(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-136268(P2019-136268A)
(43)【公開日】2019年8月22日
(54)【発明の名称】ねじ送り装置及び形態変化玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 31/08 20060101AFI20190726BHJP
A63H 3/52 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
A63H31/08 A
A63H3/52 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-21587(P2018-21587)
(22)【出願日】2018年2月9日
(11)【特許番号】特許第6491769号(P6491769)
(45)【特許公報発行日】2019年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 秋男
(72)【発明者】
【氏名】松岡 洋和
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 海
(72)【発明者】
【氏名】阿部 麻美
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA06
2C150DC03
2C150EC03
2C150EC06
(57)【要約】
【課題】送り棒の回転によって移動する可動部の移動域を容易に変更させることができるねじ送り装置と、当該ねじ送り装置を有する形態変化玩具を提供すること。
【解決手段】螺旋状の溝を有する送り棒と、前記溝と係合する突起(18d)を有する可動部(18)と、前記送り棒を回転させて前記可動部を前記送り棒の軸心に沿って移動させる駆動機構(22)とを備えたねじ送り装置において、
前記送り棒として、軸心方向にテレスコープ式に相対移動可能となるように組まれた複数の前記送り棒(20、21)を備え、前記突起(18d)は前記送り棒に離接する方向に移動可能となっている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状の溝を有する送り棒と、前記溝と係合する突起を有する可動部と、前記送り棒を回転させて前記可動部を前記送り棒の軸心に沿って移動させる駆動機構とを備えたねじ送り装置において、
前記送り棒として、軸心方向にテレスコープ式に相対移動可能となるように組まれた複数の前記送り棒を備え、前記突起は前記送り棒に離接する方向に移動可能となっていることを特徴とするねじ送り装置。
【請求項2】
前記可動部は、前記突起を前記溝に向けて付勢するスプリングを備えたことを特徴とする請求項1に記載のねじ送り装置。
【請求項3】
伸長された一の前記送り棒と隣接する他の送り棒の境界部近くにおいて、大径の前記送り棒側の前記突起の先端が摺接する溝部分は小径の前記送り棒に向けて徐々に動径が小さくなるように形成され、反対に、小径の前記送り棒側の前記突起の先端が摺接する溝部分は大径の前記送り棒に向けて徐々に動径が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のねじ送り装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項に記載の前記ねじ送り装置を備えたことを特徴とする形態変化玩具。
【請求項5】
前記軸心方向への相対移動によって伸縮可能となるように組まれた複数の躯体を備え、前記複数の躯体の伸縮に伴って前記複数の送り棒が相対移動することを特徴とする請求項4に記載の形態変化玩具。
【請求項6】
前記フィギアハウスとして構成され、前記複数の躯体として、1階部分と、前記1階部分に対して上下動する階上部分とを備え、前記ねじ送り装置はエレベータであることを特徴とする請求項5に記載の形態変化玩具。
【請求項7】
前記階上部分は底に第1の床を有するとともに、前記1階部分の天井部分が第2の床を構成し、前記フィギアハウスは、伸縮によって2階建てと3階建てとの間で変形可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の形態変化玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ送り装置及び形態変化玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2階建てのフィギアハウスが知られている。このフィギアハウスには、エレベータが設けられ、エレベータのカゴ(可動部)に乗せたフィギアを各階に運ぶことができる(例えば、特許文献1参照)。
このフィギアハウスにおいては、エレベータはねじ送り装置から構成されている。ねじ送り装置は、上記カゴと、カゴに付設された突起に係合する螺旋状の溝を有する送り棒と、送り棒を回転させる駆動機構とを含んで構成され、駆動機構による送り棒の回転によってカゴを上下動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−136109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このように可動部を送り棒の回転によって所定方向に動作させる場合、可動部の移動域を変化させることは困難である。例えば、フィギアハウスの場合、2階建てのハウスを3階建てのハウスとする場合、送り棒を継ぎ足すなどしないと、エレベータのカゴを3階まで移動させることは困難である。
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、送り棒の回転によって移動する可動部の移動域を容易に変更させることができるねじ送り装置と、当該ねじ送り装置を有する形態変化玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、螺旋状の溝を有する送り棒と、前記溝と係合する突起を有する可動部と、前記送り棒を回転させて前記可動部を前記送り棒の軸心方向に移動させる駆動機構とを備えたねじ送り装置において、前記送り棒として、軸心方向にテレスコープ式に相対移動可能となるように組まれた複数の送り棒を備え、前記突起は前記送り棒に離接する方向に移動可能となっていることを特徴とするねじ送り装置である。
【0006】
第2の手段は、第1の手段において、前記可動部は、前記突起を前記溝に向けて付勢するスプリングを備えたことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は,第1の手段又は2の手段において、伸長された一の前記送り棒と隣接する他の送り棒の境界部近くにおいて、大径の前記送り棒側の前記突起の先端が摺接する溝部分は小径の前記送り棒に向けて徐々に動径が小さくなるように形成され、反対に、小径の前記送り棒側の前記突起の先端が摺接する溝部分は大径の前記送り棒に向けて徐々に動径が大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第1〜第3いずれか一の手段の前記ねじ送り装置を備えたことを特徴とする形態変化玩具である。
【0009】
第5の手段は、第4の手段において、前記軸心方向への相対移動によって伸縮可能となるように組まれた複数の躯体を備え、前記複数の躯体の伸縮に伴って前記複数の送り棒が相対移動することを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第5の手段において、前記フィギアハウスとして構成され、前記複数の躯体として、1階部分と、前記1階部分に対して上下動する階上部分とを備え、前記ねじ送り装置はエレベータであることを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第6の手段において、前記階上部分は底に第1の床を有するとともに、前記1階部分の天井部分が第2の床を構成し、前記フィギアハウスは、伸縮によって2階建てと3階建てとの間で変形可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の手段によれば、送り棒として、軸心方向にテレスコープ式に相対移動可能となるように組まれた複数の送り棒を備えるので、複数の送り棒を相対移動させることによって可動部の移動域を変化させることができる。
【0013】
第2の手段によれば、送り棒の向きによらず、スプリングによる付勢によって突起を複数の溝に確実に係合させることができる。
【0014】
第3の手段によれば、伸長された一の前記送り棒と隣接する他の送り棒の境界部近くにおいて、大径の前記送り棒側の突起の先端が摺接する溝部分は小径の送り棒に向けて徐々に動径が小さくなるように形成され、反対に、小径の送り棒側の突起の先端が摺接する溝部分は小径の送り棒に向けて徐々に動径が大きくなるように形成されているので、段差少なく両溝部分が繋がるので円滑に可動部が移動する。
【0015】
第4の手段によれば、形態変化玩具の形態変化に応じて可動部の移動域を変化させることができる。
【0016】
第5の手段によれば、躯体全体が伸縮した際に可動部の移動域を変化させることができる。
【0017】
第6の手段によれば、フィギアハウスの階数変化に応じてエレベータの移動域を容易に変化させることができる。
【0018】
第7の手段によれば、フィギアハウスの階数変化を簡易な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る形態変化玩具の一例であるフィギアハウスの縮退状態を示した斜視図である。
【
図2】フィギアハウスの伸長状態を示した斜視図である。
【
図3】フィギアハウスを後側から見た状態を示した斜視図である。
【
図4】
図2のフィギアハウスの階上部分の外郭を開放した状態を示した斜視図である。
【
図8】エレベータのカゴと送り棒との係合状態を示した側面図である。
【
図10】第1の送り棒と第2の送り棒の連結構造を示した図である。
【
図11】伸長状態における第1の送り棒と第2の送り棒の境界部近くの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(全体)
図1は、形態変化玩具の一例であるフィギアハウスの縮退状態を示した斜視図、
図2はフィギアハウスの伸長状態を示した斜視図、
図3は、フィギアハウスを後側から見た状態を示した斜視図である。
この形態変化玩具は木を模したフィギアハウス10であり、主幹相当部分が1階部分(躯体)11となっており、樹冠相当部分が階上部分(躯体)12となっている。
【0021】
階上部分12は、第1高さ位置(
図1)と第2高さ位置(
図2)との間で上下動可能に構成され、第1高さ位置と第2高さ位置とにおいて後述のロック機構17(
図5参照)によって位置固定される。フィギアハウス10は、階上部分12が第1高さ位置にあるときには2階建てハウスとなり、階上部分12が第2高さ位置にあるときには3階建てフィギアハウスとなる。
【0022】
図4は階上部分12の外郭を開放した状態の斜視図である。
フィギアハウス10は、1階部分11の天井となる下床13aと、階上部分12の底となる上床13bとを備えている。2階建てハウスのときは上床13bが2階の床となり、3階建てハウスのときには上床13bが3階の床となり、下床13aが2階の床となる。下床13aや上床13bは平面視で円環状に形成され、外周の縁は僅かに起立している。下床13aや上床13bにはフィギア50を乗せて遊ぶことができる。また、下床13aや上床13bには弧状のプレート51を嵌め込んで遊ぶことができる。孤状プレート51には絨毯の模様が付されたり、家具等が付設されたり、フィギア50を嵌合により安定的に保持する突起51aを備えたりしており、それらを使用して部屋の装飾や模様替えができる。
【0023】
(細部)
図1に示すように、1階部分11の正面には4段の階段11aが設けられ、階段11aを上りきった所には玄関ドア11bが設けられている。玄関ドア11bは1階部分11の躯体にヒンジ(図示せず)を介して取り付けられ、手で手前に開放可能となっている。玄関ドア11bを開放すると、フィギア50の出入り口が露出し、内部のエレベータ30のカゴ18に対してフィギア50が乗降することができる。
【0024】
図1に示すように、階上部分12は、平面視で円形の屋根14aと、スカート状の外壁14bとを備える。
屋根14aは円形の蓋140aとなっている。蓋140aは、常態では重力で閉じており、下方からの力の作用によって開放される。具体的には、エレベータ30のカゴ18が最上部まで上昇したときに、カゴ18に乗ったフィギア50に下方から押されて蓋140aが開き、フィギア50が露出する。
図3に示すように、外壁は2つのパーツから構成され、一方のパーツが片開き戸140bを構成し、他方のパーツが固定壁141bを構成している。片開き戸140bを回転させて開放することで、階上部分12の内部が露出する。
なお、外壁14bには部屋の内部が見通せる窓143bが形成されている。
【0025】
図4に示すように、1階部分11の上の下床13aには第1の筒15aが立設されている。一方、階上部分12の上床13bには第2の筒15bが立設されている。第2の筒15bの上端は階上部分12の屋根14aの枠に固定されている。第1の筒15aは第2の筒15bよりも小径であり、2階建てハウスのときには第1の筒15aと第2の筒15bとは互いに嵌合されており、第1の筒15a及び第2の筒15bはテレスコープ式に伸縮可能となっている。これによって、階上部分12を1階部分11に対して上下動させることができる。第1の筒15aや第2の筒15bには、エレベータ30(
図6参照)への出入り口16aがそれぞれ形成されている。なお、第1の筒15a及び第2の筒15bはフィギアハウス10の支柱15を構成している。
【0026】
第1の筒15aと第2の筒15bとの間には
図5に示すようなロック機構17が設けられている。ロック機構17はレバー17a、スライダ17b及び係止部材17cを備える。
第2の筒15bの後側には、半径方向外方に突出する第1の張出し部150bが設けられている。この張出し部150bには、軸170aを中心に回動するレバー17aが取り付けられている。レバー17aは、外端側が固定壁141bから露出する(
図3参照)とともに内端側が第2の筒15b内に臨んでいる。スライダ17bは、第2の筒15bの内壁に上下動可能に取り付けられ、上端の屈曲部にレバー17aが係合している。第2の筒15bの後側には、半径方向外方に突出する第2の張出し部151bが設けられている。この張出し部151bには、半径方向に動作する係止部材17cが設けられている。係止部材17cは、第2の筒15bに取り付けられた上床13bの下側に位置している。係止部材17cは、スプリング17dによって半径方向内方に向けて付勢されている。また、係止部材17cの先端近くには傾斜部170cが設けられ、スライダ17bの下端の傾斜部に当接している。さらに、係止部材17cの先端(内端)には平面視で第1の筒15aに向けて凹む孤状の係止部171cが設けられている。
一方、第1の筒15aには、下側に被係止部150aが形成され、上側に他の被係止部151aが形成されている。
その結果、レバー17aが
図5における反時計方向に操作されると、スライダ17bが下降し、係止部材17cがスプリング17dの付勢力に抗して半径方向外方に移動し、レバー17aから手を離すと、スプリング17dの付勢力によって係止部材17cが半径方向内方に移動するとともに、スライダ17bが押し上げられ、レバー17aが初期位置に復帰する。この係止部材17cの係止部171cは、2階建てハウスの場合には被係止部150aに係合し、3階建てハウスの場合には被係止部151aに係合する。これによって階上部分12は、第1高さ位置と第2高さ位置とで位置固定される。
【0027】
支柱15の内部にはエレベータ30(
図6)が設けられている。エレベータ30はねじ送り装置から構成され、フィギア50を乗せるためのカゴ(可動部)18と、カゴ18の昇降案内をする案内壁19と、カゴ18を昇降させるための第1の送り棒20及び第2の送り棒21と、第1の送り棒20及び第2の送り棒21を回転駆動させるための駆動機構22とを備えている。
【0028】
カゴ18の床には上方に向けて突出する突起18aが設けられ、この突起18aをフィギア50の足部下の孔(図示せず)を嵌合させることによって、カゴ18にフィギア50を安定的に乗せることができる。
図7に示すように、カゴ18の後壁には後方に向けて突出する支持片18bが設けられ、この支持片18bの先端には平面視で弧状の係合部18cが設けられている。この係合部18cは第1の送り棒20及び第2の送り棒21の外周に係合する。
また、カゴ18には、
図8に示すように、前後方向に所定の範囲内で動作可能な突起18dが設けられ、この突起18dはスプリング18eによって後方に向けて付勢されている。この突起18dは第1の送り棒20の溝20aや第2の送り棒21の溝21aに入り込んでいる。なお、スプリング18eに代えてスポンジ等の弾性体を使用することもできる。
さらに、カゴ18の両脇には、被案内片18fが設けられている。
【0029】
案内壁19は、1階部分11に固定された案内板19aと、階上部分12に固定された案内板19bとから構成されている。
案内板19aは、平面視コ字状に形成され、カゴ18の通路の背面を画成する背板190aと、カゴ18の通路の側面を画成する2つの側板191aとを備えている。一方、案内板19bは、平面視コ字状に形成され、カゴ18の通路の背面を画成する背板190bと、カゴ18の通路の側面を画成する2つの側板191bとを備えている。そして、案内板19bは、2階建てハウスのときには背板190bの裏面と背板190aの表面とが当接するように、案内板19aに重ね合わせることが可能となっている。そして、階上部分12が下降した際には、第2の案内板19bと第1の案内板19aとが前後で重なり、
図9に示すように、階上部分12が上昇した際には第2の案内板19bが第1の案内板19aに摺接して引き上げられる。
【0030】
案内板19bと案内板19aとを重ね合わせた状態では、案内板19bの側板191bの前端部は案内板19aの側板191aの前端より前方に突出する。この突出部分には上下方向に延びる案内溝192bが形成されている。この案内溝192bにはカゴ18の被案内片18fが係合し、カゴ18の上下動を案内する。
また、案内板19aの方は、第2の案内板19bが第1の案内板19aに摺接して引き上げられた状態では、側板191aの前端と、第1の筒15a内に設けた案内片(図示せず)とにより、被案内片18fを前後で挟み込み、カゴ18の上下動を案内する。
なお、1階部分の内部には、図示はしないが、被案内片18fを前後で挟み込み、カゴ18の上下動を案内する案内部が形成されている。
【0031】
また、案内板19aの幅方向中央にはスリット193aが形成され、案内板19bの幅方向中央にはスリット193bが形成されている。案内板19a及び案内板19bの前側にカゴ18の本体が設けられる。その際、カゴ18の支持片18bはスリット193a,193b内に挿入可能な位置に置かれ、カゴ18の係合部18cは案内壁19の裏の第1の送り棒20の溝20aや第2の送り棒21の溝21aに係合する。
【0032】
第1の送り棒20は1階部分11に固定され、第2の送り棒21は階上部分12に固定されている。
図10に示すように、第1の送り棒20の外周には螺旋状の溝20aが形成され、第2の送り棒21の外周には螺旋状の溝21aが形成されている。
第1の送り棒20は筒状に形成され、この第1の送り棒20内には第2の送り棒21が入り込めるようになっている。なお、図示はしないが、第1の送り棒20の内周には軸方向に延びる溝が形成され、この溝には第2の送り棒21の外周に設けられた突起が嵌まり込み、第1の送り棒20と第2の送り棒21とは一体的に回転し、軸心方向へ移動可能となっている。
【0033】
続いて、伸長された第1の送り棒20と第2の送り棒21との境界部近くの構造を説明する。
上述のように、第1の送り棒20の方が第2の送り棒21よりも大径となっている。そのため、第1の送り棒20と第2の送り棒21との境界部近くにおいて、突起18aが溝20aの底面と溝21aの底面との間に段差が生じ、突起18aが円滑に摺接することが困難となる。そこで、実施形態では、
図11に示すように、第1の送り棒20と第2の送り棒21との境界部近くにおいて、溝20aの深さを第2の送り棒21に向けて徐々に深くし、溝21aの深さを第1の送り棒20に向けて徐々に浅くしている。つまり、第1の送り棒20側の突起18dの先端が摺接する溝20aは小径の第2の送り棒21に向けて徐々に動径が小さくなるように形成し、反対に、第2の送り棒21側の突起18aの先端が摺接する溝21aは第1の送り棒20に向けて徐々に動径が大きくなるように形成している。
【0034】
続いて、第1の送り棒20の駆動機構22について説明する。1階部分11の外側に付設されるハンドル41の軸42には冠歯車43が設けられている。冠歯車43には、軸44の上端に固定された歯車45が噛合している。また、軸44の下端には歯車46が設けられ、この歯車46は第1の送り棒20の下端の平歯車47に噛合している。
その結果、ハンドルを回転させると、冠歯車43、歯車45,46及び平歯車47を介して第1の送り棒20が回転する。
なお、この駆動機構22の中にトルクリミッタを設けて、過負荷の場合に第1の送り棒20への動力伝達を遮断するようにしてもよい。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0036】
例えば、上記実施形態では、ねじ送り装置をフィギアハウス10に適用した場合を示したが、例えば、軌道(坂道軌道を含む。)に沿って送り棒を配設し、送り棒の溝に玩具車両(可動部)の突起を係合させ、玩具車両に起動を走らせるような場合にも適用できる。この場合には、軌道を複数の躯体(軌道片)の相対移動によって伸縮できるようにし、軌道の長さを変化させることができる。この場合には、突起を送りねじに離接する方向に移動可能に構成し、重力や、スプリング等の弾性体によって送りねじの溝に係合させればよい。
また、玩具消防自動車の伸縮可能なタワーラダーに送り棒を設けて、タワーラダーの長さに応じて荷台(可動部)の移動域を変化させるようにしてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では送り棒20,21を手動で回すようにしたがモータによって回すようにしてもよい。
【0038】
さらに、上記実施形態では、2つの送り棒の場合の場合について説明したが、3つ以上の送り棒を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 フィギアハウス
11 1階部分
12 階上部分
13a 下床
13b 上床
15 支柱
17 ロック機構
18 カゴ
18d 突起
18e スプリング
20 第1の送り棒
20a 溝
21 第2の送り棒
21a 溝
22 駆動機構
30 エレベータ
50 フィギア
51 プレート