【解決手段】可動側ストッパ7Uが、周方向との直交面であるZX平面に対して傾斜した当接面71を有することで、ストッパ6U、7U同士の当接時に可動ユニット10に対して径方向内側への力が加わる。これにより、可動ユニット10を径方向に移動させることができ(可動ユニット10が意図しない方向に移動することを抑制し)、可動ユニット10の挙動を制御することができる。
弁体を含む可動ユニットと弁本体を含む固定ユニットとにより構成されるネジ送り機構を備え、駆動手段によって前記可動ユニットを回転駆動することにより軸方向に進退移動させる電動弁であって、
前記可動ユニットの可動側ストッパと前記固定ユニットの固定側ストッパとが周方向を衝突方向として当接することにより、当該可動ユニットの前記軸方向における移動が規制されるように構成され、
前記可動側ストッパと前記固定側ストッパとのうち少なくとも一方は、周方向との直交面に対して傾斜した傾斜部を有し、規制される回転力を利用して前記可動ユニットに周方向とは異なる方向の力を加えることを特徴とする電動弁。
前記可動側ストッパと前記固定側ストッパとのうち一方が前記傾斜部を有し、他方の角部が前記傾斜部に当接することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動弁。
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたようにストッパ同士の当接によって回転を規制する構成においては、ストッパ同士が衝突した際に可動ユニットがすぐに静止しないことがあり、可動ユニットの挙動を制御することが困難であった。例えば、ネジ送り機構には各部材間に所定の隙間を形成する必要があるため、このような隙間がガタとなり、可動ユニットが意図しない方向に移動してしまう。
【0005】
可動ユニットが意図しない方向に移動しやすい場合として、イニシャライズ制御時が例示される。イニシャライズ制御時には、ストッパ同士が当接した状態において、さらにストッパ同士が近づく方向に力が加わることにより、ストッパ同士の当接と、可動ユニットの意図しない方向への移動と、が繰り返されて振動が発生することがあった。これにより、ストッパの当接面同士が繰り返し摺動して摩耗してしまったり、騒音が発生してしまったりすることがあった。また、イニシャライズ制御時以外においても、可動ユニットが意図しない方向に移動することにより、ストッパの当接面が摩耗してしまったり騒音が発生してしまったりすることがあった。
【0006】
本発明の目的は、ストッパ同士の当接時に可動ユニットの挙動を制御することができる電動弁および冷凍サイクルシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電動弁は、弁体を含む可動ユニットと弁本体を含む固定ユニットとにより構成されるネジ送り機構を備え、駆動手段によって前記固定ユニットを回転駆動することにより軸方向に進退移動させる電動弁であって、前記可動ユニットの可動側ストッパと前記固定ユニットの固定側ストッパとが周方向を衝突方向として当接することにより、当該可動ユニットの前記軸方向における移動が規制されるように構成され、前記可動側ストッパと前記固定側ストッパとのうち少なくとも一方は、周方向との直交面に対して傾斜した傾斜部を有し、規制される回転力を利用して前記可動ユニットに周方向とは異なる方向の力を加えることを特徴とする。
【0008】
このような本発明によれば、可動側ストッパと固定側ストッパとのうち少なくとも一方が、周方向との直交面に対して傾斜した傾斜部を有することで、ストッパ同士の当接時には、可動ユニットに対して周方向とは異なる方向の力が加わる。これにより、可動ユニットが意図しない方向に移動することを抑制し、可動ユニットの挙動を制御することができる。
【0009】
この際、本発明の電動弁では、前記傾斜部は、軸方向から見て前記直交面に対して傾斜し、前記可動ユニットに径方向の力を加えることが好ましい。このような構成によれば、径方向の力が加えられた可動ユニットは、固定ユニットに対して偏心した状態で停止しようとする。これにより、ストッパ同士の当接時に可動ユニットを一定の方向に移動させ、挙動を制御することができる。
【0010】
また、本発明の電動弁では、前記傾斜部は、径方向から見て前記直交面に対して傾斜し、前記可動ユニットに対し、軸方向の力を加えてもよい。このような構成によれば、軸方向におけるいずれか一方側への力が加えられた可動ユニットは、軸方向における一方側に移動しようとし、固定ユニットにおけるネジ部のネジ山に対し、可動ユニットにおけるネジ部のネジ山が軸方向の一方側に押し付けられる。これにより、可動ユニットが移動しにくくなり、ストッパ同士の当接時に可動ユニットを一定の方向に移動させ、挙動を制御することができる。
【0011】
また、本発明の電動弁では、前記傾斜部は、平面状に形成され、前記直交面に対する傾斜角度が45°以下であることが好ましい。このような構成によれば、ストッパ同士が噛み合ってしまうことを抑制することができる。一方、傾斜部の傾斜角度が大きすぎると、ストッパ同士が噛み合いやすくなり、回転が規制された後に可動ユニットを反対向きに回転させにくくなる。
【0012】
また、本発明の電動弁では、前記可動側ストッパと前記固定側ストッパとのうち一方が前記傾斜部を有し、他方の角部が前記傾斜部に当接することが好ましい。このような構成によれば、傾斜部によって角部を案内し、可動ユニットに周方向とは異なる方向の力を加えやすい。
【0013】
また、本発明の電動弁では、前記可動側ストッパと前記固定側ストッパとの両方が前記傾斜部を有し、該傾斜部同士が当接してもよい。このような構成によれば、ストッパ同士の当接面積を大きくすることができ、面圧を低下させてストッパの損傷を抑制することができる。
【0014】
本発明の冷凍サイクルシステムは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、前記いずれか1項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする。このような本発明によれば、上記のようにストッパ同士の当接時に可動ユニットの挙動を制御可能であることで、冷凍サイクルシステム全体の振動や騒音の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電動弁及び冷凍サイクルシステムによれば、可動側ストッパと固定側ストッパとのうち少なくとも一方が傾斜部を有することで、ストッパ同士の当接時に可動ユニットの挙動を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動弁が全閉状態となった様子を示す断面図である。
【
図2】前記電動弁において可動ユニットが全開状態となった様子を示す断面図である。
【
図3】前記電動弁の可動側ストッパおよび固定側ストッパを示す平面図である。
【
図4】前記可動側ストッパおよび前記固定側ストッパを示す側面図である。
【
図5】前記電動弁が用いられる冷凍サイクルシステムを示す概略構成図である。
【
図6】第1の変形例の電動弁における可動側ストッパおよび固定側ストッパを示す平面図である。
【
図7】前記可動側ストッパおよび前記固定側ストッパを示す側面図である。
【
図8】第2の変形例の電動弁における可動側ストッパおよび固定側ストッパを示す平面図である。
【
図9】前記可動側ストッパおよび前記固定側ストッパを示す側面図である。
【
図10】第3の変形例の電動弁における可動側ストッパおよび固定側ストッパを示す平面図である。
【
図11】前記可動側ストッパおよび前記固定側ストッパを示す側面図である。
【
図12】第4の変形例の電動弁における可動側ストッパおよび固定側ストッパを示す平面図である。
【
図13】前記可動側ストッパおよび前記固定側ストッパを示す側面図である。
【
図14】第5の変形例の電動弁における可動側ストッパおよび固定側ストッパを示す平面図である。
【
図15】前記可動側ストッパおよび前記固定側ストッパを示す側面図である。
【
図16】第6の変形例の電動弁における可動側ストッパおよび固定側ストッパを示す平面図である。
【
図17】前記可動側ストッパおよび前記固定側ストッパを示す側面図である。
【
図18】第7の変形例の電動弁における可動側ストッパおよび固定側ストッパを示す平面図である。
【
図19】前記可動側ストッパおよび前記固定側ストッパを示す側面図である。
【
図20】第8の変形例の電動弁における可動側ストッパおよび固定側ストッパを示す平面図である。
【
図21】前記可動側ストッパおよび前記固定側ストッパを示す側面図である。
【
図22】第9の変形例の電動弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の電動弁1Aは、
図1、2に示すように、弁本体2と、支持部材3と、ロータ4と、駆動手段としてのステッピングモータ5と、を備え、
図5に示すように、例えばパッケージエアコンやルームエアコン等の空気調和機の冷凍サイクル100に設けられるものである。
図5において、符号200は室外ユニットに搭載された室外熱交換器、300は室内ユニットに搭載された室内熱交換器、400は四方弁を構成する流路切換弁、500は圧縮機である。電動弁1A、室外熱交換器200、室内熱交換器300、流路切換弁400、及び圧縮機500は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。尚、アキュムレータ、圧力センサ、温度センサ等は図示を省略してある。尚、本実施形態では、ロータ4の軸方向をZ方向とし、Z方向に略直交する2方向をX方向およびY方向とする。
【0018】
尚、
図1の断面図は、後述する各ストッパの当接面が見えるように、Z方向およびこの当接面を通る面を断面としたものであり、Y方向の手前側から奥側を見たものである。このとき、互いに当接する2つの当接面は同時には見えないが、説明の都合上、
図1には2つの断面を描写している。断面に対してY方向手前側に位置する当接面については、奥側から手前側を見た様子を描写している。また、
図2、22についても同様である。
【0019】
弁本体2は、円筒状に形成され、一端側において開口した第1弁開口部21と、側面において開口した第2弁開口部22と、を有する。第1弁開口部21には第1継手管101が接続され、第2弁開口部22には第2継手管102が接続されている。また、第1弁開口部21には弁座部材23が設けられている。以下では、弁本体2における第1弁開口部21が形成された側をZ方向下側とし、その反対側をZ方向上側とする。
【0020】
支持部材3は、XY平面に沿って延びる円板状のフランジ部31と、Z方向に沿って延びる円筒状のホルダ部32と、を有する。フランジ部31は、弁本体2の他端側(Z方向上側)を塞ぐように取り付けられ、弁本体2の内側に弁室2Aが形成される。弁本体2と支持部材3とは、取付金具3aにより互いに固定され、固定ユニット20を構成する。
【0021】
ホルダ部32は、フランジ部31よりもZ方向上側に、雌ネジ部321を有し、さらに上側に第1の案内部322を有する。また、ホルダ部32は、フランジ部31よりもZ方向下側に第2の案内部323を有する。第1の案内部322の内径は雌ネジ部321の内径よりも大きく、第2の案内部323の内径は雌ネジ部321の内径よりも小さい。
【0022】
ホルダ部32のZ方向上端には、径方向外側に突出した突起部としてのストッパ突起324が形成されている。ストッパ突起324のうちZ方向上側における一部が、ロータ4の閉方向移動を規制する固定側ストッパ6Uとなる。ストッパ突起324は、ホルダ部32の円筒部分から径方向外側に離れた位置においてZ方向下側に突出した部分を有し、この突出部分が、ロータ4の開方向移動を規制する固定側ストッパ6Dとなる。
【0023】
ロータ4は、Z方向に沿って延びる棒状に形成され、先端(Z方向下端)に形成された弁体としてのニードル部41と、Z方向略中央部に形成された雄ネジ部42と、雄ネジ部42よりもZ方向上側に形成された第1の被案内部43と、第1の被案内部43よりもZ方向上側に形成された突起部としてのストッパ突起44と、ニードル部41と雄ネジ部42との間に形成された第2の被案内部45と、を有する。
【0024】
具体的には、ロータ4は、ロータ軸11と弁棒4Aとの2つの部材によって構成されている。ニードル部41および第2の被案内部45は弁棒4Aに形成されている。雄ネジ部42、第1の被案内部43およびストッパ突起44は、ロータ軸11に形成されている。ロータ軸11の上端の開口には、固定金具12が嵌合されている。そして、この固定金具12の下端と、弁棒4Aの上端の拡径部4A1と、の間には、弁ばね13が介装され、弁棒4Aを弁座23側に向けて(即ち閉方向に)付勢するように構成されている。また、弁棒4Aは、ロータ軸11に対しZ方向および回転方向に摺動可能となっている。
【0025】
ニードル部41は、弁座部材23に着座可能であって、ロータ4がZ方向に沿って進退移動することによって弁座部材23に対して接離する。これにより、弁座部材23に形成されたポート23aの開度が調節される。
【0026】
雄ネジ部42は、支持部材3の雌ネジ部321と螺合する。これにより、ロータ4が支持部材3に支持され、後述する可動ユニット10と固定ユニット20とによってネジ送り機構が構成される。
【0027】
第1の被案内部43は、その外径が雄ネジ部42の外径よりも大きい円筒状に形成され、支持部材3の第1の案内部322の内側に配置される。第2の被案内部45は、その外径が雄ネジ部42の外径よりも小さく、第2の案内部323の内側に配置される。
【0028】
ストッパ突起44は、第1の被案内部43に連続する円筒部分から径方向外側に突出するとともに、この円筒部分から径方向外側に離れた位置においてZ方向下側に突出した部分を有する。このZ方向下側に突出した部分は、ロータ4の閉方向移動を規制する可動側ストッパ7Uとなる。
【0029】
ステッピングモータ5は、ケース51と、マグネットロータ52と、ステータコイル53と、を有する。ケース51は、弁本体2のZ方向上端部に対し、上記の取付金具3aとともに溶接等によって固定されている。これにより、弁本体2およびケース51の内側が気密に保たれるようになっている。
【0030】
マグネットロータ52は、その外周部が多極に着磁されたものであって、ロータ4の上端部に上記の固定金具12により固定されている。これにより、マグネットロータ52とロータ4とが同時に回転するようになっている。即ち、マグネットロータ52とロータ4とが可動ユニット10を構成する。マグネットロータ52は、ロータ4との固定部からZ方向下側に向かって延びる円筒部521と、円筒部521の内周面から径方向内側に突出した突起部としてのストッパ突起522と、を有する。ストッパ突起522のうちZ方向上側における一部が、ロータ4の開方向移動を規制する可動側ストッパ7Dとなる。
【0031】
ステータコイル53には、適宜な制御手段によって制御された電源からパルス電流が供給されるようになっている。ステータコイル53にパルス電流が供給されると、パルス数に応じて可動ユニット10がZ方向を軸方向として回転する。ネジ送り機構を構成する可動ユニット10は、回転することによってZ方向に進退移動する。これにより、弁ポート23aの開度が調節され、第1継手管101から第2継手管102に向かって流れる流体の流量、又は、第2継手管102から第1継手管101に向かって流れる流体の流量が調節される。
【0032】
可動ユニット10を回転させて閉方向(Z方向下側)に移動させていくと、ニードル部41が弁座部材23に着座する際に、
図1に示すように、可動ユニット10の可動側ストッパ7Uと、固定ユニット20の固定側ストッパ6Uと、が周方向を衝突方向として当接する。これにより、可動ユニット10の閉方向への移動が規制される。
【0033】
一方、可動ユニット10を回転させて開方向(Z方向上側)に移動させていくと、ニードル部41が弁座部材23から所定距離だけ離れた際に、
図2に示すように、可動ユニット10の可動側ストッパ7Dと、固定ユニット20の固定側ストッパ6Dと、が周方向を衝突方向として当接する。これにより、可動ユニット10の開方向への移動が規制される。
【0034】
このように可動ユニット10が固定ユニット20に対してZ方向に移動できるように、ロータ4と支持部材3との間の各部には、所定の隙間が形成されている。本実施形態では、雌ネジ部321と雄ネジ部42との間、第1の案内部322と第1の被案内部43との間、及び、第2の案内部323と第2の被案内部45との間の計3箇所に隙間が形成されており、これらの隙間のうち最小のものが可動寸法となる。可動寸法とは、可動ユニット10と固定ユニット20との中心軸同士が一致した基準状態からXY平面内の各方向(径方向)で可動ユニット10が移動できる寸法(片側寸法)である。
【0035】
尚、可動寸法は、可動ユニット10と固定ユニット20との間に形成された隙間の大きさのみによって決まるものとしてもよいし、複数部材によって構成される可動ユニット10においては、これらの部材間に生じる隙間の大きさも含めてもよい。例えば、第2の案内部323と第2の被案内部45との間の隙間の大きさによって可動寸法が決まる場合には、この可動寸法には、弁棒4Aにおける第3の案内部325と、ロータ軸11における第3の被案内部49と、の間の隙間の大きさを含めてもよい。
【0036】
ここで、固定側ストッパ6Uおよび可動側ストッパ7Uの詳細について
図3、4を参照しつつ説明する。固定側ストッパ6Uは、ZX平面に沿った平面状の当接面61と、当接面61の内径側の端部である角部62と、を有する。固定側ストッパ6Uと可動側ストッパ7Uとが当接する瞬間において、X方向が径方向となり、ZX平面が周方向との直交面となる。
【0037】
可動側ストッパ7Uは、ZX平面に対して傾斜した平面状の当接面71を有する。即ち、当接面71全体が傾斜部となる。当接面71は、Z方向から見てZX平面に対して傾斜しており、径方向内側から外側に向かうにしたがって固定側ストッパ6Uの当接面61から離れるようになっている。また、当接面71は、角部62よりも内径側まで延びており、角部62と当接可能となっている。当接面71のZX平面に対する傾斜角度は45°以下(例えば10°)となっている。
【0038】
可動ユニット10が
図3における時計回りに回転して固定側ストッパ6Uと可動側ストッパ7Uとが当接すると、この回転が規制される。当接面71が上記のように傾斜していることで、可動側ストッパ7Uが固定側ストッパ6Uにさらに近づこうとすることにより、可動ユニット10には径方向内側への力が加わる。即ち、規制される時計回り方向の回転力を利用して可動ユニット10に径方向内側への力が加わるようになっている。
【0039】
上記のようにロータ4と支持部材3との間に隙間が形成されていることから、可動ユニット10は可動寸法の範囲内で径方向に移動し、固定ユニット20に対して偏心した状態で停止する。
【0040】
以上のように、可動ユニット10の閉方向移動を規制する可動側ストッパ7Uが傾斜部としての当接面71を有しており、可動ユニット10の開方向移動を規制する可動側ストッパ7Dも同様の傾斜部を有している。
【0041】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、可動側ストッパ7Uが、周方向との直交面であるZX平面に対して傾斜した当接面71を有することで、ストッパ6U、7U同士の当接時に可動ユニット10に対して径方向内側への力が加わる。これにより、可動ユニット10を径方向に移動させることができ(可動ユニット10が意図しない方向に移動することを抑制し)、可動ユニット10の挙動を制御することができる。
【0042】
また、当接面71がZ方向から見てZX平面に対して傾斜していることで、可動ユニット10は固定ユニット20に対して偏心した状態(径方向においてずれた状態)で停止し、ストッパ6U、7U同士の当接時に可動ユニット10が振動することを抑制することができる。これにより、ストッパ当接面の摩耗や騒音の発生を抑制することができる。
【0043】
また、当接面71のZX平面に対する傾斜角度が45°以下であることで、ストッパ6U、7U同士が噛み合ってしまうことを抑制することができる。一方、当接面71の傾斜角度が大きすぎると、ストッパ6U、7U同士が噛み合いやすくなり、回転が規制された後に可動ユニット10を反対向きに回転させにくくなる。
【0044】
また、可動側ストッパ7Uの当接面71と固定側ストッパ6Uの角部62とが当接することで、角部62を当接面71によって案内し、可動ユニット10に径方向の力を加えやすい。
【0045】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0046】
例えば、前記実施形態では、可動側ストッパ7Uが径方向外側に向かうにしたがって固定側ストッパ6Uの当接面61から離れるように傾斜しているものとしたが、可動側ストッパ7Uは
図6、7に示すように、径方向外側に向かうにしたがって固定側ストッパ6Uの当接面61に近づくように傾斜した当接面72を有していてもよい。このような構成では、規制される時計回り方向の回転力を利用して可動ユニット10に径方向外側への力が加わるようになっている。
【0047】
また、前記実施形態では、可動側ストッパ7Uが傾斜部としての当接面71を有するものとしたが、固定側ストッパ6Uが傾斜部を有していてもよい。
【0048】
例えば、
図8、9に示すように、可動側ストッパ7UがZX平面に沿った当接面73を有し、固定側ストッパ6Uが傾斜部としての当接面64を有する構成としてもよい。当接面64は、Z方向から見てZX平面に対して傾斜しており、径方向外側に向かうにしたがって可動側ストッパ7Uの当接面73から離れるように傾斜している。固定側ストッパ6Uの当接面64と、可動側ストッパ7Uの径方向内側の角部74と、が当接し、規制される時計回り方向の回転力を利用して可動ユニット10に径方向外側への力が加わるようになっている。
【0049】
また、
図10、11に示すように、可動側ストッパ7UがZX平面に沿った当接面73を有し、固定側ストッパ6Uが傾斜部としての当接面65を有する構成としてもよい。当接面65は、Z方向から見てZX平面に対して傾斜しており、径方向外側に向かうにしたがって可動側ストッパ7Uの当接面73に近づくように傾斜している。固定側ストッパ6Uの当接面65と、可動側ストッパ7Uの径方向外側の角部75と、が当接し、規制される時計回り方向の回転力を利用して可動ユニット10に径方向内側への力が加わるようになっている。
【0050】
また、前記実施形態では、可動側ストッパ7Uにおける傾斜部としての当接面71が、Z方向から見てZX平面に対して傾斜しているものとしたが、傾斜部は、径方向から見てZX面に対して傾斜したものであってもよい。
【0051】
例えば、
図12、13に示すように、可動側ストッパ7Uが傾斜部としての当接面76を有し、固定側ストッパ6UがZX平面に沿った当接面61を有する構成としてもよい。当接面76は、X方向から見てZX平面に対して傾斜しており、周方向における進行方向側に向かうにしたがってZ方向において固定側ストッパ6Uから離れるように傾斜している。固定側ストッパ6Uの角部66と、可動側ストッパ7Uの当接面76と、が当接し、規制される時計回り方向の回転力を利用して可動ユニット10にZ方向上側(即ち開方向側)への力が加わるようになっている。
【0052】
また、
図14、15に示すように、可動側ストッパ7UがZX平面に沿った当接面73を有し、固定側ストッパ6Uが傾斜部としての当接面67を有する構成としてもよい。当接面67は、X方向から見てZX平面に対して傾斜しており、周方向における進行方向側に向かうにしたがってZ方向において可動側ストッパ7Uに近づくように傾斜している。固定側ストッパ6Uの当接面67と、可動側ストッパ7Uの角部77と、が当接し、規制される時計回り方向の回転力を利用して可動ユニット10にZ方向上側(即ち開方向側)への力が加わるようになっている。
【0053】
また、前記実施形態では、可動側ストッパ7Uのみが傾斜部としての当接面71を有し、固定側ストッパ6Uの角部62が当接面71に当接するものとしたが、固定側ストッパ6Uと可動側ストッパ7Uとの両方が傾斜部を有し、傾斜部同士が当接する構成としてもよい。このような構成とすれば、ストッパ6U、7U同士の当接面積を大きくすることができ、面圧を低下させてストッパ6U、7Uの損傷を抑制することができる。
【0054】
例えば、
図16、17に示すように、可動側ストッパ7Uが傾斜部としての当接面71を有するとともに、固定側ストッパ6Uが傾斜部としての当接面65を有する構成としてもよい。当接面65と当接面71とが当接し、規制される時計回り方向の回転力を利用して可動ユニット10に径方向内側への力が加わるようになっている。
【0055】
また、
図18、19に示すように、可動側ストッパ7Uが傾斜部としての当接面72を有するとともに、固定側ストッパ6Uが傾斜部としての当接面64を有する構成としてもよい。当接面64と当接面72とが当接し、規制される時計回り方向の回転力を利用して可動ユニット10に径方向外側への力が加わるようになっている。
【0056】
また、
図20、21に示すように、可動側ストッパ7Uが傾斜部としての当接面76を有するとともに、固定側ストッパ6Uが傾斜部としての当接面67を有する構成としてもよい。当接面67と当接面76とが当接し、規制される時計回り方向の回転力を利用して可動ユニット10にZ方向上側への力が加わるようになっている。
【0057】
また、前記実施形態では、傾斜部としての当接面71が平面状であるものとしたが、傾斜部は曲面状であってもよい。このとき、傾斜部が相手方のストッパに対して凸の曲面状であってもよいし、凹の曲面状であってもよい。
【0058】
また、前記実施形態では、当接面71のZX平面に対する傾斜角度が45°以下であるものとしたが、例えば可動ユニット10を回転させるトルクが小さく、ストッパ同士が噛み合いにくい場合には、傾斜角度は45°よりも大きくてもよい。傾斜角度を大きくすることにより、可動ユニット10に加わる周方向とは異なる方向の力を大きくすることができる。
【0059】
また、前記実施形態では、固定ユニット20の支持部材3が雌ネジ部321を有するとともに可動ユニット10のロータ4が雄ネジ部42を有するものとしたが、
図22に示す電動弁1Bのように、雄ネジ部33を有する支持部材3Bと、雌ネジ部46を有するロータ4Bと、を備える構成としてもよい。電動弁1Bでは、ロータ4Bが、内周面に雌ネジ部46が形成された筒状のロータ本体47を有し、支持部材3Bが、外周面に雄ネジ部33が形成された筒状部材34を有する。筒状部材34が筒状のロータ本体47に収容されてネジ部同士が螺合し、ロータ4Bにおける棒状の弁棒48が筒状部材34に挿通されている。
【0060】
電動弁1Bにおいても、可動側ストッパ7Uが傾斜部としての当接面71を有している。これにより、ストッパ6U、7U同士の当接時に可動ユニット10に対して径方向内側への力が加わり、可動ユニット10を径方向に移動させることができ(可動ユニット10が意図しない方向に移動することを抑制し)、可動ユニット10の挙動を制御することができるようになっている。このような電動弁1Bにおいても、前記実施例の電動弁1Aと同様に、振動を抑制することにより、ストッパ当接面の摩耗や騒音の発生を抑制することができる。
【0061】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。