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特開2019-143918回転式空気予熱器、ボイラシステム、及び回転式空気予熱器の閉塞防止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-143918(P2019-143918A)
(43)【公開日】2019年8月29日
(54)【発明の名称】回転式空気予熱器、ボイラシステム、及び回転式空気予熱器の閉塞防止方法
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/02 20060101AFI20190802BHJP
   F28D 19/04 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   F23L15/02
   F28D19/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-29785(P2018-29785)
(22)【出願日】2018年2月22日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】廣田 顕
(72)【発明者】
【氏名】石川 勘治
【テーマコード(参考)】
3K023
【Fターム(参考)】
3K023QA01
3K023QC08
3K023QC12
3K023SA01
(57)【要約】
【課題】効率良く省エネルギで酸性硫安による閉塞を防止することができる回転式空気予熱器及び回転式空気予熱器の閉塞防止方法を提供する。
【解決手段】ボイラから排出される燃焼排ガスの熱量の一部を蓄熱し、外部から送気される空気に放熱することで空気を予熱し、空気をボイラに供給する回転式熱交換器41と、回転式熱交換器41の空気が流通する空気側領域43のうち、回転式熱交換器41の回転方向における空気側領域43の周方向中間位置よりも後方の位置に、300℃以上の高温ガスを噴き付けるノズル10と、を備える回転式空気予熱器4。ノズル10は、高温ガスを噴出す複数の噴出孔12が回転式熱交換器41の周方向の所定の範囲に延びて配置される先端部10aを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラから排出される燃焼排ガスの熱量の一部を蓄熱し、外部から送気される空気に放熱することで前記空気を予熱し、前記空気を前記ボイラに供給する回転式熱交換器と、
前記回転式熱交換器の前記空気が流通する空気側領域のうち、前記回転式熱交換器の回転方向における前記空気側領域の周方向中間位置よりも後方の位置に、300℃以上の高温ガスを噴き付けるノズルと、
を備えることを特徴とする回転式空気予熱器。
【請求項2】
前記ノズルは、前記高温ガスを噴出す複数の噴出孔が前記回転式熱交換器の周方向の所定の範囲に延びて配置される先端部を備えることを特徴とする請求項1に記載の回転式空気予熱器。
【請求項3】
前記ノズルの前記先端部の形状は、前記回転式熱交換器の周方向に沿って曲げられた円弧状であることを特徴とする請求項2に記載の回転式空気予熱器。
【請求項4】
前記回転式空気予熱器は、前記ノズルの先端部を前記回転式熱交換器の半径方向に往復動させる往復動機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回転式空気予熱器。
【請求項5】
前記高温ガスを噴き付けるノズルの代わりに、ガスバーナノズルを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の回転式空気予熱器。
【請求項6】
ボイラと、
該ボイラから排出される燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の回転式空気予熱器と、
を備えるボイラシステム。
【請求項7】
ボイラからの燃焼排ガスの熱量の一部を蓄熱し、外部から送気される空気に放熱することで前記空気を予熱し、前記空気を前記ボイラに供給する回転式熱交換器を備え、前記回転式熱交換器の前記空気が流通する空気側領域の閉塞を防止する回転式空気予熱器の閉塞防止方法において、
前記回転式熱交換器の回転方向における前記空気側領域の周方向中間位置よりも後方の位置に、ノズルにより300℃以上の高温ガスを噴き付ける工程を有することを特徴とする回転式空気予熱器の閉塞防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転式空気予熱器、これを備えたボイラシステム、及び回転式空気予熱器の閉塞防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ボイラシステムでは、ボイラからの燃焼排ガスの熱量を回収して供給空気を予熱することで熱エネルギの効率的な活用を図るため、回転式空気予熱器が使用されている。この回転式空気予熱器は、例えば、内部を軸方向に縦に2分割することで周方向に2つの区画を通過するように分割し、各々の区画を蓄熱用と放熱用に順次使用することで熱交換を行う。即ち、熱交換器(蓄熱回転体)の中心には回転可能に嵌入した回転軸があり、回転軸の周囲には円柱形状の蓄熱回転体があり、各々の区画に燃焼用空気と燃焼排ガスを別々に流通させる。これにより、蓄熱回転体の半円部分ずつを、予熱対象の燃焼用空気が一方の区画の蓄熱回転体に接触しながら流れ、冷却対象の燃焼排ガスが他方の区画の蓄熱回転体に接触しながら流れるように構成されている。この回転式空気予熱器においては、一定の速度で蓄熱回転体を回転させながら、一方の周方向半分の区画では燃焼排ガスの熱を回収して蓄熱回転体の半分に熱を貯える(蓄熱)とともに、蓄熱回転体の他の周方向半分の区画では、貯えられた熱により燃焼用空気を加熱する(放熱)。このようにして、前述の蓄熱と放熱とを交互に繰り返すことで、燃焼用空気を連続的に加熱することができる。
【0003】
従来の回転式空気予熱器の一例としては、例えば下記の特許文献1,2に記載のものが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4−59559号公報
【特許文献2】特許第4434674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボイラシステムでは、ボイラからの燃焼排ガスに対して脱硝装置にてアンモニア(NH)を噴霧し、脱硝触媒のもとで燃焼排ガス中に含まれるNOxを還元反応で分解して除去する脱硝工程を行う。しかしながら、このような脱硝工程において、燃焼排ガス中のSOxと添加されたアンモニアが反応して酸性硫安(酸性硫酸アンモニウム)が発生する場合がある。酸性硫安が析出する温度は、燃焼排ガス中の成分濃度にも影響されるが、280℃レベル以下では酸性硫安が発生して析出し易くなる。発明者らの状況分析の結果、ボイラシステムからの燃焼排ガスが流通する系統で、脱硝装置より下流側に設けられた熱交換器では、特に、230〜260℃の温度領域においては酸性硫安が生成され析出し始めて、燃焼排ガスに接触する伝熱面等に付着し堆積することがある。
【0006】
脱硝装置の燃焼排ガス流れの下流側に配置された回転式空気予熱器において、燃焼用空気流通側の回転の後半部では、熱交換によって温度が低下して230〜260℃の温度領域の部分から酸性硫安が析出・堆積しやすくなる。これにより、回転式空気予熱器のエレメントに閉塞が発生して伝熱性能の低下と圧力損出の増加を生じる場合がある。
【0007】
図6図7には、従来(特許文献2)の回転式空気予熱器の構成を示している。燃焼用空気路空間143においては、回転が進むにつれて蓄熱された熱エネルギが燃焼用空気に奪われるため、回転方向における前半部より後半部の方が温度は低くなる。例えば、燃焼用空気路空間143の上面において、回転式熱交換器141の回転方向における最前端部(図6中のa点)の温度は300℃程度となっている。一方、回転式熱交換器141の回転方向における最後端部(図6中のb点)の温度は100℃程度となっている。このことから、燃焼用空気路空間143においては、酸性硫安が発生して析出し始めやすい230〜〜260℃の温度領域が存在していることがわかる。従って、燃焼用空気路空間143においては、回転式熱交換器141の回転方向における後半において酸性硫安の堆積が起きやすいことがわかる。
【0008】
このような酸性硫安等の堆積物による回転式空気予熱器の閉塞を防止するため、特許文献1では、酸性硫安発生域にあたる中・低温部エレメントへ高温ガスをバイパスさせてエレメントを加熱している。これにより、付着した酸性硫安を離脱・除去している。
【0009】
一方、特許文献2には、蓄熱回転体に付着したフライアッシュ等の付着物を除去するため、蓄熱回転体の燃焼用空気路側に高圧空気又は水蒸気によるスートブローを行うための洗浄管を蓄熱回転体の半径方向に沿って設けた構造が開示されている。
【0010】
従来(特許文献2)の回転式空気予熱器104においては、図6,7に示すように、回転式熱交換器141の燃焼用空気路空間143の中間部の下方には、回転式熱交換器141の半径方向に延びるように洗浄管109が設けられている。この洗浄管109には、高圧空気又は水蒸気を噴き付けるノズル110が、回転式熱交換器141の半径方向に沿って配設されている。このノズル110から高圧空気や水蒸気を噴き付けることで、燃焼用空気路空間143に析出・堆積した付着物を吹き飛ばすように構成されている。
【0011】
しかしながら、上記の特許文献1,2のような方法では、酸性硫安の除去効率が悪かった。また、特許文献2の方法では、多量の高圧空気や水蒸気を用いる必要もあり、エネルギの消費量が多いという問題もあった。
【0012】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、効率良く省エネルギで酸性硫安による閉塞を防止することができる回転式空気予熱器及び回転式空気予熱器の閉塞防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示の幾つかの実施形態に係る回転式空気予熱器は、ボイラから排出される燃焼排ガスの熱量の一部を蓄熱し、外部から送気される空気に放熱することで前記空気を予熱し、前記空気を前記ボイラに供給する回転式熱交換器と、前記回転式熱交換器の前記空気が流通する空気側領域のうち、前記回転式熱交換器の回転方向における前記空気側領域の周方向中間位置よりも後方の位置に、300℃以上の高温ガスを噴き付けるノズルと、を備える。
【0014】
本開示の幾つかの実施形態に係る回転式空気予熱器は、300℃以上の高温ガスを回転式熱交換器に噴き付けるノズルを備えているため、回転式熱交換器に析出・堆積した酸性硫安を熱分解させて除去することができる。特に、このノズルは酸性硫安の析出・堆積が起きやすい領域である、回転式熱交換器の回転方向における空気側領域の中間位置よりも後方の位置に高温ガスを噴き付けるため、酸性硫安の除去効率を高めることができる。これにより、効率良く省エネルギで回転式空気予熱器の酸性硫安による閉塞を防止することができる。
【0015】
上記実施形態において、前記ノズルは、前記高温ガスを噴出す複数の噴出孔が前記回転式熱交換器の周方向の所定の範囲に延びて配置される先端部を備えることが好ましい。
【0016】
ノズルから高温ガスを噴出す複数の噴出孔が、回転式熱交換器の周方向の所定の範囲に延びた配置であれば、回転式熱交換器の回転方向(周方向)において、幅領域に高温ガスを噴き付けて高温化することができる。従って、回転式空気予熱器の酸性硫安による閉塞を確実に防止することができる。周方向の所定の範囲とは、1つの噴出孔から高温ガスを噴出す場合に比べて、複数の噴出孔により高温ガスを噴出す範囲が周方向に幅広くなる(例えば、回転式熱交換器の外周長の1/100から1/4倍の範囲)ように配置されることを示す。
【0017】
上記実施形態において、前記ノズルの先端部の形状は、前記回転式熱交換器の周方向に沿って曲げられた円弧状であることが好ましい。
【0018】
ノズルの先端部の形状が回転式熱交換器の周方向に沿って曲げられた円弧状であれば、特に回転式熱交換器の回転方向(周方向)における、より広い領域に高温ガスを噴き付けて高温化することができる。従って、回転式空気予熱器の酸性硫安による閉塞をより確実に防止することができる。
【0019】
上記実施形態において、前記回転式空気予熱器は、前記ノズルの先端部を前記回転式熱交換器の半径方向に往復動させる往復動機構を備えることが好ましい。
【0020】
往復動機構を備えることにより、ノズルを回転式熱交換器の半径方向に往復動させることができる。これにより、特に回転式熱交換器の半径方向における、より広い領域に高温ガスを噴き付けて高温化することができる。従って、回転式熱交換器の酸性硫安による閉塞を、少流量の高温ガスでより確実に防止することができる。
【0021】
上記実施形態において、前記高温ガスを噴き付けるノズルの代わりに、ガスバーナノズルを備えることが好ましい。
【0022】
ノズルがガスバーナノズルであれば、高温ガスを製造したり抽気したりする必要がなく、簡易な設備で酸性硫安の析出と回転式熱交換器の閉塞を防止することができる。また、ガスバーナノズルと回転式熱交換器との距離を、回転式熱交換器表面付近の温度が300℃以上となるような距離に設定することで、回転式熱交換器の焼損を防止することができる。
【0023】
本開示の幾つかの実施形態に係るボイラシステムは、ボイラと、該ボイラから排出される燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、上述の幾つかの実施形態に係る回転式空気予熱器と、を備える。
【0024】
本開示の幾つかの実施形態に係るボイラシステムは、上述の従来よりも効率良く省エネルギで酸性硫安による閉塞を防止することができる回転式空気予熱器を備えている。従って、省エネルギかつ効率の良いボイラシステムとなる。
【0025】
本開示の幾つかの実施形態に係る回転式空気予熱器の閉塞防止方法は、ボイラからの燃焼排ガスの熱量の一部を蓄熱し、外部から送気される空気に放熱することで前記空気を予熱し、前記空気を前記ボイラに供給する回転式熱交換器を備え、前記回転式熱交換器の前記空気が流通する空気側領域の閉塞を防止する回転式空気予熱器の閉塞防止方法において、前記回転式熱交換器の回転方向における前記空気側領域の周方向中間位置よりも後方の位置に、ノズルにより300℃以上の高温ガスを噴き付ける工程を有する。
【0026】
本開示の幾つかの実施形態に係る回転式空気予熱器の閉塞防止方法においては、300℃以上の高温ガスを回転式熱交換器に噴き付ける噴き付け工程を有しているため、回転式熱交換器に析出・堆積した酸性硫安を熱分解させて除去することができる。特に、酸性硫安の析出・堆積が起きやすい領域である、回転式熱交換器の回転方向における空気側領域の中間位置よりも後方の位置に高温ガスを噴き付けるため、酸性硫安の除去効率を高めることができる。これにより、効率良く省エネルギで回転式空気予熱器の酸性硫安による閉塞を防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本開示の回転式空気予熱器及び回転式空気予熱器の閉塞防止方法によれば、従来よりも効率良く省エネルギで回転式空気予熱器の酸性硫安による閉塞を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の一実施形態に係る回転式空気予熱器を備えるボイラシステムの構成を示す概略的な系統図である。
図2】本開示の一実施形態に係る回転式空気予熱器の構成を模式的に示す斜視図である。
図3図2の回転式空気予熱器をB−B視した(下から見た)略底面図である。
図4】燃焼排ガスの差圧に対する、高温ガスの流量及び温度の関係を表すグラフである。
図5】本開示の別の一実施形態に係る回転式空気予熱器の構成を模式的に示す側断面図である。
図6】従来の回転式空気予熱器の構成を模式的に示す斜視図である。
図7図6の回転式空気予熱器をA−A視した(下から見た)略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本開示に係る回転式空気予熱器及び回転式空気予熱器の閉塞防止方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、図の説明において、紙面上方や紙面下方は必ずしも鉛直上側方向や鉛直下側方向に合致する必要はない。
【0030】
〔回転式空気予熱器〕
以下、本開示の一実施形態に係る回転式空気予熱器について、図1図3を用いて説明する。
図1は本開示の一実施形態に係る回転式空気予熱器を備えるボイラシステムの構成を示す概略的な系統図である。
【0031】
図1に示すように、ボイラシステム1は、ボイラ2と、ボイラ2から排出される燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元反応で分解して除去する脱硝装置3と、後述する本開示の一実施形態に係る回転式空気予熱器4と、を備える。ボイラ2にはバーナ21が設けられており、S(硫黄)分を含む燃料がバーナ21で燃焼されて、ボイラ2内に高温の燃焼排ガスが発生する。この燃焼排ガスは、ボイラ2の熱交換器(不図示)内を流れる流体(水や蒸気)と熱交換して温度が低下した後、燃焼排ガスは脱硝装置3を通過する。脱硝装置3では、燃焼排ガス中にアンモニア(NH)が噴霧(注入)され、脱硝触媒にてNOxが還元反応で分解され除去される。その後、燃焼排ガスは回転式空気予熱器4に導かれ、押込通風機5から流入し、バーナ21へ供給される燃焼用空気と熱交換され、燃焼用空気は予熱される。
【0032】
燃焼用空気と熱交換されて温度が低下した燃焼排ガスは、集塵機6に導かれる。集塵機6にて燃焼灰や未燃分等が除去された後、誘引通風機7によって煙突8に導かれ、煙突8から大気中に排出される。
【0033】
次に、本開示の一実施形態に係る回転式空気予熱器についてより詳細に説明する。図2は本開示の一実施形態に係る回転式空気予熱器の構成を模式的に示す斜視図であり、図3は回転式空気予熱器をB−B視した(紙面下方向から見た)略底面図である。
【0034】
図2に示すように、本開示の一実施形態に係る回転式空気予熱器4は、例えば直径15mの円筒形状の回転式熱交換器41と、その中心部に配設された回転軸42とを有している。回転式熱交換器41の内部は軸方向に縦に2分割され、紙面下方側から紙面上方側に燃焼用空気が流れる燃焼用空気路空間(空気側領域)43と、紙面上方側から紙面下方側に燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス路空間(排ガス側領域)44とに区画されている。
本実施形態の回転式空気予熱器4は、ボイラ2から排出される燃焼排ガスを燃焼排ガス路空間44に導くことで、燃焼排ガスの熱量の一部を回転式熱交換器41に蓄熱する。また外部から送気される空気を燃焼用空気路空間43に導くことで、回転式熱交換器41から放熱して空気を予熱し、この予熱された空気をボイラ2に供給する。
なお、図示していないが、回転式熱交換器41の内部においては、回転軸42の周りに複数の回転隔壁が配設されており、これらの回転隔壁は回転軸42とともに回転できるように構成されている。また、回転式熱交換器41の回転は、一定の速度で回転するように設定されており、例えば1分間に1回転程度となるように設定されている。
【0035】
図2に示すように、回転式熱交換器41の紙面下方側には、回転式熱交換器41の半径方向に延びるように洗浄管9が設けられている。この洗浄管9の回転式熱交換器41の回転軸42側には、300℃以上の高温ガスを噴き付けるノズル10が設けられている。ノズル10の先端部10aには、高温ガスを噴出す複数の噴出孔12が、回転式熱交換器41の周方向の所定の範囲に延びた配置となっていて、回転式熱交換器41の回転方向(周方向)において、幅領域に高温ガスを噴き付けるようになっている。また、ノズル10の先端部10aの形状は、回転式熱交換器41の周方向に沿って曲げられた円弧状となっていてもよい。このノズル10の先端部10aには、回転式熱交換器41に向かい所定間隔をあけて複数の噴出孔12が形成されている。ノズル10は、回転式熱交換器41の空気が流通する部分のうち、回転式熱交換器41の回転方向における燃焼用空気路空間(空気側領域)43の中間位置よりも後方の位置に、300℃以上の高温ガスを周方向の所定の範囲に噴き付けるように構成されている。ノズル10の径は、例えば60〜80Aである。なお、周方向の所定の範囲とは、1つの噴出孔から高温ガスを噴出す場合に比べて、複数の噴出孔により高温ガスを噴出す範囲が周方向に幅広くなるように配置される範囲のことを示す。本実施形態での周方向の所定の範囲は、例えば、回転式熱交換器41の外周長の1/100から1/4倍の範囲としてもよい。回転式熱交換器41の外周長の1/4倍は、燃焼用空気が流れる燃焼用空気路空間43の中間位置に相当し、周方向の所定の範囲はこれを超える必要はない。
【0036】
ノズル10から回転式熱交換器41に向けて噴き出す高温ガスの流量は、出口圧力が燃焼用空気路空間43内の圧力とほぼ同一となることから、燃焼用空気の通過断面とノズル10における高温ガスの通過断面との比で表すことができる。つまり、噴き出す高温ガスの流量は、燃焼用空気の流量と比較して1%にも満たない。従って、燃焼用空気路空間43内に高温ガスを噴き出すことによる燃焼用空気に対する影響はほとんどないと言える。
【0037】
高温ガスの温度は300℃以上であればよいが、より短時間で酸性硫安を除去できた方が良いため、好ましくは350℃以上である。また、高温ガスの温度の上限は特に限定されないが、回転式熱交換器41の運用温度を考慮すると、例えば500℃以下、好ましくは450℃以下である。また、高温ガスの熱源としては、エコノマイザー入口付近の燃焼排ガス、又は電熱ヒータもしくはガスバーナによって熱せられた空気等を挙げることができる。
【0038】
また、洗浄管9は、ノズル10の先端部10aを回転式熱交換器41の半径方向に往復動させる往復動機構(アクチュエータ)11を備えている。ノズル10を往復動させる周期は任意(回転式熱交換器41の回転周期と同期する必要はない)であり、特に限定されない。即ち、回転式熱交換器41が1回転する毎にノズル10の位置を変更してもよいし、1,2回転時にはノズル10の位置を変更せず、3回転時以降にノズル10の位置を変更するというような不定期でノズル10の位置を変更してもよい。回転式熱交換器41が数回転する間に、回転式熱交換器41の全体に対して高温ガスが噴き付けられるよう、ノズル10の位置を変更して移動させるとさらに好ましい。
【0039】
なお、噴き付ける高温ガスの温度や流量を上昇させることで、酸性硫安の除去効果を高めることができるが、設備的な対応のしやすさからは、高温ガスの温度を上昇させる前に高温ガスの流量を上昇させ、次の改善として高温ガスの温度を上昇させることが好ましい。
【0040】
ここで、図4を示して高温ガスの温度を上昇させる前に高温ガスの流量を上昇させる場合の制御の一例について説明する。以下で説明する制御は、回転式空気予熱器に設けられた制御部によって行われる。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0041】
図4は、燃焼排ガスの差圧に対する、高温ガスの流量及び温度の関係を表すグラフである。図4の横軸は回転式熱交換器41を流通する前後の燃焼排ガスの差圧(図2中のΔP)を示し、縦軸は熱源である高温ガスの温度(℃)又は流量(Nm/h)を示す。また、図4のグラフ中の実線は高温ガスの流量を示し、一点鎖線は高温ガスの温度を示す。
【0042】
図4に示す本実施形態での一例としての制御においては、まず、高温ガスの目標温度を400℃に設定している。ここで、燃焼排ガスの差圧ΔPが小さい場合においても、高温ガスを常時少量(Min流量:QMin)流すように制御を行う。このような制御により、脱硝装置3で脱硝反応に寄与せずに後流側へと搬送されるリークアンモニアが発生した場合であっても、アンモニアの急増による酸性硫安の急速な析出と回転式熱交換器41の閉塞の発生が抑制される。
【0043】
図4の横軸において、燃焼排ガスの差圧ΔPが一定の値以上に上昇してきた場合、燃焼用空気路空間43に酸性硫安が析出し、回転式熱交換器41の一部に閉塞が発生し始めたと判断する。そこで、高温ガスの流量を上昇させ、目標流量(Q)になるように調節する(図4中の両端矢印Cで示す領域)。
【0044】
高温ガスの流量を上昇させても燃焼排ガスの差圧ΔPが低下せず、燃焼排ガスの差圧ΔPがさらに上昇して特定の値を超えた場合、回転式熱交換器41の閉塞がさらに進み今後も閉塞が発生し続けると判断して、次に高温ガスの温度を一時的に上昇させ、450〜500℃程度となるように調節する(図4中の矢印Dで示す位置での制御)。
その後、燃焼排ガスの差圧ΔPが低下すれば、逆の制御を行う。即ち、燃焼排ガスの差圧ΔPが低下して特定の値を下回ると、高温ガスの温度を400℃へ戻し、燃焼排ガスの差圧ΔPが一定の値未満に低下した場合には、高温ガスの流量を減少させて少量(Min流量:QMin)を流すように制御を行う。
一方、高温ガスの流量を最大流量にするとともに高温ガスの温度を上昇させ、所定時間経過しても燃焼排ガスの差圧ΔPが低下しない場合は、警報を発してオペレータによる対応判断を行う。
【0045】
次に、本開示の別の一実施形態に係る回転式空気予熱器の一例について説明する。図5は、本開示の別の一実施形態に係る回転式空気予熱器の構成を模式的に示す側断面図である。図5に示す回転式空気予熱器4は、ノズル10がガスバーナ(ダクトバーナ)ノズルであること以外は図2と同様である。このように、ノズル10としてガスバーナノズル210を採用することもできる。この場合、熱源は、洗浄管209より導入した燃料ガス(ボイラ2のバーナ21で使用される燃料ガス、天然ガス、プロパンガスなど)をガスバーナノズル210で燃焼させて発生する燃焼ガス(高温ガス)となる。
【0046】
なお、回転式熱交換器41とノズル10との距離は、回転式熱交換器41の紙面下表面付近において燃焼ガス(高温ガス)と接触する部分での温度が300℃以上(好ましくは400℃程度)で、回転式熱交換器41が局部変形や焼損をしない耐熱温度(約500℃)以下(さらに好ましくは450℃以下)となるように設定しておく。
【0047】
〔回転式空気予熱器の閉塞防止方法〕
次に、本開示の回転式空気予熱器の閉塞防止方法の一例について説明する。
本開示の幾つかの実施形態に係る回転式空気予熱器の閉塞防止方法は、上述の回転式熱交換器41と、上述のノズル10,210と、を備える回転式空気予熱器4の閉塞防止方法である。この方法は、回転式熱交換器41のボイラ2に供給する空気が流通する燃焼用空気路空間43における、周方向の中間位置よりも回転式熱交換器41の回転方向の後方側の位置に、ノズル10,210により300℃以上の高温ガスを噴き付ける噴き付け工程を有する。
【0048】
なお、以下では、図2に示す回転式空気予熱器4において、本開示の回転式空気予熱器の閉塞防止方法を適用する場合を一例として説明するが、これに限定されない。即ち、図5に示す回転式空気予熱器4に本開示の回転式空気予熱器の閉塞防止方法を適用してもよい。
【0049】
(噴き付け工程)
噴き付け工程においては、回転式熱交換器41のボイラ2に供給する空気が流通する部分における、燃焼用空気路空間43の周方向の中間位置よりも回転式熱交換器41の回転方向の後方側の位置に、ノズル10により300℃以上の高温ガスを紙面下方向から噴き付ける。この際、ノズル10の先端部10aを回転式熱交換器41の半径方向に往復動させて、回転式熱交換器41が数回転する間に、回転式熱交換器41の全体に対して高温ガスが噴き付けられるよう、ノズル10の位置を変更して移動させる。
【0050】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記したように、本実施形態の回転式空気予熱器4は、300℃以上の高温ガスを回転式熱交換器41に噴き付けるノズル10を備えているため、回転式熱交換器41に析出・堆積した酸性硫安を熱分解させて除去することができる。特に、このノズル10は酸性硫安が発生して析出・堆積し始めやすい回転式熱交換器41の回転方向における燃焼用空気路空間43の周方向の中間位置よりも後方の位置に高温ガスを噴き付けることで、噴き付けられた部分が、酸性硫安が析出し始めやすい温度域(230℃〜260℃)より高い温度に加熱されるとともに、高温ガスの流れを与えることができるため、酸性硫安の熱分解によって酸性硫安の除去効率を高めることができる。従って、従来よりも効率良く省エネルギで回転式空気予熱器4の回転式熱交換器41への酸性硫安による閉塞を防止することができる。
【0051】
また、ノズル10の先端部10aの形状が回転式熱交換器41の周方向に沿って曲げられた円弧状であれば、特に回転式熱交換器41の回転方向(周方向)における、より広い領域に高温ガスを噴き付けて高温化することができる。従って、回転式空気予熱器4の回転式熱交換器41の酸性硫安による閉塞をより確実に防止することができる。
【0052】
また、往復動機構11を備えることにより、ノズル10を回転式熱交換器41の半径方向に往復動させることができる。これにより、特に回転式熱交換器41の半径方向における、より広い領域に高温ガスを噴き付けて高温化することができる。従って、回転式空気予熱器4の回転式熱交換器41の酸性硫安による閉塞を、少流量の高温ガスでより確実に防止することができる。特に、円弧状のノズル10を往復動機構11により回転式熱交換器41の半径方向に往復動させることで、回転式熱交換器41の周方向と半径方向における広い領域の酸性硫安を除去することができる。
【0053】
また、ノズル10がガスバーナノズルであれば、高温ガスを製造したり抽気したりする必要がなく、簡易な設備で酸性硫安の析出と回転式空気予熱器4の回転式熱交換器41の閉塞を防止することができる。また、酸性硫安の析出と回転式熱交換器41の閉塞を防止するため、ガスバーナノズル210と回転式熱交換器41との距離は、回転式熱交換器41表面付近においての温度が300℃以上で耐熱温度以下となるような距離に設定する。
【0054】
また、本開示のボイラシステム1は、上述の従来よりも効率良く省エネルギで酸性硫安による閉塞を防止することができる回転式空気予熱器4を備えている。従って、省エネルギかつ効率の良いボイラシステム1となる。
【0055】
また、上記したように、本実施形態の回転式空気予熱器の閉塞防止方法においては、300℃以上の高温ガスを回転式熱交換器41に噴き付ける噴き付け工程を有しているため、回転式熱交換器41に析出・堆積した酸性硫安を熱分解させて除去することができる。特に、酸性硫安の析出・堆積が起きやすい回転式熱交換器41の回転方向における燃焼用空気路空間43の中間位置よりも後方の位置に高温ガスを噴き付けるため、酸性硫安の除去効率を高めることができる。従って、従来よりも効率良く省エネルギで回転式空気予熱器4の酸性硫安による閉塞を防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ボイラシステム
2 ボイラ
3 脱硝装置
4 回転式空気予熱器
5 押込通風機
6 集塵機
7 誘引通風機
8 煙突
9、209 洗浄管
10 ノズル
10a 先端部
11 往復動機構
12 噴出孔
21 バーナ
41 回転式熱交換器
42 回転軸
43 燃焼用空気路空間(空気側領域)
44 燃焼排ガス路空間(排ガス側領域)
210 ガスバーナノズル(ノズル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7