特開2019-142765(P2019-142765A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-142765(P2019-142765A)
(43)【公開日】2019年8月29日
(54)【発明の名称】ゼオライトナノ結晶凝集体
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/22 20060101AFI20190802BHJP
【FI】
   C01B39/22
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-57740(P2019-57740)
(22)【出願日】2019年3月26日
(62)【分割の表示】特願2017-508651(P2017-508651)の分割
【原出願日】2015年9月10日
(31)【優先権主張番号】1458592
(32)【優先日】2014年9月12日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルジュ・ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・オルティス
(72)【発明者】
【氏名】リュディビーヌ・ブービエ
(72)【発明者】
【氏名】セシル・リュッツ
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA57
4G073BA75
4G073BA81
4G073BB03
4G073BB04
4G073BB05
4G073BB07
4G073BB13
4G073BB40
4G073BB42
4G073BB48
4G073BB57
4G073BD07
4G073BD21
4G073CB03
4G073CZ04
4G073FC12
4G073FC13
4G073FD18
4G073FD20
4G073FD21
4G073FD23
4G073GA01
4G073GA11
4G073GA12
4G073GA14
4G073GB02
4G073UA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取扱いが容易な凝集体の形態のFAUナノゼオライト結晶材料、及び該材料を簡単に迅速で経済的であり、工業規模に容易に適合できる調製方法の提供。
【解決手段】1から1.4の間であって、限界値を含むSi/Al原子比、20m・g−1から80m・g−1の間の外部表面積、50nmから500nmの間であって、限界値を含むナノ結晶の数平均直径、及び0.2μmから10μmの間の数平均凝集体サイズを有するFAUゼオライトナノ結晶凝集体の形態のゼオライト材料。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の特性:
・ 1から1.4の間であって、限界値を含むSi/Al原子比、
・ 20m.g−1から80m.g−1の間、好ましくは30m.g−1から80m.g−1の間、より好ましくは40から60m.g−1の間の外部表面積、
・ 50nmから500nmの間、好ましくは50nmから400nmの間、より好ましくは100nmから400nmの間、より優先的には100nmから300nmの間であって、限界値を含むナノ結晶の数平均直径、および
・ 0.2μmから10μmの間、好ましくは0.3μmから10μmの間、より好ましくは0.5μmから8μmの間の数平均凝集体サイズ
を有するFAUゼオライトナノ結晶凝集体の形態のゼオライト材料。
【請求項2】
ゼオライトナノ結晶は、ゼオライトX、MSXおよびLSXから選ばれるFAUタイプ、好ましくはFAU Xタイプのゼオライトのナノ結晶である、請求項1に記載のゼイライト材料。
【請求項3】
ゼオライトの交換可能な部位は、ヒドロニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム等、より好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびバリウムのイオンから選択されるイオンで占められる、請求項1または請求項2に記載のゼオライト材料。
【請求項4】
制御剤およびゲル、結晶、鉱物粒子等の核形成剤によるシーディング工程の両方を使用する請求項1から3のいずれか一項に記載のゼオライトナノ結晶凝集体の調製方法。
【請求項5】
少なくとも以下の工程:
a) シリカ源とアルミナ源とを0℃から60℃の間の温度で混合することによって成長ゲルを調製する工程、
b) 工程a)からの成長ゲルに、核形成剤を0℃から60℃の間の温度で添加する工程、
c) 反応媒体に少なくとも1つの制御剤を添加する工程、
d) 温度を上げることによる結晶化反応工程、
e) 得られたゼオライト結晶を濾過し、洗浄する工程、および
f) 乾燥および焼成する工程
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
成長ゲルは、シリカ源、アルミナ源、強鉱物塩基、および水の均質混合物を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
核形成剤は、核形成ゲル、結晶、鉱物粒子、クレイ、およびこれらの混合物から選ばれる、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
使用される制御剤の量は、開始制御剤/Alのモル比が0.001から0.15の間、好ましくは0.001から0.12の間であって、限界値を含むものである、請求項4から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
制御剤がオルガノシランから選ばれる、請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
制御剤は、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(SIP)、アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、イソブチルトリエトキシシラン(IBTES)、オクタデシルトリメトキシシラン(ODTMS)、シリルポリマー、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(TPOAC)および全ての割合のそれらの2つ以上の混合物、好ましくはSIPおよびTPOACから選択される、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか一項に記載のFAUゼオライトナノ結晶凝集体の形態の少なくとも1つのゼオライト材料および少なくとも1つのバインダーを含み、バインダー含有率は、30%以下、好ましくは20%以下、および有利には15%以下であるゼオライトアグロメレート。
【請求項12】
特に気相または液相分離操作のための、より具体的には、気体流または液体流を分離するための方法、気相圧力調整吸着方法、気相または液相温度調節吸着方法、再生を伴わない固定床での吸着方法、および擬似移動床における分離方法のための吸着剤としての請求項1から3のいずれか一項に記載の材料または請求項11に記載のアグロメレートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト、特に非常に小さな結晶の形態のゼオライト、より具体的にはナノメートルの結晶の形態のゼオライトの分野に関する。本発明は、ナノメートルの結晶の形態のそのようなゼオライトの調製方法、およびバインダーを用いた集塊によってゼオライト吸着剤を調製するためのその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
非常に小さなサイズ、特にナノメートルのゼオライト結晶に頼ることは、優れた転写特性が望まれる場合に非常に重要である。多くの刊行物(例えば、T. TagoおよびT. Masuda、Zeolite Nanocrystals− Synthesis and Applications、第8章、「Nanocrystals」、INTECH、(2010)出版、326頁、またはVuong−Gia Thanh、博士論文「Synthesis and characterization of nanozeolites」、2006年12月、ケベック州ラバル大学)に教示されているように、現時点では、小サイズの結晶を得るための主として3つの合成方法が存在する。
【0003】
これらの3つの合成方法は、以下のように要約することができる。
1) 非常に希薄な媒体中および低温、即ち、殆どの時間が室温未満での合成;これらの技術は、工業的には長く、経済性に乏しいという欠点を有する。
2) 炭素マトリックスの細孔、マイクロエマルジョン小滴、ポリマーヒドロゲル等のような限定空間での合成;および
3) 場合により有機溶媒の存在下での、熟成段階後に反応混合物に導入され、結晶成長を制限することを目的とする成長阻害剤による合成;これらの方法は、比較的長い合成時間のために経済性に乏しい。T Tagoら (同書)には、数日のオーダーの比較的長い合成時間をもたらすポリオキシエチレン系エーテルのような非イオン性界面活性剤、またはセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)もしくはビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)のようなイオン性界面活性剤が提案されている。
【0004】
特許出願JP2009155187号は、2から6の間のSiO/Al比を有し、20nmから200nmの間の第1の平均直径および20nmから800nmの間の第2の平均直径を有し、これらの平均直径の比は1から5であり、ネットワーク定数(UD)は24.60オングストロームから24.90オングストロームの間である2つの母集団の粒子を有するフォージャサイトタイプ(FAU)のコロイド状ゼオライトの合成を開示する。 この出願で求められている目的は、非常に僅かにしか集塊しない結晶を得ることである。
【0005】
特許JP2008230886号は、非常に長い熟成時間、即ち、100時間を超える時間後に得られる核、即ち、非常に小さな核の透明溶液をシーディング(seeding)することによって、比較的均一な小粒子の合成を提示する。このように、この方法はこの理由のために経済的でなく、工業的に想定することができないようである。
【0006】
しかし、この種のナノメートルの固体の合成、濾過および取り扱いは、前記固体の小さなサイズだけでなく、固体が低密度のため困難である。
【0007】
このようなナノメートルの固体の取り扱いを容易にする試みは、例えば、遠心分離によってゼオライトナノ結晶を回収し、続いて、結晶を互いに集塊させることを可能にする溶液と接触させる段階を教示するUS2012100066号によって説明されている。
【0008】
ある著者は、このような小さなゼオライト物体は、取扱いがより容易であり、満足のいく転写特性を保つ二次粒子の形態で凝集し得ることを教示する。従って、例えば、特許出願US20120227584は、0.8μm以上の平均直径を有するFAUゼオライトナノ結晶凝集体を提案し、そのナノ結晶の平均直径は0.3μm以下であり、少なくとも80%の 一次粒子(ナノ結晶)が凝集する。この場合においても、希釈媒体中で実施される合成は長く、不経済であり、結果的に工業的に想定することができない。
【0009】
さらに、ゼオライト物体は、Dubinin−Raduskevitch容量およびX線回折(XRD)によって得られる結晶相の純度に関して、かなりのまたは最大の結晶化度を有さなければならない。
【0010】
従って、現時点では、かなりのまたは最大の結晶化度を有するゼオライトナノ結晶凝集体を合成するための経済的で容易に工業化可能な方法に対する必要性が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−155187号公報
【特許文献2】特開2008−230886号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/100066号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0227584号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】T. TagoおよびT. Masuda、Zeolite Nanocrystals− Synthesis and Applications、第8章、「Nanocrystals」、INTECH、(2010)出版、326頁
【非特許文献2】Vuong−Gia Thanh、博士論文「Synthesis and characterization of nanozeolites」、2006年12月、ケベック州ラバル大学
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは、このようなゼオライトナノ結晶を調製することが可能であり、前記ナノ結晶は凝集体の形態で得られ、このため取り扱いが容易であり、その調製が簡単で迅速で経済的であり、従って工業規模に容易に適合できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、第1の主題によれば、本発明は、少なくとも以下の特性を有するFAUゼオライトナノ結晶凝集体の形態のゼオライト材料に関する。
・ 1から1.4の間であって限界値を含むSi/Al原子比、
・ 20m.g−1から80m.g−1の間、好ましくは30m.g−1から80m.g−1の間、より好ましくは40から60m.g−1の間の外部表面積、
・ 50nmから500nmの間、好ましくは50nmから400nmの間、より好ましくは100nmから400nmの間、より優先的には100nmから300nmの間であって限界を含むナノ結晶の数平均直径、および
・ 0.2μmから10μmの間、好ましくは0.3μmから10μmの間、より好ましくは0.5μmから8μmの間の数平均凝集体サイズ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例4で得られた固体のSEM画像である。
図2】実施例6で得られた固体のSEM画像である。
図3】実施例3ビスで得られた固体のTEM画像である。
図4】比較例5で得られた固体のTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましい実施形態によれば、本発明によるゼオライトナノ結晶は、FAUタイプ、特にゼオライトX、MSXおよびLSXから選択されるゼオライトのゼオライトナノ結晶である。「ゼオライトMSX」(中程度のシリカX)という用語は、約1.05から約1.15(限界値含む)の間のSi/Al原子比を有するFAUタイプのゼオライトを意味する。「ゼオライトLSX」(低シリカX)という用語は、約1に等しいSi/Al原子比を有するFAUタイプのゼオライトを意味する。FAU Xタイプのゼオライトが最も特に好ましい。
【0017】
上記に挙げた特性は、本発明による凝集したゼオライトナノ結晶の形態のゼオライト材料に、従来技術から知られているゼオライト材料と比較して改善され、全く驚くべき有利な特性を与える。特に、これらのゼオライトナノ結晶凝集体は、そのような特性が望まれる用途における転写特性をさらに改善するために、完全に有利な結晶間メソ多孔性を有する。
【0018】
「結晶間メソ細孔」という用語は、一緒に凝集した/集塊した充填された結晶の間に観察される、約2nmより大きい直径を有する空洞を意味する。「充填された結晶」という用語は、見かけのメソ多孔性、即ち、明細書中で概説される分析技術に従って、透過型電子顕微鏡下では見えないメソ多孔性を有さない結晶を意味する。
【0019】
本発明のゼオライトナノ結晶集合体のサイズは、後述するように、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察によるその数平均直径で表される。
【0020】
また、本発明の凝集体を形成するゼオライトナノ結晶のサイズは、後述するように、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察によるその数平均直径で表される。本発明はまた、特に以下に概説する合成条件に応じて、特に核形成剤および制御剤に応じて、ナノ結晶のサイズならびに凝集体のサイズの両方を調節および制御することを可能にするという利点を有する。
【0021】
本発明において、外部表面積は、ハルキンズ−ジュラ方程式を適用することにより、後述するt−プロット法により、窒素吸着等温線から測定される。
【0022】
本発明によるゼオライトナノ結晶凝集体は、結晶間メソ細孔網目構造に関連する微小穴網目構造を含む固体であり、従って、ゼオライトの活性部位への利用可能性特性ならびにゼオライトの結晶化度およびミクロ多孔性の特性を調和させることを可能にする。従って、本発明のゼオライトナノ結晶は、予期せぬ特性を有し、それらの工業的応用分野に関して新たな視点を提供する。
【0023】
さらに、本発明のゼオライトナノ結晶凝集体は、当業者に周知であり、ゼオライト材料に関して一般的に行われているイオン交換技術に従って、1つ以上のカチオン交換(例えば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩)に供されてもよい。従って、ゼオライトの交換可能な部位が、ヒドロニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム等、より好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびバリウムのイオンから選択されるイオンで占められている本発明のゼオライトナノ結晶凝集体が好ましい。
【0024】
第2の態様によれば、本発明は、上記でちょうど記載されたようなゼオライトナノ結晶凝集体の調製方法に関する。本発明の方法は、特に、実施が容易で工業規模に容易に転換可能であるという利点を有し、これは、特に、高い合成材料収率ならびに方法のロバスト性および迅速性のために可能である。
【0025】
より具体的には、本発明による前記ゼオライトナノ結晶凝集体を合成する方法は、本発明の明細書中で後に概説するように、制御剤、およびゲル、結晶、鉱物粒子等の核形成剤によるシーディング工程の両方を使用する。
【0026】
「制御剤」という用語は、ゼオライト結晶の結晶成長を制御すると同時に、最適な結晶化度を得ることを可能にする化合物を意味する。本発明の方法において使用され得る制御剤は、有利には、界面活性剤、構造化剤、結晶成長抑制剤、分散剤、およびゼオライト材料の合成に一般的に使用される他の化合物から選択される。
【0027】
好ましい態様によれば、本発明の方法において使用され得る制御剤は、少なくとも1つのケイ素原子を含み、より好ましくはオルガノ−シリル化合物、さらに好ましくはオルガノシランから選択される。別の好ましい態様によれば、制御剤は、少なくとも1つの窒素原子、より好ましくは少なくとも1つのアミン官能基、より好ましくは少なくとも1つのアンモニウム官能基を含む化合物である。完全に好ましい制御剤の中で、少なくとも1つのアミンおよび/またはアンモニウム官能基で官能化されたオルガノシランが挙げられる。
【0028】
より正確には、本発明によるゼオライトナノ結晶凝集体の調製方法は、少なくとも以下の工程:
a) シリカ源とアルミナ源とを0℃から60℃の間の温度で混合することによって「成長」ゲルを調製する工程、
b) 工程a)からの成長ゲルに、核形成剤を0℃から60℃の間の温度で添加する工程、
c) 反応媒体に少なくとも1つの制御剤を添加する工程、
d) 温度を上げることによる結晶化反応工程、
e) 得られたゼオライト結晶を濾過し、洗浄する工程、および
f) 乾燥および焼成する工程
を含む。
【0029】
制御剤を添加する工程c)は、工程a)および/またはb)と同時に、あるいは工程a)および/または工程b)の前および/または後に行うことができることを理解すべきである。いずれにしても、制御剤が結晶化工程d)の前に反応媒体中に存在することが好ましい。しかし、工程b)の後に制御剤を添加することが好ましい。さらに、工程a)、b)、c)およびd)の間に、遅延時間(攪拌の有無にかかわらず休止時間)を想定することができる。
【0030】
好ましい態様によれば、成長ゲルは、最も一般的に使用される主要なものを挙げると、シリカ源(例えば、ケイ酸ナトリウム)、アルミナ源(例えば、アルミナ三水和物)、強鉱物塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化カルシウム、および水の均質混合物を含む。
【0031】
本発明の方法は、例えば、核形成ゲル、結晶、例えば、ゼオライト結晶、任意の性質の鉱物粒子、例えば、クレイ、および非限定的にはカオリン、メタカオリン等、およびこれらの混合物から選ばれる、当業者に周知の少なくとも1つの核形成剤によるシーディング(工程b))の技術の使用によって特徴づけられる。
【0032】
好ましい態様によれば、核形成剤は核形成ゲルであり、より好ましくは核形成ゲルが、最も一般的に使用される主要なものを挙げると、シリカ源(例えば、ケイ酸ナトリウム)、アルミナ源(例えば、アルミナ三水和物)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化カルシウム等の強鉱物塩基、および水の均質混合物を含む。
【0033】
混合物(成長ゲルおよび/または核形成ゲル)の均質性は、当業者に周知の任意の方法に従って、例えば、限定されないが、パドルスターラー、ミキサーを使用して、あるいは特許EP0818418号に記載されているようなアルキメデススクリュータイプのミキサーを使用して得ることができる。
【0034】
非限定的な例として、回転が300rpmに設定されたアルキメデススクリューを備えた3リットルの反応器では、数分から数十分、一般に20分から30分の間で十分な均質性が得られる。
【0035】
混合物は、一般に、0℃から60℃の間、好ましくは10℃から40℃の間の温度で調製され、実際的かつ経済的理由から、混合物はより好ましくは室温、例えば、25℃で調製される。そして、均質化期間は一般に2時間未満である。
【0036】
先に示したように、本発明の方法は、特に、このようにして得られた成長ゲルに核形成剤、好ましくは、例えば、特許US3947482号に定義された概念による核形成ゲルを添加することによって特徴付けられる。添加される核形成剤の量は広い割合で変化し得、添加される核形成ゲルの量は、成長ゲルの重量に対して、一般に0.1から20重量%の間、好ましくは0.5から15重量%の間、より好ましくは1から10重量%の間であって限界値を含むことができる。
【0037】
核形成剤がゼオライト結晶である場合、それは合成したいゼオライトと同じ性質のゼオライト結晶であることが好ましい。種結晶(ゼオライト結晶)の数平均直径は、広い割合で変化し得、例えば、典型的には0.1μmから10μmの間、好ましくは0.1μmから5μmの間、より好ましくは0.1μmから1μmの間である。好ましい実施形態によれば、種結晶(ゼオライト結晶)は、水性懸濁液の形態で導入される。導入される種晶の量も広い割合で変化してもよく、一般に、典型的には、成長ゲルの総重量に対して0.1重量%から10重量%の間である。
【0038】
本発明による方法はまた、工程b)で得られた混合物(成長ゲル/核形成剤)に、先に定義した少なくとも1つの制御剤を添加する工程によって特徴付けられる。
【0039】
好ましい実施形態によれば、制御剤は、有利にはオルガノシラン、より優先的にはN−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(PHAPTMS、より一般的には商品名「SIP」の下に知られる)、アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、イソブチルトリエトキシシラン(IBTES)、オクタデシルトリメトキシシラン(ODTMS)、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ドデシルジメチルアンモニウムクロライド、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクチルアンモニウムクロライド、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン、トリエトキシ−3−(2−イミダゾリン−1−イル)プロピルシラン、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、[2−(シクロヘキセニル)エチル]トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシランおよび(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン等、ならびに全ての割合のそれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0040】
上で挙げた制御剤の中で、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(SIP)および[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(TPOAC)が最も特に好ましい。
【0041】
より高いモル質量の制御剤、例えば、場合によりシラノール官能基を有するシリルポリマー、例えば、ポリ(オキシエチレン)エーテル−アルキル−トリアルコキシシランおよびポリプロピレン−オキシド−ジアミン−アルキル−トリメトキシシランを使用することもできる。
【0042】
上記の制御剤に加えて、1つ以上のオリゴマー添加剤またはポリマー添加剤、例えば、PPDA(ポリマーポリ−ジアリルジメチルアンモニウム)、PVB(ポリビニルブチラール)、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)から選択されるもの、および、例えば、BASFによって販売されているPluronic(R) P123の名称で商業的に知られているものを同時にまたは連続して添加することができる。
【0043】
本発明の方法において使用される制御剤の量は広い割合で変化し得、一般に、開始制御剤/Alのモル比が0.001から0.15の間、好ましくは0.001から0.12の間であって限界値を含むようなものである。
【0044】
上で挙げたオルガノシランタイプの制御剤の中で、少なくとも1つのアンモニウム官能基を含むものは、本発明の方法に最も特に適した制御剤のサブグループを形成する。
【0045】
アンモニウム官能基を全く含まないオルガノシランの中でも、挙げることができる例には、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン、トリエトキシ−3−(2−イミダゾリン−1−イル)プロピルシラン、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、[2−(シクロヘキセニル)エチル]トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(SIP)、アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、イソブチルトリエトキシシラン(IBTES)、オクタデシルトリメトキシシラン(ODTMS)、シリルポリマー等、ならびに全ての割合のそれらの2つ以上の混合物が含まれる。
【0046】
上で挙げた制御剤の中でも、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(SIP)が最も特に好ましい。
【0047】
アンモニウム官能基を全く含まない、上記のオルガノシランである制御剤の場合、0.01から0.15の間、好ましくは0.01から0.12の間であって限界値を含む、
開始制御剤/Alモル比を使用することが好ましい。
【0048】
少なくとも1つのアンモニウム官能基を含むオルガノシランである制御剤の中でも、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ドデシルジメチルアンモニウムクロライド、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクチルアンモニウムクロライド等、および全ての割合のそれらの2つ以上の混合物から選択されるものを使用することが好ましい。
【0049】
上で挙げた制御剤の中でも、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、即ち、TPOACが最も特に好ましい。
【0050】
上記のように、少なくとも1つのアンモニウム官能基を含むオルガノシランの場合、0.001から0.015の間であって限界値を含む、開始制御剤/Alモル比を使用することが好ましい。
【0051】
制御剤の添加は、例えば、前に工程a)で示したように撹拌しながら実施し、次いで、混合物を、好ましくは攪拌しながら、さらに同じ温度、例えば、25℃で数分間から数十分、典型的には1時間の間攪拌しながら、熟成工程に供する。
【0052】
この熟成工程の後、反応混合物を、よりゆっくりとした、典型的には20rpmから100rpmの間、例えば、50rpmで撹拌しながら、温度を一般に60℃から100℃の間、例えば、75℃の値まで上昇させて、結晶化工程d)に供する。結晶化に必要な時間は、一般に数時間から数十時間の間、有利には8時間から48時間の間である。
【0053】
結晶化工程の終了時に、濾過により反応媒体からゼオライトナノ結晶を抽出し、次いで1つ以上の好適な水性溶媒および/または有機溶媒、好ましくは水性溶媒で洗浄し、最後に50℃から150℃の間で、当業者に知られている通常の技術に従って乾燥させる。
【0054】
ナノ結晶および凝集体の平均サイズは、特に、核形成剤(核形成ゲルまたは結晶、例えばゼオライト結晶等)および/または制御剤の量および性質を調節することによって制御することができる。
【0055】
乾燥したナノ結晶凝集体は、次いで、焼成に付され、この工程は、当業者に知られており、ゼオライトを使用する用途で使用される余地がある固体を得るために必要である。制御剤を除去するために特に行われる焼成は、当業者に知られている任意の焼成方法に従って行うことができる。例えば、限定されないが、制御剤を含むゼオライトナノ結晶の焼成は、酸化性および/または不活性ガスの流れ、特に酸素、窒素、空気、乾燥および/もしくは二酸化炭素を除去した空気または場合により乾燥および/もしくは二酸化炭素が除去された酸素枯渇空気の流れの下で、150℃を超える、典型的には180℃から800℃の間、優先的には200℃から650℃の間の1つ以上の温度で、数時間、例えば、2から6時間の間行うことができる。ガスの性質、温度上昇勾配および連続温度段階ならびにその持続時間は、制御剤の性質に応じて適合されるであろう。
【0056】
乾燥および/または焼成工程(工程f)の前または後に、標準的なカチオン交換技術に従って1つ以上のカチオン交換(例えば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用いて)を行うことは、本発明の文脈からの逸脱ではないであろう。
【0057】
先に示したように、本発明の合成方法は、実施が容易であり、比較的短時間で、特に、従来技術で知られている合成方法(これは非常に長く、および/または非常に希釈された媒体中で行われ、これは非常に大量の液体の取り扱いを必要とする)に対して少なくとも4の係数で低減された時間で実施される。
【0058】
しかし、合成のこの単純さおよび速度は、こうして得られたゼオライトナノ結晶凝集体の品質または特性に悪影響を及ぼさない。具体的には、本発明の方法により、ゼオライトナノ結晶凝集体構造に向かって合成の選択率を増加させることが可能である。
【0059】
実際、従来技術の方法では、ゼオライトの細孔容積の増加、および典型的には5%未満、好ましくは2%未満の汚染相(FAU以外のゼオライト相)を有する、上昇相の純度の維持は、非常に長い平均結晶化時間でのみで、比較的低い温度(<80℃)で得られる。しかし、これらの方法は、本発明のものに匹敵する微小孔容積に達することは決してない。
【0060】
従って、ゼオライトナノ結晶凝集体を調製するための他の方法と比較して、本発明の方法は比較的短時間(一般に約1日程度)のたった1つの工程で、少量の制御剤で、従って全体的に比較的低コストで、または少なくとも限定された過剰コストで実施されるので、より生産的でより安価である。
【0061】
これらのゼオライトナノ結晶凝集体の使用は、吸着、イオン交換および分離のような工業的方法において特に有利であり、ゼオライトが通常使用される任意の技術分野においても想定され得る。特に、ゼオライトナノ結晶凝集体の形態のゼオライト材料は、特に気相または液相分離操作のための、より具体的には、気相圧力調整吸着方法、気相または液相温度調節吸着方法、再生を伴わない固定床での吸着方法、および擬似移動床における分離方法(これらに限定されるものではない)のための吸着剤として使用することができる。
【0062】
特に上記の用途に対し、本発明によるゼオライトナノ結晶凝集体からバインダーによる集塊によって固体ゼオライト材料を調製することも特に有利である。使用され得る集塊バインダーは、当業者に周知であり、クレイ、有機ポリマー、シリカ、アルミナ等、およびそれらの2つ以上の混合物から選択され得る。従って、本発明の文脈で使用され得るバインダーは、当業者に知られている慣用のバインダーから選択することができ、それはゼオライト化可能であってもなくてもよく、好ましくはクレイおよびクレイの混合物、シリカ、コロイド状シリカ、アルミナゲル等、ならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0063】
クレイは、好ましくは、カオリン、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、アタパルジャイト、セピオライト、モンモリロナイト、ベントナイト、イライトおよびメタカオリンならびに全ての割合のそれらの2つ以上の混合物から選択される。
【0064】
セピオライトまたはアタパルジャイトタイプの繊維質クレイを使用することもでき、クレイは、一般に、乾燥粉砕および選択された粉末の形態であってもよく、またはより良好にはゲルの形態(即ち、剥離されたクレイ)、および分散され、場合により粉砕されたもの、例えば、1つ以上の化学的処理を受けていてもいなくてもよい市販のクレイMin−U−Gel(R)、Pansil(R)、Pangel(R)、Cimsil(R)、Attagel(R)、Actigel等の形態で配合される。そのようなゲルは、例えば、EP170299号またはUS6743745号に記載されている。
【0065】
無水パーセンテージとして表されるバインダー含有率は、30%以下、好ましくは20%以下、および有利には15%以下である。
【0066】
従って、さらに別の態様によれば、本発明は、先に定義したFAUゼオライトナノ結晶凝集体の形態の少なくとも1つのゼオライト材料と、先に定義した少なくとも1つのバインダーとを含み、バインダー含有率が30%以下、好ましくは20%以下、および有利には15%以下であるゼオライトアグロメレートに関する。当業者に周知の方法に従って、例えば、先に記載したように、特にアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を使用して、ゼオライトアグロメレート上で1つ以上のカチオン交換を実施することは本発明の範囲から逸脱するものではないであろう。
【0067】
上記で定義したゼオライトアグロメレートは、多くの用途、特に本発明のゼオライトナノ結晶凝集体の形態のゼオライト材料のために上記で言及したもの、とりわけ吸着、イオン交換および分離のような工業的方法において使用することができるのみならず、ゼオライトが通常使用される任意の技術分野でも使用することができる。特に、ゼオライトナノ結晶凝集体を含むアグロメレートは、特に気相または液相分離操作、最も具体的には気体流または液体流を分離するための方法、例えば、気相圧力調節吸着方法、気相または液相温度調節吸着方法、再生を伴わない固定床での吸着方法、および擬似移動床における分離方法(これらに限定されない)のための吸着剤として使用することができる。
【実施例】
【0068】
本発明は、本発明の様々な実施形態を限定することを意図ことなく提示される、以下の実施例によって例示される。
【0069】
以下の実施例において、ゼオライト結晶の物理的特性は、当業者に知られている方法によって評価され、その主なものは以下に想起される。
【0070】
ゼオライト結晶の強熱減量
強熱減量は、規格NF EN 196−2(2006年4月)に記載されているように、950℃±25℃の温度で空気中で試料を焼成することにより、酸化性雰囲気下で測定される。測定された標準偏差は0.1%未満である。
【0071】
Dubinin−Raduskevitch容量
Dubinin−Raduskevitch容量は、その液化温度における窒素の吸着等温線の測定値から決定される。吸着の前に、ゼオライト系吸着剤を真空下(P<6.7×10−4Pa)で300℃から450℃の間で9時間から16時間の間脱気する。次いで、吸着等温線の測定は、マイクロメリティクス社のASAP2020タイプの機器で行い、0.002から1の間の比P/P0の相対圧力で少なくとも35個の測定点を取る。微小孔容積は、得られた等温線からDubinin−Raduskevitchに従って、規格ISO 15901−3(2007)を適用することによって決定される。Dubinin−Raduskevitch方程式に従って、評価された微小孔容量は、ゼオライト1グラム当たりの液体吸着物のcmで表される。測定の不確実性は±0.003cm.g−1である。
【0072】
結晶サイズおよび形態(SEM)
ナノ結晶およびゼオライトナノ結晶凝集体の数平均直径の評価は、走査型電子顕微鏡を用いた観察によって先に示されたように行われる。
【0073】
試料についてゼオライトナノ結晶のサイズを評価するために、少なくとも5000の倍率で1セットの画像を撮る。次いで、少なくとも200個の結晶の直径を、専用ソフトウェア、例えば、LoGraMiによって公開されたSmile View ソフトウェアを使用して測定する。精度は3%程度である。
【0074】
ナノ結晶およびゼオライトナノ結晶凝集体の形態は、観察された固体のサイズに適した倍率で取られたSEM写真から認定される。
【0075】
透過型電子顕微鏡(TEM)によるメソ細孔構造の観察
粉末をエタノール中に1分間超音波処理して分散させる。その溶液の1滴を顕微鏡のスライドグリッド上に置く。試料を外気中で乾燥させる。観測は透過型電子顕微鏡(FEIからのCM200)を用いて120kVの電圧で行う。
【0076】
×175000という得られた倍率(図3および図4参照)は、結晶内メソ細孔が存在しないことを確認することを可能にする。
【0077】
本発明において、「結晶内メソ細孔」という用語は、結晶内部に位置し、透過型電子顕微鏡で観察される2nmを超える直径を有する空洞を意味する。「結晶間メソ細孔」という用語は、(結晶内メソ多孔性を有さない)充填した結晶の凝集から生じる2nmを超える直径を有する空洞を意味する。
【0078】
t−プロット法を介する外部表面積(m.g−1におけるS ext)の測定
t−プロット計算方法は、窒素吸着等温線データQ ads=f(P/P0)を利用し、微小孔表面積を計算することを可能にする。外部表面積は、m.g−1で表される全細孔表面積を測定するBET表面積(S BET=S microp.+S ext.)との差を決定することにより、そこから推測することができる。
【0079】
t−プロット法を介して微小孔表面積(S microp.)を計算するために、曲線Q ads(cm.g−1)を、t=参考の非多孔質固体上に形成されるであろう部分圧力P/P0に依存する層の厚さの関数としてプロットする(log P/P0のt関数:適用されるHarkins−Jura方程式(ISO規格15901−3:2007)):

[13.99/(0.034−log(P/P0))1/2]、

ここで、0.35nmから0.5nmの間の間隔tにおいて、微小孔表面積を計算することを可能にする吸着されたインターセプトポイントQを定義する直線をプロットすることができる。固体が微孔質でない場合、この直線は0を通過する。
【0080】
元素化学分析およびX線蛍光によるSi/Al原子比の分析
固体(ナノ結晶、ナノ結晶凝集体、アグロメレート)の元素化学分析は、当業者に既知の様々な分析技術に従って実施することができる。これらの技術の中で、波長分散分光計(WDXRF)、例えば、Bruker社のTiger S8機上で、規格NF EN ISO 12677:2011に記載されているようなX線蛍光による化学分析の技術を挙げることができる。
【0081】
X線蛍光は、試料の元素組成を確立するために、X線範囲の原子の光ルミネセンスを利用する非破壊スペクトル技術である。一般にX線ビームを用いたまたは電子衝撃による原子の励起は、原子の基底状態に戻った後に特定の放射線を発生させる。X線蛍光スペクトルは元素の化学的組み合わせにはほとんど依存しないという利点を有し、そのことは定量的および定性的の両方で正確な測定を提供する。慣習的に、各酸化物の較正の後、0.4重量%未満の測定不確実性が得られる。
【0082】
これらの元素化学分析により、ゼオライトのSi/Al原子比を検査することが可能になり、Si/Al原子比の測定不確実性は±5%である。
【0083】
X線回折による定性および定量分析
この分析により、分析された固体中に存在する結晶相を同定することが可能になる。何故ならば、ゼオライト構造の各々は、回折ピークの位置およびそれらの相対強度によって定義される独特なディフラクトグラムを有するからである。
【0084】
ゼオライトナノ結晶凝集体を、単純な機械的圧縮によって試料ホルダー上に広げ、水平にする。Bruker D5000機器でディフラクトグラムを取得する条件は次のとおりである。
・ 40kV−30mAで使用されるCuチューブ;
・ スリットサイズ(発散、散乱および分析)= 0.6mm;
・ フィルター:Ni;
・ 15rpmで回転する試料装置;
・ 測定範囲:3°<2Θ<50°;
・ インクリメント:0.02°;
・ インクリメント毎の計測時間:2秒。
【0085】
得られたディフラクトグラムの解釈は、完全な結晶相を明らかにすることを可能にする2011年公開のICDD PDF−2ベースを使用する、相の同定を伴うEVAソフトウェアを用いて行う。
【0086】
ゼオライトX画分の量は、X線回折分析によって測定する。この分析は、Brukerブランドの機器で行い、その後、Bruker社のTOPASソフトウェアを使用して、ゼオライトXの画分の量を評価する。
【0087】
[比較例1]:
制御剤なしで核形成ゲルおよび成長ゲルを用いた合成
【0088】
a)アルキメデススクリューで攪拌した反応器中での成長ゲルの調製
加熱ジャケット、温度プローブおよび撹拌機を備えた3リットルのステンレス鋼製反応器中で、水酸化ナトリウム(NaOH)119g、アルミナ三水和物(Alを65.2重量%含有するAl・3HO)128gおよび水195.5gを含有するアルミン酸塩溶液を25℃で25分間にわたって300rpmの撹拌速度で、25℃の珪酸ナトリウム565.3g、NaOH55.3gおよび水1997.5gを含有する珪酸塩溶液と共に混合することにより、成長ゲルを調製する。
【0089】
成長ゲルの化学量論は以下の通りである。即ち、3.48NaO/Al/3.07SiO/180HO。成長ゲルの均質化は、25℃で25分間、300rpmで攪拌しながら実施する。
【0090】
b)核形成ゲルの添加
成長ゲルと同様にして調製し、40℃で1時間熟成した組成12NaO/Al/10SiO/180HOの核形成ゲル61.2g(即ち、2重量%)を、25℃で300rpmで攪拌しながら成長ゲルに添加する。300rpmで5分間均質化した後、攪拌速度を100rpmに下げ、30分間攪拌を続ける。
【0091】
c)結晶化
攪拌速度を50rpmに下げ、反応媒体の温度が80分かけて75℃まで上昇するように反応器ジャケットを80℃の公称値に設定する。75℃の段階で22時間後、ジャケットに冷水を循環させることによって反応媒体を冷却し、結晶化を停止させる。
【0092】
d)ろ過/洗浄
固体を焼結体上で回収し、次いで脱イオン水で中性pHになるまで洗浄する。
【0093】
e)乾燥/焼成
生成物を特徴付けるために、オーブン中で90℃で8時間乾燥を行い、乾燥生成物の強熱減量は23重量%である。
【0094】
非常に大きな凝集体の形態で1.24に等しいSi/Al原子比を有するゼオライトXを得る。
【0095】
[比較例2]:
核形成ゲルを添加せずに、成長ゲルを添加し、制御剤を添加するゼオライトXの合成:SIP/Al比=0.02
【0096】
a)アルキメデススクリューで攪拌した反応器中での成長ゲルの調製
加熱ジャケット、温度プローブおよび撹拌機を備えた3リットルのステンレス鋼製反応器中で、水酸化ナトリウム(NaOH)119g、アルミナ三水和物(Alを65.2重量%含有するAl・3HO)128gおよび水195.5gを含有するアルミン酸塩溶液を25℃で25分間にわたって300rpmの撹拌速度で、25℃の珪酸ナトリウム565.3g、NaOH55.3gおよび水1997.5gを含有する珪酸塩溶液と共に混合することにより、成長ゲルを調製する。
【0097】
成長ゲルの化学量論は以下の通りである。即ち、3.48NaO/Al/3.07SiO/180HO。成長ゲルの均質化は、25℃で25分間、300rpmで攪拌しながら実施する。
【0098】
b)反応媒体への制御剤の導入
SIPの溶液4.4gを、300rpmの撹拌速度で反応媒体中に導入する(SIP/Alモル比=0.02)。次いで、結晶化を開始する前に、熟成工程を25℃で1時間、300rpmで行う。
【0099】
c)結晶化
攪拌速度を50rpmに下げ、反応媒体の温度が80分かけて75℃まで上昇するように反応器ジャケットを80℃の公称値に設定する。75℃の段階で22時間後、ジャケットに冷水を循環させることによって反応媒体を冷却し、結晶化を停止させる。
【0100】
d)ろ過/洗浄
固体を焼結体上で回収し、次いで脱イオン水で中性pHになるまで洗浄する。
【0101】
e)乾燥/焼成
生成物を特徴付けるために、オーブン中で90℃で8時間乾燥を行い、乾燥生成物の強熱減量は23重量%である。
【0102】
わずかに凝集した大きな結晶の形態で1.24に等しいSi/Al原子比を有するゼオライトXを得る。
【0103】
[実施例3(本発明)]:
核形成ゲルおよび成長ゲルならびに制御剤を添加するゼオライトXの合成:SIP/Al比=0.04
【0104】
a)アルキメデススクリューで攪拌した反応器中での成長ゲルの調製
加熱ジャケット、温度プローブおよび撹拌機を備えた3リットルのステンレス鋼製反応器中で、水酸化ナトリウム(NaOH)119g、アルミナ三水和物(Alを65.2重量%含有するAl・3HO)128gおよび水195.5gを含有するアルミン酸塩溶液を25℃で25分間にわたって300rpmの撹拌速度で、25℃の珪酸ナトリウム565.3g、NaOH55.3gおよび水1997.5gを含有する珪酸塩溶液と共に混合することにより、成長ゲルを調製する。
【0105】
成長ゲルの化学量論は以下の通りである。即ち、3.48NaO/Al/3.07SiO/180HO。成長ゲルの均質化は、25℃で25分間、300rpmで攪拌しながら実施する。
【0106】
b)核形成ゲルの添加
成長ゲルと同様にして調製し、40℃で1時間熟成した組成12NaO/Al/10SiO/180HOの核形成ゲル61.2g(即ち、2重量%)を、25℃で300rpmで攪拌しながら成長ゲルに添加する。300rpmで5分間均質化した後、攪拌速度を100rpmに下げ、30分間攪拌を続ける。
【0107】
c)反応媒体への制御剤の導入
SIPの溶液8.8gを、300rpmの撹拌速度で反応媒体中に導入する(SIP/Alモル比=0.04)。次いで、結晶化を開始する前に、熟成工程を25℃で1時間、300rpmで行う。
【0108】
d)結晶化
攪拌速度を50rpmに下げ、反応媒体の温度が80分かけて75℃まで上昇するように反応器ジャケットを80℃の公称値に設定する。75℃の段階で22時間後、ジャケットに冷水を循環させることによって反応媒体を冷却し、結晶化を停止させる。
【0109】
e)ろ過/洗浄
固体を焼結体上で回収し、次いで脱イオン水で中性pHになるまで洗浄する。
【0110】
f)乾燥/焼成
生成物を特徴付けるために、オーブン中で90℃で8時間乾燥を行い、乾燥生成物の強熱減量は23重量%である。
【0111】
ゼオライトXナノ結晶凝集体を得、その凝集体のSi/Al原子比は1.24に等しい。
【0112】
[実施例3ビス(本発明)]:
核形成ゲルおよび成長ゲルならびに制御剤を添加するゼオライトXの合成:SIP/Al比=0.12
【0113】
実施例3と同様の操作を行うが、0.12に等しいSIP/Alのモル比を得るために8.8gの代わりに26.4gのSIPを添加する。
【0114】
ゼオライトXナノ結晶凝集体を得、その凝集体のSi/Al原子比は1.24に等しい。
【0115】
図3は、実施例3ビスにおいて得られた本発明によるゼオライトのTEM画像を示す。結晶内メソ細孔のない充填した結晶が観察される。
【0116】
[実施例4(本発明による、図1)]:
核形成ゲルおよび成長ゲルならびに制御剤を添加するゼオライトXの合成:TPOAC/Al比=0.01
【0117】
a)アルキメデススクリューで攪拌した反応器中での成長ゲルの調製
加熱ジャケット、温度プローブおよび撹拌機を備えた50リットルのステンレス鋼製反応器中で、水酸化ナトリウム(NaOH)1810g、アルミナ三水和物(Alを65.2重量%含有するAl・3HO)1930gおよび水3000gを含有するアルミン酸塩溶液を25℃で25分間にわたって140rpmの撹拌速度で、25℃の珪酸ナトリウム8470g、NaOH835gおよび水30100gを含有する珪酸塩溶液と共に混合することにより、成長ゲルを調製する。
【0118】
成長ゲルの化学量論は以下の通りである。即ち、3.48NaO/Al/3.07SiO/180HO。成長ゲルの均質化は、25℃で25分間、140rpmで攪拌しながら実施する。
【0119】
b)核形成ゲルの添加
成長ゲルと同様にして調製し、40℃で1時間熟成した組成12NaO/Al/10SiO/180HOの核形成ゲル923g(即ち、2重量%)を、25℃で140rpmで攪拌しながら成長ゲルに添加する。140rpmで5分間均質化した後、攪拌速度を50rpmに下げ、30分間攪拌を続ける。
【0120】
c)反応媒体への制御剤の導入
60%のTPOACメタノール(MeOH)溶液102gを、140rpmの撹拌速度で反応媒体中に導入する(TPOAC/Alモル比=0.01)。次いで、結晶化を開始する前に、熟成工程を25℃で1時間、140rpmで行う。
【0121】
d)結晶化
攪拌速度を35rpmに下げ、反応媒体の温度が80分かけて75℃まで上昇するように反応器ジャケットを80℃の公称値に設定する。75℃の段階で22時間後、ジャケットに冷水を循環させることによって反応媒体を冷却し、結晶化を停止させる。
【0122】
e)ろ過/洗浄
固体を焼結体上で回収し、次いで脱イオン水で中性pHになるまで洗浄する。
【0123】
f)乾燥/焼成
生成物を特徴付けるために、オーブン中で90℃で8時間乾燥を行い、乾燥生成物の強熱減量は23重量%である。
【0124】
ゼオライトXナノ結晶凝集体を得、その凝集体のSi/Al原子比は1.24に等しい。
【0125】
[比較例5]:
核形成ゲルおよび成長ゲルならびに制御剤を添加するゼオライトXの合成:TPOAC/Al比=0.02
【0126】
実施例4と同様の操作を行うが、0.02というTPOAC/Alのモル比を得るために、60%のTPOACメタノール溶液102gの代わりに204gを添加する。
【0127】
大きなサイズのゼオライトX結晶凝集体を得、そのSi/Al原子比は1.24に等しい。
【0128】
図4はこのようにして得られたゼオライトのTEM画像を示す。結晶内部のメソ多孔性空洞の存在が観察される。
【0129】
[実施例6:(本発明、図2)]
微結晶および成長ゲルならびに制御剤を添加するゼオライトXの合成:TPOAC/Al比=0.014
【0130】
実施例4と同様の手順を実施するが、工程b)において、核生成ゲルを1重量%の微結晶(成長ゲルの総重量に対して)、即ち、ゼオライトX結晶の無水物等価物(特許出願WO2014/0907771号の合成例b)に記載されたように調整された、約0.8μmの体積平均直径を有する種結晶)462gの導入と置き換え、工程c)において、反応媒体中に導入される制御剤の量は142.8gである。
【0131】
ゼオライトXナノ結晶凝集体を得、その凝集体のSi/Al原子比は1.24に等しい。
【0132】
上記の実施例、比較例で得られた固体に関するデータを以下の表1にまとめる。
【0133】
【表1】
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2019年4月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の特性:
・ 1から1.4の間であって、限界値を含むSi/Al原子比、
・ 20m.g−1から80m.g−1間の外部表面積、
・ 50nmから500nmの間であって、限界値を含むナノ結晶の数平均直径、および
・ 0.2μmから10μmの間の数平均凝集体サイズ
を有するFAUゼオライトナノ結晶凝集体の形態のゼオライト材料。
【請求項2】
ゼオライトナノ結晶は、ゼオライトX、MSXおよびLSXから選ばれるFAUタイプのゼオライトのナノ結晶である、請求項1に記載のゼイライト材料。
【請求項3】
ゼオライトの交換可能な部位は、ヒドロニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムのイオンから選択されるイオンで占められる、請求項1または請求項2に記載のゼオライト材料。
【請求項4】
制御剤および核形成剤によるシーディング工程の両方を使用する請求項1から3のいずれか一項に記載のゼオライトナノ結晶凝集体の調製方法。
【請求項5】
少なくとも以下の工程:
a) シリカ源とアルミナ源とを0℃から60℃の間の温度で混合することによって成長ゲルを調製する工程、
b) 工程a)からの成長ゲルに、核形成剤を0℃から60℃の間の温度で添加する工程、
c) 反応媒体に少なくとも1つの制御剤を添加する工程、
d) 温度を上げることによる結晶化反応工程、
e) 得られたゼオライト結晶を濾過し、洗浄する工程、および
f) 乾燥および焼成する工程
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
成長ゲルは、シリカ源、アルミナ源、強鉱物塩基、および水の均質混合物を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
核形成剤は、核形成ゲル、結晶、鉱物粒子、クレイ、およびこれらの混合物から選ばれる、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
使用される制御剤の量は、開始制御剤/Alのモル比が0.001から0.15の間であって、限界値を含むものである、請求項4から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
制御剤がオルガノシランから選ばれる、請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
制御剤は、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(SIP)、アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、イソブチルトリエトキシシラン(IBTES)、オクタデシルトリメトキシシラン(ODTMS)、シリルポリマー、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(TPOAC)および全ての割合のそれらの2つ以上の混合物から選択される、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか一項に記載のFAUゼオライトナノ結晶凝集体の形態の少なくとも1つのゼオライト材料および少なくとも1つのバインダーを含み、バインダー含有率は、30%以下であるゼオライトアグロメレート。
【請求項12】
相または液相分離操作のための吸着剤としての請求項1から3のいずれか一項に記載の材料または請求項11に記載のアグロメレートの使用。
【手続補正書】
【提出日】2019年6月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の特性:
・ 1から1.4の間であって、限界値を含むSi/Al原子比、
・ 20m.g−1から80m.g−1の間の外部表面積、
・ 50nmから500nmの間であって、限界値を含むナノ結晶の数平均直径、および
・ 0.2μmから10μmの間の数平均凝集体サイズ
を有するAUゼオライトナノ結晶凝集体の形態のゼオライト材料であって、
ゼオライトナノ結晶は、ゼオライトX、MSXおよびLSXから選ばれるFAUタイプのゼオライトのナノ結晶である、ゼイライト材料
【請求項2】
ゼオライトの交換可能な部位は、ヒドロニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムのイオンから選択されるイオンで占められる、請求項に記載のゼオライト材料。
【請求項3】
制御剤および核形成剤によるシーディング工程の両方を使用する請求項1または2に記載のゼオライトナノ結晶凝集体の調製方法であって、
制御剤は、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(SIP)及び/又は[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(TPOAC)であり、
ここで、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(SIP)/Alのモル比が0.001から0.15の間であって限界値を含み、及び[3−(トリメトキシシリル)プロピル]オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(TPOAC)/Alのモル比が0.01から0.014の間であって限界値を含む、
方法。
【請求項4】
少なくとも以下の工程:
a) シリカ源とアルミナ源とを0℃から60℃の間の温度で混合することによって成長ゲルを調製する工程、
b) 工程a)からの成長ゲルに、核形成剤を0℃から60℃の間の温度で添加する工程、
c) 反応媒体に少なくとも1つの制御剤を添加する工程、
d) 温度を上げることによる結晶化反応工程、
e) 得られたゼオライト結晶を濾過し、洗浄する工程、および
f) 乾燥および焼成する工程
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
成長ゲルは、シリカ源、アルミナ源、強鉱物塩基、および水の均質混合物を含む、請求項またはに記載の方法。
【請求項6】
核形成剤は、核形成ゲル、結晶、鉱物粒子、クレイ、およびこれらの混合物から選ばれる、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載のFAUゼオライトナノ結晶凝集体の形態の少なくとも1つのゼオライト材料および少なくとも1つのバインダーを含み、バインダー含有率は、30%以下であるゼオライトアグロメレート。
【請求項8】
気相または液相分離操作のための吸着剤としての請求項1または2に記載の材料または請求項に記載のアグロメレートの使用。
【外国語明細書】
2019142765000001.pdf