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特開2019-143088透明性に優れるオレフィン系の熱可塑性エラストマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-143088(P2019-143088A)
(43)【公開日】2019年8月29日
(54)【発明の名称】透明性に優れるオレフィン系の熱可塑性エラストマー
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/14 20060101AFI20190802BHJP
   C08K 5/156 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   C08L23/14
   C08K5/156
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-30469(P2018-30469)
(22)【出願日】2018年2月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000191250
【氏名又は名称】新日本理化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】篠田佑里恵
(72)【発明者】
【氏名】岩崎祥平
(72)【発明者】
【氏名】内山陽平
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB051
4J002BB151
4J002EC026
4J002EL106
4J002FD206
4J002GB01
4J002GG02
4J002GP00
(57)【要約】
【課題】本発明は、柔軟性や強度等の機械的特性を損なうことなく熱可塑性エラストマーの透明性を改善し、透明性に優れた熱可塑性エラストマーを提供することを目的とする。
【解決手段】 特定のオレフィン系の熱可塑性エラストマーに特定の構造のジアセタール化合物を配合することにより、柔軟性や強度等の機械的特性を損なうことなく、透明性に優れた熱可塑性エラストマーを容易に得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明性に優れたオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物であって、
オレフィン系の熱可塑性エラストマー100質量部に対して、下記一般式(1)で示されるジアセタール化合物を0.05〜5.0質量部を含有することを特徴とするオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【化1】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【請求項2】
オレフィン系の熱可塑性エラストマーが、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して60〜99質量%のプロピレン誘導単位と、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して1〜40質量%のエチレン誘導単位及び/又は炭素数4〜10のα-オレフィン誘導単位からなる共重合体であり、且つ、
示差走査熱量分析で測定した融解熱量が50J/g以下である、請求項1に記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項3】
示差走査熱量分析で測定した最大の融解ピーク温度が115℃以下である、又は示差走査熱量分析の測定では融解ピーク温度が観察されない、請求項1又は2に記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項4】
ジアセタール化合物が、前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、メチル基又はエチル基であり、かつ、Rが水素原子であり、m及びnが1又は2の整数であり、pが1である、請求項1〜3の何れかに記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項5】
ジアセタール化合物が、前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、プロピル基又はプロポキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である、請求項1〜3の何れかに記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項6】
ジアセタール化合物の含有量が、熱可塑性エラストマー100質量部に対して0.05〜1.0質量部である、請求項1〜5の何れかに記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物を原料とする、透明性に優れた熱可塑性エラストマー成形体。
【請求項8】
熱可塑性エラストマーの透明性の改善方法であって、
オレフィン系の熱可塑性エラストマー100質量部に対してジアセタール化合物を0.05〜5.0質量部含有させること、更に、
前記オレフィン系の熱可塑性エラストマーが、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して60〜99質量%のプロピレン誘導単位と、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して1〜40質量%のエチレン誘導単位及び/又は炭素数4〜10のα-オレフィン誘導単位からなる共重合体であり、更に、示差走査熱量分析で測定した融解熱量が50J/g以下であり、且つ、
ジアセタール化合物が、下記一般式(1)で示される化合物であることを特徴とする改善方法。
【化2】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性に優れる熱可塑性エラストマーに関し、詳しくは特定のオレフィン系の熱可塑性エラストマーに特定の構造のジアセタール化合物を配合することにより、柔軟性や強度等の機械的特性を損なうことなく、透明性が著しく改善された熱可塑性エラストマーに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性エラストマーは、常温で加硫ゴムと同じ様なゴム弾性を有し、かつ加硫ゴムの様な加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様に加熱により可塑化・溶融できるので、成形加工が容易であり、しかもリサイクル使用が可能であることから、近年、自動車部品、家電部品、医療用部品、建材、玩具、スポーツ用品、日用品などの幅広い分野で使用されている。この様な熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系、スチレン系、ウレタン系、エステル系、アミド系、塩化ビニル系などがあるが、なかでもオレフィン系の熱可塑性エラストマーは軽量であり、更に成形加工性にも優れるなどの様々な特徴を有しており、上記分野で広く用いられている(非特許文献1、2)。
【0003】
また、最近は、視認性の必要性や意匠性の観点より透明性の必要とされる医療材料、被覆材、包装材、玩具などの用途で熱可塑性エラストマーを用いられることも多く、柔軟性や強度等の機械的特性に優れることは当然ながら、更に透明性に優れた熱可塑性エラストマーが求められている。従来、その様な透明性を必要とする用途では、例えば、特定のエステル系やアクリレート系などのエラストマーが一部用途で実用化されている(特許文献1〜3)。しかし、上記の様なエラストマーは汎用的ではなく、汎用性の高いオレフィン系等の熱可塑性エラストマーでの透明性の改善も試みられている(特許文献4)が、これまで満足する様な透明性を得ることが難しいのが現状であった。従って、オレフィン系などの汎用的な可塑性エラストマーの透明性の改善が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-63644号公報
【特許文献2】特開2007-126527号公報
【特許文献3】特開2016-79226号公報
【特許文献4】特表2007-511643号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本ゴム協会紙、51巻10号、779−796(1978)
【非特許文献2】日本ゴム協会紙、83巻9号、269−276(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、汎用の熱可塑性エラストマーであるオレフィン系の熱可塑性エラストマーの透明性を改善し、透明性に優れたオレフィン系の熱可塑性エラストマーを提供することを目的とし、その為に特定のオレフィン系の熱可塑性エラストマーと特定の構造のジアセタール化合物を含んでなるオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、特定の構造のオレフィン系の熱可塑性エラストマーに特定の構造のジアセタール化合物を配合することにより、柔軟性や強度等の機械的特性を損なうことなく、透明性を大きく改善できることを確認し、その結果、透明性に非常に優れた熱可塑性エラストマーが得られることを見出し、それに基づき本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は下記に示す熱可塑性エラストマーの透明性の改善方法及びオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物、更にその組成物を原料とし、その方法により透明性の改善されたオレフィン系の熱可塑性エラストマー成形体に関する。
【0009】
[項1] 透明性に優れたオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物であって、オレフィン系の熱可塑性エラストマー100質量部に対して、下記一般式(1)で示されるジアセタール化合物を0.05〜5.0質量部を含有することを特徴とするオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【化1】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【0010】
[項2] オレフィン系の熱可塑性エラストマーが、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して60〜99質量%のプロピレン誘導単位と、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して1〜40質量%のエチレン誘導単位及び/又は炭素数4〜10のα-オレフィン誘導単位からなる共重合体であり、かつ、示差走査熱量分析で測定した融解熱量が50J/g以下である、[項1]に記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【0011】
[項3] オレフィン系の熱可塑性エラストマーが、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して70〜97質量%のプロピレン誘導単位と、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して3〜30質量%のエチレン誘導単位及び/又は炭素数4〜10のα-オレフィン誘導単位からなる共重合体であり、かつ、示差走査熱量分析で測定した融解熱量が30J/g以下である、[項2]に記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【0012】
[項4] 示差走査熱量分析で測定した最大の融解ピーク温度が115℃以下である、又は示差走査熱量分析の測定では融解ピーク温度が観察されない、[項1]〜[項3]の何れかに記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【0013】
[項5] ジアセタール化合物が、前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、メチル基又はエチル基であり、かつ、Rが水素原子であり、m及びnが1又は2の整数であり、pが1である、[項1]〜[項4]の何れかに記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【0014】
[項6] ジアセタール化合物が、前記一般式(1)において、R及びRが、同一又は異なって、プロピル基又はプロポキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である、[項1]〜[項4]の何れかに記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【0015】
[項7] ジアセタール化合物の含有量が、熱可塑性エラストマー100質量部に対して0.05〜1.0質量部である、[項1]〜[項6]の何れかに記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物。
【0016】
[項8] [項1]〜[項7]の何れかに記載のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物を原料とする、透明性に優れた熱可塑性エラストマー成形体。
【0017】
[項9] 熱可塑性エラストマーの透明性の改善方法であって、オレフィン系の熱可塑性エラストマー100質量部に対してジアセタール化合物を0.05〜5.0質量部含有させること、更に、前記オレフィン系の熱可塑性エラストマーが、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して60〜99質量%のプロピレン誘導単位と、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して1〜40質量%のエチレン誘導単位及び/又は炭素数4〜10のα-オレフィン誘導単位からなる共重合体であり、更に、示差走査熱量分析で測定した融解熱量が50J/g以下であり、且つ、ジアセタール化合物が、下記一般式(1)で示される化合物であることを特徴とする改善方法。
【化2】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【発明の効果】
【0018】
本発明の方法及びオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物を用いることにより、これまで課題であったオレフィン系の熱可塑性エラストマーに優れた透明性を付与することが可能となり、これまでオレフィン系のエラストマーの使用が難しかった透明性を必要とする用途でも、軽量でリサイクル性等に優れたオレフィン系のエラストマーを使用することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<オレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物>
本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマーは、特定の構造のオレフィン系の熱可塑性エラストマーと特定の構造のジアセタール化合物を含有することを特徴とする。
【0020】
オレフィン系の熱可塑性エラストマー
本発明の熱可塑性エラストマーは、オレフィン系の熱可塑性エラストマーであり、好ましくは、熱可塑性エラストマーの全質量に対して60〜99質量%、より好ましくは70〜97質量%のプロピレン誘導単位と、1〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%のエチレン誘導単位及び/又は炭素数4〜10のα-オレフィン誘導単位からなる共重合体である。
【0021】
上記α−オレフィン誘導単位の基となるα-オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられ、なかでも好ましいα-オレフィンとしては、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0022】
また、本発明の熱可塑性エラストマーは、好ましくは示差走査熱量分析で測定した融解熱量が50J/g以下、より好ましくは30J/g以下であることが推奨される。融解熱量は結晶性の目安となる数値であり、上記範囲であれば、エラストマーとしての本来の特徴である柔軟性を付与できる程度に低い結晶性を有していることを示している。
【0023】
上記示差走査熱量分析での測定は、汎用の分析装置を用いて、一般的な条件で測定することが可能である。具体的には、例えば、パーキンエルマー社製の示差走査熱量測定装置(商品名「DSC8500」)を用いて、測定サンプル(サンプル重量=5mgから10mg程度)を精秤し、10℃から10℃/minの昇温速度で220℃まで昇温し、サンプルが融解したときの融解ピークおよびその熱量を測定することができる。
【0024】
また、本発明の熱可塑性エラストマーは、示差走査熱量分析で測定した最大の融解ピーク温度が、好ましくは115℃以下であるか、又は示差走査熱量分析の測定では融解ピーク温度が観察されないことが推奨される。上記融解ピーク温度が上記範囲内であるとき、熱可塑性エラストマーとしての特徴を最大限に発揮することができる。
【0025】
上記示差走査熱量分析での測定は、融解熱量と同様に汎用の分析装置を用いて、一般的な条件で測定することが可能である。
【0026】
本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマーは、公知の製造方法、例えば、メタロセン触媒の存在下、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜10のα-オレフィンを通常の条件で共重合することにより得られる。具体的には、特開2007−2266号公報に記載の製造方法などを用いて製造することができる。
【0027】
また、本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマーとして、本発明の効果を奏する、即ち本発明の範囲に合致する市販のオレフィン系の熱可塑性エラストマーをそのまま用いることもできる。その様な市販のオレフィン系の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エクソン・モービル社のVistamaxxシリーズ、ダウケミカル社のVersifyシリーズ、三井化学(株)のTafmerシリーズやNotioシリーズ、住友化学(株)のTafthrenシリーズなどの製品が挙げられる。
【0028】
ジアセタール化合物
本発明のジアセタール化合物は、下記一般式(1)で示されるジアセタール化合物である。
【化3】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
【0029】
上記ジアセタール化合物の中でも、更に好ましい化合物としては、例えば、上記一般式(1)中のR及びRが、同一又は異なって、メチル基又はエチル基であり、かつ、Rが水素原子であり、m及びnが1又は2の整数であり、pが1である化合物や、上記一般式(1)中のR及びRがプロピル基又はプロピルオキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である化合物などが挙げられる。
【0030】
また、次の様な化合物も更に好ましい化合物として例示することができる;上記一般式(1)において、R及びRがプロピル基又はプロピルオキシ基であり、かつ、Rがプロピル基又はプロペニル基であり、m及びnが1であり、pが1である化合物。
【0031】
上記ジアセタール化合物の具体的な態様としては、次の様な化合物が例示される。1,3:2,4−ジ−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−t−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−t−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−t−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’,5’−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’,5’−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’,5’−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’,5’−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−エトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−イソプロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロポキシベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−エトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−イソプロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロポキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−フルオロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−フルオロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−フルオロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−ブロモベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−ブロモベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−ブロモベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−クロロベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−p−エチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−クロロベンジリデン)−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−メチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン
)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−エチルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシカルボニルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−プロポキシカルボニルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−2,4−O−(p−プロポキシベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3−O−(p−プロポキシベンジリデン)−2,4−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシカルボニルベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−プロポキシカルボニルベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−2,4−O−(p−プロポキシベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3−O−(p−プロポキシベンジリデン)−2,4−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−プロペニルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジメチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,3’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2’,6’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジエチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エトキシカルボニルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−プロポキシカルボニルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−2,4−O−(p−プロポキシベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3−O−(p−プロポキシベンジリデン)−2,4−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,5’−ジエチルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−メトキシベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メトキシカルボニルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−メチル−4’−フルオロベンジリデン)−1−アリルソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール等が例示される。
【0032】
特に、好ましい態様としては、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−プロピルソルビトールが挙げられる。
【0033】
また、上記具体的な態様のジアセタール化合物は、単独で用いてもよいが、他の性能、例えば低温加工性等の観点から、2種以上のジアセタール化合物を併用、または予め混合した態様で用いてもよい。
【0034】
上記併用または混合系で用いる場合、例えば、1,3:2,4−ジ−O−ベンジリデン−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトールの組合せや1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールの組合せ、1,3:2,4−ジベンジリデン−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールの組合せ、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジクロロベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、の組合せなどが例示される。
【0035】
上記ジアセタール化合物は、例えば、日本国特公昭48−43748号公報、特開昭53−5165号公報、特開昭57−185287号公報、特開平2−231488号公報等に記載されている製造方法などを用いて容易に製造することができる。また、現在ポリオレフィン用結晶核剤として市販されているもの、例えば、新日本理化(株)のゲルオールD、ゲルオールMD、ゲルオールDXR、ミリケン社(米国)のミラッド3988、ミラッドNX8000、GCH TECHNOLORY社(中国)のSIPAX NA−2などをそのまま使用してもよい。
【0036】
本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物中の上記ジアセタール化合物の含有量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して0.05〜5.0質量部であり、好ましくは0.05〜1.0質量部であることが推奨される。ジアセタール化合物の含有量が上記範囲にある場合、本発明の特徴である透明性の改善効果を最大限に発揮させることができる。
【0037】
その他の添加剤
本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物には、その使用目的やその用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で本発明のジアセタール化合物以外の一般的に熱可塑性エラストマーに使われているその他の添加剤、例えば、通常のゴムに使用されている軟化剤や一般的にポリオレフィン系樹脂に使用されているポリオレフィン系樹脂用添加剤などが含まれていても良い。
【0038】
上記ゴム用の軟化剤としては、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤; コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等の脂肪油系軟化剤; トール油; サブ、( ファクチス) ; 蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類; リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩; ナフテン酸; パイン油、ロジンまたはその誘導体; テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質; ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤; マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、水添末端変性ポリイソプレン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。軟化剤を配合する場合、その配合量は、例えば、熱可塑性エラストマー100質量部に対して20〜100質量部程度であることが一般的である。
【0039】
上記ポリオレフィン系樹脂用添加剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(2004年9月)に記載されている各種添加剤が挙げられる。具体的には、ジアセタール化合物以外の造核剤(リン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩等)、蛍光増白剤(2,5−チオフェンジイル(5−t−ブチル−1,3−ベンゾキサゾール)、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン等)、酸化防止剤、安定剤(金属化合物、エポキシ化合物、窒素化合物、燐化合物、硫黄化合物等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等)、界面活性剤、滑剤(パラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8〜22の高級脂肪酸、炭素数8〜22の高級脂肪酸金属(Al、Ca)塩、炭素数8〜22の高級脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体等)、充填剤(タルク、ハイドロタルサイト、マイカ、ゼオライト、パーライト、珪藻土、炭酸カルシウム、ガラス繊維等)、発泡剤、発泡助剤、ポリマー添加剤、可塑剤(ジアルキルフタレート、ジアルキルヘキサヒドロフタレート等)、架橋剤、架橋促進剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、有機無機の顔料(インディゴ化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ウルトラマリン化合物、アルミン酸コバルト化合物等)、加工助剤、他の核剤等の各種添加剤が例示される。
【0040】
これらのポリオレフィン系樹脂用添加剤を使用する場合、その使用量は、本発明の効果を阻害しない限り、通常使用されている範囲で使用すればよいが、例えば、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001〜100質量部程度、より好ましくは0.001〜50質量部程度で使用されるのが一般的である。
【0041】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が例示され、具体的な酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]メタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのフェノール系酸化防止剤、アルキルジスルフィド、チオジプロピオン酸エステル、ベンゾチアゾールなどの硫黄系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、3,9−ビス(2,6−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンなどの亜リン酸エステル系酸化防止剤等が例示される。中でも、フェノール系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、亜リン酸エステル系の酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、3,9−ビス(2,6−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンなどが特に推奨される。
【0042】
本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されず、例えば、本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマー、ジアセタール化合物、及び必要に応じて他の添加剤を、汎用の溶融混合装置、一軸押出機、二軸押出機などを用いて溶融混合後、冷却固化し、ペレット状等の形状にカッティングする方法などが例示される。また、溶融混合前に予め前記各成分を均一にドライブレンドする方法なども有効な方法として挙げられる。更に、前記溶融混合時の温度が、配合されたジアセタール化合物の全量がオレフィン系の熱可塑性エラストマーに溶解する温度以上である場合、本発明の効果をより一層発揮することができる。
【0043】
<透明性の改善方法>
本発明の透明性の改善方法は、オレフィン系の熱可塑性エラストマー100質量部に対してジアセタール化合物0.05〜5.0質量部を含有させることを特徴とし、更に、前記オレフィン系の熱可塑性エラストマーが、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して60〜99質量%のプロピレン誘導単位と、該熱可塑性エラストマーの全質量に対して1〜40質量%のエチレン誘導単位及び/又は炭素数4〜10のα-オレフィン誘導単位からなる共重合体であり、更に、示差走査熱量分析で測定した融解熱量が50J/g以下であり、且つ、ジアセタール化合物が、下記一般式(1)で示される化合物であることを特徴とする。
【化4】
[式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を示す。Rは、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜4のアルケニル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。m及びnは、それぞれ1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。2つのR基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
なお、本発明の透明性の改善方法に係る各構成の説明は、上記<オレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物>に記載した構成の説明と同義である。
【0044】
<オレフィン系の熱可塑性エラストマー成形体>
本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマー成形体は、上記本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物を用いて、慣用されている成形方法に従って成形することにより得られる。前記成形方法としては、本発明の効果を奏する限り、特に制約はなく、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形、回転成形、フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれも採用できる。
【0045】
かくして得られたオレフィン系の熱可塑性エラストマー成形体は、透明性等の光学的特性や柔軟性、強度等の機械的特性に非常に優れており、成形品やシート、フィルムとして、自動車部材、電気部材、機械部品、日常雑貨など様々な用途で、非常に有用である。特に、一般的な熱可塑性エラストマーでは得られなかった透明性を有しており、視認性の必要性や意匠性の観点より透明性の必要とされる医療材料、被覆材、包装材、玩具などの用途で、非常に有用である。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例中に記載した各特性の測定方法及び実施例で用いた熱可塑性エラストマーやジアセタール化合物は以下の通りである。
【0047】
[熱可塑性エラストマーの性状]
(1)融解熱量及び最大の融解ピーク温度
パーキンエルマー社製の示差走査熱量測定装置(商品名「DSC8500」)を用いて、サンプル重量5mgから10mgの間の重量の測定サンプルを精秤し、10℃から10℃/minの昇温速度で220℃まで昇温し、サンプルが融解したときの融解ピークおよびその熱量を測定した。
【0048】
[熱可塑性エラストマー成形体の光学的特性]
(2)透明性評価:ヘイズ値の測定
東洋精機製作所製のヘイズメータを用いて、JIS K7136(2000)に準じた方法でヘイズ値を測定した。評価試料には、1mm厚み射出成形品の熱可塑性エラストマー成形体を使用した。得られたヘイズ値の数値が小さい程、透明性に優れていることを示す。ヘイズ値の値が20%以下、好ましくは10%以下である場合、実用上十分な視認性が得られる程度に透明性に優れると言える。
【0049】
[熱可塑性エラストマー成形体の機械的特性]
(3)引張試験:引張弾性率、引張降伏応力、引張破壊ひずみの測定
インストロン社製の万能材料試験器(機種名「インストロン5565」)を用いて、JIS K7161−1(2014)に準じた方法で引張試験を行い、引張弾性率、引張降伏応力、引張破壊ひずみの測定を行った。なお、試験環境、試験片形状、試験条件は、以下の通りである。
測定温度:23℃、試料長(チャック間距離):10mm、試験速度:50mm/min。
引張試験片:厚さ0.5mmの射出成形品を樹脂の流れ方向(MD方向)および垂直方向(TD方向)に幅7mm、長さ10mmの短冊状に切断したものを用いた。
【0050】
オレフィン系の熱可塑性エラストマー
・エラストマーA:プロピレン・エチレン共重合体、商品名 Vistamaxx3588FL、エクソン・モービル社製、エチレン誘導単位の含有量:4質量%、MFR(230℃、荷重21.18N):8g/10分、融解熱量:29.3J/g、最大の融解ピーク温度:106.8℃。
・エラストマーB:プロピレン・エチレン共重合体、商品名 Vistamaxx6102、エクソン・モービル社製、エチレン誘導単位の含有量:16質量%、MFR(230℃、荷重21.18N):3g/10分、融解熱量:15J/g以下、最大の融解ピーク温度:観察されず。
【0051】
ジアセタール化合物
・化合物a:1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール
・化合物b:1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール
・化合物c:1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール
・化合物d:1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールの7対3(質量比)の混合物
【0052】
[実施例1]
オレフィン系の熱可塑性エラストマーとしてエクソン・モービル社製のVistamaxx3588FL(エラストマーA)100質量部とジアセタール化合物として1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール(化合物a)0.05質量部を混合後、二軸押出機(株式会社テクノベル製KZW15TW−45MG−NH)を用いてバレル温度220℃で溶融混合した。押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーで切断することでペレット状の本発明のオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
【0053】
続いて、上記で得られたオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物を用いて、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製NS40−5A)にて射出成形温度(加熱温度)220℃、金型温度(冷却温度)40℃の条件下で成形して、厚みが0.5mm、1.0mmの熱可塑性エラストマー成形体を得た。
【0054】
上記で得られた成形体を評価試料として用いて、上記(2)に記載の方法によりヘイズ値を測定し、得られた結果を表1に示した。また、上記(3)に記載の方法に従って、成形体より短冊状の試験片を切り出し、引張試験を行い、その試験結果より引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみを求めて、表1に示した。
【0055】
[実施例2]
ジアセタール化合物の配合量を、0.1質量部に変えた以外は実施例1と同様に実施して、組成物及び成形体を調製し、得られた成形体を用いて実施例1と同様に試験を行い、得られたヘイズ値、引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみの結果を表1に示した。
【0056】
[実施例3]
ジアセタール化合物の配合量を、0.2質量部に変えた以外は実施例1と同様に実施して、組成物及び成形体を調製し、得られた成形体を用いて実施例1と同様に試験を行い、得られたヘイズ値、引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみの結果を表1に示した。
【0057】
[実施例4]
ジアセタール化合物として、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール(化合物a)の代わりに1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール(化合物b)を用いた以外は実施例2と同様に実施して、組成物及び成形体を調製し、得られた成形体を用いて実施例2と同様に試験を行い、得られたヘイズ値、引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみの結果を表1に示した。
【0058】
[実施例5]
ジアセタール化合物として、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール(化合物a)の代わりに1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−1−n−プロピルソルビトール(化合物c)を用いた以外は実施例2と同様に実施して、組成物及び成形体を調製し、得られた成形体を用いて実施例2と同様に試験を行い、得られたヘイズ値、引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみの結果を表1に示した。
【0059】
[実施例6]
ジアセタール化合物の配合量を、0.2質量部に変えた以外は実施例5と同様に実施して、組成物及び成形体を調製し、得られた成形体を用いて実施例5と同様に試験を行い、得られたヘイズ値、引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみの結果を表1に示した。
【0060】
[実施例7]
ジアセタール化合物として、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール(化合物a)の代わりに1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトールと1,3:2,4−ビス−O−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールの7対3(質量比)の混合物(化合物d)を用いた以外は実施例2と同様に実施して、組成物及び成形体を調製し、得られた成形体を用いて実施例2と同様に試験を行い、得られたヘイズ値、引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみの結果を表1に示した。
【0061】
[実施例8]
オレフィン系の熱可塑性エラストマーとして、Vistamaxx3588FL(エラストマーA)の代わりにエクソン・モービル社製のVistamaxx6102(エラストマーB)を用いた以外は実施例2と同様に実施して、組成物及び成形体を調製し、得られた成形体を用いて実施例2と同様に試験を行い、得られたヘイズ値、引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみの結果を表1に示した。
【0062】
[比較例1]
ジアセタール化合物を配合しないで実施例1と同様に実施して、組成物及び成形体を調製し、得られた成形体を用いて実施例1と同様に試験を行い、得られたヘイズ値、引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみの結果を表1に示した。
【0063】
[比較例2]
ジアセタール化合物を配合しないで実施例8と同様に実施して、組成物及び成形体を調製し、得られた成形体を用いて実施例8と同様に試験を行い、得られたヘイズ値、引張弾性率、引張降伏応力及び引張破壊ひずみの結果を表1に示した。
【0064】
【表1】
【0065】
表1の結果より、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いることによりヘイズ値が大きく低下し、透明性が向上していることがわかる。また、機械的特性に関しては、本発明の組成物を用いることによる低下は全く認められていない。即ち、本発明の熱可塑性エラストマー組成物が、本来の熱可塑性エラストマーとしての機械的特性を保持しつつ、透明性を大幅に改善できていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の熱可塑性エラストマーの透明性改善方法及びオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマーの透明性改善に大きな効果を発揮し、その方法や組成物を用いることにより従来使用することが難しかった視認性の必要性や意匠性の観点より透明性の必要とされる医療用途、被覆材、包装材、玩具などの用途でもオレフィン系の熱可塑性エラストマーを使用することが可能となる。また、オレフィン系のエラストマーの特徴である軽量性、リサイクル性等の利点を活かして、成形品やシート、フィルムとして、自動車部材、電気部材、機械部品、日常雑貨など様々な用途で利用することができる。