特開2019-139622(P2019-139622A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-139622安全歩行通路における注意喚起システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-139622(P2019-139622A)
(43)【公開日】2019年8月22日
(54)【発明の名称】安全歩行通路における注意喚起システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20190726BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
   G08B21/24
   G08G1/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-23863(P2018-23863)
(22)【出願日】2018年2月14日
(71)【出願人】
【識別番号】318001212
【氏名又は名称】東海安全警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】小林 宣一
【テーマコード(参考)】
5C086
5H181
【Fターム(参考)】
5C086AA53
5C086CA09
5C086CA12
5C086CA28
5C086CB16
5C086CB26
5C086CB36
5C086DA33
5C086EA45
5C086FA02
5C086FA07
5C086FA12
5H181AA21
5H181CC02
5H181CC04
5H181CC11
5H181LL07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】警備員が行ってきた人的作業、すなわち通行者への注意喚起を警備員に代えて行わせることができる安全歩行通路における注意喚起システムを提供する。
【解決手段】通行者Tの安全歩行通路Aへの進入を検知する、カメラ3を利用した進入検知手段と、検知された通行者に聴覚または視覚を通じて注意喚起する、スピーカ7を利用した注意喚起手段とで構成された注意喚起装置13を備える。更に、無線機15、21を利用して、進入検知手段で通行者の進入を検知すると、無線を介してその旨を遠隔通報する遠隔通報手段と、通報を受けて、ブザー29を利用した報知手段とで構成された監視装置を備える。通行者の安全歩行通路への進入を検知したときにのみメッセージが流れるので、すなわち、メッセージを垂れ流すのではないので、通行者の頭に入り易くなっている。また、警備員Kは、無線機21でこの通報を受け取ることで、別の進入口の状況を知ることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行者の安全歩行通路への進入を検知する進入検知手段と、前記進入検知手段で検知された通行者に聴覚または視覚を通じて注意喚起する注意喚起手段とで構成された注意喚起装置を備えることを特徴とする、安全歩行通路における注意喚起システム。
【請求項2】
請求項1に記載の注意喚起システムにおいて、
進入検知手段は、通行者を撮影するカメラと、前記カメラで得られた画像の変化を解析して通行者の進入を検知する解析部を利用して構成されていることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の注意喚起システムにおいて、
注意喚起手段は、メッセージを発するスピーカを利用して構成されていることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の注意喚起システムにおいて、
進入検知手段で通行者の進入を検知すると、無線を介してその旨を遠隔通報する遠隔通報手段と、前記遠隔通報手段からの通報を受けて聴覚または視覚を通じて知らせる報知手段とで構成された監視装置を備えることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項5】
請求項4に記載の注意喚起システムにおいて、
遠隔通報手段による通報の受け部と、前記通報を受けて聴覚または視覚を通じて知らせる報知手段とが、携帯端末で一体化されて構成されていることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項6】
請求項5に記載の注意喚起システムにおいて、
複数の注意喚起装置を備えており、各注意喚起装置の遠隔通報手段による通報情報には装置の識別情報が含まれていることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項7】
請求項4から6のいずれかに記載の注意喚起システムにおいて、
注意喚起装置の遠隔通報手段には、通報するか否かを判断する通報判断機能が備えられており、通報すべきと判断したときに通報することを特徴とする注意喚起システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全歩行通路に進入する通行者に注意を喚起する注意喚起システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路工事の現場等においては、通行を確保するために、車道にロードコーン等を設置して車の走行を規制し、そこを安全歩行通路とすることがある。
この安全歩行通路の両端には、警備員を配置して、歩行者や自転車に乗った人等に声掛けして注意喚起することが安全確保上望ましいとされている。
しかしながら、近年は労働者不足が深刻化しており、警備員に十分な人数を確保することが難しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−339136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、道路工事の現場等において、所定の事項を遠くからも視認できる保安用標示板が記載されている。これは近傍を通過する自動車等のドライバーに対して効果的に注意を喚起したりできるよう工夫されたものである。しかしながら、通行者に対しては、如何に工夫しようとも標示板だけでは見過ごされたり、誤解されたりする可能性があることが従来から指摘されており、そのために、上記したように警備員が配置されていた。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、警備員が行ってきた人的作業、すなわち通行者への注意喚起を警備員に代えて行わせることができる安全歩行通路における注意喚起システムの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1の発明は、通行者の安全歩行通路への進入を検知する進入検知手段と、前記進入検知手段で検知された通行者に聴覚または視覚を通じて注意喚起する注意喚起手段とで構成された注意喚起装置を備えることを特徴とする、安全歩行通路における注意喚起システムである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の注意喚起システムにおいて、進入検知手段は、通行者を撮影するカメラと、前記カメラで得られた画像の変化を解析して通行者の進入を検知する解析部を利用して構成されていることを特徴とする注意喚起システムである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の注意喚起システムにおいて、注意喚起手段は、メッセージを発するスピーカを利用して構成されていることを特徴とする注意喚起システムである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の注意喚起システムにおいて、進入検知手段で通行者の進入を検知すると、無線を介してその旨を遠隔通報する遠隔通報手段と、前記遠隔通報手段からの通報を受けて聴覚または視覚を通じて知らせる報知手段とで構成された監視装置を備えることを特徴とする注意喚起システムである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載の注意喚起システムにおいて、遠隔通報手段による通報の受け部と、前記通報を受けて聴覚または視覚を通じて知らせる報知手段とが、携帯端末で一体化されて構成されていることを特徴とする注意喚起システムである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の注意喚起システムにおいて、複数の注意喚起装置を備えており、各注意喚起装置の遠隔通報手段による通報情報には装置の識別情報が含まれていることを特徴とする注意喚起システムである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項4から6のいずれかに記載の注意喚起システムにおいて、注意喚起装置の遠隔通報手段には、通報するか否かを判断する通報判断機能が備えられており、通報すべきと判断したときに通報することを特徴とする注意喚起システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の安全歩行通路における注意喚起システムを利用すれば、従来警備員が行ってきた通行者への注意喚起を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る注意喚起システムの構成図である。
図2図1の注意喚起システムを利用した、第1例の現場イメージ図である。
図3図1の注意喚起システムを利用した、第2例の現場イメージ図である。
図4図1の注意喚起システムを利用した、第3例の現場イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る注意喚起システム1を、図面にしたがって説明する。
図1に示すように、注意喚起システム1は、通行者の安全歩行通路への進入を検知する進入検知手段を備える。この進入検知手段としては、カメラ、赤外線センサー、音波センサー等の機器を利用して構成することが可能となっているが、この実施の形態では、カメラ3を利用して構成している。このカメラ3で通行者を撮影し、得られた画像の変化を解析部5で解析して通行者の進入を精度高く検知している。
【0016】
また、注意喚起手段を備える。この注意喚起手段は、聴覚または視覚を通じて注意を喚起するものであり、音声メッセージの発動、LEDライトの点滅等によるが、この実施の形態では、音声メッセージを発するスピーカ7を利用して構成している。音声メッセージの内容は、「工事中につき、お気を付けてお通りください。」といったような、警備員が実際に声掛けしていた内容と同様なものである。
音声出力部9に、解析部5から通行者の進入が知らされると、上記した音声メッセージを出力して、スピーカ7から発するようになっている。
【0017】
解析部5、音声出力部9は、CPU、ROMおよびRAMなどを備えたマイクロコンピュータで構成されている。すなわち、これらの処理部による処理はCPUによって実行されるプログラムによってソフトウエア的に実現されている。このマイクロコンピュータは、可搬性のボックス11に収納されている。
【0018】
上記のカメラ3、スピーカ7、およびボックス11は、通行者への注意喚起装置13として、安全歩行通路への進入口側に設置することが想定されている。
カメラ3とスピーカ7は、ボックス11内から引き出されたケーブルで有線接続されており、ボックス11から離すことができる。従って、カメラ3やスピーカ7を、通行者の安全歩行通路への進入を検知し、注意喚起するのに最適な箇所を見つけ、路上に直接または架台を介して設置することができる。
【0019】
更に、遠隔通報手段を備える。この遠隔通報手段による通報の発し側を、無線機15を利用して構成している。この無線機15は注意喚起装置13の解析部5と有線接続されており、解析部5から通行者の進入が送受信部17に知らされると、その旨の通報信号を電波に乗せて、アンテナ19から送出する。
【0020】
遠隔通報手段による通報の受け側を、携帯タイプの無線機21を利用して構成している。この無線機21は、上記した無線機15と同じ機種になっているが、独立した監視装置として利用しており、遠隔通報手段を構成する送受信部23と、アンテナ25だけでなく、報知手段を標準装備のものを利用して構成している。
この報知手段は、通報を受けて聴覚または視覚を通じて知らせるものであり、ブザー音の鳴動、LEDライトの点滅等によるが、この実施の形態では、ブザー29を利用して構成している。
ブザー音出力部27が送受信部23を介して通報を受けると、上記したブザー音を出力して、ブザー29から発するようになっている。無線機21には、マイクロコンピュータが標準装備されており、このブザー音出力部27はこのマイクロコンピュータを利用して上記と同様に実現されている。
【0021】
なお、遠隔通報手段で生成される通報の信号には、識別情報が含まれており、無線機21のブザー音出力部27では、識別情報に対応して、各別にブザー音を生成するようになっている。従って、複数の箇所に注意喚起設置13を設置した場合では、何処に設置した注意喚起装置13からの通報かが分かるようになっている。
【0022】
無線機21は、警備員が所持することが想定されている。
【0023】
注意喚起システム1は、上記のように構成されており、図2図3図4がこの利用例を示している。
いずれも、歩道(F)側を工事しており、歩道(F)と車道(S)との境界上と、車道(S)上にそれぞれロードコーン(R)を複数設置して、その間を安全歩行通路(A)としている。この安全歩行通路(A)は通行を確保するためのものであり、そこを利用して、通行者は、歩行したり、自転車、車いす、セニアカーに乗りながら通り過ぎる。
【0024】
図2では、安全歩行通路(A)の一方の進入口の近傍に、注意喚起装置13(カメラ3、スピーカ7、およびボックス11)が設置されている。そして、他方の進入口の近傍に、警備員(K)が立っている。この警備員(K)は無線機21を所持している。
安全歩行通路(A)の一方の進入口から進入しつつある通行者(T)は、カメラ3で撮影され、スピーカ7から発せられたメッセージを聞き取ることになる。また、警備員(K)は、この通行者(T)の存在を、携帯している無線機21のブザー29から発せられたブザー音により、確認することができる。従って、他方の進入口から、通行者(T)が幅を取る車いすやセニアカーに乗って進入しようとしている場合には、その状況を説明して注意を促すと共に、場合によっては待つよう指示を出し、狭い安全歩行道路(A)でのすれ違いを事前に避けることができる。
【0025】
図3では、安全歩行通路(A)の両方の進入口の近傍に、注意喚起装置13(カメラ3、スピーカ7、およびボックス11)がそれぞれ設置されている。そして、安全歩行通路(A)の中間に、警備員(K)が立っている。
安全歩行通路(A)の進入口から進入しつつある通行者(T)は、どちらの進入口からでも、カメラ3で撮影され、スピーカ7から発せられたメッセージを聞き取ることになる。また、警備員(K)は、中間に立っているので、安全歩行通路(A)の長さによっては、メッセージを直接聞き取ることができる。聞き取れる場合には、警備員(K)の前を通り過ぎようとしている通行者(T)に、先方側から通行者(T)が向かっているときにはその旨を知らせて注意を促すことができる。
【0026】
図4では、安全歩行通路(A)の両方の進入口の近傍に、注意喚起装置13(カメラ3、スピーカ7、およびボックス11)がそれぞれ設置されている。そして、安全歩行通路(A)の中間に、警備員(K)が立っている。この警備員(K)は無線機21を所持している。
安全歩行通路(A)の進入口から進入しつつある通行者(T)は、どちらの進入口からでも、カメラ3で撮影され、スピーカ7から発せられたメッセージを聞き取ることになる。また、警備員(K)は、安全歩行通路(A)が長い場合でも、無線機21から発するブザー音の種類で、どちらの方向から向かってくる通行者(T)がいるかを確認できるので、警備員(K)の前を通り過ぎようとしている通行者(T)に、先方側から通行者(T)が向かっているときにはその旨を知らせて注意を促すことができる。
【0027】
安全歩行通路(A)を設けた場合には、最低でもその進入口の両側、また安全歩行通路(A)が長い場合には、その途中でも、警備員(K)を配置していたが、上記のように、注意喚起システム1を利用すれば、警備員(K)の仕事を機械的に代替させて、警備員(K)の人数を減らすことができる。また、通行者(T)の安全歩行通路(A)への進入を検知したときにのみメッセージが流れるので、すなわち、メッセージを垂れ流すのではないので、通行者(T)の頭に入り易くなっているだけでなく、電力を無駄に消費することもない。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。また、本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
例えば、解析部5に通報判断機能を備えさせ、通行者(T)の進入を検知すると全て一律に通報を発することはせず、警備員(K)に知らせるべきか否かを判断するように構成してもよい。安全歩行通路(A)の進入口付近で立ち止まっていたり、安全歩行通路(A)の外側を通行しようとする通行者(T)を検知した場合にのみ通報するようにすれば、その場合のみ警備員(K)が駆けつけて適切に誘導できる。このように、通報を駆けつけ指示として利用することも考えられる。
【符号の説明】
【0029】
1…注意喚起システム 3…カメラ 5…解析部 7…スピーカ
9…音声出力部 11…ボックス 13…注意喚起装置 15…無線機
17…送受信部 19…アンテナ 21…無線機(監視装置)
23…送受信部 25…アンテナ 27…ブザー音出力部 29…ブザー
F…歩道 S…車道 R…ロードコーン A…安全歩行道路
K…警備員 T…通行者
図1
図2
図3
図4