【解決手段】水素化転化または水素化処理のデバイスは、単一のコイル巻回式熱交換器S−1を含み、コイル巻回式交換器は、垂直チャンバによって形成された単流熱交換器であり、この垂直チャンバにおいて、1個または複数個のチューブのバンドルが、多数の重畳された層として、中心コアの周りにらせん状に巻回され、これは、炭化水素供給原料/水素の流れの混合物を予熱し、かつ、これを水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1の反応器入口の炉F−1に分配すること、および水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1からの反応流出物を冷却することに適している。
第1のバイパス(19)をさらに含み、この第1のバイパス(19)は、炭化水素供給原料の一部または炭化水素供給原料/水素の流れの混合物の一部を、コイル巻回式熱交換器(S−1)の入口からコイル巻回式熱交換器(S−1)の出口に直接的に流通させるのに適したものである、請求項1に記載の水素化転化または水素化処理のデバイス。
多機能コイル巻回式熱交換器の第2のバイパス(41)をさらに含み、該第2のバイパス(41)は、多機能コイル巻回式熱交換器の出口において底部液の温度を制御するのに適したものである、請求項4に記載の水素化転化または水素化処理のデバイス。
高圧高温分離器(B−1)をさらに含み、該高圧高温分離器(B−1)は、冷却済みの反応流出物を、少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物と、軽質フラクションを含む第1のガス状流出物とに分離するのに適したものであり、該第1のガス状流出物は、高圧低温分離器(B−2)に流通させられる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の水素化転化または水素化処理のデバイス。
中圧高温分離器(B−3)をさらに含み、該中圧高温分離器(B−3)は、少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物を、少なくとも1種の重質フラクションを含む第2の液状流出物と、軽質フラクションを含む第2のガス状流出物とに分離するのに適したものであり、該第2の液状流出物は、分離塔(C−1)に流通させられる、請求項6に記載の水素化転化または水素化処理のデバイス。
中圧低温分離器(B−4)をさらに含み、該中圧低温分離器(B−4)は、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物を、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第2の液状流出物と、水素を含む第2のガス状流出物とに分離するのに適したものであり、該第2の液状流出物は、分離塔(C−1)に流通させられる、請求項1〜7のいずれか1つに記載の水素化転化または水素化処理のデバイス。
中圧低温分離器(B−4)は、軽質フラクションを含む第2のガス状流出物を分離するのに適している、請求項6に従属する請求項8に記載の水素化転化または水素化処理のデバイス。
高圧低温分離器(B−2)は、水素化処理または水素化転化の反応セクション(R−1)の圧力より低い圧力で操作され、かつ/または、高圧低温分離器(B−2)の温度は、20℃〜100℃である、請求項10〜12のいずれか1つに記載の水素化転化または水素化処理の方法。
炭化水素供給原料の水素化転化または水素化処理のための方法におけるコイル巻回式熱交換器(S−1)の使用であって、前記コイル巻回式熱交換器は、垂直チャンバによって形成された単流熱交換器であり、該垂直チャンバにおいて、1個または複数個のチューブのバンドルは、多数の重畳された層として、中心コアの周りにらせん状に巻回されている、使用。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
上記の背景の範囲内で、本発明の説明の第1の目的は、水素化転化または水素化処理のデバイスおよび方法を、特にエネルギー効率および操作コストの点で改善することにある。
【0007】
第1の態様によると、上述の目的、さらには他の利点は、炭化水素供給原料の水素化転化または水素化処理のためのデバイスであって、以下:
単一のコイル巻回式熱交換器;前記コイル巻回式熱交換器は、垂直チャンバによって形成された単流熱交換器であり、この垂直チャンバにおいて、1個または複数個のチューブのバンドルが、多数の重畳された層として、中心コアの周りにらせん状に巻回されており、
炭化水素供給原料および場合による水素の流れまたは炭化水素供給原料/水素の流れの混合物を予熱し、かつ、これを水素化処理または水素化転化の反応セクションの反応器入口の炉に直接的に流通させること、および
水素化処理または水素化転化の反応セクションからの反応流出物を冷却すること
のために適している;
炭化水素供給原料を水素の流れと混合するのに適した第1の混合セクション;前記第1の混合セクションは、コイル巻回式熱交換器の上流または下流に置かれることが可能である;
予熱済みの炭化水素供給原料/水素の流れの混合物を加熱し、かつ、これを水素化処理または水素化転化の反応セクションに流通させるための反応器入口の炉;
炭化水素供給原料を水素化処理または水素化転化するのに適した水素化処理または水素化転化の反応セクション;
冷却済み反応流出物の少なくとも一部を、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物と、水素を含む第1のガス状流出物とに分離するのに適した高圧低温分離器;および
少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物を、底部液と、塔頂流出物とに分離するのに適した分離塔
を含む、デバイスによって得られる。
【0008】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、第1の圧縮セクションをさらに含み、この第1の圧縮セクションは、水素を含む第1のガス状流出物を圧縮し、かつ、第1の混合セクションまたはコイル巻回式熱交換器にこれを再循環させるのに適したものである。
【0009】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化処理または水素化転化の反応セクションは、少なくとも1基の反応器を含み、この反応器は、周期律表の第VIII族からの元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む少なくとも1種の触媒を含む。
【0010】
1つまたは複数の実施形態によると、この反応器は、少なくとも1個の固定床を含む。
【0011】
1つまたは複数の実施形態によると、この反応器は、少なくとも1個のバブリング床を含む。
【0012】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、炭化水素供給原料をろ過するためのデバイスをユニットの入口に含む。1つまたは複数の実施形態によると、このろ過デバイスは、炭化水素供給原料を50℃〜100℃または150℃〜230℃の温度に加熱するのに適した、場合による熱交換器の下流に配置される。
【0013】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、場合によりろ過された炭化水素供給原料を収容するのに適した供給原料ドラムを含む。前記ドラムは、コイル巻回式熱交換器S−1に供給するためのポンプの上流に配置される。
【0014】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、第1のバイパスをさらに含み、この第1のバイパスは、炭化水素供給原料の一部または炭化水素供給原料/水素の流れの混合物の一部を、コイル巻回式熱交換器の入口からコイル巻回式熱交換器の出口に直接的に流通させるのに適したものである。
【0015】
1つまたは複数の実施形態によると、このコイル巻回式熱交換器は、多機能コイル巻回式熱交換器である(すなわち、追加の流体の冷却/加熱に適している)。
【0016】
1つまたは複数の実施形態によると、この多機能コイル巻回式熱交換器は、分離塔からの底部液の少なくとも一部を加熱するのに適している。
【0017】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、多機能コイル巻回式熱交換器の第2のバイパスをさらに含み、この第2のバイパスは、多機能コイル巻回式熱交換器の出口において底部液の温度を制御するのに適したものである。
【0018】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、高圧高温分離器をさらに含み、この高圧高温分離器は、冷却済みの反応流出物を、少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物と、軽質フラクションを含む第1のガス状流出物とに分離するのに適したものであり、この第1のガス状流出物は、高圧低温分離器に流通させられる。
【0019】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、中圧高温分離器をさらに含み、この中圧高温分離器は、少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物を、少なくとも1種の重質フラクションを含む第2の液状流出物と、軽質フラクションを含む第2のガス状流出物とに分離するのに適したものであり、第2の液状流出物は、分離塔に流通させられる。
【0020】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、中圧低温分離器をさらに含み、この中圧低温分離器は、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物を、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第2の液状流出物と、水素を含む第2のガス状流出物とに分離するのに適したものであり、この第2の液状流出物は、分離塔に流通させられる。
【0021】
1つまたは複数の実施形態によると、中圧低温分離器は、軽質フラクションを含む第2のガス状流出物を分離するのに適している。
【0022】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化処理または水素化転化の反応セクションは、反応流出物をコイル巻回式熱交換器に直接的に流通させるのに適している。
【0023】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、少なくとも第2の熱交換器および/または蒸気発生器および/または第1の空気冷却器をさらに含み、これらは、それぞれ、軽質フラクションを含む第1のガス状流出物を冷却し、かつ/または凝縮させるのに適したものである。
【0024】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、アミン洗浄塔をさらに含み、このアミン洗浄塔は、水素を含む第1のガス状流出物からH
2Sの少なくとも一部を除去するのに適したものである。
【0025】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、第2の空気冷却器をさらに含み、この第2の空気冷却機は、軽質フラクションを含む第2のガス状流出物を凝縮させ、かつ、凝縮済みの軽質フラクションを含む第2のガス状流出物を中圧低温分離器に流通させるのに適したものである。
【0026】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、第3の熱交換器をさらに含み、この第3の熱交換器は、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1または第2の液状流出物を加熱するのに適したものである。
【0027】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、第4の熱交換器をさらに含み、この第4の熱交換器は、分離塔からの底部液を加熱するのに適したものである。
【0028】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、第2の炉をさらに含み、この第2の炉は、分離塔からの底部液を加熱し、かつ、それを分留塔に流通させるのに適したものである。
【0029】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、第5の熱交換器をさらに含み、この第5の熱交換器は、少なくとも1種の重質フラクションを含む第1または第2の液状流出物を冷却または加熱するのに適したものである。
【0030】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、第3の空気冷却器をさらに含み、この第3の空気冷却器は、分離塔からの塔頂流出物を凝縮させるのに適したものである。
【0031】
1つまたは複数の実施形態によると、このデバイスは、環流ドラムをさらに含み、この還流ドラムは、分離塔からの塔頂流出物を、塔頂ガス状フラクションと、少なくとも1種の炭化水素液状留分とに分離するのに適したものである。
【0032】
第2の態様によると、上述の目的、さらには他の利点は、炭化水素供給原料の水素化転化または水素化処理の方法であって、以下の工程:
単一のコイル巻回式熱交換器によって、炭化水素供給原料および場合による水素の流れまたは炭化水素供給原料/水素の流れの混合物を予熱し、かつ、これを、水素化処理または水素化転化の反応セクションの反応器入口の炉に直接的に流通させる工程であって、前記コイル巻回式熱交換器は、垂直チャンバによって形成された単流熱交換器であり、この垂直チャンバにおいて、1個または複数個のチューブのバンドルが、多数の重畳された層として、中心コアの周りにらせん状に巻回されている、工程;
第1の混合セクションにおいて炭化水素供給原料を水素の流れと混合する工程であって、予熱工程の前またはその後に前記混合を行うことができる、工程;
コイル巻回式熱交換器によって、水素化処理または水素化転化の反応セクションからの反応流出物を冷却する工程;
反応器入口の炉によって、予熱済みの炭化水素供給原料/水素の流れの混合物を加熱し、かつ、これを水素化処理または水素化転化の反応セクションに流通させる工程;
水素化処理または水素化転化の反応セクションにおいて炭化水素供給原料を水素化処理または水素化転化する工程であって、この反応セクションは、少なくとも1基の反応器を含み、この反応器は、周期律表の第VIII族からの元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む少なくとも1種の触媒を含む、工程;
高圧低温分離器において、冷却済みの反応流出物の少なくとも一部を分離して、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物と、水素を含む第1のガス状流出物とを流通させる工程;および
分離塔において少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物を分離して、底部液と、塔頂流出物とを流通させる工程;
を含む、方法によって得られる。
【0033】
1つまたは複数の実施形態によると、本方法は、第1の圧縮セクションにより、水素を含む第1のガス状流出物を圧縮し、かつ、これを第1の混合セクションまたはコイル巻回式熱交換器に再循環させる工程をさらに含む。
【0034】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料の水素化処理または水素化転化は、水素化処理または水素化転化の条件下、例えば、以下の操作条件の少なくとも1つの下に行われる:
温度は、約200℃〜約460℃である;
全圧は、約1MPa〜約20MPaである;
液体供給原料の全体的毎時空間速度は、約0.05h
−1〜約12h
−1である;
水素の流れは、水素の流れの体積に対して約50体積%〜約100体積%の水素を含む;
液体炭化水素供給原料に対する水素の量は、約50Nm
3/m
3〜約2500Nm
3/m
3である。
【0035】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料の初留点は120℃超である。例えば、炭化水素供給原料は、以下の供給原料から選ばれてよい:常圧蒸留物、真空蒸留物、常圧もしくは真空の残渣またはフィッシャー・トロプシュユニットからの流出物。好ましくは、炭化水素供給原料は、以下の供給原料から選ばれる:常圧蒸留物(ナフサ、石油、ケロセンおよびガスオイル)、原油の直接蒸留または転化ユニット、例えば、FCC(fluid catalytic cracking:流動接触分解)ユニット、コーカーまたはビスブレーキングユニットに由来する真空蒸留物、例えば、ガスオイル、接触分解ユニットに由来するLCO(light cycle oil:ライトサイクルオイル)、芳香族化合物を抽出するためのユニットを起源とする供給原料、潤滑油ベースまたは潤滑油ベースの溶媒脱ろうに由来するベース、ATR(atmospheric residue:常圧残渣)および/またはVR(vacuum residue:真空残渣)および/または脱アスファルト油の脱硫または水素化転化のための固定床またはバブリング床の方法を起源とする蒸留物、脱アスファルト油、フィッシャー・トロプシュユニットからの流出物、単独または混合物としての植物油、または動物油。上記のリストは限定的なものではない。
【0036】
1つまたは複数の実施形態によると、高圧低温分離器は、水素化処理または水素化転化の反応セクションの圧力より低い圧力で操作される。
【0037】
1つまたは複数の実施形態によると、高圧低温分離器の温度は、20℃〜100℃である。
【0038】
1つまたは複数の実施形態によると、高圧高温分離器は、水素化処理または水素化転化の反応セクションの圧力より低い圧力で操作される。
【0039】
1つまたは複数の実施形態によると、高圧高温分離器の温度は、200℃〜450℃である。
【0040】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料は、ユニットの入口において、30℃〜110℃、優先的には34℃〜100℃の温度にある。
【0041】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料は、ユニットの入口において、150℃〜280℃、優先的には160℃〜260℃の温度にある。
【0042】
1つまたは複数の実施形態によると、本方法は、ユニットの入口において炭化水素供給原料をろ過する工程を含み、この工程は、場合によっては、50℃〜100℃または150℃〜230℃の温度に加熱する工程の後に行われる。1つまたは複数の実施形態によると、本方法は、ろ過済みの炭化水素供給原料を供給原料ドラム内に保持する工程を含む。前記供給原料をドラムからポンプで汲み上げる工程によって、コイル巻回式熱交換器S−1に供給することが可能になる。
【0043】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料および場合による水素の流れまたは炭化水素供給原料/水素の流れの混合物の温度は、(コイル巻回式熱交換器の上流に配置される)混合セクションの出口において、および/またはコイル巻回式熱交換器の入口において、および/または第1のバイパスの入口において、30℃〜280℃、好ましくは34℃〜260℃である。1つまたは複数の特に好ましい実施形態によると、上述の温度は、40℃〜60℃である(低温スキーム)。1つまたは複数の特に好ましい実施形態によると、上述の温度は、200℃〜250℃である(高温スキーム)。
【0044】
1つまたは複数の実施形態によると、予熱済みの炭化水素供給原料/水素の流れの混合物の温度は、コイル巻回式熱交換器の出口において、200℃〜450℃、好ましくは230℃〜430℃である。
【0045】
1つまたは複数の実施形態によると、予熱済みの炭化水素供給原料/水素の流れの混合物の温度は、反応器入口の炉の入口において200℃〜450℃、好ましくは230℃〜430℃である。
【0046】
1つまたは複数の実施形態によると、加熱済みの炭化水素供給原料/水素の流れの混合物の温度は、反応器入口の炉の出口において、および/または、水素化処理または水素化転化の反応セクションの入口において、210℃〜460℃、好ましくは240℃〜440℃である。
【0047】
1つまたは複数の実施形態によると、反応流出物の温度は、水素化処理または水素化転化の反応セクションの出口において、および/または、コイル巻回式熱交換器の入口において、210℃〜465℃、好ましくは240℃〜445℃である。
【0048】
1つまたは複数の実施形態によると、冷却済みの反応流出物の温度は、コイル巻回式熱交換器の出口において、70℃〜400℃、好ましくは80℃〜380℃である。
【0049】
1つまたは複数の実施形態によると、コイル巻回式熱交換器は、多機能コイル巻回式熱交換器であり、これは、分離塔からの底部液の少なくとも一部を加熱するのに適したものであり、底部液の温度は、多機能コイル巻回式熱交換器の入口において200℃〜250℃、好ましくは200℃〜240℃である。
【0050】
1つまたは複数の実施形態によると、底部液の温度は、多機能コイル巻回式熱交換器の出口において300℃〜450℃、好ましくは320℃〜430℃である。
【0051】
第3の態様によると、上述の目的、さらには他の利点は、水素化処理または水素化転化の方法における、コイル巻回式熱交換器の使用であって、前記コイル巻回式熱交換器は、垂直チャンバによって形成された単流熱交換器であり、この垂直チャンバにおいて、1個または複数個のチューブのバンドルが、多数の重畳された層として、中心コアの周りにらせん状に巻回されている、使用によって得られる。
【0052】
1つまたは複数の実施形態によると、コイル巻回式熱交換器は、
炭化水素供給原料/水素の流れの混合物を予熱し、かつ、これを、水素化処理または水素化転化の反応セクションの反応器入口の炉に直接的に流通させること;および
水素化処理または水素化転化の反応セクションからの流出物を冷却すること
のために用いられる。
【0053】
上記に言及されたデバイス、方法および使用の実施形態、さらには他の特徴および利点は、単に例証として非限定的に与えられる以下の説明を、添付図面を参照して読むことで、明白となるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(詳細な説明)
本発明の説明は、水素化転化のデバイスおよび方法の分野、例えば、重質供給原料、例えば、真空残渣または真空ガスオイルを水素化分解するためのデバイスおよび方法の分野に関する。本発明の説明は、水素化処理のデバイスおよび方法の分野、例えば、残渣またはガスオイルの水素化脱金属、水素化脱窒および/または水素化脱硫のためのデバイスおよび方法にも関する。
【0056】
図1を参照すると、炭化水素供給原料、例えば、ガスオイル、真空蒸留物、常圧もしくは真空の残渣またはフィッシャー・トロプシュユニットからの流出物の水素化処理または水素化転化のための参照デバイスは、
− 炭化水素供給原料(ライン1)および水素の流れ(ライン4)を混合するための第1のセクション;
− シェルアンドチューブ式熱交換器の複数のトレインE−1A/B/C/DおよびE−1E/F/G/H;これは、第1の混合セクションに由来する炭化水素供給原料/水素の流れの混合物(以降において炭化水素混合物と称する)(ライン5)を、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1からの反応流出物(ライン9)により予熱するためのものである;
− 反応器入口の炉F−1;これは、シェルアンドチューブ式熱交換器のトレインE−1に由来する予熱済みの炭化水素混合物(ライン7)を加熱し、かつ、加熱済みの炭化水素混合物(ライン8)を水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1に流通させるためのものである;
− 水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1;
− 場合による、第1のバイパス(バイパスライン19);これにより、炭化水素混合物(ライン5)の一部が、シェルアンドチューブ式熱交換器のトレインE−1を回避することができ、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1の反応温度を調節することができる;
− 場合による、高圧高温分離器B−1;それの供給原料は、シェルアンドチューブ式熱交換器のトレインE−1中を通過した後に冷却された反応流出物(ライン11)によって形成され、少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物(ライン22)と、軽質フラクションを含む第1のガス状流出物(ライン14)とを流通させる;
− 高圧低温分離器B−2;それの供給原料は、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1に由来し、かつ、シェルアンドチューブ式の熱交換器のトレインE−1中を通過した後に冷却された反応流出物(ライン11および14)の少なくとも一部によって形成され、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物(ライン25)と、水素を含む第1のガス状流出物(ライン16)とを流通させる;
− 場合による、第2の熱交換器E−3;これは、反応流出物(または場合による、高圧高温分離器B−1を起源とする軽質フラクションを含む第1のガス状流出物)の少なくとも一部を冷却するためのものである;
− 場合による、第1の空気冷却器A−1;これは、反応流出物(または場合による、高圧高温分離器B−1を起源とし、場合によっては、第2の熱交換器E−3をさらに起源とする軽質フラクションを含む第1のガス状流出物)の少なくとも一部を凝縮させるためのものである;
− 場合による、アミン洗浄塔C−2;これにより、高圧低温分離器B−2に由来する水素を含む第1のガス状流出物(再循環水素とも称する)(ライン16)からH
2Sの少なくとも一部を除去することが可能となる;
− 場合による、第1の圧縮セクションK−1;これは、再循環させられかつアミン洗浄された水素(ライン17)を圧縮するためのものである;
− 場合による、第2の圧縮セクションK−2;これは、補給水素(ライン2)を圧縮するためのものである;
− 場合による、再循環させられ、洗浄されかつ圧縮された水素(ライン18)と圧縮された補給水素(ライン3)とを混合するための第2のセクション;
− 場合による、中圧高温分離器B−3;それの供給原料は、高圧高温分離器B−1に由来する少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物(ライン22)であり、それの一つの流出物は、少なくとも1種の重質フラクションを含む第2の液状流出物(ライン26)であり、これは、分離塔C−1に流通させられる;
− 場合による、第2の空気冷却器A−2;これは、中圧高温分離器B−3に由来する軽質フラクションを含む第2のガス状流出物(ライン23)を凝縮させ、凝縮後の、軽質フラクションを含む第2のガス状流出物(ライン24)を流通させるためのものである;
− 場合による、中圧低温分離器B−4;これは、高圧低温分離器B−2に由来する少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物(ライン25)(および場合による、中圧高温分離器B−3に由来する軽質フラクションを含む第2のガス状流出物(ライン23)(および場合によっては、第2の空気冷却器A−2において凝縮させられたもの(ライン24))を分離し、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第2の液状流出物(ライン27および28)を分離塔C−1に流通させ、水素を含む第2のガス状流出物を除去するためのものである;
− 分離塔C−1(例えば、ライン32を介して加えられた流体を用いる従来の分留塔またはストリッピング塔);これは、高圧低温分離器B−2に由来する液状流出物(ライン25)、場合によっては、高圧高温分離器B−1に由来する液状流出物(ライン22)、場合によっては、中圧分離器B−3に由来する液状流出物(ライン26)、場合によっては、中圧低温分離器B−4に由来する液状流出物(ライン27)から出発して、底部液(ライン39)と、塔頂流出物とを流通させる;
− 場合による、第3の熱交換器E−4;これは、分離塔C−1の供給原料(ライン25、場合によってはライン27)を加熱するためのものである;
− 場合による、第4の熱交換器E−5;これは、分離塔(C−1)からの底部液(ライン39)を加熱するためのものである;
− 場合による、第2の炉(図示なし);これは、分離塔からの底部液を(例えば、第4の熱交換器E−5中を通過させた後に)加熱し、かつ、分留塔(図示なし)にそれを流通させるのに適したものである;
− 場合による、第5の熱交換器(図示なし);これは、少なくとも1種の重質フラクションを含む第1または第2の液状流出物を冷却または加熱するのに適したものである;
− 場合による、第3の空気冷却器A−3;これは、分離塔C−1に由来する塔頂流出物を凝縮させるためのものである;および
− 場合による、還流ドラムB−6;これは、塔頂流出物を、ガス状塔頂フラクション(例えばサワーガス)(ライン35)と、炭化水素液状留分(例えばナフサ)(ライン38)とに分離するためのものである
を含む。
【0057】
図1および2は、水素化処理または水素化転化のデバイスの同一の機器に対して同一の参照符号(番号)を有する。
【0058】
図2を参照すると、本発明の説明の第1の態様によるデバイスは、参照デバイスの要素を含むが、シェルアンドチューブ式熱交換器のトレインE−1(
図1)が、単一のコイル巻回式熱交換器S−1によって置き換えられるという例外を伴っている。具体的には、シェルアンドチューブ式熱交換器のトレインE−1の代わりとして単一のコイル巻回式熱交換器S−1を含む水素化処理または水素化転化のデバイスにより、炭化水素混合物をより高い温度に予熱することが特に可能になり、これにより、反応器入口の炉F−1の必要な電力がより少なくなることを実証した。
【0059】
さらに、コイル巻回式熱交換器S−1は、1回または複数回の追加のまたは交換のサービス(surface)を行うこと、例えば、塔C−1に由来する底部流出物を加熱した後にこのようにして加熱された底部流出物を別の場合による分留セクション(図示なし)に流通させるのに適しており、これにより、特に、この流出物を分離して、以下の生成物の1種または複数種を得ることが可能となる:ナフサ(場合により軽質ナフサおよび重質ナフサ)、ケロセン、ガスオイルおよび残渣。分離塔C−1の供給原料の加熱処理、または炭化水素供給原料との混合がコイル巻回式熱交換器の下流で行われる場合の水素の加熱処理は、追加の交換サービスの他の例であり、このリストは排他的ではない。
【0060】
コイル巻回式熱交換器S−1は、垂直チャンバによって形成された単流熱交換器であり、この垂直チャンバにおいて、1個または複数個のチューブのバンドルが、多数の重畳された層として、中心コアの周りにらせん状に巻回されている(Technique de l’Iingenieur,J 3 601 V2 段落4.2を参照)。前記交換器により、チャンバ中を流通する流体と、チューブバンドル中を流通する少なくとも1種の流体との間で熱交換することが可能になる。
【0061】
1つまたは複数の実施形態によると、コイル巻回式熱交換器S−1は、シェル側の高温流体およびチューブ側の低温流体により用いられる。
【0062】
1つまたは複数の実施形態によると、コイル巻回式熱交換器S−1は、チューブ側の高温流体およびシェル側の低温流体により用いられる。
【0063】
1つまたは複数の実施形態によると、コイル巻回式熱交換器S−1が、1回または複数回の追加交換サービスを行うのに適している場合、追加の交換サービス(1回または複数回)は、チューブ側で行われ、これは、種々のサービスを混ぜ合わせることなく種々のサービスを、バンドルのチューブ中に流通させることによって、および、種々のサービスを別々に流通させかつ収集することによって行われる。
【0064】
図2からの例において、第1の混合セクションは、コイル巻回式熱交換器S−1の上流に位置決めされている。1つまたは複数の実施形態において、第1の混合セクションは、コイル巻回式熱交換器S−1の下流にある。
【0065】
図2からの例において、コイル巻回式熱交換器(S−1)は、炭化水素供給原料/水素の流れの混合物を予熱するように位置決めされている。他方で、コイル巻回式熱交換器(S−1)は、炭化水素供給原料のみを予熱し、場合によっては、水素の流れを追加の熱交換サービスとして予熱するように構成されてよい。
【0066】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料の初留点は、120℃より高い。ディーゼルの場合、初留点は、一般に約150℃であり、蒸留範囲は、典型的には170℃〜390℃である。常圧残渣の場合、初留点は典型的には300℃より高く、好ましくは340℃〜380℃である。真空残渣の場合、初留点は、典型的には450℃〜600℃、好ましくは500℃〜550℃である。軽質真空蒸留物(軽質真空ガスオイル(light vacuum gas oil:LVGO))は、蒸留範囲:300℃〜430℃、好ましくは340℃〜400℃によって特徴付けられる。重質真空蒸留物(重質真空ガスオイル(heavy vacuum gas oil:HVGO)は、蒸留範囲:400℃〜620℃、好ましくは440℃〜550℃によって特徴付けられる。したがって、使用可能な供給原料は、広範囲の沸点内にある。
【0067】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料は、最低10体積%、一般に最低20体積%、しばしば最低80体積%の、340℃超で沸騰する化合物を含有する。
【0068】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料の窒素の含有率は、500重量ppmより高く、一般に500〜10000重量ppm、より一般には700〜4500重量ppm、さらにより一般には800〜4500重量ppmである。
【0069】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料の硫黄の含有率は、0.01重量%〜5重量%、一般に0.2重量%〜4重量%、さらにより一般には0.5重量%〜3重量%である。
【0070】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料は、金属を含有する。1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料のニッケルおよびバナジウムを合わせた含有率は、10重量ppm未満、好ましくは5重量ppm未満、さらにより好ましくは2重量ppm未満である。
【0071】
1つまたは複数の実施形態によると、炭化水素供給原料のアスファルテンの含有率は、3000重量ppm未満、好ましくは1000重量ppm未満、さらにより好ましくは300重量ppm未満である。
【0072】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1からの反応流出物は、炭化水素留分からなり、この炭化水素留分は、一般的には混合相として、水素、分解に由来するガス、特に、前記反応セクションの反応に由来するH
2SおよびNH
3を、供給原料中に含有される硫黄および窒素の含有率に比例して含み、場合によっては、CO
2および他のガス、二次反応を起源とする軽質留分、例えば、LPG(liquefied petroleum gas:液化石油ガス)、および少なくともナフサ、および場合による以下の炭化水素留分:ディーゼル、ケロセンおよび/または未転化残渣等を、供給原料の性質および反応のタイプに応じて含む。
【0073】
1つまたは複数の実施形態によると、少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物は、反応セクションからの流出物の最も重質なフラクションの少なくとも一部を含む。この最も重質なフラクションは、ナフサ、ディーゼル、ケロセンおよび/または未転化残渣を供給原料の性質および反応のタイプに応じて含んでいる。少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物は、反応セクションからの流出物の中間フラクションを含んでもよく、場合によっては、ディーゼル、ケロセンおよび/またはナフサを、供給原料の性質および反応のタイプに応じて含む。
【0074】
1つまたは複数の実施形態によると、軽質フラクションを含む第1のガス状流出物は、反応流出物の最も軽質なフラクションの少なくとも一部を含む。最も軽質なフラクションは、水素、分解に由来するガス、特に、反応セクションの反応に由来するH
2SおよびNH
3を、供給原料に含有される硫黄および窒素の含有率に比例して含み、場合によっては、CO
2および他のガス、軽質留分、例えば、二次反応を起源とするLPG、および少なくともナフサを含む。
【0075】
1つまたは複数の実施形態によると、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物は、軽質留分、例えば、二次反応を起源とするLPGを含む反応流出物の部分、および少なくともナフサを含む。
【0076】
1つまたは複数の実施形態によると、水素を含む第1のガス状流出物は、分解に由来するガス、特に、反応セクションの反応に由来するH
2Sを、供給原料中に含有される硫黄の含有率に比例して含み、場合によってはCO
2も含む。
【0077】
1つまたは複数の実施形態によると、少なくとも1種の重質フラクションを含む第2の液状流出物は、反応セクションからの流出物の最も重質なフラクションを含む。最も重質なフラクションは、ディーゼル、ケロセンおよび/または未転化残渣を供給原料の性質および反応のタイプに応じて含んでいる。
【0078】
1つまたは複数の実施形態によると、軽質フラクションを含む第2のガス状流出物は、反応セクションからの流出物の第1の中間フラクションを含み、これは、場合によっては、ディーゼル、ケロセンおよび/またはナフサを、供給原料の性質および反応のタイプに応じて含む。
【0079】
1つまたは複数の実施形態によると、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第2の液状流出物は、少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物の最も重質なフラクションを含む。少なくとも1種の軽質フラクションを含む第2の液状流出物は、反応セクションからの流出物の第2の中間フラクションを含んでもよく、これは、ディーゼル、ケロセンおよび/またはナフサを供給原料の性質および反応のタイプに応じて含む。
【0080】
1つまたは複数の実施形態によると、水素を含む第2のガス状流出物は、反応流出物の最も軽質なフラクションの少なくとも一部を含み、これは、水素、分解に由来するガス、特に、反応セクションの反応に由来するH
2Sを、供給原料に含有される硫黄の含有率に比例して含み、場合によっては、CO
2および他のガスを含む。
【0081】
1つまたは複数の実施形態によると、塔頂流出物は、分解に由来するガス、特に、H
2S、場合によるCO
2および他のガス、LPG、ナフサ、および場合によるストリッピング流体を含む。
【0082】
1つまたは複数の実施形態によると、ガス状塔頂フラクションは、分解に由来するガス、特にH
2S、場合によるCO
2および他のガス、LPGを含む。
【0083】
1つまたは複数の実施形態によると、液状炭化水素留分は、ナフサを含む。
【0084】
1つまたは複数の実施形態によると、底部液は、反応セクションからの流出物の最も重質なフラクションを含み、これは、ディーゼル、ケロセンおよび/または未転化残渣を供給原料の性質および反応のタイプに応じて含む。
【0085】
本発明の説明によるデバイスにおいて、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1は、1基の反応器または直列または並列に配置された複数基の反応器、例えば直列に配置された2基の反応器を含んでよい。反応セクションの各反応器は、少なくとも1個の触媒床を含む。触媒は、固定床、または膨張床(expanded bed)、あるいはバブリング床において用いられてよい。固定床において用いられる触媒の場合、少なくとも1基の反応器内に複数個の触媒床を位置決めすることが可能である。各反応器は、反応器内の床のそれぞれの入口における温度を制御するために冷却手段、例えば、2個の連続する床の間に配置された液体またはガスのクエンチ流れを備えてよい。他方で、水素化処理または水素化転化の反応器は加熱手段を有していない。
【0086】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1は、水素化分解ユニットの反応セクションである。
【0087】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1は、ディーゼルまたはケロセンまたは真空蒸留物の水素化脱硫のためのユニットの反応セクションである。
【0088】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1は、ナフサの水素化脱硫のためのユニットの反応セクションである。
【0089】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1は、バブリング床における残渣または蒸留物または脱アスファルト油の水素化転化のためのユニットに含まれる。
【0090】
分離塔C−1は、分解に由来するガス(一般に、サワーガス(sour gases)と呼ばれる)、特に反応セクションの反応に由来するH
2Sを除去することを特に目的とする。この塔は、好ましくは、あらゆるストリッピングガス、例えば、水素または水蒸気を含有するガスによってストリッピングされる。好ましくは、水蒸気が前記ストリッピングを行うために用いられる。
【0091】
第2の態様によると、本発明の説明は、第1の態様によるデバイスを実現する方法にも関する。
【0092】
1つまたは複数の実施形態によると、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1の操作条件は、以下の特徴:
− 温度は、約200℃〜約460℃、優先的には約240℃〜約445℃である;
− 全圧は、約1〜約20MPa、例えば、2〜20MPa、好ましくは2.5〜18MPa、非常に好ましくは3〜18MPaである;
− 各触媒工程についての液体供給原料の全体的な毎時空間速度は、約0.05h
−1〜約12h
−1、好ましくは約0.1h
−1〜約10h
−1である;
− 用いられる水素の純度は、水素供給(すなわち、再循環水素/補給水素の混合物)の体積に対して約50体積%〜100体積%である;および
− 液体炭化水素供給原料に対する水素の量は、約50Nm
3/m
3〜約2500Nm
3/m
3である
の少なくとも1つを含む。
【0093】
当業者に知られているあらゆる触媒が、本発明の説明による方法において用いられ得、例えば、周期律表の第VIII族(新周期律表の8、9および10族)からの元素から選ばれる少なくとも1種の元素および場合による、周期律表の第VIB族(新周期律表の6族)からの元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む触媒である。
【0094】
以下、化学元素の族は、CAS分類に従って与えられる(CRC Handbook of Chemistry and Physics、CRCpressによる発行、編集長D.R.Lide、第81版、2000-2001)。例えば、CAS分類による第VIII族は、新IUPAC分類による8、9および10列からの金属に相当する;CAS分類による第VIB族は、新IUPAC分類による6列からの金属に相当する。
【0095】
本発明の説明による方法の実現のために、無定形担体上に、水素化−脱水素機能を有する少なくとも1種の金属または金属化合物を含む、従来の水素化転化触媒を用いることが可能である。この触媒は、第VIII族からの金属、例えばニッケルおよび/またはコバルトを、しばしば第VIB族からの少なくとも1種の金属、例えばモリブデンおよび/またはタングステンとの組み合わせで含む触媒であってよい。例えば、触媒の全重量に対して、ニッケル0.5重量%〜10重量%(酸化ニッケル(NiO)として表される)と、モリブデン1重量%〜30重量%、好ましくはモリブデン5重量%〜20重量%(酸化モリブデン(MoO
3)として表される)とを、無定形鉱物担体上に含む触媒の使用がなされてよい。触媒中の第VIB族および第VIII族からの金属の酸化物の全含有率は、触媒の全重量に対して、一般に5重量%〜40重量%、優先的には7重量%〜30重量%である。第VIB族からの金属(1種または複数種)と第VIII族からの金属(1種または複数種)との間の(金属酸化物に基づいて表される)重量比は、一般に、約20〜約1、通常は約10〜約2である。担体は、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、マグネシア、粘土およびこれら鉱物の少なくとも2種の混合物によって形成される群から選択される。この担体は、他の化合物、例えば、酸化ホウ素、ジルコニア、酸化チタン、無水リン酸から選ばれる酸化物を含有してもよい。
【0096】
用いられ得る別のタイプの触媒は、少なくとも1種のマトリクスと、少なくとも1種のYゼオライトと、少なくとも1種の水素化−脱水素金属とを含有する触媒である。上記のマトリクス、金属および追加元素は、この触媒の組成に組み込まれてもよい。有利なYゼオライトは、特許出願WO00/71641、並びに特許EP 0 911 077、US4,738,940およびUS4,738,941に記載されている。
【0097】
1つまたは複数の実施形態によると、高圧低温分離器B−2は、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1の圧力または高圧高温分離器B−1の圧力よりも低い圧力で、例えば、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1の圧力または高圧高温分離器B−1の圧力よりも0.1MPa〜1.0MPa低い圧力で操作される。
【0098】
高圧低温分離器B−2の温度は、一般に、利用可能な冷却手段を考慮して可及的に低い。これは、再循環水素の純度を最大限にするためである。高圧低温分離器B−2の温度は、一般に20℃〜100℃、好ましくは35℃〜70℃である。高圧低温分離器B−2に由来する少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物は、分離塔C−1に送られる。この分離塔C−1は、好ましくはストリッパタイプであり、好ましくは環流ドラムB−6を備えたものである。
【0099】
1つまたは複数の実施形態によると、冷却済みの反応流出物は、場合による高圧高温分離器B−1に送られる。この高圧高温分離器B−1は、より低い圧力で、例えば、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1の圧力よりも0.1MPa〜1.0MPa低い圧力で操作される。高圧高温分離器B−1の温度は、一般に200℃〜450℃、好ましくは250℃〜380℃、非常に好ましくは260℃〜360℃である。
【0100】
1つまたは複数の実施形態によると、高圧高温分離器B−1に由来する少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物は、第1のバルブV−1または場合によるタービンに送られ、場合による中圧高温分離器B−3に送られ、その圧力は、場合による中圧低温分離器B−4に、中圧高温分離器B−3に由来する少なくとも1種の重質フラクションを含む第2の液状流出物を供給することができるように選ばれる、
1つまたは複数の実施形態によると、中圧高温分離器B−3は、1.0〜4.0MPa、好ましくは1.5〜3.5MPaの圧力で操作される。中圧高温分離器B−3の温度は、一般に150℃〜380℃、好ましくは200℃〜360℃である。
【0101】
1つまたは複数の実施形態によると、高圧低温分離器B−2に由来する少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物は、第2のバルブV−2または場合によるタービン内で膨張させられ、場合による中圧低温分離器B−4に送られる。中圧低温分離器B−4の全圧は、優先的には、前記分離器B−4で分離される水素を含む第2のガス状流出物中の水素を効果的に回収するのに必要な圧力である。この水素の回収は、好ましくは、圧力スイング吸着ユニットにおいて行われる。中圧低温分離器B−4の全圧は、一般に1.0MPa〜4.0MPa、好ましくは1.5MPa〜3.5MPaである。中圧低温分離器B−4の温度は、一般に20℃〜100℃、好ましくは25℃〜70℃である。
【0102】
分離塔C−1からの底部液(ライン39)は、第4の熱交換器E−5によって加熱された後にライン40を介して分留セクション(図示なし)に送られてよい。この分留セクションにより、ナフサ、ケロセンおよびガスオイルの留分と、残渣とを分離することが可能となる。
【0103】
第3の態様によると、本発明の説明は、第1の態様によるデバイスまたは第2の態様による方法におけるコイル巻回式熱交換器S−1の使用であって、特に、炭化水素混合物を予熱し、かつ、これを水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1の反応器入口の炉F−1に直接的に流通させること;および水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1からの流出物を冷却することのための使用にも関する。
【0104】
本発明の説明によるデバイス、方法および使用は、以下の利点を有している。
【0105】
炭化水素混合物を反応流出物により予熱するためのシェルアンドチューブ式交換器の2つのトレインが、単一のコイル巻回式交換器に置き換えられ、それによって次のことが可能になる:
− 供給原料を参照デバイスの温度よりも高い温度に予熱し、結果的に炉F−1に必要な出力を低減させること;
− 熱交換器の少なくとも2つのトレインを含む参照デバイスとは異なり、ひとつのみの熱交換器を有し、結果として、投資および占有床面積の点で節約を得ること;および
− 反応ループにおける圧力降下を低減させ、結果として、第1の圧縮セクションK−1において必要な出力を低減させること。
【0106】
(実施例)
(実施例1)
図1は、第1の参照比較(比較例1)を構成し、
図2は、本発明の説明に合致するデバイスおよび方法の実施形態の第1の例(実施例1)を説明している。
【0107】
炭化水素供給原料は、186℃〜380℃の沸点を有する留分であり、常圧ガスオイルおよび常圧ケロセンからなり、以下の特徴を有している。
【0109】
本適用において、炭化水素供給原料の比重は、無次元である。
【0110】
本発明の説明によると、
図2に表されるように、炭化水素供給原料は、ライン1を介して供給される。補給水素は、好ましくは、炭化水素供給原料に対して過剰にあり、このものは、ライン2および第2の圧縮セクションK−2(例えば、コンプレッサ)、次いでライン3を介して供給され、ライン4中で再循環水素と混合される。水素は、次いで、炭化水素供給原料(ライン1)と混合され、その後に、このようにして得られた炭化水素混合物を、ライン5を介してコイル巻回式熱交換器S−1に流通させる。コイル巻回式熱交換器S−1によって、反応流出物により炭化水素混合物を予熱することが可能になる。実施例1において、コイル巻回式熱交換器S−1は、特許出願WO2014/067223に記載された通りのものである。この熱交換の後、予熱済みの炭化水素混合物は、ライン7を介して、反応器入口の炉F−1に運ばれ、加熱され、ライン8を介して、水素化脱硫セクションに運ばれる。この水素化脱硫セクションは、少なくとも1基の水素化脱硫反応器によって形成され(水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1の例である)、少なくとも1種の水素化脱硫触媒を含んでいる。実施例1において、予熱済みの炭化水素混合物の温度は、ライン19を介して(場合によっては、バルブV−3によって)炭化水素混合物の一部をバイパスさせることによって調節される必要はない。
【0111】
実施例1において、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1は、2個の触媒床を含む水素化脱硫の反応器からなる。水素化脱硫反応器の床は、(Al
2O
3上CoMoタイプの)Axens HR626触媒から構成される。床は、約4.55MPaおよび325℃〜395℃の温度で操作される。反応セクション中の化学的水素消費量は、新しい炭化水素供給原料に対して0.35重量%である。
【0112】
反応流出物は、次に、ライン9を介してコイル巻回式熱交換器S−1に、ついでライン11を介して高圧高温分離器B−1に送られる。
【0113】
高圧高温分離器B−1に由来する軽質フラクションを含む第1のガス状流出物は、未反応水素、反応の間に形成されたH
2Sを含み、水素化処理反応セクションにおける炭化水素供給原料の炭化水素の転化に由来する軽質炭化水素も含む。第2の交換器E−3および第1の空気冷却器A−1(ライン14)内での冷却の後、軽質フラクションを含む、冷却されかつ凝縮させられた第1のガス状流出物は、ライン15を介して高圧低温分離器B−2に運ばれる。この高圧低温分離B−2により、気−液分離および水性液相のデカンテーションの両方を行うことが可能となる。
【0114】
高圧低温分離器B−2に由来する少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物は、ライン25を介して第3の熱交換器E−4に、またライン28を介してストリッパ(分離塔C−1の一例)に供給する。ストリッパC−1は、塔の頂部において0.69MPaで操作される。
【0115】
高圧低温分離器B−2に由来する再循環水素は、ライン16を介してアミン洗浄塔C−2に送られる。このアミン洗浄塔C−2によって、H
2Sの少なくとも一部を除去することが可能になる。再循環水素は、次に、ライン17および18を介して第1の混合セクションに、第1の圧縮セクションK−1により圧縮し供給原料(ライン1)と混合した後に、炭化水素供給原料と共に水素化脱硫反応器に流通させられる。
【0116】
ストリッパは、ライン32を介してストリッピング蒸気を供給される。ストリッパの頂部において、塔頂流出物のガス状フラクション(一般に、サワーガスと呼ばれる)は、ライン35を介して回収され、ナフサタイプの留分が、ライン38を介して回収される。この留分の最終沸点は、通常100℃より高い。ストリッパからの底部液は、ライン39を介して回収され、このものは、第4の熱交換器E−5で加熱された後に、ライン40を介してユニットから送出され、場合によっては、追加の分留(図示なし)が行われる。この追加の分留により、ナフサ、ケロセン、ガスオイルの留分および残渣を回収することが可能となる。
【0118】
− TEMA BEU規格の4基の供給原料/流出物のシェルアンドチューブ式熱交換器E−1の2つの並列トレインを用いる、参照水素化処理のデバイスおよび方法(
図1);および
− 単一のコイル巻回式熱交換器S−1を用いる、本発明の説明に合致する水素化処理のデバイスおよび方法(
図2)。
【0119】
参照の方法は、実施例1にための上記のものと同一の供給原料および同一の操作条件で操作される。
【0121】
表1において実証されるように、本発明の説明に合致するデバイスおよび方法において、
− 単一のコイル巻回式熱交換器S−1によって、シェルアンドチューブ式熱交換器の複数のトレインE−1と比べて、炭化水素混合物をより高い温度に予熱することが可能になる;
− 反応器入口の炉F−1の出力が、参照のデバイスおよび方法に対して30%超減少する;
− 反応器入口の炉F−1および第1の空気冷却器A−1の合計出力が、参照のデバイスおよび方法に対して20%減少する;および
− 第1の圧縮セクションK−1の出力が、参照のデバイスおよび方法に対して16%減少する。
【0122】
(実施例2)
図1は、参照比較(比較例1)を構成し、
図3は、本発明の説明に合致するデバイスおよび方法の実施形態の第2の例(実施例2)を説明している。
【0123】
炭化水素供給原料は、250℃〜620℃の沸点を有する留分であり、以下の特徴を有する。
【0125】
本発明の説明によると、
図3に表されるように、炭化水素供給原料は、ライン1を介して供給される。補給水素は、好ましくは炭化水素原料に対して過剰にあり、このものは、ライン2および第2の圧縮セクションK−2(例えば、コンプレッサ)、次いで、ライン3を介して供給され、ライン4において再循環水素と混合される。次に、水素は、炭化水素供給原料(ライン1)と混合され、その後、このようにして得られた炭化水素混合物を、コイル巻回式熱交換器S−1にライン5を介して流通させる。コイル巻回式熱交換器S−1によって、反応流出物により、炭化水素混合物と、さらには分離塔C−1からの底部液(ライン39)とを予熱することが可能になる。実施例2において、コイル巻回式熱交換器S−1は、特許出願WO2014/067223に記載されているような多機能タイプのものである。この熱交換の後に、予熱済みの炭化水素混合物は、ライン7を介して炉F−1において加熱され、次いで、ライン8を介して、水素化脱硫セクションに運ばれる。この水素化脱硫セクションは、2基の水素化脱硫の反応器(水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1の一例)を含み、この反応器は、少なくとも1種の水素化脱硫触媒を含んでいる。水素化脱硫反応に必要な温度は、炭化水素混合物の一部を、ライン19を介して(場合によっては、バルブV−3により)バイパスすることによって調節されてもよい。
【0126】
この実施例において、水素化処理または水素化転化の反応セクションR−1は、2基の反応器からなり、これらの反応器は、それぞれ、(Al
2O
3上NiMoタイプの)Axens HRK 1448触媒の3床および(ゼオライトタイプの)Axens HYK 743触媒の3床を有している。反応器の床は、約16.0MPaおよび375℃〜406℃の温度で操作される。反応セクションにおける化学的な水素の消費量は、新しい炭化水素供給原料に対して2.8重量%である。
【0127】
反応流出物は、次に、ライン9を介して交換器S−1に、次いでライン11を介して高圧高温分離器B−1に送られる。軽質フラクションを含む第1のガス状流出物は、高圧高温分離器B−1内で分離され、ライン14を介して回収される。軽質フラクションを含む前記第1のガス状流出物は、未反応水素、反応の間に形成されたH
2Sを含み、水素化処理反応セクションにおける炭化水素供給原料の炭化水素の転化に由来する軽質炭化水素も含む。第2の交換器E−3および第1の空気冷却器A−1(ライン14)内での冷却の後に、軽質フラクションを含む冷却されかつ凝縮させられた第1のガス状流出物は、ライン15を介して、高圧低温分離器B−2に運ばれる。この高圧低温分離器B−2により、気−液分離および水性液相のデカンテーションの両方を行うことが可能となる。高圧低温分離器B−2に由来する少なくとも1種の軽質フラクションを含む第1の液状流出物は、バルブまたは液体タービンV−2における膨張の後に、ライン25を介して中圧低温分離器B−4に供給する。
【0128】
少なくとも1種の重質フラクションを含む第1の液状流出物は、ライン22を介して高圧高温分離器B−1の底部で回収されたものであり、このものは、バルブまたは液体タービンV−1内での膨張の後に、ライン22を介して中圧高温分離器B−3に送られる。軽質フラクションを含む第2のガス状流出物は、中圧高温分離器B−3において分離され、ライン23を介して回収される。軽質フラクションを含む第2のガス状流出物は、未反応水素、H
2Sを含み、一般的には、水素化処理反応セクションにおける供給原料の炭化水素の転化に由来する軽質炭化水素も含む。第2の空気冷却器A−2中を通過させた後、軽質フラクションを含む凝縮済みの第2のガス状流出物は、ライン24を介して、中圧低温分離器B−4に運ばれる。中圧低温分離器B−4に由来する少なくとも1種の軽質フラクションを含む第2の液状流出物は、ライン27を介して第3の熱交換器E−4に、ライン28を介してストリッパ(分離塔C−1の一例)に供給する。中圧高温分離器B−3に由来する少なくとも1種の重質フラクションを含む第2の液状流出物も、ライン26を介してストリッパに供給する。
【0129】
高圧低温分離器B−2に由来する再循環水素は、ライン16を介してアミン洗浄塔C−2に送られる。このアミン洗浄塔C−2によってH
2Sの少なくとも一部を除去することが可能となる。再循環水素は、次に、ライン17および18を介して第1の混合セクションに流通させられ、次に、第1の圧縮セクションK−1により圧縮し、供給原料(ライン1)と混合した後に、炭化水素供給原料と共に水素化脱硫反応器に流通させられる。
【0130】
ストリッパは、塔の頂部において0.9MPaで操作され、それは、ライン32を介してストリッピング蒸気を供給される。ストリッパの頂部において、塔頂流出物のガス状フラクション(一般に、サワーガスと呼ばれる)がライン35を介して回収され、ナフサタイプの留分が、ライン38を介して回収される。この留分の最終沸点は、通常、100℃より高い。
【0131】
ストリッパからの底部液は、ライン39を介して回収され、このものは、交換器E−5内で、次に多機能コイル巻回式熱交換器S−1内で反応流出物によって加熱され、次にライン42を介して場合による分留セクションに送られて、ここで、ナフサ、ケロセンおよびガスオイルの留分と、残渣とが回収される。分留セクション(図示なし)の入口温度は、コイル巻回式熱交換器S−1の追加のバイパスによって制御され、このものは、ライン41を介して底部液の一部を分留セクションに直接的に流通させるのに適したものである
表2は、以下を比較している。
【0132】
− TEMA BEU規格の供給原料/流出物のシェルアンドチューブ式熱交換器の複数のトレインE−1を用いる、参照の水素化処理のデバイスおよび方法(
図1);および
− 単一のコイル巻回式熱交換器S−1を用いる、本発明の説明に合致する水素化処理のデバイスおよび方法(
図3)。
【0133】
参照の方法は、実施例2にために上記に記載されたものと同一の供給原料および同一の操作条件で操作される。
【0135】
多機能コイル巻回式熱交換器S−1を用いることによって、交換器の数を低減させることに加えて、反応器入口の炉、コンプレッサK−1および空気冷却器A−1の出力における低減に起因するエネルギー節約を観察することが可能となる。