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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-13703(P2019-13703A)
(43)【公開日】2019年1月31日
(54)【発明の名称】医療施設玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/30 20060101AFI20190104BHJP
【FI】
   A63H33/30 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-135221(P2017-135221)
(22)【出願日】2017年7月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 倫子
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 海
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雄介
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA02
2C150CA01
2C150CA30
2C150DF03
2C150DF33
2C150DG01
2C150DG13
2C150DG27
2C150DK17
(57)【要約】
【課題】診察の遊びの楽しさを増大しかつ持続することである。
【解決手段】医療施設玩具本体100は、患者の診察における操作を受け付ける操作部104と、操作部104における操作に応じてランダムに患者の診断結果を決定可能な決定部と、患者への診察の補助行動を受け付ける聴診器105と、聴診器105による補助行動の後に、決定部により決定された患者の診断結果に応じた報知情報としての絵を表示部103に表示させ、決定された患者の診断結果に応じた報知情報としての音声を孔部101aから出力させる報知部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の診察における操作を受け付ける操作部と、
前記操作部における操作に応じてランダムに患者の診断結果を決定可能な決定部と、
前記患者への診察の補助行動を受け付ける診察補助部と、
前記診察補助部による補助行動の後に、前記決定部により決定された患者の診断結果に応じた報知情報を報知する報知部と、を備える医療施設玩具。
【請求項2】
前記操作部は、診察に用いるポインティングデバイスの移動を模した操作入力を受け付け、当該移動の移動量に応じた複数の段階の操作を受け付ける請求項1に記載の医療施設玩具。
【請求項3】
前記操作部の操作に応じて回転され、患者の診断結果に対応する複数の絵が回転単位量ごとの各領域に配置された第1のディスク部を備え、
前記複数の段階の操作の移動量は、前記第1のディスク部の回転の異なる数の回転単位量に対応し、
前記決定部は、前記第1のディスク部の表示用位置にある絵に対応する診断結果を決定し、
前記報知部は、前記表示用位置にある絵を表示させる請求項2に記載の医療施設玩具。
【請求項4】
前記複数の段階の操作のうちの最も移動量が多い操作は、前記第1のディスク部の複数通りの回転単位量を回転させる請求項3に記載の医療施設玩具。
【請求項5】
前記第1のディスク部に固定的に接続され、前記複数の絵にそれぞれ対応し互いに異なる複数の突起部パターンを有する第2のディスクと、
前記表示用位置に対応する突起部パターンを検知する検知部と、を備え、
前記決定部は、前記検知された突起部パターンに対応する診断結果を決定する請求項3又は4に記載の医療施設玩具。
【請求項6】
前記報知部は、前記患者の診断結果に応じた音声情報を音声出力する請求項1から5のいずれか一項に記載の医療施設玩具。
【請求項7】
前記診断結果は、複数の音声情報が対応付けられ、
前記報知部は、前記患者の診断結果に応じた複数の音声情報から1つをランダムに選択し、当該選択した音声情報を音声出力する請求項6に記載の医療施設玩具。
【請求項8】
前記報知部は、以前と同じ診断結果が決定された場合に、当該診断結果に応じた複数の音声情報から以前の診断結果で音声出力されていない1つを選択し、当該選択した音声情報を音声出力する請求項7に記載の医療施設玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施設玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子供などが、病院における医師による患者の診察を模して遊ぶことが可能な病院玩具が知られている。例えば、聴診器を患者の人形に当てる度に、開口部を有する円筒部内に設けられた表示円筒を回転することで、表示円筒に印刷された複数の診断結果の1つを開口部に表示する病院玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭59−31274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の病院玩具では、診察をする操作が聴診器を人形に対して押す1種類で1段階のもののみであり、子供などが操作をした後の次の診断結果を容易に予想できるため、遊びの楽しさが小さくなりかつ持続しないおそれがあった。
【0005】
本発明の課題は、診察の遊びの楽しさを増大しかつ持続することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の医療施設玩具は、
患者の診察における操作を受け付ける操作部と、
前記操作部における操作に応じてランダムに患者の診断結果を決定可能な決定部と、
前記患者への診察の補助行動を受け付ける診察補助部と、
前記診察補助部による補助行動の後に、前記決定部により決定された患者の診断結果に応じた報知情報を報知する報知部と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医療施設玩具において、
前記操作部は、診察に用いるポインティングデバイスの移動を模した操作入力を受け付け、当該移動の移動量に応じた複数の段階の操作を受け付ける。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の医療施設玩具において、
前記操作部の操作に応じて回転され、患者の診断結果に対応する複数の絵が回転単位量ごとの各領域に配置された第1のディスク部を備え、
前記複数の段階の操作の移動量は、前記第1のディスク部の回転の異なる数の回転単位量に対応し、
前記決定部は、前記第1のディスク部の表示用位置にある絵に対応する診断結果を決定し、
前記報知部は、前記表示用位置にある絵を表示させる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の医療施設玩具において、
前記複数の段階の操作のうちの最も移動量が多い操作は、前記第1のディスク部の複数通りの回転単位量を回転させる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の医療施設玩具において、
前記第1のディスク部に固定的に接続され、前記複数の絵にそれぞれ対応し互いに異なる複数の突起部パターンを有する第2のディスクと、
前記表示用位置に対応する突起部パターンを検知する検知部と、を備え、
前記決定部は、前記検知された突起部パターンに対応する診断結果を決定する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療施設玩具において、
前記報知部は、前記患者の診断結果に応じた音声情報を音声出力する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の医療施設玩具において、
前記診断結果は、複数の音声情報が対応付けられ、
前記報知部は、前記患者の診断結果に応じた複数の音声情報から1つをランダムに選択し、当該選択した音声情報を音声出力する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の医療施設玩具において、
前記報知部は、以前と同じ診断結果が決定された場合に、当該診断結果に応じた複数の音声情報から以前の診断結果で音声出力されていない1つを選択し、当該選択した音声情報を音声出力する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、診察の遊びの楽しさを増大できかつ持続できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態の医療施設玩具の外観を示す斜視図である。
図2】前側ケース、聴診器、デスクなどを除去した医療施設玩具本体の正面図である。
図3図2の医療施設玩具本体のIII―III線における断面図である。
図4】投影用ディスク部を示す正面図である。
図5図2から透明板部、操作部、ピニオンなどを除去した医療施設玩具本体の正面図である。
図6】位置識別ディスク部を示す背面図である。
図7】センサを示す正面図である。
図8】医療施設玩具本体の回路構成を示すブロック図である。
図9】音声テーブルを示す図である。
図10】診断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0017】
先ず、図1を参照して、本実施の形態の医療施設玩具1の全体の概略構成を説明する。図1は、本実施の形態の医療施設玩具1の外観を示す斜視図である。
【0018】
本実施の形態の医療施設玩具1は、子供などの遊戯者が、病院などの医療施設における医師による患者の診察を模して遊ぶことが可能な玩具である。図1に示すように、本実施の形態の医療施設玩具1は、医療施設玩具本体100と、ベッド200と、を備える。ベッド200の上には、患者の人形300が横にされているものとする。また、図1に示すように、医療施設玩具本体100の前面に垂直な方向にX軸をとり、医療施設玩具本体100の高さ方向にZ軸をとり、X軸及びZ軸に垂直な方向にY軸をとる。
【0019】
医療施設玩具本体100は、前側ケース101と、後側ケース102と、を有する。前側ケース101及び後側ケース102は、嵌合により内部に部品が格納される筐体として機能する。医療施設玩具本体100は、前側ケース101側に、表示部103、操作部104、診察補助部としての聴診器105、ホルダー106、デスク107、医療用具部108a,108b,108c,108d,108e,108fを有する。
【0020】
表示部103は、後述するように、患者(人形300)の診断結果を表す絵を表示する。表示部103は、前面に、透明板部103aを有する。透明板部103aは、透明樹脂、ガラスなどの透明板からなり、後述するスクリーン部103b(図3)に投影された絵の像を+X方向(遊戯者側)に透過する。
【0021】
操作部104は、医師が診察の際に用いるポインティングデバイスとしてのマウスを模した操作部であり、当該マウスの移動を模した位置入力操作を受け付けるY軸方向に移動可能な構造を有する。
【0022】
聴診器105は、人形300に当てて聴診を行う部品であり、チューブを模したケーブル105aを介して医療施設玩具本体100内部の制御部11(図8)に電気的に接続されている。聴診器105は、人形300に当てる面に接触式のスイッチとしてのセンサ12(図8)が設けられており、人形300などへの接触を検知可能である。ホルダー106は、使用しないときなどに聴診器105を保持する保持具である。デスク107は、医師が使用する診察デスクを模した部品である。
【0023】
医療用具部108aは、棚に乗せられた各種薬品の瓶を模した部品であり、各瓶が棚から取り外し可能な構成を有する。医療用具部108bは、各種用具が乗せられる棚を模した部品である。医療用具部108cは、水道のタップを模した部品である。医療用具部108dは、棚に乗せられたピンセット、舌圧子、体温計、注射器などの医療器具を模した部品であり、各器具が棚から取り外し可能な構成を有する。医療用具部108eは、カルテボード(図示略)が乗せられる棚を模した部品である。医療用具部108fは、ギブスを模した部品であり、前側ケース101に形成された棚に乗せられている。
【0024】
前側ケース101、後側ケース102、操作部104、ホルダー106、デスク107、医療用具部108a,108b,108c,108d,108e,108fは、例えば、樹脂の成形品であるものとする。また、前側ケース101には、後述する音声出力部16(図2など)の音声を外部に出力するための孔部101aが形成されている。また、図1において、表示部103には、患者としての人形300の診断結果の絵として、後述する絵P10(図4)が表示されている。
【0025】
次いで、図2図7を参照して、医療施設玩具本体100の内部構成を説明する。図2は、前側ケース101、聴診器105、デスク107などを除去した医療施設玩具本体100の正面図である。図3は、図2の医療施設玩具本体100のIII―III線における断面図である。図4は、投影用ディスク部141を示す正面図である。図5は、図2から表示部103、操作部104、ピニオン131などを除去した医療施設玩具本体100の正面図である。図6は、位置識別ディスク部142を示す背面図である。図7は、センサ13を示す正面図である。
【0026】
図2図3に示すように、医療施設玩具本体100は、前側ケース101及び後側ケース102の内部に、表示部103、支持部112、ラック122、接続部123,124,125、ばね126、ピニオン131、クラッチディスク部132、位置決めアーム134、支持部135、ばね136、投影用ディスク部141、位置識別ディスク部142、センサ13、光源部14、支持部151、音声出力部16などを備える。
【0027】
図3に示すように、表示部103は、透明板部103a、スクリーン部103bを有する。光源部14、投影用ディスク部141、スクリーン部103b、透明板部103aは、+X方向に、互いに所定距離をおいて順に配置されている。このように、投影用ディスク部141、スクリーン部103b、透明板部103aは、光源部14の光軸上に配置されている。光源部14から出射された光が投影用ディスク部141の患者の診断結果の絵を透過してスクリーン部103bに投影される。スクリーン部103bに投影される絵の投影用ディスク部141上の位置を、表示用位置V1(図3図5)とする。遊戯者は、透明板部103aを介して、投影用ディスク部141の表示用位置V1のスクリーン部103bに投影された絵を視認できる。
【0028】
光源部14は、白色のLED(Light Emitting Diode)であるものとするが、他の色のLEDや、豆電球など、他の種類の光源であるものとしてもよい。光源部14は、後側ケース102に固定的に接続された支持部112により固定的に支持されている。スクリーン部103bは、光を透過しかつ乳白色に構成されている。このため、スクリーン部103bは、光源部14から出射され投影用ディスク部141の絵を透過した光による像を広範囲に映す。LEDなどの光量が強い光源部14の光を投影用ディスク部141の絵を介して直接透明板103aを透過させると光源部14の近傍のみが明るい絵が表示されるが、スクリーン部103bを用いることにより、透明板部103aの領域に全体的に明るい絵を表示可能である。
【0029】
図4に示すように、投影用ディスク部141は、軸穴部141aを中心としたディスク形状を有する。投影用ディスク部141は、PET(PolyEthylene Terephthalate)などの光を透過する材料から構成され、その厚さなどが、スクリーン部103bへの絵の投影に好ましい値に調整されている。投影用ディスク部141は、1周360°を12分割した各領域に複数の診断結果の各パターンの絵P1〜P12が印刷されている。このように、本実施の形態では、診断結果が12パターンに設定されているが、このパターン数に限定されるものではない。
【0030】
ラック122は、平板の長手方向に延在し、長手方向に垂直な方向に複数の歯が形成された部品であり、Y方向に延在するように配置されており、±Y方向に移動が可能である。接続部123は、操作部104とラック122とを相対位置を一定に保ったまま固定的に接続する部品である。接続部124は、デスク107に固定的に接続され、操作部104の下方に配置された平板部を有する部品である。接続部125は、前側ケース101に固定的に接続された平板部である。遊戯者による操作部104の±Y方向の移動操作により、操作部104が接続された接続部123は、接続部124の平板部上で±Y方向に移動される。
【0031】
ばね126は、一端がラック122に接続され、他端が前側ケース101の裏側に立設したネジ穴(図示略)に接続され、復元力により、移動したラック122を基準位置に戻すばねである。
【0032】
図3に示すように、ピニオン131、クラッチディスク部132、投影用ディスク部141、位置識別ディスク部142は、−X方向に同軸上に順に配置され、軸を中心としてそれぞれ回転が可能である。ピニオン131は、円形の歯車である。ピニオン131の歯とラック122の歯とが噛み合っている。このため、ピニオン131は、図2上で、ラック122の+Y方向の移動に対応して反時計回りに回転し、ラック122の−Y方向の移動に対応して時計回りに回転する。
【0033】
図5に示すように、ピニオン131と投影用ディスク部141との間には、クラッチ片133が配置されている。クラッチ片133は、クラッチディスク部132に固定的に接続された1WAYクラッチのクラッチ片である。図示を省略するが、ピニオン131の裏面には、クラッチ片133に対応する歯車が形成されている。クラッチディスク部132は、クラッチ片133とともに、投影用ディスク部141及び位置識別ディスク部142にも固定的に接続されている。
【0034】
このため、ピニオン131が反時計回りに回転(操作部104及びラック122が+Y方向に移動)すると、ピニオン131とクラッチ片133とがロックされ、クラッチディスク部132、投影用ディスク部141及び位置識別ディスク部142に回転動力が伝えられて反時計回りに回転する。ピニオン131が時計回りに回転(操作部104及びラック122が−Y方向に移動)すると、ピニオン131とクラッチ片133とが解放され、クラッチディスク部132、投影用ディスク部141及び位置識別ディスク部142に回転動力が伝えられず回転しない。
【0035】
クラッチディスク部132は、投影用ディスク部141の絵P1〜P12に対応する位置に配置された12個の突起部132aを有する。位置決めアーム134は、前側ケース101に、穴を軸として回転可能に設置される。支持部135は、前側ケース101に固定設置されている。ばね136は、一端が位置決めアーム134に接続され、他端が支持部135に接続される。このため、クラッチディスク部132が、反時計回りに回転すると、突起部132aに押されて位置決めアーム134が反時計回りに回転するが、その回転が止まると、ばね136の復元力により、位置決めアーム134の先端が、隣り合う突起部132aの中間位置に戻るようになっている。よって、投影用ディスク部141の各絵P1〜P12は、光源部14に対応する、表示部103(透明板部103a)に絵が欠けることなく映る表示用位置V1で停止される。
【0036】
位置決めアーム134の先端を突起部132aの間から次の突起部132aの間へ移動させるための投影用ディスク部141の回転量を単位回転量(360°/12=30°)とする。投影用ディスク部141を1単位回転量回転させるための操作部104のY方向の移動距離を1移動単位量とすると、操作部104は、左端の位置から1、2又は3移動単位量まで移動可能である。操作部104が1移動単位量移動されると、投影用ディスク部141の投影される絵が1つ隣りの絵に移行される。操作部104が2移動単位量移動されると、投影用ディスク部141の投影される絵が2つ隣りの絵に移行される。ただし、操作部104が3移動単位量移動される場合には、その移動の勢いに応じて、投影用ディスク部141に慣性がついて回転され、投影される絵が3つ以上隣りの絵に移行される。このため、遊戯者は、操作部104を3移動単位量移動させる場合には、どの絵が投影されるかを予測しがたい。なお、操作部104の移動の段階数は3に限定されるものではなく、他の段階数としてもよい。
【0037】
図6に示すように、位置識別ディスク部142は、クラッチディスク部132及び投影用ディスク部141に固定的に接続され、裏面(後側ケース102側の面)に、1周360°を12分割した各領域に最大4つの突起部からなる突起部パターンA1〜A12を有する。突起部パターンA1〜A12は、放射方向に沿っての4つの突起部のあり/無しのパターンである。突起部パターンA1〜A12は、互いにユニークなパターンとなっている。例えば、突起部がある箇所に「1」が対応し、突起部がない箇所に「0」が対応する。突起部パターンA1〜A12は、絵P1〜P12に対応するものとする。
【0038】
図4に示すように、投影用ディスク部141の軸穴部141aは、円形の一部が直線にされた形状を有する。このため、絵P1〜P12の位置を突起部パターンA1〜A12に対応させるように(絵P1が突起部パターンA1に対応する位置にくるように)、投影用ディスク部141を位置識別ディスク部142の軸に正確かつ容易に取り付けることができる。
【0039】
図7に示すように、センサ13は、後側ケース102に固定的に接続された支持部151に支持された接触式のセンサであり、位置識別ディスク部142の突起部パターンA1〜A12の突起部が検知可能な位置に配置されている。センサ13は、位置識別ディスク部142の軸から放射方向に、センサSE1,SE2,SE3,SE4を有する。センサ13は、センサSE1,SE2,SE3,SE4により、位置識別ディスク部142の突起部パターンを接触により検知して、例えば「0」、「1」からなる4桁の電気的な検知信号に変換して制御部11(図8)に出力する。
【0040】
次に、図8を参照して、医療施設玩具本体100の回路構成を説明する。図8は、医療施設玩具本体100の回路構成を示すブロック図である。
【0041】
図8に示すように、医療施設玩具本体100は、回路構成として、制御部11、センサ12,13、光源部14、記憶部15、音声出力部16を備える。医療施設玩具本体100の回路構成の各部は、バス17を介して接続されている。制御部11及び記憶部15は、例えば、前側ケース101及び後側ケース102の内部の基板上に配置されている。
【0042】
制御部11は、医療施設玩具本体100の回路構成の各部を制御する。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)を有する。制御部11において、CPUは、記憶部15から各種プログラムを指定して読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとの協働で各種処理を実行する。
【0043】
センサ12は、聴診器105に設けられた接触式のスイッチであり、制御部11の指示に応じて、聴診器105が人形300などに当てられたか否かをスイッチ押下の有無により検知し、その検知信号を生成して制御部11に出力する。
【0044】
センサ13は、4つの接触式のスイッチとしてのセンサSE1,SE2,SE3,SE4を有する。センサ13は、各センサSE1〜SE4により位置識別ディスク部142の突起部パターンA1〜A12の各突起部の有無を接触方式で検知し、例えば位置識別ディスク部142の放射方向に4桁の2進数(1:突起部有、0:突起部無し)で示す検知パターン信号を生成して制御部11に出力する。
【0045】
光源部14は、白色のLEDなどで構成され、制御部11の指示に従い、点灯又は消灯される。記憶部15は、ROM(Read Only Memory)などの情報が読み出し可能なメモリであり、プログラム、各種データが記憶される。本実施の形態では、記憶部15には、診断処理プログラム、後述する音声テーブル20、各種の音声ファイルが記憶されているものとする。
【0046】
音声出力部16は、アンプ、スピーカーなどを有し、制御部11の指示に従い、入力された音声ファイルの音声信号を増幅し音声に変換して出力する。
【0047】
次いで、図9を参照して、記憶部15に記憶された音声テーブル20を説明する。図9は、音声テーブル20を示す図である。
【0048】
音声テーブル20は、記憶部15に記憶されている音声ファイルの定義ファイルである。図9に示すように、音声テーブル20は、結果番号21、個別番号22、検知パターン23、音声内容25のフィールドを有する。
【0049】
結果番号21は、患者の診断結果の識別情報である。結果番号21の「1」〜「12」は、それぞれ、患者の診断結果を示す絵P1〜P12に対応するものとする。結果番号21の「0」は、患者の診断結果とは関係ない予め設定された音声ファイルに対応するものとする。
【0050】
個別番号22は、同じ結果番号21における異なる音声ファイルの識別情報である。結果番号21の「1」〜「12」については、それぞれ、2つ以上の音声ファイルが用意されており、同じ診断結果であっても、異なる音声ファイルの音声が出力されうる。
【0051】
検知パターン23は、結果番号21に対応する絵P1〜P12に対応する突起部パターンA1〜A12の検知パターンである。検知パターン23は、4桁の2進数で表され、投影用ディスク部141の軸から放射方向への4つの突起部の有(1)無(0)を表す。結果番号21が「0」については、突起部パターンA1〜A12の検知と関係がないため、検知パターン23の値がないものとする。
【0052】
音声ファイル24は、結果番号21及び個別番号22に対応する音声ファイルの名称である。音声内容25は、備考欄であり、音声ファイル24の音声内容が文字により表現されている。このため、後述する診断処理では、音声内容25は、使われない。
【0053】
次に、図10を参照して、医療施設玩具本体100の制御部11で実行される診断処理を説明する。図10は、診断処理を示すフローチャートである。
【0054】
予め、ベッド200に人形300が乗せられ、医師役の別の人形の行動を代行する遊戯者が、医療施設玩具本体100の前で待機しているものとする。医療施設玩具本体100において、例えば、電源がオン操作されたことをトリガとして、制御部11のCPUが記憶部15から読み出されてRAMに展開された診断処理プログラムとの協働で、診断処理を実行する。
【0055】
先ず、遊戯者は、診察対象の患者としての人形300の診察を開始するため、診察用のデスク107上のマウスを模した操作部104をY方向に任意の距離を移動させる。制御部11は、センサ13の検知パターン信号を所定周期で取得し、当該取得した検知パターン信号が変化したか(操作部104が遊戯者により移動操作されたか)否かを判別する(ステップS1)。検知パターン信号が変化していない場合(ステップS1;NO)、ステップS1に移行される。
【0056】
検知パターン信号が変化した場合(ステップS1;YES)、制御部11は、光源部14を消灯する(ステップS2)。そして、制御部11は、センサ13の検知パターン信号を所定周期で取得し、当該取得した検知パターン信号が所定時間同じであるか(操作部104が遊戯者により移動停止操作されたか)否かを判別する(ステップS3)。所定時間は、例えば、0.5〜0.7[s]である。
【0057】
検知パターン信号が所定時間同じでない場合(ステップS2;NO)、ステップS1に移行される。検知パターン信号が所定時間同じである場合(ステップS2;YES)、制御部11は、診察開始音声(音声ファイル24:V01)の音声ファイルを記憶部15から読み出し、当該読み出した音声ファイルを音声出力部16に音声出力させる(ステップS4)。ステップS4では、例えば、「心臓の音を聞きますね。」の音声が出力される。遊戯者は、ステップS4の音声に応じて、聴診器105を人形300に当てる。
【0058】
そして、制御部11は、センサ12からオンの検知信号が入力されたか(聴診器105が人形300に当てられたか)否かを判別する(ステップS5)。センサ12からオンの検知信号が入力されていない場合(ステップS5;NO)、ステップS5に移行される。センサ12からオンの検知信号が入力された場合(ステップS5;YES)、制御部11は、心臓音(音声ファイル24:V03又はV04)の音声ファイルをランダムに決定して記憶部15から読み出し、当該読み出した音声ファイルを音声出力部16に音声出力開始させる(ステップS6)。ステップS6では、例えば、大きな又は小さな「どくんどくん」の音声が出力開始される。
【0059】
遊戯者は、通常、ステップS6の音声の出力後に聴診器105を患者の人形300から離す。しかし、遊戯者は、診察を中止する場合に、ステップS6の音声の出力中に聴診器105を患者の人形300から離すこともできる。その場合には、心臓音が十分に聴診できていないため、診察が中止される。
【0060】
そして、制御部11は、センサ12から所定周期で検知信号を取得し、所定時間、オフの検知信号が入力されたか(聴診器105が人形300から離されたか)否かを判別する(ステップS7)。ステップS7の所定時間は、例えば、0.5〜0.7[s]である。所定時間、オフの検知信号が入力された場合(ステップS7;YES)、制御部11は、ステップS6の心臓音が音声出力中であるか否かを判別する(ステップS8)。
【0061】
心臓音が音声出力中である場合(ステップS8;YES)、診察中止のため、ステップS1に移行される。心臓音が音声出力完了後である場合(ステップS8;NO)、制御部11は、光源部14を点灯させる(ステップS9)。ステップS9により、投影用ディスク部141の光源部14の光軸上の表示用位置V1の診断結果の絵が表示部103に表示される。所定時間、オフの検知信号が入力されていない(ずっとオンの検知信号が検出された)場合(ステップS7;NO)、ステップS9に移行される。
【0062】
そして、制御部11は、RAMから前回音声出力した際の検知パターン(4桁の2進数)を読み出し、センサ13から検知パターン信号を取得し、取得した検知パターン信号が、RAMから読み出された検知パターンと同じか否かを判別する(ステップS10)。前回と異なる検知パターンの場合(ステップS10;NO)、制御部11は、記憶部15から音声テーブル20を読み出し、ステップS10で取得された検知パターン信号の検知パターン23に対応する複数の音声ファイル24から1つをランダムに選択する(ステップS11)。
【0063】
前回と同じ検知パターンの場合(ステップS10;YES)、制御部11は、記憶部15から音声テーブル20を読み出し、RAMから前回出力した音声ファイル24(音声ファイル名)を読み出し、ステップS10で取得された検知パターン信号の検知パターン23に対応しかつ前回の音声ファイル24と別の音声ファイル24を1つ選択する(ステップS12)。
【0064】
そして、制御部11は、ステップS11又はS12で選択された音声ファイル24の音声ファイルを記憶部15から読み出し、当該読み出した音声ファイルを患者の診断結果として音声出力部16に音声出力させ、当該音声出力した音声ファイルに対応する検知パターン23及び音声ファイル24をRAMに記憶し(ステップS13)、ステップS1に移行する。ステップS11実行後のステップS13では、例えば、検知パターンが「1100」である場合、音声ファイル24:V11の「足が骨折しています。」、音声ファイル24:V12の「傷口から血が出ていますね。痛い。痛い。」のいずれか1つがランダムに音声出力される。
【0065】
ステップS12実行後のステップS13では、例えば、検知パターンが「1100」である場合、前回の音声ファイル24:V11とは異なる音声ファイル24:V12の「傷口から血が出ていますね。痛い。痛い。」が音声出力される。遊戯者は、表示部103に表示された患者である人形300の診断結果の絵を視認しつつ、当該診断結果の音声を聞くことができる。
【0066】
以上、本実施の形態によれば、医療施設玩具本体100は、患者の診察における操作を受け付ける操作部104と、操作部104における操作に応じてランダムに患者の診断結果を決定可能な制御部11と、患者への診察の補助行動(聴診)を受け付ける聴診器105と、を備える。制御部11は、聴診器105による補助行動(聴診)の後に、決定された患者の診断結果に応じた報知情報としての絵及び音声ファイルを表示部103及び音声出力部16に報知(表示、音声出力)させる。
【0067】
このため、遊戯者が操作部104の操作により、診断結果を単純に予想することができず、診断結果を興味を持って待機及び認識することができ、診察の遊びの楽しさを増大できかつ持続できる。また、遊戯者が医師の診断のための聴診を模すことができ、本物の医師と同様に聴診の後に診断結果を報知でき、診察の遊びの楽しさをより増大できる。
【0068】
また、操作部104は、診察に用いるマウスの移動を模した操作入力を受け付け、当該移動の移動量に応じた3段階(1〜3移動単位量)の操作を受け付ける。このため、遊戯者が医師のマウスの移動操作を模すことができ、診察の遊びの楽しさをより増大できる。
【0069】
また、医療施設玩具本体100は、操作部104の操作に応じて回転され、患者の診断結果に対応する複数の絵が回転単位量ごとの各領域に配置された投影用ディスク部141を備える。操作部104の複数の段階の操作の移動量は、投影用ディスク部141の回転の異なる数の回転単位量に対応する。制御部11は、投影用ディスク部141の表示用位置V1にある絵に対応する診断結果を決定し、表示用位置V1にある絵を表示部103(スクリーン部103b)に表示させる。このため、決定された患者の診断結果に応じた絵を表示部103に容易に表示できる。
【0070】
また、操作部104の複数の段階の操作のうちの最も移動量が多い操作(3移動単位量)は、投影用ディスク部141の複数通りの回転単位量(3回転単位量以上)を回転させる。このため、遊戯者が操作部104の3移動単位量の操作により、診断結果を予想することが困難になり、診断結果をさらに興味を持って待機及び認識することができ、診察の遊びの楽しさをさらに増大できかつ持続できる。
【0071】
また、医療施設玩具本体100は、投影用ディスク部141に固定的に接続され、各絵に対応し互いに異なる複数の突起部パターンA1〜A12を有する位置識別ディスク部142と、表示用位置V1に対応する突起部パターンを検知するセンサ13と、を備える。制御部11は、検知された突起部パターンに対応する診断結果を決定する。このため、投影用ディスク部141の表示する絵に対応する診断結果を容易かつ正確に決定できる。
【0072】
また、制御部11は、患者の診断結果に応じた音声ファイルを音声出力部16に音声出力させる。このため、遊戯者は、視覚以外にも、聴覚によって診断結果を認識でき、診察の遊びの楽しさをさらに増大できる。
【0073】
また、1つの診断結果は、複数の音声ファイルが対応付けられている。制御部11は、患者の診断結果に応じた複数の音声ファイルから1つをランダムに選択し、当該選択した音声ファイルを音声出力部16に音声出力させる。このため、診断結果を単純に予想することができず、診断結果を興味を持って待機及び認識することができ、診察の遊びの楽しさを増大できかつ持続できる。
【0074】
また、制御部11は、前回と同じ診断結果が決定された場合に、当該診断結果に応じた複数の音声ファイルから以前の診断結果で音声出力されていない1つを選択し、当該選択した音声ファイルを音声出力する。このため、遊戯者が1つの診断結果に対して偏った音声を出力することを防ぐことができ、診察の遊びの楽しさをさらに増大できかつ持続できる。
【0075】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る好適な医療施設玩具の一例であり、これに限定されるものではない。
【0076】
例えば、医療施設玩具本体100は、診察補助部としての聴診器105を備える構成としたが、これに限定されるものではない。診察補助部としては、心電図、採血のための注射、レントゲン撮影など、他の診察補助の行動(検査など)をする器具を模した部品としてもよい。
【0077】
また、以上の実施の形態における医療施設玩具1を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 医療施設玩具
100 医療施設玩具本体
101 前側ケース
101a 孔部
102 後側ケース
103 表示部
103a 透明板部
103b スクリーン部
104 操作部
105 聴診器
105a ケーブル
106 ホルダー
107 デスク
108a,108b,108c,108d,108e,108f 医療用具部
112 支持部
122 ラック
123,124,125 接続部
126 ばね
131 ピニオン
132 クラッチディスク部
132a 突起部
133 クラッチ片
134 位置決めアーム
135 支持部
136 ばね
141 投影用ディスク部
141a 軸穴部
142 位置識別ディスク部
151 支持部
11 制御部
12,13,SE1,SE2,SE3,SE4 センサ
14 光源部
16 音声出力部
17 バス
200 ベッド
300 人形
図1
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図10