【解決手段】柱状に形成されて基端部21aを支持した状態で先端部21bに設けられた接触部31を接触対象に接触させて接触対象との間における電気信号の入出力を可能に構成され、基端部21aは、プローブピンの中心軸Aに直交する断面Cの断面形状が非円形となるように形成され、接触部31は、中心軸Aに対して傾斜する平面で先端部21bの一部が切り欠かれてそれぞれ形成された2つの切り欠き面S2と先端部21bの2つの外周面F1,F4とによって画定されて中心軸Aに沿って突出する部位で構成されている。
請求項4から6のいずれかに記載のプローブユニットと、当該プローブユニットを移動させて前記接触対象に前記プローブピンを接触させる移動機構と、前記プローブピンを介して入出力する電気信号に基づいて前記接触対象としての検査対象の検査を実行する検査部とを備えている検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した従来のプローブピンおよびこのプローブピンを備えたプローブユニットには、改善すべき以下の課題がある。具体的には、このプローブピンは、先端部が円錐状をなす円柱状に形成されている。この場合、このような円錐状の先端部は、旋盤等の回転加工系の工作機械を用いて形成されるため、加工特性上、プローブピンの中心軸上に円錐の頂部が位置することとなる。このため、プローブピンの中心軸上に位置する円錐の頂部がプロービング対象に接触することとなる。一方、プロービング対象に接触する円錐の頂部は、接触の際の破損を回避するために十分な強度を確保する必要があり、そのためには、円錐の頂部に丸み(SR)を設けて、その部分をできるだけ小さく形成するのが好ましい。このため、この種のプローブピンでは、プローブピンが細いほど、円錐の頂部の角度を大きくする(鈍角にする)構成が採用されている。
【0005】
この場合、例えば、
図12,13に示すように、プロービング対象としての基板100の導体101(被接触位置)に2つのプローブピン521の先端部(円錐の頂部)を互いに近接させた状態で接触させるときには、円錐の頂部の角度が大きいほど、各プローブピン521の各中心軸Aがなす角度が大きくなるように(基板100に対する傾斜角度が小さくなるように)、各プローブピン521を基板100に対して大きく傾斜させる必要がある。しかしながら、プローブピン521をこのように大きく傾斜させることによってプローブピン521の先端部以外の部位も基板100に近づく(つまり、プローブピン521が全体として近づく)ため、例えば、基板100に実装された電子部品等が導体101(被接触位置)の近傍に実装されているときには、プローブピン521が電子部品等に接触して導体101にプローブピン521の先端部を接触させることが困難となるおそれがある。このように、従来のプローブピンおよびこのプローブピンを備えたプローブユニットには、複数のプローブピンの先端部を近接させた状態でプロービング対象に接触させることが困難となるおそれがあり、この点の改善が望まれている。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、複数のプローブピンの先端部を近接させた状態で接触対象に接触させ得るプローブピン、プローブユニットおよび検査装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載のプローブピンは、柱状に形成されて基端部を支持した状態で先端部に設けられた接触部を接触対象に接触させて当該接触対象との間で電気信号の入出力を行うためのプローブピンであって、前記基端部は、当該プローブピンの中心軸に直交する断面の断面形状が非円形となるように形成され、前記接触部は、前記中心軸に対して傾斜する平面で前記先端部の一部が切り欠かれてそれぞれ形成された2つの切り欠き面と当該先端部の2つの外周面とによって画定されて当該中心軸に沿って突出する部位で構成されている。
【0008】
また、請求項2記載のプローブピンは、請求項1記載のプローブピンにおいて、前記接触部は、隣接する前記各外周面同士の交差部分の近傍に形成されている。
【0009】
また、請求項3記載のプローブピンは、請求項2記載のプローブピンにおいて、前記先端部は、隣接する前記各外周面同士が直角に交差するように形成されている。
【0010】
また、請求項4記載のプローブユニットは、請求項1から3のいずれかに記載のプローブピンと、当該プローブピンを支持する支持部とを備えたプローブユニットであって、前記支持部は、前記プローブピンの前記中心軸回りの回動を規制した状態で当該プローブピンの嵌合が可能な挿通孔および溝部のいずれか一方で形成された嵌合部を備えて、当該嵌合部に前記プローブピンを嵌合させた状態で当該プローブピンを支持可能に構成されている。
【0011】
また、請求項5記載のプローブユニットは、請求項4記載のプローブユニットにおいて、前記プローブピンは、前記断面形状が矩形となるように形成され、前記嵌合部は、前記プローブピンの前記断面形状と相補的な形状を有する前記挿通孔、および前記プローブピンの前記断面形状と相補的な形状を有する前記溝部のいずれか一方で形成されている。
【0012】
また、請求項6記載のプローブユニットは、請求項5記載のプローブユニットにおいて、前記支持部は、腕部を備えて構成され、前記嵌合部は、前記矩形の各辺が当該腕部の長さ方向に対して傾斜するように当該腕部に形成されている。
【0013】
また、請求項7記載の検査装置は、請求項4から6のいずれかに記載のプローブユニットと、当該プローブユニットを移動させて前記接触対象に前記プローブピンを接触させる移動機構と、前記プローブピンを介して入出力する電気信号に基づいて前記接触対象としての検査対象の検査を実行する検査部とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のプローブピン、および請求項4記載のプローブユニットでは、基端部の断面形状が非円形となるようにプローブピンが形成され、プローブピンの中心軸に対して傾斜する平面でプローブピンの先端部の一部を切り欠かいた2つの切り欠き面と先端部の2つの外周面とによって画定されて中心軸に沿って突出する部位で接触部が構成されている。このため、このプローブピンおよびプローブユニットによれば、基端部の断面形状が円形の構成と比較して、中心軸を中心としたプローブピンの回動を確実に防止することができるため、接触部の位置決めを確実に行うことができると共に、プローブピンの先端部における中心軸から偏心した位置に接触部を形成することができる。したがって、このプローブピンおよびプローブユニットによれば、隣接する2つのプローブユニットにおける各プローブピンの各接触部がそれぞれ対向する位置に各接触部を位置決めした状態で、各先端部における接触部の近傍の外周面同士を近づけることで、各プローブピンを接触対象に対して大きく傾斜させることなく、各接触部同士を十分に近接させた状態で接触対象に接触させることができる。この結果、このプローブピンおよびプローブユニットによれば、プローブピンにおける接触部以外の部位やプローブピンを支持する支持部が接触対象に近づいて、例えば、接触対象の近傍に実装されている電子部品等にプローブピンや支持部が接触して接触対象に接触部を接触させることが困難となる事態を回避して、接触部を接触対象に確実に接触させることができる。
【0015】
また、請求項2記載のプローブピン、および請求項4記載のプローブユニットによれば、先端部における隣接する各外周面同士の交差部分の近傍に接触部を形成したことにより、隣接する2つのプローブユニットの各プローブピンの各先端部における外周面同士の交差部分を近づけることで、各接触部同士をさらに近接させた状態で接触対象に接触させることができる。
【0016】
また、請求項3記載のプローブピン、および請求項4記載のプローブユニットによれば、隣接する各外周面同士が直角に交差するように先端部を形成したことにより、先端部を切り欠く加工を行う際に、先端部を正確に位置決めして保持することができるため、接触部を規定通りの形状に正確に形成することができる。
【0017】
また、請求項4記載のプローブユニット、および請求項7記載の検査装置によれば、プローブピンの中心軸回りの回動を規制した状態でプローブピンの嵌合が可能な嵌合部を備えて支持部を構成したことにより、嵌合部にプローブピンの基端部を嵌合させることで、接触部を予め決められた位置に確実に位置決めすることができる。
【0018】
また、請求項5記載のプローブユニット、および請求項7記載の検査装置によれば、断面形状が矩形となるようにプローブピンを形成し、プローブピンの断面形状と相補的な形状を有する挿通孔、およびプローブピンの断面形状と相補的な形状を有する溝部のいずれか一方で嵌合部を形成したことにより、例えば、プローブピンの断面形状、および挿通孔または溝部の断面形状が5角以上の多角形に形成された構成と比較して、中心軸から偏心している接触部の位置を把握し易いため、嵌合部にプローブピンを嵌合させて接触部の位置決めをする作業を容易に行うことができる。
【0019】
また、請求項6記載のプローブユニット、および請求項7記載の検査装置によれば、嵌合部の断面形状である矩形の各辺が腕部の長さ方向に対して傾斜するように嵌合部を腕部の一端部側に形成したことにより、矩形の各辺が腕部の長さ方向と平行な構成と比較して、接触部を腕部の幅方向の中心からより離間した位置に位置決めすることができる。このため、このプローブユニットおよび検査装置によれば、隣接する2つのプローブユニットの各挿通孔の対応する各辺同士が互いに逆向きに傾斜するように各挿通孔を形成することで、矩形の各辺が腕部の長さ方向と平行な構成と比較して、各プローブユニットの各プローブピンの各接触部同士をより近接させた状態で接触対象に接触させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、プローブピン、プローブユニットおよび検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、
図1に示す基板検査装置1の構成について説明する。基板検査装置1は、検査装置の一例であって、同図に示すように、2つのプローブユニット2,2、2つの移動機構3,3、操作部4、記憶部5、表示部6および処理部7を備えて、検査対象(接触対象でもある)の一例としての
図9に示す基板100の検査を実行可能に構成されている。
【0023】
プローブユニット2は、プローブユニットの一例であって、
図2に示すように、プローブピン21および支持部22を備えて構成されている。
【0024】
プローブピン21は、
図9に示すように、先端部21bに設けられた接触部31を接触対象(検査対象でもある)としての基板100の導体部101に接触させて導体部101との間で電気信号の入出力を行うためのプローブピンの一例であって、
図3〜
図7に示すように、柱状に形成されている。具体的には、プローブユニット2は、後述する切り欠き面S1〜S3の形成部位を除く基端部21aから先端部21bまでの各部位において、中心軸Aに直交する断面C(
図7参照)の断面形状が矩形(基端部21aの断面形状が非円形でかつ多角形の一例)となる形状(四角柱状)に形成されている。この場合、基端部21aの断面形状が矩形(非円形)となるようにプローブピン21を形成したとしたことにより、基端部21aの断面形状が円形の構成と比較して、支持部22によって支持された状態における中心軸Aを中心としたプローブピン21の回動を確実に防止することができるため、接触部31の位置決めを確実に行うことが可能となっている。
【0025】
また、このプローブピン21では、
図3〜
図7に示すように、中心軸Aに対して傾斜する平面で先端部21bの一部(各図において破線で示す部分)を切り欠くことによって形成された切り欠き面S1〜S3(以下、区別しないときには「切り欠き面S」ともいう)のうちの2つの切り欠き面S2,S3と、先端部21bにおける平面でそれぞれ構成された4つの外周面F1〜F4(以下、区別しないときには「外周面F」ともいう)のうちの2つの外周面F1,F4とによって画定されて、中心軸Aに沿って突出する部位で接触部31が構成されている。また、このプローブピン21では、隣接する各外周面F同士が直角に交差するように、つまり、
図7に破線で示すように、平面で切り欠かれる以前の先端部21bの断面形状が矩形となるように形成され、隣接する外周面F同士(この例では、外周面F1,F4同士)の交差部分の近傍に接触部31が形成されている。したがって、このプローブピン21では、中心軸A上に接触部31(円錐の頂点)が形成されている従来のプローブピンとは異なり、中心軸Aから偏心した位置(この例では、外周面F1,F4同士の交差部分の近傍の位置)に接触部31が形成されている。
【0026】
また、このプローブピン21では、先端部21bの一部を平面で切り欠くことによって接触部31が形成されている。つまり、このプローブピン21では、平面研削盤、フライス盤およびワイヤ放電加工機等の平面加工系の工作機械を用いて接触部31が形成されている。このため、このプローブピン21では、回転加工系の工作機械を用いること起因して中心軸A上に接触部31が形成される従来のプローブピンとは異なり、上記したように、中心軸Aから偏心した位置(この例では、外周面F1,F4同士の交差部分の近傍の位置)に接触部31を形成することが可能となっている。
【0027】
支持部22は、
図2に示すように、アーム41,42および連結部43,44を備えて、プローブピン21を支持可能に構成されている。
【0028】
アーム41,42は、腕部に相当し、
図2に示すように、角柱状にそれぞれ形成され、厚み方向(同図における上下方向)に沿って互いに離間する状態で配置されて、各々の基端部41a,42aが連結部43によって連結されると共に、各々の先端部41b,42bが連結部44によって連結されている。この場合、同図に示すように、基端部41a,42aと連結部43との連結部分、および先端部41b,42bと連結部44との連結部分は、プローブピン21の接触部31を基板100の導体部101に接触させた際の支持部22全体の弾性変形をし易くするために肉薄に形成されている。
【0029】
また、
図2に示すように、連結部44(アーム41,42の各先端部41b,42b側(一端部側))には、プローブピン21を挿通可能に挿通孔H(嵌合部の一例)がそれぞれ形成され、この挿通孔Hに挿通されたプローブピン21の基端部21a側がアーム41,42に固定されている。
【0030】
この場合、挿通孔Hは、
図8に示すように、プローブピン21の基端部21aの断面形状である矩形と相補的な矩形の断面形状を有し、基端部21aの嵌合が可能となっている。このため、プローブピン21は、挿通孔Hに基端部21aが挿通されて両者が嵌合した状態において、中心軸A回りの回動が規制されている。
【0031】
また、挿通孔Hは、
図8に示すように、挿通孔Hの断面形状である矩形の中心が支持部の幅方向の中心(同図に示す一点鎖線B上)に位置すると共に、矩形の各辺がアーム41,42の長さ方向(同図に示す一点鎖線Bの方向)に対して傾斜するように形成されている。この場合、この基板検査装置1では、同図に示すように、2つのプローブユニット2の各挿通孔Hの断面形状である各矩形における対応する各辺同士が互いに逆向きに傾斜するように各挿通孔Hが形成されている。このように挿通孔Hを形成することにより、
図9に示すように、2つのプローブユニット2における各支持部22の各連結部44同士を近接させて、各支持部22の各連結部43同士を離間させた状態(各プローブユニット2のアーム41,42が平面視V字状となる状態)でプローブユニット2の各プローブピン21の各先端部21b同士を近接させたときに、プローブピン21の中心軸Aから偏心した位置に形成されている各接触部31同士を十分に近接させることが可能となっている。
【0032】
移動機構3は、処理部7の制御に従ってプローブユニット2を移動させる。操作部4は、各種の指示操作が可能に構成され、指示操作がされたときに操作信号を出力する。記憶部5は、基板100における被接触位置(プローブピン21の接触部31を接触させる位置)としての導体部101(
図9参照)の座標を示す情報等を含む基板データDbを記憶する。表示部6は、処理部7の制御に従って検査結果等を表示する。
【0033】
処理部7は、操作部4から出力される操作信号に従い、基板検査装置1を構成する各部を制御する。また、処理部7は、検査部として機能し、基板100の被接触部に接触しているプローブピン21を介して入出力する電気信号に基づいて基板100の検査を実行する。
【0034】
次に、基板検査装置1を用いて、基板100を検査する方法、およびその際の基板検査装置1の各部の動作について、図面を参照して説明する。
【0035】
まず、基板100を図外の固定台に固定し、次いで、操作部4を操作して、検査の開始を指示する。この際に、操作部4が操作信号を出力し、処理部7が操作信号に従って検査処理を開始する。
【0036】
この検査処理では、処理部7は、記憶部5から基板データDbを読み出す。続いて、処理部7は、基板データDbに含まれる被接触位置としての基板100における導体部101の座標を示す情報に基づき、プローブユニット2を移動させるべき移動距離を特定する。
【0037】
次いで、処理部7は、各移動機構3を制御して、各プローブユニット2のプローブピン21の接触部31が導体部101の上方に位置するように各プローブユニット2を移動させる。続いて、処理部7は、各移動機構3を制御して、基板100に向けてプローブユニット2を移動(下降)させる。この際に、各プローブユニット2の下降に伴い、
図9に示すように、各プローブピン21の接触部31が基板100の導体部101に接触する。
【0038】
この場合、
図13に示すように、中心軸A上に接触部としての円錐の頂点が形成されている従来のプローブピン521では、2つのプローブピン521の接触部を互いに近接させた状態で基板100の導体部101に接触させる際に、基板100に対して各プローブピン521を大きく傾斜させる必要がある。このため、プローブピン521における接触部以外の部位やプローブピン521を支持する支持部が基板100に近づいて、導体部101の近傍に実装されている電子部品等にプローブピン521や支持部が接触して導体部101にプローブピン521の接触部31を接触させることが困難となるおそれがある。
【0039】
これに対して、このプローブピン21では、
図9に示すように、プローブピン21の先端部21bにおける中心軸Aから偏心した位置(外周面F1,F4同士の交差部分の近傍の位置)に接触部31が形成されている。このため、このプローブピン21では、同図に示すように、2つのプローブユニット2における各プローブピン21の各接触部31同士を近接させる際に、各プローブピン21の先端部21bにおける接触部31が形成されている外周面F同士(外周面F1,F4同士の交差部分)を近づけることで、各プローブピン21を基板100に対して大きく傾斜させることなく(小さな傾斜で)、各プローブピン21の各接触部31同士を十分に近接させた状態で基板100の導体部101に接触させることが可能となっている。したがって、このプローブピン21では、プローブピン21における接触部31以外の部位やプローブピン21を支持する支持部22が基板100に近づいて、導体部101の近傍に実装されている電子部品等にプローブピン21や支持部22が接触して導体部101にプローブピン21の接触部31を接触させることが困難となる事態を確実に回避することが可能となっている。
【0040】
次いで、処理部7は、各移動機構3を制御して、予め決められた距離だけ各プローブユニット2を下降させた時点で下降を停止させる。続いて、処理部7は、各プローブピン21を介して検査用の電気信号を出力し、その際に各プローブピン21を介して入力する電気信号に基づいて基板100の検査(例えば、被接触位置の導通状態)を実行する。次いで、処理部7は、表示部6を制御して、検査結果を表示させる。
【0041】
続いて、処理部7は、各移動機構3を制御して、基板100から離間する向きに各プローブユニット2を移動(上昇)させ、基板100に対する各接触部31の接触を解除させる。次いで、処理部7は、各プローブユニット2を初期位置に移動させ、検査処理を終了する。
【0042】
このように、このプローブピン21、プローブユニット2および基板検査装置1では、基端部21aの断面形状が非円形となるようにプローブピン21が形成され、中心軸Aに対して傾斜する平面でプローブピン21の先端部21bの一部を切り欠いた2つの切り欠き面Sと先端部21bの2つの外周面Fとによって画定されて中心軸Aに沿って突出する部位で接触部31が構成されている。このため、このプローブピン21、プローブユニット2および基板検査装置1によれば、基端部21aの断面形状が円形の構成と比較して、中心軸Aを中心としたプローブピン21の回動を確実に防止することができるため、接触部31の位置決めを確実に行うことができると共に、プローブピン21の先端部21bにおける中心軸Aから偏心した位置に接触部31を形成することができる。したがって、このプローブピン21、プローブユニット2および基板検査装置1によれば、隣接する2つのプローブユニット2における各プローブピン21の各接触部31がそれぞれ対向する位置に各接触部31を位置決めした状態で、各先端部21bにおける接触部31が形成されている外周面F同士を近づけることで、各プローブピン21を基板100に対して大きく傾斜させることなく、各接触部31同士を十分に近接させた状態で基板100の導体部101に接触させることができる。この結果、このプローブピン21、プローブユニット2および基板検査装置1によれば、プローブピン21における接触部31以外の部位やプローブピン21を支持する支持部22が基板100に近づいて、導体部101の近傍に実装されている電子部品等にプローブピン21や支持部22が接触して導体部101に接触部31を接触させることが困難となる事態を回避して、接触部31を基板100の導体部101に確実に接触させることができる。
【0043】
また、このプローブピン21、プローブユニット2および基板検査装置1によれば、先端部21bにおける隣接する外周面F1,F4同士の交差部分の近傍に接触部31を形成したことにより、隣接する2つのプローブユニット2の各プローブピン21の各先端部21bにおける外周面F1,F4同士の交差部分を近づけることで、各接触部31同士をさらに近接させた状態で導体部101に接触させることができる。
【0044】
また、このプローブピン21、プローブユニット2および基板検査装置1によれば、隣接する各外周面F同士が直角に交差するように先端部21bを形成したことにより、先端部21bを切り欠く加工を行う際に、先端部21bを正確に位置決めして保持することができるため、接触部31を規定通りの形状に正確に形成することができる。
【0045】
また、このプローブユニット2および基板検査装置1によれば、プローブピン21の中心軸A回りの回動を規制した状態でプローブピン21の嵌合が可能な挿通孔Hで形成された嵌合部を備えて支持部を構成したことにより、挿通孔Hにプローブピンを挿通させて嵌合させることで、接触部31を予め決められた位置に確実に位置決めすることができる。
【0046】
また、このプローブユニット2および基板検査装置1によれば、基端部21aの断面形状が矩形となるようにプローブピン21の基端部21aを形成し、基端部21aの断面形状と相補的な形状を有する挿通孔Hで嵌合部を形成したことにより、例えば、基端部21aの断面形状および挿通孔Hの断面形状が5角以上の多角形に形成された構成と比較して、中心軸Aから偏心している接触部31の位置を把握し易いため、挿通孔Hにプローブピン21の基端部21aを挿通させて接触部31の位置決めをする作業を容易に行うことができる。
【0047】
また、このプローブユニット2および基板検査装置1によれば、挿通孔Hの断面形状である矩形の各辺がアーム41,42の長さ方向に対して傾斜するように挿通孔Hをアーム41,42の先端部41b,42b側に形成したことにより、矩形の各辺がアーム41,42の長さ方向と平行な構成と比較して、接触部31をアーム41,42の幅方向の中心からより離間した位置に位置決めすることができる。このため、このプローブユニット2および基板検査装置1によれば、隣接する2つのプローブユニット2の各挿通孔Hの対応する各辺同士が互いに逆向きに傾斜するように各挿通孔Hを形成することで、矩形の各辺がアーム41,42の長さ方向と平行な構成と比較して、各プローブユニット2の各プローブピン21の各接触部31同士をより近接させた状態で導体部101に接触させることができる。
【0048】
なお、プローブピンおよびプローブユニットは、上記の構成に限定されない。例えば、基端部21aの断面形状が矩形となり、かつ切り欠かれる以前の先端部21bの断面形状が矩形となる(先端部21bの外周面Fが平面でかつ隣接する外周面F同士が直角に交差する)ようにプローブピン21を形成した例について上記したが、基端部21aの断面形状および切り欠かれる以前の先端部21bの断面形状が矩形以外の多角形(3角形および5角以上の多角形)となるように形成したプローブピンを採用することもできる。一例として、
図10に示すプローブピン121を採用することができる。なお、以下の説明において、上記したプローブユニット2およびプローブピン21と同様の構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0049】
この場合、プローブピン121は、
図10に示すように、基端部121aの断面形状および切り欠かれる以前の先端部121bの断面形状が3角形(矩形以外の多角形の一例)となるように形成されている。また、このプローブピン121では、中心軸Aに対して傾斜する平面で先端部121bの一部(同図において破線で示す部分)を切り欠くことによって形成された2つの切り欠き面S4,S5(以下、区別しないときには「切り欠き面S」ともいう)と、平面で構成された先端部121bの外周面F5〜F7(以下、区別しないときには「外周面F」ともいう)のうちの2つの外周面F5,F6とで画定されて、中心軸Aに沿って突出する部位で接触部131が構成されている。また、このプローブピン121では、隣接する外周面F5,F6同士の交差部分の近傍に接触部131が形成されている。
【0050】
また、先端部21bの外周面Fが平面でそれぞれ構成されている例について上記したが、外周面Fの1または複数が曲面で構成されている構成を採用することができる。
【0051】
また、基端部21a側の断面形状(第1断面形状)と先端部21b側との断面形状(第2断面形状)とが同じ形状(非円形の形状)となるようにプローブピン21,121を形成した例について上記したが、第1断面形状と第2断面形状とが異なる形状(非円形の形状)となるように形成したプローブピンを採用することもできる。一例として、第1断面形状を楕円形とし、第2断面形状を多角形(一例として、矩形)とする構成を採用することができる。
【0052】
また、挿通孔Hの断面形状である矩形の各辺がアーム41,42の長さ方向に対して傾斜するように挿通孔Hを形成した例について上記したが、矩形の各辺がアーム41,42の長さ方向と平行または直交するように挿通孔Hを形成した構成を採用することもできる。
【0053】
また、断面形状が矩形の挿通孔Hをアーム41,42に形成した例について上記したが、プローブピンにおける挿通孔Hに嵌合する部分の断面形状が矩形以外の形状のときには、その断面形状と相補的な形状の挿通孔Hをアーム41,42に形成する構成を採用することができる。
【0054】
また、
図11に示すように、挿通孔Hに代えて、溝部G(嵌合部の他の一例)が連結部144の側面144aに形成された支持部122を備えたプローブユニット102を採用することもできる。この場合、溝部Gは、プローブピン21の基端部21aの断面形状である矩形と相補的な矩形の断面形状を有し、基端部21aの嵌合が可能となっている。このため、プローブユニット102においても、溝部Gに基端部21aを嵌め込んで両者を嵌合させることで、中心軸A回りのプローブピン21の回動を確実に規制することが可能となっている。
【0055】
なお、溝部Gの断面形状を上方から見たときに、断面形状である矩形の各辺がアーム41,42の長さ方向に対して傾斜するように溝部Gを形成することもできる。この場合、2つのプローブユニット102の各溝部Gの断面形状である各矩形における対応する各辺同士が互いに逆向きに傾斜するように各溝部Gを形成することで、上記した各プローブユニット2を用いるときと同様にして、プローブピン21の中心軸Aから偏心した位置に形成されている各接触部31同士を十分に近接させることができる。
【0056】
また、2つのプローブユニット2を備えた基板検査装置1を例に挙げて説明したが、3つ以上のプローブユニット2を備えた基板検査装置においても上記した各効果を実現することができる。