特開2019-137460(P2019-137460A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-137460(P2019-137460A)
(43)【公開日】2019年8月22日
(54)【発明の名称】部材受け具及び運搬機構
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/44 20060101AFI20190726BHJP
【FI】
   B65D19/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-92759(P2018-92759)
(22)【出願日】2018年5月14日
(31)【優先権主張番号】特願2018-22807(P2018-22807)
(32)【優先日】2018年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126398
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】谷 奈央人
(72)【発明者】
【氏名】平山 修
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA13
3E063DA05
3E063FF06
(57)【要約】
【課題】 揺れや衝撃が加わった場合にも円筒状や円柱状の部材が跳ね上がることがなく、円筒状や円柱状の部材を円滑に着脱することが可能な部材受け具、運搬機構を提供する。
【解決手段】 円筒状または円柱状の部材を保持する部材受け具である。受け具本体は、円筒状または円柱状の部材が挿入される凹部を有し、当該凹部の底部は前記円筒状または円柱状の部材の下面を支持する略半円形状の受け部とされている。凹部の入り口側には、弾性力に抗して前記部材を挿入することにより当該部材を押圧支持する一対の支持部が互いに対向して設けられている。支持部としては、例えば互いに対向する一対の円弧状の支持片が、それぞれ内方に向かって凸形状となるように受け具本体に一体に形成されている。あるいは、支持部として、受け具本体に挿脱自在に設けられるシャッター板が対向して設置されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状または円柱状の部材を保持する部材受け具であり、
受け具本体は、前記円筒状または円柱状の部材が挿入される凹部を有し、当該凹部の底部は前記円筒状または円柱状の部材の下面を支持する略半円形状の受け部とされており、
前記凹部の入り口側には、弾性力に抗して前記部材を挿入することにより当該部材を押圧支持する一対の支持部が互いに対向して設けられていることを特徴とする部材受け具。
【請求項2】
前記支持部として、互いに対向する一対の円弧状の支持片が、それぞれ内方に向かって凸形状となるように前記受け具本体に一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の部材受け具。
【請求項3】
前記支持部として、受け具本体に挿脱自在に設けられるシャッター板が対向して設置され、
前記シャッター板は、前記凹部の入り口に向かって傾斜する第1の傾斜面と、これとは反対側に向かって傾斜する第2の傾斜面とを有し、前記第1の傾斜面の前記部材の挿入方向に対する傾斜角度は、前記第2の傾斜面の前記部材の挿入方向に対する傾斜角度よりも小であることを特徴とする部材受け具。
【請求項4】
前記シャッター板はコイルバネで支持されており、当該コイルバネの弾性力により受け具本体に対して挿脱されることを特徴とする請求項3記載の部材受け具。
【請求項5】
プラスチック製であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の部材受け具。
【請求項6】
前記受け具本体は、所定の厚さの板状の部材であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の部材受け具。
【請求項7】
本体と円筒状または円柱状の部材とを有してなる対象物品が載置される運搬機構であって、
前記対象物品の本体を載置する載置台と、
前記円筒状または円柱状の部材を保持する請求項1から6の何れか1項記載の部材受け具とを備えていることを特徴とする運搬機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状や円柱状の部材を支持する部材受け具に関するものであり、特に、前記部材の跳ね上げを確実に防止し得る部材受け具に関する。さらには、係る部材受け具を備えた運搬機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば円筒状や円柱状の部材を有する対象物品を車両等で運搬する際には、転がりを防ぐ必要があり、これに適した受け台が種々提案されている(例えば特許文献1〜特許文献3等を参照)。
【0003】
例えば特許文献1に記載される円筒形輸送物の支持装置は、輸送用架台上に任意の間隔をもって左右方向に移動可能に支柱を固定し、この支柱に輸送物を支持する支持台を回動可能に取付けてなるものである。特許文献1記載の支持装置は、円筒形の輸送物の大きさに応じて左右の支柱を固定し、この支柱に自動可能に取付けた支持台で輸送物を支持するようにすることにより、輸送物の大きさが変っても適用することができるようにした点が特徴である。
【0004】
特許文献2には、比較的高重量で大径の円柱体等を簡便・安全にハンドリングすることができる載置台が開示されており、硬質の棒体または管体を同一寸法・形状のM字状に折曲し、上端部の断面V字状凹部における対向傾斜面の交差角度を互いに等しく形成した載置部材の複数を基台上に、互いに適宜間隔をあけて、かつ互いに真正面に対向して突設した円柱体等の載置台が開示されている。
【0005】
特許文献3には、、主平板の裏面に格子形リブを一体成形して備え、主平板の外縁部から裏面側に突出した側壁とU字溝の内壁とによって格子形リブ全体を囲んだ構造のロール保護プレートが開示されている。ロールの両端面から突出する芯材の両端部を、ロール保護プレートのU字溝に挿入することで、ロールを保持(保護)するような構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭51−59047号公報
【特許文献2】実開平6−67326号公報
【特許文献3】特開2010−58825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述の各特許文献に開示されるような受け台は、円筒状や円柱状の部材が転がり落ちることがないような設計となっているが、棒状の部材の跳ね上げについては何ら考慮されていない。車両等で運搬する物品が、円筒状あるいは円柱状の棒状部分を有していた場合、本体を載置台に載せ、棒状部分を受け台の凹部に挿入しているが、運搬の際に揺れや段差での衝撃が加わると、前記棒状部分が跳ね上がって、受け台から脱落してしまうおそれがある。鉄道やトラックでの運搬では、前記揺れや衝撃を皆無にすることは難しく、物品の脱落が大きな問題となる。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、揺れや衝撃が加わった場合にも円筒状や円柱状の部材が跳ね上がることがなく、しかも、円筒状や円柱状の部材を円滑に着脱することが可能な部材受け具を提供することを目的とする。さらには、対象物品が脱落することがなく、効率の良い運搬が可能な運搬機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するために、本発明の部材受け具は、円筒状または円柱状の部材を保持する部材受け具であり、受け具本体は、前記円筒状または円柱状の部材が挿入される凹部を有し、当該凹部の底部は前記円筒状または円柱状の部材の下面を支持する略半円形状の受け部とされており、前記凹部の入り口側には、弾性力に抗して前記部材を挿入することにより当該部材を押圧支持する一対の支持部が互いに対向して設けられていることを特徴とする。
【0010】
支持部は、例えば、互いに対向する一対の円弧状の支持片が、それぞれ内方に向かって凸形状となるように前記受け具本体に一体に形成されていることを特徴とする。あるいは、支持部として、受け具本体に挿脱自在に設けられるシャッター板が対向して設置され、前記シャッター板は、前記凹部の入り口に向かって傾斜する第1の傾斜面と、これとは反対側に向かって傾斜する第2の傾斜面とを有し、前記第1の傾斜面の前記部材の挿入方向に対する傾斜角度は、前記第2の傾斜面の前記部材の挿入方向に対する傾斜角度よりも小であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の運搬機構は、本体と円筒状または円柱状の部材とを有してなる対象物品が載置される運搬機構であって、前記対象物品の本体を載置する載置台と、前記円筒状または円柱状の部材を保持する前記部材受け具とを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の部材受け具では、円筒状または円柱状の部材を挿入する際には、支持部(前記支持片やシャッター板)が速やかに後退し、円筒状または円柱状の部材が受け部に載置される。この状態では、円筒状または円柱状の部材が支持部(前記支持片やシャッター板)で支持された状態となる。支持部(前記支持片やシャッター板)は、挿入時に比べて下方から大きな力を加えないと後退しないので、揺れや衝撃等が加わっても、円筒状または円柱状の部材が跳ね上がることはない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、揺れや衝撃が加わった場合にも円筒状や円柱状の部材が跳ね上がることがなく、円筒状や円柱状の部材を円滑に着脱することが可能な部材受け具を提供することが可能であり、対象物品が脱落することがなく、効率の良い運搬が可能な運搬機構を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】円筒状または円柱状の部材を有する対象物品の運搬機構への載置手順を示す模式的な図であり、(a)は載置前の状態、(b)は本体の載置状態、(c)は円筒状または円柱状の部材の装着状態をそれぞれ示す。
図2】部材受け具の第1の実施形態の概略構成を示す正面図である。
図3】第1の実施形態の部材受け具に円柱状の部材を装着した状態を示す概略斜視図である。
図4】部材受け具の第2の実施形態の概略構成を示す正面図である。
図5】第2の実施形態の部材受け具の概略斜視図である。
図6】第2の実施形態の部材受け具への円筒状または円柱状の部材の装着手順を示す図であり、(a)は挿入開始状態、(b)はシャッター板の後退状態、(c)は円筒状または円柱状の部材の受け部への載置状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した部材受け具及び搬送機構の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(運搬機構)
先ず、本体と円筒状または円柱状の部材とを有してなる対象物品を運搬する際に用いられる運搬機構について説明する。
【0017】
図1に示すような本体2と円筒状または円柱状の部材3とを有してなる対象物品1を鉄道や各種運搬車両(トラック等)で運搬する際には、例えば、本体を載置する載置台10と、円筒状または円柱状の部材3を支持する部材受け具20とからなる運搬機構を用いる。
【0018】
すなわち、鉄道や運搬車両の運搬台に、本体を載置する載置台10と、円筒状または円柱状の部材3を支持する部材受け具20とを設置しておき、ここに本体2と円筒状または円柱状の部材3とを有してなる対象物品1を支持固定する。
【0019】
対象物品1の積み込みに際しては、図1(a)に示すように、対象物品1の本体2と円筒状または円柱状の部材3とを両手で支え、図1(b)に示すように、先ず本体2を前記載置台10の上に載せる。次に、図1(c)に示すように、円筒状または円柱状の部材3を部材受け具20の凹部に挿入し、受け部に載せる。これにより、円筒状または円柱状の部材3は部材受け具20に支持固定されることになる。外す時は装着時と逆工程である。
【0020】
このような運搬機構において、部材受け具20に円筒状または円柱状の部材3の受けとなる凹部が形成されているだけであると、運搬の際に揺れや段差での衝撃が加わった時に、前記円筒状または円柱状の部材3が跳ね上がって、対象物品1が運搬台から脱落してしまうおそれがある。本体2は、重量があるため、跳ね上がることはないが、ここを基点に部材受け具20に載っている円筒状または円柱状の部材3が跳ね上がる。
【0021】
そこで、本実施形態の運搬機構では、前記部材受け具20に跳ね上げ防止機構を設け、円筒状または円柱状の部材3の跳ね上がりを防止するようにしている。以下、部材受け具20の実施形態について説明する。
【0022】
(部材受け具の第1の実施形態)
【0023】
部材受け具20は、図2に示すように、所定の厚さを有する厚板状の受け具本体21を主体とするものであり、この受け具本体21に凹部22を形成することで、ここに円筒状または円柱状の部材3を挿入することが可能になっている。凹部22の底部は、円筒状または円柱状の部材3の形状に合わせて略半円形とされている。なお、凹部22の底部の形状は、挿入される部材の形状に応じて適宜変更可能である。
【0024】
前記受け具本体21は、所定の厚さを有する矩形厚板状であり、これを直立される形で運搬台に設置される。前記受け具本体21は、例えばプラスチック製であり、表壁と裏壁とを有し、これら表壁と裏壁の間が中空とされた中空二重壁構造を有している。表壁や裏壁には、リブや孔を配列形成してもよく、これにより強度の向上や軽量化等が図られる。
【0025】
本実施形態の部材受け具20においては、前記受け具本体21に設けられた凹部22の入り口側において、受け具本体21を延長する形で支持片23,24が一体に形成されており、この支持片23,24が下方に向けて折り返された形となっている。
【0026】
折り返された支持片23,24は、いずれも円弧状の形状を呈しており、これら互いに対向する一対の円弧状の支持片23,24が、それぞれ内方に向かって凸形状となるように前記受け具本体21に一体に形成されている。
【0027】
また、各支持片23,24は、その基端部23a,24aにおいて受け具本体21と一体に結合されており、基端部23a,24aを支点として弾性変形(後退)可能とされている。
【0028】
ここで、前記支持片23,24の最も突出している部分の間隔Wを挿入される部材3の幅よりも若干小さく設定しておけば、支持片23,24間に部材3を挿入する際には、部材3を押し込むことで支持片23,24が図中矢印方向に弾性変位して互いに後退し、部材3は凹部22の底部に当接するまで押し込まれる。
【0029】
この時、各支持片23,24が円弧形状であるため、上方の円弧により挿入側の間隔が次第に大きくなる形となり、円筒状または円柱状の部材3の挿入が円滑に行われる。また、部材3の挿入後には、図3に示すように、各支持片23,24の弾性力により支持片23,24が部材3の外周面に当接する形になる。特に、各支持辺23,24の下方の円弧面23b,24bが部材3の外周面に当接することになるので、部材3を支持片23,24によって上方から抑える形になり、跳ね上げ防止機能が確実に発揮される。
【0030】
なお、円筒状または円柱状の部材3をある程度の力で引き上げれば、支持片23,24が弾性変位して後退し、いわゆるロック状態を解除して、部材受け具20から取り外すことができる。
【0031】
(部材受け具の第2の実施形態)
本実施形態の部材受け具20も、図4に示すように、所定の厚さを有する厚板状の受け具本体21を主体とするものであり、この受け具本体21に凹部22を形成することで、ここに円筒状または円柱状の部材3を挿入することが可能になっている。凹部22の底部は、円筒状または円柱状の部材3の形状に合わせて略半円形とされている。なお、凹部22の底部の形状は、挿入される部材の形状に応じて適宜変更可能である。
【0032】
前記受け具本体21は、図5に示すように、所定の厚さを有する矩形厚板状であり、これを直立される形で運搬台に設置される。前記受け具本体21は、例えばプラスチック製であり、表壁と裏壁とを有し、これら表壁と裏壁の間が中空とされた中空二重壁構造を有している。表壁や裏壁には、リブや孔を配列形成してもよく、これにより強度の向上や軽量化等が図られる。
【0033】
前記受け具本体21に設けられた凹部22の入り口側には、跳ね上げ防止機構としてシャッター板33,34が互いに対向する形で設置されている。これらシャッター板33,34は、前記受け具本体21と0同様、例えばプラスチック製であり、前記受け具本体21の表壁と裏壁の間の中空部分に挿脱可能に取り付けられている。また、その背面側には複数のコイルバネ40が設けられ、シャッター板33,34を閉じる方向(シャッター板33,34間の間隔が狭くなる方向)に弾性的に付勢されている。
【0034】
なお、本実施形態の部材受け具20では、コイルバネ40をシャッター板33,34のそれぞれに2つずつ(5kgf×2)設けているが、これに限らず、コイルバネ40を3以上設けることも可能である。また、受け具本体21に窓部50が形成され、前記コイルバネ40が外部から視認可能とされているが、これに限らず、例えば窓部50は設けなくてもよい。
【0035】
前記シャッター板33,34は、互いに受け具本体21に対して挿脱することで、円筒状または円柱状の部材3が挿入される凹部22を開閉操作する機能を有するが、それぞれの対向面は、傾斜面とされており、跳ね上げ防止機能を確実なものとしている。
【0036】
具体的には、各シャッター板33,34の凹部22の入り口側は、入り口側に向かって傾斜する第1の傾斜面33a,34aとされ、これとは反対側は、凹部22の底部に向かって傾斜する第2の傾斜面33b,34bとされている。したがって、前記シャッター板33,34の互いに対向する部分は、略三角形状を呈している。
【0037】
ここで、前記第1の傾斜面33a,34aの円筒状または円柱状の部材3の挿入方向に対する傾斜角度をα、前記第2の傾斜面33b,34bの円筒状または円柱状の部材3の挿入方向に対する傾斜角度をβとすると、β>αである。すなわち、第1の傾斜面33a,34aの方がなだらかであり、第2の傾斜面33b,34bの方が急峻である。
【0038】
第1の傾斜面33a,34aや第2の傾斜面33b,34bの傾斜角度を前記のような設定とすることにより、円筒状または円柱状の部材3の挿入が円滑に行われるとともに、跳ね上げ防止機能が確実に発揮される。
【0039】
また、前記第1の傾斜面33a,34aの円筒状または円柱状の部材3の挿入方向に対する傾斜角度をα、前記第2の傾斜面33b,34bの円筒状または円柱状の部材3の挿入方向に対する傾斜角度をβの最適範囲としては、10°≦α≦25°、30°≦β≦50°である。
【0040】
角度αが25°を越えると、円筒状または円柱状の部材3を挿入する際の抵抗が強くなり、例えば自重で挿入できなくなるおそれがある。その結果、作業者の工数がアップする等、負担が大きい。逆に、角度αが10°未満であると、シャッター板33,34の上辺33c,34cが受け具本体21の端部21aから飛び出してしまい、円筒状または円柱状の部材3を挿入する際にこの部分が干渉して、円滑な挿入が難しくなるおそれがある。このような干渉が起こらないようにするために、前記シャッター板33,34の上辺33c,34cが飛び出さないようにしようとすると、ラップ量を確保することができなくなってしまう。ラップ量Lは、製品サイズ(受け具本体21のサイズ)やコイルバネ40によるストローク量によって決まり、例えば角度αを小さくしながらラップ量Lを確保しようとすると、前記干渉を回避するためには製品サイズを大きくせざるを得なくなる。
【0041】
一方、角度βは、50°を越えると円筒状または円柱状の部材3を取り外す際の抵抗が強くなり、例えばハンドワークでは取り外せなくなるおそれえがある。逆に、角度βが30°未満であると、円筒状または円柱状の部材3の跳ね上がりを抑制する力が減少し、跳ね上がりを防止できなくなるおそれがあり、また、角度αを10°未満とした場合と同様の不都合が生ずるおそれがある。
【0042】
図6は、部材受け具20への円筒状または円柱状の部材3の装着手順を示す図である。部材受け具20の凹部22に円筒状または円柱状の部材3を挿入し、載置するには、図6(a)に示すように、前記凹部22の入り口側から円筒状または円柱状の部材3を挿入する。すると、円筒状または円柱状の部材3は、シャッター板33,34の入り口側に設けられた第1の傾斜面33a,34aと当接する。
【0043】
このように円筒状または円柱状の部材3がシャッター板33,34の入り口側に設けられた第1の傾斜面33a,34aと当接した時には、第1の傾斜面33a,34aの円筒状または円柱状の部材3の挿入方向に対する傾斜角度αが小さいことから、横方向に加わる力のベクトルが大きくなり、シャッター板33,34は、コイルバネ40の弾性力に抗して速やかに後退する。したがって、円筒状または円柱状の部材3は、図6(b)に示すように、その自重等により速やかに凹部22に挿入される。
【0044】
図6(c)は、円筒状または円柱状の部材3が凹部22の底部(受け部)に載置された状態を示すものである。この状態では、円筒状または円柱状の部材3の上面は、シャッター板33,34の第2の傾斜面33b,34bで抑えられた形になる。第2の傾斜面33b,34bの円筒状または円柱状の部材3の挿入方向に対する傾斜角度βが大きく、横方向に加わる力のベクトルが小さいことから、円筒状または円柱状の部材3の跳ね上がりに対して、シャッター板33,34が簡単に後退することはない。したがって、シャッター板33,34は、円筒状または円柱状の部材3の跳ね上げ防止部材として有効に機能する。
【0045】
なお、円筒状または円柱状の部材3をある程度の力で引き上げれば、シャッター板33,34が後退し、いわゆるロック状態を解除して、部材受け具20から取り外すことができる。
【0046】
前述の構成を有する部材受け具、運搬機構では、円筒状または円柱状の部材3の上面がシャッター板33,34の第2の傾斜面33b,34bで抑えられ、揺れや衝撃が加わった場合にも円筒状や円柱状の部材3が跳ね上がることがない。また、挿入に際しては、シャッター板33,34の第1の傾斜面33a,34aの作用により、円筒状や円柱状の部材を円滑に着脱することが可能である。
【0047】
以上、本発明を適用した実施形態についてを説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
例えば、円筒状または円柱状の部材3の断面形状は真円形に限らず、楕円形や多角形等も含むものとする。
【符号の説明】
【0049】
1 対象物品
2 本体
3 円筒状または円柱状の部材
10 載置台
20 部材受け具
21 受け具本体
22 凹部
23,24 支持片
23a,24a 基端部
23b,24b 円弧面
33,34 シャッター板
33a,34a 第1の傾斜面
33b,34b 第2の傾斜面
33c,34c 上辺
40 コイルバネ
50 窓部
L ラップ量
図1
図2
図3
図4
図5
図6