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特開2019-143495脱硝装置及びこれを備えた排熱回収ボイラ、ガスタービン複合発電プラント並びに脱硝方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-143495(P2019-143495A)
(43)【公開日】2019年8月29日
(54)【発明の名称】脱硝装置及びこれを備えた排熱回収ボイラ、ガスタービン複合発電プラント並びに脱硝方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20190802BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   F01N3/08 BZAB
   F02C7/00 B
   B01D53/86 222
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-26146(P2018-26146)
(22)【出願日】2018年2月16日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】廣田 顕
(72)【発明者】
【氏名】石川 勘治
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AA06
3G091AB05
3G091BA13
3G091BA14
3G091CA07
3G091CA17
4D148AA07
4D148AB02
4D148AC04
4D148BA07Y
4D148BA23Y
4D148BA26Y
4D148BA27Y
4D148BB01
4D148CC54
4D148CD02
4D148DA10
(57)【要約】
【課題】アンモニア注入装置に希釈用空気を安定的に供給することができ、ガスタービンから排出される排気ガスがアンモニア注入装置内へ流入することを抑制して、アンモニア注入装置内における炭酸アンモニウムの発生、堆積によるアンモニア注入装置の閉塞を防止することを目的とする。
【解決手段】圧縮機52とタービン56とを有するガスタービン50のタービン52から排気ガスを導き流通させるダクト22と、アンモニアガスと希釈用空気との混合気体をダクト22内に散布するアンモニア注入装置24と、ダクト22内においてアンモニア注入装置24の排気ガス流れ下流に設置された脱硝触媒26と、を備え、ガスタービン50の圧縮機52の低圧縮部に接続され、圧縮機52から抽気した空気を希釈用空気としてアンモニア注入装置24に供給する抽気ライン76を備える脱硝装置20。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機とタービンとを有するガスタービンの前記タービンから排気ガスを導き流通させるダクトと、
アンモニアガスと希釈用空気とが混合されたアンモニア混合気体を前記ダクト内に散布するアンモニア注入装置と、
前記ダクト内において前記アンモニア注入装置の前記排気ガス流れの下流側に設置されて、前記排気ガスと前記アンモニア混合気体により脱硝反応を行う脱硝触媒と、
を備え、
前記圧縮機の低圧縮部に接続され、前記圧縮機から抽気した低圧縮空気を前記希釈用空気として前記アンモニア注入装置に供給する抽気ラインを備える脱硝装置。
【請求項2】
前記抽気ラインは、運転中において一定開度とされたダンパを備えている請求項1に記載の脱硝装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の脱硝装置と、
前記ダクト内に設けられた熱交換器と、
を備える排熱回収ボイラ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の脱硝装置と、
前記ガスタービンと、
前記ガスタービンと回転連結された発電機と、
を備えるガスタービン複合発電プラント。
【請求項5】
圧縮機とタービンとを有するガスタービンの前記タービンから排気ガスを導き流通させるダクトと、
アンモニアガスと希釈用空気とが混合されたアンモニア混合気体を前記ダクト内に散布するアンモニア注入装置と、
前記ダクト内において前記アンモニア注入装置の前記排気ガス流れの下流側に設置され、前記排気ガスと前記アンモニア混合気体により脱硝反応を行う脱硝触媒と、
を備えた脱硝装置の脱硝方法であって、
前記脱硝装置は、前記圧縮機の低圧縮部に接続された抽気ラインを備え、
前記抽気ラインを通じて、前記圧縮機から抽気した低圧縮空気を前記希釈用空気として前記アンモニア注入装置に供給する脱硝方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脱硝装置及びこれを備えた排熱回収ボイラ、ガスタービン複合発電プラント並びに脱硝方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン複合発電プラントにおいて、ガスタービンから排出され、排熱回収ボイラ(HRSG;Heat Recovery Steam Generator)に導かれた排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を除去するために、排気ガスが流通するダクトの途中には、ガス流れの流れ方向に、排気ガス中にアンモニア希釈ガスを散布するアンモニア注入装置(AIG;Ammonia Injection Grid)と脱硝触媒とを有する脱硝装置が設けられている。排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)は、脱硝触媒によりアンモニア希釈ガス中のアンモニアと脱硝反応を発生させて除去される。
【0003】
アンモニア注入装置には、アンモニア希釈ガスを散布するためにアンモニア注入装置内の圧力をダクト内の圧力より高い圧力に維持するとともに、散布するアンモニア希釈ガスを脱硝反応に適切な濃度に希釈するための空気を供給する必要がある。
【0004】
特許文献1には、圧縮機の高圧縮部から一部の空気を抽気し、アンモニア水を気化させるのに必要な条件を満たすように、圧力調整(減圧)及び温度調整をした後、アンモニア水と混合して排熱回収ボイラに供給する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4187894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、特許文献1に開示されている方法とは異なる方法の例として、専用のファンから送風される空気によってアンモニアガスを希釈するとともに、アンモニア注入装置内の圧力をダクト内の排気ガスより高い圧力に維持する方法がある。
【0007】
特許文献1に開示されている方法においては、アンモニア水を気化させるために、圧縮機の高圧縮部から高温の空気を抽気する必要がある。ところが、特許文献1によれば、アンモニア水を気化させるために、空気の圧力を0.2atmに調整する必要があり、圧縮機によって圧縮した空気を減圧する手間がかかるうえに、空気を必要以上に圧縮した場合、その圧縮に使用されたエネルギがそのまま損失となるおそれがある。
【0008】
また、ファンによって空気を送風する方法においては、何らかの理由でファンが使用できない状態になった場合、アンモニア注入装置内の圧力がダクト内の圧力より低くなり、ダクト内を流通している排気ガスがアンモニア注入装置内に流入するおそれがある。排気ガスのアンモニア注入装置内への流入が発生すると、排気ガス中の二酸化炭素とアンモニア注入装置内のアンモニアが反応して、炭酸アンモニウムが発生して、炭酸アンモニウムの堆積によってアンモニア注入装置(特に、アンモニアガスが噴射されるノズル内部)が閉塞するおそれがある。
【0009】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであって、アンモニア注入装置に希釈用空気を安定的に供給することができ、ダクト内を流通している排気ガスがアンモニア注入装置内へ流入することを抑制して、炭酸アンモニウムの発生によるアンモニア注入装置内の閉塞を防止できる脱硝装置及びこれを備えた排熱回収ボイラ、ガスタービン複合発電プラント並びに脱硝方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の脱硝装置及びこれを備えた排熱回収ボイラ、ガスタービン複合発電プラント並びに脱硝方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係る脱硝装置は、圧縮機とタービンとを有するガスタービンの前記タービンから排気ガスを導き流通させるダクトと、アンモニアガスと希釈用空気とが混合されたアンモニア混合気体を前記ダクト内に散布するアンモニア注入装置と、前記ダクト内において前記アンモニア注入装置の前記排気ガス流れの下流側に設置されて、前記排気ガスと前記アンモニア混合気体により脱硝反応を行う脱硝触媒とを備え、前記圧縮機の低圧縮部に接続され、前記圧縮機から抽気した低圧縮空気を前記希釈用空気として前記アンモニア注入装置に供給する抽気ラインを備える。
【0011】
本態様に係る脱硝装置は、ガスタービンの圧縮機の低圧縮部に接続され、圧縮機(低圧縮部)から抽気した低圧縮空気を希釈用空気としてアンモニア注入装置に供給する抽気ラインを備えることとした。これによれば、アンモニアガスと混合される希釈用空気(アンモニアガスを脱硝反応に適切な濃度に希釈して送気するための空気)を供給するためのファンを別途に設けずとも、圧縮機の低圧縮部(例えば、吸気側から1〜3段目)から抽気ラインを通じて、アンモニア注入装置にほぼ常温かつ低圧縮の希釈用空気を供給することができる。これにより、抽気ラインを通じてほぼ常温かつ低圧縮の希釈用空気をほぼ一定量で安定的に供給することができる。これによって、ガスタービンの稼働中は、常に、アンモニア注入装置内の圧力をダクト内の排気ガスの圧力よりも高く維持することで、ガスタービンから排出される排気ガスがアンモニア注入装置内へ流入することを抑制できる。流入が抑制されることで、アンモニア注入装置内における炭酸アンモニウムの発生、堆積によるアンモニア注入装置内、特にアンモニアガスが噴射されるノズル内部の閉塞を防止することができる。また、別途に希釈用空気を送気するファンを設けないので、ファンの駆動に必要な電源、動力線、制御機器などの周辺機器が不要となり、設備コストおよびランニングコストを削減できる。
また、希釈用空気は、アンモニアガスを希釈するためのものであり、圧縮機の低圧縮部からほぼ常温の低圧縮空気を抽気すればよく、圧縮機の高圧縮部から高温の希釈用空気を抽気する必要がない。つまり、圧縮機によって高圧に圧縮した空気を希釈用空気として使用するために減圧させる必要がなく、圧縮機で高圧空気となるように仕事をした高圧空気を抽気して用いないので、エネルギ損失を低減できる。
【0012】
また、本開示の一態様に係る脱硝装置は、前記抽気ラインは、運転中において一定開度とされたダンパを備えている。
【0013】
本態様に係る脱硝装置において、抽気ラインは、ガスタービンの運転中において一定開度とされたダンパを備えていることとした。希釈用空気の供給中は、ダンパの開度を一定開度(固定開度)とすることでダンパの開度制御が不要となり、排気ガスの流量に応じてダンパの開度を調整するといった制御を行う必要がなくなる。例えば、希釈用空気によってアンモニアガスが希釈されたアンモニア混合気体のアンモニア濃度が所定の範囲内となるような希釈用空気の流量が流通するようにダンパの開度を設定する。ガスタービンの運転負荷で排気ガスの流量とアンモニアガスの流量とが所定の比率の範囲で増減して、これに応じて脱硝反応に必要なアンモニアも増減して供給されるので、排気ガスの流量に依らず、同一のダンパの開度で運用ができる。つまり、ガスタービンの運転中においてダンパの開度の制御を行うことなく適量の希釈用空気を常に供給できる。即ち、ダンパの開度の制御を行わずに、アンモニアガスと希釈用空気とのアンモニア混合気体を適切にダクト内に散布できる。
【0014】
また、本開示の一態様に係る排熱回収ボイラは、前述の脱硝装置と、前記ダクト内に設けられた熱交換器とを備える。
【0015】
本態様に係る排熱回収ボイラによれば、希釈用空気を供給するためのファンを別途に設けずとも、アンモニア注入装置に希釈用空気を安定的に供給することができる。これによって、ダクト内に熱交換器と脱硝装置を備えた排熱回収ボイラは、ガスタービンのタービンから導かれ排熱回収ボイラを流通する脱硝装置内の排気ガスの圧力よりも、アンモニア注入装置内の圧力を高く維持することで、排気ガスがアンモニア注入装置内へ流入することを抑制でき、アンモニア注入装置内における炭酸アンモニウムの発生、堆積によるアンモニア注入装置の閉塞を防止できる。
【0016】
また、本開示の一態様に係るガスタービン複合発電プラントは、前述の脱硝装置と、前記ガスタービンと、前記ガスタービンと回転連結された発電機とを備える。
【0017】
本態様に係るガスタービン複合発電プラントによれば、圧縮機はガスタービンによって回転駆動されるので、ガスタービンが停止して排気ガスが排出されない時は、圧縮機も連動して停止して、アンモニア混合気体を供給しないため、アンモニア注入装置の制御を簡便化できる。例えば、ファンによって希釈用空気を供給する場合は、ガスタービンの停止に対応してファンを停止させる制御を行う必要がある。
また、発電時においては、ガスタービンの運転負荷に依らず圧縮機の回転数は一定とされるため、圧縮機の低圧縮部からアンモニア注入装置へ、抽気ラインを通じてほぼ常温かつ低圧縮の希釈用空気をほぼ一定量で安定的に供給することができる。これによって、アンモニア注入装置内の圧力はダクト内の排気ガスの圧力よりも高く維持される。したがって、ガスタービンから排出される排気ガスがアンモニア注入装置内へ流入することを抑制でき、アンモニア注入装置内における炭酸アンモニウムの発生、堆積によるアンモニア注入装置の閉塞を防止できる。
【0018】
また、本開示の一態様に係る脱硝方法は、圧縮機とタービンとを有するガスタービンの前記タービンから排気ガスを導き流通させるダクトと、アンモニアガスと希釈用空気とが混合されたアンモニア混合気体を前記ダクト内に散布するアンモニア注入装置と、前記ダクト内において前記アンモニア注入装置の排気ガス流れの下流側に設置され、前記排気ガスと前記アンモニア混合気体により脱硝反応を行う脱硝触媒とを備えた脱硝装置の脱硝方法であって、前記脱硝装置は、前記圧縮機の低圧縮部に接続された抽気ラインを備え、前記抽気ラインを通じて、前記圧縮機から抽気した低圧縮空気を前記希釈用空気として前記アンモニア注入装置に供給する。
【0019】
希釈用空気を供給するためのファンを別途に設けずとも、アンモニア注入装置に希釈用空気を安定的に供給することができ、排気ガスがアンモニア注入装置内へ流入することを抑制して、アンモニア注入装置内における炭酸アンモニウムの発生、堆積によるアンモニア注入装置の閉塞を防止できる脱硝方法を提供できる。また、既存設備に対しても簡便な施工で本態様の脱硝方法を採用できる。
【発明の効果】
【0020】
本開示に係る脱硝装置及びこれを備えた排熱回収ボイラ、ガスタービン複合発電プラント並びに脱硝方法によれば、アンモニア注入装置に希釈用空気を安定的に供給することができ、ダクト内を流通している排気ガスがアンモニア注入装置内へ流入することを抑制して、炭酸アンモニウムの発生によるアンモニア注入装置内の閉塞を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の幾つかの実施形態に係る一実施例の脱硝装置を備えるガスタービン複合発電プラントの主要部を示した概略図である。
図2図1におけるX部の拡大図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態に係るその他の実施例の脱硝装置を備えるガスタービン複合発電プラントの主要部を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本開示の一実施形態について図1乃至3を用いて説明する。
【0023】
まず、本開示の幾つかの実施形態に係る一実施例の脱硝装置が採用されて好適なガスタービン複合発電プラントについて説明する。
図1には、本実施形態に係る脱硝装置20を備えるガスタービン複合発電プラントの主要部が示されている。
【0024】
図1のガスタービン複合発電プラントは、主要部としてガスタービン50、発電機90、排熱回収ボイラ10を備えている。
【0025】
ガスタービン50は、圧縮機52、燃焼器54、タービン56を備えており、圧縮機52とタービン56と発電機90とは、回転軸58により連結されている。
【0026】
燃焼器54には、圧縮機52出口から圧縮空気を供給する圧縮空気供給ライン70が接続されると共に、燃焼器54へ燃焼用の燃料を供給する燃料供給ライン71が接続され、また、タービン56へ燃焼器54出口から燃焼ガスを供給する燃焼ガス供給ライン72が接続されている。
【0027】
燃焼器54では、圧縮機52から供給された圧縮空気と燃料供給ライン71から供給された燃料とを混合して燃焼させることで高圧高温の燃焼ガスを発生させ、発生させた燃焼ガスをタービン56へ向けて供給する。そして、タービン56は、供給された燃焼ガスを膨張させることにより回転軸58を回転駆動させて、圧縮機52および発電機90を回転駆動させる。
【0028】
排熱回収ボイラ10は、ダクト22を備えている。そして、ダクト22には、ガスタービン50(タービン56)から排出された燃焼ガス(排気ガス)が導かれる排気ガス排出ライン74が接続されている。更に、ダクト22には、排気ガス流れの上流側(図1で示す左側)から順に熱交換器12、脱硝装置20が備えられ、さらに排気ガス流れの下流側で別の熱交換器を設けてもよい。
【0029】
排熱回収ボイラ10は、熱交換器12に供給された給水とガスタービン50(タービン56)の排気ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。また、ダクト22内を流通した排気ガスは熱交換器12にて熱交換された後、脱硝装置20で排気ガスに含まれる有害物質(窒素酸化物)が除去され、浄化されるとともに熱回収されて温度が低下した排気ガスが排熱回収ボイラ10の排気ガス流れの下流側に接続された煙突(図示せず)から大気へ放出される。
【0030】
次に、本実施形態に係る脱硝装置について説明する。
図1に示す脱硝装置20は、排熱回収ボイラ10内部に設置され、排気ガスが脱硝触媒26を通過する構造とされており、排気ガス流れの上流側から順にアンモニア注入装置24、脱硝触媒26を備えている。
【0031】
アンモニア注入装置24には、アンモニアガスを供給するアンモニアガスライン40と、アンモニアガスを脱硝反応に適切な濃度に希釈するための空気(希釈用空気)を供給する希釈用空気ライン76が接続されている。アンモニアガスライン40にはバルブ42が設置されており、アンモニアガスの流量を調節できる。
【0032】
希釈用空気ライン76とアンモニアガスライン40とは合流部Xで合流しており、希釈用空気ライン76によって供給された希釈用空気と、アンモニアガスライン40によって供給されたアンモニアガスとは、合流部Xで混合されることでアンモニア混合気体となり(図2参照)、アンモニア注入装置24に供給される。
【0033】
アンモニア混合気体は、アンモニア注入装置24からアンモニアガスが噴射されるノズル(図示省略)により、ダクト22内に散布される。散布されたアンモニア混合気体は、ダクト内を流通する排気ガスと混合され、アンモニア注入装置24の下流側に設置される脱硝触媒26を通過する。
【0034】
脱硝触媒26は、選択接触還元法(SCR;Selective Catalytic Reduction)が用いられ、例えば酸化チタン(TiO)などで形成された担体にタングステン、モリブデン、バナジウムなどの活性金属を担持したものとされている。アンモニア混合気体と混合された排気ガスが脱硝触媒26を通過することで、化学反応によって、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を環境負荷がない窒素や水蒸気へと分解する。
【0035】
本実施形態において希釈用空気を供給する希釈用空気ライン76は、ガスタービン50の圧縮機52の低圧縮部に接続された抽気ライン76とされている。即ち、抽気ライン76を介してアンモニア注入装置24に供給される希釈用空気は、圧縮機52の低圧縮部(例えば、吸気側から1〜3段目)から抽気された圧縮空気とされる。圧縮機52の運転中(例えば、3600rpm程度の一定回転)において、抽気された圧縮空気は、例えば、ゲージ圧で9kPa〜15kPa、50℃以下の低圧縮空気とされる。
【0036】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
ダクト22に排気ガスが流通しているガスタービン50の運転中において、圧縮機52の低圧縮部から抽気ライン76を通じて合流部Xへほぼ常温かつ低圧縮の希釈用空気をほぼ一定量で安定的に供給することができる。これによって、アンモニア注入装置24内の圧力をダクト22内の圧力よりも高く維持され、ガスタービン50(タービン56)から排出される排気ガスがアンモニア注入装置24内へ流入することを抑制でき、アンモニア注入装置24内における炭酸アンモニウムの発生、堆積によるアンモニア注入装置24(特に、アンモニアガスが噴射されるノズル内部)の閉塞を防止できる。また、希釈用空気を供給するための専用のファンを別途に設けないので、ファンの駆動に必要な電源、動力線、制御機器などの周辺機器が不要となり、設備コストやランニングコストを削減できる。
また、希釈用空気はアンモニアガスを希釈するためだけのものであり、圧縮機52の低圧縮部からほぼ常温の空気を抽気すればよく、圧縮機52の高圧縮部から高温の空気を抽気する必要がない。つまり、圧縮機52によって高圧に圧縮した空気を希釈用空気として使用するために減圧させる必要がなく、圧縮機52で空気の圧縮に使用されるエネルギの損失を低減できる。
また、簡便な構造であるので、既存設備に対して本実施形態の脱硝装置20を容易に施工できるので、改造工事が容易にできる。
【0037】
次に、本開示の幾つかの実施形態に係る他の実施形態の脱硝装置について説明する。
本実施形態の脱硝装置20は、前述の実施形態と比べてダンパ78を備えている点が異なり、その他の点については同様である。したがって、前述の実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0038】
図3に示す脱硝装置20が備えるアンモニア注入装置24に接続される抽気ライン76には、ダンパ78と、ダンパ78の希釈用空気流れの下流側に流量監視用の流量計80とが設けられている。
【0039】
ダンパ78は、ガスタービン50の運転中においてガスタービン50の運転負荷に依らずその開度が一定に設定される。例えば、ダンパ78の開度は、ガスタービン50の運転中におけるアンモニア混合気体のアンモニア濃度が所定の範囲内となる希釈用空気の流量が流通するように設定される。ダンパ78の開度を一定にするので、ガスタービン50の運転負荷の変化時で圧縮機52の回転数が一定であれば、希釈用空気の流量は、ほぼ一定となる。これに対応して、ガスタービン50の運転負荷が変化したときは、運転負荷に応じてバルブ42にてアンモニアガスの流量を調節することで、排気ガスとアンモニアガスとの流量の比を一定もしくは所定範囲内に保つ。
【0040】
なお、アンモニア混合気体のアンモニア濃度の所定の範囲は、アンモニアガスの流量設定の範囲から選定してもよい。すなわち、所定の範囲の上限値は、例えばガスタービン50の最高負荷運転時において排気ガス流量とアンモニア供給量が最大となることから、この時のアンモニア濃度がアンモニアの爆発範囲の下限値より小さい値に設定して、安全に管理できるようにしてもよい。所定の範囲の下限値は、例えばガスタービン50の最低負荷運転時において排気ガス流量とアンモニア供給量が最小となることから、この時のアンモニア濃度が、脱硝反応が適切に行われる下限値以上の値に設定してもよい。これにより、ガスタービン50の運転負荷の変化に対してアンモニア混合気体のアンモニア濃度の下限値と上限値を設定して、その間をガスタービン50の運転負荷に応じて、バルブ42にてアンモニアガスの流量を補完するように調節することで、アンモニア混合気体のアンモニア濃度を適正な範囲に保つようにしてもよい。ガスタービン50の運転中においては、ガスタービン50のある運転負荷で希釈用空気流量はほぼ一定となる。このため、アンモニア混合気体のアンモニア濃度が所定の範囲内となる希釈用空気の流量が流通するようにダンパ78を一定開度(固定開度)に設定しておくことで、脱硝反応に必要なアンモニア量が安全に管理できる濃度でアンモニア混合気体が供給されるので、ガスタービン50の運転中に希釈用空気の流量をダンパ78で調整する必要がなくなる。
【0041】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
ダンパ78の開度を一定開度(固定開度)とすることでガスタービン50の運転中におけるダンパ78の開度制御が不要となり、排気ガスの流量に応じてダンパ78の開度を調整して希釈用空気の流量を調整するといった制御を行う必要がなくなる。つまり、ダンパ78の開度を一定開度に設定することで、ガスタービン50の運転中はダンパ78の開度の制御を行うことなく適量の希釈用空気を常に供給できる。即ち、ダンパ78の開度の制御を行わずに、アンモニアガスと希釈用空気との混合したアンモニア混合気体を適切にダクト22内に散布できる。
【符号の説明】
【0042】
10 排熱回収ボイラ
12 熱交換器
20 脱硝装置
22 ダクト
24 アンモニア注入装置
26 脱硝触媒
40 アンモニアガスライン
42 バルブ
50 ガスタービン
52 圧縮機
54 燃焼器
56 タービン
58 回転軸
70 圧縮空気供給ライン
71 燃料供給ライン
72 燃焼ガス供給ライン
74 排気ガス排出ライン
76 抽気ライン(希釈用空気ライン)
78 ダンパ
80 流量計
90 発電機
図1
図2
図3