【解決手段】コンクリート製品10の表面を加熱する第1工程と、加熱したコンクリート製品10の表面に粉体塗料50を付着させる第2工程と、を備えるようにした。これにより、電気を帯びないコンクリート製品にも粉体塗装を施すことができる。また、塗装前にコンクリート製品を加熱しているため、コンクリート製品へ触れた粉体塗料が即時に溶融してコンクリート製品に定着するので、収縮することなく端部まで塗膜を形成することができる。また、コンクリート製品表面の凹凸へ溶融した塗料が入りこむことで良好な密着性を実現することができる。
前記第2工程は、移動中のコンクリート製品に対して上方から粉体塗料をふりかけることで実行されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリート製品の製造方法。
コンクリート製品の表面を加熱する加熱装置は、コンクリート製品の移動方向に対して平行に配置された複数列の照射部を備え、前記複数列の照射部の一部のみを使用することで部分的な加熱が可能であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリート製品の製造方法。
コンクリート製品の表面を加熱する加熱装置は、近赤外線によってコンクリート製品を加熱することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリート製品の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、顔料を練り込んで着色した場合、できあがりの色がセメントや骨材の色の影響を受けてしまうため、表現できる色に限界があった。
【0005】
また、塗料を塗布する方法も可能であるが、この場合も、塗料がコンクリート製品にしみこんでしまうため、コンクリート製品の表面の凹凸を隠すことができず、表現できる色に限界があった。
そこで、本発明は、セメントや骨材の色の影響を受けずに、自由な色を表現することができるコンクリート製品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、コンクリート製品の表面を加熱する第1工程と、加熱したコンクリート製品の表面に粉体塗料を付着させる第2工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の通りであり、加熱したコンクリート製品の表面に粉体塗料を付着させることで、コンクリート製品の表面に塗膜を形成することができる。
【0008】
このような方法によれば、従来よりも厚膜の塗装が可能となる。また、厚膜塗装によってコンクリート製品のもつ粗肌を覆い隠し、平滑かつツヤのある化粧を施すことができる。よって、塗膜により平滑な面を形成することができ、セメントや骨材の色の影響を受けずに、自由な色を表現することができる。
また、液体塗料を使用した塗装加工に比べて、乾燥時間を短くすることができるので、作業を効率的に行うことができる。
また、コンクリート製品の表面が塗膜によりコーティングされるので、水の浸透を防ぎ、汚れの定着や白華現象(エフロレッセンス)を抑制することができる。
【0009】
また、コンクリート製品の表面の凹凸などを生かした模様を形成することも可能である。例えば、凹凸により模様を形成した表面に対して塗装すれば、凹部に溶融した塗料が溜まることで塗装の厚い部分ができあがる。これにより、塗装の厚みで模様を表現することができる。
【0010】
なお、従来の粉体塗装は、静電気により被塗装物に必要量の粉体塗料を付着させ、加熱により溶融あるいは硬化させる方法であるため、電気を帯びないコンクリート製品には適用できないものであった。この点、本発明によれば、第1工程においてコンクリート製品を加熱することにより、加熱された表面に触れた粉体塗料を溶融させて塗膜を形成することができる。よって、電気を帯びないコンクリート製品にも粉体塗装を施すことができる。
【0011】
また、第1工程において、塗装前にコンクリート製品を加熱しているため、塗膜の均一性と密着性とが向上する。すなわち、コンクリート製品を事前に加熱せずに、粉体塗料をふりかけた後にコンクリート製品を加熱すると、コンクリート製品よりも先に粉体塗料が加熱される。加熱された粉体塗料は収縮するため、コンクリート製品の端部まで塗膜が形成できないおそれがある。また、粉体塗料とコンクリート製品の温度差により塗膜がコンクリート製品に密着しないおそれがある。この点、本発明は、塗装前にコンクリート製品を加熱しているため、コンクリート製品へ触れた粉体塗料が即時に溶融してコンクリート製品に定着するので、収縮することなく端部まで塗膜を形成することができる。また、コンクリート製品表面の凹凸へ溶融した塗料が入りこむことで良好な密着性を実現することができる。
【0012】
また、第2工程の後にコンクリート製品の表面を再加熱する第3工程を備えていてもよい。このように構成すれば、第3工程で粉体塗料を確実に溶融させることができる。
【0013】
また、前記第3工程の後にコンクリート製品を冷却する第4工程を備えていてもよい。このように構成すれば、溶融した粉体塗料による塗膜を迅速に硬化定着させることができる。
【0014】
なお、コンクリート製品の加熱には近赤外線を用いることが望ましい。近赤外線は光であるため、炎や熱風等と比較して安全であり、電気を使用するため出力制御が容易である。コンクリート製品は金属等と比較して熱伝動率が低いため、近赤外線による表面の集中的な加熱により、短時間で加熱することができる。短時間で加熱することで、コンクリート製品の表面のみを加熱して、内部まで熱が伝わらないようにすることができるので、コンクリート製品を冷却するときにも短時間での冷却が可能となる。
【0015】
また、上記した第2工程は、移動中のコンクリート製品に対して上方から粉体塗料をふりかけることで実行されるようにしてもよい。このような構成によれば、コンクリート製品に適した塗装が可能となる。すなわち、ふりかける方式であれば、従来の一般的な塗装方法である吹付け(スプレー)などと比較して、塗料の飛散ロスを少なくすることができ、また、粉体塗料をふりかける量を調整することで容易に厚膜を形成することができる。また、粉体塗料の量を変化させたり、複数色の粉体塗料を混ぜてふりかけたりすることで、あえて色ムラや模様を形成して意匠を構成することもできる。
【0016】
また、コンクリート製品の表面を加熱する加熱装置は、コンクリート製品の移動方向に対して平行に配置された複数列の照射部を備えるようにしてもよい。そして、複数列の照射部の一部のみを使用することで部分的な加熱が可能としてもよい。このように構成すれば、複数面に塗装を施す場合に、塗装済み面に隣接する部分を避けて加熱することも可能となる。例えば、コーナー用コンクリートブロックのように3面以上の被塗装面があり、塗装済み面に隣り合う面に塗装を施すときに、当該隣り合う面の全面を加熱してしまうと、塗装済み面も加熱されて塗料が再軟化し、ダレや焦げが生じるおそれがある。しかしながら、塗装済み面に隣接する部分を避けて加熱するようにすれば、ダレや焦げを抑制することができる。このとき、塗装済み面に隣接する部分が塗装済み面の加工時の熱を保持している状態で加熱するようにすれば、加熱不足を補うことができる。
【0017】
また、第1工程においてコンクリート製品の短辺方向にコンクリート製品を搬送する第1の搬送手段と、第2工程においてコンクリート製品の長辺方向にコンクリート製品を搬送する第2の搬送手段と、を備えるようにしてもよい。このように構成することで、第1工程においては、搬送ラインを短くすることができる。また、第2工程においては、搬送ラインの幅を小さくできるので、粉体塗料をふりかけるための機械を小型化することができる。また、搬送ラインの幅を小さくすることで、搬送されるコンクリート製品の間の隙間面積も小さくなるので、塗料のロスを少なくすることができる。また、機械の幅を小さくすることができるので、ふりかけ量の両端の偏りも小さくなるので、ふりかけ量の制御も容易とすることができる。
【0018】
また、上記した第1の搬送手段と第2の搬送手段とをL字形に配置してもよい。このように配置すれば、搬送ラインを短くしつつ、搬送方向の変更が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。本実施形態においては、コンクリート製品としてコンクリートブロック10を例として、その製造方法について説明する。なお、本実施形態においてはコンクリートブロック10を例に説明するが、コンクリート製品としてはこれに限らず、インターロッキングブロックや各種のコンクリート二次製品など、他のコンクリート製品であっても本発明は適用可能である。また、塗装が施される面についても、その位置や数は自由に設定することができる。
【0021】
本実施形態においては、
図1(a)に示す基本コンクリートブロック10Aと、
図1(b)に示すコーナー用コンクリートブロック10Bを例に挙げて説明する。本実施形態に係るコンクリート製品の製造方法は、これらのコンクリートブロック10の表面に塗膜を形成するためのものである。例えば、基本コンクリートブロック10Aにおいては、A面11と、このA面11の反対側の面であるB面12と、に塗装を施す。また、コーナー用コンクリートブロック10Bにおいては、A面11およびB面12に加え、このA面11とB面12との間の面であるC面13にも塗装を施す。
【0022】
このコンクリートブロック10の製造方法においては、まず、一般的な製造工程に基づき基材となるコンクリートブロック10を作成する。このときに作成されるコンクリートブロック10はどんなものであってもよいが、塗膜の食いつきを良くするためには、被塗装面が粗面であることが望ましい。
【0023】
コンクリートブロック10が作成されたら、塗装工程に移行する。この塗装工程は、
図2に示すように、(a)コンクリートブロック10の表面を加熱する第1工程と、(b)加熱したコンクリートブロック10の表面に粉体塗料50を付着させる第2工程と、(c)コンクリートブロック10の表面を再加熱して粉体塗料50を完全に溶融する第3工程と、(d)溶融した粉体塗料50による塗膜を硬化定着させるためにコンクリートブロック10を冷却する第4工程と、を含む。
【0024】
なお、本実施形態に係る塗装工程においては、コンクリートブロック10は、ベルトコンベアなどの搬送装置46によって搬送される。コンクリートブロック10は、被塗装面が上になるように搬送装置46に載置され、各工程を実施する装置の位置まで順次搬送されるようになっている。
まず、第1工程では、加熱装置20によってコンクリートブロック10の表面(上面を向くように配置された被塗装面)が加熱される。
【0025】
この第1工程で使用する加熱装置20は、コンクリートブロック10の移動方向に対して平行に配置された複数列の照射部21を備える(
図3参照)。本実施形態においては、近赤外線ランプによって照射部21が構成されている。複数本の近赤外線ランプが、互いに平行に配置されて、コンクリートブロック10の表面に臨むように加熱装置20の下面に取り付けられている。この近赤外線ランプがコンクリートブロック10の表面を照射することにより、短時間でコンクリートブロック10の表面を加熱することができる。このとき、コンクリートブロック10の表面は、粉体塗料50の溶融温度以上の温度(例えば200℃程度)まで加熱される。なお、第1工程から第2工程に移行する間にコンクリートブロック10の表面が自然冷却されてしまうため、第1工程における加熱温度は、粉体塗料50の溶融温度に対して余裕をもった値に設定することが望ましい。
【0026】
なお、本実施形態に係る加熱装置20は、加熱に近赤外線を用いている。本発明の実施形態としてはこれに限るものではないが、近赤外線を用いることで以下のようなメリットがある。すなわち、近赤外線は光であるため、炎や熱風等と比較して安全であり、電気を使用するため出力制御が容易である。また、コンクリートブロック10は金属等と比較して熱伝動率が低いため、近赤外線による表面の集中的な加熱により、短時間で加熱することができる。短時間で加熱することで、コンクリートブロック10の表面のみを加熱して、内部まで熱が伝わらないようにすることができるので、コンクリートブロック10の蓄熱を抑制することができる。これにより、コンクリートブロック10を冷却する時間を短縮することができる。
【0027】
加熱装置20の下を通過したコンクリートブロック10は、搬送装置46によって搬送されて次の第2工程に入る。第2工程では、移動中のコンクリートブロック10に対して上方から粉体塗料50がふりかけられる。なお、粉体塗料50は、熱可塑性樹脂と、着色のための顔料と、を混合した粉体樹脂塗料である。コンクリートブロック10の表面を保護するために、粉体塗料50に耐候性改良添加剤を添加してもよい。更に、粉体塗料50にマイカやカラーサンド、金属フレークなどを添加してもよい。
【0028】
この粉体塗料50のふりかけ動作は、振動フィーダー30によって実行される。振動フィーダー30は、微細な振動を発生させる振動部31と、振動部31によって振動させられるトラフ32と、トラフ32の上面に粉体塗料50を供給する供給ホッパー33と、を備える。振動フィーダー30を作動させると、供給ホッパー33内に投入した粉体塗料50がトラフ32の上面に供給され、トラフ32の微振動によって粉体塗料50が先端方向へと送り出されて落下する。トラフ32から落下した粉体塗料50は、搬送装置46によって搬送されているコンクリートブロック10の上面にふりかけられる。
【0029】
このとき、コンクリートブロック10の表面は、粉体塗料50の溶融温度以上の温度まで加熱されているため、コンクリートブロック10の上面に付着した粉体塗料50は即座に溶融する。
【0030】
なお、本実施形態においては、振動フィーダー30がコンクリートブロック10に対して上方から粉体塗料50をふりかけるようにしている。本発明の実施形態としてはこれに限るものではない(例えば、塗料をスプレーするようにしてもよいし、流動浸漬により塗装してもよい)が、ふりかける方式を採用することでコンクリートブロック10に適した塗装が可能となる。すなわち、ふりかける方式であれば、従来の一般的な塗装方法である吹付け(スプレー)などと比較して、塗料の飛散ロスを少なくすることができる。また、粉体塗料50をふりかける量を調整することで容易に厚膜を形成することができる。また、粉体塗料50の量を変化させたり、複数色の粉体塗料50を混ぜてふりかけたりすることで、あえて色ムラや模様を形成して意匠を構成することもできる。
【0031】
振動フィーダー30の下を通過したコンクリートブロック10は、搬送装置46によって搬送されて次の第3工程に入る。第3工程では、再加熱装置40によってコンクリートブロック10の表面が再加熱される。
【0032】
この第3工程で使用する再加熱装置40は、第1工程で使用する加熱装置20と同じ装置を使用可能である。すなわち、近赤外線ランプによって構成された複数列の照射部21を備えた構成とすることができる。この再加熱装置40は、コンクリートブロック10の表面にふりかけた粉体塗料50が完全に溶けるように、コンクリートブロック10の表面を粉体塗料50の溶融温度以上の温度(例えば150℃程度)まで再加熱する。なお、この第3工程においてはコンクリートブロック10の表面の自然冷却を考慮する必要がない。よって、第3工程における加熱温度は、第1工程における加熱温度よりも低く設定されている。これにより、コンクリートブロック10が無駄に加熱されず、冷却までの時間を短縮することができる。
【0033】
再加熱装置40の下を通過したコンクリートブロック10は、搬送装置46によって搬送されて次の第4工程に入る。第4工程では、冷却装置45によってコンクリートブロック10の表面が冷却される。例えば、冷風をコンクリートブロック10の表面に吹き付けることで、溶融した粉体塗料50を硬化されて塗膜を定着させる。
【0034】
なお、本実施形態においては、第3工程でコンクリートブロック10を再加熱しているが、これに限らず、第2工程の加熱が十分であれば第3工程を省略することも可能である。また、第4工程で冷却装置45によってコンクリートブロック10の表面を冷却しているが、これに限らず、自然冷却によりコンクリートブロック10の表面を冷却してもよい。
【0035】
以上のように、第1〜4工程を実行することで、コンクリートブロック10の一つの面を塗装することができる。被塗装面が複数ある場合には、コンクリートブロック10を回転させて、他の被塗装面についても上記した第1〜4工程を実行する。
【0036】
なお、
図2においては、第1〜4工程が一本の搬送ラインで実行されるようにしたが、これに限らず、
図3に示すように、第1〜4工程が複数の搬送ラインで実行されるようにしてもよい。この
図3の例では、第1工程において、コンクリートブロック10の短辺方向D1にコンクリートブロック10を搬送する第1の搬送手段46Aと、第2工程および第3工程において、コンクリートブロック10の長辺方向D2にコンクリートブロック10を搬送する第2の搬送手段46Bと、を備えている。そして、これらの第1の搬送手段46Aと第2の搬送手段46BとをL字形に配置している。L字形に配置することで、搬送ラインを短く保ちながら、搬送方向を変更する作業(第1の搬送手段46Aから第2の搬送手段46Bへとコンクリートブロック10を移動させる作業)も容易になる。
【0037】
そして、ベルトコンベアなどで構成された第1の搬送手段46Aの上部には、第1工程を実行するための加熱装置20が配置されている。この第1の搬送手段46Aにおいては、コンクリートブロック10の短辺が揃うようにコンクリートブロック10を載置すればよいため、コンクリートブロック10の長辺が揃うようにコンクリートブロック10を載置した場合と比較して搬送ラインを短くすることができる。
【0038】
また、同様にベルトコンベアなどで構成された第2の搬送手段46Bの上部には、第2工程を実行するための振動フィーダー30と、第3工程を実行するための再加熱装置40と、が配置されている。なお、
図3では冷却装置45を省略しているが、再加熱装置40の下流側に冷却装置45を配置してもよい。
【0039】
ところで、振動フィーダー30でコンクリートブロック10の上面にまんべんなく粉体塗料50をふりかけるためには、トラフ32の横幅はコンクリートブロック10の幅以上である必要がある。この点、上記したように第2の搬送手段46Bがコンクリートブロック10の長辺方向D2にコンクリートブロック10を搬送するようにすれば、コンクリートブロック10の幅が小さくなるので、振動フィーダー30(トラフ32)の横幅を小さくすることができる。振動フィーダー30の横幅を小さくすることで、機械の小型化が可能となる。また、コンクリートブロック10の短辺が揃うようにコンクリートブロック10を並べた場合と比較して、コンクリートブロック10の長辺が揃うようにコンクリートブロック10を並べた場合の方が、コンクリートブロック10の間の隙間面積も小さくなるので、隙間に落下する粉体塗料50の量が少なくなり、粉体塗料50のロスを少なくすることができる。また、機械の幅を小さくすることで、ふりかけ量の両端の偏りが小さくなるため、均一に粉体塗料50をふりかけることができる。
【0040】
ところで、
図1(a)に示すような基本コンクリートブロック10Aであれば、A面11およびB面12をどちらから塗装してもよいが、
図1(b)に示すようなコーナー用コンクリートブロック10Bの場合は、どの面から塗装するかが問題となる。コーナー用コンクリートブロック10Bのように連続する3面が被塗装面である場合には、中央のC面13から塗装することが望ましい。なぜなら、C面13に粉体塗料50をふりかけたときに、粉体塗料50がA面11およびB面12にも付着するため、A面11やB面12を先に塗装してしまうと、この付着した粉体塗料50を溶融するために更にA面11およびB面12を加熱する必要が生じるためである。この点、C面13を最初に塗装すれば、以下のような手順で無駄なく作業を行うことができる。
(1)C面13第1工程(加熱)
(2)C面13第2工程(ふりかけ)
(3)A面11第1工程(加熱)
(4)A面11第2工程(ふりかけ)
(5)A面11第3工程(再加熱)
(6)A面11第4工程(冷却)
(7)B面12第1工程(加熱)
(8)B面12第2工程(ふりかけ)
(9)B面12第3工程(再加熱)
(10)C面13第3工程(再加熱)
(11)C面13第4工程(冷却)
【0041】
上記のように、「(2)C面13第2工程(ふりかけ)」を「(4)A面11第2工程(ふりかけ)」および「(8)B面12第2工程(ふりかけ)」よりも先に行うことで、「(2)C面13第2工程(ふりかけ)」でA面11およびB面12に粉体塗料50が付着したとしても、この粉体塗料50が「(5)A面11第3工程(再加熱)」および「(9)B面12第3工程(再加熱)」で溶融される。また、「(10)C面13第3工程(再加熱)」を「(4)A面11第2工程(ふりかけ)」および「(8)B面12第2工程(ふりかけ)」よりも後で行うことで、「(4)A面11第2工程(ふりかけ)」および「(8)B面12第2工程(ふりかけ)」でC面13に付着した粉体塗料50が、「(10)C面13第3工程(再加熱)」で溶融される。よって、無駄に第3工程(再加熱)を繰り返すことなく塗装を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る加熱装置20および再加熱装置40は、複数列の照射部41を備えており、この複数列の照射部41の一部のみを使用して部分的な加熱をすることも可能である。すなわち、複数列の照射部41の一部のみを点灯させ、残りを消灯することにより、範囲を限定した照射を行えるように構成されている。このような加熱装置20および再加熱装置40によれば、
図4に示すように、あえて一部を加熱しないように制御することが可能となる。
【0043】
このような制御は、上記したコーナー用コンクリートブロック10Bの塗装手順における「(3)A面11第1工程(加熱)」や「(7)B面12第1工程(加熱)」において有効である。すなわち、これらの工程においては、A面11やB面12の全面を加熱すると、A面11やB面12に隣接するC面13の縁も加熱されてしまう。しかしながら、C面13がすでに塗装済みであるため、C面13が加熱されると、塗料が再軟化してダレたり、焦げが生じたりするおそれがある。このような場合、C面13に隣接する部分を避けて加熱するようにすれば、ダレや焦げを抑制することができる。
【0044】
なお、このような部分的な照射を実現するためには、
図3および
図4に示すように、複数列の照射部21が、コンクリートブロック10の搬送方向に対して平行に配置されている必要がある。このようには位置すれば、複数列の照射部21の一部のみを点灯させることで、点灯箇所の下を通過するコンクリートブロック10の一部のみを加熱することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る製造方法では、加熱したコンクリートブロック10の表面に粉体塗料50を付着させ、コンクリートブロック10の表面を再加熱して粉体塗料50を完全に溶融させた後に、溶融した粉体塗料50による塗膜を定着させるためにコンクリートブロック10を冷却している。
【0046】
このような方法によれば、従来よりも厚膜の塗装が可能となる。また、厚膜塗装によってコンクリートブロック10のもつ粗肌を覆い隠し、平滑かつツヤのある化粧を施すことができる。よって、塗膜により平滑な面を形成することができ、セメントや骨材の色の影響を受けずに、自由な色を表現することができる。
【0047】
また、コンクリートブロック10の表面が塗膜によりコーティングされるので、水の浸透を防ぎ、汚れの定着や白華現象(エフロレッセンス)を抑制することができる。
【0048】
また、コンクリートブロック10の表面の凹凸などを生かした模様を形成することも可能である。すなわち、凹凸により模様を形成した表面に塗装すれば、凹部に溶融した塗料が溜まることで塗装の厚い部分ができあがる。これにより、塗装の厚みで模様を表現することができる。
【0049】
なお、従来の粉体塗装は、静電気により被塗装物に必要量の粉体塗料を付着させ、加熱により溶融あるいは硬化させる方法であるため、電気を帯びないコンクリートブロック10には適用できないものであった。この点、本実施形態によれば、第1工程においてコンクリートブロック10を加熱することにより、加熱された表面に触れた粉体塗料50を溶融させて塗膜を形成することができる。よって、電気を帯びないコンクリートブロック10にも粉体塗装を施すことができる
【0050】
また、第1工程において、塗装前にコンクリートブロック10を加熱しているため、塗膜の均一性と密着性とが向上する。すなわち、コンクリートブロック10を事前に加熱しないで、粉体塗料50をふりかけた後にコンクリートブロック10を加熱すると、コンクリートブロック10よりも先に粉体塗料50が加熱される。加熱された粉体塗料50は収縮するため、コンクリートブロック10の端部まで塗膜が形成できないおそれがある。また、粉体塗料50とコンクリートブロック10の温度差により塗膜がコンクリートブロック10に密着しないおそれがある。この点、本実施形態は、塗装前にコンクリートブロック10を加熱しているため、コンクリートブロック10へ触れた粉体塗料50が即時に溶融してコンクリートブロック10に定着するので、収縮することなく端部まで塗膜を形成することができる。また、コンクリートブロック10表面の凹凸へ溶融した塗料が入りこむことで良好な密着性を実現することができる。