【解決手段】流量制御弁1は、薄板により形成され、流体の流入口または流出口となる第1および第2開口(91,92)が設けられたハウジング90と、ハウジングの内部に設けられ、弁座20との間の開口面積を調節する弁体10と、第1開口91に設けられ、弁座に連通する第1管継手と、第2開口92に設けられ、ハウジングの内部と接続する第2管継手と、第2開口の近傍に設けられ、第2管継手を流れる流体を整流する整流部と、整流部を第2管継手の内部の第2開口の近傍で保持する保持部と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0008】
−第1の実施の形態−
本発明の第1の実施の形態について
図1〜
図3を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態による流量制御弁1の構成の概略を示す図である。なお、説明の都合上、X軸、Y軸、Z軸からなる座標系を図示の通りに、それぞれ
図1の上下方向、表裏方向、左右方向に設定する。流量制御弁1は、弁座20を有し弁部材55と弁体10とを収容する弁本体90と、弁体10を軸方向に駆動する弁軸30と、弁軸30の傾きを抑制する弁軸ホルダ40と、弁軸30を弁軸30の延在方向(X軸方向、
図1の上下方向)に移動させるロータ70とを有する。
【0009】
弁部材55は、弁バネ50と、バネ受け51と、端部に弁体10が溶接された弁ガイド60とを有する。弁軸30の両端部の中間に位置する周面の少なくとも一部の領域には、オネジ31が形成されている。弁軸ホルダ40の、弁軸30の周面と対向する表面の少なくとも一方の領域にはメネジ41が形成されている。弁軸ホルダ40の内部には、弁ガイド60を収容する弁ガイド収容室45が形成されている。弁軸30のオネジ31と弁軸ホルダ40のメネジ41によりネジ送り機構35が形成されている。
【0010】
弁部材55、弁体10、弁軸30、弁軸ホルダ40、およびロータ70は、ケース80および弁本体90に収容されている。本実施の形態においては、弁本体90は、弁体10を収容するための弁室901が内部に形成された、たとえば一様な厚さを有するステンレス鋼等の薄板により形成されるハウジングである。弁本体90は、たとえば上記の板状の部材をプレス加工することにより製造される。その結果、弁本体90は、一様な厚さを有し角部に丸みが形成される。弁本体90には、後述する下継手3と接続し、流体の流入口または流出口となる第1開口91と、後述する横継手2と接続し、流体の流入口または流出口となる第2開口92とが形成される。弁ガイド60は、弁バネ50を介して弁軸30とともに弁軸ホルダ40の弁ガイド収容室45に案内される。弁ガイド収容室45は、弁体10が前述した弁軸30の延在方向に移動する際のガイドとして機能する。
【0011】
図1の流量制御弁1では、ロータ70と、ケース80の外側に設けられたステータ71とによって、ステッピングモータが構成されている。このステッピングモータが駆動されると、ロータ70の回転とともに弁軸30がその延在方向に移動し、この移動によって弁ガイド60とともに弁体10が弁軸30の延在方向に移動する。その弁体10の移動方向には、弁体10と弁座20との離間距離が増加する第1の移動方向(X軸+方向、
図1の上方向)と、弁体10と弁座20との離間距離が減少する第2の移動方向(X軸−方向、
図1の下方向)とが含まれる。
なお、本実施の形態は、ステッピングモータの駆動によって弁体10を移動させる電動弁に限定されず、ソレノイドの駆動によって弁体10を移動させる電磁弁でもよいし、圧力に応じて弁体10と弁座20との離間距離が変化する圧力式の駆動で弁体10を移動させてもよいし、手動で弁体10を移動させてもよい。
【0012】
弁体10が弁座20に対して当接した状態を弁閉状態という。弁閉状態においては、流路が閉塞され、弁本体90からは流体が流出しない。このとき、弁体10と弁座20との離間距離はゼロまたは略ゼロである。弁閉状態における弁体10が前述した第1の移動方向に移動することにより、弁体10が弁座20に対して離間した状態となる。この状態を弁開状態と呼び、第1の移動方向のことを弁開方向と呼ぶ。弁開状態になると、弁体10と弁座20との間に間隙が生じて流路が形成される。流路が形成されると、弁本体90から流体が流出する。すなわち、弁体10は弁座20との間の開口面積を調節する。弁本体90には、第1整流部材21を有する横継手2と第2整流部材37を有する下継手3とが接続される。弁開状態において、流体は、横継手2および下継手3のうちの一方の継手から流入して他方の継手へ流出する。なお、横継手2、下継手3、第1整流部材21および第2整流部材37については詳細を後述する。
【0013】
弁開状態における弁体10が前述した第2の移動方向に移動することにより、弁体10と弁座20との離間距離が減少すると、流路が狭まる。やがて弁体10が弁座20に対して当接して弁閉状態になると、流路は閉塞され、弁本体90から流体が流出しなくなる。そこで、第2の移動方向のことを弁閉方向と呼ぶ。
【0014】
以下、本実施の形態における横継手2、下継手3、第1整流部材21および第2整流部材37について説明する。まず、横継手2および第1整流部材21の説明を行う。
横継手2は、第2開口92の開口径よりも小さな外径を有する管継手であり、第2開口92に挿入されて、ろう付け等により弁本体90に取り付けられる。すなわち、横継手2は、第2開口92を介して弁本体90の内側に形成された弁室901と接続する。横継手2は、第2開口92に取り付けられた際に、第2開口92の近傍の第1部分領域201と、第1部分領域201と接続し第2開口92から離れる方向(Z軸+方向)に延在する第2部分領域202とを有する。
【0015】
第1部分領域201と第2部分領域202とにおいては、互いに径方向の厚さが異なる。第1部分領域201の径方向の厚さ(肉厚)は、第2部分領域202の径方向の厚さ(肉厚)よりも大きい、すなわち第1部分領域201の内径は、第2部分領域202の内径よりも小さい。このような構造を有する横継手2は、線材に対してたとえば塑性加工や切削加工を行うことにより形成することができる。第1部分領域201と第2部分領域202との境界に段差部203が形成される。
図1は、段差部203がZ軸方向において弁本体90の外表面(Z軸+側の面)の近傍、すなわち第2開口92の近傍に位置するように、横継手2が形成された場合を一例として示している。なお、段差部203のZ軸方向での位置は、
図1で示す例に限られず、横継手2のZ軸−側の端部近傍であってもよいし、弁本体90の外表面よりもZ軸+側であってもよい。
【0016】
段差部203には、第1部分領域201の内径よりも大きな径の第1整流部材21が設けられ、たとえば、ろう付けやかしめ等により固定される。すなわち、段差部203は、第1整流部材21を横継手2の内部の第2開口92の近傍で保持する保持部として機能する。これにより、第1整流部材21は、第1部分領域201と第2部分領域202との境界で保持される。上述したように段差部203は第2開口92の近傍に形成されることにより、第1整流部材21は第2開口92の近傍に設けられる。第1整流部材21は、横継手2の内部に設けられると換言することもできる。
【0017】
図2は、第1整流部材21の形状の一例を示す外観図である。
図2(a)は第1整流部材21の外観斜視図、
図2(b)はXY平面における平面図である。第1整流部材21は、薄板の円板状の本体部210に、複数の貫通穴211が設けられることにより形成される。円板状の本体部210の径は、横継手2の第1部分領域201の内径より大きく、第2部分領域202の内径よりも小さい。これにより、本体部210を段差部203上に固定することができる。複数の貫通穴211として、本実施の形態においては、一例として、
図2に示すように、6個の貫通穴211a、211b、211c、211d、211e、211fが設けられる。貫通穴211aは、本体部210の中心軸Lを中心として形成される。貫通穴211b〜211fは、中心軸Lを中心とする所定の円周上に等間隔で形成される。貫通穴211a〜211fのそれぞれの内径は、貫通穴211a〜211fの開口面積の合計が横継手2の第1部分領域201の開口面積よりも小さくなるように形成される。複数の貫通穴211a〜211fの開口面積の合計が第1部分領域201の開口面積よりも小さいことにより、気相冷媒が泡沫として混入した液相冷媒が第1整流部材21を通過する際に、泡沫が成長して大きな気泡となることを抑制する。これにより、液相冷媒が横継手2から弁室901を介して下継手3へ流れる場合に、大きな気泡が弁室901、弁体10と弁座20との間隙、および第1開口91を通過する際の通過音(キャビテーションノイズ)の発生を抑制することが可能になる。また、泡沫が成長して大きな気泡となることが抑制されるので、液相冷媒が下継手3から弁室901を介して横継手2へ流れる場合でも、気泡が弁室901および第2開口92を通過する際に、大きな気泡が第2部分領域202の内壁に衝突し破裂することにより生じる騒音の発生を抑制することができる。
【0018】
なお、
図2においては、貫通穴211の個数が6個の場合を例に挙げたが、7個以上の貫通穴211が形成されてもよいし、5個以下の複数の貫通穴211が形成されてもよい。また、貫通穴211aが本体部211aの中心軸L上に形成され、貫通穴211b〜211fが中心軸Lを中心とする所定の円周上に等間隔で形成される場合を例に挙げたが、複数の貫通穴211の配置は上記の例に限定されない。貫通穴211の個数や配置は、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な個数や配置とすればよい。
【0019】
上述した実施の形態においては、第1整流部材21の本体部210を薄板状の部材である場合を例に挙げて説明を行った。しかし、
図2(c)の外観斜視図に示すように、本体部210は薄板状の部材ではなくZ軸方向に沿って所定の厚さを有する部材であってもよい。このZ軸方向の厚さは、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な厚さとすればよい。
【0020】
次に、下継手3および第2整流部材37について説明する。
下継手3および第2整流部材37は、横継手2および第1整流部材21と同様の構造を有する。下継手3は、
図1に示すように、肉厚の異なる第1部分領域301と第2部分領域302とを有するとともに、第1開口91の開口径よりも小さな外径を有する管継手である。下継手3は、第1開口91に挿入され、第1部分領域301のX軸+側の端部で弁座20に当接した状態で、ろう付け等により弁本体90に取り付けられる。第2整流部材37は、第1部分領域301と第2部分領域302との段差部303にて、たとえばろう付けやかしめ等により固定される。なお、本実施の形態では、下継手3が弁座20のみに当接した状態で弁本体90に取り付けられる例を用いて説明を行うが、下継手3が弁座20に連通する構成であれば、他の構成であってもよい。たとえば、下継手3が弁座20に当接されることなく、弁本体90のみに当接してもよい。或は、下継手3が弁座20と弁本体90とに取り付けられてもよい。
【0021】
第2整流部材37は、
図2に示す第1整流部材21と同様に、下継手3の第1部分領域301の内径より大きく、第2部分領域302の内径よりも小さい径を有する円板状の本体部310に、複数の貫通穴311(311a〜311f)が設けられることにより形成される。これにより、第2整流部材37においても、複数の貫通穴311a〜311fを冷媒が通過することにより、泡沫が成長して大きな気泡となることを抑制する。これにより、大きな気泡が弁室901、弁体10と弁座20との間隙、および第2開口92を通過する際の通過音(キャビテーションノイズ)の発生を抑制することが可能になる。
なお、第2整流部材37においても、7個以上の貫通穴311が形成されてもよいし、5個以下の複数の貫通穴311が形成されてもよい。また、貫通穴311aおよび貫通穴311b〜311fが本体部301上で形成される位置関係についても、
図2に示す例に限定されない。すなわち、貫通穴311の個数や配置は、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な個数や配置とすればよい。
【0022】
図3は、本実施の形態による流量制御弁1を膨張弁とする冷凍サイクルシステム500の冷媒回路を例示した図である。
図3に示す冷凍サイクルシステム500は、膨張弁である流量制御弁1と、蒸発器(室内熱交換器)4と、圧縮機5と、凝縮器(室外熱交換器)6とを有し、冷媒通路501、502、503および504が、それらの装置を順に接続する。流量制御弁1から冷媒通路501へ流出した液体である冷媒は、蒸発器4によって気化する。気化した冷媒は、蒸発器4から排出されると、冷媒通路502を流れ、圧縮機5によって圧縮される。圧縮された冷媒は、圧縮機5から排出されると、冷媒通路503を流れ、凝縮器6により液化する。液化した冷媒は、凝縮器6から冷媒通路504へ流出し、再び流量制御弁1に戻って流入する。すなわち、冷凍サイクルシステム500の冷媒回路は、流量制御弁1と、蒸発器4と、圧縮機5と、凝縮器6と、それらの装置をループ接続する冷媒通路501〜504とから構成される。
【0023】
この冷凍サイクルシステム500は、空気調和装置(冷房)や冷凍・冷蔵庫等で使用される。なお、この流量制御弁1が膨張弁として適用される冷凍サイクルシステムの構成は、
図3に示す基本的な冷凍サイクルシステム500の構成に限られない。四方弁の組み込みにより、冷媒回路における冷媒の流れ方向を逆転できる冷房・暖房用の空気調和装置にも使用できる。
【0024】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)薄板により形成され、弁体10を内部に収容する弁本体90に設けられた第2開口92を介して、弁室901と接続する横継手2と、第2開口92の近傍に設けられ、横継手2を流れる流体を整流する第1整流部材21と、第1整流部材21を横継手2の内部の第2開口92の近傍で保持する段差部203とを備える。
【0025】
薄板を加工して形成された弁本体90では、従来技術のようなカップ形状を有する整流部材を取り付けるための段差部等を形成するために必要な肉厚が得られないため、第1整流部材21が取り付けられた横継手2と第2開口92との取付時に第1整流部材21の位置合わせが困難になる。第1開口91の近傍に第2整流部材37を位置させる場合であれば、第1開口91の奥(X軸+側)に弁座20が設けられているため、第2整流部材37が内部に設けられた下継手3を弁座20にて固定することにより第2整流部材37の位置合わせが可能である。第2開口92の近傍には弁座20に相当する部材が設けられていないので、第1整流部材21が内部に設けられた横継手2では、弁座20に相当する部材にて固定するということができない。これに対して、本実施の形態では、段差部203により第1整流部材21が横継手2の内部で保持できるので、横継手2を第2開口92に取り付ける際の第1整流部材21の位置合わせが容易になる。したがって、弁本体90が薄板をプレス加工等することにより形成された場合であっても、第1整流部材21を容易に取り付けることができるので、流量制御弁1の構造の簡素化と静音性維持とを両立することが可能となる。
【0026】
(2)横継手2は、第2開口92の近傍にて所定の内径を有する第1部分領域201と、第1部分領域201の内径よりも大きな内径を有する第2部分領域202とを有し、段差部203は、第1部分領域201と第2部分領域202との境界で第1整流部材21を保持する。これにより、横継手2の内部に第1整流部材21を容易に取り付けることができる。
【0027】
(3)横継手2の第1部分領域201の肉厚は、第2部分領域202の肉厚よりも大きく、第1整流部材21は、第1部分領域201の肉厚と第2部分領域202の肉厚とが異なることにより生じる段差部203で保持される。これにより、第1整流部材21を容易に横継手2の内部に取り付けることができる。
【0028】
(4)第1整流部材21は流体が通過するための貫通穴211を有し、貫通穴211の面積は横継手2を流体が通過する面積よりも小さい。これにより、気相冷媒が泡沫として混入した液相冷媒が第1整流部材21を通過する際に、泡沫が成長して大きな気泡となることを抑制する。この結果、大きな気泡が弁室901を通過する際の通過音(キャビテーションノイズ)の発生を抑制することが可能になる。
【0029】
(5)冷凍サイクルシステム500は、本実施の形態による流量制御弁1である膨張弁と、液体を気化させる蒸発器4と、気化した流体を圧縮する圧縮機5と、圧縮された流体を液化させる凝縮器6とを有する。この冷凍サイクルシステム500は、上述した簡素な構造の流量制御弁21を用いて静音性を維持できる。
【0030】
上述した第1の実施の形態を以下のように変形できる。
第1整流部材21および第2整流部材37は、
図2に示す形状に限定されない。以下、図面を参照しながら例を示す。なお、以下の説明では、第1整流部材21を例に挙げて説明を行うが、第2整流部材37についても同様である。
(変形例1)
図4は、変形例1における第1整流部材21の外観図であり、
図4(a)は斜視図、
図4(b)はXY平面における平面図、
図4(c)はZX平面における断面図である。第1整流部材21は、薄板の円板状の本体部210に、1個の貫通穴211が設けられることにより形成される。円板状の本体部210の径は、横継手2の第1部分領域201の内径より大きく、第2部分領域202の内径よりも小さい。第1部分領域201の内径(開口面積)よりも小さな内径(開口面積)を有する貫通穴211を冷媒が通過することにより、泡沫が成長して大きな気泡となることを抑制して、騒音の発生を抑えることが可能になる。なお、貫通穴211は、本体部210の中心軸Lを中心として形成される例に限定されず、本体部210の中心軸Lと貫通穴211の中心軸とが異なってもよい。
【0031】
上述した変形例1においては、第1整流部材21の本体部210を薄板状の部材である場合を例に挙げて説明を行った。しかし、
図4(d)の外観斜視図や
図4(e)のZX平面での断面図に示すように、本体部210は薄板状の部材ではなくZ軸方向に沿って所定の厚さを有する筒状の部材であってもよい。このZ軸方向の厚さは、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な厚さとすればよい。
【0032】
(変形例2)
図5は、変形例2における第1整流部材21の外観であり、
図5(a)は斜視図、
図5(b)は段差部203に第1整流部材21を取り付けた場合に、第1整流部材21をZ軸−側から見た場合のXY平面における平面図である。
図5(c)は段差部203に第1整流部材21を取り付けた場合のZX平面における断面図であり、
図5(d)は段差部203に第1整流部材21を取り付けた場合のYZ平面における断面図である。第1整流部材21は、薄板状の本体部210である。変形例2における本体部210は、第1の実施の形態や変形例1における本体部210の端部を切り欠くことにより形成される。ただし、本体部210には、
図2や
図3に示す貫通穴211は形成されない。
【0033】
図5に示す例では、X軸方向に延びる直線状の辺210a、210bと、辺210aと辺210bとをX軸+側で接続する横継手2の第2部分領域202の内径に応じた弧210cと、辺210aと辺210bとをX軸−側で接続する横継手2の第2部分領域202の内径に応じた弧210dとにより囲まれた面を有する板状に、本体部210は形成される。すなわち、本変形例の本体部210は、第1の実施の形態や変形例1の円板状の本体部210のY軸+側端部近傍と、Y軸−側端部近傍とを切り欠くことにより形成される。中心軸Lを通って弧210cと弧210dとを結ぶ距離は横継手2の第2部分領域202の内径と等しくなるので、本体部210は、弧210cおよび弧210dにて横継手2の内部の段差部203に固定される。上記のように本体部210が段差部203に固定されると、横継手2の第1部分領域201との間に、切り欠かれた円板状の端部の形状に応じた空間S1、S2が生じる。この空間S1、S2の面積は、横継手2の第2部分領域202を流体が通過する面積と比較して小さい。このため、空間S1、S2を冷媒が通過することになり、泡沫が成長して大きな気泡となることを抑制して、騒音の発生を抑えることが可能になる。
【0034】
なお、空間S1、S2の面積、すなわち円板状の本体部210の端部を切り欠く量は、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な大きさとすればよい。
また、
図5に示す例では、辺210aおよび210bは直線状としたが、直線状でなくてもよい。また、変形例2の本体部210においても、
図2や
図4にて例示した貫通穴211を設けてもよい。
第1整流部材21の本体部210を薄板状の部材である場合を例に挙げて説明を行った。しかし、
図5(e)の外観斜視図に示すように、本体部210は薄板状の部材ではなくZ軸方向に沿って所定の厚さを有する部材であってもよい。このZ軸方向の厚さは、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な厚さとすればよい。
【0035】
(変形例3)
図6は、変形例3における第1整流部材21の外観であり、
図6(a)は斜視図、
図6(b)は段差部203に第1整流部材21を取り付けた場合に、第1整流部材21をZ軸−側から見た場合のXY平面における平面図であり、
図6(c)は段差部203に第1整流部材21を取り付けた場合のZX平面における第1整流部材21の外観図である。第1整流部材21は、薄板状の本体部210である。変形例3における本体部210は、変形例2の場合と同様に、第1の実施の形態や変形例1における本体部210の端部を切り欠くことにより形成される。ただし、本体部210には、
図2や
図3に示す貫通穴211は形成されない。
【0036】
図6においては、本体部210は、本体中央部241と、第1本体部242と、第2本体部243と、第3本体部244と、第4本体部245とから構成される十字形の平面を有する平板状の部材から構成される場合を一例として示す。本体中央部241は、横継手2の中心軸Lを中心とする矩形(たとえば正方形)形状の平面を有する。第1本体部242は、本体中央部241のX軸+側の辺241aと接続し、辺241aと、X軸+側に延びる直線状の辺242a、242bと、辺242aおよび辺242bを接続する横継手2の第2部分領域202の内径に応じた弧242cとに囲まれた平面を有する。第2本体部243は、本体中央部241のX軸−側の辺241bと接続し、辺241bと、X軸−側に延びる直線状の辺243a、243bと、辺243aおよび辺243bを接続する横継手2の第2部分領域202の内径に応じた弧243cとに囲まれた平面を有する。第3本体部244は、本体中央部241のY軸+側の辺241cと接続し、辺241cと、Y軸+側に延びる直線状の辺244a、244bと、辺244aおよび辺244bを接続する横継手2の第2部分領域202の内径に応じた弧244cとに囲まれた平面を有する。第4本体部245は、本体中央部241のY軸−側の辺241dと接続し、辺241dと、Y軸−側に延びる直線状の辺245a、245bと、辺245aおよび辺245bを接続する横継手2の第2部分領域202の内径に応じた弧245cとに囲まれた平面を有する。
【0037】
中心軸Lを通って弧242cと243cとを結ぶ距離は横継手2の第2部分領域202の内径と等しく、中心軸Lを通って弧244cと245dとを結ぶ距離は横継手2の第2部分領域202の内径と等しい。このため、本体部210は、弧242c、243c、244cおよび245cにて横継手2の内部の段差部203に固定される。上記のように本体部210が段差部203に固定されると、横継手2の第1部分領域201との間に、空間S10、S20、S30およびS40が生じる。この空間S10、S20、S30、S40の面積は、横継手2の第2部分領域202を流体が通過する面積と比較して小さい。このため、空間S10、S20、S30およびS40を冷媒が通過することになり、泡沫が成長して大きな気泡となることを抑制して、騒音の発生を抑えることが可能になる。
なお、空間S10、S20、S30およびS40の面積は、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な大きさとすればよい。
また、
図6に示す例では、辺242a、242b、243a、243b、244a、244b、245aおよび245bは直線状としたが、直線状でなくてもよい。また、変形例2の本体部210においても、
図2や
図4にて例示した貫通穴211を設けてもよい。
【0038】
上述した変形例3においては、第1整流部材21の本体部210を薄板状の部材である場合を例に挙げて説明を行った。しかし、
図6(d)のZX平面における外観図に示すように、本体部210は薄板状の部材ではなくZ軸方向に沿って所定の厚さを有する部材であってもよい。このZ軸方向の厚さは、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な厚さとすればよい。
【0039】
(変形例4)第1整流部材21は、横継手2の中心軸Lを軸とする中空の円筒状であり、平均気孔率100μmから500μmであり、空隙率50%以上とする公知の多孔質フィルターであってもよい。この場合も、第1整流部材21の外径は横継手2の第2部分領域202の内径と等しく形成され、ろう付けやかしめ等により段差部203に固定される。なお、変形例4においては、第1整流部材21は中空の円筒状を有する多孔質フィルターに限らず、他の形状を有してもよい。たとえば、中空の部分を有さない柱状に形成された多孔質フィルターでもよい。
【0040】
上述した第1の実施の形態および変形例においては、横継手2に第1整流部材21が設けられ、下継手3に第2整流部材37が設けられる場合を例に挙げて説明を行ったが、下継手3に第2整流部材37が設けられていなくてもよい。
【0041】
−第2の実施の形態−
本発明の第2の実施の形態による流量制御弁について説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、横継手および下継手の形状が第1の実施の形態とは異なる。
【0042】
図7に第2の実施の形態による流量制御弁1の構成の概略を示す。
横継手22は、第2開口92の開口径よりも小さな外径を有する第1部分領域221と、第1部分領域221よりも大きな内径を有する第2部分領域222と、第1部分領域221と第2部分領域222とを接続する第3部分領域223とからなる管継手である。横継手22は、第1部分領域221が第2開口92に挿入されて、ろう付け等により弁本体90に取り付けられる。横継手22は、第2開口92と接続されるZ軸−側の端部近傍に対して縮管処理を施すことにより、内径の異なる第1部分領域221および第2部分領域222と、第1部分領域221および第2部分領域222を接続する第3部分領域223とを形成することができる。なお、横継手22は、Z軸+側に対して拡管処理を施すことにより、上述した第1部分領域221、第2部分領域222および第3部分領域223を形成してもよい。横継手22が上記の縮管処理や拡管処理により製造されることにより、第3部分領域223のZ軸−側では第1部分領域221の内径と等しい内径を有し、Z軸+側では第2部分領域222の内径と等しい内径を有する。第3部分領域223は、Z軸の−側から+側に沿って徐々に内径が大きくなる傾斜部である。第2部分領域222は、第3部分領域223と接続する接続部の近傍に形成された凹部224を有する。
【0043】
第1整流部材21は、
図2に示す第1の実施の形態の場合と同様である。すなわち、第1部分領域221の内径より大きく、第2部分領域222の内径より小さい径を有する円板状の本体部210に複数の貫通穴211が設けられることにより形成される。このため、第1整流部材21は、第1部分領域221の内径より大きく第2部分領域222の内径よりも小さい内径を有する第3部分領域223と凹部224との間にて、たとえばかしめ等により固定される。すなわち、第3部分領域223は、第1整流部材21を横継手22の内部の第2開口92の近傍で保持する保持部として機能する。これにより、第1整流部材21は、第1部分領域221と第2部分領域222との境界で保持される。
【0044】
上述したように、横継手22は第1部分領域221が第2開口92に挿入されることにより取り付けられるので、第3部分領域223が第2開口92の近傍において弁本体90の外表面(Z軸方向+側)に位置する。したがって、第1整流部材21は第2開口92の近傍に設けられる。第1整流部材21は、横継手22の内部に設けられると換言することもできる。これにより、第2の実施の形態においても、第1整流部材21は、液相冷媒中に気相冷媒が泡沫として混入した場合に、泡沫が成長して大きな気泡となり騒音の原因となることを抑制する消音部、静音部として機能する。
【0045】
下継手32は、横継手22と同様の構造を有する。下継手32は、第1開口91の開口径よりも小さな外径を有する第1部分領域321と、第1部分領域321よりも大きな内径を有する第2部分領域322と、第1部分領域321と第2部分領域322とを接続する第3部分領域323とからなる管継手である。下継手32は、第1部分領域321が第1開口91に挿入され、第1部分領域321のX軸+側の端部が弁本体90の内部の弁座20に当接した状態で、ろう付け等により弁本体90に取り付けられる。下継手32についても、横継手22と同様にして、縮管処理や拡管処理により第1部分領域321、第2部分領域322および第3部分領域323が形成される。第2整流部材37は、第3部分領域323と凹部324との間にて、たとえばかしめ等により固定される。なお、本実施の形態では、下継手32が弁座20のみに当接した状態で弁本体90に取り付けられる例を用いて説明を行うが、下継手32が弁座20に連通する構成であれば、他の構成であってもよい。たとえば、下継手32が弁座20に当接されることなく、弁本体90のみに当接してもよい。或は、下継手32が弁座20と弁本体90とに取り付けられてもよい。
【0046】
第2整流部材37は、横継手22に設けられる第1整流部材21と同様に、第1部分領域321の内径より大きく、第2部分領域322の内径より小さい径を有する円板状の本体部310に複数の貫通穴311が設けられることにより形成される。これにより、第2の実施の形態においても、第2整流部材37は、液相冷媒中に気相冷媒が泡沫として混入した場合に、泡沫が成長して大きな気泡となり騒音の原因となることを抑制する消音部、静音部として機能する。
【0047】
なお、第2の実施の形態においても、貫通穴211、311の個数や配置は
図2に例示する配置に限定されず、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な個数や配置とすればよい。また、第1整流部材21および第2整流部材37として、
図4〜
図6を用いて説明した変形例における第1整流部材21および第2整流部材37を用いてもよい。
また、第2の実施の形態においては、横継手22に第1整流部材21が設けられ、下継手32に第2整流部材37が設けられる場合を例に挙げて説明を行ったが、下継手32に第2整流部材37が設けられていなくてもよい。
また、上述した第2の実施の形態による流量制御弁1も、
図3に示す冷凍サイクルシステム500の膨張弁として用いることができる。
【0048】
以上で説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態により得られる(1)、(2)、(4)、(5)の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
横継手2の第1部分領域221の内径は、第2部分領域222の内径よりも小さく、第1整流部材21は、第1部分領域221の内径および外径と第2部分領域222の内径とが異なることにより生じる傾斜部である第3部分領域223にて保持される。これにより、第1整流部材21を容易に横継手2の内部に取り付けることができる。
【0049】
−第3の実施の形態−
本発明の第3の実施の形態による流量制御弁について説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、横継手および下継手の形状が第1の実施の形態とは異なる。
【0050】
図8に第3の実施の形態による流量制御弁1の構成の概略を示す。
横継手23は、第2開口92の開口径よりも小さな外径を有する管継手であり、第2開口92に取り付けられた際のZ軸−側の端部の面230には第1整流部213が形成される。すなわち、第1整流部213は、横継手23と一体に形成されるので、横継手23に保持されている。横継手23が第2開口92に取り付けられると、第1整流部213が弁本体90の内部の弁室901に突出する。したがって、横継手23の面230は、第1整流部213を横継手23の内部の第2開口92の近傍にて保持する保持部として機能する。これにより、第1整流部213は、第2開口92の近傍に設けられる。
【0051】
図9は横継手23をZ軸−側の端部の面230から見た場合の外観を示す斜視図である。上述したように、横継手23のZ軸−側の端部の面230には複数の貫通穴211を有する第1整流部213が形成される。
図9に示す第1整流部213の例では、
図2に示す第1の実施の形態の第1整流部材21と同様に、5個の貫通穴211a〜211fを有する。貫通穴211aは、横継手23の中心軸Lを中心として形成され、貫通穴211b〜211fは中心軸Lを中心とした所定の円周上に等間隔で形成される。貫通穴211a〜211fの開口面積の合計は、横継手23の開口面積よりも小さい。これにより、第3の実施の形態においても、第1整流部213は、液相冷媒中に気相冷媒が泡沫として混入した場合に、泡沫が成長して大きな気泡となり騒音の原因となることを抑制する消音部、静音部として機能する。
【0052】
下継手33は、横継手23と同様に、第1開口91の開口径よりも小さな外径を有する管継手であり、第1開口91に取り付けられた際のX軸+側の端部の面330にて弁座20に当接する。面330には第2整流部331が形成される。すなわち、第2整流部331は、下継手33と一体に形成される。下継手33が第1開口91に取り付けられると、第2整流部311が弁本体90の内部の弁座20に当接する。したがって、第2整流部331は、第1開口91の近傍に設けられる。なお、本実施の形態では、下継手33が弁座20のみに当接した状態で弁本体90に取り付けられる例を用いて説明を行うが、下継手33が弁座20に連通する構成であれば、他の構成であってもよい。たとえば、下継手33が弁座20に当接されることなく、弁本体90のみに当接してもよい。或は、下継手33が弁座20と弁本体90とに取り付けられてもよい。
【0053】
下継手33のX軸+側の端部の面330に設けられた第2整流部331は、
図9に示す横継手23に設けられた第1整流部213と同様に、複数の貫通穴311(311a〜311f)が形成される。これにより、第3の実施の形態においても、第2整流部331は、液相冷媒中に気相冷媒が泡沫として混入した場合に、泡沫が成長して大きな気泡となり騒音の原因となることを抑制する消音部、静音部として機能する。
【0054】
なお、第3の実施の形態においても、貫通穴211、311の個数や配置は
図9に例示する配置に限定されず、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な個数や配置とすればよい。また、第1整流部213および第2整流部331として、
図4〜
図6を用いて説明した変形例における第1整流部材21および第2整流部材37と同様の形状を有しても良い。
また、第1整流部213が横継手23のZ軸−側の面230に設けられる場合に限定されず、横継手23のZ軸−側の端部から所定の距離だけZ軸+側の位置に設けられても良い。同様に、第2整流部331が下継手33のX軸+側の面330に設けられる場合に限定されず、下継手33のX軸+側の端部から所定の距離だけX軸−側の位置に設けられても良い。
また、第3の実施の形態および変形例においては、横継手23に第1整流部213が設けられ、下継手33に第2整流部331が設けられる場合を例に挙げて説明を行ったが、下継手32に第2整流部331が設けられていなくてもよい。
また、上述した第3の実施の形態による流量制御弁1も、
図3に示す冷凍サイクルシステム500の膨張弁として用いることができる。
【0055】
以上で説明した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態により得られる(1)、(4)、(5)の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
第1整流部213は、横継手2のうち第2開口92に挿入される側の面230の近傍に一体に形成される。これにより、弁本体90が薄板を加工して形成された場合であっても、簡素な構造を有し静音性が維持された流量制御弁1を製造することができる。
【0056】
−第4の実施の形態−
本発明の第4の実施の形態による流量制御弁について説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、第1整流部材を取り付けるための構造が第1の実施の形態とは異なる。
【0057】
図10は第4の実施の形態による流量制御弁1の構成の概略を示す。
図10(a)は、ZX平面における断面図であり、
図10(b)はYZ平面における断面図である。ただし、
図10(b)においては、弁座20や弁体10の図示を省略する。
本実施の形態の流量制御弁1は、横継手24を第2開口92に取り付けるための管継手取付部材840を有する。管継手取付部材840は管状の部材であり、外径の異なる第1取付領域841と第2取付領域842とを有する。第1取付領域841の外径は第2開口92の開口径よりも大きく、第2取付領域842の外径は第2開口92の開口径よりも小さい。第1取付領域841の内径と第2取付領域842の内径とは等しい。すなわち、第1取付領域841の径方向の厚さ(肉厚)は、第2取付領域842の径方向の厚さ(肉厚)よりも大きい。
【0058】
管継手取付部材840は、弁室901の内部(Z方向−側)から第2取付領域842を第2開口92に挿入することにより弁本体90に取り付けられる。このとき、第1取付領域841の外径と第2取付領域842の外径とが異なることにより形成される段差である取付面843が弁本体90の内壁、すなわち
図10に示すZ軸−側の面に当接する。なお、
図10(b)に示すように、取付面843のYZ平面における断面は、弁本体90の内壁の断面形状、すなわち円周形状に応じた形状となるように形成される。この取付面843にてろう付けやかしめ等により管継手取付部材840が弁本体90に固定される。これにより、管継手取付部材840の第1取付領域841は弁室901に向けて突設し、第2取付領域842の一部が弁本体90の外部(
図10のZ軸+側)に向けて突設する。
【0059】
横継手24は、第2取付領域842の外径よりも大きな内径を有する管継手であり、Z軸−側の第1部分領域241とZ軸+側の第2部分領域242とを有する。横継手24は、弁本体90の外部に向けて突設された第2取付領域842の一部が横継手24の内部に挿入されることにより、弁本体90に取り付けられる。このとき、第2取付領域842のうち弁本体90からZ軸+側に突設する部分を、横継手24の第1部分領域241が覆う。
【0060】
第1整流部材21は、
図2に示す第1の実施の形態の場合と同様に、円板状の本体部210に複数の貫通穴211が設けられることにより形成される。本実施の形態では、第1整流部材21の本体部210の径は、第2取付領域842の内径より大きく、横継手24の内径よりも小さい。これにより、第1整流部材21は、第2取付領域842のZ軸+側の端面844上にろう付けやかしめ等により固定することができる。すなわち、端面844は、第1整流部材21を横継手24の内部の第2開口92の近傍で保持する保持部として機能する。これにより、第1整流部材21は、第1部分領域241と第2部分領域242との境界で保持される。この結果、第4の実施の形態においても、第1整流部材21は、液相冷媒中に気相冷媒が泡沫として混入した場合に、泡沫が成長して大きな気泡となり騒音の原因となることを抑制する消音部、静音部として機能する。
【0061】
なお、第4の実施の形態においても、貫通穴211の個数や配置は
図2に例示する配置に限定されず、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な個数や配置とすればよい。また、第1整流部材21として、
図4〜
図6を用いて説明した変形例における第1整流部材21を用いてもよい。
また、第4の実施の形態においては、下継手3および第2整流部材37は第1の実施の形態と同様であるものとして説明を省略したが、第2または第3の実施の形態における下継手32、33および第2整流部材37を適用してもよいし、下継手3に第2整流部材37が設けられていなくてもよい。
また、上述した第4の実施の形態による流量制御弁1も、
図3に示す冷凍サイクルシステム500の膨張弁として用いることができる。
【0062】
以上で説明した第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態により得られる(1)、(2)、(4)、(5)の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
第2開口92に取り付けられ、横継手24に挿入される管継手取付部材840をさらに備え、横継手2の第1部分領域241は管継手取付部材840を覆い、第1整流部材21は、管継手取付部材840のうち横継手24に挿入される側の端面844にて保持される。これにより、薄板を加工して形成された弁本体90のように、弁本体90に複雑な構造を形成できない場合であっても、簡単な構造で横継手2の内部に第1整流部材21を設けることができる。
【0063】
−第5の実施の形態−
本発明の第5の実施の形態による流量制御弁について説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、第1整流部材を取り付けるための構造が第1の実施の形態とは異なる。
【0064】
図11は第5の実施の形態による流量制御弁1の概略を示す。
本実施の形態の弁本体90は、第2開口92の外周には、Z軸+側に突設する突起部903を有する。突起部903は、たとえばバーリング加工によって形成される。突起部903は、Z軸方向に沿って所定の長さを有し、第2開口92の開口径と同一の内径を有する筒状に形成される。横継手25は、突起部903の外径よりも大きな内径を有する管継手であり、Z軸−側の第1部分領域251とZ軸+側の第2部分領域252とを有する。横継手25は、突起部903が横継手25の内部に挿入されることにより、弁本体90に取り付けられる。このとき、突起部903を横継手25の第1部分領域251が覆う。
【0065】
第1整流部材21は、
図2に示す第1の実施の形態の場合と同様に、円板状の本体部210に複数の貫通穴211が設けられることにより形成される。本実施の形態では、第1整流部材21の本体部210の径は、突起部903の内径より大きく、横継手25の内径よりも小さい。これにより、第1整流部材21は、突起部903のZ軸+側の端面904上にろう付けやかしめ等により固定することができる。すなわち、突起部903の端面904は、第1整流部材21を横継手25の内部の第2開口92の近傍にて保持する保持部として機能する。これにより、第1整流部材21は、第1部分領域251と第2部分領域252との境界で保持される。第1整流部材21は、横継手25の内部に設けられると換言することもできる。この結果、第5の実施の形態においても、第1整流部材21は、液相冷媒中に気相冷媒が泡沫として混入した場合に、泡沫が成長して大きな気泡となり騒音の原因となることを抑制する消音部、静音部として機能する。
【0066】
なお、第5の実施の形態においても、貫通穴211の個数や配置は
図2に例示する配置に限定されず、各種の計測や実験等に基づいて、騒音の発生を抑制するために好適な個数や配置とすればよい。また、第1整流部材21として、
図4〜
図6を用いて説明した変形例における第1整流部材21を用いてもよい。
また、第5の実施の形態においては、下継手3および第2整流部材37は第1の実施の形態と同様であるものとして説明を省略したが、第2または第3の実施の形態における下継手32、33および第2整流部材37を適用してもよい、下継手3に第2整流部材37が設けられていなくてもよい。
また、上述した第5の実施の形態による流量制御弁1も、
図3に示す冷凍サイクルシステム500の膨張弁として用いることができる。
【0067】
以上で説明した第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態により得られる(1)、(2)、(4)、(5)の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
弁本体90は、第2開口92の外周部で外部に向けて突出する突起部903を有し、突起部903は横継手25に挿入され、横継手25の第1部分領域251は、突起部903を覆い、第1整流部材21は突起部903の端面904にて保持される。これにより、薄板を加工して形成された弁本体90のように、弁本体90に複雑な構造を形成できない場合であっても、簡単な構造で横継手2の内部に第1整流部材21を設けることができる。
【0068】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。