【課題】本発明は、簡便な工程でアルデヒドの含有量が少ないポリマーポリオールを製造することができるポリマーポリオールの製造方法及び揮散するアルデヒド量が少ないポリウレタンフォームの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリマーポリオール(E)を含有する粗ポリマーポリオール組成物(G)並びにブレンステッド酸(H1)及びルイス酸(H2)からなる群より選ばれる1種以上の酸触媒(H)を水の存在下で接触させる工程(1)、及び工程(1)の後にアルデヒド(F)を含有する揮発分を除去する工程(2)を有するポリマーポリオール(I)の製造方法であって、粗ポリマーポリオール組成物(G)がポリオール(A)中でエチレン性不飽和化合物(B)をラジカル重合開始剤(C)及び分散剤(D)の存在下で重合させて得られる組成物であるポリマーポリオール(I)の製造方法である。
ポリマーポリオール(E)を含有する粗ポリマーポリオール組成物(G)並びにブレンステッド酸(H1)及びルイス酸(H2)からなる群より選ばれる1種以上の酸触媒(H)を水の存在下で接触させる工程(1)、及び工程(1)の後にアルデヒド(F)を含有する揮発分を除去する工程(2)を有するポリマーポリオール(I)の製造方法であって、粗ポリマーポリオール組成物(G)がポリオール(A)中でエチレン性不飽和化合物(B)をラジカル重合開始剤(C)及び分散剤(D)の存在下で重合させて得られる組成物であるポリマーポリオール(I)の製造方法。
工程(1)における酸触媒(H)の量が、粗ポリマーポリオール組成物(G)の重量を基準として0.003〜5重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
酸触媒(H)がブレンステッド酸(H1)であり、工程(1)の後、工程(2)の前に塩基性化合物(Q)でブレンステッド酸(H1)を中和する工程(3)を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマーポリオールの製造方法により得られたポリマーポリオール(I)を含有するポリオール成分(X)とポリイソシアネート(M)とを反応させるポリウレタンフォームの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ポリマーポリオール(E)を含有する粗ポリマーポリオール組成物(G)並びにブレンステッド酸(H1)及びルイス酸(H2)からなる群より選ばれる1種以上の酸触媒(H)を水の存在下で接触させる工程(1)、及び工程(1)の後にアルデヒド(F)を含有する揮発分を除去する工程(2)を有するポリマーポリオールの製造方法であって、(G)が、ポリオール(A)中で、エチレン性不飽和化合物(B)を、ラジカル重合開始剤(C)及び分散剤(D)の存在下で重合させて得られる組成物である、ポリマーポリオール(I)の製造方法である。
本発明においては、粗ポリマーポリオール組成物(G)並びにブレンステッド酸(H1)及びルイス酸(H2)からなる群より選ばれる1種以上の酸触媒(H)を水の存在下で接触させた後、揮発分を除去するという簡便な工程により、アルデヒドの含有量が少ないポリマーポリオールを製造することができる。
また、本発明の製造方法により製造されたポリマーポリオールを用いてポリウレタンフォームを製造すれば、揮散するアルデヒド量が少ないポリウレタンフォームを得ることができる。
以下に、工程(1)と工程(2)について具体的に説明する。
【0012】
本発明のポリマーポリオール(I)の製造方法では、以下の工程を行う。
工程(1):粗ポリマーポリオール(G1)を水の存在下で酸触媒(H)に接触させて粗ポリマーポリオール(G2)を得る工程。
工程(2):粗ポリマーポリオール(G2)の、アルデヒド(F)を含有する揮発分を除去してポリマーポリオール(I)を得る工程。
上記工程により低アルデヒド含量ポリマーポリオール(I)を得ることができる。
【0013】
工程(1)において、酸触媒(H)を使用し、粗ポリマーポリオール(G1)と酸触媒(H)との接触をバッチ方式により行うことが好ましい。
バッチ方式により粗ポリマーポリオール(G1)と酸触媒(H)を接触させた場合は、工程(1)の後に酸触媒(H)としてのブレンステッド酸(H1)を塩基性化合物(Q)で中和する工程(3)を行うことが好ましい。
【0014】
なお、工程(1)において、酸触媒(H)として特にルイス酸(H2)を使用する場合は、酸触媒(H)を中和する工程(3)を省略することもできる。
【0015】
これらの個々の工程は、例えば、以下の(I)〜(II)の組合せが挙げられる。
(I)工程(1)において酸触媒(H)を使用し、バッチ方式により粗ポリマーポリオール(G1)と酸触媒(H)を接触させた場合は、(1)→(3)→(2)の工程;
(II)工程(1)において、特にルイス酸(H2)を使用する場合は、(1)→(2)の工程;
【0016】
従って、本発明の製造方法においては、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを開環重合させて得られるポリエーテルポリオールを含有する粗ポリマーポリオール(G1)を水の存在下で酸触媒(H)に接触させて粗ポリマーポリオール(G2)を得る工程(1)、及び工程(1)の後にアルデヒド(F)を含有する揮発分を除去する工程(2)が必須の工程である。
【0017】
本発明において、ポリオール(A)としては、ポリマーポリオールの製造に用いられるポリオールとして知られているポリオールを制限なく用いることができ、多価アルコール、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオール等の公知のポリオールが含まれる。これらのうち、耐加水分解性の観点から、好ましくは、ポリエーテルポリオール(A1)である。
(A)としては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
ポリエーテルポリオール(A1)としては、活性水素基含有化合物(J)にアルキレンオキサイド(K)を開環重合させて得られるものが含まれる。
活性水素基含有化合物(J)としては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性水素基含有化合物(J)としては、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの物性の観点から、2〜8価の活性水素基含有化合物が好ましい。
2〜8価の活性水素基含有化合物としては、多価アルコール(J1)、多価アルコール以外の多価水酸基含有化合物(J2)、アミノ基含有化合物(J3)、チオール基含有化合物(J4)、リン酸基含有化合物(J5)及び2種以上の活性水素基を有する化合物(J6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性水素基含有化合物が含まれる。
【0019】
多価アルコール(J1)としては、炭素数(以下において、Cと略記することがある)2〜20の2価脂肪族アルコール、C3〜20の3価脂肪族アルコール及びC5〜20の4〜8価アルコールが挙げられる。
C2〜20の2価脂肪族アルコールとしては、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール並びにネオペンチルグリコール等)及び脂環式ジオール(シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)等が挙げられる。
C3〜20の3価脂肪族アルコールとしては、脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)が挙げられる。
C5〜20の4価の脂肪族アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン、メチルグルコシド及びメチルグルコシドの誘導体等が挙げられる。
C5〜20の5〜8価の多価脂肪族アルコールとしては、脂肪族ポリオール(ソルビトール、マンニトール及びジペンタエリスリトール等)並びに糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース及びその誘導体)等が挙げられる。
多価アルコール(J1)としては、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの物性の観点から、C2〜10の2〜8価脂肪族アルコールが好ましく、さらに好ましくはC2〜10の2〜4価脂肪族アルコールである。
【0020】
多価アルコール以外の多価水酸基含有化合物(J2)としては、多価フェノール等が挙げられる。具体的にはヒドロキノン、ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8−テトラヒドロキシアントラセン及び1−ヒドロキシピレン等の多価フェノ―ル;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2〜100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)並びに米国特許3265641号明細書に記載のポリフェノール等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、以下において同様である。
【0021】
アミノ基含有化合物(J3)としては、アミン及びアミノアルコール等が含まれる。具体的には、アンモニア;C1〜20のアルキルアミン(ブチルアミン等)及びアニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等の直鎖又は分岐脂肪族ポリアミン;ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等の芳香族ポリアミン;トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等)等が挙げられる。
【0022】
チオール基含有化合物(J4)としては、ポリチオール化合物が含まれる。ポリチオールとしては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエタンジチオール及び1、6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
【0023】
リン酸化合物(J5)としてはリン酸、亜リン酸及びホスホン酸等が挙げられる。
【0024】
2種以上の活性水素基を有する化合物(J6)としては、分子内に2種以上の活性水素基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基及びリン酸基等)を有する化合物であり、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等)、アミノ酸(アスパラギン酸等)及びヒドロキシカルボン酸(クエン酸等)等が挙げられる。
【0025】
活性水素基含有化合物(J)としては、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの物性の観点から、多価アルコール(J1)、アミノ基含有化合物(J3)及び2種以上の活性水素基を有する化合物(J6)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくは多価アルコール(J1)であり、特に好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン及びペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0026】
アルキレンオキサイド(K)としては、C2〜6のアルキレンオキサイド(以下において、AOと略記することがある)が好ましく、例えば、エチレンオキサイド(以下において、EOと略記することがある)、1,2−プロピレンオキサイド(以下において、POと略記することがある)、1,3−プロピレオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド(以下において、BOと略記することがある)及び1,4−ブチレンオキサイド(以下においてTHFと略記することがある)が挙げられる。
アルキレンオキサイド(K)としては、性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2−ブチレンオキサイドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0027】
ポリエーテルポリオール(A1)としては、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの物性の観点から、多価アルコール及び/又はアミノ基含有化合物のAO付加物が好ましく、さらに好ましくはプロピレングリコールのPO付加物、グリセリンのPO付加物、グリセリンのPOEO付加物及びペンタエリスリトールのPO付加物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
ポリエーテルポリオール(A1)の水酸基価(mgKOH/g)としては、ハンドリング性及び粘度の観点から、10〜150が好ましく、さらに好ましくは20〜70である。
【0028】
エチレン性不飽和化合物(B)としては、スチレン(以下において、Stと略記することがある)、アクリロニトリル(以下において、ACNと略記することがある)、その他のエチレン性不飽和化合物(b)等が使用できる。
エチレン性不飽和化合物(B)としては、ACN及び/又はStを必須成分とすることが好ましい。
【0029】
ACNの含有量(重量%)は、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの難燃性の観点から、(B)の合計重量を基準に49〜100が好ましく、さらに好ましくは51〜91、次にさらに好ましくは57〜82、最も好ましくは66〜78である。
【0030】
Stの含有量(重量%)は、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの物性の観点から、(B)の合計重量を基準に0〜51が好ましく、さらに好ましくは9〜49、次にさらに好ましくは18〜43、最も好ましくは22〜34である。
【0031】
ACNとStとの重量比(ACN:St)は、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの難燃性と物性の観点から、100:0〜49:51が好ましく、さらに好ましくは57:43〜82:18、最も好ましくは78:22〜66:34である。
【0032】
その他のエチレン性不飽和化合物(b)としては、C2以上かつ数平均分子量{以下においてMnと略記する。また、Mnの測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による。}1,000未満のもので、ACN及び/又はStと共重合可能なものであれば特に制限はなく、下記に示す1官能のもの{不飽和ニトリル(b1)、芳香環含有モノマー(b2)、(メタ)アクリル酸エステル(b3)、α−アルケニル基含有化合物のポリオキシアルキレンエーテル及び水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物(b4)並びにその他のエチレン性不飽和モノマー(b5)}及び多官能モノマー(b6)等が使用できる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
(b1)としてはメタクリロニトリル等が挙げられる。
(b2)としてはα−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン及びクロルスチレン等が挙げられる。
(b3)としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及びドコシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基がC1〜24);ヒドロキシポリオキシアルキレン(アルキレン基がC2〜8)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルを意味する。以下における(メタ)アクリル酸及び(メタ)アリル等についても同様の表記法を用いる。
【0034】
(b4)のα−アルケニル基含有化合物の(ポリ)オキシアルキレンエーテルとしては、C3〜24の不飽和アルコールのAO付加物が挙げられ、不飽和アルコールとしては、末端不飽和アルコールが好ましく用いられる。末端不飽和アルコールとしては、アリルアルコール、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブテン−1−オール及び1−ヘキセン−3−オール等が挙げられる。
水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物としては、C3〜24の水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物が挙げられ、水酸基を有する不飽和化合物エステルとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0035】
上記AOとしては、C2〜12のものが挙げられ、例えばEO、PO、BO及びTHF並びにこれらの2種以上の併用(ランダム付加及び/又はブロック付加)が挙げられる。AOとしては、分散安定性及び粘度の観点から、好ましくはPO及び/又はEOである。
AOの付加モル数は、分散安定性及び粘度の観点から、1〜9が好ましく、さらに好ましくは1〜6、次にさらに好ましくは1〜3である。
【0036】
その他のエチレン性不飽和モノマー(b5)としては、C2〜24のエチレン性不飽和モノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸等のビニル基含有カルボン酸;エチレン及びプロピレン等の脂肪族炭化水素モノマー;パーフルオロオクチルエチルメタクリレート及びパーフルオロオクチルエチルアクリレート等のフッ素含有ビニルモノマー;ジアミノエチルメタクリレート及びモルホリノエチルメタクリレート等の窒素含有ビニルモノマー;ビニル変性シリコーン;ノルボルネン、シクロペンタジエン及びノルボルナジエン等の環状オレフィン及び環状ジエン;等が挙げられる。
【0037】
多官能モノマー(b6)としては、C8〜40の多官能モノマーが好ましく、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
(b1)〜(b6)のうち、粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)の粘度並びに反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの物性の観点から、(b3)、(b4)及び(b6)が好ましく、さらに好ましくは(b4)及び(b6)、特に好ましくは末端不飽和アルコールのPO及び/又はEO付加物並びに2官能モノマー、最も好ましくはアリルアルコールのPO付加物及びジビニルベンゼンである。
【0039】
ラジカル重合開始剤(C)としては、アゾ化合物及び過酸化物等{特開2005−162791号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)に記載のもの等}が使用できる。
また、(C)の10時間半減期温度は、エチレン性不飽和化合物(B)の重合率及び重合時間とポリマーポリオール(I)の生産性の観点から、30〜150℃が好ましく、さらに好ましくは40〜140℃、特に好ましくは50〜130℃である。
【0040】
ラジカル重合開始剤(C)の使用量(重量%)は、エチレン性不飽和化合物(B)の重合度及び反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの機械物性の観点から(B)の合計重量に基づいて、0.05〜20が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5、特に好ましくは0.2〜2である。
【0041】
分散剤(D)としては、Mnが1,000以上(好ましくは1,000〜10,000)のもの、例えば一般的にポリマーポリオールの製造で使用されている公知の分散剤{特開2005−162791号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)に記載のもの}等を使用することができ、(D)には、St又はACNと共重合し得るエチレン性不飽和基を有する反応性分散剤及びSt又はACNとは共重合しない非反応性分散剤が挙げられる。
なお本発明において、エチレン性不飽和基を含有する反応性分散剤はMn1,000以上であり、Mnが1,000未満のエチレン性不飽和化合物(B)とは区別される。
【0042】
分散剤(D)の具体例としては以下のものが挙げられる。
〔1〕ポリオール(A)の水酸基の少なくとも一部をメチレンジハライド等のアルキレンジハライドと反応させて高分子量化した変性ポリオール(特開平07−196749号公報に記載のもの);
〔2〕〔1〕の変性ポリオールに、さらにエチレン性不飽和基含有化合物を反応させてなるエチレン性不飽和基含有変性ポリオール{特開平08−333508号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)に記載のもの};
〔3〕ポリオール(A)との溶解度パラメーターの差が1以下の(A)親和性セグメント2個以上を側鎖とし、エチレン性不飽和化合物の重合体との溶解度パラメーターの差が2以下の後述する重合体微粒子(JR)との親和性セグメントを主鎖とするグラフト型重合体(特開平05−059134号公報に記載のもの;
〔4〕その少なくとも一部がポリオール(A)に可溶性である重量平均分子量(以下Mwと略記)[測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による。]が1,000〜1,000,000のビニル系オリゴマー及びこのオリゴマーと〔1〕の変性ポリオールを反応させてなるエチレン性不飽和基含有変性ポリオールを併用する分散剤(特開平09−77968号公報に記載のもの);
〔5〕ポリオール(A)と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する単官能活性水素含有化合物がポリイソシアネートを介して結合されてなる含窒素結合含有不飽和ポリオールからなる分散剤(特開2002−308920号公報(対応米国特許第6756414号)に記載のもの);
分散剤(D)としては、後述する重合体微粒子(JR)の粒子径の観点から、〔2〕、〔4〕及び〔5〕が好ましく、特に好ましくは、〔5〕である。
【0043】
分散剤(D)の使用量(重量%)は、後述する重合体微粒子(JR)の粒子径並びに粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)の粘度の観点から、ポリオール(A)の重量に基づいて、2〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜15である。
【0044】
重合において、必要により希釈溶媒(c)を使用してもよい。(c)としては、C6〜10の芳香族炭化水素(トルエン及びキシレン等);C5〜15の飽和脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン及びノルマルデカン等);C5〜30の不飽和脂肪族炭化水素(オクテン、ノネン及びデセン等);及びその他公知の溶剤(例えば特開2005−162791号公報に記載のもの)が挙げられる。(c)のうち粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)の粘度の観点から、芳香族炭化水素が好ましい。
(c)の使用量(重量%)は、粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)の粘度並びに反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの機械物性の観点から、エチレン性不飽和化合物(B)の合計重量に基づいて、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜40である。
(c)は重合反応終了後に粗ポリマーポリオール組成物(G)中に残存してもよいが、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの機械物性の観点から重合反応後に減圧ストリッピング等により除去するのが望ましい。
【0045】
エチレン性不飽和化合物(B)の重合において、必要により連鎖移動剤(g)を使用してもよい。
(g)としてはC1〜20の脂肪族チオール(n−ドデカンチオール及びメルカプトエタノール等)等の連鎖移動剤{特開2005−162791号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)に記載のもの}が挙げられる。
(g)の使用量(重量%)は、粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)の粘度並びに反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの機械物性の観点から、エチレン性不飽和化合物(B)の合計重量に基づいて、好ましくは0.01〜2、さらに好ましくは0.1〜1である。
【0046】
重合温度は、ポリマーポリオール(I)の生産性及びポリオール(A)の分解防止の観点から、100〜200℃、さらに好ましくは110〜180℃、特に好ましくは120〜160℃である。
【0047】
本発明において、ポリオール(A)中で、エチレン性不飽和化合物(B)を、ラジカル重合開始剤(C)及び分散剤(D)の存在下で重合(ラジカル重合)させて得られるポリマーポリオール(E)を含有する粗ポリマーポリオール組成物(G)中には、エチレン性不飽和化合物(B)を構成単位とする重合体微粒子(JR)を含有する。
【0048】
重合体微粒子(JR)の体積平均粒子径(R)は、粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)の粘度並びに反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの物性の観点から、0.1〜1.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.25〜1.2μm、次にさらに好ましくは0.3〜1.1μm、特に好ましくは0.4〜0.9μmである。体積平均粒子径は下記方法により測定される。
【0049】
<体積平均粒子径>
50mlのガラス製ビーカーにメタノール30mlを入れ、ポリマーポリオールを約2mg投入し、長径2cm、短径0.5cmのスターラーピースを用いてマグネチックスターラーで400rpm×3分間撹拌、混合して均一液とする。混合後、5分間以内に測定セルに投入し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置[型番:LA−750、(株)堀場製作所製]を用いて体積基準による体積平均粒子径を測定する。
【0050】
重合体微粒子(JR)の形状は特に限定なく、球状、回転楕円体状及び平板状等いずれの形状でもよいが、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの機械物性の観点から、球状が好ましい。
【0051】
粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)中の重合体微粒子(JR)含有量(重量%)は、反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの機械物性並びに粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)中の(JR)の凝集防止の観点から、30〜75が好ましく、さらに好ましくは32〜60、特に好ましくは35〜57、最も好ましくは38〜55である。
(G)中の(JR)含有量は、下記の方法で測定される。
【0052】
<重合体微粒子(JR)の含有量>
SUS製遠心分離用50ml遠沈管に、ポリマーポリオール約5gを精秤し、ポリマーポリオール重量(W1)とする。メタノール15gを加えて希釈する。冷却遠心分離機[型番:GRX−220、トミー精工(株)製]を用いて、18,000rpm×60分間、20℃にて遠心分離する。上澄み液をガラス製ピペットを用いて除去する。残留沈降物にメタノール15gを加えて希釈し、上記と同様に遠心分離して上澄み液を除去する操作を、さらに3回繰り返す。遠沈管内の残留沈降物を、2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で60℃×60分間減圧乾燥し、乾燥した沈降物を重量測定し、該重量を(W2)とする。
次式で算出した値を、重合体微粒子含有量(重量%)とする。
重合体微粒子含有量(重量%)=(W2)×100/(W1)
【0053】
粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)中のポリオール(A)の含有量(重量%)は、重合体微粒子(JR)の凝集防止及び反応によって最終的に得られるポリウレタンフォームの機械物性の観点から、25〜70が好ましく、さらに好ましくは40〜68、特に好ましくは43〜65、最も好ましくは45〜62である。
【0054】
粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)の粘度(mPa・s)は、ポリウレタンフォームの製造における発泡時のハンドリング性の観点から、1,250〜12,000が好ましく、さらに好ましくは1,500〜10,000、最も好ましくは2,500〜8,000である。
なお、粗ポリマーポリオール組成物(G)及びポリマーポリオール(I)の粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いて、25℃でJIS K1557−5:2007記載の方法により測定される。
【0055】
本発明において、ポリオール(A)中で、エチレン性不飽和化合物(B)を、ラジカル重合開始剤(C)及び分散剤(D)の存在下で重合させて得られるポリマーポリオール(E)を含有する粗ポリマーポリオール組成物(G)を得る製造方法としては、ポリマーポリオールを製造する方法として一般的に知られている方法が使用でき、ポリマーポリオールの性能の観点から、バッチ式重合法及び連続式重合法が好ましく、さらに好ましくは下記に述べる多段連続式重合法である。
バッチ式重合法及び連続式重合法は、ポリマーポリオールを製造するための公知{特開2005−162791号公報、特開平8−333508号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)に記載のもの等}の方法が使用できる。
【0056】
多段連続式重合法とは、ポリオール(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)及び分散剤(D)を含むモノマー含有混合液(M1)を連続式重合方法にて重合させてポリマーポリオールを得る第1工程と、次いでポリオール(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、分散剤(D)及び第1工程で得られたポリマーポリオールを含むモノマー含有混合液(M2)を連続式重合方法にて重合させる第2工程を含んでなるポリマーポリオールを製造する方法である。
【0057】
多段連続式重合法において、連続式重合方法とは、連続的にモノマー含有混合液を反応槽へ供給し、連続的にポリマーポリオールを得る方法であり、重合は半回分式重合方法で行っても、連続流通式の配管中で行っても良い。
【0058】
上記方法により得られる粗ポリマーポリオール組成物(G)中には、ポリオール(A)及び重合体微粒子(JR)を含有するポリマーポリオール(E)を含んでもよい。
【0059】
アルデヒド(F)は、ポリマーポリオール(E)を製造する際に副生するものであり、ホルムアルデヒド(F1)、アセトアルデヒド(F2)及びプロピオンアルデヒド(F3)を意味する。
【0060】
ホルムアルデヒド(F1)、アセトアルデヒド(F2)及びプロピオンアルデヒド(F3)の含有量は、測定試料中のアルデヒドを2,4−ジニトロフェニルヒドラジンを用いて誘導体化して、後述する測定条件によりHPLCを測定することにより定量できる。
本測定方法では、ポリマーポリオール中に含まれるアルデヒド(F)、及び後に分解等でアルデヒド(F)に変化する可能性がある物質の合計含有量として測定される。
【0061】
アルデヒド(F)の沸点は、ホルムアルデヒド(沸点−19℃)、アセトアルデヒド(沸点20℃)、プロピオンアルデヒド(沸点48℃)と低いことから、後述する揮発分を除去する工程により除けるはずである。しかしながら、従来、該工程で除くことが困難であった。これは、後述する揮発分を除去する工程においては、アルデヒド(F)は除去できるものの、アルデヒド(F)に変化する可能性がある物質がポリマーポリオール中に残存し、この物質には揮発性がないため、該工程では除くことが困難であるためと推察される。さらに、後述するHPLCの測定条件では、残存したアルデヒド(F)に変化する可能性がある物質が、酸性(リン酸)条件下で処理することにより、アルデヒド(F)に分解され、アルデヒド(F)として検出される。
【0062】
一方、本発明においては、粗ポリマーポリオール組成物(G)と、後述するブレンステッド酸(H1)及び/又はルイス酸(H2)とを水の存在下で接触させることにより、揮発分を除去する工程において、アルデヒド(F)の含有量を極めて少なくすることができることを見いだしたものである。これは、アルデヒド(F)に変化する可能性がある物質が、ブレンステッド酸(H1)及び/又はルイス酸(H2)により分解されてアルデヒド(F)となり、揮発分を除去する工程で除去することが可能になるためであると推察される。
【0063】
酸触媒(H)としては、ブレンステッド酸(H1)及びルイス酸(H2)が含まれる。
ブレンステッド酸(H1)とはプロトンH
+を他の化学物質(水を含む)に供与することのできる化学物質と一般に定義される。
具体的には、塩酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、硫酸、亜硫酸、ホウ酸、フッ素化水素酸、フルオロスルホン酸等の無機酸;
カルボン酸{炭素数1〜18のモノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)、炭素数2〜18のジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等)、炭素数3〜18の3価以上のポリカルボン酸(アコニット酸等)等}、及び芳香族カルボン酸(安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)}、スルホン酸{炭素数1〜18のアルキルスルホン酸(メタンスルホン酸等)アルキル鎖の一部が置換されたスルホン酸(トリフルオロメタンスルホン酸、タウリン等)、芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等)}などの有機酸が挙げられる。
これらのうち、酸性度の観点から、無機酸が好ましく、さらに好ましくは塩酸、硫酸、リン酸である。
また、ルイス酸(H2)は電子対の受容体と定義され、具体例としては、ハロゲン化アルミニウム(塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、フッ化アルミニウム等)、ハロゲン化ホウ素(塩化ホウ素、臭化ホウ素、フッ化ホウ素等)、トリフェニルボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等が挙げられる。
これらの中で、立体的に嵩高く、かつ酸性部位を有し、その部位が触媒活性点として作用する観点から、トリフェニルボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが好ましく、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが特に好ましい。
【0064】
工程(1)において、粗ポリマーポリオール組成物(G)と接触させる酸触媒(H)の量としては、反応性の観点から、酸触媒(H)と接触する粗ポリマーポリオール組成物(G)の重量に基づいて0.003〜5重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.005〜2.5重量%である。
【0065】
工程(1)において、粗ポリマーポリオール組成物(G)と酸触媒(H)とを接触させる温度は、反応性及び工程時間の観点から、25〜150℃が好ましく、さらに好ましくは40〜90℃である。
【0066】
工程(1)において、粗ポリマーポリオール組成物(G)と酸触媒(H)とを水存在下で接触させる際の水分量としては、反応性及び脱揮工程時間への影響の観点から、粗ポリマーポリオール組成物(G)に対して0.5〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜2.5重量%である。
【0067】
酸触媒(H)がブレンステッド酸(H1)である場合は、工程(1)の後、工程(2)の前に塩基性化合物(Q)でブレンステッド酸(H1)を中和する工程(3)を行ってもよい。
塩基性化合物(Q)としては、無機塩基(Q1)及び有機塩基(Q2)が含まれる。
無機塩基(Q1)としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等)が挙げられる。
有機塩基(Q2)としては、アルキルアンモウムの水酸化物(水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等)、アルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン等)、芳香族アミン(アニリン等)、複素環式のアミン化合物(ピリジン、イミダゾール等)が挙げられる。
これらのうち、塩基性度の強さの観点から少量添加で中和が可能な無機塩基が好ましく、さらに好ましくは水酸化ナトリウムや水酸化カリウムである。
塩基性化合物(Q)の使用量は、使用した酸触媒(H)を中和して、ポリマーポリオール(I)のpHが5〜7となるように適宜選択する必要がある。そのため、ポリマーポリオール(I)のpHが5〜7の間であれば、塩基性化合物(Q)を使用する必要はなく、使用量は0である。一方、pHが5未満であれば、塩基性化合物(Q)を適当量使用し、ポリマーポリオール(I)のpHが5〜7の間となるように調整する。尚、調整の際にpHが7を超えることがないようにする必要がある。
pHが5未満、または7を超える場合は、ポリウレタンフォーム製造時に発泡不良を引き起こす原因となる。
【0068】
また、粗ポリマーポリオール組成物(G)と酸触媒(H)とを水の存在下で接触させた後、酸触媒(H)を酸吸着剤(S)で吸着してもよい。
酸吸着剤(S)としては、合成ハイドロタルサイト(粘土鉱物);酸化カルシウム、酸化亜鉛などのアルカリ金属酸化物;シリカ・アルミナ系吸着剤;ゼオライト;活性炭等が挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、表面被覆オルガノゾルの安定性や、表面被覆オルガノゾルの収率、後述するエポキシ樹脂硬化物の透明性等の観点より、該合成ハイドロタルサイトが好ましい。特に、酸化マグネシウムを10〜100重量%及び酸化アルミニウムを10〜60重量%含む、複合金属酸化物型の合成ハイドロタルサイトが好ましい。
複合金属酸化物型合成ハイドロタルサイトの市販品としては、例えば、協和化学工業(株)のキョーワードシリーズが挙げられる。具体的には、KW-100(酸化マグネシウム98.4%)、KW-200(酸化アルミニウム54.0%)、KW-300(酸化マグネシウム26.4%、酸化アルミニウム26.3%)、KW-400(酸化アルミニウム35.0%、酸化ナトリウム17.7%)、KW-500(酸化マグネシウム38.2%、酸化アルミニウム16.1%)、KW-600(酸化マグネシウム13.5%、二酸化ケイ素64.9%)、KW-1000(酸化マグネシウム35.2%、酸化アルミニウム19.1%)、KW-2000(酸化マグネシウム59.2%、酸化アルミニウム33.0%)等が挙げられる。その他、富田製薬(株)製のトミターシリーズ(AD−300等)が挙げられる。
【0069】
本発明のポリマーポリオール(I)の製造方法において、粗ポリマーポリオール組成物(G)及び酸触媒(H)を水の存在下で接触させた後、アルデヒドを含有する揮発分を除去(以下において、脱揮と記載することがある)する工程(2)を含む。
脱揮工程での(G)の温度は、工程時間の観点から、90℃〜130℃が好ましく、さらに好ましくは100℃〜110℃である。
【0070】
脱揮時間としては、ポリマーポリオール(I)中の水分量及びアルデヒド含有量の観点から、30分〜2時間が好ましく、さらに好ましくは1時間〜1時間30分である。
【0071】
脱揮工程に必要な設備については、酸素を混入させずに、水分及びアルデヒド(F)を脱揮可能な設備であれば、特に限定しない。
【0072】
本発明の製造方法により得られるポリマーポリオール(I)は、アルデヒド含有量が少ないので、各種用途に用いることができる。例えば、自動車用シートクッション、家具や寝具用枕、寝具用マットレス、衣料用等の用途に用いられるウレタンフォームの製造に使用されるポリマーポリオールとして好ましく用いることができる。
【0073】
本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、上記本発明のポリマーポリオール(I)を含有するポリオール成分(X)とポリイソシアネート成分(M)とを反応させるポリウレタンフォームの製造方法である。好ましくは、ポリオール成分(X)とポリイソシアネート成分(M)とを、発泡剤(N)、触媒(O)及び整泡剤(P)の存在下に反応させるポリウレタンフォームの製造方法である。
ポリマーポリオール(I)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法によれば、ポリマーポリオール(I)を用いることにより、ポリウレタンフォームから揮散するアルデヒドの含有量を低く抑えることが可能となる。
【0074】
本発明において、ポリオール成分(X)としては、ポリマーポリオール(I)を含んでいればよいが、さらにポリオール(L)を含有してもよい。
ポリオール(L)としては、上述のポリオール(A)を好ましく用いることができる。
ポリオール(L)として好ましいものは、ポリオール(A)と同様である。
なお、ポリオール(L)としては、ポリマーポリオール(I)中に含まれるポリオール(A)と同じものを用いてもよく、異なっていてもよい。
また、ポリオール(L)として、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
本発明において、ポリイソシアネート成分(M)としては、従来ポリウレタンフォームに使用されるものが使用できる。このようなポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート(M1)、直鎖又は分岐脂肪族ポリイソシアネート(M2)、脂環式ポリイソシアネート(M3)及び芳香脂肪族ポリイソシアネート(M4)並びにこれらの変性物(M5)が挙げられる。
ポリイソシアネート成分(M)としては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0076】
芳香族ポリイソシアネート(M1)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のポリイソシアネートも同様)が6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(以下においてTDIと略記する)、粗製TDI、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下においてMDIと略記する)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート並びにトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート等が挙げられる。
【0077】
直鎖又は分岐脂肪族ポリイソシアネート(M2)としては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0078】
脂環式ポリイソシアネート(M3)としては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0079】
芳香脂肪族ポリイソシアネート(M4)としては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0080】
変性物(M5)としては、上記(M1)〜(M4)の変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)等が含まれ、変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、ウレタン変性TDI、カルボジイミド変性MDI及びカルボジイミド変性TDI等が挙げられる。
【0081】
ポリイソシアネート成分(M)としては、反応性の観点から、芳香族ポリイソシアネート(M1)及び(M1)の変性物が好ましく、さらに好ましくはTDI、粗製TDI、MDI、粗製MDI及びこれらのイソシアネートの変性物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましくはTDI、MDI及び粗製MDIからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0082】
発泡剤(N)としては、水、液化炭酸ガス及び沸点が−5〜70℃の低沸点化合物が含まれる。
低沸点化合物には、水素原子含有ハロゲン化炭化水素及び低沸点炭化水素等が含まれる。 水素原子含有ハロゲン化炭化水素及び低沸点炭化水素の具体例としては、塩化メチレン、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)(HCFC−123、HCFC−141b及びHCFC−142b等);HFC(ハイドロフルオロカーボン)(HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa及びHFC−365mfc等)、ブタン、ペンタン及びシクロペンタン等が挙げられる。
【0083】
発泡剤(N)としては、成形性の観点から、水、液化炭酸ガス、塩化メチレン、シクロペンタン、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、HFC−365mfc及びこれらの2種以上の混合物が好ましい。
【0084】
発泡剤(N)として、水の使用量は、反発弾性の観点から、ポリオール成分(X)の重量に基づいて、1.0〜8.0重量%が好ましく、さらに好ましくは1.5〜4.0重量%である。
低沸点化合物の使用量は、成形不良の観点から、ポリオール成分(X)の重量に基づいて、30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5〜25重量%である。液化炭酸ガスは、30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1〜25重量%である。
【0085】
触媒(O)としては、ウレタン化反応を促進する触媒を使用でき、3級アミン{トリエチレンジアミン、N−エチルモルフォリン、ジエチルエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル及びN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等}、及び/又はカルボン酸金属塩(酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ及びオクチル酸鉛等)等が挙げられる。
触媒(O)の使用量は、反発弾性の観点から、ウレタンフォーム製造時に使用するポリオール成分(X)の重量に基づいて、0.01〜5.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2.0重量%である。
【0086】
整泡剤(P)としては、一般的にポリウレタンフォームの製造に用いられるものを使用でき、ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「SRX−253」、「PRX−607」等]及びポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「SZ−1142」、「SF−2904」、「SRX−294A」、「SH−193」、「SZ−1720」、「SZ−1675t」、「SF−2936F」、「SF−2904」、日本ユニカー(株)製の「L−540」、「L−3601」、及びEVONIK社製「B4900」、「B8742LF2」、「B8715LF2」等]等が挙げられる。
整泡剤(P)の使用量は、反発弾性の観点から、ポリオール成分(X)の重量に基づいて、0.3〜5.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.4〜3.0重量%である。
【0087】
本発明のポリウレタンフォームの製造方法においては、必要により、さらに以下に述べるその他の助剤を用い、その存在下で反応させてもよい。
その他の助剤としては、着色剤(染料及び顔料)、可塑剤(フタル酸エステル及びアジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性又は熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、難燃剤(リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)等の公知の補助成分が挙げられる。
【0088】
これら助剤の添加量としては、ポリオール成分(X)の重量に基づいて、着色剤は、1重量%以下が好ましい。可塑剤は、10重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5重量%以下である。有機充填剤は、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは30重量%以下である。難燃剤は、30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは2〜20重量%である。老化防止剤は、1重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。酸化防止剤は、1重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0089】
本発明の製造方法において、ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数(インデックス)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、反発弾性の観点から、70〜150が好ましく、さらに好ましくは75〜130、特に好ましくは80〜120である。
【0090】
本発明の方法によるポリウレタンフォームの製造方法の具体例の一例を示せば、下記の通りである。まず、ポリオール成分(X)、発泡剤(N)、触媒(O)、整泡剤(P)並びに必要によりその他の助剤を所定量混合する。次いでポリウレタンフォーム発泡機又は攪拌機を使用して、この混合物とポリイソシアネート成分(M)とを急速混合する。得られた混合液(発泡原液)を連続発泡してポリウレタンフォームを得ることができる。また、密閉型又は開放型のモールド(金属製又は樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してポリウレタンフォームを得ることもできる。
【0091】
本発明の製造方法により得られるポリウレタンフォームは、揮散するアルデヒド量が少ないので、自動車用シートクッション、家具や寝具用枕、寝具用マットレス及び衣料用等に使用される。
【実施例】
【0092】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において、%、部及び比は、特に断りのない限り、それぞれ、重量%、重量部及び重量比を示す。
【0093】
実施例1〜4及び比較例1〜3に使用した原料の組成、記号等は次のとおりである。
(1)ポリオール
ポリエーテルポリオール(A1−1):グリセリンにプロピレンオキサイド(PO)を付加した後、エチレンオキサイド(EO)を付加して得られた、水酸基価=34、末端EO含有量=14%のポリエーテルポリオール(下記アルデヒド含有量の測定方法により測定されるアルデヒド含有量:ホルムアルデヒド(F1)が0.4ppm、アセトアルデヒド(F2)が2.4ppm、プロピオンアルデヒド(F3)が950ppm)。
ポリエーテルポリオール(A1−2):ペンタエリスリトールにPOを付加した後、EOを付加して得られた、水酸基価=32、末端EO含有量=12%のポリエーテルポリオール。
(2)ラジカル重合開始剤
(C−1):1,1’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)〔商品名「V−59」、和光純薬工業(株)製〕
(3)分散剤
分散剤(D−1):ポリエーテルポリオール(A1−2)1モルと2−ヒドロキシメタクリレート0.2モルをTDI0.4モルでジョイントして得られた、水酸基価26の分散剤
分散剤(D−2):ACNとStとの重量比がACN:St=70:30であるMwが600,000のACN−St共重合オリゴマー型非反応性分散剤{このオリゴマー型分散剤を含有量が10%となるようにポリエーテルポリオール(A1−2)に混合して使用した。この混合物の水酸基価=29。
【0094】
ポリマーポリオール(I)の水酸基価、pH、アルデヒド含有量の測定は下記測定方法により行った。
<水酸基価>
JIS K1557−1(2007年)に準じて、重合体微粒子(JR)を含むポリマーポリオール全体の水酸基価を測定した。
<pH>
pHは混合溶媒(イソプロピルアルコール/イオン交換水=10/6 Vol/Vol)
60mlに試料10.0gをはかりとり、pH計の電極を浸してマグネチックスターラーで5分かき混ぜ、均一な溶液としてpH計の指示値を読み取った。
<アルデヒド含有量>
アルデヒド含有量(ppm)を下記条件で試料調整し、下記測定条件下、HPLCにより測定した。
(1)試料のポリマーポリオールをアセトニトリルで濃度2.5%になるよう希釈し、約3000Gで30分間遠心分離する。
(2)100mLメスフラスコに2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(50%水混合品)(以下、DNPH)50mgとリン酸3mLを入れ、アセトニトリルでメスアップして、DNPH誘導体化試薬を作成する。
(3)(1)で調製した液5mLと(2)のDNPH誘導体化試薬5mLを混合し、25℃で30分反応させ、30分後、アセトニトリル10mLで希釈する。
(4)(3)で調製した液をHPLCにより分析する。
(5)検量線は、6種アルデヒド化合物混合標準液(和光純薬工業(株)製)をアセトニトリルで希釈して作成する。
<測定条件>
HPLC:Waters社製、ACQUITY UPLC H−CLASS
カラム:ZORBAX Eclipse XDB−C8 4.6×250mm 5μm
展開液:アセトニトリル/水(体積比)=50/50
注入量:20μL
流速:0.8mL/min
【0095】
[ポリマーポリオール(I)の製造]
<実施例1>
温度調節器、バキューム攪拌翼、滴下ポンプ、減圧装置、ジムロート冷却管、窒素流入口及び流出口を備えた4口フラスコに、ポリエーテルポリオール(A1−1)300部、分散剤(D−1)30.0部及びキシレン60部を投入し、窒素を1L/分の速度で1時間通気後、気相酸素濃度を測定したところ、10体積ppmであった。さらに、窒素を0.1L/分の速度で通気しながら130℃に昇温した。ついで、ポリエーテルポリオール(A1−1)128部、アクリロニトリル(ACN)245部、スチレン(St)105部、分散剤(D−1)12.8部、キシレン10部及びラジカル重合開始剤(C−1)3.0部の混合液(Z−1)を滴下ポンプを用いて25部/分の速度で連続的に滴下し、滴下終了後さらに130℃で30分間重合させた。その後、窒素の通気を止め、未反応モノマーとキシレンを130℃減圧下で留去し、重合体微粒子(JR−1)を含有する粗ポリマーポリオール組成物(G−1)を得た。
粗ポリマーポリオール組成物(G−1)中の上記アルデヒド含有量の測定方法により測定されるアルデヒド含有量は、ホルムアルデヒド(F1)が1.6ppm、アセトアルデヒド(F2)が4.2ppm、プロピオンアルデヒド(F3)が510ppmであった。
続けて、上記で得られた粗ポリマーポリオール組成物(G−1)100部、酸触媒(H)として濃塩酸(35重量%)1部及び水2部をオートクレーブに投入し、130℃で1時間撹拌させた。攪拌終了後、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)を9部加え、pHが6.2となっているのを確認した。
オートクレーブで揮発分を除去する工程を130℃、圧力(負圧計の値が−0.1MPa以下)にて60分行い、低アルデヒド含有量のポリマーポリオール(I−1)を得た。
得られたポリマーポリオール(I−1)の水酸基価、重合体微粒子(JR)の体積平均粒子径、重合体微粒子(JR)の含有量、ホルムアルデヒド(F1)、アセトアルデヒド(F2)及びプロピオンアルデヒド(F3)の含有量を表1に示す。
【0096】
<実施例2>
酸触媒(H)として濃塩酸の代わりにリン酸(90重量%)を用い、実施例1と同様の方法で低アルデヒド含有量のポリマーポリオール(I−2)を得た。なお、中和に用いた水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)は14部であり、pHが6.6となっているのを確認した。
得られたポリマーポリオール(I−2)の水酸基価、重合体微粒子(JR)の体積平均粒子径、重合体微粒子(JR)の含有量、ホルムアルデヒド(F1)、アセトアルデヒド(F2)及びプロピオンアルデヒド(F3)の含有量を表1に示す。
【0097】
<実施例3>
酸触媒(H)として濃塩酸の代わりにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.05部を用い、実施例1と同様の方法で低アルデヒド含有量のポリマーポリオール(I−3)を得た。なお、分解後にpHを確認したところpHは5.4であったため、中和は行わなかった。
得られたポリマーポリオール(I−3)の水酸基価、重合体微粒子(JR)の体積平均粒子径、重合体微粒子(JR)の含有量、ホルムアルデヒド(F1)、アセトアルデヒド(F2)及びプロピオンアルデヒド(F3)の含有量を表1に示す。
【0098】
<実施例4>
〔第1工程〕
連続重合装置(送液ライン、オーバーフローラインを接続したSUS製耐圧反応容器)を2槽用意し、1槽目のオーバーフローラインを2槽目の重合槽の入口と接続し直列に配置する。1槽目及び2槽目の重合槽にそれぞれ、あらかじめポリエーテルポリオール(A1−1)2000部を充液し、130℃に昇温した。(A1−1)334部、分散剤(D−2)44.7部、ACN125.0部、St53.7部、ラジカル重合開始剤(C−1)1.79部を混合した原料混合液をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、107.8部/分の送液速度で1槽目の重合槽へ連続的に送液し、重合槽からオーバーフローさせ第1工程で得られたポリマーポリオールを得た。1槽目の重合槽からオーバーフローさせた第1工程で得られたポリマーポリオールは107.8部/分の送液速度で2槽目の重合槽へ連続的に送液した。
〔第2工程〕
1槽目から107.8部/分の送液速度の速度でオーバーフローさせた第1工程で得られたポリマーポリオールとポリエーテルポリオール(A1−1)192.0部、分散剤(D−2)67.1部、ACN188.0部、スチレン80.5部、ラジカル重合開始剤(C−1)2.68部を混合した原料混合液をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、210.0部/分の送液速度で2槽目の重合槽へ連続的に送液し、重合槽からオーバーフローさせた反応液をSUS製の受け槽にストックして、未反応モノマーを含むポリマーポリオールを得た。未反応モノマーを含むポリマーポリオールから過水蒸気(蒸気中に含まれる水分量として、ポリマーポリオールに対し4重量%となる量を2時間かけて投入)を別の口から添加しながら未反応モノマーを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、130〜140℃減圧下で留去して、重合体微粒子(JR−4)を含有する粗ポリマーポリオール組成物(G−2)を得た。
粗ポリマーポリオール組成物(G−2)中の上記アルデヒド含有量の測定方法により測定されるアルデヒド含有量は、ホルムアルデヒド(F1)が1.6ppm、アセトアルデヒド(F2)が3.8ppm、プロピオンアルデヒド(F3)が490ppmであった。
続けて、上記で得られた粗ポリマーポリオール組成物(G−2)100部、酸触媒(H)として濃塩酸1部、水2部をオートクレーブに投入し、130℃で1時間撹拌させた。攪拌終了後、水酸化ナトリウム水溶液を9部加え、pHが6.3となっているのを確認した。オートクレーブで揮発分を除去する工程を130℃、圧力(負圧計の値が−0.1MPa以下)にて60分行い、低アルデヒド含有量のポリマーポリオール(I−4)を得た。
得られたポリマーポリオール(I−4)の水酸基価、重合体微粒子(JR)の体積平均粒子径、重合体微粒子(JR)の含有量、ホルムアルデヒド(F1)、アセトアルデヒド(F2)及びプロピオンアルデヒド(F3)の含有量を表1に示す。
【0099】
<比較例1>
上記粗ポリマーポリオール組成物(G−1)100部について、オートクレーブで揮発分を除去する工程を130℃、圧力(負圧計の値が−0.1MPa以下)にて60分行い、ポリマーポリオール(I’−1)を得た。
得られたポリマーポリオール(I’−1)の水酸基価、重合体微粒子(JR)の体積平均粒子径、重合体微粒子(JR)の含有量、ホルムアルデヒド(F1)、アセトアルデヒド(F2)及びプロピオンアルデヒド(F3)の含有量を表1に示す。
【0100】
<比較例2>
上記粗ポリマーポリオール組成物(G−1)100部について、オートクレーブで揮発分を除去する工程を130℃、圧力(負圧計の値が−0.1MPa以下)にて180分行い、ポリマーポリオール(I’−2)を得た。
得られたポリマーポリオール(I’−2)の水酸基価、重合体微粒子(JR)の体積平均粒子径、重合体微粒子(JR)の含有量、ホルムアルデヒド(F1)、アセトアルデヒド(F2)及びプロピオンアルデヒド(F3)の含有量を表1に示す。
【0101】
<比較例3>
上記粗ポリマーポリオール組成物(G−2)100部を用いて、オートクレーブで揮発分を除去する工程を130℃、圧力(負圧計の値が−0.1MPa以下)にて60分行い、ポリマーポリオール(I’−3)を得た。
得られたポリマーポリオール(I’−3)の水酸基価、重合体微粒子(JR)の体積平均粒子径、重合体微粒子(JR)の含有量、ホルムアルデヒド(F1)、アセトアルデヒド(F2)及びプロピオンアルデヒド(F3)の含有量を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
表1の結果から、本発明の製造方法は、酸触媒(H)を用いることにより、揮発分を除去する工程における温度、時間が同じである比較例1及び3と比較して、得られるポリマーポリオール(I)中のアルデヒドの含有量が極めて低く、ポリマーポリオール(I)中のアルデヒド含有量を簡便な方法で効率よく低くすることができることがわかる。
特に、揮発分を除去する工程における時間を3倍にした比較例2において、ポリマーポリオール中のアルデヒド(F)の含有量のうち、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドがそれぞれ0.1ppmしか低下していないことから明らかである。
したがって、本発明の製造方法は、簡便な工程でアルデヒドの含有量が少ないポリマーポリオールを製造することができることがわかる。
【0104】
<製造例1 ポリエーテルポリオール(A1−3)の製造>
ポリオール(A1−1)100部、酸触媒として濃塩酸1部、水2部をオートクレーブに投入し、90℃で1時間撹拌させた。攪拌終了後、水酸化ナトリウム水溶液を9部加え、pHが6.5となっているのを確認した。オートクレーブで揮発分を除去する工程を110℃、圧計の値が−0.1MPa以下)にて60分行い、低アルデヒド含有量の低いポリエーテルポリオール(A1−3)を得た。
得られたポリオール(A1−3)の上記アルデヒド含有量の測定方法により測定されるアルデヒド含有量はそれぞれホルムアルデヒド(F1)が0.3ppm、アセトアルデヒド(F2)が0.2ppm、プロピオンアルデヒド(F3)が2.9ppmであった。
【0105】
[ポリウレタンフォームの製造]
<実施例5〜8及び比較例4〜6>
表2に示す部数のポリオールプレミックス(ポリイソシアネート成分(M−1)以外の成分の混合物)に、NCOインデックスが100となるよう所定量のポリイソシアネート成分(M−1)を加えて、ホモディスパー(プライミクス(株)製攪拌機)にて4000rpmで6秒撹拌後、65℃に温度調節した300mm(長さ)×300mm(幅)×100mm(高さ)のアルミ製モールドに注入し、キュアー時間(原料注入から脱型までの時間)5分にて成形し、ポリウレタンフォーム(P−1)〜(P−4)及び(P’−1)〜(P’−3)を得た。
【0106】
【表2】
【0107】
実施例5〜8及び比較例4〜6で用いたポリウレタンフォーム原料は次の通りである。
なお、ポリマーポリオール(I)の低アルデヒド化による効果を明確にするために、製造例1により得られるポリエーテルポリオール(A1−1)を低アルデヒド化処理したポリエーテルポリオールを使用した。
【0108】
ポリエーテルポリオール(L−1):ソルビトールのPOEO付加物。水酸基価1055、EO含量27.5%。
発泡剤(N−1):水
ウレタン化触媒(O−1):東ソー(株)製「RZETA」
ウレタン化触媒(O−2):エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO NE300」
整泡剤(P−1):EVONIK社製「TEGOSTAB B8742LF2」
整泡剤(P−2):EVONIK社製「TEGOSTAB B8715LF2」
イソシアネート成分(Y−1):TDI−80/粗製MDI=80/20(重量比)、NCO%=44.6
【0109】
<ポリウレタンフォームから揮散するアルデヒド(F)の量>
得られたポリウレタンフォーム(P−1)〜(P−4)及び(P’−1)〜(P’−3)から揮散するアルデヒド(F)は、JASO M 903(2015年)に記載の手順に従ってDNPHカートリッジに捕集した。
なお、測定に用いるポリウレタンフォームのサンプルとしては、長さ、幅及び高さ方向にそれぞれ3等分したもののうち、重心部分に位置する100mm(長さ)×100mm(幅)×33mm(高さ)のサンプルを1個用いた。
DNPHカートリッジに捕集したアルデヒド含量の分析は、5mlのアセトニトリルでカートリッジから抽出し、抽出物をHPLCで分析した。尚、HPLCの測定はポリマーポリオールのアルデヒド分析時と同様の条件で実施した。なお、表2中、ポリウレタンフォームから揮散するアルデヒド(F)の量は、サンプル1gあたりの値として表示した。
【0110】
表2の結果から、本発明の製造方法である実施例5〜8により得られたポリウレタンフォームは、揮散するアルデヒドの量、特にアセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒドの量が極めて少ないことがわかる。