【解決手段】コントローラIC400は、相互容量方式の第1容量検出回路402と、自己容量方式の第2容量検出回路404を備える。第1容量検出回路402は、複数の送信端子TXを順に選択しながら、選択された送信端子TXにパルスの駆動電圧V
前記アンプは、前記駆動電圧に応じたフィードバック信号が前記制御信号と一致するように、前記出力段のハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタを制御する差動入力段をさらに含み、
前記電流検出回路は、
前記ハイサイドトランジスタと制御端子が共通に接続される第1トランジスタと、
前記ローサイドトランジスタと制御端子が共通に接続される第2トランジスタと、
を含み、
前記検出電流は、前記第1トランジスタに流れる電流と前記第2トランジスタに流れる電流の差分に応じていることを特徴とする請求項3に記載のコントローラ回路。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態の概要)
本明細書に開示される一実施の形態は、タッチパネルのコントローラ回路に関する。タッチパネルは、第1方向に離間して設けられる複数の送信電極と、第1方向と直交する第2方向に離間して設けられる複数の受信電極と、を備える。コントローラ回路は、複数の送信電極と接続される複数の送信端子と、複数の受信電極と接続される複数の受信端子と、複数の送信端子を順に選択しながら、選択された送信端子にパルスの駆動電圧を印加する駆動回路と、駆動電圧に応じて複数の受信端子それぞれが受信する電気信号を検出する第1検出回路と、駆動回路が送信端子にソースし、またはシンクする電荷量を検出する第2検出回路と、を備える。
【0017】
この実施の形態によると、自己容量方式と相互容量方式とで、共通の駆動電圧を用いることで、並行して2つの方式でセンシングが可能となる。
【0018】
駆動回路は、パルス状の制御信号を生成する制御信号発生器と、制御信号を受ける入力と、送信端子に接続されるプッシュプル形式の出力段と、を有するアンプと、を含んでもよい。
この実施の形態によれば、以下の少なくともひとつの利点を享受できる。
・出力段のトランジスタを、ダイオード接続する必要がなくなるため、ヘッドルームを小さくでき、容量検出の精度を高めることができる。
・駆動回路の応答遅れにより、静電容量の電圧をわずかに鈍らせることが可能である。これにより、充電電流、放電電流の急峻な変化を抑制できるため、信号の伝搬経路上の寄生容量の影響を低減できる。
・駆動回路は、プッシュプル動作が可能であるから、交流ノイズが入力したときに、交流ノイズの影響がそのまま検出電流に現れる。このノイズは、フィルタにより除去しやすく、また、1周期分を積分すればゼロとなるため、ノイズの耐性を高めることができる。
・充電動作と放電動作の両方をセンシングに割り当てることができるため、無駄な電力消費を低減できる。またセンシングの精度を高め、あるいはセンシングの周波数を高めることが可能となる。
【0019】
第2検出回路は、駆動回路の出力段に流れる電流のレプリカである検出電流を生成する電流検出回路と、検出電流を積分し、検出電圧を生成する積分回路と、を含んでもよい。
【0020】
アンプは、ボルテージフォロアであってもよい。また、アンプは、駆動電圧に応じたフィードバック信号が制御信号と一致するように、出力段のハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタを制御する差動入力段をさらに含んでもよい。電流検出回路は、ハイサイドトランジスタと制御端子が共通に接続される第1トランジスタと、ローサイドトランジスタと制御端子が共通に接続される第2トランジスタと、を含んでもよい。検出電流は、第1トランジスタに流れる電流と第2トランジスタに流れる電流の差分に応じていてもよい。
【0021】
コントローラ回路は、ひとつの半導体集積回路上に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0022】
(実施の形態)
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0024】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る入力装置200を示す図である。入力装置200は、タッチパネル220と、タッチパネルコントローラ(以下、コントローラIC)400と、を備える。入力装置200は、スマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラ、カーナビゲーションシステムなど、さまざまな電子機器に搭載される。
【0026】
タッチパネル220は、複数M本(M≧2)の送信電極X
1〜X
Mと、複数N本(N≧2)の受信電極Y
1〜Y
Nを備える。複数の送信電極X
1〜X
Mは、第1方向に離間して設けられ、複数の受信電極Y
1〜Y
Nは、第1方向と直交する第2方向に離間して設けられる。送信電極Xと受信電極Yは相互に絶縁されている。送信電極Xと受信電極Yの形状は特に限定されない。
【0027】
コントローラIC400は、複数の送信端子TX
1〜TX
Mと、複数の受信端子RX
1〜RX
Nと、駆動回路410と、第1検出回路420と、第2検出回路430と、を備え、ひとつの半導体基板に集積化され、パッケージ化される。
【0028】
複数の送信端子TX
1〜TX
Mは、複数の送信電極X
1〜X
Mと接続される。複数の受信端子RX
1〜RX
Nは、複数の受信電極Y
1〜Y
Nと接続される。
【0029】
駆動回路410は、複数の送信端子TX
1〜TX
Mを順に選択しながら、選択された送信端子TX
i(i=1,2・・・,M)にパルスの駆動電圧V
DRViを印加する。駆動電圧V
DRViは、送信端子TX
iを介して送信電極X
iに印加される。
【0030】
たとえば駆動回路410は、複数の駆動ユニット412と、制御信号発生器414を含む。制御信号発生器414は、パルスの制御信号S
CTRL1〜S
CTRLMを時分割で複数の駆動ユニット412に供給する。駆動ユニット412は、制御信号に応じた駆動電圧V
DRVを出力する。
【0031】
送信電極X
iは、複数の受信電極Y
1〜Y
Nと容量結合(電磁界結合)している。送信電極X
iと受信電極Y
j(j=1,2,・・・,N)の間の相互容量をCm
ijと表記する。この相互容量Cm
ijは、ユーザのタッチに応じて変化する。
【0032】
受信端子RX
jには、受信電極Y
iが受信した信号に応じた電気信号(電流信号)が入力される。第1検出回路420は、複数の受信端子RX
1〜RX
Nに流れる受信電流I
RX1〜I
RXNに応じた検出データDm
i1〜Dm
iNを生成する。検出データDm
i1〜Dm
iNは、相互容量Cm
i1〜Cm
iNと相関を有する。
【0033】
第2検出回路430は、駆動回路410が送信端子TX
i(送信電極X
i)にソースし(注入)、またはシンクする(引き抜く)電荷量Q
iを検出する。電荷量Q
iは、送信電極X
iが周囲との間に形成する自己容量Cs
iに比例する。詳しくは後述するが、電荷量Q
iは、駆動回路410が送信端子TX
i(送信電極X
i)にソースし(注入)、またはシンクする(引き抜く)駆動電流I
DRVを検出し、この駆動電流I
DRViに応じた検出電流Is
iを積分することで取得することができる。
【0034】
第2検出回路430は、電荷量+Q
i,−Q
iの少なくとも一方にもとづく検出データDs
iを生成する。検出データDs
iは、信号処理部440に供給される。
【0035】
別の観点から見ると、コントローラIC400は、第1容量検出回路402および第2容量検出回路404を備える。相互容量方式の第1容量検出回路402は、複数の送信端子TX
1〜TX
Mを順に選択しながら、選択された送信端子TX
iにパルスの駆動電圧V
DRViを印加し、そのときに複数の受信端子RX
1〜RX
Nに入力される電気信号(受信電流I
RX1〜I
RXN)を検出する。
【0036】
自己容量方式の第2容量検出回路404は、送信電極X
iにパルスの駆動電圧V
DRViが印加されたときに、送信電極X
iにソースされ、またはそれからシンクされる電荷量+Q
i,−Q
iを検出する。
【0037】
以上が入力装置200の構成である。続いてその動作を説明する。
図2は、
図1の入力装置200の動作を示すタイムチャートである。
【0039】
駆動回路410によって、複数の送信電極X
1〜X
Mが順に選択され、順にパルス状の駆動電圧V
DRV1〜V
DRVMが印加される。i番目の送信電極X
iが選択される期間T
iの間、対応する駆動電流I
DRViが流れる。駆動電流I
DRViは、送信電極X
iに流れ込む向きを正にとっている。
【0040】
駆動電圧V
DRViが増加するとき、送信電極X
iは充電され、したがって正の駆動電流I
DRViが流れる。正の駆動電流I
DRViのパルスの積分すると、送信電極X
iが形成する自己容量Cs
iに供給される電荷量Q
iが得られる。駆動電圧V
DRViの変化量をΔVとすると、以下の式が成り立つ。
Q
i=Cs
i×ΔV …(1)
式(1)から式(2)が得られる。
Cs
i=Q
i/ΔV …(2)
ΔVは定数とみなすことができるから、自己容量Cs
iは、電荷量+Q
iに比例する。
【0041】
反対に駆動電圧V
DRViが低下するとき、送信電極X
iは放電され、したがって負の駆動電流I
DRViが流れる。負の駆動電流I
DRViのパルスの積分すると、送信電極X
iが形成する自己容量Cs
iから引き抜かれた電荷量−Q
iが得られる。自己容量Cs
iは、電荷量−Q
iにも比例する。
【0042】
センス期間Ts
1,Ts
2,…Ts
Mそれぞれにおいて、複数の送信電極X
1〜X
Mが形成する静電容量(自己容量)Cs
1〜Cs
Mを検出することができる。
【0043】
続いて相互容量の検出を説明する。センス期間T
iの間、複数の受信電極Y
1〜Y
Nには、受信電流I
RX1〜I
RXNが流れる。受信電流I
RXjの振幅は、相互容量Cm
ijに応じて変化する。第1検出回路420は、受信電流I
RX1〜I
RXNの振幅に応じた検出データDm
i1〜Dm
iNを生成する。
【0044】
センス期間Ts
1,Ts
2,…Ts
Mそれぞれにおいて、複数の相互容量Cm
11〜Cm
1N,Cm
21〜Cm
2N,…Cm
M1〜Cm
MNを検出することができる。
【0045】
以上が入力装置200の動作である。この入力装置200によれば、自己容量方式と相互容量方式とで、共通の駆動電圧を用いることで、並行して2つの方式でセンシングが可能となる。
図3(a)は、従来の時分割によるセンシングを説明する図であり、
図3(b)は、第1の実施の形態に係るセンシングを説明する図である。
図3(a)と(b)の対比から明らかなように、本実施の形態によれば、センシング周期Tsを短縮できるため、高速なセンシングが可能となる。
【0046】
続いて、コントローラIC400の具体的な構成例を説明する。
【0047】
図4は、駆動回路410、第1検出回路420および第2検出回路430の回路図である。
図4には、1個の送信端子TX
iと1個の受信端子RX
jに対応する1チャンネル分の構成のみが示される。
【0048】
・駆動回路
駆動ユニット412は、アンプであり、その入力に制御信号S
CTRLiを受ける。駆動ユニット412は、送信端子TX
iに接続されるプッシュプル形式の出力段416を有する。たとえば駆動ユニット412は、差動入力段418を含み、駆動電圧V
DRViに応じたフィードバック信号S
FBiが制御信号S
CTRLiに近づくように、出力段416のハイサイドトランジスタM
HおよびローサイドトランジスタM
Lの制御端子(ゲート)の電圧を調節する。
【0049】
たとえば駆動ユニット412はボルテージフォロアであり、差動入力段418の非反転入力端子には制御信号S
CTRLiが入力され、その反転入力端子には、駆動電圧V
DRViがフィードバック信号V
FBiとして入力される。駆動ユニット412は、反転アンプであってもよいし、非反転アンプであってもよい。
【0050】
・第1検出回路
第1検出回路420は、積分回路422、A/Dコンバータ424、マルチプレクサ426を含む。積分回路422は、受信端子RX
jに流れる電流I
RXjを積分する。積分回路422の構成は限定されないが、たとえばキャパシタC
INTとオペアンプ423で構成してもよい。積分回路422の出力電圧Vm
jは、相互容量Cm
ijと相関を有する。A/Dコンバータ424は、積分回路422の出力電圧Vm
jをデジタル値Dm
jに変換する。A/Dコンバータ424の前段にマルチプレクサ426を挿入し、複数のチャンネルでA/Dコンバータ424を共有することができる。
【0051】
・第2検出回路
第2検出回路430は、電流検出回路432、積分回路434、およびA/Dコンバータ436を備える。電流検出回路432は、駆動ユニット412の出力段416に流れる駆動電流I
DRViのレプリカである検出電流Is
iを生成する。
【0052】
第2検出回路430は、ハイサイドトランジスタM
Hとゲート同士、ソース同士が接続される第1トランジスタM
11と、ローサイドトランジスタM
Lとゲート同士、ソース同士が接続される第2トランジスタM
12と、を含む。第1トランジスタM
11には、ハイサイドトランジスタM
Hに流れるソース電流I
SRCに比例した電流I
SRC’が流れ、第2トランジスタM
12には、ローサイドトランジスタM
Lに流れるシンク電流I
SINKに比例した電流I
SINK’が流れる。検出電流Is
iは、第1トランジスタM
11に流れる電流I
SRC’と第2トランジスタM
12に流れる電流I
SINK’の差分に対応する。
【0053】
積分回路434は、検出電流Is
iを積分し、自己容量Cs
iに供給された(あるいは引き抜かれた)電荷量Q
iを示す検出電圧Vs
iを生成する。A/Dコンバータ436は、検出電圧Vs
iをデジタル値Ds
iに変換する。A/Dコンバータ436の前段にマルチプレクサ438を挿入し、複数のチャンネルで、A/Dコンバータ436を共有することができる。積分回路434は、積分回路422と同様に構成してもよい。
【0054】
なお
図4に示した駆動回路410、第1検出回路420、第2検出回路430の構成は例示であり、公知の、あるいは将来利用可能なその他の回路を用いることができる。
【0055】
図5は、
図4の駆動回路410、第1検出回路420、第2検出回路430の動作を説明する図である。制御信号S
CTRLiに応じて、送信端子TX
iに駆動電圧V
DRViが印加される。この駆動電圧V
DRViは、電源電圧V
DDと接地電圧0V間をフルスイングせず、ヘッドルームとフットルームが存在する。ヘッドルームとフットルームは、出力段のハイサイドトランジスタ、ローサイドトランジスタの飽和電圧に応じており、典型的には0.1V程度となる。電源電圧が3.5Vであるとき、駆動電圧V
DRVの変化幅ΔVは、3.3V程度となる。
【0056】
受信電流I
RXは、積分回路422によって積分され、検出電圧Vm
jが生成される。A/Dコンバータ424は、所定の周期で検出電圧Vm
jをサンプリングし、検出データDm
jに変換する。たとえば2つの隣接する検出データDm
jの差分を、相互容量Cm
jとすることができる。
【0057】
また、駆動電流I
DRViに応じた検出電流Is
iが積分され、検出電圧Vs
iに変換される。A/Dコンバータ436は、所定の周期で検出電圧Vs
iをサンプリングし、検出データDs
iに変換する。たとえば2つの隣接する検出データDs
jの差分を、自己容量Cs
iとすることができる。
【0059】
・第1の利点
特許文献3に記載の回路では、ゲートドレイン間が結線されたMOS(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)トランジスタを利用して、電極を充電する。この場合、電極に生ずる電圧には、MOSトランジスタが形成するダイオードの順方向電圧に相当するヘッドルームが導入され、0.6V程度となる。電極の電圧変化の幅は、電源電圧を3.5Vとした場合、2.9Vとなる。
【0060】
これに対して
図4の駆動ユニット412によれば、駆動電圧V
DRVのヘッドルーム電圧を0.1V程度まで小さくできる。同程度のフットルーム電圧が導入されるが、それであっても駆動電圧V
DRVの変化幅ΔVは、3.5−0.2=3.3Vとなり、特許文献3の回路に比べて拡大される。
【0061】
式(1)から明らかなように、自己容量Csの検出に際して、駆動電圧V
DRVの変化幅ΔVが大きいほど、自己容量Csに供給されあるいは引き抜かれる電荷量Q
iが大きくなるため、検出感度を高めることができる。
【0062】
・第2の利点
特許文献3の回路では、自己容量の検出に際して、自己容量の電圧を変化させたときに流れる充電電流は急峻であり、高い周波数成分を含む。高周波成分は、充電電流を検出信号に変換する過程において寄生のローパスフィルタによりフィルタリングされ、検出精度の低下を招く。
【0063】
一方、
図4の回路によれば、駆動ユニット412の応答速度の影響で、駆動電圧V
DRVの変化速度(スルーレート)が制限されており、駆動電流I
DRVに含まれる周波数成分が、低周波数側にシフトしている。そのため、駆動電流I
DRVを検出信号Vsに変換する過程において、フィルタリングにより失われる成分が少なくなり、検出精度の低下を抑制することができる。なお、制御信号S
CTRLの傾きを制限することで、この効果をさらに高めてもよい。
【0064】
・第3の効果
特許文献3の回路では、電極を充電するときのみ、自己容量の検出が可能であり、放電動作は自己容量の検出に寄与しない。したがって電極に交流のノイズが入力されたとき、検出電流I
Sは、ノイズのうち半波の影響を受けることとなり、したがって、検出電圧にも、ノイズの半波分の影響が現れ、ノイズ成分のフィルタリングが難しくなる。
【0065】
これに対して、
図4の構成によれば、駆動ユニット412は、プッシュプル動作が可能であるから、交流ノイズが入力したときに、交流ノイズの影響がそのまま検出電流I
Sに現れる。検出電流I
Sに含まれるノイズは、フィルタにより除去しやすく、また、1周期分を積分すればゼロとなる。したがって
図4の構成によれば、ノイズの耐性を高めることができる。
【0066】
・第4の効果
特許文献3の回路では、放電はリセットに利用されており、無駄な電力を消費していた。これに対して、
図4の構成によれば、充電動作と、放電動作それぞれにおいて、自己容量Csを検出できる。したがって、無駄な電力消費を低減できる。
【0067】
・第5の効果
また、充電と放電それぞれで自己容量Csを検出することにより、センシングの周波数を2倍に高めることが可能である。
【0068】
(変形例)
続いてコントローラIC400の変形例を説明する。
図6は、変形例に係るコントローラIC400Aのブロック図である。コントローラIC400Aは、
図1のコントローラIC400に加えて、第3検出回路450をさらに備える。第3検出回路450は、複数の受信端子RX
1〜RX
Nと接続され、複数の受信電極Y
1〜Y
Nが形成する自己容量Cs
1〜Cs
Nを検出可能に構成される。
【0069】
図7は、第3検出回路450の構成例を示す回路図である。第3検出回路450は、複数の駆動ユニット452、複数の電流検出回路454、複数の積分回路456を含む。駆動ユニット452は、対応する受信端子RXにパルス状の駆動電圧V
DRViを印加する。電流検出回路454は、駆動ユニット452がソース、シンクする駆動電流I
DRViを検出する。積分回路456は、駆動ユニット452が検出した電流を積分し、電荷量Q
iを示す電圧Vs
iを生成する。
【0070】
駆動ユニット452、電流検出回路454、積分回路456は、
図4の駆動ユニット412、電流検出回路432、積分回路434と同様に構成してもよい。
【0071】
図8は、
図6のコントローラIC400Aの動作を示すタイムチャートである。複数の送信電極X
1〜X
Mが形成する自己容量の検出と、相互容量の検出が並列的に行われる。続いて複数の受信電極Y
1〜Y
Nが形成する自己容量の検出が行われる。これにより、第1方向、第2方向の両方について、自己容量方式によってもタッチの検出が可能となる。
【0072】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、タッチパネルのコントロールICを説明したが、本発明の適用はそれに限定されず、よりシンプルな静電スイッチのコントロールICにも適用可能である。
【0073】
図9は、第2の実施の形態に係る入力装置500を示す図である。入力装置500は、静電スイッチ520と、そのコントローラ(以下、コントローラIC)600と、を備える。入力装置500は、洗濯機、テレビ、冷蔵庫などの家電製品、スマートフォンなどの情報端末などに搭載される。
【0074】
静電スイッチ520は、ひとつ(または複数の)の送信電極522と、ひとつ(または複数の)受信電極524を備える。コントローラIC600は、送信電極522が形成する自己容量Csを検出するとともに、送信電極522と受信電極524の間に形成される相互容量Cmを検出する。
【0075】
コントローラIC600は、ひとつ(または複数の)送信端子TXと、ひとつ(または複数の)の受信端子RXと、駆動回路610と、第1検出回路620と、第2検出回路630と、を備え、ひとつの半導体基板に集積化され、パッケージ化される。
【0076】
駆動回路610は、
図1の駆動回路410と同様に構成される。第1検出回路620、第2検出回路630は、
図1の第1検出回路420、第2検出回路430と同様に構成される。
【0077】
駆動回路610は、送信端子TXにパルスの駆動電圧V
DRVを印加する。第1検出回路620は、駆動電圧
VDRVに応じて受信端子RXが受信する電気信号I
RXを検出する。第2検出回路630は、駆動回路610が送信端子TXにソースし、またはシンクする電荷量を検出する。信号処理部640は、第1検出回路620、第2検出回路630それぞれの検出結果を処理し、静電スイッチ520がタッチされたか(あるいはユーザの指が近接したか)を判定する。
【0078】
別の観点から見ると、相互容量方式の第1容量検出回路602は、送信端子TXにパルスの駆動電圧V
DRVを印加し、そのときに受信端子RXに入力される電気信号I
RXを検出する。自己容量方式の第2容量検出回路604は、送信端子TXにパルスの駆動電圧V
DRVが印加されたときに、送信電極522にソースされ、またはそれからシンクされる電荷量を検出する。