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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-140025(P2019-140025A)
(43)【公開日】2019年8月22日
(54)【発明の名称】セラミックデバイス
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/03 20060101AFI20190726BHJP
   H05B 3/18 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
   H05B3/03
   H05B3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-23975(P2018-23975)
(22)【出願日】2018年2月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 治英
(72)【発明者】
【氏名】井戸 義幸
(72)【発明者】
【氏名】杉本 圭三
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP16
3K092QA01
3K092QA02
3K092QC42
3K092VV31
(57)【要約】
【課題】端子部と導電材とを接合するろう材におけるボイドの発生を抑制可能としたセラミックデバイスを提供する。
【解決手段】セラミックデバイスは、発熱部20の端子部22にろう材40によって接合される導電材30を備える。導電材30の接合部33を端子部22の直上に位置させた状態とした場合に、接合部33の先端面34よりも下側に位置する水平面を仮想水平面50と規定したとき、先端面34は、先端面34の所定の第1地点から、先端面34の外周に位置する所定の第2地点側に向かって、仮想水平面50との間隔が徐々に広がるように、仮想水平面50に対して傾斜する傾斜面34aを備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックからなる基体と、
当該基体に規定のヒータパターンにより形成された発熱抵抗体を備える発熱部と、
当該発熱部の端子部にろう材によって接合され、当該端子部を電源に接続する導電材とを備えるセラミックデバイスにおいて、
前記導電材は、柱状の接合部を備えるとともに、前記接合部の先端面において前記端子部に接合され、
前記接合部を前記端子部の直上に位置させた状態とした場合に、前記接合部の前記先端面よりも下側に位置する水平面を仮想水平面と規定したとき、
前記先端面は、前記先端面の所定の第1地点から、前記先端面の外周に位置する所定の第2地点側に向かって、前記仮想水平面との間隔が徐々に広がるように、前記仮想水平面に対して傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とするセラミックデバイス。
【請求項2】
前記傾斜面は、平面状に構成されている請求項1に記載のセラミックデバイス。
【請求項3】
前記導電材の前記先端面は、全面が一様に傾斜している請求項2に記載のセラミックデバイス。
【請求項4】
前記傾斜面における前記仮想水平面に対しての傾斜角度は、1度以上且つ20度以下の範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミックデバイス。
【請求項5】
前記基体は、柱状に構成され、
前記導電材は、前記基体の長手方向に延びる本体部と、前記本体部と前記接合部を連結する連結部とを備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミックデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のセラミックデバイスとしてのセラミックヒータは、セラミックの基体に、高融点金属からなる発熱抵抗体(発熱部)が設けられている。発熱部の端子部には、端子部に電源を接続する導電材が接合されている。導電材は、基体の長手方向に延びる本体部と、その本体部に対して交差する方向に延びる接合部とを備えた形状に形成されている。導電体は、接合部がろう材によって端子部に接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−16744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のセラミックデバイスにおいて、接合部を端子部の直上に位置させた状態とした場合に、接合部の先端面よりも下側に位置する水平面を仮想水平面と規定したとき、導電材の接合部の先端面は、仮想水平面に対して平行になっている。そのため、ろう付けのときに溶融させたろう材が再凝固するまでの間に、気泡等が導電材の先端面と端子部との間に滞留しやすい。滞留した気泡等は、ろう材が凝固した後、空隙(ボイド)となる。ボイドは、端子部と導電材との接合強度を低下させるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであって、その目的は、ろう材におけるボイドの発生を抑制可能にしたセラミックデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するセラミックデバイスは、セラミックからなる基体と、当該基体に規定のヒータパターンにより形成された発熱抵抗体を備える発熱部と、当該発熱部の端子部にろう材によって接合され、当該端子部を電源に接続する導電材とを備えるセラミックデバイスにおいて、上記導電材は、柱状の接合部を備えるとともに、上記接合部の先端面において上記端子部に接合され、上記接合部を上記端子部の直上に位置させた状態とした場合に、上記接合部の先端面よりも下側に位置する水平面を仮想水平面と規定したとき、上記先端面は、上記先端面の所定の第1地点から、上記先端面の外周に位置する所定の第2地点側に向かって、上記仮想水平面との間隔が徐々に広がるように、上記仮想水平面に対して傾斜する傾斜面を備えていることを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、導電材の先端面に仮想水平面に対して傾斜する傾斜面を備えているため、気泡等の抜けを良くすることができる。これにより、ボイドの形成を抑制することができる。そのため、ボイドを起因とする端子部と導電材との接合強度低下を抑制することができる。また、傾斜面を備えた導電材の先端面は、ろう材との接触面積を増加させることが可能になるため、接合強度の確保に有利である。
【0008】
本発明のセラミックデバイスにおいて、上記傾斜面は、形状は特に限定されないが、特に、平面状に構成されていることが好ましい。この構成によれば、気泡等が抜け易くボイドの形成を抑制することができるからである。また、導電材の先端面の加工が容易になる。そのため、製造コストの低減に寄与する。
【0009】
本発明のセラミックデバイスにおいて、上記導電材の上記先端面は、一部分が傾斜していれば良いが、特に、全面が一様に傾斜していることが好ましい。この構成によれば、導電材の先端面の全面において、気泡等が抜け易くボイドの形成を抑制することができるからである。また、導電材の先端面の加工が一層容易で済む。そのため、製造コストの低減に寄与する。
【0010】
本発明のセラミックデバイスにおいて、上記傾斜面における上記仮想水平面に対しての傾斜角度は、1度以上且つ20度以下の範囲であることが好ましい。この構成によれば、気泡等が抜け易く、ボイドの残留を抑制することができるからである。また、先端面のろう材との接触面積を増加させることが可能になるので端子部と導電材との接合強度の確保に有利である。また、ろう材の厚みが過剰に大きくなることによる接合強度の低下を抑制できる。
【0011】
さらに、前記傾斜面における前記仮想水平面に対しての傾斜角を、3度以上且つ15度以下の範囲とすることで、ろう材内にボイドが形成されにくくなる。また、導電材の材質、大きさ等に関わらず、端子部と導電材との接合強度の低下を抑制しやすくなる。
【0012】
本発明のセラミックデバイスにおいて、上記基体は、柱状に構成され、上記導電材は、上記基体の長手方向に延びる本体部と、上記本体部と上記接合部を連結する連結部とを備えることが好ましい。この構成によれば、連結部は、導電材の接合部と本体部との間において、約90度湾曲した形状となるため、導電材の本体部側から接合部側へ伝わる振動や、導電材の接合部側から本体部側へ伝わる振動を連結部で緩和することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のセラミックデバイスによれば、端子部と導電材とを接合するろう材におけるボイドの発生を抑制することができる。そのため、端子部と導電材との接合強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の一例であるセラミックデバイスの斜視図。
図2】実施形態の一例である導電材の接合前を示す側視図。
図3】実施形態の一例である導電材の先端面近傍の断面図。
図4】実施形態の一例である導電材と端子部との接合後を示す断面図。
図5】実施形態の一例であるセラミックデバイスの導電材と端子部との接合手順フロー図。
図6】実施形態の一例である導電材の気泡等の抜けを示す断面図。
図7】別の実施形態である導電材の先端面近傍の断面図。
図8】別の実施形態である導電材の先端面近傍の断面図。
図9】別の実施形態である導電材の先端面近傍の断面図。
図10】別の実施形態である導電材の先端面近傍の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
セラミックデバイスの一実施形態を、図1〜4に従って説明する。
図1に示すように、セラミックデバイス1は、セラミックからなる柱状の基体10を備えている。基体10は、軸方向における一端側に配置された径の大きい大径部10Aと、他端側に配置された径の小さい小径部10Bとを備えている。基体10を構成するセラミックは、例えば、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト等の酸化物セラミックが挙げられる。
【0016】
基体10には、規定のヒータパターンに形成された発熱抵抗体21を備える発熱部20が設けられている。発熱抵抗体21は、基体10の大径部に配置されるとともに、ヒータパターンとして例えば櫛歯形状に形成されている。発熱抵抗体21の一対の端部は、端子部22として形成されるとともに、基体10の小径部10Bに配置されている。発熱部20の材料としては、高融点金属材料が用いられ、例えばタングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、チタン、レニウム、ニッケル、クロム等が挙げられる。
【0017】
端子部22には、端子部22を電源(不図示)に接続する柱状の導電材30が接合されている。導電材30は、例えばニッケルや、コバール等のニッケル合金、鉄、鉄合金等の導電性材料からなる。
【0018】
図2〜4に示すように、導電材30は、基体10の長手方向に対して直交する方向に沿って端子部22から立ち上がる柱状の接合部33と、基体10の長手方向に延びる本体部31と、接合部33及び本体部31を連結する湾曲した連結部32とを備える。すなわち、連結部32は、基体10の長手方向に対して直交する方向と、基体10の長手方向との間において、約90度湾曲するように構成されている。導電材30は、接合部33の先端面34において発熱部20の端子部22に接合されている。導電材30の接合部33は、ろう材40によって端子部22に接合されている。
【0019】
図3に示すように、導電材30の接合部33の先端面34は、先端面34の所定の第1地点P1から、先端面34の外周に位置する所定の第2地点P2側に向かって、仮想水平面50との間隔Lが徐々に広がるように、仮想水平面50に対して傾斜する傾斜面34aを備えている。ここで、第1地点P1は、傾斜面34aにおいて最も仮想水平面50に近い点である。なお、仮想水平面50は、接合部33を端子部22の直上に位置させた状態とした場合に、接合部33の先端面34よりも下側に位置する水平面によって規定されている。
【0020】
また、第1地点P1と第2地点P2とを通る直線と仮想水平面50とのなす角度を、仮想水平面50に対する傾斜面34aの傾斜角度θとする。
導電材30の接合部33は、先端に巻き付けられたフィルム状のろう材40を溶融・再凝固することにより、端子部22に接合される。ろう材40には、例えば金(Au)と銅(Cu)の合金である金ろうが使用でき、金(Au)の組成比が25〜75%の範囲が好適である。この組成範囲では、ろう材40は800〜1200℃の温度でろう付けが可能となる。
【0021】
導電材30の接合部33における傾斜面34aは、平面状に構成されている。また、導電材30の接合部33における先端面34は、仮想水平面50に対して全体が一様に傾斜している。また、傾斜面34aにおける仮想水平面50に対しての傾斜角度θは、仮想水平面50に対して1度以上且つ20度以下の範囲に設定されている。なお、さらに好適には、傾斜角度θは3度以上且つ15度以下の範囲に設定されていることが好ましい。
【0022】
導電材30と端子部22の接合手順について、図5を用いてさらに詳細に説明する。
図5に示すように、導電材成形工程S101において、導電材30は、曲げ成形されることにより、上述の本体部31と接合部33と連結部32とを有する形状に成形される。このとき、導電材30の先端面34は、傾斜角度θを持つように切断される。
【0023】
その後、ろう材巻きつけ工程S102において、導電材30の接合部33先端にフィルム状のろう材40が巻きつけられる。
一方で、基体成形工程S103において、セラミックデバイス1の基体10は、発熱部20が形成され、棒状に成形される。発熱部20の形成方法としては、例えば、公知のスクリーン印刷が用いられる。また、基体10の成形方法としては、例えばシート状のセラミック材料を同じくセラミックス材料からなる芯材(不図示)に巻きつける方法が挙げられる。
【0024】
その後、焼成工程S104において、基体10は焼成され、発熱部20は基体10に一体に形成される。これにより、基体10及び発熱部20の成形体は、セラミック化する。なお、焼成工程S104における焼成条件は、特に限定されず、セラミックデバイス1の用途などに応じて適宜設定される。
【0025】
次に、治具組み付け工程S105において、基体10と導電材30とが治具上に配置され位置決めされる。導電材30は、端子部22の上方に配置される。すなわち、導電材30の接合部33における先端面34が下方を向き、端子部22と対向するように配置される。
【0026】
最後に、ろう付け(連続炉)工程S106において、治具上に配置された基体10と導電材30は、1000℃の連続炉に入れられ、ろう材40が溶融・再凝固することで導電材30(接合部33)と端子部22とが接合される。本実施形態では、連続炉内は水素ガスにより還元雰囲気となっている。ろう付け(連続炉)工程S106の後、ろう材40は、導電材30の先端面34と端子部22との間に介在する介在部41となり、端子部22と導電材30とを接合する。すなわち、導電材30の先端面34と端子部22とは、ろう材40によって接触しないように離れているものの、介在部41によって接合される。
【0027】
上記の工程を経ることにより、セラミックからなる基体と、当該基体に規定のヒータパターンにより形成された発熱抵抗体を備える発熱部と、当該発熱部の端子部にろう材によって接合され、当該端子部を電源に接続する導電材とを備えるセラミックデバイスを得ることができる。導電材の接合部の先端面は、先端面の所定の第1地点から、先端面の外周に位置する所定の第2地点側に向かって、仮想水平面との間隔が徐々に広がるように、仮想水平面に対して傾斜する傾斜面を備えたものとなる。セラミックデバイスの用途としては、特に限定されず、導電パターンが配された基体と導電材との接続構造を有する各種用途に用いることができる。導電パターンが配された基体と導電材との接続構造を有する用途としては、例えば、セラミックヒータや、セラミックセンサなどが挙げられる。
【0028】
本実施形態の作用及び効果について記載する。
(1)図6に示すように、導電材の先端面は、傾斜面34aを有し仮想水平面50に対して傾斜角度θを有している。そのため、例えば、上記ろう付け(連続炉)工程S106で溶融したろう材中に気泡(本実施形態では水素ガス)が存在しても、傾斜に沿って(図6中の矢印K方向)気泡が抜けやすくなる。これにより、再凝固したろう材の介在部には、ボイドが形成されにくくなる。このように、導電材の先端面が仮想水平面に対して傾斜角度θを有することにより、気泡の抜けを良くして、ボイドの発生を抑制することができる。よって、導電材を端子部に接合したときの接合強度を確保することができる。また、先端面34にろう材40との接触面積を増やすことが可能になるため、接合強度の確保に有利である。
【0029】
(2)本実施形態においては、導電材の先端面は、仮想水平面に対して平面状の傾斜を有する形状に形成されている。これにより、ボイドの形成を抑制できる。また、このような傾斜を備えるためには、先端面を斜めに切断するだけでよい。よって、本実施形態の場合、ろう材におけるボイドの発生を抑制するために導電材の先端面の加工が容易となる。そのため、製造コストの低減に寄与する。
【0030】
(3)導電材の先端面は、仮想水平面に対して全面が一様に傾斜している。これにより、導電材の先端面の全面において、気泡の抜けやすくすることができる。また、ろう材におけるボイドの発生を抑制するために導電材の先端面の加工がさらに容易となる。そのため、製造コストの低減に寄与する。
【0031】
(4)導電材の先端面の仮想水平面に対する傾斜角度θは、1度以上且つ20度以下の範囲である。これにより、気泡等の抜けを良くすることができる。また、先端面34にろう材40との接触面積を増加させることが可能になるため、接合強度の確保に有利である。また、ろう材40の厚みが過剰に大きくなることによる接合強度の低下を抑制できる。さらに好適には、導電材30の先端面34の仮想水平面50に対する傾斜角度θは、3度以上且つ15度以下の範囲とすることが好ましい。
【0032】
(5)導電材は、基体の長手方向に延びる本体部と、本体部と接合部を連結する連結部を備える。連結部は、導電材の接合部と本体部との間において、約90度湾曲した形状となるため、導電材の本体部側から接合部側へ伝わる振動や、導電材の接合部側から本体部側へ伝わる振動を連結部で緩和することができる。
【0033】
他の実施形態として、導電材30の先端面34の形状を変えたセラミックデバイスについて図7〜9を用いて説明する。
図7に示すように、導電材30の先端面34の一部が傾斜した傾斜面34aを備えていてもよい。この場合にも、ボイドの形成は抑制できる。また、傾斜面34aが先端面34の一部分にあればよいので、加工作業が容易になる。
【0034】
図8に示すように、導電材30の先端面34が、中心部が突出した円錐状の傾斜面34aを備えていてもよい。この場合、接合部33の中心部から径方向外側へ気泡60を抜けさせることができるため、より迅速に気泡60を抜くことができる。
【0035】
図9に示すように、導電材30の先端面34が、端子部22方向に突出するような曲面状の傾斜面34aとなっていてもよい。なお、曲面は自由曲面でも、球面でもよい。この場合も、接合部33の中心部から径方向外側へ気泡60を抜けさせることができるため、より迅速に気泡60を抜くことができる。
【0036】
図10に示すように、導電材30の先端面34において、その外周部が面取りされており、丸められた形状となるように傾斜面34aが形成されていてもよい。ここで、仮想水平面50に対する傾斜面34aとの傾斜角度θは、傾斜面34aにおいて仮想水平面50に最も近い点である第1地点P1と先端面34の外周にある第2地点を通る直線と仮想水平面50とのなす角度とする。この場合も、気泡60を抜けやすくすることができる。
【0037】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・本実施形態において、導電材の先端面における仮想水平面に対する傾斜角度θは、気泡等が抜けやすく、かつ、十分な接合強度を保持できれば、1度未満または20度を超える範囲でもよい。ただし、気泡の抜けやすさや接合強度を鑑みると、1度以上且つ20度以下の範囲が好適である。さらに、3度以上且つ15度以下の範囲では接合強度の確保に有利となる。
【0038】
・本実施形態において、導電材は、その形状は特に限定されない。例えば、クランク型でもよいし、直線形でもよく、連結部を有していなくてもよい。ただし、連結部を有すると、セラミックデバイスに発生した振動を緩和することが容易になるため好ましい。
【0039】
・本実施形態において、導電材の先端面における傾斜面とは、設計及び成形時に目視可能な大きさ(傾き)で設けられたものであることが好ましい。先端面において成形時に生じる小さな凹凸や微細な表面粗さは上記傾斜面には含まれない。
【0040】
・本実施形態において、ろう付けの方法は限定されない。公知のろう付け方法で実施可能である。例えば、フィルム状のろう材を巻きつけるのではなく、ペースト状のろう材を使用してもよい。また、連続炉を使用したものに限定されないし、ろう付けの温度や還元雰囲気についても限定されず、ろう材の特性等の諸条件に従って逐次変更できる。
【0041】
・本実施形態において、ろう材の材質は金ろうに限定されない。公知のろう材を使用可能であり、例えば、銀ろうやニッケルろう、銅ろう等が挙げられるが、処理温度が800〜1200℃前後で、セラミックデバイス1の他部材へ影響を及ぼさないことが好ましい。
【0042】
・本実施形態において、導電材の材質は特に限定されない。本実施形態で開示した材質の他、公知の導電性材料を使用可能である。
・本実施形態において、発熱部のヒータパターンの形状は特に限定されない。例えば、基体に巻きつくような螺旋形でもよい。
【0043】
・本実施形態において、発熱部の材質は限定されない。本実施形態で開示した材質の他、公知の高融点金属材料を使用可能である。
・本実施形態において、端子部には金属めっきによる皮膜が形成されても良い。例えば、無電解ニッケルめっき等を行うことができる。
【0044】
・本実施形態において、基体の材質は限定されない。本実施形態で開示した材質の他、公知のセラミック材料を使用可能である。
・本実施形態において、基体の形状は限定されない。例えば、円筒や角柱等の形状が挙げられる。
【0045】
・本実施形態において、基体において端子部の位置は特に限定されない。例えば、基体の端面に形成されるのでもよい。
・本実施形態において、端子部の表面は、平面及び曲面のいずれにも限定されない。
【0046】
・本実施形態において、導電材の接合部の先端面に備えられた傾斜面は、接合部の先端面を斜めに切断することによって形成されていたが、この態様に限定されない。接合部の先端面を水平に切断した後、導電材の接合部を、仮想水平面に対して斜めに配置することによって、傾斜面を備えるように構成されていてもよい。
【0047】
上述した実施形態やその変形例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に記載する。
(イ)本実施形態において、前記導電材の前記先端面は、前記端子部方向へ突出した曲面であるセラミックデバイス。この構成によれば、前記先端面に気泡等が滞留し難くなり、前記ろう材におけるボイドの発生を抑制できる。これにより、前記導電材と前記端子部との接合強度を確保することができる。
【0048】
(ロ)導電パターンが配された基体と導電材との接続構造であって、セラミックからなる基体と、当該基体に規定のヒータパターンにより形成された発熱抵抗体を備える発熱部と、当該発熱部の端子部にろう材によって接合され、当該端子部を電源に接続する導電材とを備え、前記導電材は、柱状の接合部を備えるとともに、前記接合部の先端面において前記端子部に接合され、前記接合部を前記端子部の直上に位置させた状態とした場合に、前記接合部の前記先端面よりも下側に位置する水平面を仮想水平面と規定したとき、前記先端面は、前記先端面の所定の第1地点から、前記先端面の外周に位置する所定の第2地点側に向かって、前記仮想水平面との間隔が徐々に広がるように、前記仮想水平面に対して傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とする接続構造。
【実施例】
【0049】
以下、上記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
上記実施形態及び別例において説明した発熱部の端子部と導電材の接合部とがろう材によって接合されたセラミックヒータを複数製造した。これらセラミックヒータは、導電材の先端面の形状が異なっており、その他の構成、製造条件は同一とした。いずれの実施例及び比較例においても、端子部には無電解ニッケルめっきにより厚さ2μmの皮膜が形成された。また、導電材の材質は、Ni−コバール合金を用いた。また、ろう材には、BAu−1合金(Au:38質量%、Cu:62質量%)を使用し、1000℃でろう付けを行った。以下、得られた各実施例及び比較例のセラミックヒータにおいて導電材の先端面の形状について記載する。
【0050】
(実施例1−1)
導電材の先端面の全面が仮想水平面に対する傾斜角が5度の傾斜面となっているセラミックヒータを作製し、これを実施例1−1のセラミックヒータとした。
【0051】
(実施例1−2)
導電材の先端面の全面が仮想水平面に対する傾斜角が10度の傾斜面となっているセラミックヒータを作製し、これを実施例1−2のセラミックヒータとした。
【0052】
(実施例1−3)
導電材の先端面の全面が仮想水平面に対する傾斜角が1度の傾斜面となっているセラミックヒータを作製し、これを実施例1−3のセラミックヒータとした。
【0053】
(実施例1−4)
導電材の先端面の全面が仮想水平面に対する傾斜角が3度の傾斜面となっているセラミックヒータを作製し、これを実施例1−4のセラミックヒータとした。
【0054】
(実施例1−5)
導電材の先端面の全面が仮想水平面に対する傾斜角が15度の傾斜面となっているセラミックヒータを作製し、これを実施例1−5のセラミックヒータとした。
【0055】
(実施例1−6)
導電材の先端面の全面が仮想水平面に対する傾斜角が20度の傾斜面となっているセラミックヒータを作製し、これを実施例1−6のセラミックヒータとした。
【0056】
(実施例2−1)
図8のように、導電材の先端面に円錐状の傾斜面を有するセラミックヒータを作製した。傾斜面の仮想水平面に対しての傾斜角は5度であった。これを実施例2−1のセラミックヒータとした。
【0057】
(実施例2−2)
図8のように、導電材の先端面に円錐状の傾斜面を有するセラミックヒータを作製した。傾斜面の仮想水平面に対しての傾斜角は10度であった。これを実施例2−2のセラミックヒータとした。
【0058】
(実施例2−3)
図8のように、導電材の先端面に円錐状の傾斜面を有するセラミックヒータを作製した。傾斜面の仮想水平面に対しての傾斜角は3度であった。これを実施例2−3のセラミックヒータとした。
【0059】
(実施例2−4)
図8のように、導電材の先端面に円錐状の傾斜面を有するセラミックヒータを作製した。傾斜面の仮想水平面に対しての傾斜角は15度であった。これを実施例2−4のセラミックヒータとした。
【0060】
(実施例3−1)
図10のように、導電材の先端面の外周が面取りによって丸められた傾斜面をもつセラミックヒータを作製した。この傾斜面において仮想水平面に最も近い点と先端面の外周の点を通る直線と仮想水平面とのなす角度は5度であった。これを実施例3−1のセラミックヒータとした。
【0061】
(実施例3−2)
図10のように、導電材の先端面の外周が面取りによって丸められた傾斜面をもつセラミックヒータを作製した。この傾斜面において仮想水平面に最も近い点と先端面の外周の点を通る直線と仮想水平面とのなす角度は3度であった。これを実施例3−2のセラミックヒータとした。
【0062】
(実施例3−3)
図10のように、導電材の先端面の外周が面取りによって丸められた傾斜面をもつセラミックヒータを作製した。この傾斜面において仮想水平面に最も近い点と先端面の外周の点を通る直線と仮想水平面とのなす角度は10度であった。これを実施例3−3のセラミックヒータとした。
【0063】
(比較例)
導電材の先端面が仮想水平面に対して平行の平面となっているセラミックヒータを作製し、これを比較例のセラミックヒータとした。
【0064】
(ボイド評価試験)
実施例及び比較例のセラミックヒータについて、ボイド評価試験を行った。ボイド評価試験では、ろう材を切断しその切断面を顕微鏡により観察し、ろう材中のボイドの有無を評価した。サンプルは、各実施例及び比較例において、それぞれ5つ用意した。
【0065】
実施例においては、いずれのサンプルでもボイドは確認されなかった。比較例においては、ボイドが確認されたサンプルがあった。
(引張強度試験)
実施例及び比較例のセラミックヒータについて、引張強度試験を行った。引張強度試験では、卓上形オートグラフ(島津製作所製:AG−XPlus)を用いてセラミックヒータの基体と導電材とをそれぞれ固定チャックで掴み引張した。引張方向は、セラミックヒータの基体の長手方向と、セラミックヒータの基体の半径方向との2方向で引張試験を行った。試験結果として、引張強度78.5N以上のものは合格、78.5N未満のものは不合格とした。サンプルは、各引張方向について各実施例及び比較例をそれぞれ5つ用意した。
【0066】
引張強度試験の結果として、実施例においては、全てのサンプルが合格であった。比較例においては、不合格のサンプルがあった。なお、実施例における傾斜面の仮想水平面に対する傾斜角が3度、5度、10度、15度のサンプルは、引張強度80N以上のものが確認された。
【符号の説明】
【0067】
1…セラミックデバイス、10…基体、20…発熱部、21…発熱抵抗体、22…端子部、30…導電材、31…本体部、32…連結部、33…接合部、34…先端面、34a…傾斜面、40…ろう材、50…仮想水平面、θ…傾斜角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10