特開2019-136249(P2019-136249A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-136249(P2019-136249A)
(43)【公開日】2019年8月22日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20190726BHJP
【FI】
   A63F7/02 317
   A63F7/02 312Z
   A63F7/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-21264(P2018-21264)
(22)【出願日】2018年2月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】徳岡 純一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 芳充
【テーマコード(参考)】
2C088
2C333
【Fターム(参考)】
2C088EB55
2C088EB72
2C333AA11
2C333CA76
(57)【要約】
【課題】遊技者の遊技意欲を高める演出を実行する遊技機を提供すること。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、遊技者から視認可能な状態で玉を流下させる可視通路部5と、可視通路部5を流下した玉が入賞可能なVゾーン410を設けた回転役物4と、可視通路部5を流下する玉の位置を特定する位置特定手段としての位置センサと、可視通路部5を流下する玉の位置の特定結果に基づいて特別演出を実行する液晶表示部19と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域を流下する玉が入賞可能な始動入賞部と、
前記遊技領域を流下する玉が通過可能な玉通過部と、
前記始動入賞部に玉が入賞した場合に、所定の抽選を実行する抽選手段と、
前記抽選手段の抽選結果を報知する報知演出を実行する報知演出実行部と、
前記玉通過部の上流側に設けられ、前記報知演出実行部が当選に対応した前記報知演出を実行した場合に、前記玉通過部を玉が通過することを抑制する通過抑制状態から玉が通過することを許容する通過許容状態に切り替わる切替部材と、
前記玉通過部を玉が通過した後に、当該玉を遊技者から視認可能な状態で流下させる可視通路部と、
当該可視通路部を流下した玉が入賞可能な特別入賞部と、
前記可視通路部を流下した玉が到達可能であり、到達した玉を前記遊技領域から排出する玉排出部と、
前記可視通路部を流下した玉が到達可能であり、玉が到達したタイミングに応じて、当該玉を前記特別入賞部及び前記玉排出部のいずれかに誘導する誘導手段と、
前記特別入賞部に玉が入賞した場合に遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
前記可視通路部を流下する玉の位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段の特定結果に基づいて、前記特別入賞部への玉の入賞に関する演出である特別演出を実行する特別演出実行部と、を備え、
前記可視通路部は、前記報知演出実行部よりも上方から、当該報知演出実行部の下方まで延びており、前記玉通過部を通過することなく玉が進入することを抑制する一方、前記玉通過部を通過した玉の全てを前記誘導手段に到達させることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記可視通路部には、玉が接触する突起部が前記報知演出実行部と同じ高さに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記可視通路部には、
螺旋を描くように玉が流下する螺旋通路部と、
当該螺旋通路部に連結されており、玉の直径2個未満分の幅を有し、玉が落下可能であると共にその落下した玉を前記誘導手段に到達させる落下通路部と、が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記特別演出実行部は、前記螺旋通路部を玉が流下している場合に前記特別演出を実行することを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
遊技領域を流下する玉が通過可能な玉通過部と、
前記玉通過部を玉が通過した後に、当該玉を遊技者から視認可能な状態で流下させる可視通路部と、
当該可視通路部を流下した玉が入賞可能な特別入賞部と、
当該特別入賞部に玉が入賞した場合に遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
前記可視通路部を流下する玉の位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段の特定結果に基づいて、前記可視通路部を流下する玉が前記特別入賞部に到達するまでの残りの時間又は距離に対応した特別演出を実行する特別演出実行部と、を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項6】
前記位置特定手段は、前記可視通路部における第1位置を玉が通過したこと、及び当該第1位置よりも下流の位置である第2位置を玉が通過したことを特定可能であり、
前記特別演出実行部は、前記特別演出として、前記第1位置を玉が通過した場合に第1特別演出を実行すると共に、前記第2位置を玉が通過した場合に前記特別入賞部に到達するまでの残りの時間又は距離が前記第1特別演出よりも短いことに対応した第2特別演出を実行することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技者の多様な要望に応えるために様々な遊技機が提案されている。例えば特許文献1には、役物内に設けられたVゾーンを玉が通過した場合に、大当たり状態が発生する遊技機が記載されている。このような遊技機の場合は、単に抽選結果を液晶表示部で表示するだけの遊技機に比べて、玉の動きを楽しむ遊技者の遊技意欲を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−79996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、Vゾーンを玉が通過した場合に大当たり状態が発生する遊技機は特許文献1以外にも複数提案されている。このため、玉の動きにも工夫を凝らさなければ、遊技者の遊技意欲をさほど高めることができないのが実情である。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、遊技者の遊技意欲を高める演出を実行する遊技機の提供を目的とする発明である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機は、遊技者から視認可能な状態で玉を流下させる可視通路部と、可視通路部を流下した玉が入賞可能な特別入賞部と、可視通路部を流下する玉の位置を特定する位置特定手段と、位置特定手段の特定結果に基づいて特別演出を実行する特別演出実行部と、を備えている。
【0007】
本発明の遊技機は、位置特定手段の特定結果に基づいて特別演出を実行するので、玉の動きと特別演出とを連動させることが可能になり、玉の動きにより遊技者を楽しませる効果を大きくできる。この結果、遊技者の遊技意欲を高めることができる。
このように本発明の遊技機は、遊技者の遊技意欲を高めることができる優れた遊技機である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】パチンコ遊技機を示す正面図。
図2】パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図。
図3】ガイド部、可視通路部、回転役物を示す説明図。
図4】回転役物の構成を示す説明図。
図5】抽選結果の報知演出の説明図。
図6】特別演出の説明図。
図7】回転役物の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、玉の動きによって遊技者を楽しませるように工夫されたパチンコ遊技機(遊技機)1の例である。この内容について、図1図7を用いて説明する。
【0010】
図1のパチンコ遊技機1は、大当たり状態の発生契機となる特別入賞部であるVゾーン410が設けられた遊技機である。このパチンコ遊技機1は、Vゾーン410に至る玉の入賞経路としての螺旋通路部52を含む役物である可視通路部5を備えている。
【0011】
パチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤の表面側に略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の下部両側にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には上皿135及び下皿137が遊技者側に張り出すように設けられている。上皿135は、入賞に応じて払い出された賞球の玉や、貸玉等を受け入れて玉を貯留する受け皿である。下皿137は、上皿135の収容限度を超える玉等を受け入れる受け皿である。上皿135の右下には、上皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設されている。
【0012】
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139と、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部136と、が設けられている。
【0013】
遊技領域130は、遊技媒体である玉が流下する領域である。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。遊技領域130の中央には、大きな可視通路部5が設けられている。可視通路部5は、全体として、中心角40度程度の扇形状の中心が下側に位置する正面形状を呈する役物である。この可視通路部5では、末窄まりの円錐状の螺旋通路部52等が下側に配置され、この螺旋通路部52に玉を供給する供給通路部51が上側に設けられている。
【0014】
供給通路部51は、水平方向に近い第1通路部511と、この第1通路部511の両端からカギ状をなして下方に折れ曲がり、下方に向けて末窄まりをなす左右一対の第2通路部512と、を含んで構成されている。水平方向に近い第1通路部511と、左右一対の第2通路部512と、の組合せの内側に内周窓519が形成されている。
【0015】
遊技者側から見て可視通路部5の左側には、抽選(第1抽選)の契機となる始動入賞部11が配置され、同右側には、大当たり状態で開放される大入賞部16が配置されている。可視通路部5の上側には、遊技領域130に打ち込まれた玉の大部分を集めて可視通路部5側に向けて流下させるガイド部185が設けられている。また、可視通路部5の下流には、Vゾーン410が設けられた回転役物4が設けられている。このVゾーン410は、可視通路部5を流下した玉が入賞可能な特別入賞部であり、大当たり状態の契機となる入賞部となっている。
【0016】
さらに、供給通路部51の裏側(奥行方向における遊技者から離れる奥側)には、液晶表示部19が配設されている。液晶表示部19の手前側(遊技者側)の供給通路部51は、液晶表示部19の表示画面を取り囲む庇のように設けられ、表示画面を見込む内周窓519を介して遊技者側から表示画面を見込むことができる。庇のような供給通路部51により内周窓519への玉の流入が規制され、遊技領域130の玉は、可視通路部5の外側を流下する。
【0017】
ガイド部185は、受け皿のように玉を集めると共に、集めた玉を可視通路部5の真上から流下させる役物である。このガイド部180が玉を流下させる経路には、可視通路部5に玉を流入させる玉通過部182の上流側の端部をなし、切替部材181によって開閉する開口部180が形成されている。パチンコ遊技機1では、この切替部材181により開放状態に切り替えられた開口部180が、可視通路部5に対する玉の入り口となっている。
【0018】
以下、遊技領域130を構成する各部の構成を説明する。なお、ガイド部185によって集められた玉が可視通路部5に供給され、回転役物4のVゾーン410に入賞するまでの経路を構成する各部(ガイド部185、可視通路部5、回転役物4など)については、パチンコ遊技機1の電気的な構成を説明した後で詳しく説明する。
【0019】
液晶表示部19は、遊技を演出するための各種の画像を表示するほか、抽選手段(後述)の抽選結果を報知する報知演出を実行する報知演出実行部としての機能を備えている。この報知演出実行部としての液晶表示部19は、3桁の演出用の数字図柄(1〜9)を変動表示させた後、各桁の数字図柄を停止させることで抽選結果を報知する。「333」、「777」などの同じ数字図柄の組合せが当選を報知する当選図柄となっている。
【0020】
始動入賞部11は、遊技領域130を流下する玉が入賞可能な入賞部であって、抽選手段による第1抽選の契機となる入賞部となっている。第1抽選は、玉通過部182への流路を開放するか否かを決定するためのソフトウェア処理による抽選であり、通常状態下の当選確率が1/20となっている。第1抽選に当選した場合には、上記のように液晶表示部19による当選図柄の停止表示によりその旨が報知される。なお、始動入賞部11への玉の入賞に応じた払出は4個となっている。
【0021】
大入賞部16は、大当たり状態下で開放状態となるアタッカーとも呼ばれる可変入賞装置である。横長の大入賞部16には、開閉可能な蓋部材が設けられている。大入賞部16は、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材が位置したとき閉鎖状態となり、蓋部材が手前側に回動すると開放状態となる。大入賞部16が開放されると、玉を導くための受け皿のように蓋部材が作用し、高い入賞率が実現される。なお、大入賞部16に入賞したときの玉の払出は15個となっている。
【0022】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、図2を用いて説明する。パチンコ遊技機1は、主回路20を中心として構成されている。主回路20に対しては、玉の払出を制御する払出制御回路33、玉の打込を制御する発射制御回路34、図柄の変動表示を含む遊技演出を制御する表示制御回路35、玉通過部182(図1)の玉を検出する玉通過部センサ391、玉の検出センサ312〜315、切替部材181(図1)を駆動する切替部材ソレノイド322、大入賞部16を開放させる大入賞ソレノイド324、及び電力供給のための電源回路部328等が電気的に接続されている。
【0023】
払出制御回路33は、いずれかの入賞部で入賞が発生した旨の主回路20からの指示に応じて払出装置331を制御し、所定数の玉の払出を実行させる。
発射制御回路34は、遊技者の発射操作に応じて遊技領域130に玉を打ち込む発射装置341を制御する回路である。発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作角度に応じて、発射装置341による玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0024】
玉の検出センサとしては、始動入賞部11への入賞玉を検出する始動入賞部センサ313、大入賞部16への入賞玉を検出する大入賞部センサ314、Vゾーン410への入賞玉を検出するV入賞センサ312等がある。さらに、アウト孔138や回転役物4の玉排出部439(図4参照。)を介して遊技領域130から排出された玉の検出センサとして、玉排出部センサ315が設けられている。
【0025】
主回路20は、図2に示すごとく、CPU(Central Processing Unit)28、記憶素子であるROM(Read Only Memory)29・RAM(Random Access Memory)24、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。RAM24は、CPU28のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。ROM29は、CPU28に実行させる各種の処理プログラムを記憶している。
【0026】
表示制御回路35は、アンプ/スピーカ131や装飾ランプ部136による音や光の演出を制御する機能のほか、液晶表示部19の表示制御を実行する機能などを備えている。この表示制御回路35は、CPU351、記憶素子であるROM352・RAM353、及び入出力インタフェースをなすI/O354等により構成されている。表示制御回路35に対しては、可視通路部5に流入し通過する玉を検出する検出センサ391〜396等が電気的に接続されている。
【0027】
検出センサ391〜396は、可視通路部5の玉の経路に沿って上流側から下流側に順番に配置されている。検出センサ391は、可視通路部5に流入する玉の位置を特定する位置特定手段をなし、可視通路部5に流入する玉を磁気的に検出する。検出センサ392〜396は、可視通路部5を流下する玉の位置を特定する位置特定手段をなし、可視通路部5における玉の位置を磁気的に検出する。そこで、以下の説明では、可視通路部5を流入、通過する玉の検出センサ391〜396を(第1〜第6の)位置センサ391〜396という。位置センサ391〜396は、可視通路部5の上流側から下流側に向かって異なる位置に配置されている。したがって、位置特定手段としての位置センサ391〜396によれば、可視通路部5における上流側の位置(第1位置の一例)を玉が通過したこと、及びこの上流側の位置よりも下流の位置(第2位置の一例)を玉が通過したことを特定可能である。
【0028】
なお本実施例1では、第1の位置センサ391は、主回路20に接続されている上記玉通過部センサ391と共用していることから、同じ符号を付してある。これに代えて、第1の位置センサ、及び玉通過部センサとして、個別のセンサを設けても良い。あるいは、第1の位置センサを省略し、玉通過部センサによる玉の検出信号を主回路20が表示制御回路35に入力する構成を採用しても良い。
【0029】
主回路20は、ROM29から読み出した処理プログラムをCPU28が実行することにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)抽選手段:始動入賞部11に玉が入賞した場合に、所定の抽選である上記の第1抽選を実行する手段。この抽選手段は、第1抽選を実行することで、玉通過部182への流路をなす開口部180を開放するか否かを決定する。本例では、この第1抽選による当選確率が1/20となっている。なお、この第1抽選では、第1抽選の結果を報知するための図柄変動時間が併せて決定される。
(2)特典付与手段:Vゾーン410に玉が入賞した場合に遊技者に特典を付与する手段。本例では、大入賞部16が開放される大当たり状態が特典として設定されており、特典付与手段は、Vゾーン410への玉の入賞を契機として大当たり状態を発生させる。
【0030】
また、表示制御回路35は、ROM352から読み出した処理プログラムをCPU351が実行することにより、液晶表示部19等を制御する。表示制御回路35は、以下の各手段としての機能を実現する。
(3)報知演出制御手段:始動入賞部11への玉の入賞を契機とした第1抽選の当否を報知する報知演出(図5を参照して後述する。)を報知演出実行部としての液晶表示部19に実行させる手段。
(4)特別演出制御手段:位置センサ391〜396(位置特定手段)の特定結果に基づいて、Vゾーン410への玉の入賞に関する演出である後述の特別演出を液晶表示部19に実行させる手段。そして、表示制御回路35は、位置センサ391〜396(位置特定手段)の特定結果に基づいて、可視通路部5を流下する玉がVゾーン410に到達するまでの残りの距離に対応した特別演出を特別演出実行部としての液晶表示部19に実行させる。具体的には図6を参照して後述するが、表示制御回路35は、可視通路部5における上流側の位置(第1位置の一例)を玉が通過した場合に特別演出(第1特別演出の一例)を液晶表示部19に実行させると共に、下流側の位置(第2位置の一例)を玉が通過した場合に、入賞するまでの残りの距離がこの特別演出よりも短いことに対応した新たな特別演出(第2特別演出の一例)を液晶表示部19に実行させる。
【0031】
次に、Vゾーン410に玉が入賞するまでの経路をなす各構成(ガイド部185、可視通路部5、回転役物4など)について図3及び図4を参照して説明する。パチンコ遊技機1では、ガイド部185によって集められた玉が玉通過部182を経由して可視通路部5に供給され、回転役物4を経由してVゾーン410に入賞するという経路が形成されている。
【0032】
ガイド部185は、凹湾曲形状をなすガイドレールを設けた部材であり、玉を集める受け皿のように機能する。ガイド部185の最下部には、ガイドレールが途切れた箇所である欠落部189が設けられていると共に、遊技領域130を流下する玉が通過可能な玉通過部182の開口部180が設けられている。そして、玉通過部182の開口部180には、玉通過部182を開放するか閉鎖するかを切り替える切替部材181が取り付けられている。
【0033】
この玉通過部182は、供給通路部51(可視通路部5)への経路をなしており、開口部180とは反対側に当たる玉通過部182の端部の出口は、可視通路部5の中央の最も高い位置に接続されている。したがって、玉通過部182に流入した玉は、全て可視通路部5に供給されることになる。
【0034】
この切替部材181は、玉通過部182の開口部180を閉鎖する位置、及びこの開口部180を開放する位置のいずれかに選択的に位置する部材である。下開きの扉のように回動駆動される切替部材181は、下側に回動中心をなすヒンジを有している。切替部材181は、遊技領域130をなす遊技盤の盤面と面一をなして開口部180を閉鎖する位置から遊技者側に当たる手前側に回動すると、ガイド部185の欠落部189を塞ぐと共にガイド部185に集められた玉を玉通過部182に流入させる受け皿のように作用する。
【0035】
切替部材181は、通常、玉通過部182の開口部180を閉鎖するように位置する一方、始動入賞部11への玉の入賞に応じて実行される第1抽選に当選したとき、この開口部180を開放する位置に回動する。つまり、切替部材181は、玉通過部182の上流側に設けられ、報知演出実行部としての液晶表示部19が当選に対応した報知演出を実行した場合に、玉通過部182を玉が通過することを抑制する通過抑制状態から玉が通過することを許容する通過許容状態に切り替わる。なお、玉通過部182には、開口部180から流入した玉を磁気的に検出する第1の位置センサ(玉通過部センサ)391が設けられている。可視通路部5の入り口をなす玉通過部182に設けられた第1の位置センサ391は、可視通路部5の入り口に当たる位置に玉が到達したことを検出する。
【0036】
可視通路部5は、玉通過部182を玉が通過した後に、その玉を遊技者から視認可能な状態で流下させる役物である。可視通路部5は、全体として、中心角40度程度の扇形の中心が下方に位置する末窄まりの正面形状を呈している。この可視通路部5は、報知演出実行部としての液晶表示部19よりも上方から、液晶表示部19の下方まで延びている。可視通路部5は、玉通過部182を通過することなく玉が進入することを抑制する一方、玉通過部182を通過した玉の全てを回転役物4に到達させるように構成されている。
【0037】
可視通路部5では、上から順番に、供給通路部51、受け皿56、螺旋通路部52、落下通路部55が配置され、全体として末窄まりの形状を呈している。可視通路部5の最下部をなす落下通路部55から落下した玉は、回転役物4に供給される。可視通路部5は、アクリル樹脂など透明な樹脂材料により形成されており、内部を通過する玉を遊技者側から視認できるようになっている。以下、可視通路部5の各部の構成を説明する。
【0038】
供給通路部51の上部をなす水平方向に近い第1通路部511は、中央が高くなっており、左右両側に向かって垂れるように僅かに傾斜している。第1通路部511の中央には、上記の玉通過部182の出口が連通している。玉通過部182に流入した玉は、遊技領盤の裏側を通過して第1通路部511に転がり出るようになっている。
【0039】
第1通路部511の両端から下方に向けてカギ状に折れ曲がる左右一対の第2通路部512は、上記のように下方に向かう末窄まりに形成されていると共に、その先端部分は、内側に向けてさらに折れ曲がり斜め下方に向かっている。供給通路部51の下には、凹状の受け皿56が設けられており、第2通路部512の斜め下方に向かう先端部分は、この受け皿56の傾斜に沿うものとなっている。
【0040】
左右の第2通路部512では、それぞれ、液晶表示部19の表示画面の横に当たる箇所に突起形成部515が設けられている。突起形成部515では、玉の流路をなす内壁面に突起部515Tが設けられ、通過する玉が突起部515Tにぶつかりながらジグザグに流下するという演出的な効果が生じる。このように可視通路部5には、玉が接触する突起部515Tが液晶表示部(報知演出実行部)19と同じ高さに設けられている。
【0041】
第2通路部512を通過した玉が転がり出る受け皿56には、玉を落下させるための孔560が最下部となる中央に設けられている。さらに、受け皿56の最下部には、この孔560から落下する玉を検出するための第2の位置センサ392が取り付けられている。
【0042】
螺旋通路部52は、外周に螺旋状の溝522が穿設された略円錐外形状の円錐ドリル520を透明容器525に収容して形成されている。透明容器525は、下方に向かう末窄まりの漏斗のような形状を呈すると共に、円筒状の出口をなす出口通路559が窄まり側の端部に延設された容器である。螺旋通路部52は、この透明容器525の内周面と、円錐ドリル520の螺旋状の溝522と、の組合せにより螺旋状の通路が形成されている。
【0043】
円錐ドリル520の上面には、供給通路部51の下側の受け皿56から落下する玉を受け取る略円筒状の玉ポケット521が立設されている。この玉ポケット521では、周方向における1箇所において、側壁が欠落している。玉ポケット521に落下した玉は、側壁の欠落箇所から螺旋通路部52に転がり出るようになっている。
【0044】
螺旋通路部52は、遊技者側から、斜め方向の3列の溝522として視認される。螺旋通路部52は、玉ポケット521から転がり出た玉が一旦、円錐ドリル520の裏側に回り込んだ後、3列の溝522に沿って遊技者側の正面を3度横切りながら流下するように形成されている。このように螺旋を描くように玉が流下する螺旋通路部52では、玉が3回、遊技者側の正面を横切る各位置に対応して、玉を検出する第3〜第5の位置センサ393〜395が配置されている。
【0045】
透明容器525の最下部、円筒状の出口をなす出口通路559の付け根に当たる部分には、円錐ドリル520の先端が到達しない隙間558が形成されている。この隙間558の空間、及び鉛直方向の出口通路559は、螺旋通路部52から転がり出た玉が回転役物4に向かって落下する落下通路部55を形成している。
【0046】
落下通路部55である出口通路559の内径は約13mmであり、玉の直径1個分よりも大きく玉の直径2個分よりも小さく設定されている。このように、可視通路部5には、螺旋通路部52に連結されており、玉の直径2個未満分の幅を有し、玉が落下可能であると共にその落下した玉を回転役物4に到達させる落下通路部55としての出口通路559、が設けられている。なお、出口通路559には、回転役物4に向けて落下する玉を検出する第6の位置センサ396が取り付けられている。玉の直径2個分未満の内径の出口通路部559に設けた位置センサ396によれば、出口通路部559を通過する玉を確実性高く検出できる。
【0047】
一方、落下通路部55である隙間558は、出口通路559につながる先細りの形状となっており、出口通路559とは反対側の上部は、玉の直径2個分よりも大径となっている。この隙間558は、螺旋通路部52から転がり落ちた玉が透明容器525の内周壁面にぶつかりながら跳ね返る演出上の効果を生じさせる空間となっている。
【0048】
回転役物4は、可視通路部52を流下した玉が到達可能であり、玉が到達したタイミングに応じて、その玉をVゾーン410及び玉排出部439のいずれかに誘導する誘導手段である。この回転役物4は、Vゾーン410に玉を入賞できるかハズレかを当選確率1/6の第2抽選により決定する。
【0049】
回転役物4は、可視通路部52の最下部に位置する落下通路部55を構成する円筒状の出口通路559から落下する玉を受け止める位置に設けられている。この回転役物4は、図示しないモータによって回転する回転台41と、回転台41を回転可能に収容するホルダー43と、ホルダー43の上面側に被せる半球状の透明カバー48と、を備えている。
【0050】
半球状の透明カバー48は、回転台41の上面側に半球状の空間を形成し、可視通路部52から落下した玉が飛び出さないようにするためのカバーである。この透明カバー48は、ホルダー43との組み合わせにより回転台41を収容するための空間を形成する。この透明カバー48の最上部には、可視通路部52の出口通路559を差し込むように組み合わせるための孔480が穿設されている。
【0051】
ホルダー43は、図4のごとく、背の低い有底円筒状をなす部材である。ホルダー43は、周方向の1箇所において外周壁面が欠落する玉排出部439を有していると共に、中心から偏心して位置する孔430を底面に有している。玉排出部439は、玉が通過可能な隙間をなし、この玉排出部439を通過した玉は遊技領域130から排出される。この玉排出部439は、可視通路部52を流下した玉が到達可能であり、到達した玉を遊技領域130から排出する。玉排出部439から排出された玉は、遊技領域130から排出されると共に、玉排出部センサ315(図2)により検出される。
【0052】
ホルダー43の底面に穿設された孔430は、玉が通過可能な大きさの孔である。この孔430には、Vゾーン410に入賞した玉を検出するためのV入賞センサ312(図2)が設けられている。Vゾーン410に入賞した玉は、V入賞センサ312によって検出されると共に、入賞玉として遊技領域130から排出される。なお、図4では、孔430から流下する玉の通路、及び孔430に設けたV入賞センサの図示を省略している。
【0053】
回転台41は、図4のごとく、周方向に6か所のポケットが設けられた円盤状の部材であり、図示しないモータによってゆっくりと回転する。6か所のポケットのうちの1箇所はVゾーン410になっており、他の5箇所は、ハズレポケット419になっている。Vゾーン410は、鉛直方向に回転台41を貫通する孔である。各ハズレポケット419は、回転台41の外周に開口するように形成されたスリット状の孔である。Vゾーン410は、回転台41の1回転の間に、ホルダー43の底面に穿孔された孔430と1回連通する。各ハズレポケット419は、回転台41の1回転の間に、ホルダー43の玉排出部439と1回連通する。
【0054】
次に、以上のように構成された本例のパチンコ遊技機1の動作について説明する。
このパチンコ遊技機1では、操作ハンドル15の操作による玉の発射により遊技が行われる。発射された玉は遊技領域130に打ち込まれて、始動入賞部11や可視通路部5などの役物が設けられた遊技領域130を流下する。
【0055】
パチンコ遊技機1の主回路20は、遊技領域130に向かって左側にある始動入賞部11に入賞した玉を検出すると、玉通過部182の開口部180を開放させるか否か、及び図柄変動時間を決定するための第1抽選(当選確率1/20)を実行する。そして、主回路20は、この第1抽選の結果として、開口部180を開放させるか否か、及び図柄変動時間を表示制御回路35に入力する。
【0056】
表示制御回路35は、第1抽選の結果を取得すると、当否結果及び図柄変動時間に応じて演出を決定する。そして、液晶表示部19の画面上で3桁の数字図柄を変動表示させ、その後、いずれか3桁の数字図柄を液晶表示部19に停止表示させることで当否を報知する。当選の場合には、左右両側に同じ数字図柄が停止表示された状態で中央の図柄の変動表示が継続中というリーチ状態を経由し(図5(a))、最終的に中央に同じ数字図柄が停止表示されて当選が報知される(図5(b))。一方、ハズレの場合には、揃いの図柄ではないハズレ図柄を液晶表示部19に停止表示させることでハズレが報知される。
【0057】
主回路20は、液晶表示部19による当選報知が実行されたとき、玉通過部182の開口部180を閉鎖するように位置している切替部材181を手前側に回動させる。これにより切替部材181を通常の通過抑制状態から通過許容状態に切り替え、開口部180を開放させる。切替部材181は、通過許容状態への切替後、5秒が経過するか、あるいは開口部180に玉が1個流入したときに、再度、通過抑制状態に切り替えられ、これにより開口部180が閉鎖される。
【0058】
なお、切替部材181が通過抑制状態にある場合、ガイド部185により集められた玉は、玉通過部182に流入することなく、中央に設けられた欠落部189から流下するようになっている。流下した玉は、液晶表示部19に対して庇のように設けられた第1通路部511の上面で転動しながら可視通路部5の左右の外側に振り分けられて流下するため、可視通路部5に流入することがない。
【0059】
表示制御回路35は、第1の位置センサ391による玉の検出により可視通路部5の入り口に到達した玉を検出したとき、Vゾーン410への玉の入賞(V入賞という。)に関する特別演出(図6)を液晶表示部19に開始させる。表示制御回路35は、まず、V入賞までの距離が100mである旨を液晶表示部19に表示させる(図6(a))ことで、Vゾーン410への玉の入賞経路の入り口をなす玉通過部182へ玉が流入し、これによりV入賞のチャンスが生じたことを報知する。なお、図6の各図では、可視通路部5に流入あるいは流下する玉の位置を示す図が左列に配置され、液晶表示部19による特別演出の内容を例示する図が右列に配置されている。
【0060】
なお、第1の位置センサ391による玉の検出を契機として図6の特別演出が開始されると、始動入賞部11に玉が入賞しても第1抽選が実行されない状態となる。特別演出に続くV入賞を契機とした大当たり状態が終了するか、あるいは特別演出後にV入賞が発生することなくハズレが確定すると、始動入賞部11への玉の入賞に応じて第1抽選が実行される状態に復帰する。
【0061】
玉通過部182に流入した玉は、供給通路部51の中央、最上部から第1通路部511に転がり出る。このように供給通路部51に流入した玉は、その後、中央の最上部から左右両側に向かって若干垂れている第1通路部511の傾斜により、左右どちらかに向けて転がる。そして、第1通路部511の左右いずれかの端部に到達すると、カギ状をなすように下方に折れ曲がる第2通路部512に沿って下方に流下し、受け皿56に転がり出る。このとき、第2通路部512を流下する玉は、突起形成部515の突起部515Tにぶつかることでジグザグに跳ねながら流下する。
【0062】
凹状の受け皿56に転がり出た玉は、中央に向けて転がり、中央の孔560から螺旋通路部52に流下する。上記のように孔560には、流下する玉を検出する第2の位置センサ392が取り付けられている。表示制御回路35は、第2の位置センサ392による玉の検出に応じて孔560から流下する玉を検出すると、液晶表示部19に表示されるV入賞までの残りの距離を減算し、例えば「Vまでの距離 残り50m」という表示に更新させる(図6(b))。
【0063】
受け皿56の孔560から落下する玉は、まず、円錐ドリル520の上面に立設された玉ポケット521にキャッチされる。上記のように略円筒状の玉ポケット521では、周方向の1箇所に側壁面の欠落箇所が設けられており、玉ポケット521にキャッチされた玉はこの欠落箇所から螺旋通路部52に転がり出る。
【0064】
螺旋通路部52を転動する玉は、螺旋状に周回しながら流下する。螺旋通路部52の玉は、螺旋状の周回動作中に上記のように遊技者側の正面を3回横切りながら流下する。このように遊技者側の正面を玉が3回横切る際には、上記のように遊技者側が視認可能な3列の溝522の各列にそれぞれ配置された第3〜第5の位置センサ393〜395により、玉の通過が検出される。そして、特別演出実行部としての液晶表示部19は、螺旋通路部52を玉が流下している場合に例えば図6(c)に例示するような特別演出を実行する。
【0065】
玉ポケット521から螺旋通路部52に転がり出た玉は、一旦円錐ドリル520の裏側に回り込んだ後、遊技者側の正面を最初に横切るときに第3の位置センサ393により検出される。表示制御回路35は、第3の位置センサ393による玉の検出に応じて、液晶表示部19に表示されるV入賞までの残りの距離を減算し、例えば「Vまでの距離 残り30m」等の表示(図示略)に更新させる。
【0066】
そして、第3の位置センサ393により検出された玉は、再度、円錐ドリル520の裏側に回り込んだ後、遊技者側の正面を2度目に横切るときに第4の位置センサ394により検出される。表示制御回路35は、第4の位置センサ394による玉の検出に応じて、液晶表示部19に表示されるV入賞までの残りの距離を減算し、例えば「Vまでの距離 残り20m」等の表示(図示略)に更新させる。
【0067】
さらに、第4の位置センサ394により検出された玉は、再々度、円錐ドリル520の裏側に回り込んだ後、遊技者側の正面を3度目に横切るときに第5の位置センサ395により検出される。表示制御回路35は、第5の位置センサ395による玉の検出に応じて、液晶表示部19に表示されるV入賞までの残りの距離を減算し、例えば「Vまでの距離 残り10m」等の表示(図6(c))に更新させる。
【0068】
このように、末窄まりの漏斗のような形状の透明容器525に円錐ドリル520を内挿配置して形成される螺旋通路部52を通過した玉は、透明容器525の最下部に形成された隙間558(落下通路部55)に転がり出る。この隙間558の空間は、上方の断面積が大きく下方ほど断面積が小さくなる円錐状の先細りの通路となっている。そのため、螺旋通路部52の螺旋状の通路により水平成分の動きを与えられた状態で螺旋通路部52から転がり出る玉は、透明容器525の内周壁面との衝突を繰り返し、隙間558の中で左右方向に跳ね返りながら流下する可能性が高くなっている。
【0069】
この隙間558と共に落下通路部55をなし、隙間558の下方に延在する出口通路559の内径は、玉の直径1個分よりも大きく玉の直径2個分よりも小さく設定されている。そのため、隙間558を経由してこの出口通路559に到達した玉は、鉛直方向下方に直線的に落下し、回転役物4に流下する。
【0070】
この出口通路559には第6の位置センサ396が取り付けられている。そのため、表示制御回路35は、この第6の位置センサ396による玉の検出に応じて可視通路部5の出口通路559への玉の到達を検出可能である。表示制御回路35は、出口通路559への玉の到達を検出すると、液晶表示部19の表示を、Vゾーン410が設けられた回転役物4への玉の到達を表す例えば「V入賞!?」という表示に切り替える(図6(d))。
【0071】
このようにパチンコ遊技機1では、可視通路部5を玉が通過する間、図6に例示する特別演出が実行される。この特別演出では、位置特定手段としての位置センサ391〜396による玉の検出毎に、液晶表示部19に表示されたVゾーン410までの残りの距離が随時、更新され、残りの距離が次第に減っていきV入賞に近づいていくという演出が実行される。
【0072】
半球状の透明カバー48を備える回転役物4に流下した玉は、回転台41の表面への衝突による跳ね上がりと、透明カバー48の内周面による跳ね返りと、を繰り返しながらその上下動が次第に減衰していき(図7(a))、回転台41に設けられた6箇所のポケットのうちのいずれかに収容される(同図(b1)あるいは(b2))。上記のように6箇所のポケットのうちの1箇所がVゾーン410であり、残りの5箇所がハズレポケット419になっている。回転役物4では、6か所のポケットのうちの1箇所のVゾーン410に玉が入るかどうか、という当選確率1/6の機械的な第2抽選による大当たり抽選が実行される。
【0073】
ハズレポケット419に玉が入った場合(図7(b1))、回転台41の回転に伴ってハズレポケット419がホルダー43の外周の玉排出部439と連通したとき、ハズレポケット419の玉が玉排出部439を経由して遊技領域130の外へと排出される(同図(c1))。表示制御回路35は、このようにして大当たり抽選がハズレとなったとき、液晶表示部19にてハズレの報知(図示略)を行ってから特別演出を終了させる。
【0074】
Vゾーン410に玉が入った場合(図7(b2))、Vゾーン410の玉は、回転台41の回転に応じて、貫通孔であるVゾーン410がホルダー43の孔430と一致したときに下方に流下する(同図(c2))。そして、Vゾーン410から下方に流下した玉は、V入賞センサ312により検出されてV入賞となる。表示制御回路35は、このようにV入賞が発生したとき(大当たり当選)、液晶表示部19の表示内容を、上記の特別演出から大当たりを報知する例えば「V到達!」の表示を含む大当たり画面(図示略)に切り替える。
【0075】
主回路20は、液晶表示部19による大当たり報知演出の後、大当たり状態を発生させる。この大当たり状態では、30秒経過するか10個入賞するまで大入賞部16を開放するラウンド処理を15回繰返し実行させる。大入賞部16は遊技領域130の向かって右側に配置されているので、大当たり状態の発生中では、遊技者は玉の発射を左打から右打へと切り替えると良い。なお、この大当たり状態の1回当たりの出玉(差玉=払出玉−打込玉)の期待数は約1500個となっている。
【0076】
以上のように構成されたパチンコ遊技機1は、遊技者から視認可能な状態で玉を流下させる可視通路部5を有し、可視通路部5を流下する玉の位置を特定する位置センサ391〜396の特定結果に基づいて、Vゾーン410への玉の入賞に関する演出である特別演出を実行する。位置特定手段である位置センサ391〜396による玉の位置の特定結果、すなわち可視通路部5を流下する玉の位置に基づいて特別演出を実行すれば、玉の動きと特別演出とを連動させることが可能になり、玉の動きにより遊技者を楽しませる効果を大きくできる。この結果、遊技者の遊技意欲を高めることができる。
【0077】
また、パチンコ遊技機1では、可視通路部5が液晶表示部(報知演出実行部)19よりも上方から下方まで延びているので、可視通路部5を広域に亘って確保することができる。これにより、玉の動きによって遊技者を楽しませる時間を担保できる効果や、回転役物(誘導手段)4に玉が到達するタイミングに不規則性を持たせ遊技者による狙い打ちを困難にする効果を得ることができる。さらに、可視通路部5を流下する玉は全て回転役物4に到達するので、可視通路部5内で特典が付与されないことが確定してしまうことがなくなり、遊技者に対して抽選結果とは無関係に玉の動きを楽しむ時間を与えることが可能になる。
【0078】
パチンコ遊技機1が備える可視通路部5では、玉が接触する突起部515Tが液晶表示部(報知演出実行部)19と同じ高さに設けられている。可視通路部5に突起部515Tを設ければ、可視通路部5を流下する玉の動きに不規則性を持たせ、玉の動きを楽しませる効果や狙い打ちを困難にする効果を高めることができる。また、突起部515Tと液晶表示部19とを同じ高さに設けたことで、遊技者が報知演出を視認しつつ、突起部515Tに対する玉の接触を視認し易くすることができる。
【0079】
さらに、可視通路部5には、螺旋を描くように玉が流下する螺旋通路部52と、この螺旋通路部52に連結されており、玉の直径2個未満分の幅を有し、玉が落下可能であると共にその落下した玉を回転役物4に到達させる落下通路部55と、が設けられている。螺旋通路部52にて水平方向の動きが与えられた状態の玉が落下通路部55に到達するため、落下通路部55に玉が入るときに玉が落下通路部55の鉛直方向に近い壁との接触を複数回繰り返す動きが発生し易くなる。これにより、玉の動きが複雑になり、玉の動きを楽しませる効果や狙い打ちを困難にする効果を顕著にできる。
【0080】
そして、特別演出実行部としての液晶表示部19は、螺旋通路部52を玉が流下している場合に特別演出を実行する。パチンコ遊技機1は、螺旋通路部52を玉が流下する間に特別演出を実行するので、落下通路部55から回転役物4に玉が落下するタイミングがどうなるか、遊技者を集中させることが可能になり、特別演出を実行する効果を効率良く得ることができる。
【0081】
また、パチンコ遊技機1は、可視通路部5を流下する玉の位置を特定する位置センサ(位置特定手段)391〜396の特定結果に基づいて、可視通路部5を流下する玉がVゾーン(特別入賞部)410に到達するまでの残りの距離に対応した特別演出を実行する。位置特定手段としての位置センサ391〜396は、可視通路部5における上流側の位置(第1位置)を玉が通過したこと、及びこの上流側の位置よりも下流側の位置(第2位置)を玉が通過したことを特定可能である。特別演出実行部としての液晶表示部19は、特別演出として、上流側の位置を玉が通過した場合に(第1)特別演出を実行すると共に、下流側の位置を玉が通過した場合に入賞するまでの残りの距離がこの(第1)特別演出よりも短いことに対応した(第2)特別演出を実行する。このようにパチンコ遊技機1は、Vゾーン(特別入賞部)410までの距離に対応した特別演出を実行するので、玉の動きと特別演出とを連動させることが可能になり、玉の動きにより遊技者を楽しませる効果を大きくできる。この結果、遊技者の遊技意欲を高めることができる。
【0082】
本実施形態の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、遊技領域130に発射した玉が入賞したときに遊技価値である玉を払い出す遊技機1を例示したが、その他の遊技機に本願発明の構成を適用しても良い。例えば、玉が封入してあり、得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機や、スタートレバーの操作に応じて抽選を実行し、玉の動きによる演出を実行するスロットマシンに本願発明の構成を適用することも可能である。
【0083】
可視通路部5の構成を任意に変更することも可能である。例えば本例では全ての領域を遊技者が視認可能にしたが、一部遊技者から視認できない構成にしても良い。また例えば玉が視認できないトンネル状の通路を設ける構成が考えられる。つまり、可視通路部の流路は本例にて例示したものに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。また、本例では、液晶表示部19よりも上方から、液晶表示部19よりも下方まで延びている可視通路部5を例示しているが、可視通路部5の上端部を液晶表示部19の上縁よりも下側に位置させても良い。
【0084】
また本例では、可視通路部5には、玉通過部182を通過しないと玉が入ることがない構成にしたが、玉通過部182とは異なる場所から可視通路部5に玉が入ることが可能にしても良い。さらに本例では、可視通路部5内に螺旋通路部52、及び突起部515Tを設ける構成にしたが、一方又は両方を備えていない構成にすることも可能である。また、可視通路部5に流入した玉の一部が、通過途中で遊技領域130に還流する場合を設定しても良い。
【0085】
本例では大当たり状態の契機となる特別入賞部としてVゾーン410を例示した構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく始動入賞部11と同形状の特別入賞部にすることも可能であるし、玉が入賞しても遊技領域130から排出されない特別入賞部にすることや、玉が接触するだけで入賞したことになる役物を特別入賞部にすることも可能である。また、特別入賞部に玉が入賞した場合の特典として、本例では大当たり状態が発生する構成にしたが、特別入賞部に玉が入賞した場合の特典を変更しても良く、例えば特典として入賞した玉の数以上の玉を遊技者に付与する構成が考えられる。
【0086】
本例では位置特定手段として、磁気的に玉の通過を特定する構成を例示したが、玉の位置を特定する方法を変更しても良く、例えば光センサによって玉の位置を検知する構成や、カメラで遊技領域130を撮像し、玉の通過や通過している玉の位置を画像解析によって特定する構成等が考えられる。つまり、位置特定手段の構成を任意に変更しても良い。また、玉の通過を検知する位置や、回数を適宜変更しても良く、例えば螺旋通路部52内において1回だけ検知する構成が考えられる。
【0087】
本例では、特別演出として残り距離の度合を示す演出を実行する構成にしたが、特別演出の内容を任意に変更しても良い。例えばVゾーン410に到達するまでの残り時間に対応した特別演出を実行することも可能である。また、残り距離や時間の報知方法も自由に変更することが可能であり、数字で示すのではなくインジケーターで示す構成や、残り度合に応じたキャラクターで示す構成が考えられる。つまり特別演出は、残りの時間や距離を直接的に報知しても良いし、時間や距離を間接的に報知しても良い。いずれの場合であっても、残りの時間や距離に対応したものに含まれる。さらには、残り時間や距離とは無関係に玉通過を検知したことに基づいた演出を実行することも可能である。
【0088】
切替部材181の通過抑制状態及び通過許容状態を例示した構成から変更しても良い。例えば本例では通過抑制状態において切替部材181を玉が通過できない構成としたが、通過許容状態よりも玉が通過しにくいだけで、玉が通過可能であっても良い。また本例では、切替部材181が回動して通過許容状態になる構成にしたが、切替部材が通過抑制状態においては収納されており、通過許容状態になると前方に突出し、突出した切替部材に乗った玉が玉通過部182を通過するように案内する構成が考えられる。また、切替部材を備えていない構成にしても良く、玉が常に玉通過部182を通過可能な構成にしても良い。
【0089】
本例では誘導手段として回転役物4を例示したが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、回転役物4ではなく、Vゾーン410とハズレポケット419との位置がそれぞれ固定された構成や、回転役物4とは異なる可動体に接触した後に、Vゾーン410又はハズレポケット419に玉を振り分ける構成が考えられる。また、回転役物4及びハズレポケット419を備えておらず全ての玉がVゾーン410に到達する構成が考えられる。
【0090】
本例では、Vゾーン410に玉が到達して入った場合、必ず大当たり状態が発生する構成にしたが、Vゾーン410に玉が到達した場合に大当たり抽選を実行し、当該抽選に当選した場合に大当たり状態が発生する構成にすることも可能である。
【0091】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0092】
1 パチンコ遊技機(遊技機)
11 始動入賞部
138 アウト孔
15 操作ハンドル
16 大入賞部
181 切替部材
182 玉通過部
19 液晶表示部(報知演出実行部、特別演出実行部)
20 主回路(抽選手段、特典付与手段)
35 表示制御回路(報知演出制御手段、特別演出制御手段)
391〜396 位置センサ(位置特定手段、検出センサ)
4 回転役物(誘導手段)
41 回転台
410 Vゾーン(特別入賞部)
419 ハズレポケット
439 玉排出部
5 可視通路部
51 供給通路部
515 突起形成部
515T 突起部
52 螺旋通路部
55 落下通路部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7