【解決手段】回転体が下部回転盤312、下部フランジ313、テーブル314及び上部取付盤315を有する。その回転体はモーター310によって回転駆動される。上部取付盤315の外周面に歯車400が設けられている。把持機構10が軌道101に沿って配列され、把持機構10の隣り同士が連結リンク11によって連結されている。把持機構10には上部ローラ62が設けられている。上部ローラ62は歯車400に噛み合う。
臼孔が軸線回りの周方向に配列されるように設けられたテーブルと、前記テーブルの下方に配置される下部取付部と、前記テーブルの上方に配置される上部取付部と、を有する回転体と、
前記各臼孔の下に配置され、前記下部取付部に上下方向に摺動可能に支持され、前記各臼孔に供給される粉末を圧縮する下杵と、
前記各臼孔の上に配置され、前記下部取付部に上下方向に摺動可能に支持され、前記粉末を圧縮する上杵と、
前記回転体を前記軸線回りに回転駆動する駆動部と、
前記回転体の外周面において前記周方向に配列された歯を有する歯車と、
前記回転体の回転による前記臼孔の公転軌道に部分的に重なる閉じた軌道に沿って間隔をおいて配列された状態で連結され、物品を保持するとともに前記物品を前記臼孔に供給する保持部と、
前記各保持部に設けられ、前記歯車の前記歯間に係合する係合部材と、
を備える圧縮成形装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
1. 圧縮成形装置
図1は、圧縮成形装置の上面図である。
圧縮成形装置は、コンベヤ200、供給装置100、打錠機300(
図14参照)及び歯車400(
図14参照)を備える。なお、歯車400はスプロケットともいう。
【0014】
コンベヤ200は、物品としてのチップ1を所定の位置P1に搬送する。コンベヤ200は、複数の吸着ノズル及び無端部材を有する。無端部材は無端ベルト又は無端チェーンである。複数の吸着ノズルが無端部材の周方向に等間隔で無端部材に取り付けられている。無端部材がモーター等によって駆動されると、吸着ノズルが無端部材によって周方向に牽引される。これにより、吸着ノズルに吸着されたチップ1が位置P1へ搬送されつつ、チップ1が上昇される。
【0015】
チップ1はICチップ、無線通信素子、能動素子、受動素子、RFID、ICタグその他の電子部品である。なお、チップ1はICチップ等のような小型電子部品に限るものではなく、例えば小錠剤、固形薬剤等であってもよい。
【0016】
供給装置100は、コンベヤ200によって位置P1まで搬送されたチップ1を受け取って、チップ1を位置P1から所定の位置P2まで搬送して、位置P2において下流の打錠機300に受け渡す。
【0017】
打錠機300は、チップ1入りの粉末を圧縮することによって粉末から錠剤を成形する。打錠機300の動力が歯車400によって供給装置100に伝達されて、供給装置100が動作する。
【0018】
以下、供給装置100、打錠機300及び歯車400の詳細について説明する。
【0019】
2. 供給装置
供給装置100は、保持部としての複数の把持機構10を備える。これら把持機構10が、閉じた軌道101の全周に亘って、軌道101に沿って等間隔で配列されている。
図2は、これら把持機構10の列を示した斜視図である。
図2に示すように、供給装置100は複数の連結リンク11を備え、把持機構10と連結リンク11が交互に軌道101に沿って配列されている。隣り合う把持機構10は連結リンク11によって連結されている。
図1において、チップ1を見やすくするために、全ての把持機構10を図示するのではなく、一部の把持機構10を図示する。なお、連結リンク11を連結部材ともいう。
図1では、軌道101の形状が三角形である。軌道101のうち区間101aは三角形の最も短い辺に相当し、その区間101aは円弧状に湾曲している。この区間101aは打錠機300に重なっている。位置P2は区間101a内にある。
【0020】
図3は、把持機構10の側面図である。
図3では、把持機構10とともにガイドレール102〜105及びカム106,107が示されている。
図3に示すように、供給装置100はガイドレール102〜105及びカム106,107を更に備える。把持機構10は、ガイドレール102〜105によって案内されて、打錠機300のモーター310(
図14参照)の動力によって軌道101に沿って周回する。把持機構10が一周する過程において、把持機構10が位置P1を通過する時に、把持機構10がチップ1を保持することによってコンベヤ200からチップ1を受け取る。チップ1の把持後に把持機構10が位置P2を通過する時に、その把持機構10がそのチップ1を突き落とすことによってそのチップ1を打錠機300に供給する。
【0021】
ガイドレール102〜105は、軌道101に沿って設けられている。ガイドレール103,105は、軌道101の全周に亘って設けられている。ガイドレール102,104は、軌道101のうち区間101a以外の区間に亘って設けられている。なお、
図1において、把持機構10、チップ1及びカム106,107を見やすくするために、ガイドレール102〜105の図示を省略する。
【0022】
カム106は、把持機構10の移動運動を把持機構10の把持運動に変換する。把持機構10の移動運動とは、把持機構10が軌道101に沿って移動する動作のことをいう。把持機構10の把持運動とは、把持機構10がチップ1を把持する動作のことをいう。
【0023】
図1に示すように、カム106は、軌道101の一部に亘って軌道101に沿って設けられている。より具体的には、カム106は、位置P1よりも上流の位置P11から、その位置P1よりも下流の位置P14までの区間に設けられている。
図1に示す位置P12は位置P11と位置P1の間にあり、位置P13は位置P12と位置P1の間にある。位置P12から位置P14までの区間は、コンベヤ200によるチップ1の搬送経路に重複する。
【0024】
カム107は、把持機構10の移動運動を把持機構10の突き落とし運動に変換する。把持機構10の突き落とし動作とは、把持機構10が、把持したチップ1を突き落とす動作をいう。
【0025】
図1に示すように、カム107は、区間101a内において軌道101に沿って設けられている。より具体的には、カム107は、位置P2よりも上流の位置P21から、位置P2よりも下流の位置P23までの区間に設けられている。位置P22は位置P2と位置P23の間にある。位置P21から位置P23までの区間は区間101aに重なっている。区間101aは位置P14よりも下流にある。
【0026】
3. 把持機構
図4〜
図10を参照して、把持機構10について詳細に説明する。ここで、
図4は、把持機構10をその前方、上方且つ左方から見た斜視図である。
図5は、把持機構10をその前方、下方且つ左方から見た斜視図である。
図6は、把持機構10をその後方、上方且つ右方から見た斜視図である。
図7は、把持機構10をその後方、下方且つ右方から見た斜視図である。
図8は、把持機構10の上面図である、
図9は、把持機構10の底面図である。
図10は、把持機構10の正面図である。
【0027】
(1) ベース、固定ブロック及びシャフト
把持機構10は、ベース21、固定ブロック61及び一対のシャフト41を備える。
【0028】
ベース21は、下から見て、台形に形作られている。そのため、ベース21の左右の長さ(幅)は、前面から後面に向かって漸減する。ベース21の下面の後縁には、凸部22がその後縁に沿って形成されている。
【0029】
ベース21の上面の前部には、2本のシャフト41が立てられた状態に取り付けられている。左右のシャフト41の上端部が固定ブロック61の左右端部の挿入孔に挿入され、固定ブロック61がねじ等によってこれらシャフト41に固定されている。固定ブロック61によって2本のシャフト41が平行に保たれている。
【0030】
把持機構10には、一対の上部ローラ62及び一対の下部ローラ63が設けられている。具体的には、固定ブロック61の下において、上部ローラ62がそれぞれシャフト41の上部に回転可能に取り付けられている。上部ローラ62の下において、下部ローラ63がシャフト41の上部に回転可能に取り付けられている。上部ローラ62と下部ローラ63は上下に離間している。以上のように取り付けられた上部ローラ62及び下部ローラ63によって把持機構10が走行可能である。
【0031】
以上のようにベース21、固定ブロック61、一対の上部ローラ62、一対の下部ローラ63及び一対のシャフト41から組み立てられた部分組立体は、これら全体として、平面に関して面対称である。この平面は、シャフト41の軸に平行であるとともに、これらシャフト41の中間点を通る。以下、この平面を対称面という。
【0032】
図3に示すように、ベース21の前側が軌道101の外側に向けられている。ベース21は、軌道101のうち区間101a以外の区間において、ガイドレール102上に載っている。ベース21がガイドレール102上においてガイドレール102に対して摺動する。凸部22がガイドレール102の側部に対して摺動する。よって、ベース21は、軌道101のうち区間101a以外の区間において、ガイドレール102によって案内される。なお、区間101a内では、ベース21が後述のテーブル314の上に載る。
上部ローラ62は、軌道101のうち区間101a以外の区間において、内周ガイドレール103と外周ガイドレール104との間に挟まれている。上部ローラ62は、区間101aにおいて、内周ガイドレール103に接する。上部ローラ62は内周ガイドレール103及び外周ガイドレール104に対して摺動する。よって、上部ローラ62が内周ガイドレール103及び外周ガイドレール104によって案内される。
下部ローラ63は内周ガイドレール105に対して摺動する。よって、下部ローラ63が内周ガイドレール105によって案内される。
【0033】
図2に示すように、隣り合う把持機構10が連結リンク11によって連結されている。具体的には、連結リンク11の一端が左側の把持機構10の右のシャフト41に回転可能に連結され、連結リンク11の他端が右側の把持機構10の左のシャフト41に回転可能に連結されている。各把持機構10の2本のシャフト41の間隔は、各連結リンク11によって連結された2本のシャフト41の間隔に等しい。
【0034】
(2) チップを把持する機構について
図4〜
図10に示すように、把持機構10は、リンク機構33、固定駒36、摺動駒37、弾性バネ38、カムフォロワー39及び一対のフィンガ30を備える。リンク機構33は、スライダ34及び一対のリンク35を備える。
【0035】
ベース21上において、フィンガ30の基端部がそれぞれシャフト41の下部に回転可能に連結されている。フィンガ30が、ベース21の上面の前縁21a(
図11参照)から前に延び出て、その先において下方に折れ曲がって、その先において前方に折れ曲がっている。フィンガ30の先端部位の側部には窪み31が形成されており、一方のフィンガ30の窪み31と他方のフィンガ30の窪み31が互いに向き合う。
【0036】
フィンガ30がシャフト41周りに回転する。これにより、フィンガ30は、先端同士が互いに左右方向に接離するように開閉する。つまり、フィンガ30が開くと、フィンガ30の先端同士が互いに離間する。一方、フィンガ30が閉じると、フィンガ30の先端同士が互いに近づく。フィンガ30が閉じることによって、チップ1が窪み31に収まるようにしてフィンガ30の先端部同士の間に挟まれる。
【0037】
フィンガ30の開閉動作は、スライダ34及び一対のリンク35からなるリンク機構33によって実現される。
図11及び
図12を参照して、リンク機構33について説明する。
図11は、ベース21、フィンガ30及びリンク機構33の上面図である。
図12は、
図11において切断箇所をXII−XIIによって表した切断面の断面図である。
【0038】
ベース21の上面にはガイド溝23が形成されている。このガイド溝23は、左右のシャフト41の間において、ベース21の上面の前縁21aから後縁21bまで前後に延在している。スライダ34がガイド溝23に嵌められて、スライダ34がガイド溝23によって前後方向に案内される。スライダ34及びガイド溝23の左右方向の位置は、ベース21の上面の左縁と右縁の間の中間である。
【0039】
リンク35の一端部がスライダ34の前端部に回転可能に連結され、リンク35の他端部がフィンガ30の中間部に回転可能に連結されている。スライダ34がガイド溝23に沿って前に移動すると、フィンガ30が開く。一方、スライダ34がガイド溝23に沿って後ろに移動すると、フィンガ30が閉じる。
【0040】
スライダ34の後端部にはカムフォロワー39が回転可能に取り付けられている。カムフォロワー39は、把持機構10の移動運動に伴って、
図1及び
図3に示すカム106に対して摺動する。
【0041】
図12に示すように、ベース21、スライダ34、カムフォロワー39、一対のフィンガ30及び一対のリンク35から以上のように組み立てられた部分組立品は、前述の対称面に関して面対称である。
【0042】
図11及び
図12に示すように、フィンガ30は弾性バネ38の弾性力によって閉じられる。弾性バネ38は以下のようにしてベース21及びスライダ34に設けられている。
前後方向に長尺なガイド穴34aがスライダ34を上下に貫通している。一方、ベース21のガイド溝23の底には、前後方向に長尺な凹部24が形成されている。固定駒36が凹部24及びガイド穴34aの前部に挿入されているとともに、凹部24の前端に当接する。一方、摺動駒37が凹部24及びガイド穴34aの後部に挿入されて、ガイド穴34aの後端に当接する。弾性バネ38が凹部24及びガイド穴34aに挿入されて、固定駒36と摺動駒37との間に挟まれている。
【0043】
弾性バネ38は固定駒36を介してベース21から反力を取って、摺動駒37及びスライダ34を後方に付勢する。このような弾性バネ38の弾性力によってスライダ34が後方に押される。従って、カムフォロワー39がカム106に接していない場合、フィンガ30が閉じた状態である。一方、カムフォロワー39がカム106によって前方に押されることによってスライダ34が弾性バネ38の弾性力に抗して前方に移動すると、フィンガ30が開いた状態になる。
【0044】
(3) チップを突き落とす機構について
把持機構10は、下部ホルダ42、一対のスペーサ44、上部ホルダ45、リニアガイド47、昇降ブロック50、昇降レバー51、取付アーム52及び突きピン55を備える。
【0045】
図13は、
図10において切断箇所をXIII−XIIIによって表した切断面の断面図である。
図10及び
図13等に示すように、左のシャフト41が、下から順に、左のフィンガ30の基端部の挿入孔、下部ホルダ42の左端部の挿入孔、筒状のスペーサ44、上部ホルダ45の左端部に挿入されている。同様に、右のシャフト41が、下から順に、右のフィンガ30の基端部の挿入孔、下部ホルダ42の右端部の挿入孔、筒状のスペーサ44、上部ホルダ45の右端部に挿入されている。
下部ホルダ42の左右端部がねじ等によって左右のシャフト41にそれぞれ締め付けられている。上部ホルダ45の左右端部がねじ等によって左右のシャフト41にそれぞれ締め付けられている。上部ホルダ45と下部ホルダ42の間隔が左右のスペーサ44によって維持されている。
【0046】
図4〜
図10及び
図13に示すように、下部ホルダ42の右側と左側の間の中間部には、ブラケット43が下部ホルダ42と一体的に設けられている。ブラケット43は、下部ホルダ42の中間部から前に延出する。上部ホルダ45の右側と左側の間の中間部には、ブラケット46が上部ホルダ45と一体的に設けられている。ブラケット46は、上部ホルダ45の中間部から前に延出する。ブラケット43とブラケット46はこれらの間に間隔を置いて上下に並列されている。
【0047】
図8〜
図10に示すように、以上のようにシャフト41に組み付けられた下部ホルダ42、ブラケット43、上部ホルダ45、ブラケット46及び左右一対のスペーサ44は、これら全体として、前述の対称面に関して面対称となっている。
【0048】
図4〜
図10及び
図13に示すように、リニアガイド47はリニアシャフト48及びスライダ49を有する。リニアガイド47は、以下のようにして、ブラケット43,46に取り付けられている。
【0049】
リニアガイド47のリニアシャフト48の上部がブラケット46にねじ等により固定されている。リニアシャフト48の下部がブラケット43にねじ等により固定されている。リニアガイド47のスライダ49がリニアシャフト48に挿入されて、リニアシャフト48に沿って上下にスライド可能に設けられている。
【0050】
昇降ブロック50がリニアガイド47によって上下方向に案内されている。この昇降ブロック50は、スライダ49を抱え込むようにして、ねじ等によってスライダ49に固定されている。昇降ブロック50がスライダ49と一体となってリニアシャフト48によってリニアシャフト48に沿って上下動する。
【0051】
昇降ブロック50の後面の中央には、昇降レバー51が昇降ブロック50と一体的に設けられている。昇降レバー51は、昇降ブロック50の後面の中央から、下部ホルダ42、上部ホルダ45及び一対のスペーサ44によって囲われた領域を通って、下部ホルダ42、上部ホルダ45及び一対のスペーサ44の後方へ延出している。昇降レバー51の後端部には、カムフォロワー59が回転可能に取り付けられている。昇降レバー51の前後長がスライダ34の前後長よりも短く、カムフォロワー59がカムフォロワー39よりもシャフト41に寄って配されている。
【0052】
昇降ブロック50の前面には取付アーム52がねじ等によって取り付けられている。取付アーム52は、昇降ブロック50の前面から前方に延出している。取付アーム52の先端部には、突きピン55が取付アーム52の先端部の下面から下方に突き出るように設けられている。
【0053】
昇降レバー51の下面には、凹部51aが形成されている。一方、下部ホルダ42の上面には、凹部42aが形成されている。凹部51aと凹部42aが上下に対向する。凹部51a及び凹部42aには弾性バネ58が差し込まれている。
【0054】
弾性バネ58は下部ホルダ42から反力を取って、昇降レバー51を上方に付勢する。このような弾性バネ58の弾性力によって昇降レバー51が押し上げられる。従って、カムフォロワー59がカム107に接していない場合、昇降レバー51が下部ホルダ42から上方に離間した状態である。よって、突きピン55は、フィンガ30が閉じた場合の一方のフィンガ30の窪み31と他方のフィンガ30の窪み31との間の隙間の上方に位置する。
【0055】
一方、カムフォロワー59がカム107によって下方に押されることによって、昇降レバー51、昇降ブロック50、取付アーム52及び突きピン55が弾性バネ58の弾性力に抗して下降する。従って、突きピン55が一方のフィンガ30の窪み31と他方のフィンガ30の窪み31との間の隙間に挿入される。
【0056】
4. 打錠機
図1に示すように、打錠機300が軌道101の外側に設けられており、区間101aが打錠機300の一部に重なっている。
【0057】
図14は、打錠機300の縦断面図である。
図15は、
図14に示すXIVの部分の拡大図である。
図16は、打錠機300の下部回転盤312、上部取付盤315、複数の下杵322及び複数の上杵323の斜視図である。
図17は、下杵322及び上杵323の動きを示した円筒投影図である。
図17では、下部回転盤312及び上部取付盤315を囲う円筒面に下杵322及び上杵323を投影して、その円筒面を展開して示す。
【0058】
打錠機300の機枠内の下部にモーター310が設けられている。回転シャフト311は、駆動部としてのモーター310に直結されているか、伝動機構を介してモーター310に連結されている。回転シャフト311は、ベアリング等によって、立てられた状態に支持されている。回転シャフト311の軸線が上下方向に延在し、回転シャフト311がベアリングによってその軸線回りに回転可能に設けられている。
【0059】
回転シャフト311の上端には下部回転盤312が取り付けられている。下部回転盤312の上部には、上部取付部としての上部取付盤315が取り付けられている。回転シャフト311、下部回転盤312及び上部取付盤315はモーター310によって回転駆動される。上部取付盤315の外周部は下部回転盤312の上端の外縁から外側に延出している。
【0060】
下部回転盤312の外周面の下部には、下部取付部としての下部フランジ313が下部回転盤312の外周面の全周に亘って設けられている。下部回転盤312の外周面の中間部には、テーブル314が回転シャフト311の軸線に関する径方向外側に延出するように設けられている。テーブル314は、下部回転盤312の外周面の全周に亘って設けられている。上部取付盤315の外周部は、テーブル314の上方に配置されている。下部フランジ313は、テーブル314の下方に配置されている。
以上のように設けられた下部回転盤312、下部フランジ313、テーブル314及び上部取付盤315を有する構成要素が、回転体である。
【0061】
下部フランジ313、テーブル314及び上部取付盤315の一部分は、把持機構10の軌道101のうち区間101aに重複する(
図1参照)。
テーブル314の上面とガイドレール102(
図3参照)の上面は高さが揃っている。ガイドレール102の一端及び他端がテーブル314の外周面に近接しており、テーブル314の上面とガイドレール102の上面が面一となっている。
外周ガイドレール104の一端及び他端は、上部取付盤315の外周面に近接する。
【0062】
区間101a内の把持機構10のベース21はテーブル314の上に載っている。ベース21の後部がテーブル314の上面の外縁から外側にはみ出ており、凸部22がテーブル314の外周面に当接する。
【0063】
テーブル314には、複数の臼320が回転シャフト311の軸線回りの周方向に所定ピッチで取り付けられている。臼320はダイ(die)ともいう。各臼320には、臼孔321が上下に貫通するように形成されており、その臼孔321はテーブル314の上面及び下面において開口する。これら臼孔321も回転シャフト311の軸線回りの周方向に所定ピッチで配列されている。なお、複数の臼320がテーブル314に取り付けられることによって複数の臼孔321がテーブル314に設けられることに限らず、複数の臼孔321がテーブル314を上下に貫通するようにテーブル314に直接形成されるものとしてもよい。
【0064】
下部フランジ313には、複数の下杵322が回転シャフト311の軸線回りの周方向に所定ピッチで取り付けられている。これら下杵322は、下部フランジ313に対して上下に摺動可能となって下部フランジ31に支持されている。下杵322は臼孔321の真下にそれぞれ配置されており、下杵322が上昇すると下杵322の上端が臼孔321に差し込まれる。
【0065】
上部取付盤315には、複数の上杵323が回転シャフト311の軸線回りの周方向に所定ピッチで取り付けられている。これら上杵323は、上部取付盤315に対して上下に摺動可能となって上部取付盤315に支持されている。上杵323は臼孔321の真上にそれぞれ配置されており、上杵323が上昇すると上杵323の下端が臼孔321に差し込まれる。杵322,323はパンチ(punch)ともいう。
【0066】
下部回転盤312及び上部取付盤315がモーター310によって回転駆動されると、臼320、下杵322及び上杵323が回転シャフト311の軸を中心にして公転する。臼孔321、上杵323及び下杵322の公転軌道の一部は、区間101aにおけるフィンガ30の先端部位(特に、窪み31)の軌道に重なっている。
【0067】
下部回転盤312の下には、カム部材331が設けられている。このカム部材331は打錠機300の機枠に固定されている。そのため、下部回転盤312が回転しても、カム部材331が回転しない。カム部材331の上面には、カム面332が回転シャフト311の軸線回りの周方向に設けられている。下杵322の下端がカム面332に当接する。
図17に示すように、カム面332は、下杵322の公転運動を下杵322の昇降運動に変換する。下杵322の上端はカム面332によって常時臼孔321に差し込まれた状態となっている。
【0068】
図14及び
図15に示すように、上部取付盤315の上には、カム部材333が設けられている。このカム部材333は打錠機300の機枠に固定されている。そのため、上部取付盤315が回転しても、カム部材333が回転しない。カム部材333の外周面には、カム面334が回転シャフト311の軸線回りの周方向に設けられている。上杵323の頭部がカム面334の上からカム面334に当接する。
図17に示すように、カム面334は、上杵323の公転運動を上杵323の昇降運動に変換する。
【0069】
図17に示すように、位置P51〜P59は、下杵322の公転軌道上にある。公転する下杵322は、位置P51〜P59を順に通過する。位置P61〜P69は、上杵323の公転軌道上にある。公転する上杵323は位置P61〜P69を順に通過する。位置P51は位置P61の下に、位置P52は位置P62の下に、位置P53は位置P63の下に、位置P54は位置P64の下に、位置P55は位置P65の下に、位置P56は位置P66の下に、位置P57は位置P67の下に、位置P58は位置P68の下に、位置P59は位置P69の下に位置する。
【0070】
位置P59から位置P51までの区間では、下杵322はカム面332によって上昇した状態に保たれる。その区間では、下杵322の上端の位置が臼320の上面の位置に揃っているか、その上端が臼320の上面から上に突き出ている。
位置P51から位置P54までの区間では、下杵322はカム面332によって下降する。
位置P54から位置P58までの区間では、下杵322はカム面332によって下降した状態に保たれる。その区間では、下杵322の上端は臼320の臼孔321に差し込まれている。
位置P58から位置P59までの区間では、下杵322はカム面332によって上昇する。
【0071】
位置P69から位置P64までの区間では、上杵323がカム面334によって上昇した状態に保たれる。その区間では、上杵323の下端が臼320の臼孔321から上に抜けている。
位置P64から位置P65までの区間では、上杵323がカム面332によって下降し、上杵323の下端が臼320の臼孔321に僅かに差し込まれる。
位置P65から位置P68までの区間では、上杵323はカム面332によって下降した状態に保たれる。その区間では、上杵323の上端は臼320の臼孔321に差し込まれている。
位置P68から位置P69までの区間では、上杵323はカム面332によって上昇する。
【0072】
位置P51と位置P52との間の位置の上には、粉末供給機351が設けられている。位置P53と位置P54の間の位置の上には、粉末供給機352が設けられている。粉末供給機351,352はテーブル314の上面の上に配置されている。粉末供給機351,352はテーブル314と一緒に回転することはない。粉末供給機351,352は臼320の臼孔321に粉末を供給する。
【0073】
位置P56の下には、予圧ロール341が設けられている。位置P66の上には、予圧ロール343が設けられている。予圧ロール341と予圧ロール343は上下に対を成す。位置P56,P66では、カム面332,334が切り欠かれており、下杵322の下端がカム面332に支持されず、上杵323の頭部がカム面334に支持されない。そのため、位置P56,P66では、予圧ロール341が下杵322を上に押圧し、予圧ロール343が上杵323を下に押圧する。予圧ロール341,343の圧力を受けた杵322,323は、杵322,323の間に挟まれた粉末を圧縮する。
【0074】
位置P57の下には、本圧ロール342が設けられている。位置P67の上には、本圧ロール344が設けられている。本圧ロール342と本圧ロール344は上下に対を成す。位置P57,P67では、カム面332,334が切り欠かれており、下杵322の下端がカム面332に支持されず、上杵323の頭部がカム面334に支持されない。そのため、位置P57,P67では、本圧ロール342が下杵322を上に押圧し、本圧ロール344が上杵323を下に押圧する。本圧ロール342,344の圧力を受けた杵322,323は、杵322,323の間に挟まれた粉末を圧縮する。
【0075】
図1に示すように、位置P62から位置P63の区間は、把持機構10の軌道101のうち区間101aに重複する。
【0076】
5. 歯車
歯車400は打錠機300に設けられている。より具体的には、
図18に示すように、歯車400は上部取付盤315の外周面に取り付けられている。なお、歯車400が上部取付盤315の外周面に直接形成されていてもよい。
【0077】
歯車400は複数の歯401を有し、これら歯401が上部取付盤315の外周面の全周に亘って回転シャフト311の軸線回りの周方向に所定ピッチで配列されている。これら歯401のピッチを回転シャフト311の軸線における中心角で表し、臼孔321のピッチを回転シャフト311の軸線における中心角で表した場合、臼孔321のピッチは歯401のピッチの2倍に等しい。
【0078】
区間101a内の把持機構10に設けられた上部ローラ62は、歯車400の歯401間に係合して、歯車400に噛み合う。そのため、上部ローラ62は係合部材ともいう。
歯401のピッチを回転シャフト311の軸線における中心角で表し、区間101a内における上部ローラ62のピッチを回転シャフト311の軸線における中心角で表した場合、歯401のピッチと上部ローラ62のピッチは互いに等しい。
【0079】
6. 錠剤成形装置の動作
続いて、錠剤成形装置の動作について説明する。
打錠機300のモーター310が下部回転盤312、上部取付盤315及び歯車400を回転駆動する。下部回転盤312及び上部取付盤315の回転により、臼320、下杵322及び上杵323が公転する。臼320、下杵322及び上杵323が一周する間の打錠機300の動作については、後に詳細に説明する。
【0080】
回転する歯車400が把持機構10及び連結リンク11を牽引する。そのため、把持機構10がガイドレール102〜105によって案内されて、軌道101に沿って移動する。把持機構10が軌道101を一周する際には、把持機構10が位置P11、位置P12、位置P13、位置P1、位置P14、位置P21、位置P2、位置P22、位置P23の順に通過する。
【0081】
6−1. 供給装置の動作
以下に、把持機構10が軌道101に沿って一周する間の把持機構10の動作について詳細に説明する。ここで、
図19はカム曲線A,Bを示した図である。カム曲線Aは、カム106により開閉するフィンガ30の運動曲線である。カム曲線Aについての縦軸はフィンガ30の開き度合いを表す。カム曲線Bは、カム107によって昇降する突きピン55の運動曲線である。カム曲線Bについての縦軸は突きピン55の下端の位置を表す。
【0082】
(1)位置P23〜位置P11
把持機構10が位置P23から位置P11まで移動する際には、カムフォロワー39がカム106に接触していない。そのため、フィンガ30が閉じた状態である。また、カムフォロワー59もカム107に接触していない。そのため、突きピン55は、一方のフィンガ30の窪み31と他方のフィンガ30の窪み31との間の隙間から上昇した状態である。
【0083】
(2)位置P11〜位置P12
把持機構10が位置P11に到達すると、
図20に示すようにカムフォロワー39がカム106に当接する。把持機構10が位置P11から位置P12まで移動する際には、カムフォロワー39がカム106によって軌道101の外向きに押される。そうすると、
図19及び
図20に示すように、スライダ34が弾性バネ38の弾性力に抗して軌道101の外向きに移動して、フィンガ30が開く。把持機構10が位置P12に到達すると、フィンガ30が最も開いた状態となる。
【0084】
把持機構10が位置P12に到達する時には、チップ1もコンベヤ200によって位置P12の下にまで搬送される。より具体的には、チップ1は、位置P12に到達した把持機構10の一方のフィンガ30の窪み31と他方のフィンガ30の窪み31との間の隙間の下方の位置にまで搬送される。
【0085】
(3)位置P12〜位置P13
把持機構10が位置P12から位置P13まで移動する際には、ベース21に対するカムフォロワー39及びスライダ34の相対的な位置がカム106によって維持される。そうすると、
図19及び
図20に示すように、フィンガ30が開いた状態に維持される。
【0086】
また、チップ1は把持機構10と並んで、コンベヤ200によって位置P12から位置P13まで搬送される。ここで、コンベヤ200の無端部材が位置P12から位置P13にかけて上りに勾配しているため、チップ1が上昇する。
【0087】
把持機構10が位置P13に到達する時には、チップ1の高さがフィンガ30の先端の高さに揃う。そのためチップ1は、一方のフィンガ30の窪み31と他方のフィンガ30の窪み31との間の隙間に下から入り込む。
【0088】
(4)位置P13〜位置P14
把持機構10が位置P13から位置P14まで移動する際には、カムフォロワー39がカム106に接触した状態で、そのカムフォロワー39が弾性バネ38によって軌道101の内向きに押される。そうすると、
図19及び
図20に示すように、スライダ34が軌道101の内向きに移動して、フィンガ30が閉じる。把持機構10が位置P14に到達するまでの間に、フィンガ30がそれらの先端部同士の間にチップ1を把持する。これにより、チップ1が窪み31に収まった状態でフィンガ30に保持される。
【0089】
フィンガ30がチップ1を把持する時の把持機構10の位置が位置P1である。フィンガ30がチップ1を把持した後は、弾性バネ38の弾性力がフィンガ30の把持力となる。フィンガ30がチップ1を把持すると、フィンガ30がそれ以上閉じることができない。そのため、フィンガ30がチップ1を把持した後は、把持機構10が位置P14に到達する前でも、カムフォロワー39がカム106から離れる。
【0090】
(5)位置P14〜位置P21
把持機構10が位置P14から位置P21まで移動する際には、カムフォロワー39がカム106に接触していない。そのため、フィンガ30がチップ1を把持した状態であり、これによりチップ1が搬送される。また、カムフォロワー59もカム107に接触していない。そのため、突きピン55は、チップ1から上に離間した状態である。
【0091】
また、把持機構10のベース21がガイドレール102の上からテーブル314の上に載り移る。把持機構10のフィンガ30がテーブル314と上部取付盤315との間に入る。
【0092】
(6)位置P21〜位置P22
把持機構10が位置P21に到達する時には、下部回転盤312の回転により臼孔321が位置P21の下に到達して、フィンガ30に把持されたチップ1が臼孔321の上に重なる。そして、把持機構10が臼孔321と並んで位置P21から位置P22まで移動する際には、カムフォロワー59がカム107によって下方に押される。そうすると、
図19及び
図21に示すように、昇降レバー51、昇降ブロック50、取付アーム52及び突きピン55が弾性バネ58の弾性力に抗して下降する。なお、
図21は、
図1に示す矢印XXIの方向に見て示した図面である。
【0093】
突きピン55が下降すると、突きピン55の下端がチップ1に当たって、チップ1をフィンガ30の間から臼孔321へ突き落とす。チップ1がフィンガ30から下方に離脱する時の把持機構10の位置が位置P2である。フィンガ30から離脱したチップ1は臼孔321に収まる。なお、把持機構10が位置P2に到達する際に、カムフォロワー39がカムによって押されることによってフィンガ30が開くことで、チップ1がフィンガ30から臼孔321に落下してもよい。
【0094】
把持機構10が位置P22に到達する時に、突きピン55が昇降範囲の最下点に到達する。この際、突きピン55の下端はフィンガ30の先端の下面から下方に突き出ている。そのため、チップ1が突きピン55によって確実に突き落とされる。
【0095】
(4)位置P22〜位置P23
把持機構10が位置P22から位置P23まで移動する際には、カムフォロワー59がカム107に接触した状態で、カムフォロワー39、昇降レバー51、昇降ブロック50、取付アーム52及び突きピン55が弾性バネ58の弾性力によって上昇させる。そうすると、突きピン55がフィンガ30の先端同士の間から上方に抜ける。
【0096】
把持機構10が位置P23を通過すると、カムフォロワー59がカム107から離間する。
【0097】
6−2. 打錠機の動作
臼320、下杵322及び上杵323が一周する間の打錠機300の動作について詳細に説明する。
【0098】
(1)位置P59,P69〜位置P51,P61
杵322,323が位置P59,P69から位置P51,P61まで移動する際には、下杵322は臼孔321から上に突き出ているか、下杵322の上端の位置が臼320の上面の位置に揃っている。上杵323は臼孔321から上に抜けている。
杵322,323が位置P51,P61を通過すると、下杵322がカム面332によって下降し始める。杵322,323が位置P54,P64に到達するまで、下杵322がカム面332によって下降する。
【0099】
(2)位置P51,P61〜位置P52,P62
杵322,323が位置P51,P61から位置P52,P62まで移動する際には、臼孔321が粉末供給機351の下を通過する。そのため、粉末が粉末供給機351によって臼孔321に供給される。
【0100】
(3)位置P52,P62〜位置P53,P63
杵322,323が位置P52,P62から位置P53,P63まで移動する際には、把持機構10が臼孔321と並んで位置P21から位置P22まで移動する。杵322,323が位置P52,P62から位置P53,P63まで移動する途中において、把持機構10のフィンガ30から突き落とされたチップ1が臼孔321に供給される。
【0101】
(4)位置P53,P63〜位置P54,P64
杵322,323が位置P53,P63から位置P54,P64まで移動する際には、臼孔321が粉末供給機351の下を通過する。そのため、粉末が粉末供給機351によって臼孔321に充填される。チップ1は、臼孔321内の粉末に埋め込まれる。
【0102】
(5)位置P54,P64〜位置P55,P65
杵322,323が位置P54,P64から位置P55,P65まで移動する際には、上杵323がカム面334によって下降する。上杵323の下端が臼孔321に差し込まれる。そのため、臼孔321内の粉末は下杵322と上杵323の間に挟まれる。
【0103】
(6)位置P55,P65〜位置P58,P68
杵322,323が位置P56,P66を通過する時、これら杵322,323が予圧ロール341,343の間に挟まれて、予圧ロール341,343によってプレスされる。これにより、臼孔321内の粉末が圧縮される。その後、杵322,323が位置P57,P67を通過する時、これら杵322,323が本圧ロール342,344の間に挟まれて、本圧ロール342,344によってプレスされる。これにより、臼孔321内の粉末が圧縮される。
以上のような2回の圧縮によって粉末が錠剤に圧縮成形される。
【0104】
(7)位置P58,P68〜位置P59,P69
杵322,323が位置P58,P68から位置P59,P69まで移動する際には、上杵323がカム面334によって上昇して、臼孔321から上に抜ける。下杵322がカム面332によって上昇するので、錠剤が臼孔321から上に出る。その後、杵322,323が位置P59,P69から位置P51,P61まで移動する途中において、臼孔321から出た錠剤が回収機によって回収される。
【0105】
7. 有利な効果
(1) 歯車400が上部ローラ62に噛み合うことによって、モーター310の動力が打錠機300の動作と供給装置100の動作に利用される。そのため、圧縮成形装置の動力源が少なく、圧縮成形装置のコンパクト化及び製造コストの削減化が実現される。
【0106】
(2) 下部回転盤312及び上部取付盤315とともに回転する歯車400が、把持機構10に設けられた上部ローラ62に噛み合う。そのため、区間101aを移動する把持機構10のフィンガ30の先端部位が、臼孔321から回転シャフト311の軸線回りの周方向にずれることなく、臼孔321に重なる。特に、これら歯401のピッチを回転シャフト311の軸線における中心角により表し、臼孔321のピッチを回転シャフト311の軸線における中心角により表した場合、歯401のピッチと臼孔321のピッチは等しいため、そのようなずれの発生を確実に抑制できる。
【0107】
(2) スライダ34及びカムフォロワー39が前後に直動する。それゆえ、隣り合う把持機構10の間隔が短くて、隣り合う把持機構10はスライダ34及びカムフォロワー39が干渉しない。
【0108】
(3) リンクのような回転する部材を用いずに、スライダ34及びカムフォロワー39が前後に直動する。リンクのような回転する部材を用いた場合と比較して、スライダ34及びカムフォロワー39の前後方向の可動範囲が狭い。それゆえ、把持機構10が軌道101の角部を通過する際に、スライダ34及びカムフォロワー39が隣りの把持機構10に当たらない。
【0109】
(4) 昇降レバー51、昇降ブロック50、取付アーム52及びカムフォロワー59が上下に直動する。それゆえ、隣り合う把持機構10の間隔が短くても、隣り合う把持機構10は昇降レバー51、昇降ブロック50、取付アーム52及びカムフォロワー59が干渉しない。
【0110】
(5) リンクのような回転する部材を用いずに、昇降レバー51、昇降ブロック50、取付アーム52及びカムフォロワー59が上下に直動する。リンクのような回転する部材を用いた場合と比較して、昇降レバー51、昇降ブロック50、取付アーム52及びカムフォロワー59の上下方向の可動範囲が狭い。それゆえ、把持機構10が軌道101の角部を通過する際に、昇降レバー51及びカムフォロワー59が隣りの把持機構10に当たらない。
【0111】
(6) 突きピン55、取付アーム52、カムフォロワー59、昇降レバー51、昇降ブロック50、リニアガイド47、下部ホルダ42及び上部ホルダ45がシャフト41に直接的又は間接的に組み付けられている。それゆえ、突きピン55、取付アーム52、カムフォロワー59、昇降レバー51、昇降ブロック50、リニアガイド47、下部ホルダ42及び上部ホルダ45の全体としての高さを最小限に抑えて、突きピン55の昇降範囲を確保することができる。
【0112】
(7) 昇降レバー51は下部ホルダ42と上部ホルダ45の間に配置されているとともに、左右のシャフト41の間に配置されている。弾性バネ58についても同様である。従って、昇降レバー51及び弾性バネ58はスペースを有効利用して設けられている。それゆえ、把持機構10がコンパクトである。
【0113】
(8) 把持機構10は、前述の対称面に関してほぼ面対称となっている。それゆえ、把持機構10の左右のバランスがよい。
【0114】
(9) シャフト41は、フィンガ30の回転軸と、リニアガイド47の支持具と、連結リンク11の回転軸と、上部ローラ62の回転軸と、下部ローラ63の回転軸とを兼ねている。それゆえ、把持機構10がコンパクトである。また、把持機構10の部品点数の削減を図ることができる。
【0115】
(10) ベース21、下部ホルダ42、上部ホルダ45及び固定ブロック61が左右のシャフト41間に設けられているため、これらシャフト41が安定して起立する。それゆえ、把持機構10が堅固に組み立てられている。
【0116】
(11) 昇降ブロック50がリニアガイド47によって上下に案内されている。取付アーム52と昇降レバー51が昇降ブロック50から互いに反対の方向に延出しているため、取付アーム52、昇降レバー51及び昇降ブロック50は荷重のバランスがとれている。それゆえ、リニアガイド47ががたつくこと無く滑らかに動作する。
【0117】
(12) リニアガイド47がシャフト41よりも前に設けられているため、カムフォロワー59がその前のシャフト41の近くに設けられている。そうすると、カムフォロワー59はカムフォロワー39よりもシャフト41に寄って配置されている。従って、把持機構10の前後長を短くすることができる。隣り合う把持機構10の間隔が短くても、把持機構10が軌道101の角部を通過する際に隣りの把持機構10に当たらない。
【0118】
(13) フィンガ30によって挟まれたチップ1は突きピン55によって突き落とされる。それゆえ、フィンガ30が開くことなく、チップ1が臼孔321に供給される。従って、フィンガ30の動作による風圧がテーブル314の上において発生しない。これは、テーブル314の上において粉末を扱う場合に有効的である。つまり、フィンガ30が粉末の飛散の要因とならない。
【0119】
(14) カムフォロワー39,59がシャフト41の後方の位置に配置されているため、カムフォロワー39,59がシャフト41によってシャフト41の前方の空間から隔離することができる。そのため、テーブル314の上において粉末を扱う場合、粉末がカムフォロワー39,59に付着しにくい。
【0120】
5. 変更例
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。以下に説明する各変更点を組み合わせて適用してもよい。また、以下の(1)〜(5)の変形例は、以下に説明する変更点を除いて、上述の実施形態と同様であるので、変更点以外の説明について省略する。
【0121】
(1) 上記実施形態では、1機の把持機構10につき2体の上部ローラ62が取り付けられていた。それに対して、1機の把持機構10に取り付けられる上部ローラ62の数は3以上であってもよいし、1であってもよい。1機の把持機構10に取り付けられる上部ローラ62の数が3以上である場合、これら上部ローラ62は、歯車400のピッチ円と等しい曲率を有した円弧に沿って配列されるように把持機構10に取り付けられる。また、把持機構10に取り付けられる上部ローラ62の数をNとした場合、臼孔321のピッチと歯401のピッチを回転シャフト311の軸線における中心角により表した場合、臼孔321のピッチが歯401のピッチのN倍に等しい。また、区間101aにおける上部ローラ62のピッチを回転シャフト311の軸線における中心角で表し、歯401のピッチを回転シャフト311の軸線における中心角により表した場合、歯401のピッチと上部ローラ62のピッチが等しい。
【0122】
(2) フィンガ30が開閉するものではなく、真空吸着ノズルがフィンガ30の先端に設けられてもよい。位置P1では、真空吸着ノズルが負圧によりチップ1を吸着する。これにより、チップ1が真空吸着ノズルに保持される。位置P2では、真空吸着ノズルが正圧によりチップ1を臼孔321に吹き落とす。
【0123】
(3) 弾性バネ58は、下部ホルダ42と昇降レバー51との間に挟まれている。それに対して、弾性バネ58が、2本のシャフト41の間の位置において、上部ホルダ45と昇降レバー51との間に設けられていてもよい。この場合、弾性バネ58の上端がアッパーリテーナによって上部ホルダ45の下面に固定され、弾性バネ58の下端がロアリテーナによって昇降レバー51の上面に固定されている。弾性バネ58は引っ張りバネであり、上部ホルダ45から反力を取って、昇降レバー51を引っ張り上げている。カムフォロワー59がカム107によって下方に押される際には、弾性バネ58が伸長する。
【0124】
(4) 上記実施形態では、軌道101に沿って配列された把持機構10の隣り同士が連結リンク11によって連結されている。それに対して、無端チェーン、無端ベルト或いは無端ワイヤといった無端部材が軌道101に沿って設けられ、各把持機構10が無端部材に取り付けられることによって、これら把持機構10が軌道101に沿って配列されて連結されてもよい。
【0125】
(5) 上記実施形態では、上部ローラ62がシャフト41に設けられ、その上部ローラ62が歯車400の歯401間に係合する。それに対して、上部ローラ62がシャフト41に設けられず、シャフト41が歯車400の歯401間に係合してもよい。この場合、シャフト41が係合部材である。