【解決手段】真空圧を利用してワークWを吸着する真空パッド10であって、内部に真空通路20を有する支持部材12と、支持部材に固定されるベローズ14と、ベローズの内側に取り付けられる規制部材16とを有し、ベローズの収縮時に規制部材が真空通路に入り込む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パッド部分を首振り可能とする場合、あるいは、パッド自体を蛇腹状とする場合、パッドに吸着されたワークはその後も首振り可能であるため、搬送工程においてワークが揺動し、ワークの位置ずれが生じるおそれがある。特にワークが高速で搬送される場合は、ワークが大きく振れて、慣性によりワークがパッドから脱落するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。本発明は、ワークの被吸着面が傾斜していてもパッドをワークに密着させることができ、しかも、吸着後にワークの姿勢を安定させ、ワークの振れを防止できる真空パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る真空パッドは、真空圧を利用してワークを吸着する真空パッドであって、内部に真空通路を有する支持部材と、支持部材に固定されるベローズと、ベローズの内側に取り付けられる規制部材とを有し、ベローズの収縮時に規制部材が真空通路に入り込むことを特徴とする。
【0008】
上記真空パッドによれば、ベローズの収縮時に、ベローズに取り付けられた規制部材が支持部材の真空通路に入り込むので、規制部材の傾斜が阻止され、ワークの保持姿勢が安定する。
【0009】
上記真空パッドにおいて、ベローズの内壁にはインナーリングが取り付けられているのが好ましい。これによれば、ベローズが潰れて扁平になることが抑制される。
【0010】
また、規制部材は、真空通路に嵌入可能な筒部と、筒部の一端部から外向きに延びるフランジ部とを有し、フランジ部の先端はベローズの内壁に係止するのが好ましい。これによれば、簡単な構成で規制部材をベローズの内側に取り付けることができる。また、流動性のある加工品が収容された袋等をワークとして吸着搬送する場合、ワークが変形しながら真空パッド内に吸い込まれることが抑制される。
【0011】
この場合、筒部の他端部は先細りのテーパ面となっており、真空通路の端部は拡径するテーパ面となっているのが好ましい。ベローズの非収縮時において、筒部のテーパ面が所定の隙間を隔てて真空通路のテーパ面と対向していてもよく、また、規制部材は支持部材から軸方向に離間していてもよい。これによれば、ワークの被吸着面が傾斜している場合であっても、ベローズを支障なく屈曲させてワークに密着させることができる。特に、ベローズの非収縮時において規制部材を支持部材から軸方向に離間させるときは、ベローズの屈曲変形の自由度を大きくすることができる。
【0012】
また、筒部には、軸方向に貫通する縦孔と、縦孔に連通するとともに筒部の側面に開口する横孔とが設けられているのが好ましい。あるいは、筒部には軸方向に貫通する縦孔が設けられ、筒部の外周面には軸方向に延びるスリット状の溝が設けられ、フランジ部には厚み方向に貫通し溝と繋がる貫通孔が設けられているのが好ましい。これによれば、ベローズが収縮した状態とワークが吸着された状態とを真空圧により安定して維持することができる。
【0013】
また、ワークに吸着跡を残さないことが求められる場合は、フランジ部はベローズの下端部を覆う形状であるのが好ましい。これによれば、ワークに接触するのはベローズではなく規制部材であるので、ワークに吸着跡が残らない。
【0014】
さらに、ワークの帯電を回避することが求められる場合は、規制部材は金属材料または導電性樹脂材料からなるのが好ましい。これによれば、ワークとの接触により規制部材が帯電してもこれを除電することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る真空パッドは、ベローズの収縮時に、ベローズに取り付けられた規制部材が支持部材の真空通路に入り込むので、規制部材の傾斜が阻止される。したがって、ワークの保持姿勢が安定し、ワークの吸着搬送時にワークが振れることがない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る真空パッドについて複数の好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る真空パッド10について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
【0019】
真空パッド10は、ワークWを吸着搬送するために用いられ、図示しない搬送装置に取り付けられる。真空パッド10は、支持部材12とベローズ14と規制部材16とを含む。
【0020】
支持部材12は、アルミニウム合金等の金属材料または樹脂材料から円筒状に形成され、その軸線が鉛直方向を向くように図示しない搬送装置に取り付けられる。支持部材12は上下方向に貫通する真空通路20を有し、真空通路20の下端は下方に向かって拡径するテーパ面22となっている。このテーパ面22の傾斜角は、例えば15度に設定される。支持部材12の下部には、ベローズ14を支持するための環状溝24が設けられている。
【0021】
ベローズ14は、例えば所定の弾性を有するゴム材料から円筒状に形成され、伸縮および屈曲自在な蛇腹構造を有する。ベローズ14の上端は肉厚となって径方向内方にフランジ状に延びており、この内向きフランジ部26が支持部材12の環状溝24に嵌合する。これにより、ベローズ14が支持部材12に取り付けられる。ベローズ14の下端部28は、斜め下方に拡開する形状となっており、その先端がワークWに対して接触する部位となる。
【0022】
ベローズ14の内壁には、環状の山部と環状の谷部が交互に現われている。本実施例では、4つの山部30a〜30dが存在する。第1の山部30aと第2の山部30bとの間の谷部にインナーリング32aが係止されるとともに、第2の山部30bと第3の山部30cとの間の谷部にもインナーリング32bが係止されている。これらのインナーリング32a、32bは、ベローズ14が潰れて扁平になるのを抑制する役割を担うもので、樹脂材料または高硬度のゴム材料からリング状に形成される。インナーリング32a、32bを設ける代わりに、これに相当する補強部をベローズ14に一体成形してもよい。
【0023】
規制部材16は、PEEK等の樹脂材料から概ね円筒状に形成されている。規制部材16は、円筒状の筒部34と、筒部34の下端から径方向外方に延びるフランジ部36とを有する。フランジ部36の先端は、斜め上方に傾斜し、ベローズ14の内壁における第3の山部30cと第4の山部30dとの間の傾斜部30eに係止する。これにより、規制部材16がベローズ14に取り付けられる。フランジ部36の筒部34寄りの下面と筒部34の下端面とで、上方に凹む湾曲面46が形成されている。すなわち、ワークWと向き合う規制部材16の下面に湾曲面46が形成されている
【0024】
筒部34の上端部の外周は先細りのテーパ面38となっており、このテーパ面38の傾斜角は、真空通路20のテーパ面22の傾斜角と同一に設定される。ベローズ14の非収縮時において、筒部34のテーパ面38は、所定の隙間を隔てて真空通路20のテーパ面22と対向している。テーパ面38を除く筒部34の外径は、テーパ面22を除く真空通路20の内径と略同じか、またはそれより僅かに小さく、筒部34は真空通路20に嵌入可能である。
【0025】
筒部34は、軸方向に貫通する縦孔40を有する。縦孔40は、筒部34の上端面に開口するほか、複数の第1横孔42を介して筒部34のテーパ面38に開口する。また、縦孔40は、筒部34の下方寄りの部位において、複数の第2横孔44を介して筒部34の側面に開口する。フランジ部36には、厚み方向に貫通する複数の貫通孔48が周方向に等間隔で設けられている。
【0026】
ベローズ14の非収縮時においては、ベローズ14の内側空間50は、筒部34の第2横孔44と縦孔40を介して支持部材12の真空通路20に連通するほか、筒部34のテーパ面38と真空通路20のテーパ面22との間の隙間を介して支持部材12の真空通路20に連通する(
図3参照)。ベローズ14の収縮時においては、ベローズ14の内側空間50は、筒部34の第2横孔44と縦孔40を介して支持部材12の真空通路20に連通する(
図4参照)。
【0027】
ベローズ14の収縮時を含めベローズ14がワークWに密着しているとき、ベローズ14の下端部28とワークWとの間に形成される空間52は、筒部34の縦孔40を介して支持部材12の真空通路20に連通するほか、フランジ部36の貫通孔48と筒部34の第2横孔44と縦孔40とを介して、支持部材12の真空通路20に連通する(
図4参照)。
【0028】
本実施形態に係る真空パッド10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、
図4および
図5を参照しながら、その作用について説明する。
【0029】
図示しない搬送装置により、真空パッド10がワークWの上方に位置決めされた後、真空パッド10がワークWに向けて下降せしめられる。ここで、ワークWにはさまざまな表面形状があり、また、ワークWが傾斜して置かれている場合があるため、ワークWの被吸着面が水平面に対して傾斜している場合がある。
【0030】
ワークWの被吸着面が水平面に対して傾斜している場合、ベローズ14の下端部28は、まず、その先端の一部のみがワークWに接触する。その後、真空パッド10をワークWに向けて下方に押し付けると、ベローズ14は、ワークWの被吸着面の傾斜に倣うように屈曲しながら全体としては収縮する。そして、ベローズ14の下端部28はその先端の全周においてワークWに当接する。すなわち、ベローズ14がワークWに密着する(
図5参照)。ベローズ14がワークWに当接する際の衝撃は、ベローズ14の弾性によって吸収される。
【0031】
なお、筒部34のテーパ面38と真空通路20のテーパ面22との間には隙間が設けられているので、規制部材16はその軸心(筒部34の軸心)が鉛直方向から傾斜することが許容され、規制部材16が取り付けられたベローズ14の屈曲動作に支障は生じない。また、ワークWの被吸着面が水平になっている場合はベローズ14が屈曲することなくワークWに密着することはいうまでもない。
【0032】
真空パッド10の下降とともに、あるいは、ベローズ14がワークWに密着した後に、支持部材12の真空通路20に真空圧が導入される。ベローズ14がワークWに密着すると、真空圧が有効に作用し、ベローズ14は、屈曲状態を元に戻しつつさらに収縮する。このベローズ14の収縮に伴い、規制部材16は、その軸心が鉛直方向に近づくように姿勢を変えながら、支持部材12の真空通路20に入り込んでいく。規制部材16の軸心が鉛直方向に近づくのは、主として、筒部34が真空通路20の内壁に接触して案内されることによるが、ベローズ14がその弾性復元力で屈曲しない形状に戻ろうとすることや、ワークWの重量によりベローズ14に鉛直方向の力が作用することにもよる。
【0033】
そして、規制部材16の軸心が真空通路20の軸心に一致した後、ベローズ14が最も収縮した状態になるまで、規制部材16は支持部材12の真空通路20に嵌入する。これにより、規制部材16の傾斜が阻止された状態となる(
図4参照)。
【0034】
ベローズ14が最も収縮した状態において、ベローズ14の内側空間50は、筒部34の第2横孔44と縦孔40を介して支持部材12の真空通路20に連通している。また、ベローズ14の下端部28とワークWとの間の空間52は、筒部34の縦孔40を介して支持部材12の真空通路20に連通するとともに、フランジ部36の貫通孔48と筒部34の第2横孔44と縦孔40とを介して、支持部材12の真空通路20に連通している。したがって、真空圧の作用により、ベローズ14が収縮した状態とワークWが吸着された状態とが安定して維持される。この状態でワークWが搬送されるので、ワークWの保持姿勢が安定し、ワークWが振れることがない。
【0035】
ところで、流動性のある加工品が収容された袋等をワークとして吸着搬送する場合がある。本実施形態では、筒部34の下端から径方向外方に延びるフランジ部36を備えた規制部材16がベローズ14の下端側に配設されているので、ワークが変形しながら真空パッド10内に吸い込まれることが抑制される。
【0036】
本実施形態によれば、ワークWの被吸着面が傾斜している場合であっても、ベローズ14を支障なく屈曲させてワークWに密着させることができる。また、ベローズ14の収縮時に、ベローズ14に取り付けられた規制部材16が支持部材12の真空通路20に嵌入するので、規制部材16の傾斜が阻止され、ワークWの保持姿勢が安定する。なお、本実施形態では、ワークWと向き合う規制部材16の下面に湾曲面46が形成されているので、変形しない硬いワークのほかに、変形し易い袋状のワークを吸着する場合にも適している。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る真空パッド54について、
図6を参照しながら説明する。第2実施形態は、規制部材56の構造が第1実施形態と異なっている。なお、第2実施形態に係る真空パッド54において、上述した真空パッド10と同一または同等の構成には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0038】
規制部材56は、円筒状の筒部57と、筒部57の下端から外方に延びるフランジ部58とを有する。フランジ部58は、径方向外方に向けて水平に延びる水平部58aと、水平部58aの先端から斜め上方に傾斜して延びる傾斜部58bとを有する。水平部58aは傾斜部58bよりも下方に突出している。フランジ部58は、第3の山部30cと第4の山部30dとの間の傾斜部30eから第4の山部30dにわたって、ベローズ14の内壁に係止する。これにより、規制部材56がベローズ14に取り付けられる。
【0039】
筒部57の下端面とフランジ部58の水平部58aの下面は、同一の平面上に位置している。このため、本実施形態は、特にフィルムないし薄膜のワークを吸着する場合に適している。
【0040】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る真空パッド60について、
図7および
図8を参照しながら説明する。第3実施形態は、規制部材62の構造が第1実施形態と異なっている。なお、第3実施形態に係る真空パッド60において、上述した真空パッド10と同一または同等の構成には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0041】
規制部材62は、円筒状の筒部64と、筒部64の下端から径方向外方に延びるフランジ部36とを有する。筒部64の上端部の外周は先細りのテーパ面68となっており、このテーパ面68の傾斜角は、真空通路20のテーパ面22の傾斜角と同一に設定される。筒部64の外径は、テーパ面68の先端近傍を除いて、テーパ面22を除く支持部材12の真空通路20の内径よりも大きい。
【0042】
筒部64の軸方向長さは、第1実施形態の筒部34よりも短いものとなっている。筒部64は、軸方向に延びる縦孔70を内部に有する。縦孔70は、筒部64の上端まで延びて筒部64の上端面に開口し、また、複数の横孔72を介して筒部64の側面に開口する。
【0043】
規制部材62は、ベローズ14の非収縮時において、支持部材12から軸方向に離間している(
図7参照)。このため、ベローズ14がワークWに接触して押し付けられると、ベローズ14はその弾性範囲で自由に屈曲することができる。
【0044】
ワークWの被吸着面が水平面に対して傾斜している場合、真空パッド60がワークWに向けて下方に押し付けられると、ベローズ14は、屈曲しながら全体としては収縮してワークWに密着する。その後、真空圧が有効に作用すると、ベローズ14は、屈曲状態を元に戻しつつさらに収縮する。このベローズ14の収縮に伴い、ベローズ14に取り付けられた規制部材62は、その軸心が鉛直方向に近づくように姿勢を変え、筒部64のテーパ面68が真空通路20のテーパ面22に当接するに至る。
【0045】
そして、筒部64のテーパ面68と真空通路20のテーパ面22とが完全に整合したところで、ベローズ14が最も収縮した状態になる(
図8参照)。このとき、規制部材62の軸心は支持部材12の軸心と一致しており、かつ、規制部材62と支持部材12とがテーパ面同士で面接触しているため、規制部材62の傾斜が確実に阻止される。
【0046】
ベローズ14の収縮時を含めベローズ14がワークWに密着しているとき、ベローズ14の下端部28とワークWとの間に形成される空間52は、筒部64の縦孔70を介して支持部材12の真空通路20に連通するほか、フランジ部36の貫通孔48と筒部64の横孔72と縦孔70とを介して、支持部材12の真空通路20に連通する(
図8参照)。
【0047】
本実施形態によれば、ベローズ14の非収縮時において規制部材62が支持部材12から軸方向に離間しているので、ベローズ14がワークWに密着する際のベローズ14の屈曲変形の自由度を大きくすることができる。
【0048】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る真空パッド80について、
図9を参照しながら説明する。第4実施形態は、規制部材82の構造が第1実施形態と異なる。なお、第4実施形態に係る真空パッド80において、上述した真空パッド10と同一または同等の構成には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
規制部材82は、金属材料または導電性樹脂材料から概ね円筒状に形成されている。規制部材82は、円筒状の筒部34と、筒部34の下端から径方向外方に延びるフランジ部86とを有する。フランジ部86は、先端が二股に分かれ、斜め上方に傾斜する第1フランジ部86aと、斜め下方に傾斜する第2フランジ部86bとを有する。
【0050】
第1フランジ部86aと第2フランジ部86bとでベローズ14の内壁における第4の山部30dを跨ぐようにして、フランジ部86がベローズ14の内壁に係止する。これにより、規制部材82がベローズ14に取付けられる。
【0051】
第2フランジ部86bの先端は、ベローズ14の下端部28の先端よりも外方に延びており、第2フランジ部86bはベローズ14を下方から覆っている。すなわち、第2フランジ部86bの先端がワークに対して接触する部位となる。第2フランジ部86bを含む規制部材82の底面形状は、ワークの種類に応じて異なるもの(平面または湾曲面)としてもよい。
【0052】
本実施形態は、ワークに吸着跡を残さないことが求められる場合、例えば、ワークがガラス板である場合に適している。ゴム材料からなるベローズ14をワークに接触させる場合は、ゴム中の油分が表面に出てワークに転写され、ワークに吸着跡が残る可能性がある。本実施形態では、ワークに接触するのは、ベローズ14ではなく、規制部材82である。そして、規制部材82はゴム材料からなるものではないので、ワークに吸着跡が残ることがない。この場合、規制部材82の材料としてPEEKを選択すると好適である。
【0053】
また、本実施形態は、ワークの帯電を回避することが求められる場合に適している。規制部材82は金属材料または導電性樹脂材料から形成されているので、規制部材82がワークと接触した際に帯電しても、筒部34が真空通路20に嵌入することで規制部材82が支持部材12に接触したとき、規制部材82の電荷(静電気)は除去される。したがって、ワークの帯電が回避される。なお、支持部材12の材料は、第1実施形態では金属材料または樹脂材料としたが、本実施形態では金属材料に限られる。
【0054】
本実施形態によれば、ワークに吸着跡が残らない。また、ワークとの接触により規制部材82が帯電してもこれを除電することができる。
【0055】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る真空パッド100について、
図10〜
図12を参照しながら説明する。第5実施形態は、規制部材102の構造が第1実施形態と異なる。なお、第5実施形態に係る真空パッド100において、上述した真空パッド10と同一または同等の構成には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0056】
規制部材102は、円筒状の筒部104と、筒部104の下端から径方向外方に延びるフランジ部36とを有する。筒部104の上端部の外周は先細りのテーパ面38となっており、このテーパ面38の傾斜角は、真空通路20のテーパ面22の傾斜角と同一に設定される。ベローズ14の非収縮時において、筒部104のテーパ面38は、所定の隙間を隔てて真空通路20のテーパ面22と対向している。テーパ面38を除く筒部104の外径は、テーパ面22を除く真空通路20の内径と略同じか、またはそれより僅かに小さく、筒部104は真空通路20に嵌入可能である。
【0057】
筒部104には、軸方向に貫通する縦孔106が設けられている。
図12に示すように、筒部104の外周面には、軸方向に延びる複数のスリット状の溝108が周方向に等間隔で設けられている。フランジ部36には、厚み方向に貫通する複数の貫通孔110が筒部104の溝108と整合する位置に設けられている。すなわち、フランジ部36の各貫通孔110は、筒部104の各溝108と繋がっている。
【0058】
規制部材102の筒部104が支持部材12の真空通路20に嵌入したとき、筒部104と真空通路20の壁面との間には、複数の溝108によって十分な隙間が確保されているので、ベローズ14の内側空間50は真空通路20に連通した状態を良好に保つことができる(
図11参照)。また、ベローズ14の下端部28とワークWとの間に形成される空間52は、筒部104の縦孔106を介して支持部材12の真空通路20に連通している。
【0059】
本実施形態によれば、筒部104に縦孔106が設けられ、筒部104の外周面にスリット状の溝108が設けられ、フランジ部36に筒部104の溝108と繋がる貫通孔110が設けられているので、ベローズ14が収縮した状態とワークWが吸着された状態とを真空圧により安定して維持することができる。
【0060】
本発明に係る真空パッドは、上述の各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することのない範囲で、種々の形態を採り得ることはもちろんである。