【解決手段】磁気検出装置1は、基板10と、基板10に形成された凹部14と、凹部14に設けられた第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bと、凹部14内に配置された第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22と、を有する。凹部14は、底面14aと、底面14aから起立した側面14bとを含む。第1ヨーク部30Aは、第3側面14eに設けられた第1側面ヨーク部31を有し、第1側面ヨーク部31により受けた磁束を第1磁気検出素子21に向けて誘導する。第2ヨーク部30Bは、第4側面14fに設けられた第2側面ヨーク部33を有し、第2側面ヨーク部33により受けた磁束を第2磁気検出素子22に向けて誘導する。
前記底面ヨーク部は、前記底面ヨーク部が誘導する磁束が前記底面ヨーク部から外部に流れるときに前記磁束が前記磁気検出素子の磁気検出面と直交するように構成されている
請求項2又は3に記載の磁気検出装置。
前記底面ヨーク部は、前記底面ヨーク部が誘導する磁束が前記底面ヨーク部から外部に流れるときに前記磁束が前記磁気検出素子の磁気検出面と直交するように構成されている
請求項18に記載の磁気検出装置。
前記第1底面ヨーク部は、前記第1底面ヨーク部が誘導する磁束が前記第1底面ヨーク部から外部に流れるときに前記磁束が前記第1磁気検出素子の磁気検出面に直交するように構成され、
前記第2底面ヨーク部は、前記第2底面ヨーク部が誘導する磁束が前記第2底面ヨーク部から外部に流れるときに前記磁束が前記第2磁気検出素子の磁気検出面に直交するように構成されている
請求項23に記載の磁気検出装置。
前記基板の厚さ方向から見て、前記第3底面ヨーク部及び前記第4底面ヨーク部が延びる方向と、前記第1底面ヨーク部及び前記第2底面ヨーク部が延びる方向とは直交している
請求項27に記載の磁気検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、磁気検出装置の実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0014】
本明細書において、「部材Aが部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bとが物理的に直接的に接続される場合、並びに、部材A及び部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
【0015】
同様に、「部材Cが部材Aと部材Bとの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが直接的に接続される場合、並びに、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
【0016】
(第1実施形態)
図1〜
図8を参照して、第1実施形態の磁気検出装置1について説明する。
図1は、磁気検出装置1の要部平面図である。
図1の磁気検出装置1において、図中の左右方向を横方向Xと規定し、図中の上下方向を縦方向Yと規定し、横方向X及び縦方向Yと直交する紙面奥行き方向を厚さ方向Zと規定する。
【0017】
図1〜
図3に示すように、磁気検出装置1は、基板10、半導体装置20、及び封止樹脂40(
図2参照)を有する。本実施形態では、磁気検出装置1は、電子機器の回路基板(図示略)に表面実装される形式の磁気センサである。本実施形態の磁気検出装置1は、横方向Xの寸法が2mm、縦方向Yの寸法が2.5mm、及び厚さ方向Zの寸法が0.4mmの平板矩形状に形成されている。なお、磁気検出装置1の平面視の形状は、横方向Xの寸法と縦方向Yの寸法とが互いに等しい正方形であってもよい。
図1では、説明の便宜上、半導体装置20を二点鎖線によって示し、封止樹脂40を省略して示している。
【0018】
基板10は、磁気検出装置1の基礎となる部材である。基板10は、単結晶材料である半導体材料からなる。本実施形態では、基板10は、シリコン(Si)の単結晶材料からなる。
図1に示すとおり、基板10は、磁気検出装置1の平面視(以下、単に平面視)において矩形状に形成されている。基板10には、半導体装置20が搭載されている。
【0019】
基板10は、主面11、裏面12(
図2参照)、及び外側面13を有する。また基板10には、主面11から裏面12に向けて凹む凹部14が設けられている。
主面11は、
図2及び
図3において基板10の上面である。主面11は、磁気検出装置1が電子機器の回路基板に実装される場合に利用される実装面である。裏面12は、
図2および
図3における基板10の下面である。裏面12は、磁気検出装置1が電子機器の回路基板に実装されたときに上方を向くようになる。主面11及び裏面12は、厚さ方向Zと直交する方向に延びている。本実施形態では、主面11は、結晶面において(100)面である。なお、この実装面が下面になる場合もある。この場合、基板10の主面11が下面となり、裏面12が上面となる。
【0020】
図1〜
図3に示すように、外側面13は、厚さ方向Zにおいて主面11と裏面12との間に挟まれた面であって、磁気検出装置1の外枠を構成する4つの面である。外側面13は、横方向Xに沿って延びる2つの第1外側面13A及び第2外側面13Bと、縦方向Yに沿って延びる2つの第3外側面13C及び第4外側面13Dとを含む。第1外側面13Aは、基板10の縦方向Yの一方側の側面を構成し、第2外側面13Bは、基板10の縦方向Yの他方側の側面を構成している。第1外側面13A及び第2外側面13Bは互いに平行である。第3外側面13Cは、基板10の横方向Xの一方側の側面を構成し、第4外側面13Dは、基板10の横方向Xの他方側の側面を構成している。第3外側面13C及び第4外側面13Dは互いに平行である。第3外側面13Cは、第1外側面13A及び第2外側面13Bの横方向Xの一方側の端部において第1外側面13A及び第2外側面13Bを繋いでいる。第4外側面13Dは、第1外側面13A及び第2外側面13Bの横方向Xの他方側の端部において第1外側面13A及び第2外側面13Bを繋いでいる。
【0021】
また、主面11は、凹部14を囲む枠状に形成されている。
図1に示すとおり、主面11は、横方向Xに延びる第1主面11A及び第2主面11Bと、縦方向Yに延びる第3主面11C及び第4主面11Dとを含む。第1主面11Aは、第1外側面13A側に設けられ、第2主面11Bは第2外側面13B側に設けられている。第3主面11Cは、第3外側面13C側に設けられ、第4主面11Dは、第4外側面13D側に設けられている。
図1に示すとおり、第1主面11A及び第2主面11Bの幅寸法(縦方向Yの寸法)は、互いに等しく、第3主面11C及び第4主面11Dの幅寸法(横方向Xの寸法)は、互いに等しい。また本実施形態では、第1主面11A(第2主面11B)の幅寸法は、第3主面11C(第4主面11D)の幅寸法よりも大きい。
【0022】
図1〜
図3に示すように、凹部14は、厚さ方向Zにおいて基板10を貫通していない。すなわち凹部14は、底面14aと、底面14aから起立する側面14bとを含む。底面14aは、平面視において矩形状に形成されている。本実施形態では、底面14aの平面視の形状は、正方形である。底面14aは、厚さ方向Zに直交する方向に延びる平坦面である。側面14bは、底面14a及び主面11に繋がる面である。側面14bは、主面11及び底面14aに対して傾斜している。本実施形態では、側面14bの主面11及び底面14aに対する傾斜角θ(
図2参照)は、54.74°である。側面14bの幅寸法(側面14bの長手方向の寸法)は、底面14aから主面11に向かうにつれて大きくなる。
【0023】
側面14bは、平面視における底面14aの各辺に繋がる4つの側面である第1側面14c、第2側面14d、第3側面14e、及び第4側面14fを含む。第1側面14cは、底面14aと第1主面11Aとを繋ぎ、第2側面14dは、底面14aと第2主面11Bとを繋ぎ、第3側面14eは、底面14aと第3主面11Cとを繋ぎ、第4側面14fは、底面14aと第4主面11Dとを繋いでいる。
【0024】
基板10の主面11と、凹部14の底面14a及び側面14bとには、絶縁層15(
図2参照)が設けられている。絶縁層15は、電気絶縁性を有する被膜であり、主面11と、凹部14の底面14a及び側面14bとの全体を覆うように形成されている。本実施形態では、絶縁層15は、酸化シリコン(SiO
2)からなる。また本実施形態では、絶縁層15の厚さは、1.2μm以上かつ2.2μm以下である。
【0025】
絶縁層15上には、4つの導電層である第1導電層16A、第2導電層16B、第3導電層16C、及び第4導電層16Dが設けられている。これら導電層16A〜16Dは、半導体装置20と、電子機器の回路基板(図示略)との導電経路の一部を構成している。本実施形態では、各導電層16A〜16Dの厚さは、5μmである。第1導電層16A及び第2導電層16Bは、第1主面11A、第1側面14c、及び底面14aにわたり形成されている。第3導電層16C及び第4導電層16Dは、第2主面11B、第2側面14d、及び底面14aにわたり形成されている。第1導電層16Aと第2導電層16Bとは、縦方向Yに沿った仮想線C1を中心とした線対称形状となる。第3導電層16C及び第4導電層16Dとは、仮想線C1を中心とした線対称形状となる。第1導電層16Aと第3導電層16Cとは、横方向Xに沿った仮想線C2を中心とした線対称形状となる。第2導電層16Bと第4導電層16Dとは、仮想線C2を中心とした線対称形状となる。
【0026】
各導電層16A〜16Dは、絶縁層15に接して形成され、互いに積層されたバリア層19A、シード層19B、及びメッキ層19Cを有する。
図4に示すように、絶縁層15に接しているバリア層19Aが基板10から最も近い位置に形成されている。シード層19Bは、バリア層19Aとメッキ層19Cとの間に介在している。本実施形態では、バリア層19Aは、チタン(Ti)からなる。本実施形態のバリア層19Aの厚さは、シード層19Bの厚さ及びメッキ層19Cの厚さよりも薄い。なお、バリア層19Aの厚さは、シード層19Bの厚さと等しくてもよい。またシード層19B及びメッキ層19Cはそれぞれ、銅(Cu)からなる。メッキ層19Cの厚さは、シード層19Bの厚さよりも十分に厚い。
【0027】
図1に示すように、第1導電層16Aにおいて第1主面11Aに設けられた部分16sには、第1端子17Aが設けられている。第2導電層16Bにおいて第1主面11Aに設けられた部分16tには、第2端子17Bが設けられている。第3導電層16Cにおいて第2主面11Bに設けられた部分16uには、第3端子17Cが設けられている。第4導電層16Dにおいて第2主面11Bに設けられた部分16vには、第4端子17Dが設けられている。これら端子17A〜17Dは、本実施形態では、円柱状に形成されている。なお、各端子17A〜17Dの形状は任意に変更可能であり、例えば角柱状に形成されてもよい。また各端子17A〜17Dは、銅(Cu)からなる。第1端子17A〜第4端子17Dのそれぞれには、磁気検出装置1の外部電極となる電極パッド41(
図3参照)が電気的に接続されている。
【0028】
第1導電層16Aにおいて底面14aに設けられた部分16wには、第1接合層18Aが設けられている。第2導電層16Bにおいて底面14aに設けられた部分16xには、第2接合層18Bが設けられている。第3導電層16Cにおいて底面14aに設けられた部分16yには、第3接合層18Cが設けられている。第4導電層16Dにおいて底面14aに設けられた部分16zには、第4接合層18Dが設けられている。これら接合層18A〜18Dは、本実施形態では、四角柱状に形成されている。なお、各接合層18A〜18Dの形状は任意に変更可能であり、例えば円柱状に形成されてもよい。また本実施形態では、各接合層18A〜18Dは、チタン銅合金(Ti/Cu)、銅(Cu)、及びニッケル(Ni)が互いに積層されて構成されている。チタン銅合金は、各接合層18A〜18Dのうち最も基板10側に設けられている。銅(Cu)は、チタン銅合金とニッケルとの間に介在している。銅は、チタン銅合金に積層される第1層と、第1層上に積層される第2層とを含む。第2層の銅の面積は、第1層の銅の面積よりも小さい。各接合層18A〜18D上には、例えば半田(SnAg)が塗布されている。本実施形態では、チタン銅合金のうちチタン(Ti)の厚さが0.18μmであり、チタン銅合金のうち銅(Cu)の厚さが0.8μmである。また、第1層の銅の厚さが5μmであり、第2層の銅の厚さが4μmである。また、ニッケルの厚さが3μmである。また、半田の厚さは10μmである。
【0029】
基板10は、ヨーク部30を有する。ヨーク部30は、凹部14に設けられている。ヨーク部30は、第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bを有する。第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bはそれぞれ、軟磁性材料からなる。第1ヨーク部30Aは、第3側面14e及び底面14aにわたり形成されている。第2ヨーク部30Bは、第4側面14f及び底面14aにわたり形成されている。第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bは、仮想線C1を中心とした線対称形状である。本実施形態では、第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bの厚さはそれぞれ、5μmである。
【0030】
第1ヨーク部30Aは、第1側面ヨーク部31及び第1底面ヨーク部32を有する。
第1側面ヨーク部31は、基板10の凹部14の第3側面14eに設けられている。本実施形態では、第1側面ヨーク部31は、第3側面14eの概ね全体にわたり形成されている。すなわち第1側面ヨーク部31は、その縦方向Yの寸法が底面14aから第3主面11Cに向かうにつれて大きくなる。第1側面ヨーク部31は、厚さ方向Zに直交する一方向である横方向Xに投影される面積が、平面視における第1底面ヨーク部32の面積よりも大きくなるように形成されている。
【0031】
第1底面ヨーク部32は、凹部14の底面14aに設けられている。第1底面ヨーク部32は、第1側面ヨーク部31の縦方向Yの中央に接続されている。本実施形態では、第1底面ヨーク部32は、横方向Xに沿って延びている。第1底面ヨーク部32の幅寸法(縦方向Yの寸法)は、第1側面ヨーク部31の縦方向Yの寸法の最小値よりも小さい。
【0032】
第2ヨーク部30Bは、第2側面ヨーク部33及び第2底面ヨーク部34を有する。
第2側面ヨーク部33は、基板10の凹部14の第4側面14fに設けられている。本実施形態では、第2側面ヨーク部33は、第4側面14fの概ね全体にわたり形成されている。すなわち第2側面ヨーク部33は、その縦方向Yの寸法が底面14aから第4主面11Dに向かうにつれて大きくなる。平面視における第2側面ヨーク部33の面積は、平面視における第1側面ヨーク部31の面積と等しい。第2側面ヨーク部33は、厚さ方向Zに直交する一方向である横方向Xに投影される面積が、平面視における第2底面ヨーク部34の面積よりも大きくなるように形成されている。
【0033】
第2底面ヨーク部34は、凹部14の底面14aに設けられている。第2底面ヨーク部34は、第2側面ヨーク部33の縦方向Yの中央に接続されている。本実施形態では、第2底面ヨーク部34は、横方向Xに沿って延びている。第2底面ヨーク部34の幅寸法(縦方向Yの寸法)は、第2側面ヨーク部33の縦方向Yの寸法の最小値よりも小さい。また第2底面ヨーク部34の幅寸法は、第1底面ヨーク部32の幅寸法と等しい。第1底面ヨーク部32の先端縁32aと、第2底面ヨーク部34の先端縁34aとは、横方向Xにおいて互いに離間している。
【0034】
本実施形態では、第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bは、第1〜第4導電層16A〜16Dとは異なる位置に設けられている。詳述すると、第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31は凹部14の第3側面14eに設けられ、第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33は凹部14の第4側面14fに設けられ、第1〜第4導電層16A〜16Dは、凹部14の第1側面14c及び第2側面14dに設けられている。第1ヨーク部30Aの第1底面ヨーク部32は、縦方向Yにおいて第1導電層16Aと第3導電層16Cとの間に設けられ、第2ヨーク部30Bの第2底面ヨーク部34は、縦方向Yにおいて第2導電層16Bと第4導電層16Dとの間に設けられている。
【0035】
図1〜
図3に示すとおり、凹部14には、半導体装置20が搭載されている。半導体装置20は、凹部14内に配置されている。本実施形態では、凹部14は、半導体装置20を収容している。半導体装置20は、平板状のチップとして形成されている。半導体装置20の平面視の面積は、基板10の凹部14の底面14aの面積よりも僅かに小さい。本実施形態では、平面視において、半導体装置20における凹部14の第1側面14c側の端部と第1側面14cとの間の距離と、半導体装置20における凹部14の第2側面14d側の端部と第2側面14dとの間の距離とが互いに等しい。また半導体装置20における凹部14の第3側面14e側の端部と第3側面14eとの間の距離と、半導体装置20における凹部14の第4側面14f側の端部と第4側面14fとの間の距離とが互いに等しい。また本実施形態では、平面視において、半導体装置20における凹部14の第1側面14c側の端部と第1側面14cとの間の距離は、半導体装置20における凹部14の第3側面14e側の端部と第3側面14eとの間の距離よりも小さい。なお、平面視において、半導体装置20における凹部14の第1側面14c側の端部と第1側面14cとの間の距離と、半導体装置20における凹部14の第3側面14e側の端部と第3側面14eとの間の距離とが互いに等しくてもよい。
【0036】
半導体装置20は、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22を有する。
図2に示すように、半導体装置20において第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22が形成された面20xは、凹部14の底面14a側、すなわち第1底面ヨーク部32及び第2底面ヨーク部34側に向いている。すなわち、半導体装置20は、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22が形成された面20xを凹部14の底面14aに向けて実装されている。第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22の一例は、磁電変換素子である。磁電変換素子の一例は、ホール素子である。本実施形態では、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22はそれぞれ、シリコン(Si)ホール素子が用いられている。
図1に示すとおり、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22はそれぞれ、平面視において矩形状に形成されている。本実施形態では、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22の平面視の形状はそれぞれ、正方形である。第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22が形成される領域の平面視における縦寸法及び横寸法はそれぞれ、例えば100μmである。第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22はそれぞれ、半導体装置20の縦方向Yの中央に形成されている。第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22は、横方向Xにおいて互いに離間して形成されている。第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22はそれぞれ、横方向Xにおいて半導体装置20の中央位置付近に形成されている。
図1に示すとおり、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22は、仮想線C1を中心に対称に配置されている。
【0037】
ここで、
図1及び
図2を用いて、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22と第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bとの関係について説明する。
第1ヨーク部30Aは、磁気検出装置1の外部の磁束を第1磁気検出素子21に向けて誘導する。第1底面ヨーク部32は、第1側面ヨーク部31から第1磁気検出素子21に向けて延びている。本実施形態では、第1底面ヨーク部32の幅寸法は、第1磁気検出素子21の縦方向Yの寸法よりも小さい。第1底面ヨーク部32の先端縁32aは、厚さ方向Zにおいて第1磁気検出素子21の磁気検出面21aと重なるように設けられている。本実施形態では、第1底面ヨーク部32の先端縁32aは、第1磁気検出素子21の磁気検出面21aの横方向Xの中央位置と厚さ方向Zにおいて重なるように設けられている。
【0038】
第2ヨーク部30Bは、磁気検出装置1の外部の磁束を第2磁気検出素子22に向けて誘導する。第2底面ヨーク部34は、第2側面ヨーク部33から第2磁気検出素子22に向けて延びている。本実施形態では、第2底面ヨーク部34の幅寸法は、第2磁気検出素子22の縦方向Yの寸法よりも小さい。第2底面ヨーク部34の先端縁34aは、厚さ方向Zにおいて第2磁気検出素子22の磁気検出面22aと重なるように設けられている。本実施形態では、第2底面ヨーク部34の先端縁34aは、第2磁気検出素子22の磁気検出面22aの横方向Xの中央位置と厚さ方向Zにおいて重なるように設けられている。このように、第1底面ヨーク部32の先端縁32aと第2底面ヨーク部34の先端縁34aとの間の距離は、第1磁気検出素子21と第2磁気検出素子22との間の距離よりも大きい。
【0039】
半導体装置20は、複数(本実施形態では4つ)の電極バンプ20a(
図4参照)を有する。本実施形態では、4つの電極バンプ20aは、半導体装置20のチップの四隅に設けられている。本実施形態では、電極バンプ20aは、アルミニウム(Al)、チタン銅合金(Ti/Cu)、及びニッケル(Ni)が互いに積層されて形成されている。半導体装置20に接して形成されたアルミニウムが最も半導体装置20の面20xに近い位置に形成されている。チタン銅合金は、アルミニウムとニッケルとの間に介在している。電極バンプ20a上には、例えば半田(SnAg)が塗布されている。電極バンプ20aと各接合層18A〜18Dとは、例えば電極バンプ20a上の半田と各接合層18A〜18D上の半田とが互いに接合されることにより接合されている。本実施形態では、チタン銅合金のうちチタン(Ti)の厚さが0.18μmであり、銅(Cu)の厚さが0.8μmである。また、アルミニウムの厚さが0.5μmである。また、ニッケルの厚さが3μmである。また、半田の厚さが15μmである。
【0040】
本実施形態では、電子機器の回路基板に電気的に接続される4つの電極バンプ20aは、各導電層16A〜16D、各端子17A〜17D、及び各接合層18A〜18Dを介して磁気検出装置1の4つの電極パッド41(
図3参照)に電気的に接続されている。詳述すると、第1の電極バンプ20aは、第1接合層18A、第1導電層16A、及び第1端子17Aを介して第1の電極パッド41に接続され、第2の電極バンプ20aは、第2接合層18B、第2導電層16B、及び第2端子17Bを介して第2の電極パッド41に接続されている。また第3の電極バンプ20aは、第3接合層18C、第3導電層16C、及び第3端子17Cを介して第3の電極パッド41に接続され、第4の電極バンプ20aは、第4接合層18D、第4導電層16D、及び第4端子17Dを介して第4の電極パッド41に接続されている。なお、半導体装置20と電子機器の回路基板とが電気的に接続される導電経路の数は任意に変更可能であり、1〜3つの導電経路、又は5つ以上の導電経路が形成されてもよい。
【0041】
図2に示すように、封止樹脂40は、基板10の凹部14及び主面11上に設けられている。詳述すると、封止樹脂40は、半導体装置20が外部に露出しないように凹部14を埋めている。また封止樹脂40は、第1〜第4端子17A〜17Dそれぞれの上端面のみが露出するように主面11上を覆っている。封止樹脂40は、例えば熱硬化性樹脂からなる。熱硬化性樹脂の一例は、エポキシ樹脂である。
【0042】
封止樹脂40の上面には、4つの電極パッド41が設けられている。各電極パッド41は、平面視において各端子17A〜17Dの面積よりも大きく、各端子17A〜17Dの全体を覆うように形成されている。各電極パッド41の平面視の形状は、略矩形状に形成されている。各電極パッド41は、互いに積層されたニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び金(Au)からなる。
【0043】
図5に示すように、半導体装置20は、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22の検出結果を出力するための制御回路をさらに有する。制御回路は、第1磁気検出素子21に対応する第1スイッチ切替回路23A、第1差動増幅回路24A、第1サンプルホールド回路25A、及び第1比較回路26Aと、第2磁気検出素子22に対応する第2スイッチ切替回路23B、第2差動増幅回路24B、第2サンプルホールド回路25B、及び第2比較回路26Bと、アナログ/デジタル変換回路27と、演算回路28とを含む。第1スイッチ切替回路23A、第1差動増幅回路24A、第1サンプルホールド回路25A、及び第1比較回路26Aと、第2スイッチ切替回路23B、第2差動増幅回路24B、第2サンプルホールド回路25B、及び第2比較回路26Bとは同じ構成である。
【0044】
第1磁気検出素子21は、第1電極21b、第2電極21c、第3電極21d、及び第4電極21eを有する。第1磁気検出素子21は、磁界強度及び磁界方向に応じた出力電圧を生成し、その生成した出力電圧を第1スイッチ切替回路23Aに出力する。
【0045】
第1スイッチ切替回路23Aは、第1磁気検出素子21に第1方向のバイアス電圧を印加して出力電圧を取得する第1バイアス状態と、第1磁気検出素子21に第2方向のバイアス電圧を印加して出力電圧を取得する第2バイアス状態とを交互に切り替える。ここで、第1バイアス状態は、第1磁気検出素子21の第1電極21bと第3電極21dとの間に電源電圧が印加される状態である。第2バイアス状態は、第1磁気検出素子21の第2電極21cと第4電極21eとの間に電源電圧が印加される状態である。
【0046】
第1差動増幅回路24Aは、第1スイッチ切替回路23Aからの出力電圧を増幅して増幅電圧を生成し、その生成した増幅電圧を第1サンプルホールド回路25Aに出力する。
第1サンプルホールド回路25Aは、第1スイッチ切替回路23Aの切替動作に対して増幅電圧を所定期間にわたり保持する。
【0047】
第1比較回路26Aは、第1サンプルホールド回路25Aに電気的に接続された第1入力端及び第2入力端を有する。第1比較回路26Aは、第1サンプルホールド回路25Aから第1入力端に入力される第1比較電圧と、第1サンプルホールド回路25Aから第2入力端に入力される第2比較電圧との比較に基づいて第1出力電圧をアナログ/デジタル変換回路27に出力する。
【0048】
第2磁気検出素子22は、第1電極22b、第2電極22c、第3電極22d、及び第4電極22eを有する。第2磁気検出素子22は、磁界強度及び磁界方向に応じた出力電圧を生成し、その生成した出力電圧を第2スイッチ切替回路23Bに出力する。
【0049】
第2スイッチ切替回路23Bは、第2磁気検出素子22に第1方向のバイアス電圧を印加して出力電圧を取得する第1バイアス状態と、第2磁気検出素子22に第2方向のバイアス電圧を印加して出力電圧を取得する第2バイアス状態とを交互に切り替える。ここで、第1バイアス状態は、第2磁気検出素子22の第1電極22bと第3電極22dとの間に電源電圧が印加される状態である。第2バイアス状態は、第2磁気検出素子22の第2電極22cと第4電極22eとの間に電源電圧が印加される状態である。
【0050】
第2差動増幅回路24Bは、第2スイッチ切替回路23Bからの出力電圧を増幅して増幅電圧を生成し、その生成した増幅電圧を第2サンプルホールド回路25Bに出力する。
第2サンプルホールド回路25Bは、第2スイッチ切替回路23Bの切替動作に対して増幅電圧を所定期間にわたり保持する。
【0051】
第2比較回路26Bは、第2サンプルホールド回路25Bに電気的に接続された第1入力端及び第2入力端を有する。第2比較回路26Bは、第2サンプルホールド回路25Bから第1入力端に入力される第1比較電圧と、第2サンプルホールド回路25Bから第2入力端に入力される第2比較電圧との比較に基づいて第2出力電圧をアナログ/デジタル変換回路27に出力する。
【0052】
アナログ/デジタル変換回路27は、アナログ信号である第1出力電圧を第1デジタル信号に変換し、アナログ信号である第2出力電圧を第2デジタル信号に変換し、これらデジタル信号を演算回路28に出力する。
【0053】
演算回路28は、第1デジタル信号及び第2デジタル信号に基づいて磁気検出装置1が検出する磁界強度及び磁界方向を演算する。演算回路28は、演算結果を例えば電子機器の回路基板に出力する。
【0054】
図6は、半導体装置20における各回路のレイアウトの一例を示している。
図6に示すとおり、各スイッチ切替回路23A,23B、各差動増幅回路24A,24B、各サンプルホールド回路25A,25B、及び各比較回路26A,26Bは、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22に対して縦方向Yの一方側(第1接合層18A及び第2接合層18B側)に配置されている。またアナログ/デジタル変換回路27及び演算回路28は、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22に対して縦方向Yの他方側(第3接合層18C及び第4接合層18D側)に配置されている。
【0055】
また第1スイッチ切替回路23A、第1差動増幅回路24A、第1サンプルホールド回路25A、及び第1比較回路26Aは、縦方向Yに沿って配置されている。また第2スイッチ切替回路23B、第2差動増幅回路24B、第2サンプルホールド回路25B、及び第2比較回路26Bは、縦方向Yに沿って配置されている。第1スイッチ切替回路23Aと第2スイッチ切替回路23Bとは、横方向Xにおいて隣り合うように配置されている。第1差動増幅回路24Aと第2差動増幅回路24Bとは、横方向Xにおいて隣り合うように配置されている。第1サンプルホールド回路25Aと第2サンプルホールド回路25Bとは、横方向Xにおいて隣り合うように配置されている。第1比較回路26Aと第2比較回路26Bとは、横方向Xにおいて隣り合うように配置されている。
【0056】
なお、半導体装置20における各回路のレイアウトは任意に変更可能である。例えば、各スイッチ切替回路23A,23B、各差動増幅回路24A,24B、各サンプルホールド回路25A,25B、各比較回路26A,26B、アナログ/デジタル変換回路27、及び演算回路28の少なくとも1つが、横方向Xにおいて半導体装置20における第1磁気検出素子21に対して第2磁気検出素子22とは反対側の領域に配置されてもよい。また各スイッチ切替回路23A,23B、各差動増幅回路24A,24B、各サンプルホールド回路25A,25B、各比較回路26A,26B、アナログ/デジタル変換回路27、及び演算回路28の少なくとも1つが、横方向Xにおいて半導体装置20における第2磁気検出素子22に対して第1磁気検出素子21とは反対側の領域に配置されてもよい。
【0057】
〔作用〕
図7A及び
図7Bを用いて、本実施形態の作用について説明する。
図7A及び
図7Bに示すように、磁気検出装置1に対して横方向X(X軸方向)の磁界を検出する場合を説明する。まず
図7A及び
図7Bに示す実線矢印の方向の磁界を検出する場合、第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31が磁束を受ける。この場合、
図7Bに示すとおり、第1側面ヨーク部31は、厚さ方向Zに投影した面積で磁束を受ける。第1側面ヨーク部31で受けた磁束は、第1底面ヨーク部32に流れる。この場合、第1底面ヨーク部32の断面積(縦方向Y及び厚さ方向Zに沿う平面で切った断面積)が第1側面ヨーク部31の断面積(第3側面14eの面方向に垂直な方向及び縦方向Yに沿う平面で切った断面積)よりも小さいため、第1底面ヨーク部32の磁束密度が第1側面ヨーク部31の磁束密度よりも高くなる。そして第1底面ヨーク部32の先端縁32aまで流れた磁束は、
図7Bに示すとおり、厚さ方向Z及び第2底面ヨーク部34に向けて円弧状の移動軌跡となるように流れる。ここで、第1底面ヨーク部32の先端縁32aと第1磁気検出素子21の磁気検出面21aとが厚さ方向Zから見て重なっているため、第1底面ヨーク部32の先端縁32aから外部に流れる磁束は、第1磁気検出素子21の磁気検出面21aに垂直な方向(第1磁気検出素子21の磁気検出方向)に沿って流れる。そして第1磁気検出素子21を通過した磁束は、第2磁気検出素子22に流れる。このとき、第2磁気検出素子22の磁気検出面22aと第2底面ヨーク部34の先端縁34aとが厚さ方向Zから見て重なっているため、第2磁気検出素子22に流れる磁束は、第2磁気検出素子22の磁気検出面22aに垂直な方向(第2磁気検出素子22の磁気検出方向)に沿って流れる。このように、
図7A及び
図7Bに示す実線矢印の方向の磁界において、第1磁気検出素子21の磁気検出面21aを磁束が通過する第1方向と第2磁気検出素子22の磁気検出面22aを磁束が通過する第2方向とが逆向きとなる。第1方向は、磁束が半導体装置20の面20xから半導体装置20の内部に向かう方向であり、第2方向は、磁束が半導体装置20の内部から面20xに向かう方向である。
【0058】
なお、
図7A及び
図7Bに示す破線矢印に示す方向の磁界を検出する場合、第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33が磁束を受ける。第2側面ヨーク部33が受けた磁束は、第2底面ヨーク部34、第2磁気検出素子22、及び第1磁気検出素子21の順に通過する。この場合、第1磁気検出素子21の磁気検出面21aを磁束が通過する第1方向と第2磁気検出素子22の磁気検出面22aを磁束が通過する第2方向とが逆方向となる。第2方向は、磁束が半導体装置20の面20xから半導体装置20の内部に向かう方向であり、第1方向は、磁束が半導体装置20の内部から面20xに向かう方向である。
【0059】
ここで、磁気検出装置1に対して横方向X(X軸方向)の磁界が発生した場合、演算回路28(
図5参照)に入力される第1磁気検出素子21の磁気検出信号の符号と、第2磁気検出素子22の磁気検出信号の符号とが正負逆となる。このため、演算回路28は、例えば第1磁気検出素子21の磁気検出信号から第2磁気検出素子22の磁気検出信号を減算した結果の値により、磁気検出装置1が検出した磁界強度が得られ、その結果の値から磁界方向(第1側面ヨーク部30Aから受ける磁界、又は第2側面ヨーク部30Bから受ける磁界)が得られる。このようにして、磁気検出装置1は、第1磁気検出素子21の磁気検出方向及び第2磁気検出素子22の磁気検出方向のそれぞれ直交する横方向Xの磁界を検出することができる。また、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22はそれぞれ、磁気検出面21a,22aに垂直な方向の磁束を受ける。このため、演算回路28は、第1磁気検出素子21の磁気検出信号及び第2磁気検出素子22の磁気検出信号の和を演算することによって、横方向X(X軸方向)の磁束をキャンセルして厚さ方向Z(Z軸方向)の磁界強度が得られる。
【0060】
なお、磁気検出装置1に対して厚さ方向Z(Z軸方向)の磁界が発生した場合、磁束は、第1磁気検出素子21の磁気検出面21aに垂直な方向及び第2磁気検出素子22の磁気検出面22aに垂直な方向に流れる。このため、演算回路28に入力される第1磁気検出素子21の磁気検出信号の符号と、第2磁気検出素子22の磁気検出信号の符号とが正負同じとなる。したがって、演算回路28は、第1磁気検出素子21の磁気検出信号と、第2磁気検出素子22の磁気検出信号との和を演算することによって、磁気検出装置1が検出した厚さ方向Z(Z軸方向)の磁界強度として出力する。このように、本実施形態の磁気検出装置1は、X軸方向とZ軸方向との2軸の磁気検出を行うことができる。
【0061】
〔磁気検出装置の製造方法〕
図8A〜
図8Rを参照して、磁気検出装置1の製造方法について説明する。
図8Aに示すように、基板50を用意する。基板50は、磁気検出装置1の基板10の集合体である。基板50は、単結晶材料である半導体材料からなる。本実施形態の基板50は、シリコン(Si)の単結晶材料である。また、本実施形態においては、基板50の厚さは、例えば200μm以上かつ400μm以下である。基板50は、主面51、裏面52、及びマスク層53を有する。主面51は、
図8Aに示す基板50の上面である。裏面52は、
図8Aに示す基板50の下面である。主面51及び裏面52は、基板50の厚さ方向Zにおいて互いに反対側を向いている。本実施形態では、主面51は、結晶面において(100)面である。マスク層53は、主面51に形成され、例えば窒化シリコン(Si
3N
4)からなる層である。マスク層53は、例えばプラズマCVD(chemical vapor deposition)法によって形成される。
【0062】
次に、
図8Bに示すように、マスク層53に対してフォトリソグラフィによってマスクを形成した後、ドライエッチングの一例である反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)によって、マスク層53を部分的に除去する。この場合、例えばマスク層53が窒化シリコン(Si
3N
4)からなる層であれば、四フッ素炭素(CF
4)をエッチングガスとする。これにより、マスク層53には、横方向X及び縦方向Yのそれぞれに離間した複数の開口部53aが形成される。複数の開口部53aはそれぞれ、主面51を露出している。複数の開口部53aはそれぞれ、平面視において矩形状に形成されている。なお、
図8Bでは、所定の1つの開口部53aの断面を示している。
【0063】
次に、
図8Cに示すように、主面51から窪むように、基板50に凹部54を形成する。凹部54は、磁気検出装置1の凹部14に相当する。凹部54は、例えば異方性エッチングによって形成される。本実施形態では、異方性エッチングは、アルカリ溶液を用いたウェットエッチングである。アルカリ溶液としては、例えば水酸化カリウム(KOH)溶液、又は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液を用いることができる。これにより、マスク層53に形成された複数の開口部53aのそれぞれにおいて、底面54aと、底面54aから起立して主面51に繋がる側面54bとを有する凹部54が形成される。本実施形態では、底面54aは、平面視において矩形状である。また側面54bは、底面54aの四辺に沿って形成された4つの面である。また本実施形態では、主面51を(100)面としているため、4つの側面54bがいずれも(111)面からなる。したがって、4つの側面54bは、いずれも底面54aに対して傾斜し、その傾斜角はいずれも54.74°となる。
【0064】
次に、
図8Dに示すように、主面51に形成されたマスク層53を全て除去する。例えばマスク層53が窒化シリコン(Si
3N
4)からなる層の場合、四フッ素炭素(CF
4)をエッチングガスとした反応性イオンエッチング、又は加熱リン酸溶液を用いたウェットエッチングによって、主面51に形成されたマスク層53を全て除去する。
図8Eは、マスク層53を全て除去したときの基板50の斜視図である。
図8Eに示すとおり、横方向X及び縦方向Yのそれぞれに離間した複数の凹部54が、主面51が窪むように基板50に形成されている。なお、
図8Eでは、磁気検出装置1の基板10に相当する範囲を二点鎖線にて示している。
【0065】
次に、
図8Fに示すように、凹部54を含む基板50に絶縁層55を形成する。絶縁層55が磁気検出装置1の絶縁層15に相当する。本実施形態では、絶縁層55は、酸化シリコン(SiO
2)からなり、その厚さは1.2μm以上かつ2.2μm以下である。絶縁層55は、主面51と、凹部54を構成する底面54a及び側面54bとを、熱酸化法によって酸化させることにより形成される。
【0066】
次に、凹部54を含む基板50に導電層56を形成する。導電層56を形成する工程では、バリア層57及びシード層58を形成する工程と、メッキ層59を形成する工程とを含む。
【0067】
まず、
図8Gに示すように、基板50にバリア層57及びシード層58をそれぞれ形成する。バリア層57及びシード層58の形成範囲は、絶縁層15の形成範囲と同一である。先に、絶縁層55に接するバリア層57を形成した後、バリア層57に接するシード層58を形成する。バリア層57及びシード層58はそれぞれ、例えばスパッタリングによって形成される。本実施形態では、バリア層57はチタン(Ti)からなり、シード層58は銅(Cu)からなる。バリア層57の厚さは、シード層58の厚さよりも薄い。
【0068】
そしてシード層58に対してフォトリソグラフィによってマスクを形成する。
図8Hに示すように、基板50に第1レジスト層60を形成した後、第1レジスト層60に対して露光・現像を行うことによって、シード層58に対してマスクが形成される。第1レジスト層60の形成範囲は、絶縁層55の形成範囲と同一である。第1レジスト層60は、レジストを例えばスプレーを用いて塗布することにより形成される。本実施形態では、レジストはポジ型レジストであるため、露光された第1レジスト層60の部分が、現像に用いられる現像液によって除去される。
【0069】
次に、
図8Iに示すように、基板50にメッキ層59を形成した後、基板50に形成された第1レジスト層60を全て除去する。メッキ層59は、第1レジスト層60が現像により除去された部分、すなわちシード層58が露出した部分に形成される。メッキ層59は、電解メッキによって形成される。本実施形態では、メッキ層59は銅(Cu)からなる。これにより、基板50に導電層56が形成される。導電層56が磁気検出装置1の第1〜第4導電層16A〜16Dに相当する。
【0070】
次に、半導体装置62を搭載するための複数の接合層63を導電層56に形成する。複数の接合層63が磁気検出装置1の第1〜第4接合層18A〜18Dに相当する。
図8Jに示すように、導電層56に対してフォトリソグラフィによってマスクを形成する。基板50に第2レジスト層64を形成した後、第2レジスト層64に対し露光・現像を行うことによって、導電層56に対してマスクが形成される。第2レジスト層64の形成範囲、材質及び形成方法は、いずれも第1レジスト層60と同一である。このとき、第2レジスト層64には、複数の貫通孔64aが形成される。貫通孔64aの形状はそれぞれ、直方体状である。
【0071】
次に、
図8Kに示すように、導電層56に複数の接合層63を形成した後、基板50に形成された第2レジスト層64を全て除去する。複数の接合層63はそれぞれ、導電性を有する。本実施形態では、基板50に形成されたシード層58を活用した電解メッキによって、貫通孔64aから露出したメッキ層59にニッケル(Ni)層を析出させた後、錫(Sn)を含む合金層を析出させることによって、貫通孔64a内を埋めるように複数の接合層63が形成される。この合金の一例では、Sn−Ag系合金等の鉛フリーはんだである。
【0072】
次に、主面51に形成された導電層56に導通する複数の端子65を形成する。複数の端子65が、磁気検出装置1の第1〜第4端子17A〜17Dに相当する。
図8Lに示すように、導電層56に対してフォトリソグラフィによりマスクを形成する。基板50に第3レジスト層66を形成した後、第3レジスト層66に対して露光・現像を行うことによって、導電層56に対してマスクが形成される。第3レジスト層66の形成範囲、材質、及び形成方法は、いずれも第1レジスト層60と同一である。このとき、第3レジスト層66には、複数の貫通孔66aが形成される。複数の貫通孔66aの形状はそれぞれ、円柱状である。
【0073】
次に、
図8Mに示すように、複数の端子65を形成した後、基板50に形成された第3レジスト層66を全て除去する。本実施形態では、基板50に形成されたシード層58を活用した電解メッキによって、貫通孔66aから露出したメッキ層59(導電層56)に、例えば銅(Cu)を析出させることによって、貫通孔66a内を埋めるように端子65が複数形成される。
【0074】
次に、
図8Nに示すように、メッキ層59に覆われていない不要なバリア層57及びシード層58を全て除去する。バリア層57及びシード層58は、例えばウェットエッチングにより除去される。バリア層57及びシード層58が除去された部分から絶縁層55が露出する。このとき、メッキ層59、接合層63、及び複数の端子65についても、バリア層57及びシード層58の層厚に相当する厚さの分だけウェットエッチングによって除去される。
【0075】
次に、
図8Oに示すように、基板50にヨーク部61を形成する。本実施形態では、ヨーク部61は、軟磁性材料からなり、その厚さは5μmである。本実施形態では、ヨーク部61は、例えばスパッタリングによって形成される。ヨーク部61は、凹部54の側面54b及び底面54aにわたり形成される。ヨーク部61は、本実施形態の磁気検出装置1のヨーク部30(第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30B)に相当する。なお、
図8Oは、
図2の断面に相当する。
【0076】
次に、
図8Pに示すように、凹部54に収容されるように半導体装置62を底面54aに搭載する。半導体装置62は、磁気検出装置1の半導体装置20に相当する。半導体装置62の搭載は、FCB(Flip Chip Bonding)によって行う。半導体装置62にフラックスを塗布した後、例えばフリップチップボンダを用いて半導体装置62を複数の接合層63に仮付けする。このとき、複数の接合層63は、底面54aに形成された導電層56と、半導体装置62の下面に形成された複数の電極バンプ(図示略)との間に介在した状態となる。そして、リフローにより複数の接合層63のそれぞれを溶融させた後、冷却により複数の接合層63のそれぞれを固化させる。これにより、半導体装置62が凹部54(底面54a)に搭載される。
【0077】
次に、
図8Qに示すように、基板50に半導体装置62を覆う封止樹脂67を形成する。封止樹脂67は、磁気検出装置1の封止樹脂40に相当する。封止樹脂67は、基板50に形成された凹部54を充填し、かつ導電層56、半導体装置62、及び複数の端子65を完全に覆うように形成する。封止樹脂67は、例えば電気絶縁性を有する黒色のエポキシ樹脂からなる。その後、
図8Qに示すように、複数の端子65の上端面が露出するまで、封止樹脂67の上部を研削する。そして複数の端子65上にそれぞれ電極パッド68(
図8R参照)が形成される。
【0078】
次に、
図8Rに示すように、基板50を横方向X及び縦方向Yに配置された切断線CLに沿って切断(ダイシング)することによって、半導体装置62ごとの個片に分割する。基板50は、例えばプラズマダイシングにより切断される。半導体装置62ごとの個片が磁気検出装置1となる。以上の工程を経ることによって、磁気検出装置1が製造される。
【0079】
〔効果〕
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1−1)第1ヨーク部30Aにより受けた磁束を集めて第1磁気検出素子21に誘導するため、第1磁気検出素子21を通過する磁束密度が高くなる。また第2ヨーク部30Bにより受けた磁束を集めて第2磁気検出素子22に誘導するため、第2磁気検出素子22を通過する磁束密度が高くなる。したがって、磁気検出装置1の磁界の検出精度を高めることができる。すなわち、磁気検出装置1は、より微弱な磁界を検出することができる。加えて、第1ヨーク部30Aは第1側面ヨーク部31を有し、第2ヨーク部30Bは第2側面ヨーク部33を有するため、厚さ方向Zと直交する一方向(本実施形態では横方向X(X軸方向))の磁束を集めて第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22に誘導させることができる。したがって、磁気検出装置1は、X軸方向における磁界を検出することができる。
【0080】
(1−2)第1ヨーク部30Aは第1底面ヨーク部32を有し、基板10の側方から見て、第1磁気検出素子21は、厚さ方向Zにおいて第1底面ヨーク部32から離間している。第2ヨーク部30Bは第2底面ヨーク部34を有し、基板10の側方から見て、第2磁気検出素子22は、厚さ方向Zにおいて第2底面ヨーク部34から離間している。このような構成によれば、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22はそれぞれ、基板10から離間して配置されているので、基板10に応力が加えられた場合にその応力の影響が第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22のそれぞれに与えられ難くなる。したがって、磁気検出装置1の信頼性を高めることができる。加えて、第1底面ヨーク部32又は第2底面ヨーク部34から外部に流れる磁束が、第1磁気検出素子21の磁気検出面21aに垂直な方向において磁気検出面21aを通過させることができ、第2磁気検出素子22の磁気検出面22aに垂直な方向において磁気検出面22aを通過させることができる。したがって、磁気検出装置1の磁界の検出精度を高めることができる。
【0081】
(1−3)厚さ方向Zにおいて、半導体装置20における第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22が形成される面20xが第1底面ヨーク部32及び第2底面ヨーク部34側に配置されている。この構成によれば、第1磁気検出素子21と第1底面ヨーク部32との間の距離と、第2磁気検出素子22と第2底面ヨーク部34との間の距離とをそれぞれ小さくすることができる。したがって、第1底面ヨーク部32から第1磁気検出素子21に磁束が流れ易くなり、第2底面ヨーク部34から第2磁気検出素子22に磁束が流れ易くなる。加えて、第1底面ヨーク部32又は第2底面ヨーク部34から外部に流れる磁束が、第1磁気検出素子21の磁気検出面21aに垂直な方向において磁気検出面21aを通過させることができ、第2磁気検出素子22の磁気検出面22aに垂直な方向において磁気検出面22aを通過させることができる。したがって、磁気検出装置1の磁界の検出精度を高めることができる。
【0082】
(1−4)第1底面ヨーク部32の先端縁32aは、厚さ方向Zから見て、第1磁気検出素子21の磁気検出面21aと重なるように設けられている。第2底面ヨーク部34の先端縁34aは、厚さ方向Zから見て、第2磁気検出素子22の磁気検出面22aと重なるように設けられている。このような構成によれば、第1底面ヨーク部32の先端部から外部に流れる磁束が第1磁気検出素子21の磁気検出面21aに流れ易くなり、第2底面ヨーク部34の先端部から外部に流れる磁束が第2磁気検出素子22の磁気検出面22aに流れ易くなる。したがって、磁気検出装置1の磁界の検出精度を高めることができる。
【0083】
特に本実施形態では、第1底面ヨーク部32の先端縁32aが第1磁気検出素子21の磁気検出面21aの横方向Xの中央位置と重なるように設けられ、第2底面ヨーク部34の先端縁34aが第2磁気検出素子22の磁気検出面22aの横方向Xの中央位置と重なるように設けられている。これにより、第1底面ヨーク部32の先端部から外部に流れる磁束が第1磁気検出素子21の磁気検出面21aに一層流れ易くなり、第2底面ヨーク部34の先端部から外部に流れる磁束が第2磁気検出素子22の磁気検出面22aに一層流れ易くなるので、磁気検出装置1の磁界の検出精度をより高めることができる。
【0084】
(1−5)第1ヨーク部30Aの第1底面ヨーク部32の厚さ方向Zから見た面積は、第1側面ヨーク部31の横方向Xに投影された面積よりも小さく、第2ヨーク部30Bの第2底面ヨーク部34の厚さ方向Zから見た面積は、第2側面ヨーク部33の横方向Xに投影された面積よりも小さい。このような構成によれば、第1側面ヨーク部31に流れる磁束が第1底面ヨーク部32に流れる場合に第1底面ヨーク部32の磁束密度が高められ、第2側面ヨーク部33に流れる磁束が第2底面ヨーク部34に流れる場合に第2底面ヨーク部34の磁束密度が高められる。したがって、第1底面ヨーク部32から第1磁気検出素子21に流れる磁束密度が高められ、第2底面ヨーク部34から第2磁気検出素子22に流れる磁束密度が高められるため、磁気検出装置1の磁界の検出精度を高めることができる。これにより、磁気検出装置1は、より微弱な磁界を検出することができる。
【0085】
(1−6)厚さ方向Zから見て、第1底面ヨーク部32の幅は第1磁気検出素子21の幅以下であり、第2底面ヨーク部34の幅は第2磁気検出素子22の幅以下である。この構成によれば、縦方向Yにおいて第1底面ヨーク部32の先端部から外部に流れる磁束が第1磁気検出素子21の磁気検出面21aを効率よく通過し、第2底面ヨーク部34の先端部から外部に流れる磁束が第2磁気検出素子22の磁気検出面22aを効率よく通過する。したがって、磁気検出装置1の磁界の検出精度を高めることができる。
【0086】
(1−7)第1側面ヨーク部31は、凹部14の第3側面14eの概ね全体を覆うように形成され、第2側面ヨーク部33は、凹部14の第4側面14fの概ね全体を覆うように形成されている。この構成によれば、第1側面ヨーク部31及び第2側面ヨーク部33のそれぞれが横方向Xに流れる磁束を効率よく集めることができるため、磁気検出装置1は、X軸方向の磁界の検出精度を高めることができる。
【0087】
(1−8)第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bが同一形状であることにより、横方向Xにおいて第1ヨーク部30Aから第2ヨーク部30Bに流れる磁束の場合の磁気検出装置1の磁界の検出精度と、第2ヨーク部30Bから第1ヨーク部30Aに流れる磁束の場合の磁気検出装置1の磁界の検出精度とのばらつきを抑制することができる。
【0088】
(第2実施形態)
図9〜
図11Cを参照して、第2実施形態の磁気検出装置1について説明する。本実施形態の磁気検出装置1は、第1実施形態の磁気検出装置1と比較して、磁気検出素子の数及びヨーク部30の構成が異なる。このため、以降の説明において、第1実施形態の磁気検出装置1と共通の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
図9に示すように、磁気検出装置1は、第1磁気検出素子21、第2磁気検出素子22、第3磁気検出素子71、及び第4磁気検出素子72を有する。
本実施形態の第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22は、第1実施形態の第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22と同様に、基板10の凹部14の底面14aの中央部において横方向Xに互いに離間して配置されている。
【0090】
第3磁気検出素子71及び第4磁気検出素子72は、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22と同一の構成及びサイズであり、例えばホール素子が用いられている。第3磁気検出素子71及び第4磁気検出素子72は、基板10の凹部14の底面14aの中央部において縦方向Yに互いに離間して配置されている。すなわち第3磁気検出素子71の横方向Xの位置と、第4磁気検出素子72の横方向Xの位置とは互いに等しい。
【0091】
図9に示すとおり、第1磁気検出素子21と第2磁気検出素子22との横方向Xの間の距離DH1と、第3磁気検出素子71と第4磁気検出素子72との縦方向Yの間の距離DH2とは、互いに等しい。また、第1磁気検出素子21、第2磁気検出素子22、第3磁気検出素子71、及び第4磁気検出素子72の厚さ方向Zの位置は互いに等しい。
【0092】
ヨーク部30は、第1ヨーク部30A、第2ヨーク部30B、第3ヨーク部30C、及び第4ヨーク部30Dを有する。本実施形態の第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bは、第1実施形態の第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bと概ね同一の構成である。
【0093】
本実施形態の第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31の縦方向Yの長さは、第1実施形態の第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31の縦方向Yの長さよりも短い。一方、本実施形態の第1側面ヨーク部31の横方向Xの長さは、第1実施形態の第1側面ヨーク部31の横方向Xの長さと等しい。
図9に示すとおり、本実施形態の第1側面ヨーク部31は、基板10の凹部14の第1側面14cの縦方向Yの両端部を除き、第1側面14cを概ね全体にわたり覆っている。
【0094】
本実施形態の第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33の縦方向Yの長さは、第1実施形態の第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33の縦方向Yの長さよりも短い。一方、本実施形態の第2側面ヨーク部33の横方向Xの長さは、第1実施形態の第2側面ヨーク部33の横方向Xの長さと等しい。
図9に示すとおり、本実施形態の第2側面ヨーク部33は、基板10の凹部14の第2側面14dの縦方向Yの両端部を除き、第2側面14dを概ね全体にわたり覆っている。
【0095】
図9に示すとおり、第3ヨーク部30C及び第4ヨーク部30Dは、本実施形態の第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bと同一の形状である。第3ヨーク部30C及び第4ヨーク部30Dは、仮想線C2を中心とした線対称形状である。第3ヨーク部30C及び第4ヨーク部30Dは、第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bと同様に、軟磁性材料からなる。第3ヨーク部30C及び第4ヨーク部30Dの厚さはそれぞれ、5μmである。すなわち、各ヨーク部30A〜30Dの厚さは互いに等しい。
【0096】
第3ヨーク部30Cは、第3側面ヨーク部35及び第3底面ヨーク部36を有する。
第3側面ヨーク部35は、基板10の凹部14の第1側面14cに設けられている。本実施形態では、第3側面ヨーク部35は、第1側面14cの概ね全体にわたり形成されている。詳述すると、第3側面ヨーク部35は、平面視において、第1側面14cの縦方向Yの全体にわたり設けられている。第3側面ヨーク部35は、第1側面14cの横方向Xの両端部を除き、第1側面14cの横方向Xの全体にわたり設けられている。このため、第3側面ヨーク部35は、その縦方向Yの寸法が底面14aから第1主面11Aに向かうにつれて大きくなる。第3側面ヨーク部35は、厚さ方向Zに直交する一方向である横方向Xに投影される面積が、平面視における第3底面ヨーク部36の面積よりも大きくなるように形成されている。
【0097】
図9に示すとおり、第3側面ヨーク部35の横方向Xの一方側の端部は、第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31の縦方向Yの端部と隙間をあけて設けられて、第3側面ヨーク部35の横方向Xの他方側の端部は、第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33の縦方向Yの端部と隙間をあけて設けられている。
【0098】
第3底面ヨーク部36は、凹部14の底面14aに設けられている。第3底面ヨーク部36は、第3側面ヨーク部35の横方向Xの中央に接続されている。第3底面ヨーク部36は、第3側面ヨーク部35から第3磁気検出素子71に向けて延びている。本実施形態では、第3底面ヨーク部36は、縦方向Yに沿って延びている。第3底面ヨーク部36の幅寸法(横方向Xの寸法)は、第3側面ヨーク部35の横方向Xの寸法の最小値よりも小さい。本実施形態では、第3底面ヨーク部36の幅寸法は、第3磁気検出素子71の横方向Xの寸法よりも小さい。
【0099】
第4ヨーク部30Dは、第4側面ヨーク部37及び第4底面ヨーク部38を有する。
第4側面ヨーク部37は、基板10の凹部14の第2側面14dに設けられている。本実施形態では、第4側面ヨーク部37は、第2側面14dの概ね全体にわたり形成されている。詳述すると、第4側面ヨーク部37は、平面視において、第2側面14dの縦方向Yの全体にわたり設けられている。第4側面ヨーク部37は、第2側面14dの横方向Xの両端部を除き、第2側面14dの横方向Xの全体にわたり設けられている。このため、第4側面ヨーク部37は、その縦方向Yの寸法が底面14aから第2主面11Bに向かうにつれて大きくなる。第4側面ヨーク部37は、厚さ方向Zに直交する一方向である横方向Xに投影される面積が、平面視における第4底面ヨーク部38の面積よりも大きくなるように形成されている。
【0100】
図9に示すとおり、第4側面ヨーク部37の横方向Xの一方側の端部は、第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31の縦方向Yの端部と隙間をあけて設けられて、第4側面ヨーク部37の横方向Xの他方側の端部は、第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33の縦方向Yの端部と隙間をあけて設けられている。
【0101】
第4底面ヨーク部38は、凹部14の底面14aに設けられている。第4底面ヨーク部38は、第4側面ヨーク部37の横方向Xの中央に接続されている。第4底面ヨーク部38は、第4側面ヨーク部37から第4磁気検出素子72に向けて延びている。本実施形態では、第4底面ヨーク部38は、縦方向Yに沿って延びている。第4底面ヨーク部38の幅寸法(横方向Xの寸法)は、第4側面ヨーク部37の横方向Xの寸法の最小値よりも小さい。本実施形態では、第4底面ヨーク部38の幅寸法は、第4磁気検出素子72の横方向Xの寸法よりも小さい。
図9から分かるとおり、第1底面ヨーク部32及び第2底面ヨーク部34が延びる方向と、第3底面ヨーク部36及び第4底面ヨーク部38が延びる方向とは直交している。
【0102】
第3底面ヨーク部36の先端縁36aと、第4底面ヨーク部38の先端縁38aとは、縦方向Yにおいて互いに離間している。第3底面ヨーク部36の先端縁36aと第4底面ヨーク部38の先端縁38aとの間の距離は、第3磁気検出素子71と第4磁気検出素子72との間の距離よりも大きい。第3底面ヨーク部36の先端縁36aは、厚さ方向Zにおいて第3磁気検出素子71の磁気検出面(図示略)と重なるように設けられている。第4底面ヨーク部38の先端縁38aは、厚さ方向Zにおいて第4磁気検出素子72の磁気検出面(図示略)と重なるように設けられている。本実施形態では、第3底面ヨーク部36の先端縁36aは、第3磁気検出素子71の磁気検出面の縦方向Yの中央位置と厚さ方向Zにおいて重なるように設けられている。第4底面ヨーク部38の先端縁38aは、第4磁気検出素子72の磁気検出面の縦方向Yの中央位置と厚さ方向Zにおいて重なるように設けられている。本実施形態では、第1底面ヨーク部32の先端縁32aと第2底面ヨーク部34の先端縁34aとの横方向Xの間の距離と、第3底面ヨーク部36の先端縁36aと第4底面ヨーク部38の先端縁38aとの縦方向Yの間の距離とは互いに等しい。
【0103】
図9から分かるとおり、第3ヨーク部30Cの第3側面ヨーク部35は、第1導電層16A及び第2導電層16Bと積層されるように構成されている。詳述すると、第3側面ヨーク部35は、第1導電層16A及び第2導電層16B上に設けられた絶縁層73(
図10参照)上に設けられている。第3底面ヨーク部36は、横方向Xにおいて第1導電層16Aと第2導電層16Bとの間に配置されている。本実施形態では、絶縁層73は、酸化シリコン(SiO
2)からなる。絶縁層73の厚さは例えば1.2μm以上かつ2.2μm以下である。
【0104】
第4ヨーク部30Dの第4側面ヨーク部37は、第3導電層16C及び第4導電層16Dと積層されるように構成されている。詳述すると、第4側面ヨーク部37は、第3導電層16C及び第4導電層16D上に設けられた絶縁層73上に設けられている(
図10参照)。第4底面ヨーク部38は、横方向Xにおいて第3導電層16Cと第4導電層16Dとの間に配置されている。
【0105】
〔作用〕
図11A及び
図11Bを用いて、本実施形態の作用について説明する。
図11Aの実線矢印及び破線矢印に示すように、磁気検出装置1に対して横方向X(X軸方向)の磁界を検出した場合の第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bを介した半導体装置20による磁界の検出方法は、第1実施形態の半導体装置20の磁界の検出方法と同様である。
【0106】
次に、
図11Bに示す実線矢印の方向(縦方向Yに沿った方向)の磁界を検出する場合、まず第3ヨーク部30Cの第3側面ヨーク部35が磁束を受ける。この場合、
図7Bに示す第1実施形態の第1側面ヨーク部31と同様に、第3側面ヨーク部35は、厚さ方向Zに投影した面積で磁束を受ける。第3側面ヨーク部35で受けた磁束は、第3底面ヨーク部36に流れる。この場合、第3底面ヨーク部36の断面積(横方向X及び厚さ方向Zに沿う平面で切った断面積)が第3側面ヨーク部35の断面積(第1側面14cの面方向に垂直な方向及び横方向Xに沿う平面で切った断面積)よりも小さいため、第3底面ヨーク部36の磁束密度が第3側面ヨーク部35の磁束密度よりも高くなる。そして第3底面ヨーク部36の先端縁36aまで流れた磁束は、厚さ方向Z及び第2底面ヨーク部34に向けて円弧状の移動軌跡となるように流れる。ここで、第3底面ヨーク部36の先端縁36aと第3磁気検出素子71の磁気検出面とが厚さ方向Zから見て重なっているため、第3底面ヨーク部36の先端縁36aから外部に流れる磁束は、第3磁気検出素子71の磁気検出面に垂直な方向(第3磁気検出素子71の磁気検出方向)に沿って流れる。そして第3磁気検出素子71を通過した磁束は、第4磁気検出素子72に流れる。このとき、第4磁気検出素子72の磁気検出面と第4底面ヨーク部38の先端縁38aとが厚さ方向Zから見て重なっているため、第4磁気検出素子72に流れる磁束は、第4磁気検出素子72の磁気検出面に垂直な方向(第4磁気検出素子72の磁気検出方向)に沿って流れる。このように、
図11Bに示す実線矢印の方向の磁界において、第3磁気検出素子71の磁気検出面を磁束が通過する第3方向と第4磁気検出素子72の磁気検出面を磁束が通過する第4方向とが逆向きとなる。ここで、
図11Bに示す実線矢印の方向の磁界においては、第3方向は、磁束が半導体装置20の面20xから半導体装置20の内部に向かう方向であり、第4方向は、磁束が半導体装置20の内部から面20xに向かう方向である。
【0107】
なお、
図11Bに示す破線矢印の方向の磁界を検出する場合、第4ヨーク部30Dの第4側面ヨーク部37が磁束を受ける。第4側面ヨーク部37が受けた磁束は、第4底面ヨーク部38、第4磁気検出素子72、及び第3磁気検出素子71の順に通過する。この場合、第4磁気検出素子72の磁気検出面を磁束が通過する第4方向と第3磁気検出素子71の磁気検出面を磁束が通過する第3方向とが逆方向となる。第4方向は、磁束が半導体装置20の面20xから半導体装置20の内部に向かう方向であり、第3方向は、磁束が半導体装置20の内部から面20xに向かう方向である。
【0108】
ここで、演算回路28(
図5参照)に入力される第3磁気検出素子71の磁気検出信号の符号と、第4磁気検出素子72の磁気検出信号の符号とが正負逆となる。このため、演算回路28は、例えば第3磁気検出素子71の磁気検出信号から第4磁気検出素子72の磁気検出信号を減算した結果の値により、磁気検出装置1が検出した磁界強度が得られ、その結果の値から磁界方向(第3側面ヨーク部30Cから受ける磁界、又は第4側面ヨーク部30Dから受ける磁界)が得られる。このようにして、磁気検出装置1は、第3磁気検出素子71の磁気検出方向及び第4磁気検出素子72の磁気検出方向のそれぞれ直交する縦方向Y(Y軸方向)の磁界を検出することができる。また、第3磁気検出素子71及び第4磁気検出素子72はそれぞれ、磁気検出面に垂直な方向の磁束を受ける。このため、演算回路28は、第3磁気検出素子71の磁気検出信号及び第4磁気検出素子72の磁気検出信号の和を演算することによって、縦方向Y(Y軸方向)の磁束をキャンセルして厚さ方向Z(Z軸方向)の磁界強度が得られる。
【0109】
また本実施形態では、磁気検出装置1に対して厚さ方向Z(Z軸方向)の磁界が発生した場合、磁束は、第1磁気検出素子21の磁気検出面21aに垂直な方向、第2磁気検出素子22の磁気検出面22aに垂直な方向、第3磁気検出素子71の磁気検出面に垂直な方向、及び第4磁気検出素子72の磁気検出面に垂直な方向のそれぞれに沿った方向に流れる。このため、演算回路28に入力される第1磁気検出素子21の磁気検出信号の符号と、第2磁気検出素子22の磁気検出信号の符号と、第3磁気検出素子71の磁気検出信号の符号と、第4磁気検出素子72の磁気検出信号の符号とが正負同じとなる。したがって、演算回路28は、第1磁気検出素子21の磁気検出信号と、第2磁気検出素子22の磁気検出信号と、第3磁気検出素子71の磁気検出信号と、第4磁気検出素子72の磁気検出信号との和を演算することによって、磁気検出装置1が検出した厚さ方向Z(Z軸方向)の磁界強度として出力する。このように、本実施形態の磁気検出装置1は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向との3軸の磁気検出を行うことができる。
【0110】
〔磁気検出装置1の製造方法〕
図12A及び
図12Bを参照して、磁気検出装置1の製造方法について説明する。なお、本実施形態の磁気検出装置1の製造方法は、第1実施形態の磁気検出装置1の製造方法と比較して、各ヨーク部30A〜30Dを形成する工程が異なり、この工程の前に絶縁層73を形成する工程が追加された点が異なる。このため、以降の説明では、上記工程を詳細に説明するとともに、第1実施形態の磁気検出装置1の同じ工程においてはその説明を省略する。
【0111】
図12Aに示すように、基板50に導電層56の形成後、絶縁層80を形成する。絶縁層80が磁気検出装置1の絶縁層73に相当する。本実施形態では、絶縁層80は、酸化シリコン(SiO
2)からなり、その厚さは例えば1.2μm以上かつ2.2μm以下である。絶縁層80は、主面51と、凹部54を構成する底面54a及び側面54bとを、熱酸化法によって酸化させることにより形成される。そして、例えばエッチングによって絶縁層73のうちの導電層56を覆う部分以外の部分を除去する。
【0112】
次に、ヨーク部81を形成する。ヨーク部81は、例えばスパッタリングによって形成される。ヨーク部81は、凹部54の側面54b及び底面54aにわたり形成される。ヨーク部81は、磁気検出装置1の第1ヨーク部30A、第2ヨーク部30B、第3ヨーク部30C、及び第4ヨーク部30Dに相当する。なお、ヨーク部81のうち第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bに対応する部分の形成は、第1実施形態の磁気検出装置1の製造方法におけるヨーク部61の形成(
図8O参照)と同様である。
図12Bに示すように、ヨーク部81のうち第3ヨーク部30C及び第4ヨーク部30Dに対応する部分は、導電層56上に形成された絶縁層80上に形成される。これにより、ヨーク部81と導電層56とが電気的に絶縁される。
【0113】
その後、第1実施形態の磁気検出装置1の製造方法と同様に、複数の接合層63を形成する工程に移行し、それ以降は第1実施形態の磁気検出装置1と同様の工程を経て、本実施形態の磁気検出装置1が製造される。
【0114】
〔効果〕
本実施形態によれば、第1実施形態の効果と同様の効果が得られる。すなわち、磁気検出装置1は、第3ヨーク部30C及び第4ヨーク部30Dを有することにより、第1実施形態の第1ヨーク部30A及び第2ヨーク部30Bによる効果に準じた効果が得られる。
【0115】
また本実施形態によれば、さらに以下の効果が得られる。
(2−1)第1磁気検出素子21と第2磁気検出素子22との間の距離DH1と、第3磁気検出素子71と第4磁気検出素子72との間の距離DH2とが互いに等しいため、横方向Xに流れる磁束を第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22によって検出する場合に、第3磁気検出素子71及び第4磁気検出素子72に磁束が流れ難くなる。また縦方向Yに流れる磁束を第3磁気検出素子71及び第4磁気検出素子72によって検出する場合に、第1磁気検出素子21及び第2磁気検出素子22に磁束が流れ難くなる。したがって、磁気検出装置1の磁界の検出精度の低下を抑制することができる。
【0116】
(2−2)第1側面ヨーク部31の縦方向Yの両端部が第3側面ヨーク部35の横方向Xの一方側の端部及び第4側面ヨーク部37の横方向Xの一方側の端部と離間し、第2側面ヨーク部33の縦方向Yの両端部が第3側面ヨーク部35の横方向Xの他方側の端部及び第4側面ヨーク部37の横方向Xの他方側の端部と離間している。このような構成によれば、第1側面ヨーク部31から第3側面ヨーク部35及び第4側面ヨーク部37に磁束が流れることを抑制することができ、第2側面ヨーク部33から第3側面ヨーク部35及び第4側面ヨーク部37に磁束が流れることを抑制することができる。また第3側面ヨーク部35から第1側面ヨーク部31及び第2側面ヨーク部33に磁束が流れることを抑制でき、第4側面ヨーク部37から第1側面ヨーク部31及び第2側面ヨーク部33に磁束が流れることを抑制することができる。したがって、各側面ヨーク部31,33,35,37は、対応する各底面ヨーク部32,34,36,38に磁束が流れるようになるため、磁気検出装置1の磁界の検出精度の低下を抑制することができる。
【0117】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明の磁気検出装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明の磁気検出装置は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0118】
〔ヨーク部30の形状〕
・上記第1実施形態において、ヨーク部30の形状は任意に変更可能である。例えば、以下の(A)〜(F)に示すヨーク部であってもよい。なお、(A)〜(F)に示すヨーク部は、上記第2実施形態の第3ヨーク部30C及び第4ヨーク部30Dについても同様に適用することができる。また、(A)〜(F)に示すヨーク部の構成は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せてもよい。
【0119】
(A)第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31及び第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33のそれぞれの縦方向Yの長さは任意に変更可能である。一例では、
図13に示すように、変形例の第1側面ヨーク部31の縦方向Yの長さが第1実施形態の第1側面ヨーク部31の縦方向Yの長さよりも短い。また変形例の第2側面ヨーク部33の縦方向Yの長さが第1実施形態の第2側面ヨーク部33の縦方向Yの長さよりも短い。
【0120】
(B)第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31及び第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33のそれぞれの横方向Xの長さは任意に変更可能である。一例では、
図14に示すように、変形例の第1側面ヨーク部31の横方向Xの長さが第1実施形態の第1側面ヨーク部31の横方向Xの長さよりも短い。また変形例の第2側面ヨーク部33の横方向Xの長さが第1実施形態の第2側面ヨーク部33の横方向Xの長さよりも短い。すなわち変形例の第1側面ヨーク部31の横方向Xの長さが第3側面14eの横方向Xの長さよりも短い。また変形例の第2側面ヨーク部33の横方向Xの長さが第4側面14fの横方向Xの長さよりも短い。
【0121】
(C)
図15に示すように、第1ヨーク部30Aの第1底面ヨーク部32は、テーパ部32bを有してもよい。テーパ部32bは、第1側面ヨーク部31に接続されている。テーパ部32bは、第1側面ヨーク部31から横方向Xに離れるにつれて縦方向Yの幅が小さくなる。また第2ヨーク部30Bの第2底面ヨーク部34は、テーパ部34bを有してもよい。テーパ部34bは、第2側面ヨーク部33に接続されている。テーパ部34bは、第2側面ヨーク部33から横方向Xに離れるにつれて縦方向Yの幅が小さくなる。
【0122】
(D)
図16に示すように、第1ヨーク部30Aの第1底面ヨーク部32は、その先端縁32aに向かうにつれて第1底面ヨーク部32の幅寸法(縦方向Yの寸法)が小さくなるテーパ形状に形成されてもよい。また第2ヨーク部30Bの第2底面ヨーク部34は、その先端縁34aに向かうにつれて第2底面ヨーク部34の幅寸法(縦方向Yの寸法)が小さくなるテーパ形状に形成されてもよい。
【0123】
(E)第1ヨーク部30Aの第1底面ヨーク部32の幅寸法(縦方向Yの寸法)及び第2ヨーク部30Bの第2底面ヨーク部34の幅寸法(縦方向Yの寸法)はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、
図17に示すように、第1ヨーク部30Aの第1底面ヨーク部32の幅寸法が第1磁気検出素子21の縦方向Yの寸法よりも大きい。第2ヨーク部30Bの第2底面ヨーク部34の幅寸法が第2磁気検出素子22の縦方向Yの寸法よりも大きい。なお、第1底面ヨーク部32の幅寸法が第1磁気検出素子21の縦方向Yの寸法と等しくてもよい。第2底面ヨーク部34の幅寸法が第2磁気検出素子22の縦方向Yの寸法と等しくてもよい。
【0124】
(F)第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31の縦方向Yの長さと第1底面ヨーク部32の幅寸法(縦方向Yの寸法)との関係は任意に変更可能である。第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33の縦方向Yの長さと第2底面ヨーク部34の幅寸法(縦方向Yの寸法)との関係は任意に変更可能である。一例では、
図18に示すように、第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31の縦方向Yの長さと第1底面ヨーク部32の幅寸法とが互いに等しい。第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33の縦方向Yの長さと第2底面ヨーク部34の幅寸法とが互いに等しい。
【0125】
・上記第1実施形態において、第1ヨーク部30Aから第1側面ヨーク部31を省略し、第2ヨーク部30Bから第2側面ヨーク部33を省略してもよい。この場合、厚さ方向Zにおいて、第1磁気検出素子21が第1底面ヨーク部32から隙間をあけて配置され、第2磁気検出素子22が第2底面ヨーク部34から隙間をあけて配置されている。
【0126】
・上記第2実施形態において、第1ヨーク部30Aから第1側面ヨーク部31を省略し、第2ヨーク部30Bから第2側面ヨーク部33を省略し、第3ヨーク部30Cから第3側面ヨーク部35を省略し、第4ヨーク部30Dから第4側面ヨーク部37を省略してもよい。この場合、厚さ方向Zにおいて、第1磁気検出素子21が第1底面ヨーク部32から隙間をあけて配置され、第2磁気検出素子22が第2底面ヨーク部34から隙間をあけて配置され、第3磁気検出素子71が第3底面ヨーク部36から隙間をあけて配置され、第4磁気検出素子72が第4底面ヨーク部38から隙間をあけて配置されている。
【0127】
〔基板10の形状〕
・上記各実施形態において、基板10の凹部14の形状は任意に変更可能である。一例では、
図19に示すように、4つの側面14bが厚さ方向Zに沿うように延びてもよい。この場合、第1実施形態では、第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31及び第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33がそれぞれ厚さ方向Zに沿うように延びている。また第2実施形態では、第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31、第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33、第3ヨーク部30Cの第3側面ヨーク部35、及び第4ヨーク部30Dの第4側面ヨーク部37がそれぞれ厚さ方向Zに沿うように延びている。
【0128】
・上記第1実施形態において、基板10の凹部14の形状は任意に変更可能である。一例では、
図20に示すように、基板10の凹部14は、矩形状の底面14aの縦方向Yの2辺から延びる2つの側面14bである第1側面14c及び第2側面14dを有する構成、すなわち底面14aの横方向Xの2辺に対応する2つの側面14bである第3側面14e及び第4側面14fを省略した構成であってもよい。
図20に示すように、第1側面14cには、第1ヨーク部30Aの第1側面ヨーク部31が設けられ、第2側面14dには、第2ヨーク部30Bの第2側面ヨーク部33が設けられている。第1側面ヨーク部31は、第1導電層16A及び第2導電層16B上に設けられた絶縁層73(
図10参照)上に設けられている。第2側面ヨーク部33は、第3導電層16C及び第4導電層16D上に設けられた絶縁層73上に設けられている。
【0129】
・上記各実施形態において、基板10の凹部14の深さ(厚さ方向Zの寸法)は任意に変更可能である。例えば、厚さ方向Zにおいて半導体装置20の一部が凹部14から上方に突出するように構成されてもよい。この場合、第1〜第4端子17A〜17Dは、封止樹脂40が半導体装置20を封止可能となるような高さに設定される。
【0130】
〔磁気検出装置1全体の構成〕
・上記各実施形態において、封止樹脂40上に設けられた電極パッド41は、平坦状に限られず、例えば略球状に形成されてもよい。
【0131】
・上記各実施形態において、第1〜第4端子17A〜17Dを省略してもよい。この場合、封止樹脂40は、例えば基板10の主面11と面一となるように設けられてもよい。このような構成において、例えば半導体装置20の上面が基板10の主面11よりも十分に下方に位置していることが好ましい。一例では、半導体装置20の上面と主面11(封止樹脂40の上面)との間の距離が約60μm以上となるように、凹部14を形成する。
【0132】
・上記第1実施形態において、半導体装置20は、第1磁気検出素子21に対応した第1アナログ/デジタル変換回路と、第2磁気検出素子22に対応した第2アナログ/デジタル変換回路とを有してもよい。各アナログ/デジタル変換回路は、演算回路28に電気的に接続されている。
【0133】
・上記第2実施形態において、半導体装置20は、上記第1アナログ/デジタル変換回路と、上記第2アナログ/デジタル変換回路と、第3磁気検出素子71に対応した第3アナログ/デジタル変換回路と、第4磁気検出素子72に対応した第4アナログ/デジタル変換回路とを有してもよい。各アナログ/デジタル変換回路は、演算回路28に電気的に接続されている。
【0134】
・上記各実施形態において、磁気検出素子の個数は任意に変更可能である。例えば第1実施形態の磁気検出装置1は、3個以上の磁気検出素子を有してもよい。また第2実施形態の磁気検出装置1は、5個以上の磁気検出素子を有してもよい。
【0135】
・上記第1実施形態において、半導体装置20は第1磁気検出素子21を有し、第2磁気検出素子22を有していない構成であってもよい。この場合、基板10は、ヨーク部30として第1ヨーク部30Aを有し、第2ヨーク部30Bを有していない構成であることが好ましい。この場合、厚さ方向Zにおいて第1磁気検出素子21は、第1底面ヨーク部32に対して隙間をあけて配置されている。
【0136】
・上記第1実施形態において、第1磁気検出素子21が第1底面ヨーク部32と接触し、第2磁気検出素子22が第2底面ヨーク部34と接触する構成であってもよい。
・上記第2実施形態において、第1磁気検出素子21が第1底面ヨーク部32と接触し、第2磁気検出素子22が第2底面ヨーク部34と接触し、第3磁気検出素子71が第3底面ヨーク部36と接触し、第4磁気検出素子72が第4底面ヨーク部38と接触する構成であってもよい。