【解決手段】径方向外側に設けられた取込口32から風を取り込むとともに、径方向内側に設けられた排出口33から収容部37に風を排出する集風部31を備え、集風部31は、周方向に沿って複数形成されており、隣り合う集風部31の間を仕切る仕切り板34の方向が、回転部材51の接線方向となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の集風型風車は、風を集めて風車が回転するように構成されているものであるが、風車が回転する風向きは特定の風向きに限定されている。このため、風向きによっては風車の回転速度が低く、風車を効率的に回転させることができないという課題があった。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、風向きがいずれの方向であっても回転部材を効率的に回転させることができる集風装置、およびこの集風装置を備えた風力回転装置または風力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る集風装置は、円形状を有する回転部材を収納するための収容部が内側に設けられ、前記回転部材と同軸に形成された環状の集風装置であって、径方向外側に設けられた取込口から風を取り込むとともに、径方向内側に設けられた排出口から前記収容部に風を排出する集風部を備え、前記集風部は、周方向に沿って複数形成されており、隣り合う前記集風部の間を仕切る仕切り板の方向が、前記回転部材の接線方向となっていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、周方向に沿って複数形成された集風部を備えているため、風向きがいずれの方向であっても、風を集めることができる。これにより、風向きに左右されず風を集め、回転部材を回転させることができる。
また、本発明に係る集風装置では、隣り合う集風部の間を仕切る仕切り板の方向が、回転部材の接線方向となっている。このため、集めた風を最も効率的に回転部材の回転に利用することができる。これにより、風が微風の場合であっても、回転部材を回転させることができる。
【0009】
また、本発明に係る集風装置の前記構成において、前記集風部は、前記取込口から前記排出口に向かうほど流路断面積が小さくなっていることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、取込口から排出口に向かうほど集風部の流路断面積が小さくなっているため、取り込んだ風の流速を上げたうえで、排出口から排出できる。これにより、回転部材の回転速度を上げることができる。また、この回転部材の回転を発電に利用した場合には、効率的に発電することができる。
【0011】
また、本発明に係る風力回転装置は、前記集風装置と、前記収容部に収容された回転装置とを備えた風力回転装置であって、前記回転装置は、前記排出口から排出される風によって軸回りに回転する前記回転部材と、前記回転部材と同軸に設けられ、軸回りに回転可能な回転軸と、前記回転部材の回転をその回転速度を増速して前記回転軸に伝達する回転伝達機構とを備えていることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、回転部材の回転をその回転速度を増速して回転軸に伝達する回転伝達機構を備えているため、集風部の排出口から排出される空気によって軸回りに回転する回転部材の回転速度が、回転伝達機構によって増速されて回転軸に伝達される。これにより、風が微風であって回転部材の回転速度が低くても、回転軸の回転速度を増速させることができる。また、回転軸の回転を発電に利用した場合には、効率的に発電することができる。
【0013】
また、本発明に係る風力回転装置の前記構成において、前記回転部材は、径方向外側の側面に、周方向に沿って所定の間隔ごとに立設された薄板状の羽根を備え、前記羽根は、前記回転部材の軸方向に対する寸法である幅の中央部が、前記回転部材の回転方向に向かって突出した湾曲形状となっていることを特徴とする。
また、本発明に係る風力回転装置の前記構成において、前記回転部材は、径方向外側の側面に、周方向に沿って所定の間隔ごとに立設された薄板状の羽根を備え、前記羽根は、前記回転部材の軸方向に対する寸法である幅の中央部が、前記回転部材の回転方向に向かって突出したV字形状となっていることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、羽根に当たった風が幅方向に逃げるのが阻止されるため、風がより効率的に回転部材の回転に利用され、回転部材がより高速で回転する。回転軸の回転を発電に利用した場合には、効率的に発電することができる。
【0015】
また、本発明に係る風力回転装置の前記構成において、前記回転伝達機構は、遊星歯車機構によって構成され、前記遊星歯車機構のリングギアが前記回転部材に取り付けられ、前記遊星歯車機構のサンギアが前記回転軸に取り付けられ、前記遊星歯車機構のプラネタリギアが前記リングギアおよび前記サンギアに噛合していることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、リングギア、プラネタリギアおよびサンギアの歯数や径を調整することによって、回転軸の増速量を容易に調整することができる。
【0017】
本発明に係る風力発電装置は、前記風力回転装置を備えた風力発電装置であって、前記回転軸が前記回転部材より軸方向に突出しており、突出している前記回転軸の外側に第1固定部材が設けられ、前記回転軸と前記第1固定部材とのうちのいずれか一方に永久磁石が設けられ、他方にコイルが前記永久磁石と所定の隙間をもって設けられていることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、風力回転装置の回転伝達機構によって増速されて回転軸に伝達されるので、微風等の場合に回転部材の回転速度が低くても、回転軸の回転速度が増速される。そして、回転軸と第1固定部材とのうちのいずれか一方に永久磁石が設けられ、他方にコイルが前記永久磁石と所定の隙間をもって設けられているので、永久磁石とコイルとの協働によって効率的に発電できる。
【0019】
また、本発明に係る風力発電装置の前記構成において、前記風力回転装置の前記回転部材の内側に第2固定部材が設けられ、前記回転部材と前記第2固定部材とのうちのいずれか一方に永久磁石が設けられ、他方にコイルが前記永久磁石と所定の隙間をもって設けられていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、回転軸の回転による発電に加えて、回転部材の回転による永久磁石とコイルとの協働によって発電できる。つまり、2系統で発電できる。
【0021】
また、本発明に係る風力回転装置の前記構成において、前記回転軸の軸方向と直交する方向を軸とし、軸回りに回転可能なシャフトと、前記回転軸の回転を前記シャフトの回転に変換する傘歯車機構とを備え、前記シャフトの一端が前記集風装置の外部に露出していることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、シャフトの回転を、発電機、コンプレッサー、ポンプ等の
動力源として利用することができる。このように、風力によって得られたクリーンなエネルギーを動力源とすることで、例えば、環境汚染等を抑制することができる。
【0023】
本発明に係る風力発電装置は、前記風力回転装置を備えた風力発電装置であって、外部に露出している前記シャフトの一端に連結され、前記シャフトの回転を利用して発電する発電機を備えていることを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、外部に露出したシャフトの端部に発電機を接続することによって、効率的に発電することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、風向きがいずれの方向であっても回転部材を効率的に回転させることができる集風装置、およびこの集風装置を備えた風力回転装置または風力発電装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る風力回転装置10を示すもので、正面側から見た斜視図である。
図2は、風力回転装置10を上面側から見た図である。なお、
図2は、カバー2という部材を取り外した状態を示している。
図3は、集風装置30を正面側から見た斜視図である。
図1および
図2に示すように、風力回転装置10は、集風装置30と、集風装置30の内部に収容された回転装置50とを備えている。集風装置30の底面および回転装置50の底面は、それぞれ設置面に固定されている。設置面とは、地面や床等である。
【0028】
図1に示したカバー2は、集風装置30の上端に取り付け可能に形成されている部材であり、中央から外周側に向かって下方に傾斜した形状となっている。カバー2を取り付けることで、集風装置30の内部に雨水等が侵入するのを防ぐことができる。なお、
図1に示した金網3は、集風装置30の排出口33に取り付け可能に形成されている部材である。金網3を排出口33に取り付けることで、排出口33から昆虫や鳥が侵入するのを防ぐことができる。
【0029】
図3を用いて、集風装置30について説明する。集風装置30は、回転装置50を収容するための円形状の空間である収容部37が内側に設けられた環状の部材である。集風装置30は、上面から見た外形が多角形状となっている。集風装置30の軸と、内部に収容される回転装置50の軸とは同軸となっている。集風装置30には、周方向に沿って集風部31が複数形成されている。集風部31は、径方向外側に形成された取込口32から風を取り込むとともに、径方向内側に形成された排出口33から風を排出する。取込口32は、風を取り込むために設けられた四角形状の開口である。排出口33は、取込口32から取り込んだ風(空気)を排出するために設けられた四角形状の開口である。排出口33は、集風装置30の高さ(上下方向)の略中央となる位置に設けられている。また、排出口33の大きさは、取込口32の大きさより十分小さく形成されている。集風部31は、隣り合う集風部31の間を仕切る仕切り板34を備えている。
【0030】
図4は、仕切り板34について説明するための図である。仕切り板34は、上面から見て放射状に配置されている。
図4では、収容部37の中心を中心Oとし、仕切り板34の径方向内側の端部を端部Sとし、中心Oと端部Sとを結ぶ線分を線分Tとている。仕切り板34は、その向きが線分Tと垂直となるように配置されている。すなわち、仕切り板34は、その向きが円形状である収容部37の接線方向と同一となるように形成されている。なお、ここでいう同一とは完全同一のみを指すものではなく、略同一を含むものとする。また、仕切り板34の向きは、後述する回転装置50におけるファン51の外周の接線方向と略同一となっているともいえる。また、
図4では、すべての仕切り板34の向きが一様に当該接線方向と略同一となっているものを示しているが、これに限定されるものではなく、任意の仕切り板34の角度が異なっていてもよい。
【0031】
図3に示すように、集風部31は、上方板35および下方板36を備えている。上方板35は、上下方向に対して、径方向外側から径方向内側に向かう方向に、斜め下方に傾斜している。下方板36は、上下方向に対して、径方向外側から径方向内側に向かう方向に、斜め上方に傾斜している。集風部31では、仕切り板34、上方板35、および下方板36によって風を取り込む流路が形成されており、流路の断面積は取込口32から排出口33に向かうほど小さくなっている。
図5は、集風装置30の流路における風の流れを説明するための図である。
図5に示すように、集風装置30は、大量の風(平圧空気)を取込口32から取り込み、仕切り板34、上方板35、および下方板36によって曲げて(絞って)、高密度の高圧風として排出口33から排出するようになっている。
【0032】
図6は、回転装置50を正面側から見た斜視図である。
図7は、回転装置50の軸方向断面図である。
図6および
図7を用いて、回転装置50について説明する。回転装置50は、ファン51を備えている。ファン51(回転部材)は、円板状の回転板51aと羽根51bとを備えている。
回転板51aにおける径方向外側の側面には、周方向に沿って所定の間隔ごとに複数の羽根51bが立設されている。羽根51bは薄板状の部材であり、回転板51aの回転中心から径方向外側に向かう方向に突出するように形成されている。ここで、ファン51(回転板51a)の軸方向に対する羽根51bの寸法を幅とすると、羽根51bは、幅方向の略中央部が、ファン51の回転方向に向かって突出した湾曲形状となっている。また、ファン51の外周の接線方向と集風装置30の仕切り板34が設けられている方向とは略同一となっている。ここで、ファン51の外周とは、
図2に示すように、羽根51bを含む状態でのファン51の外周を指すが、これに限定されるものではなく、後述する
図9に示すように、羽根51bを含まない状態でのファン51の外周(すなわち回転板51aの外周)であってもよい。
集風装置30の排出口33から排出される高圧の風(空気)は、ファン51の外周側に位置する複数の羽根51bに効率的に当たる。これにより、ファン51がスムーズに回転するようになっている。また、羽根51bに湾曲形状を採用することで、羽根51bに当たった風が幅方向外側に逃げるのが阻止され、風の流れが、より効率的にファン51の回転に利用されることとなる。また、
図5に示すように、ファン51の回転に利用された風は上下方向に排出されるため、ファン51の回転の妨げとならない。
【0033】
図7に示すように、ファン51の内側には、略円筒状の上ケーシング70が設けられている。上ケーシング70の下端部にはフランジ部70aが形成されている。フランジ部70aは、上ケーシング70の下方に位置し、上ケーシング70と同軸に設けられた円筒状の下ケーシング71の上端部に固定されている。
上ケーシング70の内側には回転軸72が、ファン51の軸と同軸にかつ軸回りに回転可能に設けられている。回転軸72の上端部と中央部とにはそれぞれフランジ部72a,72bが設けられている。フランジ部72aは、上ケーシング70の上板に回転可能に支持されており、フランジ部72bは、上ケーシング70の下部のフランジ部70aに回転可能に支持されている。
【0034】
また、回転軸72はフランジ部70aを貫通してファン51より軸方向でかつ下方に突出しており、当該回転軸72の下端部にフランジ部72cが設けられている。このフランジ部72cが下ケーシング71の下端部に設けられた円板状の基板73の中央部に回転可能に支持されている。すなわち、基板73の中央部には孔が形成され、この孔にフランジ部72cが回転可能に設けられ、さらに、回転軸72の下端部およびフランジ部72cと、基板73の中央部に設けられた孔との間にはアンギュラ軸受74が設けられている。
【0035】
また、ファン51の内側でかつ上ケーシング70の外側には、円筒状の回転体75がファン51と同軸にかつ同期して回転可能に設けられている。上ケーシング70の外周面と回転体75の内周面との間には、上下一対の軸受76,76が設けられ、さらに、上ケーシング70の下端部とフランジ部70aと回転体75の下端部との間にはアンギュラ軸受77が設けられている。これにより、回転体75は上ケーシング70に回転可能に支持されている。
【0036】
そして、上ケーシング70の上側には、ファン51の回転をその回転速度を増速して回転軸72に伝達する回転伝達機構80が設けられている。
回転伝達機構80は、遊星歯車機構によって構成されている。回転伝達機構80は、上ケーシング70と回転板51aの上板との間に設けられており、リングギア81と、このリングギア81の回転中心に設けられたサンギア82と、複数のプラネタリギア83とを備えている。なお、リングギア81の回転中心は回転軸72の回転中心と一致している。
回転板51aの上板の下面にリングギア81の上面が固定され、このリングギア81の下面と外周面とに回転体75が固定されている。したがって、ファン51が回転することによりリングギア81および回転体75が同期して回転するようになっている。
また、回転軸72の上端部はサンギア82に挿入されて固定されており、サンギア82が回転することによって回転軸72が回転するようになっている。
さらに、プラネタリギア83は、リングギア81およびサンギア82に噛合しており、リングギア81が回転することによって、自転しつつサンギア82の周囲を公転するようになっている。したがって、リングギア81が回転すると、プラネタリギア83がリングギア81の内側を自転しながら公転して回転移動し、これによってサンギア82が軸回りに回転するようになっている。
【0037】
そして、リングギア81がファン51によって1回転すると、サンギア82が10回転するように、リングギア81、プラネタリギア83およびサンギア82の歯数や径が設定されている。したがって、このような回転伝達機構80では、ファン51の回転速度を10倍に増速してサンギア82が回転し、この回転によって回転軸72がファン51より10倍の回転速度で回転するようになっている。
【0038】
次に、風力回転装置10が風力発電装置として利用される場合について説明する。
回転軸72は上ケーシング70から下方に突出して、下端部が下ケーシング(第1固定部材)71に位置している。下ケーシング71の内周面にはコイル85が固定されており、一方、回転軸72の下端部には永久磁石86がコイル85との間に所定の隙間をもって固定されている。そして、コイル85と永久磁石86との協働によって発電され、発電された電気はバッテリーに蓄電されたり、直接使用されるようになっている。なお、下ケーシング71に永久磁石86を固定し、回転軸72にコイル85を固定してもよい。
また、永久磁石86の外周面には、図示は省略するが、回転軸72に対して傾斜する傾斜溝が周方向に所定間隔で複数互いに平行に形成されている。そして、永久磁石86が回転軸72によって回転すると、傾斜溝によって、永久磁石86より下方にある空間から空気を吸い込んで、下ケーシング71の内部に吹き出して、当該内部を冷却するようになっている。つまり、永久磁石86は発電機能に加えて冷却機能を備えている。
【0039】
また、回転体75の内側には、上述したように上ケーシング(第2固定部材)70が設けられており、この上ケーシング70の外周面に円筒状のコイル87が固定され、一方、回転体75の内周面には永久磁石88がコイル87との間に所定の間隔をもって固定されている。そして、コイル87と永久磁石88との協働によって発電され、発電された電気はバッテリーに蓄電されたり、直接使用されるようになっている。なお、上ケーシング70に永久磁石88を固定し、回転体75にコイル87を固定してもよい。
【0040】
第1の実施形態に係る風力回転装置10は、例えばビルの屋上、住宅の屋根等に設置される。集風装置30では、取込口32から風が取り込まれると、集風装置30は取込口32から排出口33に向かうほど流路断面積が小さくなっているので、取り込んだ風(空気)は、高密度の高圧風としてその流速を上げられたうえで、排出口33から排出される。排出口33から排出された空気は、ファン51の一部(数枚)の羽根51bに次々に当たり、ファン51を回転させる。ファン51が回転することによって、回転伝達機構80のリングギア81が回転し、当該リングギア81とともに回転体75が回転する。
【0041】
回転体75には永久磁石88が固定されているので、当該永久磁石88も回転体75とともに回転する。一方、回転体75の内側に設けられている上ケーシング70にはコイル87が固定されているので、コイル87と永久磁石88との協働によって発電され、発電された電気はバッテリーに蓄電されたり、直接使用される。
【0042】
また、ファン51の回転によって回転伝達機構80のリングギア81が回転すると、プラネタリギア83を介してサンギア82が回転する。サンギア82が回転すると、サンギア82とともに回転軸72が回転する。この回転軸72の回転速度は回転伝達機構80によってリングギア81の回転速度、つまりファン51の回転速度の10倍に増速される。
【0043】
回転軸72の下端部には永久磁石86が固定されているので、当該永久磁石86は回転軸72とともに回転する。一方、回転軸72の外側に設けられている下ケーシング71にはコイル85が固定されているので、コイル85と永久磁石86との協働によって発電され、発電された電気はバッテリーに蓄電されたり、直接使用される。コイル85はコイル87より回転速度が10倍速いので、コイル85と永久磁石86との協働による発電力は、コイル87と永久磁石88の協働による発電力より大きくなる。
【0044】
以上のように、第1の実施の形態によれば、集風装置30は、周方向に沿って複数形成された集風部31を備えている。このため、風向きがいずれの方向であっても、風を集めることができる。これにより、風向きに左右されず風を集め、集めた風を回転部材51の回転に利用することができる。また、隣り合う集風部31の間を仕切る仕切り板の方向が、回転部材51の接線方向となっているため。このため、集めた風を最も効率的に回転部材51の回転に利用することができる。これにより、風が微風の場合であっても、回転部材51を回転させることができる。
【0045】
また、集風装置30の集風部31は、取込口32から排出口33に向かうほど流路断面積が小さくなっている。このため、取り込んだ風の流速を上げたうえで、排出口33から排出できる。これにより、回転部材51の回転速度を上げることができ、発電効率を向上させることができる。
【0046】
また、回転装置50は、回転部材51の回転をその回転速度を増速して回転軸72に伝達する回転伝達機構80を備えているので、集風部31の排出口33から排出される風(空気)によって軸回りに回転する回転部材51の回転速度が、回転伝達機構80によって増速されて回転軸72に伝達される。このため、風が微風であって回転部材51の回転速度が低くても、回転軸72の回転速度が増速させることができ、発電効率を向上させることができる。
【0047】
また、回転部材51における径方向外側の側面には羽根51bが立設されており、羽根51bは湾曲形状を有している。このため、羽根51bに当たった風が幅方向外側に逃げるのが阻止され、風の流れがより効率的に回転部材51の回転に利用されて、回転部材51がより高速で回転する。これにより、発電効率を向上させることができる。
【0048】
また、回転装置50において、回転伝達機構80のリングギア81が回転部材51に取り付けられ、サンギア82が回転軸72に取り付けられ、プラネタリギア83がリングギア81およびサンギア82に噛合しているので、リングギア81、プラネタリギア83およびサンギア82の歯数や径を調整することによって、回転軸72の増速量を容易に調整できる。
【0049】
また、回転軸72が回転部材51より軸方向に下方に突出しており、この突出している回転軸72の外側に第1固定部材としての下ケーシング71が設けられ、この下ケーシング71にコイル85が設けられ、回転軸72の下端部に永久磁石86が設けられており、さらに、回転伝達機構80によって回転部材51の回転が増速されて回転軸72に伝達されるので、微風等の場合に回転部材51の回転速度が低くても、永久磁石86とコイル85との協働によって効率的に発電できる。
【0050】
さらに、回転部材51にリングギア81を介して回転体75が設けられ、この回転体75に永久磁石88が設けられ、第2固定部材としての上ケーシング70にコイル87が設けられているので、永久磁石88とコイル87との協働によって効率的に発電できる。つまり、回転軸72の回転による、永久磁石86とコイル85との協働によって発電できるとともに、回転体75の回転による永久磁石88とコイル87との協働によって発電できるので、2系統で発電できる。
【0051】
なお、第1の実施の形態では、回転部材51の回転をその回転速度を増速して回転軸72に伝達する回転伝達機構80として遊星歯車機構を採用したが、回転部材51の回転をその回転速度を増速して回転軸72に伝達できる機構であれば、他の回転伝達機構を採用してもよい。
【0052】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る風力回転装置11を示すもので、正面側から見た斜視図である。
図9は、第2の実施の形態に係る風力回転装置11を上面側から見た図である。以下、第1の実施の形態で説明した構成と同一または相当する機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0053】
図8および
図9に示すように、風力回転装置11は、集風装置40と回転装置60とを備えている。回転装置60は、集風装置40の内部に収容されている。図示を省略しているが、集風装置40の上端には、
図1と同様にカバー2を取り付けることができる。
図8に示すように、集風装置40における排出口33は、集風装置40の下部側に設けられており、下方板36は設置面と水平となるように形成されている。
【0054】
仕切り板34、上方板35、および下方板36によって風を取り込む流路が形成されており、流路の断面積は取込口32から排出口33に向かうほど小さくなっている。
図10は、集風装置40の流路における風の流れを説明するための図である。
図10に示すように、集風装置40は、大量の風(平圧空気)を取込口32から取り込み、仕切り板34、上方板35、および下方板36によって曲げて(絞って)、高密度の高圧風として排出口33から排出するようになっている。
【0055】
図11は、回転装置60を正面側から見た斜視図である。
図12は、風力回転装置11の軸方向断面図である。
図12に示すように、ファン51は、回転装置60の下部側であって、集風装置40における排出口33の高さに対応する位置に設けられている。これにより、排出口33から排出された空気がファン51の羽根51bに次々に当たり、ファン51が回転する。また、回転装置60には、軸方向に対して直交するように配置されたシャフト61が連結されている。当該連結については後述する。シャフト61は、仕切り板34および上方板35に設けられた孔に挿通されており、端部61aが風力回転装置11(集風装置40)の外部に露出している。
【0056】
図13は、回転装置60の軸方向断面図である。ファン51の内側には、略円筒状の下ケーシング91が設けられている。下ケーシング91の内側には下回転軸92が、ファン51の軸と同軸にかつ軸回りに回転可能に設けられている。下回転軸92と下ケーシング91との間には、上下一対の軸受93,93が設けられている。これにより、下回転軸92は下ケーシング91に回転可能に支持されている。また、ファン51の内側でかつ下ケーシング91の外側には、円筒状の回転体95がファン51と同軸にかつ同期して回転可能に設けられている。下ケーシング91の外周面と回転体95の内周面との間には、上下一対の軸受96,96が設けられ、さらに、下ケーシング91の下部側に形成されたフランジ部と回転体95の下端部との間にはアンギュラ軸受97が設けられている。これにより、回転体95は下ケーシング91に回転可能に支持されている。
【0057】
下ケーシング91の上側には、ファン51の回転をその回転速度を増速して下回転軸92に伝達する回転伝達機構80が設けられている。
回転伝達機構80は、遊星歯車機構によって構成されている。回転伝達機構80は、下ケーシング91と回転板51aの上板との間に設けられており、リングギア81と、このリングギア81の回転中心に設けられたサンギア82と、複数のプラネタリギア83とを備えている。なお、リングギア81の回転中心は下回転軸92の回転中心と一致している。
回転板51aの上板の下面にリングギア81の上面が固定され、このリングギア81の下面と外周面とに回転体95が固定されている。したがって、ファン51が回転することによりリングギア81および回転体95が同期して回転するようになっている。
また、下回転軸92の上端部はサンギア82に挿入されて固定されており、サンギア82が回転することによって下回転軸92が回転するようになっている。
さらに、プラネタリギア83は、リングギア81およびサンギア82に噛合しており、リングギア81が回転することによって、自転しつつサンギア82の周囲を公転するようになっている。したがって、リングギア81が回転すると、プラネタリギア83がリングギア81の内側を自転しながら公転して回転移動し、これによってサンギア82が軸回りに回転するようになっている。
【0058】
そして、リングギア81がファン51によって1回転すると、サンギア82が10回転するように、リングギア81、プラネタリギア83およびサンギア82の歯数や径が設定されている。したがって、このような回転伝達機構80では、ファン51の回転速度を10倍に増速してサンギア82が回転し、この回転によって下回転軸92がファン51より10倍の回転速度で回転するようになっている。
【0059】
下回転軸92は下ケーシング91およびサンギア82を貫通してファン51より軸方向でかつ上方に突出している。下回転軸92の上端部には、上回転軸102が連結されている。上回転軸102は、略円筒状の上ケーシング101の内側に収容され、下回転軸92と連結される下端部が上ケーシング101より下方に突出している。
上回転軸102と上ケーシング101との間には、上下一対の軸受103,103が設けられている。これにより、上回転軸102は上ケーシング101に回転可能に支持されている。上回転軸102は、下回転軸92と同軸にかつ同期して回転可能な状態となっている。
【0060】
上ケーシング101の側方には、シャフト61を支持する略円筒状の側方ケーシング111が連結されている。シャフト61は、側方ケーシング111を水平方向に貫通し、シャフト61と側方ケーシング111との間には、左右一対の軸受112,112が設けられている。これにより、シャフト61は側方ケーシング111に回転可能に支持されている。また、シャフト61の端部は、上ケーシング101の側壁を貫通して上ケーシング101の内側に収容されている。
【0061】
上回転軸102の軸方向とシャフト61の軸方向とは直交しており、上ケーシング101の内側には、上回転軸102の回転をシャフト61に伝達する傘歯車機構120が設けられている。傘歯車機構120は、第一コーンギア121と第二コーンギア122とからなる。
上ケーシング101の内側に収容されている上回転軸102には、第一コーンギア121が挿入されて固定されている。また、上ケーシング101の内側に収容されているシャフト61の端部には、第一コーンギア121と噛合する第二コーンギア122が挿入されて固定されている。これにより、第一コーンギア121が1回転すると第二コーンギア122が1回転し、上回転軸102の回転がシャフト61に伝達されて、シャフト61が回転するようになっている。
【0062】
図12に示すように、シャフト61は、回転装置60に連結されている側とは反対側の端部61aが外部に露出している。端部61aには、不図示の発電機が連結されている。この発電機には、例えば、シャフト61とともに回転する永久磁石と、所定の間隔を設けて当該永久磁石の周囲に固定配置されたコイルとが設けられており、永久磁石とコイルとの協働によって発電されるようになっている。発電された電機はバッテリーに蓄電されたり、直接使用される。
上記では、端部61aに発電機が連結されるものとしたが、これに限定されるものではなく、端部61aにコンプレッサー、ポンプ等が連結されるようにしてもよい。端部61aにコンプレッサーが連結されている場合、例えば、シャフト61の回転がピストンの往復運動に変換され、高圧に圧縮された冷媒が排出される。また、端部61aにポンプが連結されている場合、例えば、シャフト61の回転がピストンの往復運動に変換され、水を汲み上げることができる。
【0063】
集風装置40と回転装置60とを備えた風力回転装置11は、例えばビルの屋上、住宅の屋根等に設置される。集風装置40では、取込口32から風が取り込まれると、集風装置30は取込口32から排出口33に向かうほど流路断面積が小さくなっているので、取り込んだ風(空気)は、高密度の高圧風としてその流速を上げられたうえで、排出口33から排出される。排出口33から排出された空気は、ファン51の一部(数枚)の羽根51bに次々に当たり、ファン51を回転させる。ファン51が回転することによって、回転伝達機構80のリングギア81が回転し、当該リングギア81とともに回転体95が回転する。
【0064】
以上のように、第2の実施の形態によれば、風力回転装置11が、下回転軸92の軸方向と直交する方向を軸とし、軸回りに回転可能なシャフト61と、下回転軸92の回転をシャフト61の回転に変換する傘歯車機構120とを備え、シャフト61の一端が集風装置40の外部に露出しているので、シャフト61の回転を、発電機、コンプレッサー、ポンプ等の動力源として利用することができる。このように、風力によって得られたクリーンなエネルギーを動力源とすることで、例えば、環境汚染等を抑制することができる。
【0065】
また、風力回転装置11において、外部に露出しているシャフト61の一端である端部61aに、シャフト61の回転を利用して発電する発電機が連結されている場合、効率的に発電することができる。
【0066】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図14は、第3の実施の形態に係る風力回転装置12を示すもので、正面側から見た斜視図である。
図15は、第3の実施の形態に係る風力回転装置12を上面側から見た図である。
図16は、第3の実施の形態に係る風力回転装置12を底面側から見た図である。
以下、第1の実施の形態および第2の実施の形態で説明した構成と同一または相当する機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0067】
風力回転装置12は、集風装置110と回転装置130とを備えている。回転装置130は、集風装置110の内部に収容されている。集風装置110の上端には、カバー2が取り付けられている。回転装置130は、例えば、カバー2によって支持されている。また、集風装置110における排出口33は、集風装置110の上部側に設けられており、上方板35は設置面と水平となるように形成されている。また、下方板36は、上下方向に対して、径方向外側から径方向内側に向かう方向に、斜め上方に傾斜している。
【0068】
仕切り板34、上方板35、および下方板36によって風を取り込む流路が形成されており、流路の断面積は取込口32から排出口33に向かうほど小さくなっている。集風装置110は、大量の風(平圧空気)を取込口32から取り込み、仕切り板34、上方板35、および下方板36によって曲げて(絞って)、高密度の高圧風として排出口33から排出するようになっている。
【0069】
回転装置130のファン51は、回転装置130の上部側であって、集風装置110における排出口33の高さに対応する位置に設けられている。これにより、排出口33から排出された空気がファン51の羽根51bに次々に当たり、ファン51が回転する。また、
図16に示すように、回転装置130には、ファン51の回転軸方向に対して直交するように配置されたシャフト61が連結されている。シャフト61は、下方板36に設けられた孔に挿通されており、端部61aが風力回転装置12(集風装置110)の外部に露出するように、仕切り板34における径方向外側の端部に取り付けられている。回転装置130は、第2の実施の形態と同様に、回転伝達機構80および傘歯車機構120を備えており、ファン51の回転に伴ってシャフト61が回転するようになっている。
【0070】
以上のように、第3の実施の形態によれば、集風装置110が集めた風によって回転するファン51の回転をシャフト61の回転に変換するとともに、当該回転を発電機、コンプレッサー、ポンプ等の動力源として利用することができる。このように、風力によって得られたクリーンなエネルギーを動力源とすることで、例えば、環境汚染等を抑制することができる。また、シャフト61の端部61aに発電機が連結されている場合、効率的な発電を実現することができる。
【0071】
図17は、
図11で示した回転装置60の変形例を示す図である。
図17に示すように、ファン51(回転板51a)の軸方向に対する羽根51bの寸法を幅とした場合、羽根51bは、幅方向の略中央部が、ファン51の回転方向に向かって突出したV字形状であってもよい。
【0072】
図18は、羽根51bに対する風の当たり方について説明するための図である。集風装置40における8箇所の排出口33のうち、3箇所の排出口33から排出された風が羽根51bに当たり、ファン51が回転する様子を示している。このとき、残り5箇所の排出口33からは風が排出されないため、ファン51の回転の妨げとならない。
ここで、
図17に示すように、ファン51における回転板51aの外周側面を側面Wとする。排出口33から排出された風は、側面Wに当たり、回転板51aの内部側に侵入することはなくファン51の回転推進に利用されるようになっている。
なお、排出口33から排出され、羽根51bに当たる流体は、風に限定されるものではなく、水であってもよい。