの鼻梁領域の水平断面を示す図一式のうちの1つである。
【
図94C】
図35のクッションの鼻梁領域の水平断面を示す図一式のうちの1つである。
【
図95A】
図51の従来技術のクッションの鼻梁領域の水平断面を示す図一式のうちの1つである。
【
図95B】
図51の従来技術のクッションの鼻梁領域の水平断面を示す図一式のうちの1つである。
【
図95C】
図51の従来技術のクッションの鼻梁領域の水平断面を示す図一式のうちの1つである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1〜14に、本発明の実施形態に従って構成されたクッション10が示されている。クッション10は、呼吸に適した気体を患者に送達する構造の患者インターフェースのフレームに、(例えば、機械式および/または接着剤の固定により)取り外し可能または恒久的に連結するように適合されている。一実施形態では、クッション10は、患者インターフェースのフレームと共に成型してもよい。他の実施形態では、クッションは、例えばResMed社の病院用鼻マスクなどの、外側支持構造を備えたフレームの一部分を形成してもよい。クッション10は、使用中、患者の顔面との密封を提供する。
【0034】
図示されている実施形態では、クッション10は、フルフェースマスクの一部分を形成する。具体的には、クッション10は、呼吸に適した気体を患者の鼻および口に送達可能にするために、患者の鼻および口を取り囲んで密封を提供する。ただし、本発明の態様は、例えば鼻マスク、口マスクなどの、その他の呼吸装置に適用してもよい。クッション10は、特許文献6に記載されているガセット(gusset)と共に使用してもよい。この特許の全体を参照によりここに援用する。
【0035】
クッション10は、広範囲の顔の形状およびサイズに対して、より快適な適合をもたらすように構成される。また、クッション10は、後述するように、より良好な密封をもたらし、漏れの恐れを低減させるように構成される。
【0036】
図1〜14に示すように、クッション10は、例えば摩擦嵌め、溝ほぞ(tongue−and−groove)装置などによって患者インターフェースのフレームに連結される構造の非顔面接触部分12と、患者の顔面に係合する構造の顔面接触部分14とを含む。
【0037】
図5および
図15に最も良く示されているように、クッション10の顔面接触部分14は、全般に三角形の形状をし、患者の鼻梁(nasal bridge)、鼻の側部、上側頬、下側頬、および顎の各領域に連続的に接触するように構成されることが好ましい。
ただし、顔面接触部分14は、例えば全般に台形など、他の適切な形状を有してもよい。
図示されている実施形態では
図15に最も良く示されているように、クッション10は、患者の鼻梁に沿って密封を行う鼻梁領域16と、患者の鼻、頬、および口に沿って密封を行う一対の頬領域15と、患者の顎に沿って密封を行う顎領域20とを含む。一対の頬領域15はさらに、患者の鼻の両側に沿って密封を行う一対の鼻側部領域17と、患者の上側頬に沿って密封を行う一対の上側頬領域18と、患者の下側頬および患者の口の両側に沿って密封を行う一対の下側頬領域19として画定することができる。
【0038】
[各マスクサイズにおける、下側頬領域のクッションの幅と、おもて面の幅と高さの比] クッション10は、様々な顔のサイズに対応できるように、様々なサイズで提供することができる。例えば、
図16〜21は、その他の3サイズのクッション10の実施形態を示す。一実施形態では、
図16〜17に示されているクッション210は特別小さいサイズを表し、
図18〜19に示されているクッション310は小さいサイズを表し、
図1〜14に示されているクッション10は中間サイズを表し、
図20〜21示されているクッション410は大きいサイズを表すことができる。図示されているように、クッション10、210、310、410の口の幅は、それらのおもて面の高さに関係なく、ほぼ一定である。
【0039】
特に、クッション10は、患者の口を受容する開口22を画定する。好ましい実施形態では、開口22の下側部分は、すべてのクッションサイズに対して一定の幅、例えば60mmを有する。ただし、開口22の下側部分の幅は、全てのクッションサイズに対して、例えば5mmの範囲内でほぼ一定であってもよい。例えば、クッション10の開口22の下側部分の幅を、60mm±5にすることができる。対照的に、ResMed Ltd社製のUltraMirage(登録商標) Full Faceの名称で市販されている周知のクッション700の開口722の下側部分の幅は、大きいサイズが60mm、中間サイズが54mm、小さいサイズが52mmである。UltraMirage(登録商標)クッション700は、
図46〜53に示されている。
【0040】
人体計測データには、顔が比較的小さい患者の口の幅が、顔が比較的大きい患者の口の幅より必ずしも狭くないことが示されている。したがって、すべての顔面はおおむね、同じ口の幅を有する。したがって、クッション10の開口22は、幅広い患者に対応できるほど十分に広く製作され、より大きな顔に合わせるためにマスクおもて面の高さが変化しても、一定またはほとんど一定(例えば5mmの範囲)のままである。このことは、異なるクッションサイズの下側頬および顎領域の周りのほぼ一定のクッション幾何学的形状であり、したがってクッションサイズが異なると、幅と高さの比が変化することでわかる。
例えば、クッション10、210、310、410の各開口22の下側部分は、ほぼ同じ幅を有する。
【0041】
[土台壁、基礎クッション、および膜]
図9および10〜14に最も良く示されているように、クッション10の顔面接触部分14は、土台壁28と、土台壁28の下に位置し、そこから延びる一対の基礎支持クッション30と、膜32とを備える。膜32は、下のクッション30の少なくとも一部分をほぼ覆い、顔面接触部分14に密封構造をもたらすために設けらる。土台壁28および基礎クッション30は、膜32に対する支持構造を形成する。
【0042】
図示されているように、基礎クッション30は、例えば鼻、上側頬、下側頬の各領域17、18、19の側部など、土台壁28の側面のみに設けられるのが好ましいが、基礎クッション30を接合し、それで患者の鼻を実質的に取り囲み、下唇または顎領域も取り囲んでもよい。基礎クッション30は、患者の口および頬の両側にある膜32に固定式に追加される。膜32は、基礎クッション30より薄いほうが好ましいが、それと同じ厚さ、またはそれより厚くてもよい。また、顎領域20の基礎クッションをなくすことによって、患者の顎領域20に過大な圧力をかけることなく、クッション10を、この領域の患者の顔面と、より強く係合させることができる。つまり、この領域の膜32の動きを制限する基礎クッションがなくなり、それによって、この領域およびそれに隣接する領域の密封を改善することができる。さらに、顎領域20にある基礎クッションをなくすことによって、クッション10をより多くの顔の形状に対応させることが可能になり、より良好な可撓性が実現し、口を動かす、すなわち開くことができるようになる。
【0043】
図示されている実施形態では、
図10〜14に示すように、クッションの顔面接触部分14は、二重壁構造(すなわち鼻、上側頬、下側頬の各領域17、18、19の側部にある、膜32および基礎クッション30)と、一重壁構造(すなわち鼻梁、顎の各領域16、20にある膜32)とを有する。クッション10の上端および下端の一重壁構造は、クッション10の中心を屈曲させることによって、例えば尖った顎などの高さのある顕著な形状に対応するのに役立つ。この可撓性によって、同じクッションでより多くの患者に対応することができる。ただし、クッション10は、例えば頬、顎、鼻梁などのクッション10の任意の適切な領域に、例えば一重壁、二重壁、三重壁またはそれ以上重なった壁構造などの他の任意の適切な構造を有してもよい。例えば、基礎クッション30は、クッション10の外周全体を取り囲んで延在してもよい。また、基礎クッション30を完全に取り除くこともできる。
【0044】
図10〜14に示すように、膜の厚さは、クッション10の様々な領域で異なっていてもよい。図示されているように、鼻梁領域16および上側頬領域18の膜の厚さは0.3mmで、上側頬領域18で0.5mmに移行し、下側頬および顎領域19、20でその厚さが維持される。この構成により、より薄い膜を設けることによって、鼻梁全体により良好な順応性/伸張性が実現する。この伸張性は下側領域には必要なく、この場合膜を厚くすると、使用中、患者顔面上で膜が振動しにくくなる。
【0045】
[内側にオフセットした土台壁と、フレーム連結部]
本発明の他の態様は、クッション10の土台壁28、基礎クッション30、および膜32のサイズおよび構造に関する。
図48〜50は、UltraMirage(登録商標)クッション700の土台壁728、基礎クッション730、および膜732を示している。図示されているように、クッション10は、UltraMirage(登録商標)クッション700と異なる断面形を有する。
【0046】
例えば、
図11〜13に最も良く示されているように、土台壁28およびフレーム連結部29は、例えば膜または基礎クッションの外部表面などのクッションの最も外部の点39に対して内側にオフセットしている。対照的に、UltraMirage(登録商標)クッション700の土台壁728およびフレーム連結部729は、クッションの最も外部の点739に対してオフセットしていない(
図48〜50参照)。このように内向きに移動した結果、クッション10の土台幅は、例えば土台ごとに約5mmまたは2.5mmだけ狭くなり、これによってクッションの突出が小さくなり、材料が節約される(これは、重量およびコストが小さくなることを意味する)。また、クッション10の幅が狭くなることによって、クッション10の使用中外向きに突出する、使われない長さ(freelength)が短くなり、したがって漏れを最小限にする、またはなくすのに役立つ。
【0047】
図示されているように、基礎クッション30の下側部分は、例えば半円、疑問符、鎌形などの、より弓形構造(arcuate configration)を有し、この構造により、基礎クッション30の下側部分の下に、かつ土台壁28に隣接して空間34が画定される。
【0048】
図示されている実施形態では、クッションの最も幅が広い点すなわち最も外部の点は、基礎クッション30および土台壁28の外部表面である。フレームアタッチメント29は、これに対して内側にオフセットしている。したがって、クッション10の設計、特に基礎クッションの曲率によって、フレームは狭くなった点で取り付けられ、したがってフレーム自体の幅が狭くなる。この構成は、フレーム重量、感覚的な大きさ、およびサイズの点からかなりの利点を有する。この構成によりマスク内部の無駄なスペースを最小にすることもでき、そのことがCO
2の再呼吸の低減に役立つ。
【0049】
さらに、基礎クッション30の下に空間34があると、基礎クッション30の動く範囲が広くなって、使用中、基礎クッション30に、したがって膜32により良好な可撓性が加わる。具体的には、基礎クッション30の下に空間34があることによって、例えばUltraMirage(登録商標)クッション700として制限されるほぼ同じ空間を用いる基礎クッション30は、それより大きく移動することができる。さらに、空間34があることによって、底入れする(bottoming out)前に、基礎クッション30は大きく移動することができ、したがって不快感が低減する。したがって、この構成により、力が徐々に加わり、快適性が改善され、より幅広いの患者の密封を行うことができる。
【0050】
[変動可能なばね定数]
図示されているように、基礎クッション30は、基礎クッション30が土台壁28に対して動くことができるような、土台壁28とのばね状の連結部を有する。つまり、基礎クッション30は、空間34内へ移動可能である(基礎クッション30もまた、空間33内へ移動可能である)。したがって、フレームの力が加えられるとき、ばねの力がもたらされ、フレーム力が解放されるとき、基礎クッション30はその最初の位置まで弾性的に戻る。基礎クッション30および/または土台壁28は、任意の適切なばね定数を有してよい。このばね定数は、例えば土台壁28の厚さにテーパを付ける及び/または厚さを変化させ、基礎クッション30の中間部分および/または下側部分の厚さを変化させることによって、その長さに沿った任意の場所で、異なった値をとることができる。また、ばね状の連結部を基礎クッション30全体に沿って延在してもよく、あるいは、ばね状の連結部を頬骨領域などの一定の領域に集中させてもよい。
【0051】
したがって、ばね特性はクッション10の土台壁28および基礎クッション30と共に成型され、これによって、連続的に変化するばね定数を土台壁28および基礎クッション30に組み込むことが可能になる。例えば、下にある患者の顔の構造のために変化し得る各領域の密封必要条件に適合させるために、壁の剛性をクッション領域ごとに変化させることができる。
【0052】
土台壁28および基礎クッション30のばね特性は、
図22に示すいくつかの特性値を変化させることによって修正することができる。例えば、ばね特性を、基礎クッションの高さh、厚さt、半径r、および基礎クッションのオフセットcを変化させることによって修正することができる。これらのパラメータは単なる例示的なもので、土台壁28および基礎クッション30のばね特性を修正するために、他のパラメータを変化させてもよいことが理解されよう。
【0053】
図23〜29は、所望のばね特性を実現するための、基礎クッション30および土台壁28の実施形態のパラメータが示している。図示されているように、基礎クッション30および土台壁28は、クッション10の外周の主周囲に変化可能なばね定数をもたらすように構成される。つまり、基礎クッション30および土台壁28のばね定数は、鼻の側部、上側頬、下側頬の各領域17、18、19沿って異なる。クッション10の具体的なパラメータが
図23〜29に示されているが、これらのパラメータは単なる例示的なもので、用途に応じて他のパラメータが可能であることが理解されよう。
【0054】
鼻梁領域16(例えば、
図10を参照)において、高い可撓性と、多様な顔の形状と共形となる能力をもたらすために、基礎クッション30は設けられていない。ただし、一実施形態では、この領域に、非常にソフトなばね特性を持つ基礎クッション30があってもよい。
【0055】
鼻領域17の側部(
図23〜24参照)において、患者の鼻の側部を締め付け、膜32を基礎クッション30と接触させておく横の安定性を提供するために、かなり硬いばね特性を有する基礎クッション30および土台壁28が設けられている。図示されているように、この構成は、基礎クッションを比較的厚くし、高さを低くし、半径を縮めることによって実現される。
図23に示す断面の実施形態では、hは12mm、rは5mm、tは2〜3mm、bは4mm、w1は11.5mm、w2は8mmにすることができる。
図24に示す断面の実施形態では、hは14mm、rは6〜7mm、tは2.5mm、bは4mm、w1は11.5mm、w2は9.5mm、αは22°にすることができる。これらの寸法および範囲は単なる例示的なもので、用途に応じて他の寸法および範囲が可能であることが理解されよう。
【0056】
また、
図24に最も良く示されているように、鼻側部領域17にある土台壁28および基礎クッション30は、フレームの下端に対して約22度だけ回転している。つまり、土台壁28および基礎クッション30は、クッション10の鼻側部領域17で傾いている、すなわち角度が付いている。この構成によってさらに横の安定性が増し、膜上の力を、患者の鼻の側部の肌表面に対して垂直に加えることが可能になる。この構成はさらに、膜32を患者の肌と接触させておき、空気の漏れを防止するのに役立つ。他の実施形態では、この角度を15度から30度まで変化させることができる。
【0057】
上側頬領域18(
図25〜26参照)において、基礎クッション30および土台壁28は、鼻側部領域17に形成される剛性よりも低い剛性を有するが、基礎クッションの幾何学的形状のために下側頬領域19よりも高い剛性を有する。この剛性は、上側頬のより硬い骨格に適合するように形成される。
図25に示す断面の実施形態では、hは12〜15mm、好ましくは13.5mm、rは5mm、tは2mm、bは3mm、w1は11.5mmにすることができる。
図26に示す断面の実施形態では、hは12〜15mm、好ましくは13.5mm、rは5mm、tは2mm、bは3mm、w1は11.5mmにすることができる。これらの寸法および範囲は単なる例示的なもので、用途に応じて他の寸法および範囲が可能であることが理解されよう。
【0058】
下側頬領域19(
図27〜29参照)において、基礎クッション30および土台壁28は、比較的小さなばね定数を有する。つまり、患者の肉厚である頬領域は、比較的小さな力で、クッションと共に密封を形成するようにすぐに変形するので、下側頬領域19にある基礎クッション30はかなり柔らかい。図示されているように、この構成は、より大きい高さh、より大きい半径r、およびより薄い基礎クッション壁によって実現する。
図27に示す断面の実施形態では、hは14mm、r1は5mm、r2は7mm、tは1.5〜2mm、bは3.5mm、w1は11.5mmにすることができる。
図28に示す断面の実施形態では、hは16.5mm、r1は6〜7mm、r2は8mm、tは1.5mm、bは3.5mm、w1は11.5mmにすることができる。
図29に示す断面の実施形態では、hは17.5mm、r1は6〜7mm、r2は9〜10mm、tは1.5mm、bは3.5mm、w1は11.5mmにすることができる。これらの寸法および範囲は単なる例示的なもので、用途に応じて他の寸法および範囲が可能であることが理解されよう。
【0059】
顎領域20(
図14参照)において、基礎クッション30は設けられていないが、非常に可撓性に富むばね領域を使用してもよい。顎領域20によって、横方向の動き、口の開きすなわち口の動き、および一連の顔の形状が可能になる、拘束されない膜領域が形成される。
【0060】
したがって、クッション10は、クッションの様々な領域に、様々な縦および/または横向きの剛性を備えるように構成することができる。例えば、患者の鼻のところで横向きの安定性を高めるために、鼻側部領域16、17は、他の領域よりも横向きの剛性を有する。
【0061】
[土台壁および基礎クッションの代替実施形態]
図30A〜30Nに、土台壁28および基礎クッション30の代替実施形態が示されている。これらの実施形態はそれぞれ、使用中に、基礎クッション30の可撓性をもたらす配置を提供する。
図30Aでは、基礎クッション30は、閉鎖された空間60を画定する。この空間60は任意選択で、加圧空気、発泡体(foam)、ゲル、またはエラストマー材料で充填し、使用中に基礎クッション30の動きを減衰させるように適合させることができる。
図30Bでは、基礎クッション30の下にある空間34は、呼吸空洞の内部にある。また、基礎クッション30は、呼吸空洞の内部から土台壁28の方へ湾曲した弓状の形状を有する。ただし、基礎クッション30は、他の任意の適切な形状を有してもよい。例えば、
図30Cの基礎クッション30は、球根状の形状(bulbous shape)を有する。この形状は中空でも中空でなくてもよい。
図30Dでは、基礎クッション30は、全般にZ形の形状を有する。
図30Eおよび30Fでは、基礎クッション30は球根状の形状を有し(中空でも中空でなくてもよい)、基礎クッション30の下にある空間34は傾斜した構造を有する。
図30C、30E、および30Fでは、球根状の形状は任意に、加圧空気、発泡体、ゲル、またはエラストマー材料で充填し、使用中に基礎クッション30の動き減衰させるように適合させてもよい。
図30Eでは、空間34の傾斜した構造は、使用中に基礎クッション30を土台壁28の方に下向きに向けるように適合され、
図30Fでは、空間34の傾斜した構造は、使用中に基礎クッション30を呼吸空洞の方に内向きに向けるように適合される。
図30G、30H、および30Iでは、基礎クッション30は、全般にT字形の形状を有する。また、
図30Hおよび30Iでは、土台壁28は、T字形の基礎クッション30の下に閉鎖された空間62を画定する。閉鎖された空間62は任意に、加圧空気、発泡体、ゲル、またはエラストマー材料で充填し、使用中に基礎クッション30の動きを減衰させるように適合させてもよい。さらに、閉鎖された空間62内部の圧力を変化させることによって、ばね定数を変化させることができる。
さらに、(
図30Hに示すように)空間62の下側表面は、使用中に基礎クッション30を呼吸空洞の方に内向きに向けるように適合された傾斜構造を有してもよい。
図30Aの閉鎖された空間60の下側表面もまた、使用中に基礎クッション30を方向付けるための傾斜構造を有することができる。
図30Jおよび30Kでは、基礎クッション30は、ばね特性を弱めるために細長い断面長さを有する。
図30Lには、基礎クッション30を備え、膜のない一重壁構造が示されている。
図30Mでは、基礎クッション30の下にある空間34が非常に大きくなっている。
図30Nでは、ばね構造が土台壁28の下に設けられている。
【0062】
[基礎クッションによってもたらされる移動量]
空間34により、基礎クッション30は、UltraMirage(登録商標)クッション700と比較した場合、所定の大きさの力に対して大きく移動することができる。つまり、基礎クッション30は、所与の力に対してより大きく動くことができる。例えば、
図31は、クッション10とUltraMirage(登録商標)クッション700の、力と移動量の全般的な関係を示している。図示されているように、クッション10のカーブは、UltraMirage(登録商標)クッション700の指数関数タイプのカーブよりも平坦である。したがって、基礎クッション30は、UltraMirage(登録商標)クッション700と比較した場合、剛性が小さく、柔軟性がある。空間34によってもたらされるばね特性を変化させるために、ゲル、シリコーンまたは他の構造体で空間34を充填してもよいことに留意されたい。
【0063】
さらに、
図31に示すように、クッション10が完全に圧縮される点すなわち底に達する点B
10は、UltraMirage(登録商標)クッション700が底に達する点B
700より大きく移動したところにある。さらに、底に達する点B
10は底に達する点B
700よりも強い力で達する。したがって、クッション10は、底に達するのに必要な力が増加し、より広い範囲の調節が可能になる。さらに、
図31に、快適な密封力の最大値と最小値の例が示されている。これによって、密封を実現するのに必要な力の範囲の例が与えられる。図示されているように、この力範囲内にあるクッション10の移動量A
10の範囲は、この力範囲内にあるUltraMirage(登録商標)クッション700の移動量A
700の範囲よりもかなり大きい。したがって、クッション10を用いると、広範囲の調節又は移動量で密封を実現できるようになり、密封のためにクッションが底に達しなくてもよいように、底に達するまでの力よりも確実に密封力のほうが大幅に小さくなる。
【0064】
図32は、クッション10とUltraMirage(登録商標)クッション700の、力と移動量の関係の他の実施形態を示している。この実施形態では、クッション10のカーブの直線部分は、
図31にあるクッション10のカーブの直線部分より大きな勾配を有する。勾配の差は、各基礎クッション30のばね定数の差に起因しているのであろう。
したがって、
図31に示されているクッションは、
図32に示されているクッションよりも、所与の力に対して大きく移動することができる。また、
図32にあるクッション10のカーブは、移動量が小さいときはクッション10の力のほうが大きくなって密封が確保され、移動量が大きくなるとクッション10の力のほうが小さくなって、より長い範囲の移動量に対して快適性が維持されるように、UltraMirage(登録商標)クッション700のカーブと交差する。
【0065】
図33には、クッション10の力と移動量の関係の他の実施形態が示されている。この実施形態では、クッション10の異なる領域ごとの典型的なカーブが示されている。具体的には、1つのカーブは鼻側部領域17の
図23〜24の断面を表し、他のカーブは上側頬、下側頬の各領域18、19の
図25〜27の断面を表し、さらに他のカーブは、下側頬領域19の
図28〜29の断面を表す。図示されているように、クッション10は、その下側領域のほうが柔らかい、又は剛性が小さい。
【0066】
[延在された基礎クッションのばね長さ]
図34Aおよび34Bは、クッション10の選択された領域において典型的な従来技術のクッション、例えばUltraMirage(登録商標)クッション700と比較した場合弱いばね特性をもたらすために用いられる、可撓性を有する基礎クッション30の、延在された長さを示されている。この長さa−bは変形させることができ、したがって、この長さによってばね特性がもたらされる。図示されているように、クッション10の長さa−b(
図34A)は、UltraMirage(登録商標)クッション700(
図34B)と比較した場合、基礎クッション30の曲率のために、かなり長くなる。図示されている実施形態では、クッション10の長さa−bは22.84である。ただし、一実施形態では、クッション10の長さa−bは、16〜30の範囲、好ましくは20〜25の範囲、最も好ましくは22〜24の範囲にすることができる。他の実施形態では、クッション10の長さa−bは、16〜20の範囲にすることができる。長さb−cはかなり硬く、変形してばね特性をもたらすことはない。クッション10において追加された長さは、基礎クッション30の形状を弓状にすることによって達成され、この形状にした結果、空間34が生じる。この追加された長さによって可撓性が加わり、クッション10に対する可動範囲が大きくなる。
図30Jおよび30Kに、部分長さをさらに長くするための、他の実施形態が示されている。
【0067】
[鼻梁領域の膜の構造]
膜32は、患者の鼻梁、鼻の側部、上側頬、下側頬、顎の各領域16、17、18、19、20の周りに効果的な密封を形成するように構成される。本発明の他の態様は、クッション10の鼻梁領域16における膜32の構造に関し、この領域の密封および快適性を改善するように構成されている。
【0068】
具体的には、
図36の好ましい実施形態および
図68の代替実施形態に示されているように、膜32は、鼻梁領域16に細長い稜部(enlongated ridge)35を形成し、傾斜した側部36が細長い頂部(enlongated crest)38を形成するように合流する(meet)。傾斜した側部36のそれぞれは、頂部中心線から30〜60°の範囲(約47°が好ましい)で角度が付いている。頂部38は、1.0〜5.0mmの範囲(約2.5mmが好ましい)の曲率半径を有する。図示されているように、基礎クッション30は、鼻梁領域16にある膜32の下から取り除かれ、それによって、この領域の膜32は、鼻側部領域17に設けられている基礎クッション30の間で自在に動かすことが可能になる。下記に詳細に説明するように、この膜の構造によって、患者の鼻との係合時に急な勾配で反転する部分をつくることが可能になり、それによって鼻梁領域16の嵌め合い、快適性、および密封が改善される。対照的に、UltraMirage(登録商標)クッション700は、この領域では比較的平坦である(
図52参照)。
【0069】
図37の好ましい実施形態および
図69の代替実施形態に示されているように、細長い稜部35の前方端部40は、弓状の構造を有する。前方端部40は、患者の鼻梁領域と係合するように構成され、1.5〜7.0mmの範囲(約4.0mmが好ましい)曲率半径を有する。
【0070】
[鼻梁領域の鋭角的な断面外形]
図10に示すように、鼻梁領域16の膜32は、UltraMirage(登録商標)クッション700(
図48)の対応する部分よりも鋭角的な断面外形を有する。具体的には、膜32は、その内側縁部で終端するように、半径に沿ってクッションの空洞の方に内向きに湾曲する大きい輪郭の部分を備えている。この構成は、患者の鼻梁領域の輪郭又は曲率に、より密接して従う。図示されている実施形態では、膜32は、クッションの顔面接触平面に対して、例えば30〜50°の範囲の角度が付いている。対照的に、UltraMirage(登録商標)クッション700の対応する角度は、約6°である。この構成によって、患者に、より良好な快適性および嵌め合いがもたらされる。
【0071】
[鼻梁領域の平坦部分]
図38に最も良く示されているように、鼻梁領域16は、正面から見て、例えば平坦な鼻梁から鋭角的な鼻梁まで多様な患者に対するより快適な嵌め合いをもたらすように変形できる、例えば膜の湾曲部の頂部にほぼ平坦な部分50を有する。
【0072】
具体的には、本発明の一態様は、例えば鼻梁が低い患者の、「平坦な顔面」に対応できる鼻梁領域16の膜32を提供する。これを実現させるために、クッション10は、点Bより高いまたは同じ高さの上側点Aを有する(
図38参照)。この鼻梁領域16の高さは、患者の鼻梁に対して膜36の表面領域をほぼ平坦に保つロールした縁部と結合される。
患者の鼻梁に対して膜36の表面領域をほぼ平坦に保つことは、膜の縁部での漏れを防止する。
【0073】
ロールした縁部によってまた、より高い鼻梁を収容できる動きが可能になる。この構成は、不快感および患者の痛みを招く可能性がある、膜の「引き延し(stretch)」を行うことなく実現される。例えば、鼻梁領域16でのクッション10の移動量を、例えば41mmのように約40mmよりも大きくすることができる。対照的に、UltraMirage(登録商標)クッション700では、鼻梁領域で約20mmの移動量が与えられる。これらの移動量で、膜は、完全に張り切った状態になる。すなわち力対移動量のグラフ上では、小さい移動量に対して力が急激に上昇し始める点になる(
図38B参照)。
【0074】
いくつかの従来技術クッションの鼻梁領域におけるクッションの移動値は、以下の通りである。
ResMed
TM Activa(登録商標) Nasal Cushion(ResMedTM Activa鼻クッション)−16mm
Respironics Comfort Full Face Cushion(Respironics快適フルフェースクッション)−26mm
ResMed Bubble Nasal Mask Cushion(ResMed気泡鼻マスククッション)−43mm
Healthdyne Soft Series Nasal Mask Cushion(Healthdyneソフトシリーズ鼻マスククッション)−17mm
【0075】
上記の移動値は、クッションがどのくらいの鼻の高さを覆うのか正確に表すものではない。むしろ、こういった移動値は、膜の可撓性および/または範囲のみを示す。以上から、クッション10は、例えばUltraMirage(登録商標)クッション700よりも、可撓性がある、及び/または範囲が広い構成を提供する。
【0076】
鼻梁領域16における膜32の力対移動量のグラフは、比較的小さな力に対して大きな移動量を有する。例えば、
図38Bに示すように、鼻梁領域16のクッション10によってもたらされる移動量は、UltraMirage(登録商標)クッション700のものより大きい。これによって、クッション10は使用中、比較的高さのある鼻梁を収容することが可能になる。また、UltraMirage(登録商標)クッション700の成型された(変形されていない)クッション状態(すなわち、力を加わえていない状態)では、比較的平坦な、すなわち高さのない鼻梁に楽に対応できない。一実施形態では、クッション700の膜は、高さのない鼻梁を有する患者の顔面に接触するために膨張する(blow out)。以上から、クッション10はやはり、UltraMirage(登録商標)クッション700よりも幅広い鼻梁形状に対応することができる。
【0077】
さらに、
図36に示すように、膜の輪郭は、平坦な輪郭または鞍形状と比較すると(例えば、
図52のUltraMirage(登録商標)クッション700と比較して)、急激に高くなっている。また、
図35に示すように、鼻梁領域16の平坦部分は、比較的平坦な平面P1に沿って延在し、この平面P1は、フレーム連結部を画定する平面P2に対して角度Aの角度が付いている。
【0078】
したがって、鼻梁領域16の形状(例えば頂点)、ロールした縁部、および高さにより、比較的小さな力で、大きい移動量がもたらされる。こういった構成は、膜にほとんど力をかけずに、患者の顔面に対する密封を維持しながら、例えば鼻梁が低い人から鼻梁が高い人まで、より広範囲の患者に対応することができる。
【0079】
クッションの様々な領域で可撓性又はクッション移動量を変化させるために、クッションの高さがクッションの外周に沿って変化してよいことに留意されたい。クッションの高さを測定するための基準寸法940(膜の高さとみなしてもよい)、すなわち膜の頂部から膜が基礎クッションと接触するところまでの高さが、
図94Cに示されている。従来技術のクッションの高さを測定するための基準寸法950が、
図95Cに示されている。
【0080】
[膜の開口]
図39〜40Bに示すように、膜32の内側縁部は、患者の鼻および口を受容する開口22を画定する。図示されているように、開口22は、全般に三角形の形状を有する。また、開口22の頂部は、例えば鍵穴などの丸みを帯びた切欠き42を有する。切欠き42により、特に鋭角的な鼻を有する患者など、様々なサイズおよび形状の鼻梁領域による密封が改善される。切欠き42は、1.5〜6.0mmの範囲、好ましくは約3.0mmの曲率半径を有する。この丸みを帯びた鍵穴の形状は、
図40Aに示すように、例えば鍵穴の形状がクッションの内側部分から外側へ延在している、少なくとも3.0mmの長さを有する。
【0081】
[使用中のクッションの鼻梁領域のロール作用]
図41〜45には、患者の鼻と係合した膜32の鼻梁領域16のロール作用を示すために、クッション10の鼻梁領域16の外側表面に用いた手書きの線(hand−marked lines)が含まれている。上記のように、鼻梁領域16の膜32は、
図41に示されているように、細長い頂部38を形成するように合流する傾斜した側部36を含んでいる。患者の鼻梁(小さい棒線で模擬的に示されている)が膜32の鼻梁領域16と係合され(
図42参照)、この膜32が急な勾配で反転する部分44を作り出し、そこで、膜32が鼻側部領域17に設けられた基礎クッション30の間を移動すると、傾斜した側部36がその位置で反転する。膜32がさらに患者の鼻梁と接触すると、
図43に示すように膜32が患者の顔面と一致するので、反転した断面の前縁部46がクッション10の上端のほうに「ロール」する。この構造は、クッション10が、鼻根の高さ(rootdepth at the nose)が比較的低い患者や比較的高い患者を含む、多様な鼻の輪郭を有する患者に対応可能になるので有利である。
図44および45は、完全に反転した位置にある膜32の鼻梁領域16を示している。患者の鼻と係合したときに急な勾配で反転する部分44が生じることによって、より良好な密封をもたらされ、折り目および/または折重ね及びそれらに伴う不快感および漏れの恐れを軽減される。つまり、この構造により、患者快適性および密封に有害になり得る折り目の代わりに、ロール作用が促進される。
【0082】
[代替実施形態]
図54〜71は、クッション510の他の実施形態を示している。各図では、クッション10とほぼ同様のクッション510の部分は、同様の参照番号で示される。
【0083】
図64は、(点線で)UltraMirage(登録商標)Full Faceクッション700の土台壁728、基礎クッション730、および膜732に対して、(実線で)土台壁528、基礎クッション530、およびクッション510の膜532を示している。図示されているように、クッション510は、UltraMirage(登録商標)Full Faceクッション700と異なる断面形を有する。
【0084】
例えば、膜532は、UltraMirage(登録商標)クッション700の膜連結部に対してさらに内側かつ上方の位置で、基礎クッション530に連結される。この構成によって、UltraMirage(登録商標)クッション700に設けられた縦に延びる溝731が大幅になくなる。また、この構成により、例えば、UltraMirage(登録商標)クッション700の対応する部分に対して0〜5mmの範囲で、好ましくは約2.5mmで膜532の幅が狭くなる。この点及び顔面非接触部分512が内向きに移動した結果として、クッション510全体の幅が約5mm(例えば土台ごとに約2.5mm)だけ狭くなり、それによってクッションの突出が小さくなり、材料が節約される。また、膜532の幅が狭くなることによって、クッション510の使用中外向きに突出する、使われない長さが短くなり、したがって漏れを最小限にする、またはなくすのに役立つ。さらに、土台壁528およびフレーム連結部529は、クッションの最も外部の点、例えば基礎クッションの外部表面に対して内側にオフセットされる。
図64はまた、UltraMirage(登録商標)クッション700と比較すると、クッション510の長さa−bのほうが長いことをも示している。
【0085】
図65にはさらに、クッション510の土台壁528、基礎クッション530、および膜532の一実施形態における詳細な構造および寸法が示されている。例えば、空間534の深さは、0〜4.0mmの範囲、好ましくは約3.0mmである。
【0086】
図68には、鼻梁領域516の細長い稜部535が示されている。傾斜した側部536はそれぞれ、頂部中心線から30〜60°の範囲、好ましくは約47°の角度が付いている。頂部538は、1.0〜5.0mmの範囲、好ましくは約2.5mmの曲率半径を有する。
図69に示すように、細長い稜部535の前方端部540は、1.5〜7.0mmの範囲、好ましくは約4.0mmの曲率半径を有する。
【0087】
図70および71には、クッション510の鼻梁領域516にある平坦部分550が示されている。また、
図71に示すように、鼻梁領域516の膜532は、50〜80mmの範囲、好ましくは約65mmの曲率半径を有する第1の部分と、5.5〜9.5mmの範囲、好ましくは約7.5mmの曲率半径を有する第2の部分を有する。図示されている実施形態では、膜532は、クッションの顔面接触平面に対して30〜50°の範囲、好ましくは約40°の角度が付いている。
【0088】
図72〜76には、クッション610の他の実施形態が示されている。
図76に最も良く示されているように、クッションは、少なくとも土台壁628および膜632を含んでいる。図示されているように、鼻梁領域にある膜632の長さ(例えば、膜断面の長さ)は変化してもよい。例えば、膜の長さは、鼻梁領域でより短い長さL
1にするか、より長い長さL
2にするか選択されることもできる。
【0089】
図74および75に示すように、移動されたクッション膜が(患者の顔の輪郭上に点線で示すように)患者の顔面に嵌め合わされたとき、膜の長さは患者の鼻上で長さを調節される。この構成により、余分なクッション膜が患者の鼻の極端に下方に位置し例えば、鼻梁の高さがない患者では特に)、それによって顔に不快感がもたらされ、患者の鼻の肌に跡が付く恐れがある潜在的可能性が回避される。
【0090】
図77〜83には、クッション810の他の実施形態が示されている。クッション810は、土台壁828、その下にある基礎支持クッション830、および膜832を含む。
上記のように、基礎クッション830は、クッション810の横側のみに設けられるのが好ましい。
【0091】
土台壁828は、クッションの最も外部の点、例えば膜または基礎クッションの外部表面に対して内側にオフセットすることができる。この構成により、クッション外周に沿ってクッション可撓性(横および/または縦向き)を変化させるために、クッションの外周に沿って変化させることができるばね特性がもたらされる。例えば、下にある患者の顔の構造のために変化する可能性のある各領域の密封の必要条件に合わせるように、クッションの剛性を各クッション領域で変化させることができる。つまり、クッションの側部に沿って(例えば、「硬い」から「柔らかい」まで)付勢する程度は変化させることができる。
【0092】
例えば、
図77〜83に、クッション810の3つの異なった領域R1、R2、R3にわたる断面が示されている。
図81に示すように、土台壁828、基礎クッション830、および膜832は、比較的直線的な外部表面880を画定するように協働する。これによって、例えば硬質すなわち剛性特性など、領域R1における最小のばね成分がもたらされる。
【0093】
図82に示すように、土台壁828、基礎クッション830、および膜832は、比較的直線的な構造から湾曲した構造へ移行する外部表面882を画定するように協働する。
これは、領域R1よりも可撓性のあるばね成分のための比較的小さいオフセットを設けている。
【0094】
図83に示すように、土台壁828、基礎クッション830、および膜832は、土台壁828から外向きに湾曲する外部表面884を画定するように協働する。これによって、例えば軟質又は可撓特性など、領域R3の最適なばね成分のための比較的大きいオフセットが設けられる。
【0095】
したがって、クッション810は、その外周の可撓性の変化もたらすように設計することができる。それによって、クッション810が多様な顔の形状と一致することが可能になる。
【0096】
図84〜90には、クッション910の他の実施形態が示されている。クッション910は、土台壁928、基礎支持クッション930、および膜932を含む。図示されているように、基礎クッション930は、例えば、鼻梁領域および顎領域には基礎クッションがない(
図88参照)のように、クッション910の横側のみに設けられるのが好ましい。
【0097】
図90に示すように、土台壁928は、
図89と比較したとき、膜932の方にテーパを付いけるテーパ部分990を含む。この構成は、成形性を改善することができる。
【0098】
図91には、
図34Aのクッション10の代替構成が示されている(
図34Aの構成は点線(dashed lines)で示されている)。図示されているように、材料が側壁28から取り除かれ、空間又は間隙34が
図34Aの構成に対して縮小されている。
図91のこの構成により、
図34Aの以前の移動量に対して、移動量が増加する。この増加された移動量は、側壁28の変化された幾何学的形状によって実現される。間隙34は、クッションの外周に沿って変化しても一定でもよいことに留意されたい。
【0099】
図92には、
図34Aのクッション10の代替構成が示されている(
図34Aの構成は点線(dashed lines)で示されている)。図示されているように、一部の材料が側壁28から取り除かれ、空間又は間隙34が
図34Aの構成に対して縮小されている。
図92のこの構成により、
図34Aの以前の移動量に対して、移動量が増加する。この増加した移動量は、側壁28の変化された幾何学的形状によって実現される。この構成では、クッションの外周または局所的に剛性を追加するために、土台壁28の断面を厚くする必要があってもよい。剛性化するには、必要な場所に局所的なリブを付けることによって実現してもよい。
【0100】
図93には、
図15に示されているクッション10の代替構成が示されている。図示されているように、鍵穴形の切欠き(患者の鼻梁領域を受容するためのもの)は、マスクサイズが小さくなるほど、大きくしてもよい。例えば、特別小さいサイズのマスクでは、大きいサイズのマスクよりも切欠きが大きい。
【0101】
(例えば、
図23〜29に示すように)患者の顔面の特定の領域におけるクッションの断面設計は、特定の領域又はクッション外周の任意の領域にあってもよいことに留意されたい。つまり、断面設計は、特定された領域に限定されるべきではない。また、
図91および92に示されている断面は、クッション外周の任意の点で使用されることができる。
【0102】
最も実用的かつ好ましい実施形態であると現在みなされるものに関して本発明を説明したが、本発明は、説明した実施形態に限定されるべきではなく、本発明の趣旨および範囲内に含まれる様々な変更形態および等価な配置を包含するためのものであると理解されたい。また、上述の様々な実施形態は、他の実施形態と共に実施してもよい。例えば、一実施形態の態様は、他の実施形態の態様と組み合わせて、さらに他の実施形態を実現することができる。さらに、本発明は、OSAを患っている患者に特に適用されるが、他の病気(例えば、鬱血性心不全(congestive heart failure)、糖尿病(diabetes)、病的肥満(morbid obesity)、脳卒中(stroke)、肥満手術(barriatric surgery)など)を患っている患者が、上述の教示から利益を得ることができることも理解されたい。さらに、上記の教示は、患者にも非医療用途の非患者にも同様に適応性を有する。