【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の角度調整具は、
互いに枢結して一軸心周りに揺動する第一部材(121)と第二部材(122)とを所望の揺動角度にロック及びロック解除する角度調整具(120)であって、
前記第一部材と前記第二部材とは互いの枢結位置で一軸心(L0)方向に重ねられ、それぞれ枢結位置に互いに覗く一軸心方向の貫通孔(121a、129a)を有し、
さらに、一軸心方向に沿って前記第一部材の貫通孔に嵌め込まれて該第一部材と回転方向に固定される第一環状部材(169)と
一軸心方向に沿って前記第二部材の貫通孔に嵌め込まれて該第二部材と回転方向に固定される第二環状部材(128)と、
前記第一環状部材と前記第二環状部材との内部を一軸心方向に沿って往復移動し、前記第一環状部材から前記第二環状部材に向かって順に同径の筒状部(182)と該筒状部から縮径する円錐台形部(181)とで構成される係止体(175)と、を備えており、
該筒状部分及び円錐台形部分の外周にはアキシャル方向に沿った凹凸条(171,172)が設けられ、前記第一環状部材の内周には前記係止体の筒状部の凹凸条(172)と噛み合うアキシャル方向に沿った第一凸凹溝(191)が設けられ、前記第二環状部材の内周には前記係止体の円錐台形部の凹凸条(172)と噛み合うアキシャル方向に沿って縮径する第二凸凹溝(128b)が設けられ、
前記係止体の筒状部の凹凸条は前記係止体の往復動の間、前記第一環状部材の第一凸凹溝に噛み合っており、
前記係止体の円錐台形部は、前記第二環状部分に向かって往移動させるにつれて前記第二環状部材の第二凸凹溝に噛み合うことで前記第一部材と第二部材とをロックし、前記第一環状部分に向かって復移動させるにつれて前記第二環状部材の第二凸凹溝から離間することで前記第一部材と第二部材とのロックを解除して互いに揺動する。
【0009】
本発明によれば、係止体、第一環状部材、第一部材、第二部材、第二環状部材という少ない部品を重ね合わせるという簡単な組立工程により係止体を用いて第一部材と第二部材とを任意角度に揺動及びロックすることができる。特に本角度調整具では、係止体の筒状部及び円錐台形部それぞれの凹凸条を噛合わせる凸凹溝をそれぞれの第一環状部材と第二環状部材とに別けて設け、第一環状部材と第二環状部材とを別部材の第一部材と第二部材とに固定しているために、係止体の噛み合い・離間時に作用する外力を第一部材と第二部材とにバランスよく分散し得るため耐久性を強くすることができる。
【0010】
また、本角度調整具は、それぞれ一軸心方向に貫通する開口を有し、前記係止体と前記第一環状部材と前記第二環状部材とを一軸心方向両側から挟み込んで収容する前記第一環状部材側の第一ケース部材(133)及び前記第二環状部材側の第二ケース部材(134)と、
軸部(153)が順に前記第二ケース部材の開口(134a)、前記第二環状部材、前記係止体及び前記第一ケース部材の開口(133a)の内部に通してツバ部(152)を第二ケース部材側に設け、一軸心方向に往復動する鋲部材(151)と、
軸部を引張り及び押し込むことで鋲部材を一軸心方向に往復動させる操作手段(192)をと、
前記第二環状部材と前記ツバ部との間に介挿してツバ部に往移動方向の力を付与する弾性部材(117)と、を備え、
前記係止体の貫通孔は、復移動側に内径の小さい小径部(176a)と内径の大きい大径部(176b)とで形成され、
前記鋲部材の軸部は、先端部(153a)と前記係止体の小径部より大径の根元部(153b)とで形成され、該先端部は、ラジアル方向の力により径が拡縮し、前記係止体の小径部(176a)を通って大径部(176b)に突出すると拡大して小径部より径が大きくなり、先端部が突出した状態で前記操作手段により鋲部材を往移動させると拡大した先端部が係止体に当接して係止体を往移動させ、前記操作手段により鋲部材を復移動させると大径の根元部が係止体に当接して係止体を復移動させる、ことが好ましい。
【0011】
本角度調整具の構成によれば、一部材の鋲部材を係止体の貫通孔に挿入した状態で一軸心方向に復往動させることでこれに追従させて係止体を往復動させることができる。したがって、ロック及びロック解除をすべて一軸心方向の力を作用させるだけで達成でき、組立工程が簡単で係止体を操作する作用力を小さくすることができる。したがって、作用部材となる鋲部材に強度の弱い樹脂等の素材を採用することもでき、その軸部を径方向に拡大・縮減し得る柔らかい材質を採用しても良い。その結果、先端を拡縮可能にし、根元を大径とすると一部材だけで係止体の往復動を操作することができ、本角度調整具の部品点数を少なくすることができる。
【0012】
また、本角度調整具は、前記鋲部材に固定されて先端が前記第一ケース部材より外部に突出する棒状部材(118)を備え、
前記操作手段は、前記棒状部材の先端との枢結点(192b)を有し一軸心に対して垂直方向両側に延び、前記第一ケース部材に並列して前記枢結点に対して両端が揺動する一部材であって、該揺動すると枢結点よりオフセットされ枢結点に対して両側に第一ケース部材と接触する2つの接触点(192c、192d)を有し、
前記操作手段の一端は、前記接触点のうち一方よりも前記垂直方向外側に延びる自由端のレバー部材(192a)を形成し、該レバー部材を前記第一ケース部材側に揺動させると前記接触点のうち一方(192c)を支点として枢結点を前記第一ケース部材から離間させ、前記レバー部材を前記第一ケース部材から離間するように揺動させると前記接触点のうち他方(192d)を支点として枢軸点を前記第一ケース部材から離間させ、所定の限界揺動角度で固定される、ことが好ましい。
【0013】
本角度調整具の操作手段によれば、一つの部材を揺動させるだけで二種類操作のロック及びロックの解除を行うことができ、ユーザの使用性が大幅に向上する。まず第一の操作では、ユーザが操作部材のレバー部材を第一ケース部材側に倒しながら(押し込みながら)ロック状態を解除し角度調整しながら所望の角度になるとレバー部材を離すだけでロックをすることができる。この操作の場合、第二部材(又は第一部材)を把持したままでその親指等を使ってレバー部材を押し込み・親指等を解放するだけで親指等の位置が力点、一方の接触点が支点、枢結点が作用点の順番の「てこ」となり、枢結点が持ち上げ及び押し込まれて係止体を復往移動してロック解除及びロックを行うことができる。従って、従来品に比べて操作性が向上している。
【0014】
さらに、第二の操作では、レバー部材を第一ケース部材から持ち上げるとロックを解除し、レバー部材を持ち上げる限界点でレバー部材が固定され手を離してもロック解除状態を保持することができる。詳細には、レバー部材を持ち上げるときには手の位置が力点、他方の枢結点が作用点、他方の接触点が力点の順番の「てこ」となり、枢結点及び係止体を復往移動させロック解除状態の保持及びロックすることができる。この操作では、レバー部材から手を離した後もレバー部材を持ちあげた状態を維持できるためロック解除の自己保持を行うことができ、角度調整時に両手ともに第一部材及び第二部材を把持することができ、操作性が大幅に向上する。
【0015】
なお、レバー部材を持ち上げる限界点での固定はレバー部材の端部を第一ケース部材面に当接させレバー部材を起立させることでなされる場合も考えられる。