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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-137109(P2019-137109A)
(43)【公開日】2019年8月22日
(54)【発明の名称】後席エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/207 20060101AFI20190726BHJP
   B60R 21/2338 20110101ALI20190726BHJP
   B60N 2/427 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
   B60R21/207
   B60R21/2338
   B60N2/427
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-19539(P2018-19539)
(22)【出願日】2018年2月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】晝田 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】吉村 美枝
(72)【発明者】
【氏名】柴原 多衛
(72)【発明者】
【氏名】成川 岳宏
【テーマコード(参考)】
3B087
3D054
【Fターム(参考)】
3B087CD02
3B087CD04
3D054AA04
3D054AA07
3D054AA08
3D054AA22
3D054CC04
3D054CC11
3D054CC15
3D054EE19
3D054EE26
3D054EE32
3D054FF16
(57)【要約】
【課題】エアバッグをコンパクトに構成すると共に車両衝突時に早期に展開させ、且つ乗員の体格が異なる場合においても乗員の安全を確保する後席エアバッグ装置を提供する。
【解決手段】後席エアバッグ装置のエアバッグ31は、膨張展開状態において、前席シート10のシートバック12から車体後側に湾曲状に展開する湾曲展開部41と、湾曲展開部41の車体下側において湾曲展開部41から車体前側に直線状に展開する直線展開部42とを備え、直線展開部42は、乗員の膝部の車体前側及び車体上側を覆うように直線展開部42の車体前側が湾曲展開部41の車体前側より車体下側に離間して配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前席シートと後席シートとを有する車両に搭載され、前記前席シートのシートバック内に配設されて車両衝突時に車体後側に膨張展開して前記後席シートに着座した乗員を保護するエアバッグを備えた後席エアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、膨張展開状態において、前記シートバックから車体後側に湾曲状に展開して前記乗員の胸部を保護する湾曲展開部と、前記湾曲展開部の車体下側において前記湾曲展開部から車体前側に直線状に展開して前記乗員の膝部を保護する直線展開部とを備え、
前記直線展開部は、前記乗員の膝部の車体前側及び車体上側を覆うように前記直線展開部の車体前側が前記湾曲展開部の車体前側より車体下側に離間して配置される、
ことを特徴とする後席エアバッグ装置。
【請求項2】
前記エアバッグは、前記湾曲展開部の車体前側と前記直線展開部の車体前側とを連結するテザーを有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の後席エアバッグ装置。
【請求項3】
前記直線展開部は、前記乗員の膝部の車体後側且つ車体上側から前記乗員の膝部の車体前側且つ車体下側に直線状に傾斜して延びる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の後席エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前席シートのシートバック内に配設されて車両衝突時に車体後側に膨張展開するエアバッグを備えた後席エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両では、車体前部に車両前方からの衝突を検出する加速度センサなどの衝突検出装置を設け、衝突検出装置によって車両前方からの衝突を検出するとエアバッグ装置を作動させて車室内の乗員を保護することが一般に行われている。
【0003】
前席シートと後席シートとを有する車両では、前席シートである運転席や助手席に着座した乗員を保護する前席エアバッグ装置に加え、前席シートの車体後側に配置された後席シートに着座した乗員を保護する後席エアバッグ装置を搭載したものが知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、前席シートのヘッドレスト又はシートバックの背面にインフレータと折り畳まれたエアバッグとを配設し、車両衝突時に前席シートの状態に応じてインフレータによってエアバッグを膨張させるガス圧力分布を変更してエアバッグを車体後側に膨張展開させ、後席シートに着座した乗員を保護する後席エアバッグ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−16759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前席シートのシートバック内にエアバッグを折り畳んで配設した後席エアバッグ装置では、エアバッグによって前席シートのシートバックの厚さが厚くなると後席シートに着座した乗員の快適性が損なわれることから、エアバッグをコンパクトに構成することが望まれる。
【0007】
後席エアバッグ装置はまた、前席シートが車体前側にスライド移動されて前席シートと後席シートとの離間距離が大きくなる場合においても、車両衝突時にエアバッグを早期に展開させて後席シートに着座した乗員を保護して乗員の安全を確保する必要がある。
【0008】
後席シートには標準的な体格を有する乗員だけでなく大柄な体格や小柄な体格を有する乗員も着座することから、後席シートに着座した乗員の体格が異なる場合においても後席シートに着座した乗員を保護して乗員の安全を確保することが必要である。
【0009】
そこで、本発明は、後席シートに着座した乗員を保護するエアバッグを備えた後席エアバッグ装置において、エアバッグをコンパクトに構成すると共に車両衝突時に早期に展開させ、且つ乗員の体格が異なる場合においても乗員の安全を確保することができる後席エアバッグ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、前席シートと後席シートとを有する車両に搭載され、前記前席シートのシートバック内に配設されて車両衝突時に車体後側に膨張展開して前記後席シートに着座した乗員を保護するエアバッグを備えた後席エアバッグ装置であって、前記エアバッグは、膨張展開状態において、前記シートバックから車体後側に湾曲状に展開して前記乗員の胸部を保護する湾曲展開部と、前記湾曲展開部の車体下側において前記湾曲展開部から車体前側に直線状に展開して前記乗員の膝部を保護する直線展開部とを備え、前記直線展開部は、前記乗員の膝部の車体前側及び車体上側を覆うように前記直線展開部の車体前側が前記湾曲展開部の車体前側より車体下側に離間して配置されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記エアバッグは、前記湾曲展開部の車体前側と前記直線展開部の車体前側とを連結するテザーを有していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記直線展開部は、前記乗員の膝部の車体後側且つ車体上側から前記乗員の膝部の車体前側且つ車体下側に直線状に傾斜して延びることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本願の請求項1に記載の発明によれば、後席エアバッグ装置は、前席シートのシートバック内に配設されて後席シートに着座した乗員を保護するエアバッグを備え、エアバッグは、シートバックから車体後側に湾曲状に展開する湾曲展開部と、湾曲展開部の車体下側において湾曲展開部から車体前側に直線状に展開する直線展開部とを備える。
【0015】
これにより、湾曲展開部と直線展開部との間に空洞部を形成してエアバッグをコンパクトに構成すると共に車両衝突時にエアバッグを早期に展開させて湾曲展開部及び直線展開部によってそれぞれ乗員の胸部及び膝部を保護して乗員の安全を確保することができる。前席シートと後席シートとの離間距離が変更される場合においても車両衝突時にエアバッグを早期に展開させて乗員の安全を確保することができる。
【0016】
また、直線展開部は、乗員の膝部の車体前側及び車体上側を覆うように直線展開部の車体前側が湾曲展開部の車体前側より車体下側に離間して配置されることにより、直線展開部の車体前側を上下方向に移動可能に配置することで、乗員の体格が異なる場合においても車両衝突時に直線展開部を上下方向に移動させて乗員の膝部に略等しく接触させることができ、乗員の安全を確保することができる。
【0017】
したがって、後席シートに着座した乗員を保護するエアバッグを備えた後席エアバッグ装置において、エアバッグをコンパクトに構成すると共に車両衝突時に早期に展開させ、且つ乗員の体格が異なる場合においても乗員の安全を確保することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、エアバッグは、湾曲展開部の車体前側と直線展開部の車体前側とを連結するテザーを有することにより、直線展開部の車体前側を上下方向に移動可能に離間させて配置することができるので、乗員の体格が異なる場合においても車両衝突時に直線展開部を乗員の膝部に略等しく接触させることができ、乗員の安全を確保することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、直線展開部は、乗員の膝部の車体後側且つ車体上側から乗員の膝部の車体前側且つ車体下側に直線状に傾斜して延びることにより、膨張展開状態において乗員の膝部の車体後側且つ車体上側から乗員の膝部の車体前側且つ車体下側に直線状に傾斜して延びる直線展開部を備えたエアバッグを用い、前記効果を有効に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る後席エアバッグ装置が搭載された車両の側面図である。
図2】前席シートを示す斜視図である。
図3】前席シート内に配設されたエアバッグの膨張展開状態を示す斜視図である。
図4】前席シート内に配設されたエアバッグの膨張展開状態を示す側面図である。
図5】前席シート内に配設されたエアバッグの膨張展開状態を示す背面図である。
図6図4におけるY6−Y6線に沿ったエアバッグの断面図である。
図7図5におけるY7−Y7線に沿ったエアバッグの断面図である。
図8図5におけるY8−Y8線に沿ったエアバッグの断面図である。
図9】エアバッグの膨張展開状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る後席エアバッグ装置が搭載された車両の側面図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る後席エアバッグ装置が搭載された車両1は、車室2内に、運転席又は助手席である前席シート10と、前席シート10の車体後側に配置される後席シート20とを有している。前席シート10及び後席シート20はそれぞれ、フロアパネル3に車体前後方向に移動可能に取り付けられている。
【0023】
車両1には、前席シート10である運転席又は助手席に着座した乗員を保護する前席エアバッグ装置(不図示)に加え、後席シート20に着座した乗員を保護する後席エアバッグ装置30が搭載されている。後席エアバッグ装置30は、運転席又は助手席である前席シート10に配設されている。
【0024】
図2は、前席シートを示す斜視図である。図2に示すように、運転席又は助手席である前席シート10は、シートクッション11と、シートクッション11の後端部に連結されたシートバック12と、シートバック12の上端部に連結されたヘッドレスト13とを有している。
【0025】
前席シート10は、シートクッション11の前後位置を調節する前後調節機構14によって矢印A1で示すように車体前後方向に移動可能に構成されている。前席シート10はまた、シートバック12の傾斜角度を調節する角度調節機構15によって矢印A2で示すようにシートバック12の傾斜角度を変更可能に構成されている。
【0026】
後席エアバッグ装置30は、シートバック12内に配設され、エアバッグ31と、シートバック12の上側に配置されて折り畳まれたエアバッグ31を収容保持するケース32と、シートバック12の上下方向中央側に配置されて車両衝突時に作動してエアバッグ31内にガスを供給してエアバッグ31を膨張展開させるインフレータ33(ガス発生装置)とを備えている。
【0027】
後席エアバッグ装置30はまた、図示されていないが、シートバック12内に配設されたシートバックフレームに固定されると共にケース32の車体前側に取り付けられてエアバッグ31の膨張展開時にエアバッグ31に反力を付与する反力プレートを備えている。
【0028】
インフレータ33は、シートバック12の車幅方向両側に備えられてシートバック12内に配設されたシートバックフレームに取り付けられている。インフレータ33は、ガス供給管34を介してケース32に収容保持されたエアバッグ31に接続されている。
【0029】
エアバッグ31には、インフレータ33からガス供給管34を通じてガスが供給されるガス供給口35が形成され、後述する図6に示すように、左右のインフレータ33からそれぞれガスが供給される2つのガス供給口35が車幅方向に並んで形成されている。
【0030】
シートバック12はまた、シートバック12内に配設されたケース32内のエアバッグ31の車体後側に位置する部分に、エアバッグ31の膨張展開時にエアバッグ31によって破断される破断部(不図示)が形成されている。前記破断部は、例えばシートバック12の車体後側における他の部分に比して薄肉状に形成され、エアバッグ31の膨張圧によって破断されるようになっている。
【0031】
後席エアバッグ装置30は、車両衝突時にインフレータ33が作動してエアバッグ31内にガスを供給し、インフレータ33からのガスによってエアバッグ31が膨張展開するときに前記破断部を破断してシートバック12から車体後側に膨張展開し、後席シート20に着座した乗員が前席シート10に衝突することを防止して乗員を保護するようになっている。
【0032】
図3図4図5はそれぞれ、前席シート内に配設されたエアバッグの膨張展開状態を示す斜視図、側面図、背面図である。図6は、図4におけるY6−Y6線に沿ったエアバッグの断面図、図7は、図5におけるY7−Y7線に沿ったエアバッグの断面図、図8は、図5におけるY8−Y8線に沿ったエアバッグの断面図である。
【0033】
図3から図8に示すように、エアバッグ31は、膨張展開状態において、側面視で、シートバック12の上部から車体後側に略半円弧状に突出して湾曲状に展開する湾曲展開部41と、湾曲展開部41の車体下側において湾曲展開部41から車体下側且つ車体前側にシートバック12の上下方向中央部まで直線状に展開する直線展開部42とを備えている。
【0034】
湾曲展開部41は、後述する図9に示すように、車体後側が後席シート20に着座した乗員Pの胸部P1に対向して乗員Pの胸部P1の車体前側に展開し、乗員Pの胸部P1を保護する。直線展開部42は、車体下側が後席シート20に着座した乗員Pの膝部P2に対向して乗員Pの膝部P2の車体前側及び車体上側に展開し、乗員Pの膝部P2を保護する。
【0035】
直線展開部42は、乗員Pの膝部P2の車体前側及び車体上側を覆うように湾曲展開部41から乗員Pの膝部P2の車体前側まで直線状に延び、乗員Pの膝部P2の車体後側且つ車体上側から乗員Pの膝部P2の車体前側且つ車体下側に直線状に傾斜して延びる。
【0036】
湾曲展開部41の車体前側と直線展開部42の車体前側とは、テザー36によって連結されている。直線展開部42は、テザー36によって直線展開部42の車体前側が湾曲展開部41の車体前側より車体下側に離間して配置され、後席シート20に着座した乗員の体格に応じて直線展開部42の車体前側を上下方向に移動可能に配置されている。
【0037】
テザー36は、後席シート20に小柄な体格を有する乗員が着座したときに引っ張られた状態で直線展開部42が乗員Pの膝部P2に接触し、後席シート20に標準的な体格を有する乗員が着座したときに少し弛んだ状態で直線展開部42が乗員Pの膝部P2に接触し、後席シート20に大柄な体格を有する乗員Pが着座したときに大いに弛んだ状態で直線展開部42が乗員Pの膝部P2に接触するように設定されている。
【0038】
エアバッグ31は具体的には、膨張展開状態において、略同一形状に中空円筒状に形成された第1バッグ部51、第2バッグ部52、第3バッグ部53及び第4バッグ部54を備えている。第1バッグ部51、第2バッグ部52、第3バッグ部53及び第4バッグ部54は、車体左側から車体右側に車幅方向に並んで配置されている。
【0039】
第1バッグ部51、第2バッグ部52、第3バッグ部53、第4バッグ部54はそれぞれ、シートバック12の上部から車体後側に略半円弧状に突出して湾曲状に展開する湾曲展開部51a、52a、53a、54aと、湾曲展開部51a、52a、53a、54aの車体下側において湾曲展開部51a、52a、53a、54aから車体下側且つ車体前側にシートバック12の上下方向中央部まで直線状に展開する直線展開部51b、52b、53b、54bとを備えている。
【0040】
エアバッグ31の湾曲展開部41は、第1、第2、第3、第4バッグ部51、52、53、54の湾曲展開部51a、52a、53a、54aによって構成され、エアバッグ31の直線展開部42は、第1、第2、第3、第4バッグ部51、52、53、54の直線展開部51b、52b、53b、54bによって構成されている。
【0041】
エアバッグ31は、合成樹脂製の複数のシートを縫い合わせて形成され、第1バッグ部51を構成する第1シート61と、第2バッグ部52を構成する第2シート62と、第3バッグ部53を構成する第3シート63と、第4バッグ部54を構成する第4シート64とを縫い合わせて形成されている。
【0042】
第1、第2、第3、第4シート61、62、63、64はそれぞれ、合成樹脂製の仕切りシート65を介して隣接するシートと縫着されている。仕切りシート65にはそれぞれ、図6及び図7に示すように、隣接する第1、第2、第3、第4バッグ部51、52、53、54内の空間を連通するように複数の連通孔37が形成されている。
【0043】
エアバッグ31には、図6に示すように、車幅方向中央側に配置される第2及び第3バッグ部52、53の車体前側にガス供給口35が形成されている。エアバッグ31は、インフレータ33からのガスがガス供給口35を通じて第2及び第3バッグ部52、53に供給されると共に仕切りシート65の連通孔37を通じて第1及び第4バッグ部51、54にも供給され、第1、第2、第3、第4バッグ部51、52、53、54がそれぞれ膨張展開するようになっている。
【0044】
エアバッグ31にはまた、先端部に車両衝突時に後席シート20に着座した乗員Pからエアバッグ31に荷重が作用するときにエアバッグ31内のガスを排出するベントホール38が形成されている。ベントホール38は、車幅方向外側に配置される第1及び第4バッグ部51、54の車体前側における車幅方向外側に形成され、エアバッグ31は、ベントホール38からエアバッグ31内のガスを外部に排出することで衝撃のエネルギを吸収する。
【0045】
図9は、エアバッグの膨張展開状態を説明するための説明図である。後席エアバッグ装置30では、車両衝突時にインフレータ33が作動してエアバッグ31内にガスが供給され、エアバッグ31が前記破断部を破断してシートバック12から車体後側に膨張展開し、図9に示すように湾曲展開部41及び直線展開部42を有するように膨張展開する。
【0046】
エアバッグ31の湾曲展開部41及び直線展開部42はそれぞれ、後席シート20に着座した乗員Pの胸部P1及び膝部P2に対応する位置に設けられ、車両衝突時に車体前側に移動される乗員Pの胸部P1及び膝部P2を受け止めて乗員Pを保護する。
【0047】
直線展開部42は、乗員Pが小柄な体格を有する場合はテザー36が引っ張られた状態で乗員Pの膝部P2に接触し、標準的な体格を有する場合はテザー36が少し弛んだ状態で乗員Pの膝部P2に接触し、大柄な体格を有する場合はテザー36が大いに弛んだ状態で乗員Pの膝部P2に接触して乗員の体格が異なる場合においても直線展開部42が上下方向に移動して乗員Pの膝部P2を受け止めて乗員Pを保護する。
【0048】
湾曲展開部41は、直線展開部42が上下方向に移動することに伴って上下方向に移動し、乗員Pが標準的な体格を有する場合には小柄な体格を有する場合に比して湾曲展開部41が車体上側に移動し、乗員Pが大柄な体格を有する場合には標準的な体格を有する場合に比して湾曲展開部41が車体上側に移動して乗員の体格が異なる場合においても湾曲展開部41が上下方向に移動して乗員Pの胸部P1を受け止めて乗員Pを保護する。
【0049】
本実施形態では、エアバッグ31は、膨張展開状態において第1、第2、第3及び第4バッグ部51、52、53、54を備えるように形成されているが、4つのバッグ部を備えるものに限定されるものでなく、2つのバッグ部や3つのバッグ部を備えて形成することも可能である。
【0050】
このように、本実施形態に係る後席エアバッグ装置30によれば、前席シート10のシートバック12内に配設されて後席シート20に着座した乗員Pを保護するエアバッグ31は、シートバック12から車体後側に湾曲状に展開する湾曲展開部41と、湾曲展開部41の車体下側において湾曲展開部41から車体前側に直線状に展開する直線展開部42とを備える。
【0051】
これにより、湾曲展開部41と直線展開部42との間に空洞部43を形成してエアバッグ31をコンパクトに構成すると共に車両衝突時にエアバッグ31を早期に展開させて湾曲展開部41及び直線展開部42によってそれぞれ乗員Pの胸部P1及び膝部P2を保護して乗員Pの安全を確保することができる。前席シート10と後席シート20との離間距離が変更される場合においても車両衝突時にエアバッグ31を早期に展開させて乗員の安全を確保することができる。
【0052】
また、直線展開部42は、乗員Pの膝部P2の車体前側及び車体上側を覆うように直線展開部42の車体前側が湾曲展開部41の車体前側より車体下側に離間して配置されることにより、直線展開部42の車体前側を上下方向に移動可能に配置することで、乗員Pの体格が異なる場合においても車両衝突時に直線展開部42を上下方向に移動させて乗員Pの膝部P2に略等しく接触させることができ、乗員Pの安全を確保することができる。
【0053】
したがって、後席シート20に着座した乗員Pを保護するエアバッグ31を備えた後席エアバッグ装置30において、エアバッグ31をコンパクトに構成すると共に車両衝突時に早期に展開させ、且つ乗員Pの体格が異なる場合においても乗員Pの安全を確保することができる。
【0054】
また、エアバッグ31は、湾曲展開部41の車体前側と直線展開部42の車体前側とを連結するテザー36を有する。これにより、直線展開部42の車体前側を上下方向に移動可能に離間させて配置することができるので、乗員Pの体格が異なる場合においても車両衝突時に直線展開部42を乗員Pの膝部P2に略等しく接触させることができ、乗員Pの安全を確保することができる。
【0055】
また、直線展開部42は、乗員Pの膝部P2の車体後側且つ車体上側から乗員Pの膝部P2の車体前側且つ車体下側に直線状に傾斜して延びる。これにより、膨張展開状態において乗員Pの膝部P2の車体後側且つ車体上側から乗員Pの膝部P2の車体前側且つ車体下側に直線状に傾斜して延びる直線展開部42を備えたエアバッグ31を用い、乗員Pの体格が異なる場合においても乗員Pの安全を確保することができる。
【0056】
本実施形態では、前席シート10と後席シート20とを有する車両1に後席エアバッグ装置30が搭載されているが、1列目シート、2列目シート及び3列目シートを有する車両において、後席エアバッグ装置30を1列目シートに配設して2列目シートに着座した乗員を保護するようにしてもよく、また後席エアバッグ装置30を2列目シートに配設して3列目シートに着座した乗員を保護するようにすることも可能である。
【0057】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係る後席エアバッグ装置によれば、エアバッグをコンパクトに構成すると共に車両衝突時に早期に展開させ、且つ乗員の体格が異なる場合においても乗員の安全を確保することが可能となるから、車両の安全技術の分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0059】
1 車両
10 前席シート
12 シートバック
20 後席シート
30 後席エアバッグ装置
31 エアバッグ
36 テザー
41 湾曲展開部
42 直線展開部
P 乗員
P1 胸部
P2 膝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9