【解決手段】ビニリデンフルオライド単位を25〜90モル%、ビニリデンフルオライドを除くフッ素含有単量体単位を10〜75モル%及びビニリデンフルオライドと共重合可能なフッ素非含有単量体単位を0〜10モル%含み、かつ、ヨウ素原子及び臭素原子の含有量が0.1質量%以下である含フッ素エラストマー、特定の構造を有する有機過酸化物、及び、共架橋剤を含み、有機過酸化物の配合量が含フッ素エラストマー100質量部に対して0.3〜10質量部であることを特徴とするパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム組成物に関する。
含フッ素エラストマーは、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、及び、その他のフッ素含有単量体からなり、ビニリデンフルオライド単位/ヘキサフルオロプロピレン単位/その他のフッ素含有単量体単位のモル比が(25〜90)/(10〜40)/(0〜50)である請求項1〜2のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
含フッ素エラストマーは、ビニリデンフルオライド及びヘキサフルオロプロピレンのみからなり、ビニリデンフルオライド単位/ヘキサフルオロプロピレン単位のモル比が(25〜90)/(75〜10)である請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
有機過酸化物は、t−ブチルパーオキシベンゾエートまたは2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンである請求項1〜6のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、ビニリデンフルオライド(VdF)単位を25〜90モル%、VdFを除くフッ素含有単量体単位を10〜75モル%及びVdFと共重合可能なフッ素非含有単量体単位を0〜10モル%含み、かつ、ヨウ素原子及び臭素原子の含有量が0.1質量%以下である含フッ素エラストマー、式(1):
【化2】
(式中、Rは、Hまたは炭素数1〜4のアルキル基である)で示される構造を有する有機過酸化物、及び、共架橋剤を含み、
有機過酸化物の配合量が含フッ素エラストマー100質量部に対して0.3〜10質量部であることを特徴とするパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム組成物に関する。
含フッ素エラストマーを過酸化物架橋する場合、含フッ素エラストマーが有するヨウ素原子、臭素原子及び塩素原子、CN基、主鎖または側鎖における炭素−炭素間の不飽和結合を利用して架橋することが一般的であるが、ビニリデンフルオライド(VdF)単位及びVdFを除くフッ素含有単量体単位を特定量含む含フッ素エラストマーを特定の有機過酸化物とともに使用すると、架橋点として機能するヨウ素原子、臭素原子及び塩素原子、CN基、主鎖または側鎖における炭素−炭素間の不飽和結合が存在しなくても、架橋することができる。また組成物中に金属酸化物、金属水酸化物またはオニウム塩を含まなくとも架橋することができる。さらに組成物中に複数の有機過酸化物を配合する必要がなく、1種類の有機過酸化物を配合すれば架橋することができる。
【0018】
上記含フッ素エラストマーは、VdF単位を25〜90モル%、VdFを除くフッ素含有単量体単位を10〜75モル%及びVdFと共重合可能なフッ素非含有単量体単位を0〜10モル%含む。上記含フッ素エラストマーは、VdF単位が、45〜85モル%が好ましく、70〜85モル%がさらに好ましく、75〜82モル%が特に好ましい。
上記含フッ素エラストマーは、VdFを除くフッ素含有単量体単位が15〜55モル%が好ましく、15〜30モル%がさらに好ましく、18〜25モル%が特に好ましい。
また上記含フッ素エラストマーは、VdFと共重合可能なフッ素非含有単量体単位が、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることがさらに好ましく、含まないことが特に好ましい。フッ素非含有単量体単位が10モル%を超えると架橋後の成形体の耐燃料油性が悪化する傾向がある。
さらに上記含フッ素エラストマーは、ガラス転移温度が25℃以下であることが好ましく、5℃以下であることがより好ましく、−10℃以下であることがさらに好ましく、−15℃以下であることが特に好ましい。
上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(メトラー・トレド社製、DSC822e)を用
い、試料(含フッ素エラストマー)10mgを−75℃まで冷却した後、10℃/minで昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線の二次転移前後のベースラインの延長線と、DSC曲線の変曲点における接線との2つの交点の中点を示す温度として求めることができる。
【0019】
そして、上記VdFを除くフッ素含有単量体としてはVdFと共重合可能であれば特に限定されず、たとえば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、一般式(2)
CH
2=CFRf (2)
(式中、Rfは炭素数1〜12の直鎖または分岐したフルオロアルキル基)
で表される含フッ素単量体などが挙げられ、これらの単量体や化合物のなかから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)がより好ましく、特にPMVEが好ましい。
【0021】
また、上記PAVEとしては、式:CF
2=CFOCF
2ORf
c
(式中、Rf
cは、炭素数1〜6の直鎖または分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、又は、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖または分岐状パーフルオロオキシアルキル基である)で表されるパーフルオロビニルエーテルを用いることもできる。例えば、CF
2=CFOCF
2OCF
3、CF
2=CFOCF
2OCF
2CF
3、または、CF
2=CFOCF
2OCF
2CF
2OCF
3を用いることが好ましい。
【0022】
上記式(2)で表される含フッ素単量体としては、Rfが直鎖のフルオロアルキル基である単量体が好ましく、Rfが直鎖のパーフルオロアルキル基である単量体がより好ましい。Rfの炭素数は1〜6であることが好ましい。
上記式(2)で表される含フッ素単量体としては、CH
2=CFCF
3、CH
2=CFCF
2CF
3、CH
2=CFCF
2CF
2CF
3、CH
2=CFCF
2CF
2CF
2CF
3などが挙げられ、なかでも、CH
2=CFCF
3で示される2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンが好ましい。
上記VdFと共重合可能なフッ素非含有単量体としては、特に限定されないがエチレン(Et)及びプロピレン(Pr)及び反応性乳化剤が好ましい。
【0023】
上記含フッ素エラストマーとしては、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/Pr共重合体、VdF/Et/HFP共重合体及びVdF/式(2)で表される含フッ素単量体の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が好ましい。また、VdF以外の他の共重合に用いる単量体(共単量体)として、TFE、HFP、式(2)で表される含フッ素単量体及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種の共単量体を有するものであることがより好ましい。
このなかでも、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体の共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体及びVdF/HFP/TFE/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が好ましく、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体の共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体がより好ましく、VdF/HFP共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体の共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が特に好ましい。
【0024】
また、上記含フッ素エラストマーとしては、VdF、HFP及びその他のフッ素含有単量体からなり、VdF単位/HFP単位/その他のフッ素含有単量体単位のモル比が(25〜90)/(10〜40)/(0〜50)であるものが好ましく、(45〜85)/(10〜35)/(0〜30)であるものがより好ましい。上記のその他のフッ素含有単量体としては、TFE、PMVE、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、PPVE、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、式(2)で表される含フッ素単量体などの上記VdFの共単量体として例示したフッ素含有単量体が好ましく、なかでもTFE、PMVE、式(2)で表される含フッ素単量体であることがより好ましい。
このなかでも、上記含フッ素エラストマーは、VdF及びHFPのみからなるVdF/HFP共重合体であり、VdF単位/HFP単位のモル比が(25〜90)/(75〜10)であるものも好ましく、(45〜85)/(55〜15)であることがより好ましく、更に好ましくは(70〜85)/(30〜15)であり、更により好ましくは(75〜82)/(25〜18)である。
【0025】
VdF/TFE/HFP共重合体は、VdF単位/TFE単位/HFP単位のモル比が(30〜80)/(4〜35)/(10〜35)のものが好ましい。
【0026】
VdF/PAVE共重合体としては、VdF単位/PAVE単位のモル比が(65〜90)/(35〜10)のものが好ましい。
また、VdF単位/PAVE単位のモル比は、(50〜78)/(50〜22)であることも好ましい形態の一つである。
【0027】
VdF/TFE/PAVE共重合体としては、VdF単位/TFE単位/PAVE単位のモル比が(40〜80)/(3〜40)/(15〜35)のものが好ましい。
【0028】
VdF/HFP/PAVE共重合体としては、VdF単位/HFP単位/PAVE単位のモル比が(65〜90)/(3〜25)/(3〜25)のものが好ましい。
【0029】
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体としては、VdF単位/HFP単位/TFE単位/PAVE単位のモル比が(40〜90)/(0〜25)/(0〜40)/(3〜35)のものが好ましく、(40〜80)/(3〜25)/(3〜40)/(3〜25)のものがより好ましい。
【0030】
VdF/式(2)で表される含フッ素単量体(2)共重合体としては、VdF単位/含フッ素単量体(2)単位のモル比が(25〜85)/(75〜15)であり、VdFおよび含フッ素単量体(2)以外の他の単量体単位が全単量体単位の0〜50モル%のものが好ましく、VdF単位/含フッ素単量体(2)単位のモル比が(25〜80)/(75〜20)であることがより好ましい。また、VdF単位/含フッ素単量体(2)単位のモル比は、(50〜78)/(50〜22)であることも好ましい形態の一つである。
またVdF単位/含フッ素単量体(2)単位のモル比が(50〜85)/(50〜15)であり、VdFおよび含フッ素単量体(2)以外の他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%であるものも好ましい。VdFおよび含フッ素単量体(2)以外の他の単量体としては、TFE、HFP、PMVE、PEVE、PPVE、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、Et、Pr、アルキルビニルエーテル、および反応性乳化剤などの上記VdFの共単量体として例示した単量体が好ましく、なかでもPMVE、HFP、TFEであることがより好ましい。
【0031】
本発明のフッ素ゴム組成物の補強性、及び、フッ素ゴム組成物から得られる成形品の高温時の耐久性をより効果的に高める観点から、上記含フッ素エラストマーは、VdF単位と、HFP単位、式(2)で表される含フッ素単量体に基づく重合単位又はPAVE単位と、のみからなる2元共重合体であることが好ましい。すなわち、VdF/HFP共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体の共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることが好ましい。
また、含フッ素共重合体は、VdF/HFP共重合体、VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることがより好ましく、VdF/HFP共重合体及びVdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることが特に好ましい。
【0032】
本発明のフッ素ゴム組成物から得られる成形品が、より高温時の引張特性に優れたものとなる点から、上記含フッ素エラストマーは、VdF単位と、HFP、2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位(以下、「構造単位(a)」という。)とを有し、VdF単位/構造単位(a)(モル比)が(50〜90)/(50〜10)である共重合体であってもよい。VdF単位/構造単位(a)(モル比)としては、(52〜85)/(48〜15)が好ましく、(25〜55)/(75〜45)がより好ましい。
上記含フッ素エラストマーは、上記VdF単位と、構造単位(a)と、VdF単位及び構造単位(a)以外のその他の単量体に由来する構造単位を含むものであってもよく、その含有量は、全構造単位100モル%に対し、0〜40モル%であることが好ましく、0〜30モル%であることがより好ましく、0〜20モル%であることが更に好ましく、0〜10モル%であることが特に好ましい。
上記共重合体は、その他の単量体に由来する構造単位を含むものであってもよいが、その他の単量体に由来する構造単位を含まない2元共重合体であることが好ましく、VdF/HFP共重合体、VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることが好ましく、VdF/HFP共重合体及びVdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることがより好ましい。
【0033】
上記含フッ素エラストマーは、ヨウ素原子及び臭素原子の含有量が0.1質量%以下であるが、0.01質量%以下が好ましく、0.001質量%以下がより好ましく、0.0005質量%以下がさらに好ましく、含まないことが特に好ましい。なお、上記ヨウ素原子及び臭素原子の含有量は、ヨウ素原子の含有量と臭素原子の含有量の合計である。また上記含フッ素エラストマーは、塩素原子の含有量が0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましく、0.005質量%以下が特に好ましい。
上記含フッ素エラストマーのヨウ素または臭素の含有量の測定方法は、例えば試料(含フッ素エラストマー)を燃焼させ、発生するガスを捕集用の液に吸収させ、蛍光X線分析法を用いて定量分析する方法を用いることができる。またヨウ素含有量の測定方法には、例えば、試料(含フッ素エラストマー)12mgにNa
2SO
3を5mg混ぜ、純水20mlにNa
2CO
3とK
2CO
3とを1対1(質量比)で混合したものを30mg溶解した吸収液を用い、石英製の燃焼フラスコ中、酸素中で燃焼させ、30分放置後、島津20Aイオンクロマトグラフを用い測定することができる。
過酸化物架橋させる場合の架橋性官能基としては、ビスオレフィン化合物由来の炭素−炭素間の不飽和結合(芳香族性を有するものを除く)及びCN基などが挙げられる。上記含フッ素エラストマーは、ビスオレフィン化合物単量体単位の含有量が、含フッ素エラストマーを構成する全単量体単位中、0.1モル%以下が好ましく、0.01モル%以下がより好ましく、0.005モル%以下がさらに好ましく、含まないことが特に好ましい。
さらに上記含フッ素エラストマーは、CN基を有する単量体単位の含有量が、含フッ素エラストマーを構成する全単量体単位中、0.1モル%以下が好ましく、0.01モル%以下がより好ましく、0.005モル%以下がさらに好ましく、含まないことが特に好ましい。
上記含フッ素エラストマーはこれらの架橋性官能基を含む必要もないため、熱老化特性に優れる。また、耐燃料油性及び耐酸性にも優れる。上記含フッ素エラストマーは、高価なヨウ素含有単量体単位、臭素含有単量体単位、塩素含有単量体単位、CN基含有単量体単位またはビスオレフィン化合物単量体単位も含む必要もなく、含フッ素エラストマーを製造する際にヨウ素または臭素化合物の高価な連鎖移動剤も必要がなく、また炭素−炭素間の不飽和結合を生じさせるような煩雑な処理も必要がないため、価格が低く抑えられる。
【0034】
上記ヨウ素含有単量体臭素含有単量体、塩素含有単量体又はCN基含有単量体としては、
一般式(3):
CY
12=CY
2R
f2X
1 (3)
(式中、Y
1、Y
2はフッ素原子、水素原子または−CH
3;R
f2は1個以上のエーテル結合性酸素原子を有していてもよく、芳香環を有していてもよい、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基;X
1はヨウ素原子、臭素原子、塩素原子またはCN基)
で示される化合物及びクロロトリフルオロエチレン(CTFE)が挙げられる。具体的には、たとえば、一般式(4):
CY
12=CY
2R
f3CHR
1−X
1 (4)
(式中、Y
1、Y
2、X
1は上記同様であり、R
f3は1個以上のエーテル結合性酸素原子を有していてもよく水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基、すなわち水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素オキシアルキレン基、または水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素ポリオキシアルキレン基;R
1は水素原子またはメチル基)
で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体、塩素含有単量体及びCN基含有単量体、
一般式(5)〜(22):
CY
42=CY
4(CF
2)
n−X
1 (5)
(式中、Y
4は、同一又は異なり、水素原子またはフッ素原子、nは1〜8の整数)
CF
2=CFCF
2R
f4−X
1 (6)
(式中、
【化3】
であり、nは0〜5の整数)
CF
2=CFCF
2(OCF(CF
3)CF
2)
m
(OCH
2CF
2CF
2)
nOCH
2CF
2−X
1 (7)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF
2=CFCF
2(OCH
2CF
2CF
2)
m
(OCF(CF
3)CF
2)
nOCF(CF
3)−X
1 (8)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF
2=CF(OCF
2CF(CF
3))
mO(CF
2)
n−X
1 (9)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数)
CF
2=CF(OCF
2CF(CF
3))
m−X
1 (10)
(式中、mは1〜5の整数)
CF
2=CFOCF
2(CF(CF
3)OCF
2)
nCF(−X
1)CF
3 (11)
(式中、nは1〜4の整数)
CF
2=CFO(CF
2)
nOCF(CF
3)−X
1 (12)
(式中、nは2〜5の整数)
CF
2=CFO(CF
2)
n−(C
6H
4)−X
1 (13)
(式中、nは1〜6の整数)
CF
2=CF(OCF
2CF(CF
3))
nOCF
2CF(CF
3)−X
1 (14)
(式中、nは1〜2の整数)
CH
2=CFCF
2O(CF(CF
3)CF
2O)
nCF(CF
3)−X
1 (15)
(式中、nは0〜5の整数)、
CF
2=CFO(CF
2CF(CF
3)O)
m(CF
2)
n−X
1 (16)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数)
CH
2=CFCF
2OCF(CF
3)OCF(CF
3)−X
1 (17)
CH
2=CFCF
2OCH
2CF
2−X
1 (18)
CF
2=CFO(CF
2CF(CF
3)O)
mCF
2CF(CF
3)−X
1 (19)
(式中、mは0以上の整数)
CF
2=CFOCF(CF
3)CF
2O(CF
2)
n−X
1 (20)
(式中、nは1以上の整数)
CF
2=CFOCF
2OCF
2CF(CF
3)OCF
2−X
1 (21)
CH
2=CH−(CF
2)
nX
1 (22)
(式中、nは2〜8の整数)
(一般式(5)〜(22)中、X
1は上記と同様)
で表されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体、塩素含有単量体、CN基含有単量体などが挙げられる。
【0035】
一般式(4)で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体、塩素含有単量体又はCN基含有単量体としては、一般式(23):
【化4】
(式中、mは1〜5の整数であり、nは0〜3の整数)
で表されるヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルが挙げられ、より具体的には、
【化5】
などが挙げられる。
【0036】
一般式(5)で示されるヨウ素含有単量体または臭素含有単量体としてより具体的には、ICF
2CF
2CF=CH
2、I(CF
2CF
2)
2CF=CH
2が挙げられる。
【0037】
一般式(9)で示されるヨウ素含有単量体または臭素含有単量体としてより具体的には、I(CF
2CF
2)
2OCF=CF
2が挙げられる。
【0038】
一般式(22)で示されるヨウ素含有単量体または臭素含有単量体としてより具体的には、CH
2=CHCF
2CF
2I、I(CF
2CF
2)
2CH=CH
2が挙げられる。
【0039】
また上記ビスオレフィン化合物単量体としては、一般式:
CR
2R
3=CR
4−Z−CR
5=CR
6R
7
(式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7、は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Zは、直鎖又は分岐状で酸素原子を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数3〜18のシクロアルキレン基、少なくとも部分的にフッ素化している炭素数1〜10のアルキレン若しくはオキシアルキレン基、又は、
−(Q)
p−CF
2O−(CF
2CF
2O)
m(CF
2O)
n−CF
2−(Q)
p−
(式中、Qはアルキレンまたはオキシアルキレン基である。pは0または1である。m/nが0.2〜5である。)で表され、分子量が500〜10000である(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である。)で表される単量体等が挙げられる。
【0040】
上記一般式:
CR
2R
3=CR
4−Z−CR
5=CR
6R
7
で表される化合物単量体としては、例えば、CH
2=CH−(CF
2)
2−CH=CH
2、CH
2=CH−(CF
2)
4−CH=CH
2、CH
2=CH−(CF
2)
6−CH=CH
2、下記式:
CH
2=CH−Z
1−CH=CH
2
(式中、Z
1は、−CH
2OCH
2−CF
2O−(CF
2CF
2O)
m1(CF
2O)
n1−CF
2−CH
2OCH
2−で表されるフルオロポリオキシアルキレン基であり、m1/n1は0.5であり、分子量は2000である。)で表される単量体等が挙げられる。
【0041】
上記連鎖移動剤としては、一般式:
R
2I
xBr
y
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、R
2は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物があげられる。
ヨウ素化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、2−ヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CF
2Br
2、BrCF
2CF
2Br、CF
3CFBrCF
2Br、CFClBr
2、BrCF
2CFClBr、CFBrClCFClBr、BrCF
2CF
2CF
2Br、BrCF
2CFBrOCF
3、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられる。
上記含フッ素エラストマーは、成形性の観点から、121℃におけるムーニー粘度ML1+10が65以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましく、80以上であることが更に好ましく、90以上であることが特に好ましい。また、160以下であることが好ましく、140以下であることがより好ましい。121℃におけるムーニー粘度ML1+10は、ASTM D1646−15およびJIS K6300−1:2013に準拠して測定する。ムーニー粘度ML1+10が65未満であると架橋密度が低くなり、成形できなくなる傾向がある。またムーニー粘度ML1+10が160を超えると加工性が悪くなりすぎる傾向がある。
【0042】
以上説明した含フッ素エラストマーは、乳化重合、懸濁重合、溶液重合などの常法により製造することができる。上記含フッ素エラストマーの重合においては、連鎖移動剤を用いてもよい。上記連鎖移動剤としては、たとえばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類のほか、イソペンタン、メタン、エタン、プロパン、2−プロパノール、アセトン、各種メルカプタン、四塩化炭素、シクロヘキサンなどがあげられる。上記含フッ素エラストマーは、ヨウ素(臭素)移動重合として知られるヨウ素(臭素)化合物を使用した重合法を用いずに、製造することができる。
【0043】
本発明のフッ素ゴム組成物は、式(1):
【化6】
(式中、Rは、H、または炭素数1〜4のアルキル基である)で示される構造を有する有機過酸化物を含む。
【0044】
本発明のフッ素ゴム組成物は、上記有機過酸化物を含むため、上記含フッ素エラストマーが架橋点を有していなくても架橋することができる。
【0045】
上記Rは、H、またはメチル基が好ましい。
【0046】
上記有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらの中でも、架橋後の成形品の物性が良好であることからt−ブチルパーオキシベンゾエートまたは2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンが好ましく、t−ブチルパーオキシベンゾエートがより好ましい。
【0047】
有機過酸化物の配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、0.3〜10質量部である。有機過酸化物の配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、0.5〜6.0質量部が好ましく、0.7〜5.0質量部がより好ましく、0.8〜2.5質量部がさらに好ましい。有機過酸化物が、0.3質量部より少ないと、含フッ素エラストマーの架橋が充分に進行しない傾向があり、10質量部を超えると、架橋時のガス発生量が増えるために成形不良が起きたり、架橋後の物性のバランスが低下したりする傾向がある。また上記有機過酸化物を上記フッ素ゴム組成物中に配合する際には不活性無機粉体などに含浸させてよい。
複数の有機過酸化物を併用しても良いが、架橋後の成形品の物性が良好であることから単独で配合することが好ましい。
【0048】
本発明のフッ素ゴム組成物は、共架橋剤を含む。
上記共架橋剤としては、たとえば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどが挙げられる。これらの中でも、架橋性、成形品の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
【0049】
共架橋剤としてはまた、低自己重合性架橋促進剤を用いることもできる。低自己重合性架橋促進剤は、共架橋剤としてよく知られているトリアリルイソシアヌレート(TAIC)とは異なり、自己重合性が低い化合物をいう。
【0050】
低自己重合性架橋促進剤としては、たとえば、
【化7】
で示されるトリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)、
【化8】
で示されるp−キノンジオキシム(p−quinonedioxime)、
【化9】
で示されるp,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム(p,p’−dibenzoylquinonedioxime)、
【化10】
で示されるマレイミド、
【化11】
で示されるN−フェニレンマレイミド、
【化12】
で示されるN,N’−フェニレンビスマレイミドなどがあげられる。
【0051】
好ましい低自己重合性架橋促進剤は、トリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)である。
【0052】
共架橋剤としてはまた、ビスオレフィンを用いることもできる。
【0053】
共架橋剤として使用できるビスオレフィンとしては、例えば、式:
R
2R
3C=CR
4−Z−CR
5=CR
6R
7
(式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は同じかまたは異なり、いずれもH、または炭素数1〜5のアルキル基;Zは、線状(直鎖状)もしくは分岐状の、酸素原子を含んでいてもよい、少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、または(パー)フルオロポリオキシアルキレン基)で示されるビスオレフィンが挙げられる。
【0054】
Zは好ましくは炭素数4〜12のパーフルオロアルキレン基であり、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は好ましくは水素原子である。
【0055】
Zが(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である場合、
−(Q)
p−CF
2O−(CF
2CF
2O)
m−(CF
2O)
n−CF
2−(Q)
p−
(式中、Qは炭素数1〜10のアルキレンまたはオキシアルキレン基であり、pは0または1であり、m及びnはm/n比が0.2〜5となり且つ該(パー)フルオロポリオキシアルキレン基の分子量が500〜10000、好ましくは1000〜4000の範囲となるような整数である。)で表される(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であることが好ましい。この式において、Qは好ましくは、−CH
2OCH
2−及び−CH
2O(CH
2CH
2O)
sCH
2−(s=1〜3)の中から選ばれる。
【0056】
好ましいビスオレフィンとしては、
CH
2=CH−(CF
2)
4−CH=CH
2、
CH
2=CH−(CF
2)
6−CH=CH
2、
式:CH
2=CH−Z
1−CH=CH
2
(式中、Z
1は−CH
2OCH
2−CF
2O−(CF
2CF
2O)
m−(CF
2O)
n−CF
2−CH
2OCH
2−(m/nは0.5))
などがあげられる。
【0057】
なかでも、CH
2=CH−(CF
2)
6−CH=CH
2で示される3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロ−1,9−デカジエンが好ましい。
【0058】
また、共架橋剤の配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1.0〜6.0質量部が更に好ましく、1.5〜6.0質量部がさらにより好ましく、2.0〜5.0質量部が特に好ましい。共架橋剤が、0.3質量部より少ないと、アンダーキュアとなる傾向があり、10質量部を超えると、架橋後の物性バランスが低下する傾向がある。また上記共架橋剤を上記フッ素ゴム組成物中に配合する際には不活性無機粉体などに含浸させてよい。
【0059】
本発明のフッ素ゴム組成物は、金属酸化物、金属水酸化物またはハイドロタルサイト類のような受酸剤を含まなくても架橋することができる。受酸剤は本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよいが、その配合量は、架橋後の成形品の耐酸性の観点からは少ない方が好ましい。上記フッ素ゴム組成物における金属酸化物及び金属水酸化物の配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、0〜10.0質量部が好ましく、0〜3.0質量部がより好ましく、0〜1.0質量部がさらに好ましく、0〜0.5質量部がよりさらに好ましく、含まないことが特に好ましい。金属酸化物及び金属水酸化物の配合量が10.0質量部を超えると、架橋後の成形品の耐酸性が著しく悪化する傾向がある。なお、上記金属酸化物及び金属水酸化物の配合量は、金属酸化物の配合量と金属水酸化物の配合量の合計である。
【0060】
上記金属酸化物としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化バリウムなどが挙げられる。上記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
【0061】
また上記フッ素ゴム組成物におけるハイドロタルサイト類の配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、0〜10.0質量部が好ましく、0〜5.0質量部がより好ましく、0〜3.0質量部がさらに好ましく、0〜1.0質量部がよりさらに好ましく、含まないことが特に好ましい。ハイドロタルサイト類の配合量が10.0質量部を超えると、架橋後の成形品の耐酸性が著しく悪化する傾向がある。
【0062】
本発明のフッ素ゴム組成物は、4級有機ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩などのオニウム塩を含まなくても架橋することができる。オニウム塩は本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよいが、その配合量は、架橋後の成形品のシール性の観点からは少ない方が好ましい。オニウム塩の配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、0.1質量部以下が好ましく、含まないことがより好ましい。
【0063】
本発明のフッ素ゴム組成物には、必要に応じて通常のゴム配合物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、粘着付与剤、接着助剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンなどの他の重合体などを本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
【0064】
充填剤としては、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、シリカ、セライト、クレーなどが例示できる。また、これらは、後述する混練方法で、どの工程で添加するかは任意であるが、密閉式混練機やロール練り機で混練する際に添加するのが好ましい。
このうち、架橋後の成形品の物性が良好であるため、カーボンブラックが好ましい。上記カーボンブラックとしては、特に限定されないがMTカーボンなどのサーマルブラック、SRFカーボンやMAFカーボンなどのファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、瀝青炭などが挙げられる。中でも架橋後の物性が良好であることから、MTカーボンが好ましい。カーボンブラックなどの充填剤の配合量としては、特に限定されるものではないが、含フッ素エラストマー100質量部に対して0〜150質量部であることが好ましく、1〜100質量部であることがより好ましく、2〜50質量部であることが更に好ましい。
【0065】
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル;カルナバワックスなどの動植物由来のワックス;セレシンワックスなどの鉱物由来のワックス;パラフィンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、界面活性剤、スルホン化合物、フッ素系助剤、有機アミン化合物などが例示できる。
【0066】
本発明のフッ素ゴム組成物は、含フッ素エラストマー、有機過酸化物、及び、共架橋剤、並びに、必要に応じて充填剤などのその他配合剤を、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りすることにより得られる。ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機などを用いることができる。
【0067】
また、上記フッ素ゴム組成物を架橋する方法としては、プレス架橋、スチーム架橋、オーブン架橋など通常用いられている方法はもちろんのこと、常圧、加圧、減圧下においても、また、空気中においても、どのような条件下においても架橋反応を行うことができる。架橋条件としては、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよいが、通常、130〜230℃の温度で、1分〜24時間加熱を行う。プレス架橋、スチーム架橋の場合、130〜230℃の温度で行うことが好ましく、架橋時間は、少なくとも架橋時間T90の時間まで行えばよいが、例えば1分〜3時間である。その後(プレス架橋又はスチーム架橋を行った後)のオーブン架橋の場合、150〜250℃の温度で行うことが好ましく、架橋時間は例えば、1〜48時間であることが好ましいが、必ずしもオーブン架橋は必要なものではない。
【0068】
また、本発明は、上記フッ素ゴム組成物を架橋して得られる成形品に関する。本発明の成形品は、本発明のフッ素ゴム組成物を成形し、得られた成形品を架橋することにより製造することもできるし、成形と架橋とを同時に行うことによって製造することもできる。また、架橋性組成物を塗装し、架橋することによって、塗膜として得ることもできる。
【0069】
成形方法は、特に限定されず、例えば、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、射出成形等が挙げられる。
【0070】
上記フッ素ゴム組成物、及び上記フッ素ゴム組成物を架橋して得られる成形品中のヨウ素または臭素の含有量の測定方法は、例えば試料(フッ素ゴム組成物、またはフッ素ゴム組成物を架橋して得られる成形品)を燃焼させ、発生するガスを捕集用の液に吸収させ、蛍光X線分析法を用いて定量分析する方法を用いることができる。またヨウ素含有量の測定方法には、例えば、試料12mgにNa
2SO
3を5mg混ぜ、純水20mlにNa
2CO
3とK
2CO
3とを1対1(質量比)で混合したものを30mg溶解した吸収液を用い、石英製の燃焼フラスコ中、酸素中で燃焼させ、30分放置後、島津20Aイオンクロマトグラフを用い測定することができる。
【0071】
上記フッ素ゴム組成物、及び上記フッ素ゴム組成物を架橋して得られる成形品のガラス転移温度は、示差走査熱量計(メトラー・トレド社製、DSC822e)を用い、試料(フッ素ゴム組成物、またはフッ素ゴム組成物を架橋して得られる成形品)10mgを−75℃まで冷却した後、10℃/minで昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線の二次転移前後のベースラインの延長線と、DSC曲線の変曲点における接線との2つの交点の中点を示す温度として求めることができる。
【0072】
本発明の成形品は、安価で優れた熱老化特性を有しているため、自動車産業、航空機産業、半導体産業等の各分野において各種部品として使用することができる。
用いられる分野としては例えば、半導体関連分野、自動車分野、航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野、化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野、現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野、分析機器、計器等の分析・理化学機械分野、食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野、飲料食品製造装置分野、医薬品製造装置分野、医療部品分野、化学薬品輸送用機器分野、原子力プラント機器分野、鉄板加工設備等の鉄鋼分野、一般工業分野、電気分野、燃料電池分野、電子部品分野、光学機器部品分野、宇宙用機器部品分野、石油化学プラント機器分野、石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野、石油精製分野、石油輸送機器部品分野などが挙げられる。
【0073】
本発明の成形品の使用形態としては、例えば、リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップ及びフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシール等の各種シール材やパッキンなどが挙げられる。シール材としては、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、非粘着性が要求される用途に用いることができる。
また、チューブ、ホース、ロール、各種ゴムロール、フレキシブルジョイント、ゴム板、コーティング、ベルト、ダンパー、バルブ、バルブシート、バルブの弁体、耐薬品用コーティング材料、ラミネート用材料、ライニング用材料などとしても使用できる。
なお、上記リング、パッキン、シールの断面形状は、種々の形状のものであってよく、具体的には、例えば、四角、O字、へルールなどの形状であってもよいし、D字、L字、T字、V字、X字、Y字などの異形状であってもよい。
【0074】
上記半導体関連分野においては、例えば、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマディスプレイパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル製造装置、有機ELパネル製造装置、フィールドエミッションディスプレイパネル製造装置、太陽電池基板製造装置、半導体搬送装置等に用いることができる。そのような装置としては、例えば、CVD装置、半導体用ガス制御装置等のガス制御装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、プラズマエッチング装置、反応性イオンエッチング装置、反応性イオンビームエッチング装置、スパッタエッチング装置、イオンビームエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、プラズマアッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、プラズマCVD装置、排気装置、露光装置、研磨装置、成膜装置、乾式エッチング洗浄装置、UV/O
3洗浄装置、イオンビーム洗浄装置、レーザービーム洗浄装置、プラズマ洗浄装置、ガスエッチング洗浄装置、抽出洗浄装置、ソックスレー抽出洗浄装置、高温高圧抽出洗浄装置、マイクロウェーブ抽出洗浄装置、超臨界抽出洗浄装置、フッ酸、塩酸、硫酸、オゾン水等を用いる洗浄装置、ステッパー、コータ・デベロッパー、CMP装置、エキシマレーザー露光機、薬液配管、ガス配管、NF
3プラズマ処理、O
2プラズマ処理、フッ素プラズマ処理等のプラズマ処理が行われる装置、熱処理成膜装置、ウエハ搬送機器、ウエハ洗浄装置、シリコンウエハ洗浄装置、シリコンウエハ処理装置、LP−CVD工程に用いられる装置、ランプアニーリング工程に用いられる装置、リフロー工程に用いられる装置などが挙げられる。
【0075】
半導体関連分野における具体的な使用形態としては、例えば、ゲートバルブ、クォーツウィンドウ、チャンバー、チャンバーリット、ゲート、ベルジャー、カップリング、ポンプのO−リングやガスケット等の各種シール材;レジスト現像液や剥離液用のO−リング等の各種シール材、ホースやチューブ;レジスト現像液槽、剥離液槽、ウエハ洗浄液槽、ウェットエッチング槽のライニングやコーティング;ポンプのダイアフラム;ウエハ搬送用のロール;ウエハ洗浄液用のホースチューブ;クリーンルーム等のクリーン設備用シーラントといったクリーン設備用シール材;半導体製造装置やウエハ等のデバイスを保管する保管庫用のシーリング材;半導体を製造する工程で用いられる薬液移送用ダイアフラムなどが挙げられる。
【0076】
上記自動車分野においては、エンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系、駆動系のトランスミッション系、シャーシのステアリング系、ブレーキ系や、基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品等の電装部品などに用いることができる。なお、上記自動車分野には、自動二輪車も含まれる。
上述のようなエンジン本体やその周辺装置では、耐熱性、耐油性、燃料油耐性、エンジン冷却用不凍液耐性、耐スチーム性が要求される各種シール材に本発明の成形品を用いることができ、そのようなシール材としては、例えば、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール等のシールや、セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシール等の非接触型又は接触型のパッキン類、ベローズ、ダイアフラム、ホース、チューブの他、電線、緩衝材、防振材、ベルトAT装置に用いられる各種シール材などが挙げられる。
【0077】
上記燃料系における具体的な使用形態としては、燃料インジェクター、コールドスタートインジェクター、燃料ラインのクイックコネクター、センダー・フランジ・クイックコネクター、燃料ポンプ、燃料タンク・クイック・コネクター、ガソリン混合ポンプ、ガソリンポンプ、燃料チューブのチューブ本体、燃料チューブのコネクター、インジェクター等に用いられるO−リング;呼気系マニホールド、燃料フィルター、圧力調整弁、キャニスター、燃料タンクのキャップ、燃料ポンプ、燃料タンク、燃料タンクのセンダーユニット、燃料噴射装置、燃料高圧ポンプ、燃料ラインコネクターシステム、ポンプタイミングコントロールバルブ、サクションコントロールバルブ、ソレノイドサブアッシー、フューエルカットバルブ等に用いられるシール;キャニスタ・パージ・ソレノイド・バルブシール、オンボード・リフューエリング・ベイパー・リカバリー(ORVR)バルブシール、燃料ポンプ用のオイルシール、フューエルセンダーシール、燃料タンクロールオーバー・バルブシール、フィラーシール、インジェクターシール、フィラーキャップシール、フィラーキャップバルブのシール;燃料ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホース、ベント(ブリーザー)ホース、フィラーホース、フィラーネックホース、燃料タンク内のホース(インタンクホース)、キャブレターのコントロールホース、フューエルインレットホース、フューエルブリーザホース等のホース;燃料フィルター、燃料ラインコネクターシステム等に用いられるガスケットや、キャブレター等に用いられるフランジガスケット;蒸気回収ライン、フューエルフィードライン、ベーパー・ORVRライン等のライン材;キャニスター、ORVR、燃料ポンプ、燃料タンク圧力センサー、ガソリンポンプ、キャブレターのセンサー、複合空気制御装置(CAC)、パルセーションダンパー、キャニスター用、オートコック等に用いられるダイアフラムや、燃料噴射装置のプレッシャーレギュレーターダイアフラム;燃料ポンプ用のバルブ、キャブレーターニードルバルブ、ロールオーバーチェックバルブ、チェックバルブ類;ベント(ブリーザー)、燃料タンク内に用いられるチューブ;燃料タンク等のタンクパッキン、キャブレターの加速ポンプピストンのパッキン;燃料タンク用のフューエルセンダー防振部品;燃料圧力を制御するためのO−リングや、ダイアフラム;アクセレレータ・ポンプ・カップ;インタンクフューエルポンプマウント;燃料噴射装置のインジェクタークッションリング;インジェクターシールリング;キャブレターのニードルバルブ芯弁;キャブレターの加速ポンプピストン;複合空気制御装置(CAC)のバルブシート;フューエルタンク本体;ソレノイドバルブ用シール部品などが挙げられる。
【0078】
上記ブレーキ系における具体的な使用形態としては、マスターバック、油圧ブレーキホースエアーブレーキ、エアーブレーキのブレーキチャンバー等に用いられるダイアフラム;ブレーキホース、ブレーキオイルホース、バキュームブレーキホース等に用いられるホース;オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキピストンシール等の各種シール材;マスターバック用の大気弁や真空弁、ブレーキバルブ用のチェック弁;マスターシリンダー用のピストンカップ(ゴムカップ)や、ブレーキカップ;油圧ブレーキのマスターシリンダーやバキュームブースター、油圧ブレーキのホイールシリンダー用のブーツ、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)用のO−リングやグロメットなどが挙げられる。
【0079】
上記基本電装部品における具体的な使用形態としては、電線(ハーネス)の絶縁体やシース、ハーネス外装部品のチューブ、コネクター用のグロメットなどが挙げられる。
制御系電装部品における具体的な使用形態としては、各種センサー線の被覆材料などが挙げられる。
上記装備電装部品における具体的な使用形態としては、カーエアコンのO−リング、パッキンや、クーラーホース、高圧エアコンホース、エアコンホース、電子スロットルユニット用ガスケット、ダイレクトイグニッション用プラグブーツ、ディストリビューター用ダイアフラムなどが挙げられる。また、電装部品の接着にも用いることができる。
【0080】
上記吸気・排気系における具体的な使用形態としては、吸気マニホールド、排気マニホールド等に用いられるパッキンや、スロットルのスロットルボディパッキン;EGR(排気再循環)、押圧コントロール(BPT)、ウエストゲート、ターボウエストゲート、アクチュエーター、バリアブル・タービン・ジオメトリー(VTG)ターボのアクチュエーター、排気浄化バルブ等に用いられるダイアフラム;EGR(排気再循環)のコントロールホース、エミッションコントロールホース、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、ターボチャージャーホース、インタークーラーを備えたターボエンジンのコンプレッサーと接続されるホース、排気ガスホース、エアインテークホース、ターボホース、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)センサーホース等のホース;エアダクトやターボエアダクト;インテークマニホールドガスケット;EGRのシール材、ABバルブのアフターバーン防止バルブシート、(ターボチャージャーなどの)タービンシャフトシールや、自動車のエンジンにおいて使用されるロッカーカバーや空気吸い込みマニホールドなどの溝部品に用いられるシール部材などが挙げられる。
【0081】
その他、排出ガス制御部品において、蒸気回収キャニスター、触媒式転化装置、排出ガスセンサー、酸素センサー等に用いられるシールや、蒸気回収および蒸気キャニスターのソレノイド・アーマチュアのシール;吸気系マニホールドガスケットなどとして用いることができる。
また、ディーゼルエンジンに関する部品において、直噴インジェクター用のO−リングシール、回転ポンプシール、制御ダイアフラム、燃料ホース、EGR,プライミングポンプ,ブーストコンペンセーターのダイアフラムなどとして用いることができる。また、尿素SCRシステムに用いられるO−リング、シール材、ホース、チューブ、ダイアフラムや、尿素SCRシステムの尿素水タンク本体、および尿素水タンクのシール材などにも用いることができる。
【0082】
上記トランスミッション系における具体的な使用形態としては、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホースなどが挙げられる。
ミッションオイルシールや、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類なども挙げられる。
なお、トランスミッションには、AT(オートマチック・トランスミッション)、MT(マニュアル・トランスミッション)、CVT(連続可変トランスミッション)、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)などがある。
また、手動または自動変速機用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンや、無段変速機(ベルト式またはトロイダル式)用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンの他、ATFリニアソレノイド用パッキング、手動変速機用オイルホース、自動変速機用ATFホース、無断変速機(ベルト式またはトロイダル式)用CVTFホースなども挙げられる。
ステアリング系における具体的な使用形態としては、パワーステアリングオイルホースや高圧パワーステアリングホースなどが挙げられる。
【0083】
自動車エンジンのエンジン本体において用いられる形態としては、例えば、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール、コントロールホースなどのホース、エンジンマウントの防振ゴム、コントロールバルブダイアフラム、カムシャフトオイルシールなどが挙げられる。
自動車エンジンの主運動系においては、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなどに用いることができる。
自動車エンジンの動弁系においては、エンジンバルブのバルブステムオイルシール、バタフライバルブのバルブシートなどに用いることができる。
自動車エンジンの潤滑・冷却系においては、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケットや、ラジエータ周辺のウォーターホース、ラジエータのシール、ラジエータのガスケット、ラジエータのO−リング、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホースなどの他、ラジエーターホース、ラジエータータンク、オイルプレッシャー用ダイアフラム、ファンカップリングシールなどに用いることができる。
【0084】
このように、自動車分野における使用の具体例の一例としては、エンジンヘッドガスケット、オイルパンガスケット、マニホールドパッキン、酸素センサー用シール、酸素センサーブッシュ、酸化窒素(NOx)センサー用シール、酸化窒素(NOx)センサーブッシュ、酸化硫黄センサー用シール、温度センサー用シール、温度センサーブッシュ、ディーゼルパーティクルフィルターセンサー用シール、ディーゼルパーティクルフィルターセンサーブッシュ、インジェクターO−リング、インジェクターパッキン、燃料ポンプのO−リングやダイアフラム、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、スタティックバルブステムシール、ダイナミックバルブステムシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達装置のO−リングやオイルシール、排ガス再燃焼装置のシールやベアリングシール、再燃焼装置用ホース、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部、マフラーハンガー、サスペンションブッシュ、センターベアリング、ストラットバンパーラバー等)、サスペンション用防振ゴム(ストラットマウント、ブッシュ等)、駆動系防振ゴム(ダンパー等)、燃料ホース、EGRのチューブやホース、ツインキャブチューブ、キャブレターのニードルバルブの芯弁、キャブレターのフランジガスケット、オイルホース、オイルクーラーホース、ATFホース、シリンダーヘッドガスケット、水ポンプシール、ギアボックスシール、ニードルバルブチップ、オートバイ用リードバルブのリード、自動車エンジンのオイルシール、ガソリンホースガンのシール、カーエアコン用シール、エンジンのインタークーラー用ゴムホース、送油経路コネクター装置(fuel line connector systems)のシール、CACバルブ、ニードルチップ、エンジン回り電線、フィラーホース、カーエアコンO−リング、インテークガスケット、燃料タンク材料、ディストリビューター用ダイアフラム、ウォーターホース、クラッチホース、PSホース、ATホース、マスターバックホース、ヒーターホース、エアコンホース、ベンチレーションホース、オイルフィラーキャップ、PSラックシール、ラック&ピニオンブーツ、CVJブーツ、ボールジョイントダストカバー、ストラットダストカバー、ウェザーストリップ、グラスラン、センターユニットパッキン、ボディーサイトウェルト、バンパーラバー、ドアラッチ、ダッシュインシュレーター、ハイテンションコード、平ベルト、ポリVベルト、タイミングベルト、歯付きベルト、Vリブドベルト、タイヤ、ワイパーブレード、LPG車レギュレータ用ダイアフラムやプランジャー、CNG車レギュレータ用ダイアフラムやバルブ、DME対応ゴム部品、オートテンショナのダイアフラムやブーツ、アイドルスピードコントロールのダイアフラムやバルブ、オートスピードコントロールのアクチュエーター,負圧ポンプのダイアフラムやチェックバルブやプランジャー、O.P.S.のダイアフラムやO−リング、ガソリン圧抜きバルブ、エンジンシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ウェットシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ディファレンシャルギヤのシールやガスケット(ギヤ油のシールやガスケット)、パワーステアリング装置のシールやガスケット(PSFのシールやガスケット)、ショックアブソーバのシールやガスケット(SAFのシールやガスケット)、等速ジョイントのシールやガスケット、ホイール軸受のシールやガスケット、メタルガスケットのコーティング剤、キャリパーシール、ブーツ類、ホイールベアリングシール、タイヤの架橋成形に使用されるブラダーなどが挙げられる。
【0085】
上記航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野においては、特に燃料系統や潤滑油系統に用いることができる。
上記航空機分野においては、例えば、航空機用各種シール部品、航空機用エンジンオイル用途の航空機用各種部品、ジェットエンジンバルブステムシールやガスケットやO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール、燃料供給用ホースやガスケットやO−リング、航空機用ケーブルやオイルシールやシャフトシールなどとして用いることが可能である。
【0086】
上記宇宙・ロケット分野においては、例えば、宇宙船、ジェットエンジン、ミサイル等のリップシール、ダイアフラム、O−リングや、耐ガスタービンエンジン用オイルのO−リング、ミサイル地上制御用防振台パッドなどとして用いることができる。
また、船舶分野においては、例えば、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライバルブのバルブシートや軸シール、バタフライ弁の軸シール、船尾管シール、燃料ホース、ガスケット、エンジン用のO−リング、船舶用ケーブル、船舶用オイルシール、船舶用シャフトシールなどとして使用することができる。
【0087】
上記化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野においては、高度の耐薬品性が要求されるような工程、例えば、医薬品、農薬、塗料、樹脂等の化学品を製造する工程に用いることができる。
上記化学品分野及び薬品分野における具体的な使用形態としては、化学装置、化学薬品用ポンプや流量計、化学薬品用配管、熱交換器、農薬散布機、農薬移送ポンプ、ガス配管、燃料電池、分析機器や理化学機器(例えば、分析機器や計器類のカラム・フィッティングなど)、排煙脱硫装置の収縮継ぎ手、硝酸プラント、発電所タービン等に用いられるシールや、医療用滅菌プロセスに用いられるシール、メッキ液用シール、製紙用ベルトのコロシール、風洞のジョイントシール;反応機、攪拌機等の化学装置、分析機器や計器類、ケミカルポンプ、ポンプハウジング、バルブ、回転計等に用いられるO−リングや、メカニカルシール用O−リング、コンプレッサーシーリング用のO−リング;高温真空乾燥機、ガスクロマトグラフィーやpHメーターのチューブ結合部等に用いられるパッキンや、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキン;ダイアフラムポンプ、分析機器や理化学機器等に用いられるダイアフラム;分析機器、計器類に用いられるガスケット;分析機器や計器類に用いられるはめ輪(フェルール);バルブシート;Uカップ;化学装置、ガソリンタンク、風洞等に用いられるライニングや、アルマイト加工槽の耐食ライニング;メッキ用マスキング冶具のコーティング;分析機器や理化学機器の弁部品;排煙脱硫プラントのエキスパンジョンジョイント;濃硫酸等に対する耐酸ホース、塩素ガス移送ホース、耐油ホース、ベンゼンやトルエン貯槽の雨水ドレンホース;分析機器や理化学機器等に用いられる耐薬品性チューブや医療用チューブ;繊維染色用の耐トリクレン用ロールや染色用ロール;医薬品の薬栓;医療用のゴム栓;薬液ボトル、薬液タンク、バッグ、薬品容器;耐強酸、耐溶剤の手袋や長靴等の保護具などが挙げられる。
【0088】
上記現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野においては、乾式複写機のロール、ベルト、シール、弁部品等として用いることができる。
上記写真分野、印刷分野及び塗装分野における具体的な使用形態としては、複写機の転写ロールの表面層、複写機のクリーニングブレード、複写機のベルト;複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール、加圧ロールなどが挙げられる。)、ベルト;PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト;フィルム現像機、X線フィルム現像機のロール;印刷機械の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、ベルト;プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト;塗布、塗装設備の塗装ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品;現像ロール、グラビアロール、ガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、コーティングロールなどが挙げられる。
【0089】
上記食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野においては、食品製造工程や、食品移送器用または食品貯蔵器用に用いることができる。
上記食品機器分野における具体的な使用形態としては、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール、ジャーポットのパッキン、サニタリーパイプパッキン、圧力鍋のパッキン、湯沸器シール、熱交換器用ガスケット、食品加工処理装置用のダイアフラムやパッキン、食品加工処理機用ゴム材料(例えば、熱交換器ガスケット、ダイアフラム、O−リング等の各種シール、配管、ホース、サニタリーパッキン、バルブパッキン、充填時にビンなどの口と充填剤との間のジョイントとして使用される充填用パッキン)などが挙げられる。また、酒類、清涼飲料水等の製品、充填装置、食品殺菌装置、醸造装置、湯沸し器、各種自動食品販売機等に用いられるパッキン、ガスケット、チューブ、ダイアフラム、ホース、ジョイントスリーブなども挙げられる。
【0090】
上記原子力プラント機器分野においては、原子炉周辺の逆止弁や減圧弁、六フッ化ウランの濃縮装置のシールなどに用いることができる。
【0091】
上記一般工業分野における具体的な使用形態としては、工作機械、建設機械、油圧機械等の油圧機器用シール材;油圧、潤滑機械のシールやベアリングシール;マンドレル等に用いられるシール材;ドライクリーニング機器の窓等に用いられるシール;サイクロトロンのシールや(真空)バルブシール、プロトン加速器のシール、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガスや塩素ガス分析装置(公害測定器)用ポンプのダイアフラム、スネークポンプライニング、印刷機のロールやベルト、搬送用のベルト(コンベアベルト)、鉄板等の酸洗い用絞りロール、ロボットのケーブル、アルミ圧延ライン等の溶剤絞りロール、カプラーのO−リング、耐酸クッション材、切削加工機械の摺動部分のダストシールやリップゴム、生ごみ焼却処理機のガスケット、摩擦材、金属またはゴムの表面改質剤、被覆材などが挙げられる。また、製紙プロセスで用いられる装置のガスケットやシール材、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、建築用シーリング剤、コンクリートやセメント等の保護コーティング剤、ガラスクロス含浸材料、ポリオレフィンの加工助剤、ポリエチレンの成形性改良添加剤、小型発電機や芝刈機等の燃料容器、金属板にプライマー処理を施すことによって得られるプレコートメタルなどとしても使用することができる。その他、織布に含浸させて焼付けてシート及びベルトとして使用することもできる。
【0092】
上記鉄鋼分野における具体的な使用形態としては、鉄板加工設備の鉄板加工ロールなどが挙げられる。
【0093】
上記電気分野における具体的な使用形態としては、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、変圧器のシール、油井ケーブルのジャケット、電気炉等のオーブンのシール、電子レンジの窓枠シール、CRTのウェッジとネックとを接着させる際に用いられるシール材、ハロゲンランプのシール材、電気部品の固定剤、シーズヒーターの末端処理用シール材、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理に用いられるシール材などが挙げられる。また、耐油・耐熱電線、高耐熱性電線、耐薬品性電線、高絶縁性電線、高圧送電線、ケーブル、地熱発電装置に用いられる電線、自動車エンジン周辺に用いられる電線等の被覆材に用いることもできる。車両用ケーブルのオイルシールやシャフトシールに用いることもできる。更には、電気絶縁材料(例えば、各種電気機器の絶縁用スペーサ、ケーブルのジョイントや末端部などに用いる絶縁テープ、熱収縮性のチューブなどに使用される材料)や、高温雰囲気で用いられる電気および電子機器材料(例えば、モータ用口出線材料、高熱炉まわりの電線材料)にも使用可能である。また、太陽電池の封止層や保護フィルム(バックシート)にも使用できる。
【0094】
上記燃料電池分野においては、固体高分子形燃料電池、リン酸塩型燃料電池等における、電極間、電極−セパレーター間のシール材や、水素、酸素、生成水等の配管のシールやパッキン、セパレーターなどとして用いることができる。
【0095】
上記電子部品分野においては、放熱材原料、電磁波シールド材原料、コンピュータのハードディスクドライブ(磁気記録装置)用のガスケット等に用いることができる。また、ハードディスクドライブの緩衝ゴム(クラッシュストッパー)、ニッケル水素二次電池の電極活物質のバインダー、リチウムイオン電池の活物質のバインダー、リチウム二次電池のポリマー電解質、アルカリ蓄電池の正極の結着剤、EL素子(エレクトロルミネセンス素子)のバインダー、コンデンサーの電極活物質のバインダー、封止剤、シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、光ファイバー被覆材等のフィルムやシート類、電子部品、回路基板のポッティングやコーティングや接着シール、電子部品の固定剤、エポキシ等の封止剤の変性剤、プリント基板のコーティング剤、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピュータ用ガスケット、大型コンピュータ冷却ホース、二次電池、特にリチウム二次電池用のガスケットやO−リング等のパッキン、有機EL構造体の外表面の片面または両面を覆う封止層、コネクター、ダンパーなどとしても用いられる。
【0096】
上記化学薬品輸送用機器分野においては、トラック、トレーラー、タンクローリー、船舶等の安全弁や積出しバルブなどに用いることができる。
【0097】
上記石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野においては、石油、天然ガス等の採掘の際に用いられる各種シール材、油井に使われる電気コネクターのブーツなどとして用いられる。
上記エネルギー資源探索採掘機器部品分野における具体的な使用形態としては、ドリルビットシール、圧力調整ダイアフラム、水平掘削モーター(ステーター)のシール、ステーターベアリング(シャフト)シール、暴噴防止装置(BOP)に用いられるシール材、回転暴噴防止装置(パイプワイパー)に用いられるシール材、MWD(リアルタイム掘削情報探知システム)に用いられるシール材や気液コネクター、検層装置(ロギングエクイップメント)に用いられる検層ツールシール(例えば、O−リング、シール、パッキン、気液コネクター、ブーツなど)、膨張型パッカーやコンプリーションパッカー及びそれらに用いるパッカーシール、セメンチング装置に用いられるシールやパッキン、パーフォレーター(穿孔装置)に用いられるシール、マッドポンプに用いられるシールやパッキンやモーターライニング、地中聴検器カバー、Uカップ、コンポジションシーティングカップ、回転シール、ラミネートエラストメリックベアリング、流量制御のシール、砂量制御のシール、安全弁のシール、水圧破砕装置(フラクチャリングエクイップメント)のシール、リニアーパッカーやリニアーハンガーのシールやパッキン、ウェルヘッドのシールやパッキン、チョークやバルブのシールやパッキン、LWD(掘削中検層)用シール材、石油探索・石油掘削用途で用いられるダイアフラム(例えば、石油掘削ピットなどの潤滑油供給用ダイアフラム)、ゲートバルブ、電子ブーツ、穿孔ガンのシールエレメントなどが挙げられる。
【0098】
その他、厨房、浴室、洗面所等の目地シール;屋外テントの引き布;印材用のシール;ガスヒートポンプ用ゴムホース、耐フロン性ゴムホース;農業用のフィルム、ライニング、耐候性カバー;建築や家電分野等で使用されるラミネート鋼板等のタンク類などにも用いることができる。
【0099】
更には、アルミ等の金属と結合させた物品として使用することも可能である。そのような使用形態としては、例えば、ドアシール、ゲートバルブ、振り子バルブ、ソレノイド先端の他、金属と結合されたピストンシールやダイアフラム、金属ガスケット等の金属と結合された金属ゴム部品などが挙げられる。
また、自転車におけるゴム部品、ブレーキシュー、ブレーキパッドなどにも用いることができる。
【0100】
また、本発明の成形品の形態の1つとしてベルトが挙げられる。このようなベルトも本発明の1つである。
上記ベルトとしては、次のものが例示される。動力伝達ベルト(平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、歯付きベルトなどを含む)、搬送用ベルト(コンベアベルト)として、農業用機械、工作機械、工業用機械等のエンジン周りなど各種高温となる部位に使用される平ベルト;石炭、砕石、土砂、鉱石、木材チップなどのバラ物や粒状物を高温環境下で搬送するためのコンベアベルト;高炉等の製鉄所などで使用されるコンベアベルト;精密機器組立工場、食品工場等において、高温環境下に曝される用途におけるコンベアベルト;農業用機械、一般機器(例えば、OA機器、印刷機械、業務用乾燥機等)、自動車用などのVベルトやVリブドベルト;搬送ロボットの伝動ベルト;食品機械、工作機械の伝動ベルトなどの歯付きベルト;自動車用、OA機器、医療用、印刷機械などで使用される歯付きベルトなどが挙げられる。
特に、自動車用歯付きベルトとしては、タイミングベルトが代表的である。
【0101】
本発明のベルトは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
多層構造である場合、本発明のベルトは、本発明のフッ素ゴム組成物を架橋して得られる層及び他の材料からなる層からなるものであってもよい。
多層構造のベルトにおいて、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、帆布、金属箔層などが挙げられる。
【0102】
本発明の成形品はまた、産業用防振パッド、防振マット、鉄道用スラブマット、パッド類、自動車用防振ゴムなどに使用できる。自動車用防振ゴムとしては、エンジンマウント用、モーターマウント用、メンバマウント用、ストラットマウント用、ブッシュ用、ダンパー用、マフラーハンガー用、センターベアリング用などの防振ゴムが挙げられる。
【0103】
また、他の使用形態として、フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイント等のジョイント部材、ブーツ、グロメットなどが挙げられる。船舶分野であれば、例えばマリンポンプ等が挙げられる。
ジョイント部材とは、配管および配管設備に用いられる継ぎ手のことであり、配管系統から発生する振動、騒音の防止、温度変化、圧力変化による伸縮や変位の吸収、寸法変動の吸収や地震、地盤沈下による影響の緩和、防止などの用途に用いられる。
フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイントは、例えば、造船配管用、ポンプやコンプレッサーなどの機械配管用、化学プラント配管用、電気配管用、土木・水道配管用、自動車用などの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
ブーツは、例えば、等速ジョイントブーツ、ダストカバー、ラックアンドピニオンステアリングブーツ、ピンブーツ、ピストンブーツなどの自動車用ブーツ、農業機械用ブーツ、産業車両用ブーツ、建築機械用ブーツ、油圧機械用ブーツ、空圧機械用ブーツ、集中潤滑機用ブーツ、液体移送用ブーツ、消防用ブーツ、各種液化ガス移送用ブーツなどの各種産業用ブーツなどの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
【0104】
本発明の成形品は、フィルタープレス用ダイアフラム、ブロワー用ダイアフラム、給水用ダイアフラム、液体貯蔵タンク用ダイアフラム、圧力スイッチ用ダイアフラム、アキュムレーター用ダイアフラム、サスペンション等の空気ばね用ダイアフラムなどにも使用できる。
【0105】
本発明の成形品をゴムや樹脂に添加することにより、雨、雪、氷や汗等の水に濡れる環境下において滑りにくい成形品やコーティング被膜を得る滑り防止剤が得られる。
【0106】
また、本発明の成形品は、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等による化粧合板、プリント基板、電気絶縁板、硬質ポリ塩化ビニル積層板等を製造する際の熱プレス成形用クッション材としても用いることができる。
【0107】
本発明の成形品は、その他、兵器関連の封止ガスケット、侵襲性化学剤との接触に対する保護衣服のような各種支持体の不浸透性化に寄与することもできる。
【0108】
また、自動車、船舶などの輸送機関などに使われるアミン系添加剤(特に酸化防止剤、清浄分散剤として用いられるアミン系添加剤)が含まれる潤滑油(エンジンオイル、ミッションオイル、ギヤーオイルなど)や燃料油、グリース(特にウレア系グリース)をシール、封止するために使われるO(角)−リング、V−リング、X−リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップおよびフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシールその他の各種シール材等に用いることができ、チューブ、ホース、各種ゴムロール、コーティング、ベルト、バルブの弁体などとしても使用できる。また、ラミネート用材料、ライニング用材料としても使用できる。
【0109】
自動車等の内燃機関のトランスミッション油及び/又はエンジン油に接触しその油温及び/又は油圧を検出するセンサーのリード電線などに使用される耐熱耐油性電線の被覆材料や、オートマチック・トランスミッションやエンジンのオイルパン内等の高温油雰囲気中においても使用することが可能である。
【0110】
その他、本発明の成形品に架橋被膜を形成させて使用する場合がある。具体的には、複写機用非粘着耐油ロール、耐候結氷防止用ウェザーストリップ、輸液用ゴム栓、バイアルゴム栓、離型剤、非粘着軽搬送ベルト、自動車エンジンマウントのプレーガスケットの粘着防止被膜、合成繊維の被覆加工、パッキング被覆薄層をもつボルト部材または継ぎ手等の用途が挙げられる。
【0111】
なお、本発明の成形品の自動車関連部品用途については、同様の構造の自動二輪車の部品用途も含まれる。
また、上記自動車関連における燃料としては、軽油、ガソリン、ディーゼルエンジン用燃料(バイオディーゼルフューエルを含む)などが挙げられる。
【0112】
また、本発明のフッ素ゴム組成物は、架橋して成形品として使用する以外にも、種々の工業分野において各種部品として使用することもできる。そこで次に、本発明のフッ素ゴム組成物の用途について説明する。
本発明のフッ素ゴム組成物は、金属、ゴム、プラスチック、ガラスなどの表面改質材;メタルガスケット、オイルシールなど、耐熱性、耐薬品性、耐油性、非粘着性が要求されるシール材および被覆材;OA機器用ロール、OA機器用ベルトなどの非粘着被覆材、またはブリードバリヤー;織布製シートおよびベルトへの含浸、焼付による塗布などに用いることができる。
本発明のフッ素ゴム組成物は、高粘度、高濃度にすることによって、通常の用法により複雑な形状のシール材、ライニング、シーラントとして用いることができ、低粘度にすることによって、数ミクロンの薄膜フィルムの形成に用いることができ、また中粘度にすることによりプレコートメタル、O−リング、ダイアフラム、リードバルブの塗布に用いることができる。
さらに、織布や紙葉の搬送ロールまたはベルト、印刷用ベルト、耐薬品性チューブ、薬栓、ヒューエルホースなどの塗布にも用いることができる。
【0113】
本発明のフッ素ゴム組成物により被覆する物品基材としては、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、真鍮などの金属類;ガラス板、ガラス繊維の織布及び不織布などのガラス製品;ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどの汎用および耐熱性樹脂の成形品および被覆物;SBR、ブチルゴム、NBR、EPDMなどの汎用ゴム、およびシリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性ゴムの成形品および被覆物;天然繊維および合成繊維の織布および不織布;などを使用することができる。
本発明のフッ素ゴム組成物から形成される被覆物は、耐熱性、耐溶剤性、潤滑性、非粘着性が要求される分野で使用でき、具体的な用途としては、複写機、プリンター、ファクシミリなどのOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール)および搬送ベルト;シートおよびベルト;O−リング、ダイアフラム、耐薬品性チューブ、燃料ホース、バルブシール、化学プラント用ガスケット、エンジンガスケットなどが挙げられる。
【0114】
本発明のフッ素ゴム組成物はまた、溶剤に溶解し、塗料、接着剤として使用できる。また、乳化分散液(ラテックス)として、塗料としても使用できる。
上記組成物は、各種装置、配管等のシール材やライニング、金属、セラミックス、ガラス、石、コンクリート、プラスチック、ゴム、木材、紙、繊維等の無機及び有機基材からなる構造物の表面処理剤等として使用される。
上記組成物は、ディスペンサー方式塗装やスクリーン印刷塗装により基材等に塗布することができる。
【0115】
本発明のフッ素ゴム組成物は、フィルムを流延するため、またはファブリック、プラスチック、金属、またはエラストマーのような基材を浸漬するための塗料組成物として使用されてもよい。
特に、本発明のフッ素ゴム組成物は、ラテックスの形態として、被覆ファブリック、保護手袋、含浸繊維、O−リング被覆、燃料系クイック連結O−リング用被覆、燃料系シール用被覆、燃料タンクロールオーバーバルブダイヤフラム用被覆、燃料タンク圧力センサーダイヤフラム用被覆、オイルフィルターおよび燃料フィルターシール用被覆、燃料タンクセンダーシールおよびセンダーヘッドフィッテングシール用被覆、複写機定着機構ロール用被覆、並びにポリマー塗料組成物を製造するために使用されてもよい。
それらはシリコーンラバー、ニトリルラバー、および他のエラストマーの被覆に有用である。その熱安定性と同様に基材エラストマーの耐透過性および耐薬品性の両方を高める目的のために、それらはそのようなエラストマーから製造される部品の被覆にも有用である。他の用途は、熱交換器、エキスパンジョンジョイント、バット、タンク、ファン、煙道ダクトおよび他の管路、並びに収納構造体、例えばコンクリート収納構造体用の被覆を含む。上記組成物は、多層部品構造の露出した断面に、例えばホース構造およびダイアフラムの製造方法において塗布されてもよい。接続部および結合部におけるシーリング部材は、硬質材料からしばしば成り、そして本発明のフッ素ゴム組成物は、改良された摩擦性界面、シーリング面に沿って低減された微量の漏れを伴う高められた寸法締りばめを提供する。そのラテックスは、種々の自動車システム用途におけるシール耐久性を高める。
それらは、パワーステアリング系統、燃料系統、エアーコンディショニング系統、並びに、ホースおよびチューブが別の部品に接続されるいかなる結合部の製造においても使用されることもできる。上記組成物のさらなる有用性は、3層燃料ホースのような多層ラバー構造における、製造欠陥(および使用に起因する損傷)の補修においてである。上記組成物は、塗料が塗布される前または後に、形成され、またはエンボス加工され得る薄鋼板の塗布にも有用である。例えば、被覆された鋼の多数の層は組み立てられて、2つの剛性金属部材の間にガスケットを作ることもできる。シーリング効果は、その層の間に本発明のフッ素ゴム組成物を塗布することにより得られる。このプロセスは、組み立てられた部品のボルト力およびひずみを低下させ、一方、低い亀裂、たわみ、および穴ひずみにより良好な燃料節約および低放出を提供する目的のために、エンジンヘッドガスケットおよび排気マニホールドガスケットを製造するために使用され得る。
【0116】
本発明のフッ素ゴム組成物は、その他、コーティング剤;金属、セラミック等の無機材料を含む基材にディスペンサー成形してなる基材一体型ガスケット、パッキン類;金属、セラミック等の無機材料を含む基材にコーティングしてなる複層品などとしても使用することができる。
【実施例】
【0117】
つぎに本発明を、実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0118】
実施例及び比較例で用いた表1に記載の各材料を以下に示す。
含フッ素エラストマー1:VdF/HFP=78/22(モル比)の含フッ素エラストマー(ムーニー粘度ML1+20(140℃)は76、ムーニー粘度ML1+10(121℃)は105、ヨウ素含有量0質量%、臭素含有量0質量%、ガラス転移温度−19℃)
含フッ素エラストマー2:VdF/HFP=78/22(モル比)の含フッ素エラストマー(ムーニー粘度ML1+10(121℃)は80、ヨウ素含有量0質量%、臭素含有量0質量%、ガラス転移温度−19℃)
含フッ素エラストマー3:ヨウ素移動重合により作製したVdF/HFP=78/22(モル比)の末端にヨウ素基を有するパーオキサイド架橋可能な含フッ素エラストマー(ムーニー粘度ML1+10(121℃)は37、ヨウ素含有量0.18質量%、臭素含有量0質量%、ガラス転移温度−19℃)
含フッ素エラストマー4:VdF/HFP=78/22(モル比)の含フッ素エラストマー(ムーニー粘度ML1+10(121℃)は46、ヨウ素含有量0質量%、臭素含有量0質量%、ガラス転移温度−19℃)
含フッ素エラストマー5:VdF/HFP=78/22(モル比)の含フッ素エラストマー(ムーニー粘度ML1+10(121℃)は92、ヨウ素含有量0.05質量%、臭素含有量0質量%、ガラス転移温度−19℃)
カーボン:カーボンブラックN990
共架橋剤1:タイク M60(商品名)(日本化成(株)製 トリアリルイソシアヌレートを60質量%含有している粉体。)
共架橋剤2:トリアリルイソシアヌレート
有機過酸化物1:t−ブチルパーオキシベンゾエート
有機過酸化物2:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
有機過酸化物3:α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン
有機過酸化物4:2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン
【0119】
実施例1〜5および比較例1〜5
表1に示した各成分を表1に記載した配合量で配合し、ロールを用いて通常の方法で30〜50℃にて混練し、フッ素ゴム組成物を調製した。得られたフッ素ゴム組成物を、オープンロールを用いて分だしして、未架橋フッ素ゴムシートを得た。
得られた未架橋フッ素ゴムシートをプレス架橋成型して一次架橋を行い、その後、熱オーブンを用いて二次架橋を行って、厚さ2mmの架橋シートを作製した。一次架橋の条件は、175℃、15分、二次架橋の条件は、180℃、4時間とした。
【0120】
実施例及び比較例で使用した含フッ素エラストマーを用いて、ムーニー粘度を下記方法で測定し、得られたフッ素ゴム組成物を用いて、架橋特性を下記方法で測定し、得られた未架橋フッ素ゴムシートをプレス架橋成型してシート成形性を確認し、得られた架橋シートを用いて、常態物性および熱老化特性を下記方法で測定した。
【0121】
<ムーニー粘度(ML1+10(121℃))>
含フッ素エラストマー1〜5を用いて、ASTM D1646−15およびJIS K6300−1:2013に準拠して測定した。
測定機器:ALPHA TECHNOLOGIES社製のMV2000E型
ローター回転数:2rpm
測定温度:121℃
測定時間:予熱1分後、直ちにローターを回転し、10分間後の値を測定した。
【0122】
<ムーニー粘度(ML1+20(140℃))>
含フッ素エラストマー1を用いて、ASTM D1646−15およびJIS K6300−1:2013に準拠して測定した。
測定機器:ALPHA TECHNOLOGIES社製のMV2000E型
ローター回転数:2rpm
測定温度:140℃
測定時間:予熱1分後、直ちにローターを回転し、20分間後の値を測定した。
【0123】
<架橋特性(180℃)>
実施例及び比較例で製造したフッ素ゴム組成物を用いて、1次架橋(プレス架橋)時にJSR型キュラストメーターII型を用いて180℃における架橋曲線を求め、トルクの変化より、最低粘度(ML)、最高粘度(MH)、誘導時間(T10)及び最適架橋時間(T90)を求めた。その結果を表1に示す。
【0124】
<架橋特性(170℃)>
実施例及び比較例で製造したフッ素ゴム組成物を用いて、1次架橋(プレス架橋)時にアルファテクノロジーズ社製ラバープロセスアナライザ(型式:RPA2000)を用いて170℃における架橋曲線を求め、トルクの変化より、最低粘度(ML)、最高粘度(MH)、誘導時間(T10)及び最適架橋時間(T90)を求めた。その結果を表1に示す。
【0125】
<シート成形性>
実施例及び比較例で未架橋フッ素ゴムシートをプレス架橋成型した際、架橋シートが成形できるかどうか、また発泡の有無を確認した。その結果を表1に示す。
【0126】
<常態物性(引張強さ及び切断時伸び)>
実施例及び比較例で製造した架橋シートを用いて、エーアンドディー社製テンシロンRTG−1310にて、JIS K6251:2010に準拠して、試験速度500mm/分、ダンベル6号形状、試験温度23℃の条件で、引張強さ(Tb)、切断時伸び(Eb)を測定した。その結果を表1に示す。
【0127】
<常態物性(硬度)>
実施例及び比較例で製造した厚さ2mmの架橋シートを3枚重ね、K6253−3:2012に準拠し、タイプAデュロメータで、硬さを測定した(ピーク値及び3秒後)。その結果を表1に示す。
【0128】
<熱老化特性>
実施例及び比較例で製造した架橋シートを用いて、ダンベル6号形状の試験片を作製し、試験片を250℃×72時間の熱処理を施した後、引張強さ、切断時伸び及び硬度(ピーク)を上記と同様の方法で測定した。引張強さ及び切断時伸びについては、常態物性の測定値に対する変化率を、硬度については、常態物性の測定値との差を、それぞれ、表1に示す。
【0129】
【表1】