【解決手段】上下いずれか一方のモールドベース6,7には、各金型チェイスユニット4,5によりクランプされるワークWの板厚、モールド樹脂の樹脂量及びクランプ面を覆うフィルム厚の合計のばらつきに起因する金型クランプ時の金型高さのばらつきを吸収する調整機構8がベース部と一体に設けられている。
前記第一ベース側部は、前記第一ベース部に対して第一チェイスユニット挿抜方向奥側で蝶番を介して回動可能に連結されており、前記第二ベース側部は、前記第二ベース部に対して第二チェイスユニット挿抜方向奥側で蝶番を介して回動可能に連結されている請求項5記載のモールドベース。
前記調整機構は、第一モールドベースに対して第一チェイスプレート又は第二モールドベースに対して第二チェイスプレートのいずれか一方を型開閉方向に付勢するスプリングユニットを備えている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のモールドベース。
前記調整機構は、第一モールドベースと第一チェイスプレートとの間又は第二モールドベースと第二チェイスプレートとの間にテーパー面どうしを重ね合わせたスライド板がスライド可能に設けられている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のモールドベース。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明を実施するための一実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、金型チェイスユニットというときはキャビティ凹部若しくはワーク保持部を抗せする金型部材が一体に組み付けられたものを指し示す。また、圧縮成形用金型というときは、金型チェイスユニットがモールドベースに一体に組み付けられたものであり、型開閉機構を除いたものを指し示すものとする。
【0021】
[第一実施例]
図1は複数のワークWを個別に圧縮成形する圧縮成形用金型1であって、以下の構成を備える。尚、ワークWは矩形状の短冊となったストリップ基板(リードフレーム、金属基板、セラミック基板、樹脂基板等)を想定している。ワークWの大きさは、100mm×300mm程度までを想定している(以下単に「ワークW」と称する)。
圧縮成形用金型1は、上型2(第一金型)及び下型3(第二金型)を備えている。上型2にワークWを保持するワーク保持部2aを有する上型チェイスユニット4(第一チェイスユニット)を有し、下型3にモールド樹脂が供給される下型キャビティ凹部3aを有する下型チェイスユニット5(第二チェイスユニット)が複数対向配置されている。
【0022】
また、上型モールドベース6(第一モールドベース)には複数箇所(
図1では2箇所)に上型チェイスユニット4が横並びに並設されている。下型モールドベース7(第二モールドベース)には複数箇所(
図1では2箇所)に下型チェイスユニット5が横並びに並設されている。上型チェイスユニット4と下型チェイスユニット5とは各々対向して配置されている。上型モールドベース6には、複数のワーク保持部2aに保持されたワークWの板厚のばらつき(ワークW個々の板厚の違いと1枚のワーク平面内における局所における厚さ及び傾きの違い両方を言う。以下「ばらつき」と総称する。)や複数の上型チェイスユニット4及び下型チェイスユニット5のクランプ時の金型高さのばらつき(前記「ばらつき」の他、下型キャビティ凹部3aに供給された樹脂量の違いから発生する金型高さの差を含めて単に「ばらつき」という。)を調整する調整機構8(複数金型のトータル高さを同一にするための機構であり、1つの金型であっても前記ばらつきのあるワークWを調整することも可能であるため、以下「調整機構8」と言う)を備えている。調整機構8による金型高さのばらつき調整の結果として、圧縮成形に用いた複数の金型による圧縮成形後の金型トータル高さを揃え、プレス機構の傾きを回避することも可能となる。
【0023】
上記構成によれば、下型モールドベース7に対して並設された複数の下型チェイスユニット5に各々設けられた下型キャビティ凹部3aにモールド樹脂が供給され、上型モールドベース6に対して並設された複数の上型チェイスユニット4に各々設けられたワーク保持部2aにワークWを保持したまま型閉じしてワークW毎に圧縮成形することができる。
このとき、複数のワークWに板厚のばらつきがあっても或いは供給される樹脂量の違いから金型クランプ時の金型高さのばらつきがあっても、上型モールドベース6に設けられた調整機構8により対向配置された上型チェイスユニット4及び下型チェイスユニット5ごとに調整するので、樹脂封止部(パッケージ部)の厚さを高精度で圧縮成形することができる。
また、上型モールドベース6及び下型モールドベース7は、シングルレイヤーに複数のチェイスユニットを設けているので、ベースの厚みを確保することで曲げ剛性が高くしかも熱容量が大きいため成形サイクルにおける温度変化を抑制することができる。
また、段取り替えで上型チェイスユニット4や下型チェイスユニット5が交換されても、上型モールドベース6に設けられた調整機構8は共用できるので、汎用性が向上する。
【0024】
調整機構8は、上型モールドベース6と上型チェイスユニット4との間に配置されている。これにより上型チェイスユニット4が交換されても調整機構8はそのまま使用することができる。調整機構8の一例としては、上型モールドベース6に対して上型チェイスユニット4を型開閉方向に付勢するスプリングユニットを備えている。これにより、簡易な構成により複数横並びで並列配置された金型チェイスユニットの金型高さのばらつきを調整することができる。
【0025】
ここで、圧縮成形用金型1を構成する上型2と下型3の構成例について具体的に説明する。
図2を参照して上型2の構成例について説明する。上型モールドベース6は、矩形板状の上型ベース部6a(第一ベース部)と、上型ベース部6aの外周縁部に沿って垂下して設けられる矩形枠状の上型ベース側部6b(第一ベース側部)とを有する。上型ベース部6aには、上型ベース側部6bに囲まれた上型空間部6c(第一金型空間部)を仕切る上型ガイドブロック6d(第一ガイドブロック)が垂下して設けられている。上型ガイドブロック6dにより仕切られた上型空間部6c(
図9参照)に調整機構8が各々設けられている。
【0026】
上型ガイドブロック6dの下端部には、上型チェイスガイド6e(第一チェイスガイド)が各々隣接して設けられている。上型ガイドブロック6dと上型チェイスガイド6eとの間(連続する壁面間)で上型チェイスユニット4を挿抜する段差部6fが両側に各々形成されている。この一対の段差部6fをガイドレールとして後述するように上型チェイスユニット4を挿抜することができる。
【0027】
図10Bに示すように、上型ベース部6aと上型ベース側部6bとは隣接する一側面側(上型チェイスユニット挿抜方向奥側)で蝶番6gを介して回動可能に連結されている。上型チェイスユニット4を交換する際には、上型ベース側部6bの挿抜方向手前側端部を上型ベース部6aより離間するように蝶番6gを中心として所定方向(
図10Bの反時計回り方向)に回転させることができる。これにより、上型チェイスユニット4を、段差部6fをガイドレールとして手前側に引き出して交換することができる。また、上型モールドベース6に並列配置された上型チェイスユニット4は、各々独立して上型モールドベース6より挿抜することができるため、メンテナンスの作業性が良い。尚、上型ベース部6aと上型ベース側部6bとの間には、上型ベース部6aの開放角度を規制する不図示のリンク材が連結されていることが好ましい。また、矩形枠体状に形成された上型ベース側部6bの手前側側面部のみが上型ベース部6aに対して蝶番を介して回動可能(
図10Bの時計回り方向)に連結されていてもよい。この場合は、挿抜方向奥側に上型チェイスユニット4を抜くようになる。
また、奥側、手前側にチェイスユニットを横にスライドさせて挿抜する構成を例示したが、必ずしも横にスライドさせる挿抜に限定する必要は無く、モールドベースとチェイスユニットが上下方向に分離されて着脱可能であればよい。
【0028】
尚、上型空間部6cを仕切る中間部(
図2の中間部)の上型ガイドブロック6d及び上型チェイスガイド6eは、上型ベース部6aに着脱可能に設けられていてもよい。これにより、後述する
図12及び
図13に示すように、ワークWが一枚の大判サイズの基板であっても、上型チェイスユニット4を替えるだけで、上型モールドベース6及び調整機構8はそのまま共用することができる。
【0029】
図2及び
図9において、調整機構8の構成例について説明する。上型ベース部6aにはピン吊り下げ板8aが重ねて設けられている。ピン吊り下げ板8aには、複数の吊りピン8bが左右方向(
図2参照)及び前後方向(
図3参照)において等間隔で設けられたピン孔8cに挿入されてピン頭部8b1(上端部)が各々係止している。各吊りピン8bの先端部8b2(下端部)は押当板8dに連結されている。各ピン吊り下げ板8aと押当板8dとの間にはコイルばね(弾性体であれば良く、特にコイルばねには限定されない。)8eが自然長より押し縮められて挿入されている。これにより、押当板8d及び吊りピン8bは、垂直下方に向けて常時付勢されている。押当板8dの左右両側端面は上型ガイドブロック6dにガイドされて平行度を維持したまま昇降するようになっている。
【0030】
上型チェイスユニット4の構成例について
図2乃至
図4を参照して説明する。
上型チェイスユニット4は、上端部に上型チェイスプレート4a(第一チェイスプレート)を備えている。この上型チェイスプレート4aは調整機構8の押当板8dの下面に重ね合わせて装着される。上型チェイスプレート4aの外形サイズは押当板8dと同等であり、左右両側端面は上型ガイドブロック6dにガイドされて平行度を維持したまま昇降するようになっている。上型チェイスプレート4aの下面にはそれより外形サイズが大きい上型サポートブロック4bが重ねて設けられている。上型サポートブロック4bの左右両端部(第一係止部)は、段差部6fと係止したまま上型ガイドブロック6dに対して手前側に挿抜可能に組み付けられている(
図2参照)。また上型サポートブロック4bの下面には、それより外形サイズが小さい上型プレート4cが重ねて設けられている。
図4に示すように、上型プレート4cの下面中央部は、ワーク保持部2aとなる吸着孔2bがワーク外周縁部に沿って複数箇所に穿孔されている。また、上型プレート4cのワーク保持部2aの周囲には複数箇所(
図4では例えば6カ所)でチャック爪4dが回動可能に設けられている。
【0031】
図2において、チャック爪4dは、水平部4d1と垂直部4d2が連続したL字形状をしている。この水平部4d1の中途部を上型サポートブロック4bに支点4eを中心に回動可能に組み付けられている。この水平部4d1の端部近傍には、上型チェイスプレート4aとの間にコイルばね4fが自然長より押し縮められて装着されている。また、水平部4d1には上型プレート4cを貫通して押動ピン4gが一体に設けられている。水平部4d1がコイルばね4fによって常時下方に付勢されているため、押動ピン4gの先端部は、上型プレート4cのクランプ面より下方に突設されている。また、垂直部4d2の下端には係止部4d3がワーク外周縁部の内側に向かって形成されている。チャック爪4dはコイルばね4fの弾発により支点4eを中心としてワークWの外周縁部を垂直部4d2で挟み込む向きに付勢されている。このため、各係止部4d3はワークWの外周縁部の下方に各々入り込んで保持可能な状態となる。チャック爪4dを開放してワークWを取り外す場合には、押動ピン4gをコイルばね4fの付勢に抗して押し込めばよい。また、上型プレート4cのワーク保持部2aより外周側に、フィルム押動ピン4hが突設されている。フィルム押動ピン4hは上型チェイスプレート4aとの間にコイルばね4iが自然長より押し縮められて装着されている。これにより、フィルム押動ピン4hの先端部は、上型プレート4cのクランプ面より下方に突設されている。フィルム押動ピン4hは、後述するように、下型3のクランプ面を覆って吸着保持される枚葉フィルム9の余剰分を伸ばすために設けられている。
【0032】
次に下型3の構成例について説明する。
図5において下型モールドベース7は、矩形板状の下型ベース部7a(第二ベース部)と、下型ベース部7aの外周縁部に沿って起立して設けられる矩形枠状の下型ベース側部7b(第二ベース側部)とを有する。下型ベース部7aには、下型ベース側部7bに囲まれた下型空間部7c(第二金型空間部:
図9参照)を仕切る下型ガイドブロック7d(第二ガイドブロック)が起立して設けられている。下型ガイドブロック7dにより仕切られた下型空間部7c(
図9参照)に下型チェイスユニット5が挿抜可能に組み付けられる。
【0033】
図5において、下型ガイドブロック7dの上端部には、下型チェイスガイド7e(第二チェイスガイド)が各々隣接して設けられている。下型ガイドブロック7dと下型チェイスガイド7eとの間(連続する壁面間)で下型チェイスユニット5を挿抜する段差部7fが両側に各々形成されている(
図9参照)。この一対の段差部7fをガイドレールとして下型チェイスユニット5を挿抜することができる。下型ベース側部7bの側壁には、減圧用吸引孔7b1が設けられており、図示しないエア吸引機構に接続されている。また、下型ベース側部7bの型開閉面には、型閉じした際に上型ベース側部6bの対向面と当接して金型空間をシールするシール材7b2(Oリング等)が設けられている。
【0034】
図10Bに示すように、下型ベース部7aと下型ベース側部7bとは隣接する一側面側(下型チェイスユニット挿抜方向奥側)で蝶番7gを介して回動可能に連結されている。下型チェイスユニット5を交換する際には、下型ベース側部7bの挿抜方向手前側端部を下型ベース部7aより離間するように蝶番7gを中心として所定方向(
図10Bの時計回り方向)に回転させることができる。これにより下型チェイスユニット5を、段差部7fをガイドレールとして手前側に引き出して交換することができる。また、下型モールドベース7に並列配置された下型チェイスユニット5は、各々独立して下型モールドベース7より挿抜することができるため、メンテナンスの作業性が良い。尚、下型ベース部7aと下型ベース側部7bとの間には、下型ベース側部7bの開放角度を規制する不図示のリンク材が連結されていることが好ましい。また、矩形枠体状に形成された下型ベース側部7bの手前側側面部のみが下型ベース部7aに対して蝶番を介して回動可能(
図10Bの反時計回り方向)に連結されていてもよい。この場合は、挿抜方向奥側に下型チェイスユニット5を抜くようになる。
【0035】
尚、下型空間部7cを仕切る中間部(
図5の中間部)の下型ガイドブロック7d及び下型チェイスガイド7eは、下型ベース部7aに着脱可能に設けられていてもよい。これにより、後述する
図12及び
図13に示すように、ワークWが一枚の大判(幅広)サイズの基板であっても、上型チェイスユニット4と共に下型チェイスユニット5を替えるだけで、下型モールドベース7はそのまま共用することができる。
【0036】
下型チェイスユニット5の構成例について
図5乃至
図7を参照して説明する。
下型チェイスユニット5は、下端部に下型ベースプレート5aを備えている。この下型ベースプレート5aは下型ベース部7aの上面に重ね合わせて装着される。下型ベースプレート5aは、左右両側端面を下型ガイドブロック7dにガイドされて平行度を維持したまま
図5の手前側より各々挿抜可能に装着されている。下型ベースプレート5aの上面であって、下型キャビティ駒5dの鉛直下方投影面内には複数のサポートピラー(支柱)5bが起立して形成されている。これにより、下型キャビティ駒5dの反りを防ぐと共にサポートピラー5bの配置を変えたり配置の粗密を変えたりすることで、クランプ圧を微調整することができる。これにより、大判サイズ(幅広)のワークW、例えば300mm×300mmのパネルや直径300mmを越える半導体ウエハ等を圧縮成形する際にTTV(Total Thickness Variation)を向上させることができる。大判(幅広)サイズとは、100mm×300mm程度の短冊状ストリップ基板よりも幅が広がった基板であって、必ずしも矩形である必要は無い。
【0037】
サポートピラー5bにはサポートプレート5cが支持されている。サポートプレート5cは、下型ベースプレート5aと同様に左右両側端面を下型ガイドブロック7dにガイドされて設けられている。サポートプレート5cの上面中央部には下型キャビティ駒5dが積層支持されている。下型キャビティ駒5dは、下型キャビティ凹部3aの底部を構成する。下型キャビティ駒5dの周囲には、下型キャビティ凹部3aの側部を構成する下型可動クランパ5eが型開閉方向に移動可能に支持されている。具体的には、下型可動クランパ5eの下面には押動ピン5fがサポートプレート5cを貫通して押し当てられている。押動ピン5fは下型ベースプレート5aとの間に自然長より押し縮められて挿入されたコイルばね5gにより押動ピン5fより大径の鍔部5hがサポートプレート5cの下面側に常時押し当てられている。これにより押動ピン5fの上端がサポートプレート5cより突き出して、下型可動クランパ5eを上方に向かって常時付勢した状態にある。尚、下型キャビティ駒5dは、後述するようにサポートプレート5cを介さずに直接サポートピラー5bに支持されていてもよい。
本実施例におけるクランプは、ワークWをワーク保持部2aと可動クランパ5eで挟み込む場合を例示するが、フルパッケージモールドの場合はワーク保持部2aの吸着孔2bでワークWを吸引保持し、下型可動クランパ5eでワークWを直接挟み込まず上型プレート4cをクランプする場合、即ち平面視でワークWの外側全体を樹脂モールドする場合であってもクランプと言う。
【0038】
また、下型可動クランパ5eの外周側を囲むように矩形枠状の下型チェイスプレート5j(第二チェイスプレート)が設けられている。下型チェイスプレート5jはサポートプレート5cに積層支持されている。下型可動クランパ5eと下型チェイスプレート5jとの隙間にはシール材5k(例えばOリング等)によりシールされている。下型可動クランパ5eは、内周側を下型キャビティ駒5dにガイドされ、外周側を下型チェイスプレート5jにガイドされながら昇降するように設けられている。
【0039】
下型チェイスプレート5jの外周面側には、段差部7fに対応する段付き部5m(第二係止部)が形成されている。段差部7fは、前述した
図9に示すように、幅狭な下型ガイドブロック7dとそれより幅広の下型チェイスガイド7eとが連結されて形成されている。段付き部5mはこの段差部7fに沿ってクランプ面側が幅狭となるように段付き部5mが左右両側面に沿って形成されている。この段付き部5mを対向する段差部7fをガイドレールとして下型チェイスユニット5を下型モールドベース7に対して挿抜することができる。尚、上型チェイスユニット4と上型モールドベース6との間、下型チェイスユニット5と下型モールドベース7との間には、各ユニットを挿抜するためのクリアランスが設けられている。このため、上型チェイスユニット4と上型モールドベース6及び下型チェイスユニット5と下型モールドベース7には、装着状態で高さ方向のクリアランスを解消するためのねじ止め機構が設けられていることが好ましい。
【0040】
図7Aに示すように下型可動クランパ5eのクランプ面には、内周側よりチャック爪4dの係止部4d3と干渉するのを避けるための逃げ溝5e1が周方向で複数箇所に設けられている。また、
図7Aに示すように、逃げ溝5e1に連続してその外周側には、枚葉フィルム(リリースフィルム)9(
図7B参照)の弛み分を収容する周溝5e2が周回して設けられている。周溝5e2の底部には吸引孔5e3が周方向に複数箇所に設けられている。周溝5e2は必ずしも一筆書きのように繋がっている必要は無く、吸引孔5e3があれば良く部分的に分断されていても良い。また、周溝5e2の外周側には、枚葉フィルム9の外周縁部を吸着保持するフィルム吸引溝5e4が周回して設けられている。フィルム吸引溝5e4の底部には、吸引孔5e5が周方向に複数箇所に設けられている。フィルム吸着を実現するには吸引孔5e5を設けるだけでも良いが、フィルム吸引溝5e4と吸引孔5e5を併用したほうがより確実に実現することができる。フィルム吸引溝5e4は、必ずしも一筆書きのように繋がっている必要は無く、吸引孔5e5があれば良く部分的に分断されていても良い。吸引孔5e3,5e5は、図示しないエア吸引機構に接続されている。
【0041】
図7Bに示すように、枚葉フィルム9は、下型キャビティ凹部3aを覆う下型クランプ面に供給されて下型可動クランパ5eのクランプ面の最外周に形成されたフィルム吸引溝5e4の吸引孔5e5に吸着保持される。また、枚葉フィルム9は、下型キャビティ凹部3aの底部外周(下型キャビティ駒5dの外周)に設けられた吸引路5e6に沿って吸着保持される。この状態で金型を型閉じすると、上型プレート4cより下方に突設されたフィルム押動ピン4hが対向する周溝5e2に進入する。このとき、フィルム押動ピン4hがコイルばね4i(
図2参照)の付勢により枚葉フィルム9の弛み分を周溝5e2に押し込んで吸引孔5e3に吸引されて収容される。また、ワークWの外周縁部を保持するチャック爪4dの係止部4d3(
図2参照)は、対向する逃げ溝5e1(
図7A参照)に収容されて下型可動クランパ5eと干渉するのを回避できる。尚、周溝5e2内の吸引孔5e3に枚葉フィルム9が吸引されるため、型開きする際に成形品に張り付いた枚葉フィルム9が下型3に吸引されて離型をスムーズに行うことができる。枚葉フィルム(リリースフィルム)9は、例えば厚さ50μm程度で耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するもの、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEPフィルム、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリジン等を主成分とした単層又は複層膜が好適に用いられる。
【0042】
このように、下型キャビティ凹部3aを含む下型クランプ面を覆う枚葉フィルム9が下型チェイスユニット5ごとに吸着保持されていると、下型キャビティ凹部3aを含む下型クランプ面に吸着保持する際にハンドリングし易く、長尺フィルムのように圧縮成形に関係のない無駄な使用領域の発生も可及的に回避することができる。
【0043】
図4において、矩形状に形成された上型プレート4cの四方の辺縁部中央のクランプ面には、上型ロックブロック4j(第一ロックブロック)が各々4箇所に突設されている。また、
図7Aにおいて、矩形状に形成された下型可動クランパ5eの四方の辺縁部中央のクランプ面又は下型チェイスプレート5jには、一対の下型ロックブロック5n(第二ロックブロック)が2個一対で4箇所に各々突設されている。上型ロックブロック4jは対向する下型ロックブロック5nと凹凸篏合により噛み合うように配置されている。これにより、ワーク保持部2aが形成された上型プレート4cと下型キャビティ凹部3aを構成する下型可動クランパ5e又は下型チェイスプレート5jの位置合わせを各金型チェイスユニット毎に行って型閉じすることができる。尚、上型ロックブロック4jと下型ロックブロック5nの形態は、上下が対で入れ替わっていてもよい。
【0044】
図9において、上型チェイスユニット4の上型プレート4c及び下型チェイスユニット5の下型チェイスプレート5jの対向位置には、上型アジャスターピン4k(
図2参照)及び下型アジャスターピン5p(
図5参照)が各々突設されている(レベリング機構)。上型アジャスターピン4kは、上型チェイスプレート4aに支持され、サポートブロック4b及び上型プレート4cを貫通して上型クランプ面より下方に突設されている。また、下型アジャスターピン5pは、下型ベースプレート5aにコイルばね5qを介して支持されており、サポートプレート5c及び下型チェイスプレート5jを貫通して下型クランプ面より上方に突設されている。
【0045】
図4に示すように、上型アジャスターピン4kは、上型プレート4cの長辺側の辺縁部に沿って等間隔で複数本(4本ずつ左右両側で8本)各々設けられている。また、
図7Aに示すように、下型アジャスターピン5pは下型チェイスプレート5jの長辺側の辺縁部に沿って等間隔で複数本(4本ずつ左右両側で8本)各々設けられている。上型アジャスターピン4k及び下型アジャスターピン5pの本数は任意であり短辺側にも設けられていてもよい。上下のアジャスターピン4k,5pは平面視で同一位置に配置される。
【0046】
上述した上型プレート4cより突設された上型アジャスターピン4kと下型チェイスプレート5jより突設された下型アジャスターピン5pが互いに対向して配置されている。このため、型閉じする際に、複数箇所で対向する上型アジャスターピン4kと下型アジャスターピン5pが金型面よりも先に突き当てられて押圧力のばらつきをコイルばね5qのたわみで吸収するので、対向配置された上型チェイスユニット4と下型チェイスユニット5のクランプ面どうしの平行度を修正し、その後金型面が平面的に当たることができるため、片当たりを防止することができる。
【0047】
ここで、
図8を参照して、調整機構8の動作について説明する。一例として
図8の左半図は、通常のワークWに比べてワーク板厚が薄く若しくはモールド樹脂の樹脂量が少ない場合の金型クランプ状態を示す。また、
図8の右半図は、通常のワークWに比べてワーク板厚が厚く若しくはモールド樹脂の樹脂量が多い場合の金型クランプ状態を示す。
【0048】
図8左半図の場合、通常のワークWに比べてワーク板厚が薄いか或いはモールド樹脂の目標樹脂量(成形後の適正な最終パッケージ厚となる樹脂量)に対して供給される樹脂量が少ない。またはその両方の場合である。この場合、ピン吊り下げ板8aと押当板8dとの間に挿入されたコイルばね8eは弾発した状態にあり、ワークWの板厚のばらつきをコイルばね8eの撓みにより吸収可能である。また、モールド樹脂量が少ない場合、ワークWを吸着保持する上型プレート4cが下型可動クランパ5eをコイルばね5gの付勢に抗して押し下げる。これにより、ワークWの板厚やキャビティ凹部3aに供給された樹脂量に応じて下型キャビティ駒5dに対する下型可動クランパ5eの相対的な高さ位置が一様に決まるので、ワークWの板厚t1が薄い場合やキャビティ凹部3aに供給された樹脂量のばらつきt2を吸収することができる。このような調整動作が複数(本実施例では2箇所)に設けられた上型チェイスユニット4と下型チェイスユニット5毎に行われる。
【0049】
また、
図8右半図の場合、左半図のワークWに比べてワーク板厚が厚いか或いはモールド樹脂の目標樹脂量(成形後の適正な最終パッケージ厚となる樹脂量)に対して供給される樹脂量が多い。または左右の差がより大きい事例として、その両方の場合がある。この場合、上型チェイスユニット4においてコイルばね4fに付勢される押動ピン4gの高さ位置に誤差t3が発生する。しかしながら、ピン吊り下げ板8aと押当板8dとの間に挿入されたコイルばね8eは押し縮められ、吊りピン8bが押し戻されて頭部8b1がピン吊り下げ板8aより隙間t4だけわずかに離間した状態となり、ワークWの板厚のばらつきをコイルばね8eの撓みにより吸収する。
また、下型チェイスユニット5において、コイルばね5gの付勢によって押動ピン5fの高さ位置がt5だけ変化し、下型可動クランパ5eはサポートプレート5cより若干離間した隙間t6が発生した状態となる。このように、キャビティ凹部3aに供給された樹脂量に応じて下型キャビティ駒5dに対する下型可動クランパ5eの相対的な高さ位置が一様に決まる。これにより樹脂厚t7のばらつきを吸収する。
【0050】
以上このように、複数の圧縮成形用金型1におけるワークWの板厚のばらつきやキャビティ凹部3aに供給された樹脂量のばらつき等に起因する金型クランプ時の金型高さ(
図8のピン吊り下げ板8aと下型ベースプレート5a間の距離)のばらつきを、下型可動クランパ5eの付勢機構や調整機構8により吸収することができる。このような金型高さのばらつき調整動作が横並びで複数箇所(本実施例では2箇所)に設けられた上型チェイスユニット4及び下型チェイスユニット5毎に行われる。
【0051】
また、上型モールドベース6に設けられた調整機構8は、金型チェイスユニット毎に設けられているので、左右の金型チェイスユニットで、
図8左半図(ワークWの板厚が薄く、供給される樹脂量が目標樹脂量より少ない場合)と
図8右半図(ワークWの板厚が厚く、供給される樹脂量が目標樹脂量より多い場合)の場合のみならず、左右が逆の場合で良いし、左がワークWの板厚が厚く、供給される樹脂量が少ない場合で、右がワークWの板厚が薄く、供給される樹脂量が多い場合であっても金型が傾くことなく調整することができる。これにより、複数の金型のトータル高さが常に一定になることができるため、プレス面が傾くことがなく樹脂封止部(パッケージ)の厚さを高精度で圧縮成形することができる。
【0052】
このように、複数のワークWに板厚のばらつきや各下型キャビティ凹部3aに供給された樹脂量のばらつきなどに起因して上型2と下型3の型開閉方向の高さにばらつきがあっても、上型モールドベース6に並列配置された上型チェイスユニット4毎に設けられた調整機構8により、上型2と下型3の金型クランプ時の金型高さのばらつきをワークW毎に調整するので、高精度に圧縮成形することができる。尚、
図8では、上型ベース部6aに上型チェイスユニット4を2個横並びで並列配置しているため、調整機構8もこれに合わせて2個横並びに設けられているが、少なくともいずれか一方の上型ベース部6aと上型チェイスユニット4との間に介在していればよい。この場合、他方の上型2には調整機構8の代わりにスペーサを介在させれば良い。また、上型モールドベース6に3以上の上型チェイスユニット4が設けられる場合には、チェイスユニットの数より1つ少ない調整機構8が独立して上型ベース部6aに搭載されていることが好ましい。この場合、高さを固定された上型チェイスユニット4の高さに合わせて調整機構8が設けられた残りの上型チェイスユニット4の高さを調整するようになる。尚、固定側の上型ベース部6aと上型チェイスユニット4との間には高さを固定する支持ブロック等を設けてもよい。
【0053】
また、ワークWの品種交換に伴う金型交換する場合には、
図10A,Bに示すように、圧縮成形用金型1が型開きした状態で、上型モールドベース6の上型ベース部6aより奥側の蝶番6gを中心として上型ベース側部6bを手前側に押し下げるように所定量回転させる。このとき、
図10Aに示すように、上型ベース部6aに垂下した上型ガイドブロック6d及び上型チェイスガイド6eとで形成される段差部6fに、各上型チェイスユニット4がサポートプレート4bの左右両端部が凹凸篏合した状態で各々保持されている。この状態で、
図10Bに示すように上型チェイスユニット4毎に段差部6fをガイドとして手前側に引き出して、他の上型チェイスユニット4と交換することができる。上型モールドベース6より取り出された上型チェイスユニット4を
図9に示す。
【0054】
また、圧縮成形用金型1が型開きした状態で、
図10A,Bに示すように下型モールドベース7の下型ベース部7aより奥側の蝶番7gを中心として下型ベース側部7bを手前側から押し上げるように所定量回転させる。このとき、
図10Aに示すように、下型ベース部7aに起立した下型ガイドブロック7d及び下型チェイスガイド7eとで形成される段差部7fに、各下型チェイスユニット5が下型チェイスプレート5jの左右両端部の段付き部5mが凹凸篏合した状態で各々保持されている。この状態で、
図10Bに示すように下型チェイスユニット5毎に段差部7fをガイドとして手前側に引き出して他の下型チェイスユニット5と交換することができる。下型モールドベース7より取り出された下型チェイスユニット5を
図9に示す。
【0055】
このように、金型交換する場合に上型モールドベース6及び調整機構8並びに下型モールドベース7は交換せずに使用できるため、汎用性が高く、段取り換えやメンテナンスが迅速に行える。また、上型モールドベース6及び下型モールドベース7は、上型ベース部6a及び上型ベース側部6bが奥側の蝶番6gを介して、下型ベース部7a及び下型ベース側部7bが奥側の蝶番7gを介して各々回動可能に連結されているので、上型チェイスユニット4、下型チェイスユニット5を金型手前側より引き出し易く、交換作業が容易に行える。
【0056】
[第二実施例]
図11A,Bは圧縮成形用金型1の他の構成例を示す。第一実施例に開示した圧縮成形用金型1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、以下では異なる構成を中心に説明するものとする。
ワークWには半導体チップが複数搭載されているが、たとえばチップ搭載部に不良等が発生している場合には、ワークW上に半導体チップの欠損部分が発生する場合がある。この場合、各ワークWにつき半導体チップの欠損数を正確に計測して供給する樹脂量を変更すればよいが、時間と工数がかかり、また精密計量により樹脂供給する必要がある。このため、モールド樹脂の供給量が必ずしも正確に一致しなくても金型側で調整するように本実施例では後述するオーバーフローキャビティが設けられている。
【0057】
図11Aに示すように、各下型チェイスユニット5に設けられる下型キャビティ駒5dの上面側外周縁部にキャビティ底部の高さが高い段差面5d1が周回して設けられ、段差面5d1に複数のオーバーフローキャビティ10が設けられている。オーバーフローキャビティ10は、下型キャビティ凹部3aに供給されたモールド樹脂のうち余剰分を収容(樹脂量のばらつきを吸収)する。そのため、下型キャビティ凹部3aに供給する樹脂量は最終パッケージ部の厚さに必要な樹脂量よりもオーバーフローキャビティ分多く供給する必要がある。
【0058】
図11Aに示すように、下型キャビティ駒5dの段差部5d1には複数の貫通孔5d2が設けられている。各貫通孔5d2には、フロート駒10aが昇降可能に各々挿入されている。各フロート駒10aは、下型ベースプレート5aとサポートプレート5cとの間に水平姿勢で配置された連結プレート10bの上面に起立して支持されている。各フロート駒10aは、サポートプレート5cを貫通して下型キャビティ駒5dの貫通孔5d2に挿入されている。連結プレート10bと下型ベースプレート5aとの間にはコイルばね10cが設けられており、連結プレート10bを介して各フロート駒10aを上方へ付勢支持している。
図11Bに示すように、各フロート駒10aの上端面と貫通孔5d2の孔壁面とでオーバーフローキャビティ10が形成される。尚、フロート駒10aはブロック形状であってもよいし、細長いピン形状であってもよい。各オーバーフローキャビティ10の上の端面(平面)形状は矩形であっても円形等の他の形状であってもよい。
【0059】
連結プレート10bの下面には、押動ピン10dが鉛直下方に向かって突設されている。押動ピン10dは、下型ベースプレート5a及び下型モールドベース7(下型ベース部7a)を貫通して、図示しない型開閉機構(例えば可動プラテン等)に支持されていても良い。また、この押動ピン10dの下端部には、例えば圧力センサ(ロードセル等)が設けられていてもよい。これにより、型閉じしたときのオーバーフローキャビティ10に流入した樹脂圧を圧力センサにより直にリアルタイムに測定することで、モールド樹脂の樹脂圧をリアルタイムで制御することが可能である。なお、押動ピン10dは必ずしも必要ではなく、無くとも良い。
【0060】
また、
図11Aに示すように、下型可動クランパ5eを支持する押動ピン5fの鍔部5hより下方には、ストッパー5iが突設されていてもよい。ストッパー5iは、下型可動クランパ5eが上型2により押し下げられたときにストッパー5iの下端がベースプレート5aに当接することにより下動を止めることができる。ストッパー5iは、下型可動クランパ5eの下動限界位置を規定するために設けられている。これにより、下型キャビティ凹部3aの高さが決まるため、複数箇所で圧縮成形される各パッケージ部(樹脂封止部)の厚さを一定に管理することができる。
【0061】
ここで、圧縮成形動作におけるフロート駒10aの挙動について
図11Aを参照して説明する。ワークWに半導体チップは通常全数が搭載されているはずであるが、前工程で半導体チップ自体に不良等が発見された場合は、ワークに半導体チップが部分的に搭載されない場合がある。即ち、半導体チップが部分的に欠落している場合がある。また、ワークWに半導体チップの欠落や半導体チップの欠損が生じたり、樹脂搬送中に樹脂が一部落下したり、何らかの要因により下型キャビティ凹部3aに供給されたモールド樹脂量が目標樹脂量よりも不足している場合には、圧縮成形用金型1を型閉じすると、コイルばね10cの付勢によりサポートプレート5cを貫通して下型キャビティ駒5dの貫通孔5d2に挿入されている各フロート駒10aは、段差部5d1より下型キャビティ凹部3a内に進入したまま圧縮成形される。これにより下型キャビティ容積の大きさと供給されたモールド樹脂の樹脂量との差分を吸収する。
また、ワークWに対して下型キャビティ凹部3aに供給されたモールド樹脂量が目標樹脂量よりも多い場合には、樹脂圧によりフロート駒10aがコイルばね10cの付勢に抗して押し下げられ、余剰樹脂が貫通孔5d2に収容されたまま圧縮成形される。これにより下型キャビティ容積の大きさとモールド樹脂の樹脂量との差分を吸収する。
なお、樹脂量が少なすぎると最終パッケージ厚が薄く成形されるおそれがあるため、狙いとして最初から目標樹脂量よりは多く樹脂を供給し、各フロート駒10aの押し下げ量で調整するのが好ましい。
【0062】
よって、ワークW毎に予めモールド樹脂の供給量を正確に計測しなくても、成形品の厚さを一定に保って圧縮成形することができる。また、成形品に形成される凹部や凸部は、最終製品とは関係のないワークWの外周縁部であるので成形品質に影響しない。また、フロート駒10aはキャビティ凹部3a内のモールド樹脂に向けて常時付勢されているので、キャビティ凹部3a内のモールド樹脂に樹脂圧が加わり、ボイドをつぶして成形品質を向上させることができる。尚、オーバーフローキャビティ10は、下型キャビティ駒5dに設けられていたが、下型可動クランパ5eのクランプ面に設けてもよい。
【0063】
[変形例]
次に、
図1の圧縮成形用金型1のワークWに応じた変形使用例について
図12乃至
図15を参照して説明する。
図1の圧縮成形用金型1はワークWとして例えば300mm×100mmの矩形ストリップ基板を2枚同時に圧縮成形する場合について例示したが、それより大判サイズのワークWを用いて1枚ずつ圧縮成形することもできる。
【0064】
図12及び
図13は、大判サイズのワークを圧縮成形する場合の圧縮成形金型を正面視した断面説明図及び側面視した断面図である。
図1に示す上型2の構成から、上型モールドベース6の中間部分に設けられている上型ガイドブロック6c及び上型チェイスガイド6eを除去し、上型チェイスユニット4を大判サイズのワークW用に入れ替えられた実施例を示している。また、
図1に示す下型3の構成から、下型モールドベース7の中間部分に設けられている下型ガイドブロック7d及び下型チェイスガイド7eを除去し、下型チェイスユニット5を大判サイズのワークW用に入れ替えた実施例を示している。この場合にも、上型モールベース6及び調整機構8並びに下型モールドベース7は共用することができる。
図12の場合は、押当板8dが分断されて調整機構8が2つ存在するため、ワークW自体が左右で厚さが少し違う場合や、下型キャビティ凹部3aに供給される樹脂量が左右で多少違って供給された場合であっても、
図13に示す押当板8dが一体の場合に比べて調整機構8が金型高さを個々に調整することができる。
【0065】
図14A,Bは、ワークWとして例えば300mm×300mmの大型矩形パネルを圧縮成形する場合の上型2及び下型3の平面図である。
図14Aにおいて、上型2にはチャック爪4dが上型プレート4cに吸着されたワークWの四辺に同数(例えば3箇所)ずつ設けられている。また、上型ガイドブロック6d及び上型チェイスガイド6eは上型モールドベース6の左右両端部のみに設けられている。上型プレート4cの外周縁部には、上型アジャスターピン4kが複数箇所(例えば一辺につき4箇所)で突設されている。尚、ワーク保持部2aに複数形成されるワークWの吸着孔2bは図示を省略した。
【0066】
図14Bにおいて、下型3の下型可動クランパ5eには、逃げ溝5e1が上型2のチャック爪4dに対応して下型キャビティ凹部3aの周囲に同数(例えば3箇所)ずつ設けられている。また、下型ガイドブロック7d及び下型チェイスガイド7eは下型モールドベース7の左右両端部のみに設けられている。下型可動クランパ5eの外周縁部には、上型アジャスターピン4kに対向位置に複数箇所(例えば一辺につき4箇所)で突設されている。尚、下型可動クランパ5eに周回して設けられるフィルム吸引溝5e4の溝底部に設けられる複数の吸引孔5e5及び周溝5e2と吸引孔5e3については図示を省略した。
【0067】
図15A,Bは、ワークWとして例えば直径φ300mmの半導体ウエハ及び円形のキャリヤや基板を圧縮成形する場合の上型2及び下型3の平面図である。
図15Aにおいて、上型2にはチャック爪4dが上型プレート4cに吸着されたワークWの周囲に等間隔(例えば90度ずつ位相をずらして4箇所)に設けられている。また、上型ガイドブロック6d及び上型チェイスガイド6eは上型モールドベース6の左右両端部のみに設けられている。上型プレート4cの外周縁部には、上型アジャスターピン4kが複数箇所(例えば一辺につき4箇所)で突設されている。尚、ワーク保持部2aに複数形成されるワークWの吸着孔2bは図示を省略した。
【0068】
図15Bにおいて、下型3の下型可動クランパ5eには、逃げ溝5e1が上型2のチャック爪4dに対応して下型キャビティ凹部3aの周囲に等間隔(例えば90度ずつ位相をずらして4箇所)に設けられている。また、下型ガイドブロック7c及び下型チェイスガイド7eは下型モールドベース7の左右両端部のみに設けられている。下型可動クランパ5eの外周縁部には、上型アジャスターピン4kに対向位置に複数箇所(例えば一辺につき4箇所)で突設されている。尚、下型可動クランパ5eに周回して設けられるフィルム吸引溝5e4の溝底部に設けられる複数の吸引孔5e5及び周溝5e2と吸引孔5e3については図示を省略した。また、ワークWとしては円形状の半導体ウエハの他に、半導体チップTが多数ダイボンディングされたeWLBなどの円形キャリヤや基板であってもよい。
【0069】
図14及び
図15に示すように、1枚のワークWを保持するワーク保持部2aを有する上型2と、ワーク保持部2aに対向配置されワークWをクランプするクランパ5eとクランパ5e内に挿入され相対移動することで樹脂を加圧するキャビティ駒5dとで下型キャビティ凹部3aが形成される下型3と、を備え、上型2は、金型クランプ時の厚さ方向のばらつきを調整する調整機構8(図示せず)を備えている圧縮成形用金型1であってもよい。この場合、例えば必ずしも横並びで並列配置できない大判サイズのワークWであっても、調整機構8を備えた上型2を用いて金型クランプ時の大判サイズのワークWに対応した金型高さのばらつきを調整して高精度に圧縮成形することができる。
【0070】
図16は、
図1に示す圧縮成形用金型1において、下型チェイスユニット5のキャビティ駒5d及びサポートプレート5cの形態を変更したものである。即ち、サポートプレート5cは、下型キャビティ駒5dを支持することなく下型可動クランパ5e及び下型チェイスプレート5jを支持するように設けられている。下型キャビティ駒5dは、下型ベースプレート5aに複数起立形成されたサポートピラー5bに直接支持されるようになっている。尚、下型可動クランパ5eに周回して設けられるフィルム吸引溝5e4の溝底部に設けられる複数の吸引孔5e5および周溝5e2と吸引孔5e3等は図示を省略した。
この場合、下型キャビティ駒5dの板厚を厚くでき、かつサポートピラー5bにより下型キャビティ駒5dの直下を支持するので、反り等の影響を受け難くなるため、サポートピラー5bによる高さ調整がより高精度にできる。
【0071】
図17の左半図は、
図1に示す圧縮成形用金型1において、下型チェイスユニット5の下型可動クランパ5eに変えて下型クランパ5eがサポートプレート5cに固定支持され、下型キャビティ駒5dを駆動機構11に接続されて直接昇降可能に設けられている。駆動機構11は、サーボモータ11aと動力伝達部11bであってもよいし油圧アクチュエータであってもよい。この場合、下型キャビティ凹部3aの容積を高精度に制御することができ、下型キャビティ凹部3aに供給されたモールド樹脂に樹脂圧を印加し易い。
【0072】
図17の右半図は、下型可動クランパ5eを上端部で支持する押動ピン5fの下端部が可動連結プレート12で支持されている。可動連結プレート12は、下型ベースプレート5aを切り欠いて水平姿勢で設けられている。可動連結プレート12は、駆動機構13に接続されて直接昇降可能に設けられている。駆動機構13は、サーボモータ13aと動力伝達部13bであってもよいし油圧アクチュエータであってもよい。尚、下型可動クランパ5eに周回して設けられるフィルム吸引溝5e4の溝底部に設けられる複数の吸引孔5e5および周溝5e2と吸引孔5e3等は図示を省略した。
これにより、従来から用いられてきた2枚取りのトランスファ成形用プレスのトランスファ駆動機構(プランジャ駆動機構)を下型可動クランパ5eの駆動機構として用いることもできる。
【0073】
図18は、
図14A,Bに示す矩形パネルや
図15A,Bに示す円形の半導体ウエハなどの大判サイズのワークW単体を圧縮成形するのみではなく、1ストリップ基板を圧縮成形する圧縮成形用金型1であってもよい場合を例示している。
【0074】
図19は、
図1に示す2ストリップ基板用の圧縮成形用金型1に代えて、3ストリップ基板用の圧縮成形用金型1を示すものである。金型構成は
図1と同様であり共通のモールドベース(上型モールドベース6及び下型モールドベース7)に対して挿抜される金型チェイスユニット(上型チェイスユニット4及び下型チェイスユニット5)の数が3セットになった場合を例示している。尚、金型チェイスユニットを4セット以上設けてもよい。
【0075】
図20A,Bは調整機構8の他の構成を示す。
図1では調整機構8としてコイルばね8eを用いたばね機構を設けていたが、くさび機構14を用いてもよい。
図20A,Bにおいて、上型モールドベース6の上型ベース部6aと上型チェイスユニット4の上型チェイスプレート4aとの間には、可動スライド板14aとくさびプレート14bがテーパー面14cどうしを重ね合わせて積層されている。くさびプレート14bは高さ調整プレート14dを介して上型チェイスプレート4aに重ね合わせて組み付けられている。
【0076】
また、
図20Bに示すように、矩形枠状の上型ベース側部6bの奥側の側部には、ねじ軸14e及びサーボモータ14fが取り付けられている。ねじ軸14eは可動スライド板14aに設けられたナットとねじ篏合している。サーボモータ14fを所定方向に所定量回転駆動することで可動スライド板14aが上型ベース部6aに沿って水平方向に移動する。このときテーパー面14cを介して積層するくさびプレート14bにより上型チェイスユニット4の高さ位置を調整する。即ち、
図20Aに示すように上型チェイスユニット4のサポートブロック4bが係止する段差部6fの型開閉方向のクリアランスを利用してワークWの板厚差を吸収するようにしてもよい。
【0077】
上述したいずれかの圧縮成形用金型1を搭載した樹脂モールド装置の一例を
図21の平面レイアウト図に示す。ワークWは100mm×300mmの矩形ストリップ基板であり、モールド樹脂は、タブレット樹脂(固形樹脂)、シート状樹脂、顆粒状樹脂、粉状樹脂、液状樹脂のいずれでもよいが、一例として顆粒樹脂が用いられる。圧縮成形用金型1を搭載したプレス部15が3箇所に設けられている。1プレス部15当たり2枚取りであり、1回のプレス動作で合計6枚のワークWを圧縮成形することができる。なお、供給、プレスに拠る成形、収納等の時間を考慮すると生産性を上げるためはプレスの数が多い場合には、各プレスは順次成形しても良い。
【0078】
3個並設されたプレス部15の左端側にはワークWを供給し、成形後にマガジンに収納するワーク供給収納部16が設けられている。ワーク搬送機構17は、ワーク供給収納部16とプレス部15との間を往復動し、型開きした圧縮成形用金型1へ進退動する際に成形後のワークWの取出しと成形前のワークWの供給を行う。プレス部15に進入したワークローダ17は、成形後のワークW(成形品)を2枚一組で受け取り、成形前のワークWを2枚一組で圧縮成形用金型1(上型2のワーク保持部2a:
図1参照)に受け渡す。
【0079】
プレス部15の右端側にはフィルム樹脂供給部18が設けられている。フィルム樹脂供給部18では各ストリップ基板に対応して各フィルムが供給され、カットされ枚葉フィルム9となる。枚葉フィルム9上に、ワーク供給収納部16でセンシングした結果から目標樹脂量が算出されキャビティ平面視サイズと略同形に、例えば顆粒樹脂が平坦に撒かれる。また、前記樹脂及び枚葉フィルム9は樹脂搬送機構19によりフィルム樹脂供給部18よりプレス部15に搬送され、成形後枚葉フィルム9のみ回収される。
【0080】
上述した樹脂モールド装置においては、各プレス部15において、複数(例えば2枚一組)のストリップ基板及び基板ごとに枚葉フィルム9及び樹脂を並列配置された金型チェイスユニットに各々供給してワークWの板厚や樹脂量のばらつきを吸収しながら個別に圧縮成形することができるので、生産性やハンドリングが向上する。プレス部15の数は3プレスに限らずそれより多くても少なくてもいずれでもよい。
【0081】
尚、圧縮成形装置は、例えば上型2及び下型3のいずれか一方が可動型で他方が固定型であってもよく或いは双方が可動型であってもよい。また圧縮成形用金型1を開閉する型開閉機構は、サーボモータ及びねじ軸によるもの、サーボモータ及びトグルリンクによるもの、又は油圧駆動機構によるもの等様々な駆動機構を用いることが可能である。
【0082】
また、圧縮成形用金型1は、下型3にキャビティ凹部3aが形成され上型2にワーク保持部2aが形成されていたが、下型3にワーク保持部が形成され、上型2にキャビティ凹部が形成されていてもよい。この場合には、下型モールドベース7に調整機構8一体に設けられていてもよく、上型チェイスユニット4に枚葉フィルム9が吸着保持されていてもよい。この場合、モールド樹脂は、枚葉フィルム9上ではなくワークW上に供給される。また、本実施例は枚葉フィルム9を使用する実施例だが、長尺フィルムを使用しても良い。
更に、本実施例はフィルムを使用する実施例だが、フィルムを使用しない場合でも良い。
【0083】
上述した圧縮成形用金型1は、ワークWを1枚取り若しくは2枚取りの金型を例示したが、3枚以上のワークWをモールドするようにしてもよい。
【0084】
圧縮成形装置の他の構成について説明する。
図22に示すように、例えばワークWの1枚取り用の圧縮成形用金型1が横並びに複数搭載されており、共通のプレス駆動機構20(型開閉機構)により開閉されるようになっていてもよい。
図22において、矩形状のプレスベース20aの各コーナー部にはガイドポスト20bが立設されている。ガイドポスト20bの上端は固定プラテン20cに連結されており、中間部には可動プラテン20dがスライド移動可能に連繋している。可動プラテン20dは、プレスベース20aに設けられたサーボモータ21a及び動力伝達部21bにより昇降するようになっている。固定プラテン20cには上型2が横並びに支持され、可動プラテン20dには下型3が横並びに支持されている。上型2を構成する上型チェイスユニットには、
図9と同様な調整機構8(図示せず)が設けられている。
【0085】
図23は、圧縮成形装置のさらに他の構成を示すものである。ワークWの1枚取り用の圧縮成形用金型1が高さ方向に複数段(本実施例では2段)重ねて搭載されており、共通のプレス駆動機構20(型開閉機構)によって開閉されるようになっていてもよい。
図23において、矩形状のプレスベース20aの各コーナー部にはガイドポスト20bが立設されている。ガイドポスト20bの上端は固定プラテン20cに連結されており、中間部には可動プラテン20d及び中間プラテン20eがスライド移動可能に各々連繋している。可動プラテン20dは、プレスベース20aに設けられたサーボモータ21a及び動力伝達部21bにより昇降するようになっている。中間プラテン20eは、可動プラテン20dの昇降動作に連動するラック及びピニオン機構等(図示せず)を介して異なるストローク(例えば可動プラテン20dと中間プラテン20eの移動比2:1)で昇降動作するように連繋している。
【0086】
固定プラテン20c及び中間プラテン20eの下面には上型2が各々支持され、可動プラテン20d及び中間プラテン20eの上面には下型3が各々支持されている。上型2を構成する上型チェイスユニットには、
図9と同様な調整機構8(図示せず)が各々設けられている。
これにより、例えば大判サイズのワークのように1枚取りのワークWであっても、複数枚同時に圧縮成形することで生産性が向上すると共に、並列配置若しくは多段配置された金型チェイスユニット毎の金型クランプ時の金型高さのばらつきを調整機構8により吸収して金型が傾くことなく高精度に圧縮成形することができる。
【0087】
ここで、圧縮成形金型1の他例について
図24及び
図25を参照して説明する。圧縮成形用金型1は横並びに並列配置された複数のワークWを個別にクランプして同時に圧縮成形するものである。第一実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
図24を参照して、上型2(第一金型)の構成ついて説明する。本図は最小構成として概念的に記載した。上型モールドベース6(第一ベース部)の底部を構成する上型ベース部6aには、複数のワークW毎に調整機構8(コイルばね8e)が設けられている。この調整機構8を介してワークWを保持する上型プレート4cが横並びで吊り下げ支持されている。上型プレート4cにはワークWを個別に吸着保持するワーク保持部2aが形成されている。尚、上型ベース部6aには、上型ベース側部6b(第一ベース側部)や上型空間部6c(第一金型空間部)を仕切る上型ガイドブロック6d(第一ガイドブロック)、吸引機構及び減圧機構が図示されていないが、これらは設けられていてもよい。
【0088】
下型3(第二金型)の構成について説明する。下型モールドベース7(第二ベース部)の底部を構成する下型ベース部7a上には、ワーク保持部2aに対向配置され、下型キャビティ駒5dが横並びに支持固定されている。また、下型キャビティ駒5dの周囲には、ワークWをクランプする下型可動クランパ5eがコイルばね5gによりワーク毎に独立してフローティング支持されている。下型キャビティ駒5dと下型可動クランパ5eにより下型キャビティ凹部3aが形成されている。下型キャビティ駒5dは、下型可動クランパ5e内に挿入されたまま相対移動することで樹脂を加圧する。尚、下型ベース部7aには、下型ベース側部7b(第二ベース側部)や下型空間部7c(第二金型空間部)を仕切る下型ガイドブロック7d(第二ガイドブロック)等が起立して設けられていてもよい。
【0089】
以上の構成により、複数のワークWを上型2と下型3とでクランプする際に、上型ベース部6aに横並びに設けられたワーク保持部2aを有する上型プレート4c(第一上型プレート及び第二上型プレート)とこれらに対向配置された下型キャビティ凹部3a(第一下型キャビティ凹部及び第二下型キャビティ凹部)を形成する下型可動クランパ5eとでワークW毎にクランプする際の金型高さのばらつきを調整機構8及びコイルばね5gにより吸収するので金型が傾くことなくクランプすることができる。
【0090】
図25は圧縮成形用金型1の更なる他例を示すものである。圧縮成形用金型1は横並びに並列配置された複数のワークWを個別にクランプして同時に圧縮成形するものである。第一実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
図25を参照して、上型2(第一金型)の構成ついて説明する。本図は最小構成として概 念的に記載した。上型モールドベース6(第一モールドベース)の底部を構成する上型ベース部6a(第一ベース部)には、複数のワークWを独立して保持する上型プレート4c(第一上型プレート及び第二上型プレート)が横並びに支持されている。上型プレート4cにはワークWを個別に吸着保持するワーク保持部2aが形成されている。尚、上型ベース部6aには、上型ベース側部6b(第一ベース側部)や上型空間部6c(第一金型空間部)を仕切る上型ガイドブロック6d(第一ガイドブロック)、吸引機構及び減圧機構が図示されていないが、これらは設けられていてもよい。
【0091】
下型3の構成について説明する。下型モールドベース7(第二モールドベース)の底部を構成する下型ベース7a(第二ベース部)には、ワーク保持部2aに対向配置され、ワークWをクランプする下型可動クランパ5eと、下型可動クランパ5e内に挿入されたまま相対移動することで樹脂を加圧する下型キャビティ駒5dとで形成される下型キャビティ凹部3a(第一下型キャビティ凹部及び第二下型キャビティ凹部)が横並びに支持されている。
具体的には、下型キャビティ駒5dは、下型プレート5r(金型プレート)上ワークW毎に独立して支持固定されている。下型可動クランパ5eは、下型プレート5rにコイルばね5gを介してワークW毎に独立して付勢支持されている。下型プレート5rと下型ベース部7a間にはワークW毎に独立した調整機構8(コイルばね8e)が設けられている。
尚、下型ベース部7aには、下型ベース側部7b(第二ベース側部)や下型空間部7c(第二金型空間部)を仕切る下型ガイドブロック7d(第二ガイドブロック)等が図示されていないが、これらは設けられていてもよい。
【0092】
これにより、上型ベース部6aにワーク保持部2aを有する上型プレート4cを横並びに設けた上型2と、下型べース部7aにワーク保持部2aに対向して横並びに配置された下型キャビティ凹部3aを設けた下型3とで複数のワークWを個別にクランプする際に、下型可動クランパ5eを支持するコイルばね5g及び下型プレート5rと下型ベース部7a間に設けられた調整機構8により、金型高さのばらつきをワークW毎に吸収するので金型が傾くことなくクランプすることができる。