【解決手段】検査対象物10を中心軸Axの軸方向に撮影する第一撮像部41と、側面を撮影する第二撮像部42と、第一撮像部41による撮影を制御する第一撮影制御部と、第一撮像部41によって撮影された検査対象物10の画像に基づいて検査対象物10の回転位置のずれ角度の補正量を算出する補正量算出部と、検査対象物10が、補正量算出部によって算出された補正量により補正された所定の回転位置に位置するよう、駆動機構30を制御する駆動制御部と、検査対象物10が補正された所定の回転位置に位置した状態で側面を撮影するよう、第二撮像部42を制御する第二撮影制御部と、第二撮像部42によって撮影された側面の画像に基づいて側面の異常を検査する側面検査部と、を備える。
前記補正量算出部は、前記第一撮像部によって撮影された前記検査対象物の前記軸方向における前記第一撮像部に近い端面の画像に基づいて前記補正量を算出する、請求項1に記載の画像検査システム。
前記補正量算出部は、前記第一撮像部によって撮影された前記検査対象物の画像における直線状部分の画像に基づいて、前記補正量を算出する、請求項1または2に記載の画像検査システム。
前記側面検査部は、前記側面の異常の検査を、前記所定の回転位置に対応して設定された除外領域が除外された検査領域内で実行する、請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の画像検査システム。
前記補正量または前記ずれ角度に基づいて前記画像検査システムの異常の有無を判断する異常判断部を備えた、請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の画像検査システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成や制御、ならびに当該構成や制御によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成や制御以外によっても実現可能である。また、本発明は、基本的な構成や制御によって得られる派生的な効果も含む種々の効果を得ることが可能である。
【0009】
図1は、画像検査システム1の一部の斜視図、
図2は、画像検査システム1の一部の側面図、また、
図3は、画像検査システム1の一部の平面図である。各図において、中心軸Axは、検査対象物10の円筒面状の周面11a,12bの中心であるとともに、回転支持部20の回転中心である。また、各図中、方向Xは、中心軸Axの軸方向である。以下では、便宜上、方向Xの矢印が指す方向(
図1,2では上方)を、軸方向の前方とする。
【0010】
図1,2に例示されるように、画像検査システム1は、回転支持部20とモータ30とを備えている。
【0011】
回転支持部20は、検査対象物10を中心軸Ax回りに回転可能に支持する。回転支持部20は、シャフト21とステージ22とを有している。シャフト21の形状は、中心軸Axを中心として軸方向に延びる円柱状である。ステージ22は、シャフト21の軸方向の前端に固定されており、ステージ22の形状は、中心軸Axと交差した(直交した)円板状である。回転支持部20は、ステージ22上に検査対象物10を載せた状態で、中心軸Ax回りに回転する。なお、
図1〜3の例では、検査対象物10は、その周面11a,12bの中心軸が回転支持部20の中心軸Axと一致する状態で、回転支持部20に支持されている。よって、本実施形態では、周面11a,12bの中心軸も、中心軸Axと記す。なお、検査対象物10は、ステージ22に保持あるいは結合された状態で支持されてもよいし、ステージ22に保持あるいは結合されない状態で支持されてもよい。回転支持部20の構成は、
図1〜3に例示されるものには限定されない。また、周面11a,12bの中心軸と回転支持部20の中心軸Axとは僅かにずれていてもよい。
【0012】
モータ30は、不図示のモータシャフトを中心軸Ax回りに回転させる。モータシャフトは、回転支持部20のシャフト21と結合されている。モータ30は、モータシャフトを中心軸Ax回りに回転させることにより、回転支持部20ひいては当該回転支持部20に支持された検査対象物10を、中心軸Ax回りに回転させることができる。また、演算処理装置100(
図4)は、モータ30を制御することにより、モータシャフトおよび回転支持部20を、所定の回転角度、すなわち演算処理装置100が指示した任意の回転角度で、停止させることができ、これにより、検査対象物10を、当該回転角度に対応した回転位置で、停止させることができる。モータ30は、駆動機構の一例である。なお、駆動機構には、減速機構等が含まれてもよい。
【0013】
検査対象物10は、筒状部11と突出部12とを有している。筒状部11の形状は、
図1,2の下方、すなわち軸方向の後方に向けて開放された、有底の円筒状である。筒状部11は、円筒面としての周面11aと、軸方向の前端に位置され中心軸Axと交差した(直交した)平面としての底面11bと、を有する。また、筒状部11には、中心軸Axの周方向に沿って延びた複数のスリット11cが設けられている。スリット11cは、筒状部11の周壁を貫通した貫通孔である。スリット11cの軸方向の幅は一定であり、スリット11cの周方向の長さは、例えば、半周長以下である。また、スリット11cの周方向の両端部は、半円状に構成されている。周面11aは、側面の一例である。
【0014】
突出部12は、筒状部11の底面11bから軸方向の前方に突出している。突出部12は、二つの側面12aと、二つの周面12bと、端面12cと、を有している。二つの側面12aは、軸方向と平行でありかつ互いに平行な平面であり、周面12bの中心軸Axを挟んで対称に配置されている。二つの周面12bは、それぞれ、周方向において二つの側面12aの間に設けられ、中心軸Axを中心とする円筒面であり、中心軸Axを挟んで互いに反対側に配置されている。二つの周面12bの曲率半径は同じである。端面12cは、突出部12の軸方向の前端に位置され、中心軸Axと交差した(直交した)平面である。なお、検査対象物10の形状は、
図1〜3に例示されるものには限定されない。
【0015】
図2に例示されるように、画像検査システム1は、第一カメラ41と第二カメラ42とを備えている。第一カメラ41は、検査対象物10を、軸方向前方(
図1,2の上方)、すなわち、検査対象物10に対して回転支持部20およびモータ30の反対側から、撮影する。第一カメラ41によって撮影された検査対象物10の画像には、端面12cの画像が含まれる。第一カメラ41は、第一撮像部の一例であり、第二カメラ42は、第二撮像部の一例である。なお、第一撮像部および第二撮像部は、カメラには限定されず、撮像素子や、エリアセンサやラインセンサ等の画像センサであってもよい。
【0016】
第二カメラ42は、検査対象物10を周面11aの中心軸Axの径方向外方から撮影する。第二カメラ42は、演算処理装置100によるモータ30の回転制御によって得られる検査対象物10の複数の回転位置のそれぞれにおいて、検査対象物10を撮影することができる。
【0017】
演算処理装置100(
図4)によって制御されたモータ30は、検査対象物10が所定の回転位置に位置するよう、言い換えると検査対象物10が所定の回転角度あるいは回転姿勢となるよう、回転支持部20および検査対象物10をステップ的に回転させる。
図3は、検査対象物10が回転位置P1に位置された状態を示している。
図3に示される検査対象物10の回転位置P1(第一位置)は、軸方向の後方に検査対象物10を見た場合に、当該検査対象物10の中心軸Axから径方向外方に延びて周面12bの中央を通る基準線L1(仮想線)が、第二カメラ42に向かう位置である。言い換えると、検査対象物10が回転位置P1に位置された状態では、基準線L1と第二カメラ42からの検査対象物10への光軸V(検査対象物10の直前の光軸)とが略一致している。本実施形態では、一例として、複数の基準線L1〜L12は、放射状に同じ角度間隔(30°=360°/12(基準線の数))で配置されるよう、設定されている。具体的には、例えば、基準線L2は、基準線L1から反時計回り方向に30°離れて位置されており、基準線L4は、基準線L1から反時計回り方向に90°離れて位置されており、基準線L7は基準線L1と中心軸Axを挟んで反対側に位置されており、基準線L10は基準線L1から反時計回り方向に270°離れて位置されている。各回転位置Pn(n:1,2,・・・,12、全ては図示されず)は、軸方向の後方に見た場合に、各基準線Lnが、第二カメラ42に向かう位置である。言い換えると、検査対象物10が回転位置Pnに位置された状態では、基準線Lnと第二カメラ42から検査対象物10への光軸V(検査対象物10の直前の光軸)とが略一致している。なお、回転位置Pnの数は、12には限定されないし、回転位置Pnは、等間隔でなくてもよい。
【0018】
図4は、画像検査システム1の概略構成を示すブロック図である。
図4に例示されるように、画像検査システム1は、演算処理装置100や、モータ30、駆動回路31、第一カメラ41、第二カメラ42、出力部50、搬送機構60等を備えている。駆動回路31は、演算処理装置100からの指示信号に基づいてモータ30を駆動する。出力部50は、例えば、ディスプレイやスピーカ等であり、演算処理装置100によって制御されることにより、所定の表示出力または音声出力を実行する。搬送機構60は、例えば、ロボットアームや、ベルトコンベヤ等であり、演算処理装置100によって制御されることにより、回転支持部20による支持位置と回転支持部20外との間で検査対象物10を搬送することができる。搬送機構60は、移動機構とも称されうる。
【0019】
演算処理装置100は、演算処理部110や、主記憶部121、データ記憶部122等を有している。演算処理部110は、例えば、central processing unit(CPU)やコントローラ等であり、主記憶部121は、例えば、read only memory(ROM)や、random access memory(RAM)等であり、データ記憶部122は、例えば、hard disk drive(HDD)や、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等である。
【0020】
演算処理部110による演算処理や制御は、ソフトウエアによって実行されてもよいし、ハードウエアによって実行されてもよい。また、演算処理部110による演算処理や制御には、ソフトウエアによる演算処理や制御とハードウエアによる演算処理や制御とが含まれてもよい。ソフトウエアによる処理の場合にあっては、演算処理部110は、ROMや、HDD、SSD、フラッシュメモリ等に記憶されたプログラム(アプリケーション)を読み出して実行する。演算処理部110は、プログラムにしたがって動作することにより、演算処理部110に含まれる各部、すなわち、搬送制御部111や、第一撮影制御部112、補正量算出部113、駆動制御部114、第二撮影制御部115、側面検査部116、端面検査部117、異常判断部118、出力制御部119等として、機能する。この場合、プログラムには、上記各部に対応するモジュールが含まれる。
【0021】
プログラムは、それぞれインストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROMや、FD、CD−R、DVD、USBメモリ等の、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されうる。また、プログラムは、通信ネットワークに接続されたコンピュータの記憶部に記憶され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって導入されうる。また、プログラムは、ROM等に予め組み込まれてもよい。
【0022】
また、演算処理部110の全部あるいは一部がハードウエアによって構成される場合、演算処理部110には、例えば、field programmable gate array(FPGA)や、application specific integrated circuit(ASIC)等が含まれうる。
【0023】
以下、演算処理部110に含まれる各部の機能(作動)を、一つの検査対象物10に対する検査の一連の手順にしたがって説明する。
【0024】
まず、搬送制御部111は、検査対象物10が回転支持部20外から回転支持部20による支持位置へ搬入されるよう、搬送機構60を制御する。
【0025】
図5は、搬送機構60によって搬入された検査対象物10の初期位置P0を示す平面図であり、
図6は、
図5の初期位置P0に位置された検査対象物10の軸方向画像Imtを示す図である。また、
図7は、検査対象物10の回転位置P1(第一位置)を示す平面図であり、
図8は、検査対象物10の回転位置P2(第二位置)を示す平面図である。
【0026】
搬送機構60によって検査対象物10が回転支持部20外から回転支持部20による支持位置(保持位置、初期位置)へ搬入された場合、
図5に例示されるように、検査対象物10は、所期の回転位置P1(第一位置)からずれた初期位置P0に位置される場合がある。このようなずれは、例えば、搬送機構60や回転支持部20の寸法のばらつき等に起因して生じうる。
【0027】
そこで、本実施形態では、第一撮影制御部112は、初期位置P0に位置された検査対象物10を撮影するよう、第一カメラ41を制御する(第一ステップ)。補正量算出部113は、第一カメラ41によって得られた軸方向画像Imt(
図6)に基づいて、初期位置P0から回転位置P1(第一位置)への補正量を算出する(第二ステップ)。なお、第一カメラ41によって撮影された検査対象物10の軸方向画像Imt、および補正量算出部113によって算出された補正量(またはずれ角度)は、データ記憶部122に保存される。
【0028】
図6に例示されるように、
図5に対応する検査対象物10の軸方向画像Imtにあっては、端面12cにおける側面12aとの境界線12eと、基準方向(
図6の例では、i方向)との間に、角度差δ1,δ2が生じている。そこで、補正量算出部113は、例えば、軸方向画像Imtから画像処理によって角度差δ1,δ2を取得し、それらの角度差δ1,δ2の平均値、および境界線12eの姿勢から、ずれ角度δ(=(δ1+δ2)/2)を算出する。
図5,6の場合のずれ角度はδであり、補正量は、ずれ角度δと同じ大きさで符号を反転した−δである。なお、ずれ角度δの数値は、大きさを示し、ずれ角度δの符号は、回転方向を示す。また、本実施形態では、初期位置P0は、回転位置P1に対して時計回り方向に離れて位置されたが、これには限定されず、回転位置P1に対して反時計回り方向に離れて位置されてもよい。境界線12eは、直線状部分の一例である。
【0029】
次に、駆動制御部114(
図4)は、初期位置P0に位置された検査対象物10が、ずれ角度δを解消した回転位置P1(第一位置、
図7)、すなわち初期位置P0から補正量−δだけ回転されることにより補正された回転位置P1に位置されるよう、駆動回路31ひいてはモータ30を制御して、回転支持部20および検査対象物10を回転させる。駆動制御部114は、検査対象物10が回転位置P1に到達した時点で、回転支持部20および検査対象物10が停止するよう、駆動回路31ひいてはモータ30を制御する。
【0030】
第二撮影制御部115は、補正済みの回転位置P1に位置された検査対象物10の周面11aを撮影するよう、第二カメラ42を制御する。なお、本実施形態では、第二カメラ42による撮影は、検査対象物10が各回転位置Pnで停止した状態で実行されるが、これには限定されず、第二カメラ42による撮影は、検査対象物10が回転している状態で実行されてもよい。
【0031】
次に、駆動制御部114は、補正済みの回転位置P1(第一位置)に位置された検査対象物10が、次の補正済みの回転位置P2(第二位置、
図8)に位置されるよう、駆動回路31ひいてはモータ30を制御して、回転支持部20および検査対象物10を所定の回転角度θだけ回転させる。次に、第二撮影制御部115は、補正された回転位置P2に位置された検査対象物10の周面11aを撮影するよう、第二カメラ42を制御する(第三ステップ)。第二カメラ42によって撮影された画像データは、例えばデータ記憶部122に保存される。
【0032】
以降、上述した回転位置P1から回転位置P2への回転制御および当該回転位置P2における第二カメラ42による検査対象物10の撮影と同様に、駆動制御部114は、補正済みの回転位置Pn−1(n=3,4,・・・,12)に位置された検査対象物10が、次の補正済みの回転位置Pn(n=3,4,・・・,12)に位置されるよう、駆動回路31ひいてはモータ30を制御して、回転支持部20および検査対象物10を所定の回転角度θだけ回転させる。第二撮影制御部115は、補正済みの回転位置Pnに位置された検査対象物10の周面11aを撮影するよう、第二カメラ42を制御する。初期位置P0から回転位置P1への補正が実行されているため、回転位置P2〜P12は、いずれも補正済みの回転位置P2〜P12である。
【0033】
各回転位置Pn(n=1,2,・・・,12)での検査対象物10の撮影が終了すると、搬送制御部111は、検査対象物10が回転支持部20による支持位置(回転位置P12)から当該回転支持部20外へ搬出されるよう搬送機構60を制御する。
【0034】
各回転位置Pn(n=1,2,・・・,12)で第二カメラ42によって撮影された検査対象物10の周面11aの少なくとも検査領域Adn(n=1,2,・・・,12)の画像データは、例えばデータ記憶部122に保存されている。側面検査部116は、各検査領域Adnの画像データに基づいて、例えば、良品画像との比較によるパターンマッチング等の公知の画像処理手法により、各検査領域Adnにおける異常の有無を検査する(第四ステップ)。なお、側面検査部116による検査は、検査対象物10の全ての回転位置Pnにおける撮影が終了した後に実行されてもよいし、各検査領域Adnの撮影が実行される度に実行されてもよい。
【0035】
端面検査部117は、データ記憶部122に保存された軸方向画像Imtに基づいて、例えば、良品画像との比較によるパターンマッチング等の公知の画像処理手法により、検査対象物10の端面12cにおける異常の有無を検査する。
【0036】
側面検査部116および端面検査部117における検査において、所定の異常が検出された場合、出力制御部119は、出力部50から異常を示す出力が実行されるよう、出力部50を制御する。
【0037】
図9は、検査対象物10が回転位置P10に位置された状態で第二カメラ42によって撮影された当該検査対象物10の側方画像Imsを示す図である。
図9に例示されるように、検査領域Ad10の形状は、検査対象物10の軸方向(
図9の上下方向)に長い四角形状(長方形状、帯状)である。
【0038】
検査領域Ad10には、画像処理による検査の対象外とする除外領域Aeが、スリット11cに対応して設定されている。その理由は、スリット11c内には周壁が存在しないため、側方画像Imsにおけるスリット11c内の領域の検査は不要だからであるとともに、スリット11c内の領域は光を反射せず暗いため、仮に、スリット11c内の領域が検査領域Ad10から除外されていない場合にあっては、側面検査部116は、スリット11c内の領域を異常領域と誤判断してしまう虞があるから、である。
【0039】
除外領域Aeは、回転位置P1,P2,・・・,P12毎に、スリット11cの位置に応じて設定されている。
図9に例示されるように、回転位置P10においては、検査領域Ad10の周方向の端部(
図9では左右の端部)に設けられたC字状の切欠として、除外領域Aeが設けられている。なお、回転位置P10では、除外領域Aeは、検査領域Ad10の周方向の端部(
図9では左右の端部)に設けられたC字状の切欠であるが、他の回転位置Pnでは、切欠の深さや位置が異なったり、除外領域Aeが検査領域Adnを軸方向に分断したりする。
【0040】
ここで、仮に、回転位置Pn(n=1,2,・・・,12)にずれがあると、側方画像Imsにおいてスリット11c内の領域と除外領域Aeとの間にずれが生じ、例えば、除外領域Aeが周面11a上まで進出したり、逆にスリット11c内の領域の一部が検査領域Adnになったりする。この点、本実施形態では、上述したように、軸方向画像Imtに基づいて補正量算出部113によって算出された補正量だけ初期位置P0から回転位置P1へ回転させることにより、検査対象物10の回転方向のずれが補正され、その後、回転位置P2〜P12においては、直前の回転位置Pn−1から順次所定の回転角度θだけ回転させることにより補正済みの状態を維持できる。よって、本実施形態によれば、側面検査部116は、検査対象物10の周面11aの検査を、より容易に、より迅速に、あるいはより精度良く実行することが可能となる。
【0041】
図10は、画像検査システム1において得られた補正量と当該補正量が取得された回数との相対関係を例示するグラフであって、画像検査システム1の使用開始からの経過時間tmが異なる二つの相関関係を示す図である。
図10において、黒い丸は、使用開始当初(tm=t0)の所定回数分(例えば100回分)のグラフであり、白い丸は、使用開始から比較的長い時間が経過した時点(tm=t1>t0)の直前の所定回数分(例えば100回分)のグラフである。
図10から明らかとなるように、使用開始当初に比べて、時間の経過とともに、補正量のばらつきが増大していることがわかる。なお、補正量の大きさ(すなわちずれ角度の大きさ)は、上述したように、搬送機構60や回転支持部20の寸法のばらつき等に起因して生じうる。したがって、搬送機構60や回転支持部20の、例えば検査対象物10や他の部材との接触や摺動による摩耗の促進による寸法の増大(経時劣化)によって、補正量の大きさのばらつきが増大している虞がある。そこで、異常判断部118は、補正量(またはずれ角度)に基づいて画像検査システム1の異常の有無を判断する。異常判断部118は、補正量またはずれ角度のばらつきを示す代表値(例えば、標準偏差)に基づいて、異常の有無を判断する。具体的に、異常判断部118は、例えば、補正量の所定回数分の標準偏差σが、閾値σth以上である(またはより大きい)場合に、異常と判断することができる。
図10の例では、黒い丸で示された使用開始当初(tm=t0)の所定回数分(例えば100回分)の標準偏差σが0.6であり、白い丸で示された使用開始から比較的長い時間が経過した時点(tm=t1>t0)の直前の所定回数分(例えば100回分)の標準偏差σが1.3であり、閾値σthが1である場合、異常判断部118は、tm=t0では正常であると判断し、tm=t1では異常であると判断する。なお、代表値は、ばらつきの増減に応じて増減するパラメータであればよく、標準偏差には限定されない。また、所定回数は、一定数であればよく、100回には限定されない。また、標準偏差等のばらつきの増減を示すパラメータは、搬送機構60や回転支持部20の経時劣化(摩耗の経時変化)を示すパラメータの一例である。
【0042】
以上、説明したように、本実施形態では、例えば、補正量算出部113は、第一カメラ41(第一撮像部)によって撮影された検査対象物10の軸方向画像Imtに基づいて検査対象物10の回転位置のずれ角度の補正量を算出し、駆動制御部114は、検査対象物10が、補正量により補正された所定の回転位置(P1,P2,・・・,P12)に位置するよう、モータ30(駆動機構)を制御し、第二撮影制御部115は、検査対象物10が補正された所定の回転位置(P1,P2,・・・,P12)に位置した状態で周面11aを撮影するよう、第二カメラ42(第二撮像部)を制御し、側面検査部116は、第二カメラ42によって撮影された周面11aの画像(側方画像Ims)に基づいて当該周面11aの異常を検査する。このような構成によれば、例えば、補正量算出部113は、軸方向画像Imtに基づいて、より迅速にあるいはより容易にずれ角度の補正量を算出することができ、ひいては、検査対象物10の検査に要する時間をより短くすることができるとともに、演算処理装置100の演算負荷をより低減することができる。
【0043】
また、本実施形態では、例えば、補正量算出部113は、第一カメラ41によって撮影された検査対象物10の軸方向における第一カメラ41に近い端面12cの軸方向画像Imtに基づいて補正量を算出する。このような構成によれば、例えば、ずれ角度を検出しやすい形状を有するとともに、より近傍に位置される分より大きい画像となる端面12cの画像に基づいてより精度良くずれ角度の補正量を算出することができ、ひいては、補正の精度をより一層高めることができる。
【0044】
また、本実施形態では、例えば、補正量算出部113は、第一カメラ41によって撮影された検査対象物10の画像に含まれる境界線12e(直線状部分)の画像に基づいて、補正量を算出する。このような構成によれば、例えば、境界線12eの姿勢(角度)に基づいて、より迅速にあるいはより容易にずれ角度の補正量を算出することができる。なお、直線部分は、境界線12e(端縁)には限定されず、例えば、切欠、凹部、突起等の縁や、刻印、文字等であってもよい。また、直線状部分は、端面12c以外に設けられた直線状部分であってもよい。
【0045】
また、本実施形態では、例えば、側面検査部116は、周面11aの異常の検査を、所定の回転位置(P1,P2,・・・,P12)に対応して設定された除外領域Aeが除外された検査領域(Ad1,Ad2,・・・,Ad12)内で実行する。このような構成によれば、例えば、スリット11cに対応した領域を検査することによる異常の誤検知を、抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、例えば、最初に初期位置P0から回転位置P1(第一位置)へのずれ角度の補正が実行されることにより、以降の回転位置(P2,P3,・・・,P12)は、所定の回転角度θだけ回転することにより補正済みの回転位置(P2,P3,・・・,P12)となる。このような構成によれば、例えば、より高精度な回転位置(P1,P2,・・・,P12)の制御を、より容易に実行することができる。
【0047】
また、本実施形態では、例えば、異常判断部118は、補正量またはずれ角度に基づいて、一例としては、補正量またはずれ角度のばらつきを示す標準偏差等の代表値に基づいて、画像検査システム1の異常の有無を判断する。このような構成によれば、例えば、補正量またはずれ角度とは別のパラメータによって画像検査システム1の異常の有無を判断するような構成と比較して、画像検査システム1のシステム構成をより簡素化することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例である。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、実施形態の構成や形状は、部分的に他の構成や形状と入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、角度、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。