【解決手段】水溶性ビニルモノマー及び内部架橋剤を含む単量体組成物の架橋重合体を有し、水可溶分が10%以下であり、架橋重合体は表面架橋された構造を有する吸水性樹脂粒子であって、0.3psi加圧下での生理食塩水吸収量(g/g)が60秒後に3以上9未満、120秒後に8以上15未満、180秒後に12以上30未満、300秒後に20以上30未満であり、生理食塩水を吸収した後に減圧吸引により取り除かれる液の量(g/g)が1.0以下である吸水性樹脂粒子;表面架橋工程を2回以上実施し、1回目の工程で使用される表面架橋剤の使用量の全体での使用量に対する比が0.5〜0.9であり、表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を有し、水可溶分が10%以下であり、架橋重合体(A)は少なくとも1種の表面架橋剤(c)により表面架橋された構造を有する、吸水性樹脂粒子であって、Demand Wettability試験法で測定された0.3psi加圧下での生理食塩水吸収量が、60秒後において3g/g以上9g/g未満、120秒後において8g/g以上15g/g未満、180秒後において12g/g以上30g/g未満、300秒後において20g/g以上30g/g未満であり、下記関係式(1)を満たす吸水性樹脂粒子。
AUL(0.9psi)−GelAUL(0.9psi)≦1.0 (1)
(式(1)中、AUL(0.9psi)は、0.9重量%生理食塩水に対する0.9psi下で1時間の加圧吸水能を示し、GelAUL(0.9psi)は、AUL(0.9psi)測定後の膨潤した吸水性樹脂に対して0.9psiの加圧をかけたまま0.08〜0.09MPaの圧力で30秒間吸引した後においても吸水性樹脂粒子が保持する生理食塩水の量を示す)
Demand Wettability試験法で測定された0.3psi加圧下での生理食塩水吸収量が、30秒後に1g/g以上3g/g未満である請求項1〜6のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
表面架橋された架橋重合体(A)における、表面架橋剤(c)単位の割合が、ビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03〜0.5重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
単量体組成物における内部架橋剤(b)の重量割合が、ビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05〜0.7重量%である請求項1〜8いずれかに記載の吸水性樹脂粒子。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する吸水性樹脂粒子の製造方法であって、表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率が20重量%以下であり、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.5〜0.9であり、表面架橋工程において希釈剤として多価アルコールを使用する吸水性樹脂粒子の製造方法。
1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量が、単量体組成物の合計重量に基づいて、0.02〜0.4重量%である請求項13又は14に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)がエチレングリコールジグリシジルエーテルである請求項13〜15のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量の表面架橋剤(c)の使用量に対する比(c1/c)が0.6〜0.8である請求項13〜16のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の吸水性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を含む単量体組成物の架橋重合体(A)を有し、水可溶分が10%以下である。架橋重合体(A)は少なくとも1種の表面架橋剤(c)により表面架橋された構造を有する。
本発明における水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007〜0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003−165883号公報の0009〜0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005−75982号公報の0041〜0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。
【0010】
加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)[以下、加水分解性ビニルモノマー(a2)ともいう。]は特に限定はなく、公知{例えば、特許第3648553号公報の0024〜0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005−75982号公報の0052〜0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基[1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−CO−O−CO−)基、アシル基及びシアノ基等]を有するビニルモノマー}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解するビニルモノマーを意味する。また、加水分解性ビニルモノマー(a2)における加水分解性とは、水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され、水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマー(a2)の加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれで行っても良いが、得られる吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、重合後が好ましい。
【0011】
これらの内、吸収性能等の観点から好ましいのは水溶性ビニルモノマー(a1)、より好ましいのはアニオン性ビニルモノマー、カルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、更に好ましいのはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、とりわけ好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましいのはアクリル酸(塩)である。
【0012】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩及びアンモニウム(NH
4)塩等が挙げられる。これらの塩の内、吸収性能等の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、更に好ましいのはアルカリ金属塩、特に好ましいのはナトリウム塩である。
【0013】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ1種を単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としても良い。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比[(a1)/(a2)]は、75/25〜99/1が好ましく、更に好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲内であると、吸収性能が更に良好となる。
【0014】
架橋重合体(A)の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。その他のビニルモノマー(a3)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0015】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報の0028〜0029段落に開示されている疎水性ビニルモノマー、特開2003−165883号公報の0025段落及び特開2005−75982号公報の0058段落に開示されているビニルモノマー等)の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、具体的には例えば下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレン性モノマー
アルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);並びにアルカジエン(ブタジエン及びイソプレン等)等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレン性モノマー
モノエチレン性不飽和モノマー(ピネン、リモネン及びインデン等);並びにポリエチレン性ビニルモノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0016】
その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の合計モル数に基づいて、0〜5が好ましく、更に好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2、とりわけ好ましくは0〜1.5であり、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。なお、架橋重合体(A)の構成単位としての含有量(水溶性ビニルモノマー(a1)単位の含有量等の表現)と単量体組成物の成分としての含有量(水溶性ビニルモノマー(a1)の含有量等の表現)は、本明細書ではとくには区別しない。
【0017】
内部架橋剤(b)(以下「架橋剤(b)」ともいう)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031〜0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003−165883号公報の0028〜0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005−75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005−95759号公報の0015〜0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。これらの内、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、更に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。架橋剤(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0018】
単量体組成物における架橋剤(b)の含有量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)を用いる場合は(a1)〜(a3)の、ビニルモノマーの合計重量に基づいて、0.05〜0.7が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.6、特に好ましくは0.15〜0.5である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0019】
架橋重合体(A)の製造方法としては、公知の溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号公報等)や、公知の懸濁重合法や逆相懸濁重合(特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等)によって得られる含水ゲル重合体(架橋重合体と水とからなる。)を必要により加熱乾燥、粉砕することで得ることができる。架橋重合体(A)は、1種単独でも良いし、2種以上の混合物であっても良い。
【0020】
重合方法の内、好ましいのは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましいのは水溶液重合法であり、保水量が大きく、且つ水可溶性成分量の少ない吸水性樹脂が得られ、重合時の温度コントロールが不要である点から、水溶液断熱重合法が最も好ましい。
【0021】
水溶液重合を行う場合、水と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの2種以上の混合物を挙げられる。
水溶液重合を行う場合、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量を基準として40以下が好ましく、更に好ましくは30以下である。
【0022】
重合に触媒を用いる場合、ラジカル重合用触媒が使用可能であり、例えば、アゾ化合物[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物[過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド及びジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等]及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム及びアスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素及び有機過酸化物等の酸化剤との組み合わせよりなるもの)等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
ラジカル重合触媒の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)を用いる場合は(a1)〜(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005〜5が好ましく、更に好ましくは0.001〜2である。
【0023】
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法をとる場合は、必要に応じて、分散剤又は界面活性剤の存在下に重合を行っても良い。また、逆相懸濁重合法の場合、キシレン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行うことができる。
【0024】
重合開始温度は、使用する触媒の種類によって適宜調整することができるが、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは5〜80℃である。
【0025】
重合に溶媒(有機溶媒及び水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0〜10が好ましく、更に好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0〜1である。この範囲であると、吸水性樹脂粒子の吸収性能が更に良好となる。
【0026】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0〜20が好ましく、更に好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜9、最も好ましくは3〜8である。この範囲であると、加圧下での吸収速度、及び膨潤ゲル間の通液性の両立の観点から吸収性能が更に良好となる。水分が20重量%を超えると吸水性樹脂純分の低下に伴い加圧下および無加圧下での吸収性能が低くなり好ましくない場合がある。さらに、おむつとして使用する前に黄変やブロッキングを起こしてしまう可能性が高くなり好ましくない場合がある。
【0027】
重合によって得られる含水ゲル重合体は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、更に好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。
【0028】
細断は、公知の方法で行うことができ、細断装置(例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機)等を使用して細断できる。また、必要に応じて、上記のようにして得られる含水ゲル重合体にアルカリを混合して中和することもできる。
【0029】
アルカリは、公知{特許第3205168号公報等}のものが使用できる。これらのうち、吸水性能の観点から、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく、さらに好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。中和率は、通液性の観点から、50〜100%が好ましく、更に好ましくは、60〜80%である。
【0030】
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器[(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W]により加熱したときの測定試料の重量減量から求められる。
【0031】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0032】
架橋重合体(A)は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0033】
必要によりふるい分けした場合の、架橋重合体(A)は、場合によって、残留溶媒や残存架橋成分等の他の成分を多少含んでも良い。架橋重合体(A)の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、更に好ましくは200〜700、次に好ましくは250〜600、特に好ましくは300〜500、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0034】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿、の順に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0035】
また、架橋重合体(A)に含まれる微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、架橋重合体(A)の合計重量に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有率(重量%)は3以下が好ましく、更に好ましくは1以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するグラフを用いて求めることができる。
【0036】
架橋重合体(A)の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらの内、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0037】
架橋重合体(A)は、表面改質や通液性の観点から疎水性物質(g)を含有することが好ましい。
【0038】
疎水性物質(g)としては、炭化水素基を含有する疎水性物質(g1)、フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(g2)及びポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(g3)等が含まれる。
【0039】
炭化水素基を含有する疎水性物質(g1)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族アミド及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0040】
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜4のオレフィン{エチレン、プロピレン、イソブチレン及びイソプレン等}を必須構成単量体(オレフィンの含有量はポリオレフィン樹脂の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン−イソブチレン)及びイソプレン等}が挙げられる。
【0041】
ポリオレフィン樹脂誘導体としては、ポリオレフィン樹脂にカルボキシ基(−COOH)や1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−COOCO−)等を導入した重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、ポリエチレン熱減成体、ポリプロピレン熱減成体、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体のマレイン化物等}が挙げられる。
【0042】
ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000〜100万の重合体等が使用できる。
【0043】
ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体(スチレンの含有量は、ポリスチレン誘導体の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体及びスチレン−イソブチレン共重合体等}が挙げられる。
【0044】
ワックスとしては、融点50〜200℃のワックス{たとえば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルナウバワックス及び牛脂等}が挙げられる。
【0045】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル{たとえば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等}が挙げられる。
【0046】
長鎖脂肪酸及びその塩としては、炭素数8〜30の脂肪酸{たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸及びベヘニン酸等}が挙げられ、その塩としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、それぞれZn、Ca、Mg、Alと略す)との塩{たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。
【0047】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数8〜30の脂肪族アルコール{たとえば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0048】
長鎖脂肪族アミドとしては、炭素数8〜30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物、アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物、炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物及び炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物が挙げられる。
【0049】
炭素数8〜30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物としては、1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、酢酸N−オクチルアミド、酢酸N−ヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、二酢酸N−オクチルアミド、二酢酸N−ヘキサコシルアミド、ジヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物の場合、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0050】
アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、ノナン酸アミド、ノナン酸メチルアミド、ノナン酸N−ヘプチルアミド、ヘプタコサン酸アミド、ヘプタコサン酸N−メチルアミド、ヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、ジノナン酸アミド、ジノナン酸N−メチルアミド、ジノナン酸N−ヘプチルアミド、ジオクタデカン酸アミド、ジオクタデカン酸N−エチルアミド、ジオクタデカン酸N−ヘプチルアミド、ジヘプタコサン酸アミド、ジヘプタコサン酸N−メチルアミド、ジヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物としては、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0051】
炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物としては、酢酸N−メチルオクチルアミド、酢酸N−メチルヘキサコシルアミド、酢酸N−オクチルヘキサコシルアミド、酢酸N−ジヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルオクチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルヘキサコシルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘキサコシルアミド等が挙げられる。
【0052】
炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、ノナン酸N−ジメチルアミド、ノナン酸N−メチルヘプチルアミド、ノナン酸N−ジヘプチルアミド、ヘプタコサン酸N−ジメチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘプチルアミド等が挙げられる。
【0053】
フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(g2)としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルアルコール及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0054】
ポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(g3)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等が含まれる。
【0055】
疎水性物質(g)のHLB値は、1〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜7である。この範囲であると、吸収性物品の耐モレ性がさらに良好となる。なお、HLB値は、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(新・界面活性剤入門、197頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、1981年発行)により求められる。
【0056】
疎水性物質(g)のうち、吸収性物品の耐モレ性の観点から、炭化水素基を含有する疎水性物質(g1)が好ましく、より好ましくは長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール並びに長鎖脂肪族アミドであり、さらに好ましくはソルビットステアリン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn及びステアリン酸Al、特に好ましくはショ糖ステアリン酸エステル及びステアリン酸Mgであり、最も好ましくはショ糖ステアリン酸モノエステルである。
【0057】
本発明の吸水性樹脂粒子において、架橋重合体(A)は表面架橋剤(c)により表面架橋されている。表面架橋された架橋重合体(A)における表面架橋剤(c)単位の割合は、架橋重合体(A)の性能によって適宜調整する必要があり、架橋重合体(A)の表面に均一に添加でき、かつ均一に反応させられるという観点から、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03〜0.5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.3重量%、特に好ましくは0.08〜0.2重量%である。この範囲にすることで吸収速度と膨潤ゲル間での通液性が良好になる。
【0058】
本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法は、架橋重合体(A)を表面架橋剤(c)により表面架橋処理する表面架橋工程を有し、前記表面架橋工程を2回以上実施する。表面架橋工程前の架橋重合体(A)の含水率は20重量%以下である。表面架橋工程を2回以上実施することで厚みのある表面架橋構造を形成することが可能となり、初期吸収速度や膨潤ゲル間通液性能が向上する。好ましくは2〜5回である。5回を超えて実施すると、製造時間が延びコストアップに繋がるため好ましくない。
【0059】
表面架橋前の架橋重合体(A)の含水率は、乾燥工程後の粉砕効率とふるい分け効率および表面架橋剤(c)の反応効率の観点から20重量%以下であり、5〜15重量%が好ましい。含水率は以下の方法で測定される。
<含水率>
架橋重合体(A)2.000gをシャーレに入れ、150℃の循風乾燥機中で1時間静置したあとの乾燥減量から算出する。
【0060】
表面架橋剤(c)としては、公知(特開昭59−189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン化合物及び多価イソシアネート化合物;あるいは多価金属塩、アルキレンカーボネート、多価アルコール等)の表面架橋剤等が使用できる。表面架橋剤(c)としては、共有結合性架橋剤である多価グリシジル化合物を使用することが好ましい。表面架橋剤(c)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。なお、多価アルコール等のように脱水縮合反応によって架橋構造を形成する表面架橋剤を用いる場合は、表面架橋温度は表面架橋剤の沸点(水を併用する場合は共沸点)よりも低い温度かつ表面架橋剤が脱水縮合反応を起こす温度以上にすることが好ましい。
【0061】
これらの表面架橋剤(c)のうち、経済性、吸収特性及び吸湿ブロッキング性の観点から、1回目の表面架橋工程では多価グリシジル化合物及び/又は多価金属塩を含む表面架橋剤を用いることが好ましく、多価グリシジル化合物及び多価金属塩を併用することが更に好ましい。多価グリシジル化合物のエポキシ当量は好ましくは60〜600、更に好ましくは100〜300であり、官能基数は好ましくは2〜6、更に好ましくは2〜4である。なお、エポキシ当量とは、多価グリシジル化合物の分子量を1分子中のグリシジル基の数で除した値を意味する。表面架橋剤(c)単位の割合は、架橋重合体(A)の性能によって適宜調整する必要があり、架橋重合体(A)の表面に均一に添加でき、かつ均一に反応させられるという観点から、架橋重合体(A)に用いたビニルモノマー単位の合計重量に基づいて、0.03〜0.5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.3重量%、特に好ましくは0.08〜0.2重量%である。この範囲にすることで吸収速度と膨潤ゲル間での通液性が良好になる。表面架橋剤(c)のうち、1回目の表面架橋工程で使用する表面架橋剤(これをc1と表記する)の使用量は、単量体組成物の合計重量に基づいて、0.02〜0.4重量%であることが好ましい。
【0062】
また、2回目の表面架橋工程では、吸水性樹脂粒子への浸透性の観点から多価グリシジル化合物、アルキレンカーボネート、多価アルコールを用いることが好ましい。更に好ましいのは多価グリシジル化合物及びアルキレンカーボネートである。アルキレンカーボネートとしては吸水性樹脂への浸透性の観点からエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましく、更に好ましいのはエチレンカーボネートである。多価アルコールの分子量は好ましくは50〜500、更に好ましくは70〜200である。価数は吸収性能の観点から2〜8価、更に好ましくは2〜3価である。多価アルコールとしては1,4−ブタンジオールが好ましい。アルキレンカーボネート及び多価アルコールはそれぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0063】
多価グリシジル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル及びソルビトールポリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。多価グリシジル化合物は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらのうち、1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)はエチレングリコールジグリシジルエーテルであることが好ましい。
【0064】
多価金属塩としては、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、アルミニウム及びチタニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と無機酸(例えば、硫酸)又は有機酸(例えば、ステアリン酸)との塩が挙げられる。多価金属塩を含有することで、吸水性樹脂粒子の表面が改質され、耐ブロッキング性及び通液性が向上するため好ましい。入手の容易性や溶解性の観点から、アルミニウムの無機酸塩及びチタニウムの無機酸塩が好ましく、更に好ましいのは硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、特に好ましいのは硫酸アルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、最も好ましいのは硫酸ナトリウムアルミニウムである。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0065】
本発明の製造方法において、表面架橋剤(c)のうち1回目の表面架橋工程で使用される表面架橋剤(c1)の使用量(重量%)の表面架橋工程の全体で使用される表面架橋剤(c)の使用合計量(重量%)に対する比(c1/c)は、吸収性能の観点から、0.5〜0.9であり、好ましくは0.6〜0.8である。この範囲にすることで適切な厚みのある表面架橋構造を形成することが可能となり、初期吸収速度や膨潤ゲル間通液性能が向上することが期待でき、加圧下でのおむつのドライ性が良好になる。
【0066】
表面架橋工程における表面架橋剤(c)は必要により溶剤を希釈剤として使用する。とくに1回目の表面架橋工程において、希釈剤として多価アルコールを含むことが加圧下での吸収速度と膨潤ゲル間の通液性の観点から好ましい。希釈溶剤の種類は特に制限されないが、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,4−ブタンジオール等)や水が好適に使用され、溶剤は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、表面架橋温度が多価アルコールの沸点(水を併用する場合は共沸点)よりも高ければ、系中の多価アルコールは希釈溶剤としてはたらく。例えば、プロピレングリコールは、沸点184℃であり、50%水溶液だと沸点104℃となるが、表面架橋反応系の温度が沸点より高い場合、プロピレングリコールは希釈溶剤としてはたらく。
【0067】
表面架橋工程において架橋重合体(A)と表面架橋剤を均一混合するために使用される装置は、公知の混合機でよく、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等が挙げられる。
【0068】
表面架橋工程において架橋重合体(A)と表面架橋剤を均一混合する際の温度は特に限定されないが、10〜150℃が好ましく、更に好ましくは20〜120℃、特に好ましくは25〜100℃である。
【0069】
1回目の表面架橋工程においては、架橋重合体(A)と表面架橋剤を均一混合した後に、50℃以上150℃未満に加熱することが好ましく、加熱温度は2回目の表面架橋工程における表面架橋剤の均一性および浸透性の観点から60〜150℃が更に好ましく、70〜150℃が特に好ましい。また、1回目の表面架橋工程における加熱時間は吸収特性の観点から5〜60分であることが好ましく、更に好ましくは10〜40分である。この範囲から外れると、吸収性能や吸湿ブロッキング性が悪くなる場合がある。
【0070】
2回目の表面架橋工程においては、1回目の表面架橋工程で表面架橋した樹脂粒子と表面架橋剤を均一混合した後に、100℃以上190℃未満に加熱することが好ましく、加熱温度は吸収特性の観点から110〜180℃が更に好ましく、125〜175℃が特に好ましい。また、2回目の表面架橋工程における加熱時間は吸収特性の観点から5〜60分であることが好ましく、更に好ましくは10〜40分である。この範囲から外れると、吸収性能や吸湿ブロッキング性が悪くなる場合がある。
【0071】
表面架橋工程を3回以上実施する場合、3回目以降の加熱温度は100℃以上190℃未満であることが好ましく、110〜180℃が更に好ましく、125〜175℃が特に好ましい。加熱時間は5〜60分であることが好ましい。
【0072】
本発明の吸水性樹脂粒子は、更に水不溶性無機粒子(f)を含んでいてもよく、本発明の製造方法は水不溶性無機粒子(f)を混合する工程を含んでも良い。水不溶性無機粒子(f)を混合することで吸水性樹脂粒子の表面が水不溶性無機粒子(f)で表面処理されることにより、吸水性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液性が向上する。
【0073】
水不溶性無機粒子(f)としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、クレー及びタルク等が挙げられ、入手の容易性や扱いやすさ、吸収性能の観点から、コロイダルシリカ及びシリカが好ましく、更に好ましいのはコロイダルシリカである。水不溶性無機粒子(f)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0074】
水不溶性無機粒子(f)の使用量(重量%)は、吸収性能の観点から吸水性樹脂に対して、0.01〜5が好ましく、更に好ましくは0.05〜1、特に好ましくは0.1〜0.5である。
【0075】
水不溶性無機粒子(f)を含む場合、吸水性樹脂粒子と水不溶性無機粒子(f)とを混合することが好ましく、混合は、前記の表面架橋剤の混合と同様の方法で行うことができ、その条件も同様である。
【0076】
水不溶性無機粒子(f)を混合する工程を行った後、吸水性樹脂粒子を粒度調整する工程を行っても良い。粒度調整は上述の、架橋重合体(A)の粒度調整と同様に行うことができ、粒度調整後の粒径も同様である。
【0077】
本発明の吸水性樹脂粒子は、必要に応じて、添加剤(例えば、公知(特開2003−225565号及び特開2006−131767号等に記載)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、通液性向上剤及び有機質繊維状物等)を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、更に好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.05〜1、最も好ましくは0.1〜0.5である。
【0078】
本発明の吸水性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、下限は0.54が好ましく、更に好ましくは0.56であり、上限は0.68が好ましく、より好ましくは0.65、更に好ましくは0.62である。0.54未満であると吸収速度は速くなるが膨潤ゲル間通液性が低くなる傾向にありおむつ中の尿拡散の観点で好ましくない場合がある。一方で0.68を超えると吸収速度が遅くなりおむつの初期漏れ性の観点で好ましくない場合がある。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性が更に良好となる。なお、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0079】
本発明の吸水性樹脂粒子のDemand Wettability試験法(以下、DW試験ともいう。)で測定された0.3psi加圧下での生理食塩水吸収量(DW値と略記することがある)は、60秒後において3g/g以上9g/g未満、120秒後において8g/g以上15g/g未満、180秒後において12g/g以上30g/g未満、300秒後において20g/g以上30g/g未満である。DW値がこのような時間経過を示すことにより、加圧下での吸収速度(すなわち、単位時間あたりの吸収量)が速いことを担保することができる。
なお、DW試験は後述する方法で行うことができる。
【0080】
30秒後におけるDW値は、1g/g以上が好ましく、おむつの初期漏れ性の観点から2.0g/g以上が更に好ましい。上限は、おむつ中の尿拡散の観点から3g/g未満が好ましく、2.8g/g未満であることが更に好ましい。30秒後におけるDW値は吸水性樹脂粒子の表面濡れ性と正の相関があるため、適宜、表面処理剤の添加量を調整することで調節することができる。従って、例えば30秒後におけるDW値を調整するために吸水性樹脂粒子の表面濡れ性を上げる必要がある場合、表面処理剤としての多価金属塩の添加量を増やすことで容易に実現することができる。
【0081】
60秒後におけるDW値は、3g/g以上であり、おむつの初期漏れ性の観点から4g/g以上が好ましく、更に好ましくは、5g/g以上である。上限は、おむつ中の尿拡散の観点から9g/g未満であり、8g/g未満であることが好ましく、7g/g未満であることが更に好ましい。60秒後におけるDW値は吸水性樹脂粒子の表面濡れ性と正の相関があるため、適宜、表面処理剤の添加量を調整することで調節することができる。従って、例えば60秒後におけるDW値を調整するために吸水性樹脂粒子の表面濡れ性を上げる必要がある場合、表面処理剤としての多価金属塩の添加量を増やすことで容易に実現することができる。
【0082】
120秒後におけるDW値は、8g/g以上であり、おむつのドライ性の観点から10g/g以上が好ましく、更に好ましくは、11g/g以上である。上限は、おむつ中の尿拡散の観点から15g/g未満であり、13g/g未満であることが好ましく、12g/g未満であることが更に好ましい。120秒後におけるDW値は、表面架橋の強度と正の相関があるため、吸水性樹脂粒子に対する表面架橋剤量で適宜調整することができる。従って、例えば、120秒後におけるDW値を調節するために表面架橋の強度を挙げる必要がある場合、表面架橋剤の使用量を増加させることで容易に実現することができる。
【0083】
180秒後におけるDW値は、12g/g以上であり、おむつのドライ性の観点から15g/g以上が好ましく、更に好ましくは、17g/g以上である。上限は、おむつ中の尿拡散の観点から30g/g未満であり、20g/g未満であることが好ましく、18g/g未満であることが更に好ましい。180秒後におけるDW値は、表面架橋の強度と正の相関があるため、吸水性樹脂粒子に対する表面架橋剤量で適宜調整することができる。従って、例えば、180秒後におけるDW値を調節するために表面架橋の強度を挙げる必要がある場合、表面架橋剤の使用量を増加させることで容易に実現することができる。
【0084】
300秒後におけるDW値は、20g/g以上であり、おむつのドライ性の観点から22g/g以上が好ましく、更に好ましくは、24g/g以上である。上限は、おむつ中の尿拡散の観点から30g/g未満であり、28g/g未満であることが好ましく、26g/g未満であることが更に好ましい。300秒後におけるDW値は、内部架橋と表面架橋と正の相関があるため、吸水性樹脂粒子に対する内部架橋剤量と表面架橋剤量で適宜調整することができる。従って、例えば、300秒後におけるDW値を調節するために表面架橋の強度を挙げる必要がある場合、表面架橋剤の使用量を増加させることで容易に実現することができる。
【0085】
本発明において吸水性樹脂粒子は、内部架橋剤添加量及び表面架橋前の水分量を調整することで、水溶性重合体である水可溶分の量が10%以下に低減されている。水可溶分が10%を超えると吸水時に可溶分が溶出していまい、ゲルブロッキングが生じ、通液性能や吸水倍率に悪影響を与えることとなる。通液性の観点から、好ましくは8%以下、更に好ましくは5%以下である。理想的には0%であることが好ましい。水可溶分は以下の方法で測定することができる。
【0086】
<水可溶分量>
300mlのプラスチック容器に0.9重量%食塩水100gをはかり取り、その食塩水に吸水性樹脂粒子1.2gを加え、ラップでシールして3時間、500rpmでスターラーを回転させ攪拌して、吸水性樹脂粒子の水可溶分が抽出された水可溶分抽出液を調製する。そして、この水可溶分抽出液を、ADVANTEC東洋株式会社製の濾紙(品名;JIS P 3801、No.2、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて、濾過する。そして、得られた濾液の20gをはかり取り、イオン交換水30gを加えて測定溶液とする。以下、吸水性樹脂粒子の水可溶分量を測定する方法を説明する。
【0087】
まず、0.9重量%食塩水20gにイオン交換水30gを加えた空試験溶液について、該食塩水のpHが10になるまで、N/50のKOH水溶液の滴定を行う。そして、0.9重量%食塩水のpHが10になるのに必要な、N/50のKOH水溶液の滴定量([W
KOH,b]ml)を得る。その後、該食塩水のpHが2.7になるまで、N/10のHCl水溶液の滴定を行う。そして、0.9重量%食塩水のpHが2.7になるのに必要な、N/10のHCl水溶液の滴定量([W
HCl,b]ml)を得る。
【0088】
次に、上記測定溶液について、上記の滴定操作と同様な操作を行い、測定溶液のpHが10になるのに必要な、N/50のKOH水溶液の滴定量([W
KOH,S]ml)、及び、測定溶液のpHが2.7になるのに必要な、N/10のHCl水溶液の滴定量([W
HCl,S]ml)を得る方法を具体的に説明する。
【0089】
例えば、アクリル酸とそのナトリウム塩とからなる吸水性樹脂粒子の場合、未中和アクリル酸物質量n
COOHは、
n
COOH(mol)=(W
KOH,S−W
KOH,b)×(1/50)/1000×5
また、総アクリル酸物質量n
totは、
n
tot(mol)=(W
HCl,S−W
HCl,b)×(1/10)/1000×5
また、中和アクリル酸物質量n
COONaは、
n
COONa(mol)=n
tot−n
COOH
さらに、未中和アクリル酸重量m
COOHは、
m
COOH(g)=n
COOH×72
また、中和アクリル酸物質量m
COONaは、
m
COONa(g)=n
COONa×94
以上及び試料として用いた吸水性樹脂粒子の水分量([W
H2O]重量%)をもとに、以下の計算式により、吸水性樹脂粒子の水可溶分量を算出することができる。
水可溶分量(重量%)={(m
COOH+m
COONa)×100}/{1.2×(100−W
H2O)}
【0090】
本発明の樹脂粒子は、下記関係式(1)を満たす。
AUL(0.9psi)−GelAUL(0.9psi)≦1.0 (1)
式(1)中、AUL(0.9psi)は、0.9重量%生理食塩水に対する0.9psi下で1時間の加圧吸水能(g/g)を示し、GelAUL(0.9psi)は、AUL(0.9psi)測定後に、吸水された液を減圧吸引した後においても吸水性樹脂粒子が保持する生理食塩水の量(g/g)を示す。
GelAULの値は、AUL測定直後の膨潤した吸水性樹脂に対して0.9psiの加圧をかけたまま0.08〜0.09MPaの圧力で、好ましくは0.085MPaの圧力で、30秒間吸引した後において吸水性樹脂粒子が保持する生理食塩水の量を測定して求める。
関係式(1)の左辺は減圧吸引により取り除かれた液の量(g/g)を表す。2回以上実施する表面架橋工程における架橋剤の分配割合が本発明の製造方法に準じて適切だと、SAP表面に比較的厚みをもった表面架橋構造を形成することができ、その結果、一旦吸水された生理食塩水が減圧吸引により取り除かれにくくなり、関係式(1)を満たし得る。これにより、吸水性能を低下させることなく、加圧下での吸収速度、及び膨潤ゲル間の通液性の両立が可能となる。関係式(1)の左辺は1以下である。好ましくは0.9以下である。
【0091】
本発明の吸水性樹脂粒子において、生理食塩水の遠心保持量(Centrifuge Retention Capacity:以下、CRCともいう。)(g/g)は、吸水特性及び他の物性との関係の観点から、27以上が好ましく、29以上が更に好ましく、30以上がより更に好ましい。また、上限値は、40以下が好ましく、38以下が更に好ましい。CRC(g/g)は、後述する方法で測定することができる。
【0092】
一般的に吸収速度の速い吸水性樹脂粒子は尿がおむつ中を拡散する前に尿を吸収するため、スポット吸収を起こしやすく膨潤ゲル間の通液性が非常に重要である。本発明は従来技術よりも表面架橋液の吸水性樹脂粒子への浸透度が高くなることが期待でき、吸水性樹脂粒子の表面架橋構造の厚みが増し、膨潤ゲル間のゲルブロッキングが起こりにくくなるので、吸水性樹脂粒子の0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率(以下、ゲルベッド透過率をGBPともいう。)が向上することが期待できる。その結果、おむつの初期の漏れ性低減とドライ性向上の両立が期待できる。本発明の吸水性樹脂粒子において、GBP(0psi膨潤圧力)(darcies)は、吸水特性及び他の物性との関係の観点から、40以上が好ましく、50以上が更に好ましく、60以上がより更に好ましい。0psi膨潤圧力でのGBP(darcies)は、後述する方法で測定することができる。
【0093】
また、GBP(0.3psi膨潤圧力)(darcies)は、吸水特性及び他の物性との関係の観点から、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。0.3psi膨潤圧力でのGBP(darcies)は、後述する方法で測定することができる。
【0094】
本発明の吸水性樹脂粒子において、吸水性樹脂粒子のVortex試験法で測定された吸収速度(以下、吸収速度(Vortex)ともいう。)は、後述する方法で測定することができ、吸水特性及び他の物性との関係の観点から、50秒以下である。
【0095】
遠心保持容量、0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率、0.3psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率、Demand Wettability試験法で測定された0.3psi加圧下での吸収速度及びVortex試験法で測定された吸収速度は、25±2℃、湿度50±10%の室内でそれぞれ以下の方法で測定される。なお、使用する生理食塩水の温度は予め25℃±2℃に調整して使用する。
【0096】
<生理食塩水の遠心保持量>
特許第5236668号明細書に記載されたCRC試験方法に準じて測定され、吸水性樹脂粒子0.200gを、生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)に無加圧下で30分間、自由膨潤させ、次いで、遠心分離機で水切りし、水切り後においても吸水性樹脂粒子が保持する生理食塩水の量(単位;[g/g])を測定する。なお、CRCが高いほど吸水性樹脂粒子の吸水性能が高いことを意味する。
【0097】
<0psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率試験>
特許第5236668号明細書に記載された0psi膨潤圧力でのGBP試験方法に準じて測定される(単位;[darcies])。なお、0psi膨潤圧力でのGBPが高いほど吸水性樹脂粒子の吸収速度と膨潤ゲル間の通液性に優れることを意味する。
【0098】
<0.3psi膨潤圧力でのゲルベッド透過率試験>
0.3psi膨潤圧力でのGBP試験は、一般的に「荷重下」条件と呼ばれる条件下で膨潤ゲルに対する通液性を判断するものであり、特許第5236668号明細書に記載された荷重下GBP試験方法に準じて測定される(単位;[darcies])。なお、0.3psi膨潤圧力でのGBPが高いほど荷重下での通液性に優れ、実際の使用状況に近い状態での通液性に優れることを意味する。
【0099】
<Demand Wettability試験で測定された0.3psi加圧下での吸収量>
吸水性樹脂粒子と生理食塩水とを用いて特開2014−005472号明細書0117〜0121段落に記載されたDW法に準じて測定するものである。なお、本発明のDW試験はビュレットと空気導入管とに接続された測定台上で、0.3psi荷重下条件における吸水性樹脂粒子1g当たりの吸い上げ能力を吸収量(g)で判断するものである。すなわち、上記明細書の手順である、測定台上に平織りナイロンメッシュをのせそこへ吸水性樹脂0.50gを均一に散布する代わりに、本発明においては、底部にナイロンメッシュ(目開き63μm)が接着されたアクリル樹脂製の円筒(内径25mm、高さ34mm)内に吸水性樹脂0.16gを均一に散布し、その上に分銅(直径24.5mm、質量105.5g)を乗せた状態で測定台の中央部においた。吸水性樹脂粒子が吸水し始め、空気導入管から導入された一つ目の泡がビュレット内の生理食塩水の水面に到達した時点を測定開始時間とし、継続的に、ビュレット内の生理食塩水の減少量から吸水性樹脂粒子が吸水した生理食塩水量を読み取る。そして、測定開始から所定時間(30秒、60秒、120秒、180秒及び300秒)経過後における吸水性樹脂粒子1g当たりの吸収量(g)を求める。
【0100】
<Vortex試験で測定される吸収速度>
吸水性樹脂粒子2.000gが、JIS R 3503に規定する底面が平らな100mlのトールビーカー内で毎分600回の回転数で撹拌されている生理食塩水50gを吸収し終わるまでに必要とした時間(単位:秒)をJIS K7224−1996に準拠して測定し、Vortex試験で測定される吸収速度とする。
【0101】
本発明の吸収体は、本発明の吸水性樹脂粒子を含有する。吸収体としては、吸水性樹脂粒子を単独で用いても良く、他の材料と共に用いて吸収体としても良い。
他の材料としては繊維状物等が挙げられる。繊維状物と共に用いた場合の吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの(特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等)と同様である。
【0102】
上記繊維状物として好ましいのは、セルロース系繊維、有機系合成繊維及びセルロース系繊維と有機系合成繊維との混合物である。
【0103】
セルロース系繊維としては、例えばフラッフパルプ等の天然繊維、ビスコースレーヨン、アセテート及びキュプラ等のセルロース系化学繊維が挙げられる。このセルロース系天然繊維の原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、メカニカルパルプ及びCTMP等)及び漂白方法等は特に限定されない。
【0104】
有機系合成繊維としては、例えばポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維及び熱融着性複合繊維(融点の異なる上記繊維の少なくとも2種を鞘芯型、偏芯型、並列型等に複合化された繊維、上記繊維の少なくとも2種をブレンドした繊維及び上記繊維の表層を改質した繊維等)が挙げられる。
【0105】
これらの繊維状基材の内で好ましいのは、セルロース系天然繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエステル系繊維、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維であり、更に好ましいのは、得られた吸水剤の吸水後の形状保持性に優れるという点で、フラッフパルプ、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維である。
【0106】
上記繊維状物の長さ、太さについては特に限定されず、長さは1〜200mm、太さは0.1〜100デニールの範囲であれば好適に使用することができる。形状についても繊維状であれば特に限定されず、細い円筒状、スプリットヤーン状、ステープル状、フィラメント状及びウェブ状等が例示される。
【0107】
吸水性樹脂粒子を、繊維状物と共に吸収体とする場合、吸水性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸水性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は40/60〜90/10が好ましく、更に好ましくは70/30〜80/20である。
【0108】
本発明の吸収性物品は上記吸収体を用いる。吸収性物品としては、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品のみならず、後述する各種水性液体の吸収や保持剤用途、ゲル化剤用途等の各種用途に使用されるものとして適用可能である。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの(特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等に記載のもの)と同様である。
【実施例】
【0109】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
【0110】
<実施例1>
アクリル酸(a1−1){三菱化学株式会社製、純度100%}135部、架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部及び脱イオン水315部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.3部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲルを得た。
【0111】
次にこの含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部を添加して混合・中和し、中和ゲル(中和度:72%)を得た。更に中和した含水ゲルを通気型乾燥機{200℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体165部を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、架橋重合体(A−1)(含水率:5%)を得た。
【0112】
ついで、得られた架橋重合体(A−1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.08部、溶剤としてのプロピレングリコール1.6部及び水1.6部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、130℃で30分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.04部及び溶剤としてのプロピレングリコール0.9部及び水0.9部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、130℃で30分加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P−1)を得た。
【0113】
<実施例2>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.743部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A−2)(含水率:9%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.15部、溶剤としてのプロピレングリコール2.2部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.3部及び水2.2部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、90℃で40分間加熱して、そのまま連続して、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05部、溶剤としてのプロピレングリコール1.0部及び溶剤としての水1.0部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で30分加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P−2)を得た。
【0114】
<実施例3>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.135部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A−3)(含水率:11%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.2部、溶剤としてのプロピレングリコール3.5部及び水3.5部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、50℃で20分間加熱して、そのまま連続して、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.15部、溶剤としてのプロピレングリコール1.7部及び水1.7部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、130℃で30分加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P−3)を得た。
【0115】
<実施例4>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.810部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A−4)(含水率:2%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.06部、溶剤としてのプロピレングリコール1.8部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.5部及び水1.8部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、148℃で30分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.04部及び溶剤としてのプロピレングリコール0.5部及び水0.5部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、135℃で35分加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P−4)を得た。
【0116】
<実施例5>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.945部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A−5)(含水率:7%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.03部、溶剤としてのプロピレングリコール0.4部、及び水0.4部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、120℃で50分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.03部及び溶剤としてのプロピレングリコール0.4部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.6部及び水0.4部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、128℃で45分加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P−5)を得た。
【0117】
<実施例6>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.068部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A−6)(含水率:6%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.13部、溶剤としてのプロピレングリコール1.2部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.7部及び水1.2部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で30分間加熱して、そのまま連続して、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1部、溶剤としてのプロピレングリコール4.1部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.3部及び水4.1部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で25分加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P−6)を得た。
【0118】
<実施例7>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.338部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A−7)(含水率:4%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.25部、溶剤としてのプロピレングリコール5.5部及び水5.5部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、110℃で35分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としての1,4−ブタンジオール0.1部及び水20部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、165℃で50分加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P−7)を得た。
【0119】
<実施例8>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.540部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A−8)(含水率:8%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.07部、溶剤としてのプロピレングリコール2.6部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物1.2部及び水2.6部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、70℃で40分間加熱して、そのまま連続して、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としての1,4−ブタンジオール0.05部及び水10部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、155℃で45分加熱して、本発明の吸水性樹脂粒子(P−8)を得た。
【0120】
<比較例1>
実施例4と同様にして得られた架橋重合体(A−4)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.08部、溶剤としてのプロピレングリコール6部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.6部及び溶剤としての水6部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、130℃で30分間加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(P’−1)を得た。
【0121】
<比較例2>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.270部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A’−2)(含水率:10%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.3部、溶剤としてのプロピレングリコール1.9部及び溶剤としての水1.9部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、170℃で30分加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(P’−2)を得た。
【0122】
<比較例3>
実施例8と同様にして得られた架橋重合体(A−8)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.16部、溶剤としてのプロピレングリコール1.2部及び溶剤としての水1.2部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で25分加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(P’−3)を得た。
【0123】
<比較例4>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.270部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A’−4)(含水率:3%)100部に対して表面処理剤としてのカルボキシ変性ポリシロキサン0.02部を添加して均一混合した後、120℃で15分加熱して比較用の吸水性樹脂粒子(P’−4)を得た。
【0124】
<比較例5>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.203部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A’−5)(含水率:3%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.06部、溶剤としてのプロピレングリコール2.5部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.4部及び水2.5部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で50分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.2部及び溶剤としてのプロピレングリコール3.3部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.6部及び水3.3部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、148℃で35分加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(P’−5)を得た。
【0125】
<比較例6>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.473部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A’−6)(含水率:7%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.07部、溶剤としてのプロピレングリコール1.9部及び水1.9部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、120℃で50分間加熱して、そのまま連続して、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレンカーボネート1.5部及び水4部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、158℃で55分加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(P’−6)を得た。
【0126】
<比較例7>
比較例2と同様にして得られた架橋重合体(A’−2)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.01部、溶剤としてのプロピレングリコール3部及び水3部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で30分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.01部、溶剤としてのプロピレングリコール3部及び水3部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で30分加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(P’−7)を得た。
【0127】
<比較例8>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を0.054部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A’−8)(含水率:8%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.09部、疎水性物質としてのカルボキシ変性シリコーン0.03部、溶剤としてのプロピレングリコール3.6部及び水3.6部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で50分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.06部、溶剤としてのプロピレングリコール4.5部及び水4.5部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、148℃で35分加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(P’−8)を得た。
【0128】
<比較例9>
架橋剤(b−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.405部を1.215部にしたこと以外は実施例1と同様にして得られた架橋重合体(A’−9)(含水率:8%)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに1回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1部、溶剤としてのプロピレングリコール2.7部及び水2.7部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、140℃で50分間加熱して、室温まで冷却した後、更に高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、2回目の表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.02部、溶剤としてのプロピレングリコール1.8部、多価金属塩として硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物0.6部及び水1.8部を混合した混合溶液を添加して均一混合した後、138℃で30分加熱して、比較用の吸水性樹脂粒子(P’−9)を得た。
【0129】
実施例1〜8で得た吸水性樹脂粒子(P−1)〜(P−8)及び比較例1〜9で得た比較用の吸水性樹脂粒子(P’−1)〜(P’−9)について、性能評価結果を表1に示す。各性能の評価方法は上述のとおりである。評価性能は、CRC(g/g)、0psi膨潤圧力でのGBP(darcies)、0.3psi膨潤圧力でのGBP(darcies)、0.3psi加圧下での30秒後、60秒後、120秒後、180秒後、300秒後の各生理食塩水吸収量(g/g)(DW値)(表中、それぞれ、加圧DW30、加圧DW60、加圧DW120、加圧DW180、加圧DW300と表した。)、水可溶分(%)、見掛け密度(g/ml)、Vortex(sec)及びAUL(0.9psi)−GelAUL(0.9psi)の値(g/g)(表中、AUL−GelAULと表した。)である。
【0130】
【表1】
【0131】
【表2】
【0132】
表1、表2の結果から、実施例、比較例について、それぞれ、30秒後、60秒後、120秒後、180秒後、300秒後と時間が経過していく中での0.3psi加圧下での生理食塩水吸収量(DW値)が増加していく様子が示されており、この経時の吸収量増加の様子は、吸水性樹脂粒子の0.3psi加圧下での吸収速度(換言すれば単位時間あたりの吸収量)を反映していると言える。すなわち、吸収速度の大小は経時の吸収量増加の多寡として現れる。そして、実施例においては、吸収量が初期(30秒後、60秒後)〜中期(120秒後)の時点からすでに比較例に比べて有意に増大していることが分かり、本願発明に規定する要件を満たしており、0.3psi加圧下での吸収速度に優れていることが判る。しかも、実施例ではAUL(0.9psi)−GelAUL(0.9psi)の値が適当であり、このことから架橋剤の分配割合が適切であり、吸水性樹脂粒子表面に比較的厚みをもった表面架橋構造を形成することが期待できる。一方、AUL(0.9psi)−GelAUL(0.9psi)の値が1より大きい比較例は、減圧吸引により容易に取り除かれる液の量が多いことが推測でき、吸収性能の両立が劣ることがわかる。表面架橋剤の種類や表面架橋方法が適当な実施例は、少ない架橋濃度でも高いGBPが実現可能なのでCRCとGBPのバランスが良くなることが示された。このことは、2段表面架橋を実施した実施例で顕著であり、1段目の架橋剤量が2段目の架橋剤量以上である実施例でとくに顕著であった。